JP2009209348A - ポリプロピレン系包装用フィルム - Google Patents

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玄 金井
Yasuhiro Yaso
康浩 八十
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Abstract

【課題】高透明、高光沢をもち低ブリード性である臭気の改善されたポリプロピレン系包装用フィルムを提供。
【解決手段】プロピレン系重合体100重量部に対して下記化学構造式で示される化合物を1つ以上含んだ改質剤を0.005〜0.1重量部配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて得られるASTM D2457−1970によって測定した光沢が150%以上、およびJIS K7136によって測定したHAZEが2%以下であることを特徴とするポリプロピレン系包装用フィルム。

(式中、R、R及びRは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高透明、高光沢をもち低ブリード性である臭気の改善されたポリプロピレン系包装用フィルムに関する。
近年のポリプロピレン系包装用フィルムに関する要求性能は、ますます高くなっており優れた透明性、光沢性の光学物性を持つフィルムが強く求められている。内容物が鮮明に見えないと商品価値が劣り好まれない事より高透明が望まれ、高光沢を持たすことで商品に高級感のイメージを与える事より高い光学物性が求められている。
ポリプロピレン系包装用フィルムの製造方法には、キャスト法、インフレーション法、延伸法等があり、包装形態や要求性能の状況に応じて適宜選択的に用いられている。しかし、透明用途に使用する場合には、プロピレン系重合体のみでは、十分な光学性能を発揮させることが困難であった。従って、プロピレン系重合体のみの性能で製品の最適化を目指すのには限界があり、造核剤や中和剤などを種々組み合わせた添加剤配合によって性能の補完が行われてきた。
例えば、プロピレン系重合体の改質を行う造核剤として、透明性や成形加工性を向上させるソルビトール系透明造核剤(特許文献1)や有機リン酸系合成造核剤(特許文献2)等が広く一般的に使用されている。
特開平5−140466号公報 特開昭53−117044号公報
しかしながら、既存の技術ではまだ十分な高い光学物性を得るまでには至っておらず、高い光学物性得るために臭気が発生する問題点、時間とともにフィルム表面に添加剤がブリードし透明性を著しく損ない商品価値が低下する問題点があった。ソルビトール系造核剤を用いた成形品は、透明性に優れるもののソルビトール系造核剤特有の臭気による臭気汚染が問題であり、有機リン酸系合成造核剤を添加したものは、ソルビトール系造核剤ほどの臭気は無いものの、透明性を十分に発現することが困難であるという欠点を有している。特に食品包装用途からは、臭気の問題、添加剤のブリード性の問題は大きくより低臭気、低ブリード性のポリプロピレンフィルムが強く求められている。フィルム成形時においても臭気の発生による環境の悪化や添加剤がロールを汚染し良好な品質を得るための清掃作業が不可欠となり、連続製膜困難による生産性の低下問題があった。そこで、新たな手法により低臭気、低ブリード性であり優れた光学物性をもつバランスの取れた包装用フィルムに改良することが強く望まれていた。
本発明の目的は、透明性、光沢性に優れ、臭気、ブリードが改善されたポリプロピレン系包装用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、プロピレン系重合体に対し、特定の改質剤を用いることにより透明性、光沢性、低臭気性、低ブリード性に優れたポリプロピレン系包装用フィルムになり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の改質剤は、ポリプロピレン系重合体という特定の重合体に対する透明性を上げる造核剤としての作用を発揮するだけでなく、臭気の発生性を抑制する加工助剤としての作用や製膜時のロール汚染がないというような成形上の特性を改良する作用効果を呈する。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して下記化学構造式(1)、(2)又は(3)で示される化合物を1つ以上含んだ改質剤(A)を0.005〜0.1重量部配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物を用いて得られるASTM D2457−1970によって測定した光沢が150%以上、およびJIS K7136によって測定したHAZEが2%以下であることを特徴とするポリプロピレン系包装用フィルム。



(式中、R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
この未置換の又は置換された炭化水素基とは、具体的に下記に示す各種化合物が例示される。本発明の改質剤は、基本的には上記一般式で表される構造式(1)〜(3)の化合物の形態を有すれば適性に達成できる性能を有するが、未置換の又は置換された炭化水素基を表す各種化合物は、本発明の一般式(1)〜(3)の構造式で表される化合物を合成する際にいかなる反応成分を選定するかによるものであり、一般式(1)〜(3)の化合物の反応収率に若干影響するが、改質剤としては同等に作用するものであり、以下のものが具体的に例示できる。
(式中、R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZは、互いに独立して、未置換の又は1つ以上のヒドロキシ基によって置換された炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上のヒドロキシ基によって置換された炭素原子数2ないし20のアルケニル基;
酸素原子又は硫黄原子によって中断された炭素原子数2ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された(炭素原子数3ないし12のシクロアルキル)−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたビス[炭素原子数3ないし12のシクロアルキル]−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された5ないし20個の炭素原子を有する二環式又は三環式炭化水素基;
