JP2007254546A - インク洗浄液及びクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光硬化性インクの洗浄に対して優れたクリーニング性を有する光硬化性インク用のインク洗浄液及びインクジェットプリンタのクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】光硬化性インクのインク洗浄液であって少なくとも一種のエーテル化合物を含有することを特徴とするインク洗浄液。エーテル化合物はグリコールエーテル化合物であることが好ましい。また、光硬化性インクはラジカル重合性インクであることが好ましい。さらに、前記インク洗浄液を用いてインクジェットプリンタをクリーニングするインクジェットプリンタのクリーニング方法。

Description

本発明は、新規なインク洗浄液及びインクジェットプリンタのクリーニング方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェットプリンタに用いられるインクとしては、常温で固形のワックスインク、水系溶剤や有機溶剤を主体としたソルベントインク、光の被照射により硬化する光硬化性インク等がある。中でも、光硬化性インクは、他の記録方式に比べ低臭気であり、専用紙以外にも速乾性・インク吸収性の無い記録媒体に記録できる点で注目されている。
光硬化性インクには、光の被照射により発生したラジカルを成長活性種としてモノマーやオリゴマーが重合していくラジカル重合性光硬化性インク、光の被照射により発生したカチオンを成長活性種としてモノマーやオリゴマーが重合していくカチオン重合性光硬化性インクがある。
ところで、インクジェットプリンタはヘッドに形成された微小径の吐出口からインクを吐出するため、ヘッド、吐出口の周辺、その他インクジェットプリンタの部品にインクが付着してしまったり、インクが吐出口で硬化することによって吐出口が閉塞されたりする。このような事態の処置のために種々の対策が講じられている。
吐出口にインクが詰まることを防止するための対策技術としては、インクジェットプリンタが画像記録動作を行っていない時に、吐出口をキャップで蓋をする技術があり、その技術は例えば特許文献1〜特許文献4に記載されている。その他の対策技術としては、インクジェットプリンタが画像記録動作を行っている時に、又は、画像記録動作を終了しようとする時に、吐出口近傍に付着したインクを拭き取る技術があり、その技術は例えば特許文献2〜特許文献5に記載されている。また、特許文献5には、吐出口のインクを拭き取る時に、シリコンオイル、エチレングリコールを洗浄液として用いる技術が開示されている。また、特許文献6には、イソチアゾロンを含有し、洗浄力に優れ、防カビ防菌効果のあるインクジェットプリンタ用洗浄液が開示されている。
特開昭57−117964号公報 特開昭57−80064号公報 特開昭59−111856号公報 特開平8−1953号公報 特公昭62−9030号公報 特開平4−261476号公報
しかし、特許文献1〜特許文献6に開示された技術は何れも、インク組成物を洗浄するに十分ではない。特に、光硬化性の油溶性インクに対しては、洗浄性が十分ではなかった。
そこで、本発明の目的は、光硬化性インクの洗浄に対して優れたクリーニング性を有する光硬化性インク用のインク洗浄液及びインクジェットプリンタのクリーニング方法を提供することにある。
本発明の上記課題は下記の<1>、<4>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>及び<3>と共に以下に記載する。
<1> 光硬化性インクのインク洗浄液であって、少なくとも一種のエーテル化合物を含有することを特徴とするインク洗浄液、
<2> エーテル化合物がグリコールエーテル化合物である<1>に記載のインク洗浄液、
<3> 光硬化性インクがラジカル重合性インクである<1>又は<2>に記載のインク洗浄液、
<4> <1>〜<3>いずれか1つに記載のインク洗浄液を用いてインクジェットプリンタをクリーニングすることを特徴とするインクジェットプリンタのクリーニング方法。
本発明によれば、光硬化性インクの洗浄に対して優れたクリーニング性を有する光硬化性インク用のインク洗浄液及びインクジェットプリンタのクリーニング方法を提供することができる。特に、本発明のインク洗浄液は、ラジカル重合性の光硬化性インクの洗浄に好適である。
以下、本発明についてさらに詳述する。
本発明のインク洗浄液は、光硬化性インクのインク洗浄液であって、少なくとも一種のエーテル化合物を含有することを特徴とする。
(1)インク洗浄液
本発明のインク洗浄液(以下、単に「洗浄液」ともいう。)は、エーテル化合物を少なくとも含有しており、ヘッドより光硬化性インクを吐出するインクジェットプリンタから光硬化性インクを洗浄するために好適に用いることができる。
本発明のインク洗浄液は、未硬化又は硬化後の光硬化性インクを溶解及び/又は分散させる作用を有し、これにより、硬化前後にわたり、光硬化性インクの洗浄液として使用できる。
本発明のインク洗浄液について説明する。
(エーテル化合物)
本発明で使用することができるエーテル化合物としては、モノエーテル類及びグリコール、トリオール、テトラオール等のポリオール類からなるエーテル化合物が挙げられる。
洗浄液がエーテル化合物を含有すると、インク中の不溶成分を凝集させることなくクリーニングすることが可能であり、液交換や長期間休止後の装置再稼働時等のクリーニングが必要な場面で、ヘッドを詰まらせることなく安定稼働を可能とし、さらにはヘッド詰まり後のクリーニングに使用することで、描画時の連続吐出信頼性が向上する。
本発明において、エーテル化合物としては、分子内にエーテル基(−O−)を有する化合物であればいずれも使用することができるが、これらの中でも、エーテル化合物としてグリコールエーテル化合物を使用することが好ましい。
グリコールエーテル化合物の例として、下記式〔I〕又は〔II〕で示される化合物が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
〔I〕 R1O−(CH2CH(R2)−O)m−R3
〔II〕 R4O−(CH2CH2−O)p−CO−CH3
式中R1〜R4は独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基又は炭素原子数5〜10の環状アルキル基を示し、m及びpは1〜20の整数を示す。
その具体例としてはトリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいグリコールエーテル化合物としては、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル及びトリプロピレングリコールジアクリレートが例示できる。
また、本発明で使用できるエーテル化合物として、分子量200〜1,000のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、それらの化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、モノブチルエーテル等が挙げられる。
さらに、本発明において、エーテル化合物としてアルコキシアルコールを使用することも好ましい。炭素数1〜6のアルコキシアルコールが好ましく、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールが好ましく例示できる。
