請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内にミストを噴霧させる霧化部と、前記霧化部に備えられたミストが噴霧される霧化先端部とを有し、前記霧化部によってミストを発生させるとともに、前記ミストが貯蔵室に収納された青果物に付着することによって、低温障害を抑制するものである。
これによって、ミスト粒子を貯蔵室内へ噴霧し、野菜表面に付着することで野菜表面の乾燥を抑制、保湿するとともに低温障害を抑制することで保鮮性を向上させることができるので、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、ラジカルを含有したミストを発生させるとともに、前記ミストが貯蔵室に収納された青果物に付着することによって、低温障害を抑制するものである。
これによって、ラジカルを含んだミスト粒子を貯蔵室内へ噴霧することで野菜を保湿するとともにさらに酵素反応を抑制することで低温障害を抑制することができ、保鮮性をさらに向上させることができるので、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、前記断熱区画された貯蔵室は、略密閉化され、高湿を保持する機構を備えることにより青果物の乾燥を防ぎ、ミストが野菜に付着した後の乾燥も抑制することができるのでラジカルを含有したミストの乾燥を抑制し、これにより低温障害を抑制するものである。
これによって、ラジカルを含んだミスト粒子を貯蔵室内へ噴霧することで野菜を保湿するとともにさらに酵素反応を抑制することにより低温障害を抑制することで保鮮性を向上させることができるので、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、ラジカルを含有したミストが青果物の表皮に付着し、ラジカルが表皮から浸透して、酵素反応を阻害することにより低温障害を抑制するものである。
これによって、低温障害の直接的な原因である青果物の酸素反応を阻害することでより確実に青果物の低温障害を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、ラジカルを含有したミストが青果物の表皮に付着し、ラジカルが表皮から浸透することによって、カリウムイオンの漏出を抑制するものである。
これによって、低温障害によって発生するカリウムイオンの漏出を抑制することができ、青果物をより新鮮な状態で保存することができ、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、貯蔵室内に噴霧されたラジカルを含有したミストによってエチレンガスを分解するものである。
これによって、青果物の老化を促進するエチレンガスを分解することによって、より青果物を新鮮な状態で保存することが、また、老化による変色を抑制することもでき、さらに、噴霧されたラジカルが食品表面に付着する菌やウイルスを抑制するため、食品の細胞が壊死することを抑制することでエチレンガスの発生も抑制できる。よって、老化による黄化を抑制でき、より視覚的にかつ保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2aは、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の正面図である。図2bは、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の別形態の正面図である図3aは、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図であり、図3bは、本発明の実施の形態1における野菜室の側面図であり、図3cは、図3bのA部拡大図であり、図3dは、本発明の実施の形態1における野菜室の前面側からみた斜視図である。図4aは、図2aのA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図であり、図4bは図2aのA−A部の静電霧化装置近傍の本発明の別形態の詳細断面図である。図5は、本発明の実施の形態1における霧化電極の温度挙動と霧化状態を示す放電電流モニター電圧値を示した実験結果を示す図である。図6は、本発明の実施の形態1におけるバナナを対象とした実験結果の写真による比較図である。図7a、図7b、図7cは、本発明の実施の形態1におけるにんじん、しいたけ、なすを対象とした実験結果の写真による比較図である。図8は、本発明の実施の形態1における低温障害度合いを示すカリウムイオン流出値を示す図である。図9は、本発明の実施の形態1におけるエチレンガスの分解能力を示した図である。図10は、本発明の実施の形態1における青果物の保存環境でのエチレンガス濃度測定結果を示す図である。図11a、図11b、図11c、図11dは、本発明の実施の形態1におけるa)ブロッコリースプラウトのビタミンC量、b)モロヘイアのビタミンA量、c)モロヘイアのビタミンE量、d)クレソンのポリフェノール量の実験結果を示す図である。
図において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材が充填されている。これにより、貯蔵室を断熱するのと同時に、複数の貯蔵室に区分されている。冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が構成されている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引出し式の扉を備えることが多い。なお、本実施の形態では切換室105を冷蔵,冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104,野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でもかまわない。製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室を形成して圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室は、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路と、各室と断熱区画するための断熱材で構成された奥面仕切り壁111が備えられている。冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で生成した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置され、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