未置換の又は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数1ないし20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし20のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基及びニトロ基から選択された1つ以上の基によって置換されたフェニル基;
未置換の又は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基及びヒドロキシ基から選択された1つ以上の基によって置換されたフェニル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたフェニルエテニル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたビフェニル−(炭素原子数1ないし10のアルキル)基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたナフチル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたナフチル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたナフトキシメチル基;
ビフェニレニル基、フルオレニル基、アントリル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された5−ないし6−員の複素環式基;
1つ以上のハロゲン原子を含む炭素原子数1ないし20の炭化水素基;
又は、トリ(炭素原子数1ないし10のアルキル)シリル(炭素原子数1ないし10のアルキル)基を表わすが、但し、基R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZの少なくとも1つは、未置換の又は1つ以上のヒドロキシ基によって置換された枝分かれした炭素原子数3ないし20のアルキル基;
酸素原子又は硫黄原子によって中断された炭素原子数2ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された(炭素原子数3ないし12のシクロアルキル)−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された5ないし20個の炭素原子を有する二環式又は三環式炭化水素基;
未置換の又は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数1ないし20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし20のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基及びニトロ基から選択された1つ以上の基によって置換されたフェニル基;
未置換の又は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基及びヒドロキシ基から選択された1つ以上の基によって置換されたフェニル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたビフェニル−(炭素原子数1ないし10のアルキル)基;
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたナフチル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
又は、トリ(炭素原子数1ないし10のアルキル)シリル(炭素原子数1ないし10のアルキル)基を表わす。
本発明のプロピレン系包装用フィルムは、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して後述の化学構造式(1)、(2)又は(3)で示される化合物を1つ以上含んだ改質剤(A)を0.005〜0.1重量部配合したプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、透明性、光沢性に優れ従来のポリプロピレン組成物では現実しえなかった低臭気、低ブリード性を有することができる。HAZEが2%以下、光沢が150%以上であることを特徴とするポリプロピレン系包装用フィルム。
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、改質剤(A)を0.005〜0.1重量部配合することを特徴とする。
以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、樹脂組成物の製造方法、成形品について、詳細に説明する。
[I]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
1.プロピレン系重合体(a)
前記樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体(a)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。
プロピレン系共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良いが、透明性の観点からランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。より好ましくはエチレンが好適である。
具体的な共重合体の例を挙げると、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体等を例示できる。このうちプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が特に好ましい。プロピレンと共単量体であるα−オレフインの量の構成割合は、モル比で70〜99/30〜1であることが好ましい。通常は、α−オレフィン量は、0.05〜10.0重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%程度が好ましい。勿論重合段階で、EPRのようなゴム成分をソフトセグメントとして、ポリプロピレン主体の結晶相からなるハードセグメントへ導入した、いわゆるポリプロピレン系重合体アロイも使用できる。
プロピレン系重合体(a)、共重合体(a)のガラス転移温度は、−100〜20℃のものが挙げられる。