本発明において、インク洗浄液に使用されるエーテル化合物としては、粘度が25℃において1〜40mPa・sであることが好ましく、2〜30mPa・sであることがより好ましい。粘度が上記範囲内であるとヘッド内の洗浄において、特に優れた洗浄効果を発揮するので好ましい。
本発明において、エーテル化合物は沸点が50〜150℃であることが好ましく、60〜130℃であることがより好ましい。沸点が上記範囲内であると使用後の洗浄液の残存が少なく、使用時にも揮発することなく安全に効果的に使用できるため好ましい。
本発明において、エーテル化合物の添加量は、インク洗浄液全体の100〜30wt%であることが好ましく、より好ましくは100〜40wt%であり、さらに好ましくは100〜50wt%である。添加量が上記範囲内であると、他成分による部材変性が抑えられると共に、本発明で期待される効果が維持できるため好ましい。即ち、他成分により、インクジェットヘッド等、インクを洗浄する対象物の変性を抑制できるので好ましい。
また、本発明において、エーテル化合物としてグリコールエーテル類を使用する場合、その添加量は、インク洗浄液全体の100〜30wt%であることが好ましく、より好ましくは100〜40wt%であり、さらに好ましくは100〜50wt%である。添加量が上記範囲内であると、さらに他成分による部材変性が押さえられると共に、本発明で期待される効果が維持できるため好ましい。
本発明のインク洗浄液は、上記のエーテル化合物の他に、他の成分を含有することができる。他の成分としては、アルコール類、ケトン類、ラクトン及び環状イミド、その他の成分が例示できる。
(アルコール類)
本発明のインク洗浄液において、アルコール類としては炭素原子数が1〜6のアルコール類を使用することが好ましい。
炭素原子数が1〜6のアルコール類として、直鎖状アルコール、分岐した鎖状アルコール、環状アルコール、分岐した環状アルコール等を使用することが可能である。例えばテトラヒドロフルフリルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールとその異性体、ブチルアルコールとその異性体、ペンチルアルコールとその異性体、ヘキシルアルコールとその異性体等を使用することが可能である。
本発明のインク洗浄液には、炭素原子数が1〜6のアルコール類を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でもプロピルアルコールとその異性体、ブチルアルコールとその異性体が好適である。炭素数が7以上のアルコールは、インキ除去性が劣る傾向があるので、炭素原子数が1〜6のアルコール類が好ましい。
本発明のインク洗浄液における炭素原子数が1〜6のアルコール類の量はインク洗浄液全体の3〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜12重量%である。
添加量が上記範囲内であると部材変性が抑えられると共に、本発明で期待される洗浄効果が維持できるため好ましい。
(エステル類)
本発明で使用することができるエステル類の具体例としては酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸第2ヘキシル、酢酸−2−エチル−ブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、等が挙げられる。
エステル類の添加量は、インク洗浄液全体の0〜50重量%であることが好ましく、0〜40重量%であることがより好ましく、0〜30重量%であることがさらに好ましい。添加量が上記範囲内であると部材変性が押さえられると共に、本発明で期待される洗浄効果が維持できるため好ましい。
(ケトン類)
本発明で使用することができるケトンの具体例としては、メチルアミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジアセトンアルコール、アセトニルアセトン、イソホロン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンが挙げられる。
ケトン類の添加量は、インク洗浄液全体の0〜40重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましく、0〜20重量%であることがさらに好ましい。添加量が上記範囲内であると、部材変性が押さえられると共に、本発明で期待される洗浄効果が維持できるため好ましい。
(ラクトン及び環状イミド)
本発明で使用することができる炭素数3〜6個のラクトン及び炭素数4〜7個の環状イミドの具体例としてはγ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、ヘキサノラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
ラクトン及び環状イミドの添加量は、インク洗浄液全体の0〜50重量%であることが好ましく、0〜40重量%であることがより好ましく、0〜30重量%であることがさらに好ましい。添加量が上記範囲内であると部材変性が押さえられると共に、本発明で期待される洗浄効果が維持できるため好ましい。
(その他)
本発明のインク洗浄液には、その他の成分を添加することもできる。
その他の成分としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン、等を挙げることができる。
その他の成分の添加量は、インク洗浄液全体の0〜40重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましく、0〜20重量%であることがさらに好ましい。添加量が上記範囲内であると部材変性が押さえられると共に、本発明で期待される洗浄効果が維持できるため好ましい。
また、上記エーテル化合物を含有したインク洗浄液に、界面活性剤、消泡剤を添加しても良い。界面活性剤をインク洗浄液に添加することによってインク洗浄液の表面エネルギーを調整することができ、インク洗浄液をインクジェットプリンタに塗布した場合等に、インクジェットプリンタに対するインク洗浄液の濡れ性を改善することができるので好ましい。また、消泡剤を洗浄液に添加することによってインク洗浄液に泡が発生することを防止することができるので好ましい。
以上が洗浄液についての説明であるが、以下ではインクジェットプリンタに用いられる光硬化性インク(本発明において、「光硬化性インク」を「インク組成物」ともいうこととする。)について説明する。
尚、本発明において、「光硬化性インク」は、硬化前及び硬化後のどちらも意味するものである。また、「インク組成物」とは、特に硬化前の光硬化性インクを指す。
(2)光硬化性インク
本発明において、光硬化性インクは、放射線や熱により硬化可能であり、(a)重合性化合物、及び、(b)重合開始剤を含有し、必要に応じて、(c)着色剤、(d)増感色素、(e)共増感剤、(f)その他の成分を含んでいてもよい。
本発明において「放射線」とは、その照射により光硬化性インク中において重合開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明において、光硬化性インクとしては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能な光硬化性インクが好ましい。