下段収納容器119は、仕切り体167より扉118側の飲料収納部166にペットボトルや缶、ビンなどを収納する飲料収納部166と飲料と食品収納の空間を仕切るための飲料仕切り板167が構成されている。
引出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室上部の第一の仕切り壁123及び内箱103に保持されている。引出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
具体的には図3b,図3cに示すように、蓋体122の野菜室用吐出口124と対向する部分は野菜室用吐出口124から流入した冷気が前方へ向かいやすいように傾斜部124aを有しており、野菜室用吐出口124から流入する冷気の流れに対して鈍角で接することで、より前方かつ上方部分へと冷気の流れを誘導する形状とすることが好ましい。
また、扉が閉じる場合に、蓋体122の背面側の背面蓋係合部124bと、背面蓋係合部124bと係合する上段収納容器120と上段収納容器係合部120aとは互いに傾斜しており、扉が完全に閉まる際に初めて背面蓋係合部124bと上段収納容器係合部120aとが係合する形状としている。
さらに、蓋体122の野菜室用吐出口124側の端部には下方へ延出したフランジ部122cが設けられている。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
蓋体122と第一の仕切り壁123の間には、奥面仕切り壁111に構成された野菜室用吐出口124から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面側に位置する奥面仕切り壁111の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用吸込口126が設けられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。また、蓋体122、野菜室吐出口、吸い込み口、風路構成については、貯蔵室の構成や収納容器の形態によりそれらは最適化される。
奥面仕切り壁111は、主にABSなどの樹脂を用いた奥面仕切り壁表面151と発泡スチロールなどを用い、各室へ冷気を循環するための風路と、冷却室110と野菜室107の間を隔離、断熱性を確保する断熱材152で構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
霧化装置である静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極冷却部材である円柱状の金属ピン134の一端でほぼ中心に固定され、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
伝熱接続部材である金属ピン134は、例えば、直径10mm程度、長さが15mm程度の円柱形状で構成されており、直径1mm程度、長さが5mm程度の霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と金属ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を抑制するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と金属ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を金属ピン134に圧入等により固定してもよい。
さらに、金属ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
なお、貯蔵室に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にあり、その湿度が金属ピン134に影響する可能性があるので、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
また、本実施の形態では金属ピン134の形状は円柱としたので、断熱材の凹部に嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくても静電霧化装131を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間無く金属ピン134を取り付けることができる。また、金属ピン134の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置に霧化装置を備えることができる。
さらに、金属ピン134の中心軸上に霧化電極135を取り付けることより金属ピン134を取り付け時、回転させても対向電極136と霧化電極135の距離が一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