また、このようなプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(a)の230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)には特に制限はないが、MFRは1〜50g/10分が望ましい。メルトフローレートが1g/10分を著しく下回ると、押出成形時に押出負荷が増大し、さらには表面の平滑性が損なわれ、成形品の外観が悪化する恐れがあり、逆に、50g/10分を著しく上回ると、本発明で用いられる改質剤(A)のプロピレン系重合体(a)への均一分散性が悪化して透明性が発現しにくくる恐れがあり、さらにはフィルム成形時の成形安定性が損なわれやすくなる。
2.プロピレン系重合体(a)を得るために用いられる触媒
本発明で用いられるプロピレン系重合体(a)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。公知の触媒の中でもメタロセン触媒を使用することがより好ましい。
メタロセン触媒を用いて得られたプロピレン系重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られたプロピレン系重合体に比べ、分子量分布の指標の一つである、ゲルパーミエーション(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが小さくなる傾向があることが既に広く知られている。例えばGPCで測定をした重量平均分子量(Mw)が5000〜400000の程度、数平均分子量3000〜300000程度の仕様の例で見れば、チーグラー触媒のポリプロピレン系重合体は、Mw/Mnは,約3〜12、メタロセン触媒のポリプロピレンは、約2、約2.4のような、約2〜6程度のものが多い。
分子量分布が狭いということは、溶媒抽出量が少ないということ、いわゆるアタックチックプロピレン、或いは低分子量副生物が少ないということであるから、製品のブロッキング性が低いばかりでなく、ポリプロピレン系重合体系包装用フィルムの透明性改良のための改質剤の作用に比較的有利に作用することが予測できる。
Mw/Mnが、4,6,8,10と大きくなるということは、分子量の大きな成分と小さな成分がそれぞれより多く存在することを意味しており、結晶化に至る分子の運動性が異なる成分がより多く存在すると言える。結晶化挙動が分子の運動性の影響を大きく受ける事を考慮すると、分子量分布の広いプロピレン系重合体からは、分子量分布の狭いプロピレン系重合体に比べ、より広い結晶性分布が生じるものと予測される。結果として結晶質部と非晶質部の屈折率に違いにより、半透明に成り易いことが予測されるので、本発明に用いられる改質剤の機能を最大限に発揮する為に、ポリプロピレン系重合体側から技術的な配慮は、Mw/Mnを小さくすることがやや有利であることが予測される。ポリプロピレン系重合体の製造段階の重合方法までを考慮すれば、メタロセン触媒重合によるものが包装フィルムにおいて、耐ブロッキング性、透明性、光沢の面で若干有利であることが予測される。
このような、意味で、本発明で用いられるプロピレン系重合体(a)としては、Mw/Mnは2〜10、好ましくは、2〜8、より好ましくは2〜4程度のものが好ましい。このような範囲のものは、透明性においても優れており、特に改質剤(A)の機能を高めるにおいても有利に作用する。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
3.プロピレン系重合体の製造方法
プロピレン系重合体の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
4.改質剤(A)
本発明に用いられる改質剤(A)は、下記化学構造式(1)、(2)又は(3)で示される1つ以上の化合物を含んでいる。



(式中、R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
この未置換の又は置換された炭化水素基とは、具体的に下記に示す各種化合物が例示される。本発明の改質剤は、基本的には上記一般式で表される構造式(1)〜(3)の化合物の形態を有すれば適性に達成できる性能を有するが、未置換の又は置換された炭化水素基を表す各種化合物は、本発明の一般式(1)〜(3)の構造式で表される化合物を合成する際にいかなる反応成分を選定するかによるものであり、一般式(1)〜(3)の化合物の反応収率に若干影響するが、改質剤としては同等に作用するものであり、以下のものが具体的に例示できる。
基R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZの少なくとも1つが、枝分かれした炭素原子数3ないし20のアルキル基、又は、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基で表わされる前記式(1)、(2)又は(3)の化合物が好ましい。
また、基R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZが、互いに独立して、未置換または1つ以上の1−メチルエチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、第三ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、第三ブチルメチル基、シクロプロピル基、3−メチルシクロプロピル基、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、2−シクロペンチルエチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、4−第三ブチルシクロヘキシル基、(4−メチルシクロヘキシル)メチル基、

α−シクロヘキシルベンジル基、3−メチルベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、4−ビフェニルメチル基、2−ナフチルメチル基、m−トリル基、m−メトキシフェニル基、p−トリル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−第三ブチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基又は3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル基で表わされる前記式(1)、(2)又は(3)の化合物がより好ましい。
さらに、基R、R及びR、又はY、Y及びY、又はZ、Z及びZが、同一である前記式(1)、(2)又は(3)で示される化合物が好ましい。