(a)重合性化合物
本発明において、光硬化性インクは、(a)重合性化合物を含有する。本発明に用いることのできる重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、又は、カチオン重合性化合物が挙げられる。ラジカル重合性化合物としては、例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られており、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では400nm以上の可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も、例えば特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。
本発明において、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を使用することが好ましい。ラジカル重合性化合物は、硬化感度が高く、また、硬化速度が速いため、重合性化合物として好ましい。
従って、本発明において、光硬化性インクは、ラジカル重合性インクであることが好ましい。
<ラジカル重合性化合物>
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。また、単官能化合物を単独で使用するよりも、官能基を2つ以上持つ多官能化合物を併用する方が好ましい。また、多官能化合物を2種以上併用して用いることも、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
さらに、本発明において、光硬化性インクは、ラジカル重合性化合物として、N−ビニルラクタム類を含有することが好ましい。N−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007254546
式(I)中、nは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは2〜4の整数であることが好ましく、nが2又は4の整数であることがより好ましく、nが4であるすなわちN−ビニル−ε−カプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニル−ε−カプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の被記録媒体への密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類はアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は、不飽和環構造を連結していても良い。
本発明において、光硬化性インク組成物は、N−ビニルラクタム類を光硬化性インク全体の10重量%以上含有することが好ましい。N−ビニルラクタム類をインク全体の10重量%以上含有することで、硬化性、硬化膜柔軟性、硬化膜の基材密着性に優れる光硬化性インクが提供できるので好ましい。光硬化性インク中におけるN−ビニルラクタム類のより好ましい含有率としては、10重量%以上40重量%以下の範囲内である。N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類の含有率が40重量%以下であると、0度以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなるので好ましい。さらに好ましくは、12重量%以上40重量%以下の範囲内であり、特に好ましくは、15重量%以上35重量%以下の範囲内である。
上記N−ビニルラクタム類はインク組成物中に1種のみ有していてもよく、複数種有していてもよい。
本発明のインク洗浄液は、N−ビニルラクタム類を重合性化合物として含有する光硬化性インクの洗浄液として好適に使用することができる。これらN−ビニルラクタム類は室温下で固体のモノマーであるため、析出等の問題を起こしやすく、かつ本発明のような限られた洗浄液以外では、洗浄時において、洗浄液との接触により析出が加速される場合が多く、特に本発明の洗浄液以外では洗浄が難しい。本発明のインク洗浄液を使用することにより、重合性化合物としてN−ビニルラクタム類を含有する光硬化性インクを効果的に洗浄することができる。
<カチオン重合性化合物>
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物は、後述する光酸発生剤(カチオン重合開始剤)から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどが挙げられ、芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる単官能及び多官能のエポキシ化合物を詳しく例示する。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明に使用できるオキセタン化合物は、少なくとも1つのオキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインク組成物の被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2007254546
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していても良く、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
a3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 2007254546
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又は、C(CH32を表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
Figure 2007254546
式(1)で表される化合物として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(OXT−212:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211:東亞合成(株)製)が挙げられる。式(2)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)が挙げられる。また、式(3)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株))が挙げられる。
分子内に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007254546
式(4)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 2007254546
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に用いることのできるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007254546