また、金属ピン134は外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭ケース137から突起して構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、高圧印加による放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、一般に10年以上の長時間運転することになるので、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
また、電圧印加部133は静電霧化装置131に設置され、貯蔵室内の低温高湿雰囲気なるため、その基板表面上には、防湿のためのモールド材やコーティング材を塗布している。
ただし、電圧印加部133を貯蔵室外の高温部に設置した場合や電圧印加部133に連続的に印加を行うことによりその基板部が貯蔵室より高温に維持できる場合に電圧印加部133および基板部に結露することはないので、コーティングは不必要になる。
さらに、静電霧化装置131を固定している奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するための仕切り壁ヒータ154が設置されている。さらに静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bが備えられており、すなわち冷却室110側は断熱材152が野菜室107の背面側の仕切り壁における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材152を熱緩和部材として、背面から冷却室110の冷気もしくは暖気が熱緩和部材である断熱材152を介して金属ピン134を冷却するように設置されている。
また、場合によっては、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111b、すなわち冷却室110側は断熱材152が野菜室107の背面側の仕切り壁における最深凹部111bは貫通孔になっており、金属ピンに直接冷気を当てないシールもしくは、カバーなどを介して、金属ピン134を冷却するように設置されている。
ここで、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
このように簡単な構造で調整手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却され、加熱に対しては霧化電極を加熱すればいいので霧化電極に近い側に金属ピンヒータ158を設置している。
また、このように断熱材152は熱緩和部材として金属ピン134の少なくとも冷却手段側を覆っているが、好ましくは金属ピンの凸部134aの表面全体をほぼ覆うことが望ましく、この場合には金属ピン134の長手方向と直交する横方向のからの熱侵入が少なくなり、凸部134a側の端部134b側から長手方向に向かって熱伝達が行われる為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から調整手段によって冷却されることとなる。
また、霧化電極135を加熱するため金属ピン134を加熱している。そのために金属ピンヒータ158がその近傍に設置され、例えば、印加電圧を変化もしくは、通電率を変化させることにより金属ピン134を介して霧化電極の温度を可変させることができる。
また、図2bに示す別の形態として、奥面仕切り壁111に構成されている野菜室用吐出口124と静電霧化装置131の噴霧口132の間の奥面仕切り壁111表面に上部リブ161、噴霧口132と野菜室用吸込口126の間の奥面仕切り壁111表面に下部リブ162が構成されている場合もある。
この上部リブ161は、静電霧化装置131の左右方向に連続して設けられており、下段収納容器119の背面上端と同一高さもしくは下段収納容器119の背面上端よりも上方に位置しており、収納容器の背面側の空間を上下に仕切っている。さらに冷却ダクトには、上部リブ161の下方側に下部リブ162が設けられている。この下部リブ162は、野菜室用吸込口126の上側の位置に、左右いずれかに傾斜する形状で連続的に設けられており、下段収納容器119の背面側の空間を上下に仕切っている。また、上部リブ161及び下部リブ162と、上段収納容器120及び下段収納容器119は前後方向にドア開閉に際して互いに当接することのない程度の隙間が設けられている。
このように静電霧化装置131が備えられている壁面である背面壁の下方側に下部リブ162が左右方向に連続しかつ傾斜をした形状で備えられており、静電霧化装置131の左右方向には上部リブ161が備えられていることで、静電霧化装置131は上部リブ161と下部リブ162で囲まれている高湿度を維持した背面壁の空間に備えられているものである。
さらに、図4bに示す静電霧化装置131周辺の別の形態として、断熱材152に凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されているとともに、断熱材152の野菜室107側を覆うように設置されている奥面仕切り壁151は、静電霧化装置131をカバーするように取り付けられている。静電霧化装置131の噴霧口132の延長線方向の奥面仕切り壁111は孔182の開いた噴霧口になっており、その周囲の奥面仕切り壁表面151は凸部181になっている。
また、静電霧化装置131の外郭ケース137の一部に構成された湿度供給口138に貯蔵室から湿度が供給できる、もしくは、霧化電極135に過剰に結露した場合、貯蔵室側に排水できるように構成された湿度供給口183が奥面仕切り壁表面151の一部の構成されている。
霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極冷却部材である円柱状の金属ピン134の一端でほぼ中心に絶縁体を設けず直接固定され、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