なかでも、R、R及びRが第三ブチル基で表わされる前記式(1)の化合物が特に好ましい。
具体的には、前記式(1)で示される化合物として、1,3,5−トリス[シクロヘキシルカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−メチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,4−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,5−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロペンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[1−アダマンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−メチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−エチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−シクロヘキシル−アセチルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3−シクロヘキシル−プロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−シクロヘキシル−ブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[5−シクロヘキシル−バレロイルアミノ]ベンゼン、1−イソブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、2,2−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、3,3−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチルブチリル)−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノ−ベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリル−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリルアミノ)アミノベンゼン又は、1,3,5−トリス[3−(トリメチルシリル)プロピオニルアミノ]ベンゼンを挙げることができ、
前記式(2)で示される化合物として、N−t−ブチル−3,5−ビス−(3−メチルブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−t−ブチル−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−t−オクチル−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−(1,1−ジメチル−プロピル)−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−(t−オクチル)−3,5−ビス−(イソブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−(t−ブチル)−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−(2,3−ジメチル−シクロヘキシル)−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−t−ブチル−3,5−ビス−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−(3−メチルブチル)−3,5−ビス−(3−メチルブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−(3−メチルブチル)−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−(3−メチルブチル)−3,5−ビス−(4−メチルペンタノイルアミノ)−ベンズアミド、N−(3−メチルブチル)−3,5−ビス−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−(3−メチルブチル)−3,5−ビス−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロペンチル−3,5−ビス−(3−メチルブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロペンチル−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロペンチル−3,5−ビス−(4−メチルペンタノイルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロペンチル−3,5−ビス−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロペンチル−3,5−ビス−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロヘキシル−3,5−ビス−(3−メチルブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロヘキシル−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロヘキシル−3,5−ビス−(4−メチルペンタノイルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロヘキシル−3,5−ビス−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−シクロヘキシル−3,5−ビス−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)−ベンズアミド、N−イソプロピル−3,5−ビス−(ピバロイルアミノ)−ベンズアミド、N−イソプロピル−3,5−ビス−(イソブチリルアミノ)−ベンズアミド、N−t−ブチル−3,5−ビス−(2,2−ジメチルブチリルアミノ)−ベンズアミド又は、N−t−オクチル−3,5−ビス−(2,2−ジメチルブチリルアミノ)−ベンズアミドを挙げることができ、