式(5)において、Ra1及びRa8は前記式におけるのと同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217号公報、段落番号0021ないし0084に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に用いることができる。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に使用することができる。段落番号0022ないし0058に詳細に記載されている。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明に用いることのできるカチオン重合性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよいが、インク組成物硬化時の収縮を効果的に抑制するといった観点からは、オキセタン化合物とエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、ビニルエーテル化合物とを併用することが好ましい。
インク組成物中のカチオン重合性化合物の含量は、組成物の全固形分に対し、10〜95重量%が好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは50〜85重量%の範囲である。
<好ましい重合性化合物>
本発明に用いることのできる重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマーあるいはプレポリマー、エポキシ系モノマーあるいはプレポリマー、オキセタン系モノマーあるいはプレポリマー、又は、ウレタン系モノマーあるいはプレポリマー等が好ましく用いられる。さらに好ましくは、下記化合物である。
2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート等。
これらのアクリレート化合物は、従来UV硬化型インクに用いられてきた重合性化合物より、比較的粘度を下げることができ、安定したインク吐出性が得られ、重合感度、記録媒体との密着性も良好である。本発明においては、重合性化合物として上記アクリレート化合物を使用する場合、アクリレート化合物の含有量を、インク組成物の全重量に対して、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは70〜95重量%とすることが適当である。
本発明においては、上述した重合性化合物として列挙されているモノマーは、低分子量であっても感作性が小さいものであり、なおかつ反応性が高く、粘度が低く、また、記録媒体への密着性に優れる。
さらに感度、滲み、記録媒体との密着性をより改善するためには、上記モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが、感度、密着性向上の点で好ましい。さらに、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーを併用することが特に好ましい。安全性を維持しつつ、さらに、感度、滲み、記録媒体との密着性をより改善することができるので好ましい。オリゴマーとしてはエポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な記録媒体への記録では、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用が膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。モノアクリレートとしてはステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
尚、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
尚、上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70重量%未満の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
(b)重合開始剤
本発明において、光硬化性インクは、(b)重合開始剤を含有する。本発明で用いることができる重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤(光酸発生剤)を使用することができる。前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、インク組成物に用いることのできるラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
<ラジカル重合開始剤>
本発明で用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(l)アルキルアミン化合物等が好ましく挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(l)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独若しくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
<カチオン重合開始剤>
本発明で用いることができるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が好ましく挙げられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
(c)着色剤
本発明において、光硬化性インク(インク組成物)は、(c)着色剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明において、インク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しないことが好ましい。これは、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないためである。
<顔料>
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。従って、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100重量部に対し、1〜50重量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記カチオン重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明において、インク組成物は、放射線硬化型のインクであることが好ましく、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(a)カチオン重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低いカチオン重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02〜0.4μmにするのが好ましく、0.02〜0.1μmとするのがさらに好ましく、より好ましくは、0.02〜0.07μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができる。