この金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の断熱材152の凹部111aより小さく、貫通孔になっている凹部111dに嵌めあわされ、冷凍室風路141とこの貫通穴の冷気の遮断はアルミテープなどのテープ184を断熱材152に貼り付けている。
ここで金属ピン134の凸部134aは、金属ピンの温度変動、もしくは周囲の環境変動により水付きを防止するためABSやPP、PSなどの材料で構成された金属ピンカバー185が金属ピン134を覆っている。ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、金属ピン134と金属ピンカバー185の間にはある程度の空隙186が存在してしまう。このように空隙186が存在すると、その部分が空気層となり、断熱性を持ってしまうため、金属ピン134が冷えにくくなるために、その空隙186を埋めるために空間の空隙を埋める部材である空隙埋設部材としてブチル187a,187b,187cや熱拡散コンパウンドのような部材が金属ピン134と金属ピンカバー185もしくは、金属ピンカバー185とテープ184の間に埋設されている。
また、貫通孔111dを通じての野菜室107と冷凍室風路141の冷気の漏れを防止するため金属ピンカバー185の円周方向にはフォーム材などでシールを強化してもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御手段からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体の側面や背面、また冷蔵庫本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリ(図示せず)に至る。その後、キャピラリでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路の途中に構成された野菜室用吐出口124から野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込口126から再び冷却器112に戻る循環風路になっている。また、野菜室107の温度制御については、冷気の配分や仕切り壁に備えられた仕切り壁ヒータ154などのON/OFF運転で行っており、これらの制御により2℃から7℃になるように調整されている。なお、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
野菜室107の奥面に設置されている奥面仕切り壁111には、凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。ここで、霧化部139である金属ピン134の後方は最深凹部111bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成され、他の箇所より低温状態になる。本実施の形態の冷蔵庫においては、この程度の厚みが金属ピン134と調整手段との間に位置する熱緩和部材としての適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所の最背面の最深凹部111bに金属ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
また、図4bのような別形態において、奥面仕切り壁111の断熱材152の凹部に設置されている静電霧化装置131の金属ピン134の背面側すなわち冷却室110側の断熱材152は、伝熱冷却部材である金属ピン134を冷却するために薄く形成される(図4aのような)ことが望ましいが、発泡スチロール等の成型において、極端な薄肉部を設けると、薄肉部の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、金属ピン134の背面近傍の断熱材152を貫通し、その断熱材の風路側の開口部についてはテープ184で冷気を遮断することにより野菜室に冷気が漏れることによる過冷を防止している。
また、金属ピン134を覆うように金属ピンカバー185が装着され、金属ピンの過冷を防止している。
ただし、金属ピン134と金属ピンカバー185の間、もしくは金属ピンカバー185とテープ184との間には、加工精度上、空隙186ができる可能性があり、仮に空隙186ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、金属ピン134が十分冷却できなくなり、これにより霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、上記空隙に空隙埋設部材であるブチル187a〜187cや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導部材で空隙186を埋めることによりテープ184から金属ピンカバー185、金属ピンカバー185から金属ピン134への熱伝導を確保する。
金属ピン134背面の冷凍室吐出風路141には、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気が生成され、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が吐出、風路表面から熱伝導で金属ピン134が0〜−10℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134に固定された霧化電極135も金属ピン134を介して0〜−10℃程度に冷却される。
また、野菜室用吐出口124から冷気が野菜室107内へ流入する冷気の一部は、上段収納容器120の底面と下段収納容器119の背面上端との間隙から下段収納容器119内に入り、内部の収納食品を冷却することになるが、この流れは一部であって、内部の収納食品の冷却は、主に蓋体122の上部側の空間である蓋体122と第一の仕切り壁123を通り、上段収納容器120の扉側である手前部分から下段収納容器119の手前部分に入る部分から行われる。