前記式(3)で示される化合物として、5−ピバロイルアミノ−イソフタル酸N,N’−ジ−t−ブチルジアミド、5−ピバロイルアミノ−イソフタル酸N,N’−ジ−t−オクチルジアミド、5−(2,2−ジメチルブチリルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−t−ブチルジアミド、5−(2,2−ジメチルブチリルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−t−オクチルジアミド、5−(3−メチルブチリルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−シクロヘキシルジアミド、5−(ピバロイルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−シクロヘキシルジアミド、5−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−シクロヘキシルジアミド、5−(シクロヘキシルカルボニルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ジ−シクロヘキシルジアミド、5−(シクロペンタンカルボニルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ビス−(2−メチルシクロヘキシル)ジアミド、5−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)−イソフタル酸N,N’−ビス−(2−メチルシクロヘキシル)ジアミド、5−((1−メチルシクロヘキサンカルボニル)アミノ)−イソフタル酸N,N’−ビス−(2−メチルシクロヘキシル)ジアミド又は、5−((2−メチルシクロヘキサンカルボニル)アミノ)−イソフタル酸N,N’−ビス−(2−メチルシクロヘキシル)ジアミドを挙げることができる。
このような化合物は、例えば、特表2006−518402号公報記載方法によって製造することができる。
また改質剤(A)の配合量が本発明の範囲内であれば、透明性、光沢性、低臭気、低ブリード性以外にも、剛性の向上、耐熱性の向上などの効果が期待でき、包装用フィルムの薄肉化の達成なども期待できる。
改質剤(A)の配合量が、0.005重量部未満であると透明性を十分に発揮させることが困難であり、また、0.1重量部を超えると、透明性が低下していく傾向となり、透明性を十分に発揮できなくなる。
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物には、改質剤(A)以外に、他の造核剤として、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤および芳香族燐酸エステル類、タルクなど既知の造核剤を添加することができ、造核剤の組み合わせ次第で相乗効果を期待できる場合がある。
5.中和剤
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物においては、中和剤を配合することが望ましい。中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(9)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(10)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。特に、プレフィルドシリンジ、キット製剤、輸液バッグなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出しないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(9)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(10)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
中和剤の配合量は、重合体混合物100重量部に対し、0.005〜0.2重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.05重量部の範囲がより好ましい。
6.滑剤
滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
7.その他の添加剤
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物においては、上述した成分に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、放射線処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な下記一般式(5)や下記一般式(6)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワオン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(7)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
さらに、その他に、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。直線状低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマーを配合する場合は、透明性の観点からメタロセン触媒により重合されたものが好ましい。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(a)と改質剤(A)および必要に応じて他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で180〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]成形法
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、光沢が150%以上、HAZEが2%以下であることを特徴とし、光沢が150未満であると高級感が損なわれ商品価値が高めることができず、HAZEが2%を超えると透明性が悪化し内容物鮮明に確認できなくなり商品価値が劣り好まれない。好ましくは、光沢155%以上、HAZEが1.8%以下である。このようなフィルムをつくるには、公知のキャスト法、インフレーション法、延伸法等で成形することにより得られる。中でもキャスト法、水冷インフレーション法が好ましい。