(d)増感色素
本発明において、インク組成物には、特定の活性放射線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるために増感色素を添加してもよい。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸あるいは塩基を生成する。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
より好ましい増感色素の例としては、下記式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007254546
式(IX)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA2及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
Figure 2007254546
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(IX)に示したものと同義である。
Figure 2007254546
式(XI)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
Figure 2007254546
式(XII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−、−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
Figure 2007254546
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す(E−1)〜(E−20)が挙げられる。
尚、下記具体例の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
Figure 2007254546
Figure 2007254546
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜20重量%であることが好ましい。
(e)共増感剤
本発明において、インク組成物が共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜20重量%であることが好ましい。
(f)その他の成分
本発明において、インク組成物には、必要に応じて他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、界面活性剤、塩基性化合物等が挙げられる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
〔酸化防止剤〕
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
〔褪色防止剤〕
本発明において、インク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
〔導電性塩類〕
本発明において、インク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
〔溶剤〕
本発明において、インク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
本発明において、インク組成物に用いることができる溶剤としては、ゴム粒子中のゴムの溶解度パラメータの値(SP値)と用いる溶剤の溶解度パラメータの値との差が、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
〔高分子化合物〕
本発明において、インク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
〔界面活性剤〕
本発明において、インク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。尚、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
〔塩基性化合物〕
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
(3)光硬化性インク(インク組成物)の性質
本発明において光硬化性インク(インク組成物)は、上述のように、(a)重合性化合物、及び、(b)重合開始剤を必須成分として含有し、任意に着色剤等を含有するものである。これらの成分は、インク組成物全体の重量に対して、(a)重合性化合物が、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、(b)重合開始剤が、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに着色剤を含む場合は、着色剤が好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%の量であって各成分の合計の重量%が100重量%となるように含有することが適当である。
また、本発明において、光硬化性インク(インク組成物)をインクジェット記録用として用いるため、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜30℃)において、本発明において、インク組成物の粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜20mPa・sである。例えば、本発明においてインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。本発明において、インク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中への浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。さらに吐出液滴着弾時の滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明においてインク組成物の表面張力は、例えば好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
(4)インクジェット記録方法及び装置
本発明の光硬化性インク(インク組成物)は、インクジェット記録用として使用される。
本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法について、以下説明する。
(4−1)インクジェット記録方法
本発明において、インクジェット記録方法として、光硬化性インクを被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、もってインクを硬化して画像を形成する方法が例示できる。即ち、
(a)被記録媒体上に光硬化性インク(インク組成物)を吐出する工程、及び
(b)吐出された光硬化性インク(インク組成物)に活性放射線を照射して光硬化性インク(インク組成物)を硬化する工程、
を含むインクジェット記録方法が例示できる。
活性放射線のピーク波長は200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがより好ましい。また、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cm2であり、さらに好ましくは、20〜1,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜800mJ/cm2である。
(4−1−1)光硬化性インクを被記録媒体上に吐出する工程
本発明において、光硬化性インクをインクジェットヘッドから被記録媒体上に吐出する場合、光硬化性インク(インク組成物)を好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を好ましくは7〜30mPa・s、より好ましくは7〜20mPa・sに下げた後に吐出することが好ましい。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mP・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることができるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。本発明に使用されるインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インク組成物又はインクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
(4−1−2)吐出された光硬化性インク(インク組成物)に活性放射線を照射して光硬化性インク(インク組成物)を硬化する工程
被記録媒体の表面上に吐出された上記光硬化性インク(インク組成物)は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明に使用される上記インク組成物に含まれる重合開始系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始系中の重合開始剤と接触することによって重合開始剤が分解し、もって重合性化合物がラジカル重合して硬化するためである。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。また、本発明では、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、例えば、2,000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2,000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1,000mJ/cm2、さらに好ましくは、50〜800mJ/cm2の照射エネルギーであることが適当である。また、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
本発明において、上記インク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。尚、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明において上記インク組成物は、活性放射線の照射により硬化し、疎水性画像を前記親水性支持体表面上に形成する。
(4−2)インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
本発明に用いられるインクジェットプリンタ(以下、「インクジェット記録装置」ともいう。)としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む。
インク供給系は、例えば、上記光硬化性インク(インク組成物)を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4,000×4,000dpi、好ましくは、400×400〜1,600×1,600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。尚、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェットには、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらにLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
また、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
次に、インクジェットプリンタのクリーニング方法について説明する。本発明のインク洗浄液を用いてインクジェットプリンタ又は一部の部品をクリーニングする。クリーニング方法としては、本発明のインク洗浄液で濡らした生地やクリーニングブレードでインクジェットプリンタ又はその部品を拭く方法、本発明のインク洗浄液にインクジェットプリンタ又はその部品を浸漬する方法、本発明のインク洗浄液をインクジェットプリンタ又はその部品に塗布した後に吸収材をインクジェットプリンタ又はその部品に接触させ、洗浄液を吸収材で吸い取る方法、本発明のインク洗浄液をインクジェットプリンタ又はその部品に塗布した後に、インクジェットプリンタ又はその部品に対してエア吸引、エア給気などを行って洗浄液を除去する方法が挙げられる。
また、洗浄液でインクジェットプリンタのヘッドをクリーニングするクリーニング機構がインクジェットプリンタに設けられている場合、本発明のインク洗浄液をクリーニング機構に供給すれば、ヘッドがクリーニング機構によってクリーニングされる。また、ヘッドの吐出口をキャップで蓋するに際して、本発明のインク洗浄液が塗布されたキャップを使っても良い。
さらに、本発明のインク洗浄液をインクジェットプリンタのヘッド内に充填し、ノズルから排出させることによって、ヘッド内及びノズルから排出させることによって、ヘッド内及びノズル近傍を清浄にすることができる。この場合、1kPa〜100kPa程度の圧力をかけることが好ましく、具体的には、ヘッドに接続しているインク供給路から洗浄液を洗浄液をヘッド内に送液する。その際、圧力を調整して洗浄液をノズルから排出させたり、あるいは充填した洗浄液をノズル面からノズル面を傷つけないように、ゴム状チューブなどで強制的に吸引することなども含まれる。場合によっては、プリンタヘッドを駆動し、インク吐出と同様の動作を行ってインク洗浄液を排出することもできる。
一方、インク洗浄液を循環させてプリンタ内(ノズル、ヘッド、チューブ、ポンプ等)を清浄する方法も例示できる。
また、ヘッド内に洗浄液を充填し、超音波による外的振動を加えてヘッド内の固形分の溶解性を促進させた後、洗浄液を排出又は回収しても良い。
本発明において、インクジェット記録装置の使用方法として、数時間に渡りインクジェット記録装置を使用しない場合、本発明のインク洗浄液をインクジェットプリンタのヘッド内に充填するインクジェット記録装置の使用方法が好ましい。このように本発明のインク洗浄液をヘッド内に充填しておくことにより、光硬化性インクの硬化を防ぐことができ、ヘッド詰まりを抑制することができるので好ましい。