キャスト法は、シート、フィルム(未延伸フィルム)等の押出成形体を製造する方法であり、押出機で溶融混練された樹脂組成物がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されて、一般に透明性、光沢性が良く、厚み精度のよいフィルムを製造することができるので、フィルムにとって好ましい製造方法である。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムにおいて、それが単層フィルムとして成形され利用される場合は、その厚みは5〜300μm、好ましくは10〜200μmであるのが普通である。厚みが5μmより薄くとも、300μmより厚くとも加工が困難となる。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、インフレーション法であってもよい。インフレーション法は、環状ダイ付きの押出し機により溶融させてチューブ状に押出し、水冷および空冷にて冷却し、フィルムを製造する方法である。フィルムの厚さは通常10〜150μmであることが望ましい。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、延伸フィルムの形態であってもよく、その場合延伸フィルムは、上記のようにして得られるシート又はフィルムを、公知の延伸装置で延伸することにより製造することができる。これら延伸装置としては、例えば、テンター法、同時二軸延伸法、一軸延伸法等を挙げることができる。延伸フィルムの延伸倍率は、二軸延伸フィルムの場合には縦方向に3〜8倍、横方向に3〜15倍であることが望ましく、一軸延伸フィルムの場合には2〜10倍であることが望ましい。また、延伸フィルムの厚さは通常5〜200μmであることが望ましい。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、白味がなく、すっきりした透明感があり、優れた光沢性を持つため高級感があり、さらには臭気、ブリード性の改善された包装材料として極めて商品価値の高いものである。用途としては、特に限定されないが、食品、医療、文具、雑貨、などの包装用途に好適に用いられる。また、成形時に発生する臭気が抑制され環境の改善、ロール汚染の改善により連続製膜が可能になり生産効率の改善に寄与するものである。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムが有している透明性、高光沢性、低臭気性のような特性の視点から包装用フィルムという特定の用途におけるその有意性を更に詳細に説明をする。包装用フィルムは、その特性を生かして、特に包装形態の多様化に適合できる特性を要求される。例えば、一般包装用途に加え、最近包装用フィルムの多く使用されている(1)ラップまたはストレッチ包装;成形した包装用フィルムにより内容物を密着包装する通常の利用形態であり、これをラップまたはストレッチ包装と表現する。(2)シュリンク包装;包装用フィルムの熱収縮性の性質を利用して包装する利用形態であり、これをシュリング包装と表現する。(3)真空包装、(4)レトルト包装;レトルト処理対応の包装、(5)積層フィルム;他の本発明のポリプロピレン系包装用フィルム用のポリプロピレン系樹脂や本発明のポリプロピレン系包装用フィルム用以外のポリプロピレンやポリエチレンなどと積層した複合フィルム形態。などの包装フィルムなどが挙げられ、本発明のポリプロピレン系包装用フィルムはこのような使用形態を包含し、本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、そのような包装形態の多様化に適用できる特性と性能を備えている。
包装フィルムに求められる一般的な機能は、次のようなことが挙げられる。
(i)内容物などの輸送、貯蔵、店頭陳列などにおける内容物の保護は勿論のこと、内容物の様子、鮮度、および美的外観の表現を適切に表す品質機能。本発明のポリプロピレン系包装用フィルムの有するHAZEが2%以下、光沢が150%以上という性能は、前記要求を満たす上で好適である。
(ii)商品価値を高める。通常ポリプロピレン系包装用フィルムは、HAZEが3〜10%程度であり、本発明の2%以下というような性能を有することは非常に優れているものと評価することができる。同様に、光沢も通常は100以上、場合によっては120以上という程度のものも有り得るだろうが、光沢が150%以上という包装用フィルムの特性は、生鮮食品や、流行の繊維、衣類などを内視が求められる商品を包装した場合に、内容物の商品価値を高める役割を果たす上で極めて有用である。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、その(i)〜(ii)の要件を満たす性質、特性および機能を十分に備えているということができる。
その他の使用形態に関しても、例えば前記(1)〜(5)のような用途において、本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、その高い透明性および光沢性およびその低臭気性から、内容物の商品価値を高める上で極めて有用である。
このように、本発明のプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系包装用フィルムは、あらゆる包装形態おいて商品価値を高める役割を果たすばかりでなく、成形においては作業環境の維持、成形性の向上など、多面的な有意性を備えたものである。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた物性値の測定法、評価法、樹脂および添加剤は、以下の通りである。
1.物性値の測定法、評価法
(1)(i)エチレン濃度:13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(ii)ブテン濃度:13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として767cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(2)MFR:JIS K7120−1999、230℃ 2.16kg荷重に準拠して測定した。
(3)ヘイズ値:成形フィルムを用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
(4)ブリード性:成形フィルムを40℃ギヤオーブン内で14日間保管した後に測定したヘイズ値と測定した成形フィルムをエタノールで表面を洗浄した後に測定したヘイズ値との差で評価を行った。(数値が大きい程、ブリード量が多い)
(5)光沢:成形フィルムを用いて、ASTM D2457−1970に準拠して測定した。
(6)成形フィルム臭気評価
臭気評価:JIS Z9080に準拠して等級付け官能評価を行った。6Lポリエチレンテレフタレート製におい袋に成形フィルム100gと活性炭を通して得た無臭エアーを入れ、室温23℃、湿度50%下にて7日間保管したにおい袋内エアーの官能評価をパネラー5人により6段階評価を行った。(5:非常に強くにおう、4:強くにおう、3:におう、2:弱くにおう、1:非常に弱くにおう、0:においを感じない)
(7)成形時臭気評価
新コスモス電機(株)製ポータブル型ニオイセンサ コスモスXP−329を用いてフィルム成形時、樹脂が押出されてきたダイス付近の臭気を測定した。
(8)ロール汚れ評価
Tダイ成形機(キャスト法)にて60分成形後の冷却ロール及びダイスへの付着物を目視にて評価を行った。冷却ロール及びダイスに汚れがなければ、良好。冷却ロール及びダイスに白い汚れが検出されれば、不良。
2.樹脂、添加剤
(1)プロピレン系重合体(a)
(i)エチレン・プロピレンランダム共重合体(PP−1):後述の製造例1により重合した。
(ii)エチレン・プロピレンブテン−1ランダム共重合体(PP−2):後述の製造例2により重合した。
(2)改質剤または透明化添加剤
(i)改質剤(A):下記化学構造式(8)で示される化合物。後述の製造方法により得た。
まず、1,3,5−トリヒロドロキシベンゼン (6.306g, 50mmol) を、60 mlのヒロドキシルアミン(50%水溶液) 中に、室温で攪拌しながら懸濁させた。懸濁液は約5分後に発熱を伴い、透明な黄色溶液となった。該溶液を時々攪拌しながら室温で3時間放置し、白色沈殿を形成させた。懸濁液から白色沈殿を濾別し、得られた固体を水洗して真空下で恒量になるまで乾燥させた後、1,3,5−ベンゼントリオキシム(収量:7.73g、収率:90.3%)を得た。1HNMR(DMSO−d6): δppm;10.80(s,1H)、10.73(s,1H),10.70(s,1H), 3.46 (s,2H),3.25(s,2H),3.04(s,2H)。
次に、得られた1,3,5−ベンゼントリオキシム (5.13 g, 30mmol) を誘導攪拌装置を備えた内容積1,000mlのオートクレーブに、細かく粉砕して仕込み、ついで、200mlの酢酸n−ブチルおよび6.1gのRaneyニッケルを仕込んだ。オートクレーブ内を水素雰囲気に置換した後、水素圧が0.35MPaとなるように水素を仕込んだ。内容物を攪拌しながらオートクレーブを昇温し、80℃で90分反応させた。最終的に水素圧は0.16 MPaとなった。オートクレーブを室温まで冷却した後、50mlの水を加えてRaneyニッケルを不活性化させ、内容物を全量別の容器に移した。酢酸エチルにて有機物成分を抽出し、揮発成分を除去して固体を得た。該固体から、ジクロロメタンにて目的化合物を抽出した。ジクロロメタンを除去した後、1,3,5−トリアミノベンゼン(収量:0.61g,収率:16.5%) を得た。1HNMR(CD2Cl2),δppm;5.43(s, 3H),3.45(br.s,6H)。
次に、得られた1,3,5−トリアミノベンゼン(0.61g,4.95mmol)を窒素雰囲気下、30mlの酢酸n−ブチルに溶解させ、無水ピバリン酸(2.76g,14.9mmol)をシリンジで加えた。室温で攪拌しながら、白色沈殿を形成させた。引き続き室温で終夜攪拌を行い、カニューラで上澄みを除去し、残渣をジエチルエーテル(10ml×3回)で洗浄した。得られた固体を真空下で乾燥し、目的とする1,3,5−トリピバロイルアミドベンゼンを粉末として得た (収量: 1.81g, 収率: 97.4%) 。1HNMR (DMSO−d6): δppm; 9.18 (s,3H,N−H),7.62(s,3H,aromatic),1.21(s,27H,t−Bu)
(ii)アデカスタブNA11((株)ADEKA社製):有機リン酸金属塩化合物系透明化核剤:本発明範囲外の透明化添加剤
(iii)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:本発明範囲外の透明化添加剤
(3)酸化防止剤
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(IR1010;チバ社製)。テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。
(ii)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(IF168;チバ社製)。トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト。
(4)中和剤
(i)ステアリン酸カルシウム(CAST;日本油脂(株)社製)
(5)滑剤
(i)脂肪酸アミド:エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド
ポリプロピレン系重合体の製造
[製造例1]プロピレン系ランダム共重合体(PP−1)の製造
イ.メタロセン化合物
特開2002−20430号公報の実施例1に記載に基づいて、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリドのラセミ体を合成した。
ロ.粘土鉱物の化学処理
硫酸(96%)218.1gと硫酸マグネシウム130.4gを脱塩水909mlと混合した水溶液に、市販のモンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)200.03gを分散させ、100℃で2時間攪拌した。このモンモリロナイトの水スラリー液を固形分濃度12%に調整し、スプレードライヤーにより噴霧造粒を行って、粒子を得た。その後、この粒子を200℃で2時間、減圧乾燥した。
ハ.固体触媒成分の調製
内容積1lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、脱水および脱酸素したヘプタン230mlを導入し、系内温度を40℃に維持した。ここに、トルエンにてスラリー化した上記化学処理粘土10gを添加した。さらに別容器にて、トルエン下で混合した上記メタロセン化合物0.15mmolとトリイソブチルアルミニウム1.5mmolを添加した。ここでプロピレンを10g/時間の速度で120分導入し、その後120分重合を継続した。さらに、窒素下で溶媒を除去・乾燥し、固体触媒成分を得た。この固体触媒成分は、固体成分1gあたり1.9gのポリプロピレンを含有していた。