また、一定時間以上(好ましくは12〜168時間、さらに好ましくは24〜36時間)吐出が行われない場合に、インク洗浄液により自動的にヘッドのクリーニングを行うことが好ましく、クリーニング後のヘッドをインク洗浄液により充填しておくことがより好ましい。使用時には、充填してあるインク洗浄液を排出又は回収することで光硬化性インクを吐出可能である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、以下に記載の「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を表すものとする。
本発明で使用したCromophtal Yellow LA、Cinquasia Mazenta RT−355D、Irgalite Blue GLVO、Microlith Black C−K、Irgacure 184はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(CSC)製の市販品である。
尚、以下の実施例は各色のUVインクジェット用インクに係るものである。
[実施例1]
《ラジカル重合性インクの調製》
<イエローインク1>
・N−ビニル−ε−カプロラクタム(Aldrich社製) 25.0部
・Actilane 421 29.4部
(Akcros社製多官能アクリレートモノマー)
・Photomer 4017(EChem社製UV希釈剤) 10.0部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cromophtal Yellow LA(CSC社製顔料) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤) 8.5部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光重合開始剤) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・9,10−ジブトキシアントラセン 3.0部
<マゼンタインク1>
・N−ビニル−ε−カプロラクタム(Aldrich社製) 25.0部
・Actilane 421 21.4部
(Akcros社製多官能アクリレートモノマー)
・Photomer 4017(EChem社製UV希釈剤) 10.0部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cinquasia Mazenta RT−355D(CSC社製顔料) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製ビニルエーテル) 8.0部
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤) 8.5部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光重合開始剤) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・9,10−ジブトキシアントラセン 3.0部
<シアンインク1>
・N−ビニル−ε−カプロラクタム(Aldrich社製) 25.0部
・Actilane 421 21.4部
(Akcros社製多官能アクリレートモノマー)
・Photomer 4017(EChem社製UV希釈剤) 10.0部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO(CSC社製顔料) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製ビニルエーテル) 8.0部
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤) 8.5部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光重合開始剤) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・9,10−ジブトキシアントラセン 3.0部
<ブラックインク1>
・N−ビニル−ε−カプロラクタム(Aldrich社製) 25.0部
・Actilane 421 25.4部
(Akcros社製多官能アクリレートモノマー)
・Photomer 4017(EChem社製UV希釈剤) 10.0部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Microlith Black C−K(CSC社製顔料) 2.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 5.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤) 8.5部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光重合開始剤) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・9,10−ジブトキシアントラセン 3.0部
<ホワイトインク1>
・N−ビニル−ε−カプロラクタム(Aldrich社製) 25.0部
・Actilane 421 18.0部
(Akcros社製多官能アクリレートモノマー)
・Photomer 4017(EChem社製UV希釈剤) 5.0部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・KRONOS 2300(KRONOS社製酸化チタン) 15.0部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 5.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤) 8.5部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0部
・Irgacure 184(CSC社製光重合開始剤) 4.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・9,10−ジブトキシアントラセン 3.0部
以上の様にして調製した粗製の各色インク1を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過し、各色のインク1とした。
《カチオン重合性インクの調製》
<イエローインク2>
・C.I.ピグメントイエロー13 5部
・DISPERBYK 168(BYK Chemie社製顔料分散剤) 4部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル社製) 6部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 3部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 30部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製) 37部
<マゼンタインク2>
・C.I.ピグメントレッド57:1 5部
・DISPERBYK 168(BYK Chemie社製顔料分散剤) 4部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル社製) 6部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 3部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 30部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製) 37部
<シアンインク2>
・C.I.ピグメントブルー15:3 4部
・DISPERBYK 168(BYK Chemie社製顔料分散剤) 3部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル社製) 6部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 3部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 30部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製) 39部
<ブラックインク2>
・C.I.ピグメントブラック7 4部
・DISPERBYK 168(BYK Chemie社製顔料分散剤) 3部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル社製) 6部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 3部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製)
30部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製) 39部
<ホワイトインク2>
・KRONOS 2300(KRONOS社製酸化チタン) 15.0部
・DISPERBYK 168(BYK Chemie社製顔料分散剤) 3部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル社製) 6部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 3部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 28部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製) 30部
以上の様にして調製した粗製のイエローインク2、マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2、及びホワイトインク2を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過し、各色のインクとした。
《インクジェット画像記録》
描画に際しては、ヘッドとしてせん断モードピエゾヘッド(コニカミノルタ社製KM512SH:最小液滴量4pL、ノズル数512個、ノズル密度360ノズル/25.4mm)をノズルが千鳥状に配列されるように3個のヘッドを記録媒体移動方向に並べたノズル密度1080dpiヘッドユニットを、記録媒体の幅方向に渡って印字可能なように、15セット配設したワンパスヘッドユニット(記録幅542mm)を搭載した描画装置を利用した。
減圧機能を有する10Lの容量を有するインクタンクにインクを導入し、−38kPaに減圧してインク中の溶存気体を脱気したインクを、静圧式圧力制御タンク(容量50mL)を介して内径2mmのポリテトラフルオロエチレン性柔軟チューブにより上記ヘッドユニットに導入した。静圧式圧力タンクの高さをヘッドに対して制御する事によりヘッドの内圧は−5.0kPaに調整され、ヘッドのノズル部でのメニスカス形状を制御した。またヘッドの内蔵ヒータにヘッド内でのインク温度が55℃になるようにした。ヘッドの駆動電圧は26Vとし、駆動周波数23kHzのバイナリモードで吐出を行った。
描画ピッチは記録媒体幅方向1080dpi×記録媒体搬送方向2000dpi(ヘッドスキャン速度292mm/s)とし、すなわち記録媒体の連続搬送を行いつつワンパス印字を行った。またヘッドの記録媒体搬送方向下流にはUV光源(Integration Technology社製Vzero270 2台を記録媒体幅方向に配置)を配置し、記録媒体上に描画されたインクにUV光照射されるようになっている。また上記ヘッドのクリーニング手段として、ヘッドのノズル吸引及び予備吐出を行う手段を有し、適宜、クリーニングを実施した。
上記のインクジェット吐出装置を用い、以下の2種(A、B)の評価を実施した。
<評価A(連続吐出信頼性)>
インクジェット装置稼働前にインク洗浄液による、液循環を15分間繰り返し、装置内のインク接触部に残存しているインクを除去した。その後、8時間の連続使用を実施し、描画不良(不吐出、ねじれ等)を起こすノズル数をカウントした。
◎ ・・・ 吐出不良なし
○ ・・・ 吐出不良3ノズル以下
△ ・・・ 吐出不良3ノズルを超え、10ノズル未満
× ・・・ 吐出不良10ノズル以上
尚、すべて1ヘッドあたりでカウントした。
<評価B(ノズル詰まり復帰)>
1週間クリーニングしないで連続使用したヘッドにインク洗浄液による、液循環と吐出を15分間繰り返し実施し、再度インクを供給し、描画をおこない、不吐出ノズル数を確認した。
◎ ・・・ 吐出不良なし
○ ・・・ 吐出不良3ノズル以下
△ ・・・ 吐出不良3ノズルを超え、10ノズル未満
× ・・・ 吐出不良10ノズル以上
尚、すべて1ヘッドあたりでカウントした。
上記描画装置を使用し、5色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト)のインクを用い、描画を実施する上で、インク洗浄液(1)を用いた、評価A及びBを実施した。その結果を表1に示す。尚、ラジアル重合性インク及びカチオン重合性インクの双方を用いて描画を実施した。
インク洗浄液(1):
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製) 100wt%
[実施例2〜12]
インク洗浄液(1)を、表1に示すインク洗浄液(2)〜(12)に置き換えた以外は、すべて同様にし、評価を実施した。
その結果を表1に示す。
[比較例1]
インク洗浄液(1)を用いない以外は、すべて同様にし、評価を実施した。
その結果を表1に示す。
[比較例2]
本発明液体(1)を、アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製)に置き換えた以外は、すべて同様にし、評価を実施した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2007254546

Claims (4)

  1. 光硬化性インクのインク洗浄液であって、
    少なくとも一種のエーテル化合物を含有することを特徴とする
    インク洗浄液。
  2. 前記エーテル化合物がグリコールエーテル化合物である請求項1に記載のインク洗浄液。
  3. 前記光硬化性インクがラジカル重合性インクである請求項1又は2に記載のインク洗浄液。
  4. 請求項1〜3いずれか1つに記載のインク洗浄液を用いてインクジェットプリンタをクリーニングすることを特徴とする
    インクジェットプリンタのクリーニング方法。
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