ニ.プロピレン・エチレンの共重合
内容積200lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン1.22kg、水素6L(標準状態の体積として)を加え、内温を30℃に維持した。次いで、上記固体触媒成分2.4gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP−1)18kgを得た。
重合体のMFRは7g/10分、エチレン含量は2.1重量%であった。
[製造例2]プロピレン系ブテンランダム共重合体(PP−2)の製造
イ.特開昭56−143207号公報の実施例12に記載に基づいて、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体(PP−2)3.11kgを得た。重合体のMFRは8g/10分、エチレン濃度3.1重量%、ブテン濃度1.3重量%であった。
(実施例1〜4、比較例1〜6)
表1および表2に記載のプロピレン系重合体100重量部に対し、表1及び表2に記載の割合で改質剤および透明化添加剤を添加しさらに酸化防止剤としてIR1010を0.05重量部、IF168を0.05重量部と中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部と滑剤としてエルカ酸アミドを0.04重量部、ベヘニン酸アミド0.08重量部をスーパーミキサーでドライブレンドした後、50ミリ径の単軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットをTダイ成形機(キャスト法)により、樹脂温度230℃、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷してフィルム状に形成し、厚さ100μm、幅30cmのフィルムとして巻き取り、試験フィルムを作成した。得られたフィルムを用い、物性を測定した。それらの評価結果を表1、表2に示す。
実施例1と2は、メタロセン触媒を用いて得たプロピレン・エチレンランダム共重合体に対し、改質剤(A)を0.015、0.02重量部配合して得られた包装用フィルムである。それらの評価結果を表1に示す。本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、透明性、光沢性、ブリード性に優れており、臭気およびロール汚れが極めて改善されていることが解る。これに対し、比較例1は、改質剤(A)及び透明化添加剤を配合していない包装用フィルムである。その評価結果を表1に示す。改質剤(A)及び透明化添加剤を配合しないと透明性および光沢性の乏しいものとなってしまう。
また、比較例2と3は、本発明の改質剤(A)の代わりに代表的な透明化添加剤を0.2重量部配合して得た包装用フィルムである。それらの評価結果を表1に示す。比較例2は、透明性および光沢性にやや優れているが、ブリード量が多く臭気の発生も見られ、成形時のロール汚れも著しく悪化していることが解る。比較例3は、ロール汚れ、臭気という点では優れているが、透明性および光沢性に劣り比較例2ほどではないが、ブリードも検出されていることが解る。
実施例3と4は、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得たプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体に対し、改質剤(A)を0.015、0.02重量部配合して得られた包装用フィルムである。それらの評価結果を表2に示す。本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、透明性、光沢性、ブリード性に優れており、臭気およびロール汚れが極めて改善されていることが解る。これに対し、比較例4は、改質剤(A)及び透明化添加剤を配合していない包装用フィルムである。その評価結果を表2に示す。改質剤(A)及び透明化核剤(A)を配合しないと透明性および光沢性の乏しいものとなってしまう。
また、比較例5と6は、本発明の改質剤(A)の代わりに代表的な透明化添加剤を0.2重量部配合して得た包装用フィルムである。それらの評価結果を表2に示す。比較例5は、透明性および光沢性にやや優れているが、ブリード量が多く臭気の発生も見られ、成形時のロール汚れも著しく悪化していることが解る。比較例6は、ロール汚れ、臭気という点では優れているが、透明性および光沢性に劣り、比較例5ほどではないが、ブリードも検出されていることが解る。
本発明のポリプロピレン系包装用フィルムは、透明性、光沢性、ブリード性に優れており、臭気が改善されたものであり、透明性、低ブリード性および低臭気は安全な管理面から医療用に特に好まれる。また透明性、光沢性、低ブリード性、低臭気であるこのフィルムを包装用途に用いることにより高級感を与え、食品、文具、雑貨、など商品価値を高めることができる。また、成形時に発生する臭気が抑制され環境の改善、ロール汚染の改善により連続製膜が可能になり生産効率の改善に大きく寄与することができる。

Claims (2)

  1. プロピレン系重合体(a)100重量部に対して下記化学構造式(1)、(2)又は(3)で示される化合物を1つ以上含んだ改質剤(A)を0.005〜0.1重量部配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて得られるASTM D2457−1970によって測定した光沢が150%以上、およびJIS K7136によって測定したHAZEが2%以下であることを特徴とするポリプロピレン系包装用フィルム。


    (式中、R、R及びRは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
    (式中、Y、Y及びYは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
    (式中、Z、Z及びZは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基を表す。)
  2. 厚みが5〜300μmである事を特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系包装用フィルム。
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