また、蓋体122の野菜室用吐出口124と対向する部分は野菜室用吐出口124から流入した冷気が前方へ向かいやすいように傾斜部122aを有しており、野菜室用吐出口124から流入する冷気の流れに対して鈍角で接することで、より前方かつ上方部分へと冷気の流れを誘導する形状としているので、野菜室用吐出口124から流入した冷気は、より蓋体122と第一の仕切り壁123との間を通りやすくなり、上段収納容器120の扉側である手前部分から下段収納容器119の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入る。
このように、野菜室用吐出口124から収納容器への冷気の導入経路は、主に下段収納容器119の扉側部分の収納飲料収納部166に乾燥した冷気が入るので、それらの乾燥した冷気で下段収納容器119の手前部分に収納された例えばペットボトル等の飲料を冷却し、その後下段収納容器119を経て、比較的湿度が高くなった冷気が上段収納容器120および静電霧化装置131付近へと流れ込むこととなる。よって、野菜室の手前側すなわち扉側よりも背面側の湿度を相対的高くすることができるので、背面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気となり、静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。
一方、下段収納容器119に収納されている比較的水分の多い食品、例えば白菜やほうれん草、レタスなどからの蒸散により発生した水蒸気は、上部収納容器120の下部と下部収納容器の上部の隙間より奥面仕切り壁部111に流出する。ここで、その上下方向に左右方向に連続して上部リブ161、および下部リブ162が構成されているため流出した水蒸気が逃げにくくなっており、これにより静電霧化装置131近傍は、比較的高湿に保たれる。
よって、野菜室は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散や風路構成などにより収納容器や静電霧化装置近傍は比較的高湿状態を保持するので、霧化先端部である霧化電極135は露点以下となり、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
なお、蓋体122の背面側の背面蓋係合部122bと、背面蓋係合部122bと係合する上段収納容器120と上段収納容器係合部120aとは互いに傾斜しているので、扉を閉じる際に発生する衝突音が扉を完全に閉めた時にのみ発生する。この背面蓋係合部122bと上段収納容器係合部120aとが傾斜していない場合には、扉が完全に閉まる前から衝突し始める為、係合部の磨耗等の劣化や、衝突音によって使用者に不安感を抱かせる懸念がある。それに対して、本実施の形態では、係合部に傾斜を持たせることで、扉が完全に閉まる際に初めて背面蓋係合部122bと上段収納容器係合部120aとが係合するので、扉を閉めている段階での衝突音が発生せず使用者に不安感を抱かせる事がなく、スムーズに扉を閉めることができる。
また、蓋体122の野菜室用吐出口124側の端部には下方へ延出したフランジ部122cが設けられていることで、野菜室用吐出口124から流入する低温で乾燥した冷気が直接上段収納容器120に流入することを防ぎ、上段収納容器120の高湿環境を保持している。
また、野菜室内を流れる冷気の最も下流に位置する野菜室用吸込口126から野菜室外へと流出する。
ここで、野菜室用吐出口124から冷気が野菜室107内へ流入していない場合には、下段収納容器119内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時、蒸散した水分を含んだ空気は、下段収納容器119内に流入した冷気の流れに沿って下段収納容器119の静電霧化装置131が配置されている側の側壁(本実施の形態では下段収納容器119の背面側の側壁)と上段収納容器120の底面とで区画される隙間の中で最も大きい隙間である冷気流出部から収納容器外に流出し、静電霧化装置131の左右方向に連続して設けられた湿度導入手段である上部リブ161によって風向を変えられ静電霧化装置131近傍へと到達する。
このとき、本実施の形態では静電霧化装置131を野菜室107の野菜室用吸込口126が配置されている右側に、また、上部リブ161は静電霧化装置131の左側に配置したので、野菜室用吸込口126から冷気が引っ張られることで、左側に比べて野菜室用吸込口126側の右側が相対的に高湿度になるので、静電霧化装置131を野菜室107の野菜室用吸込口126近傍に配置することで、より静電霧化装置131周辺を高湿度とすることができ、空気中の水分を結露させやすくすることが可能となる。また、静電霧化装置131の両側に上部リブ161が備えられることが望ましく、これによって、高湿度の冷気が上方へ漏れ出すことを防ぎ、さらに静電霧化装置131周辺を高湿度とすることができる。
このように高湿度の雰囲気中に配置された静電霧化装置131の金属ピン134および霧化電極135は隣接した別区画と比較して野菜室よりも低温の冷気からの熱伝導により周囲温度よりも低く冷却されており、比較的高湿度雰囲気である静電霧化装置131内部の水分が霧化電極135に結露することになる。この結露した水を野菜等が収納されている容器内部にミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水は静電霧化装置131により、再び収納食品自体に返されることになる。よって、静電霧化装置131の金属ピンおよび霧化電極135を冷却する冷却手段は静電霧化装置131が備えられている貯蔵室よりも低温度帯の冷気が流れている空間でなければならず、また、このような冷却手段は風路を用いない場合でも、例えば隣接する低温度帯(例えば冷凍温度帯)の貯蔵室の冷気を用いる。
そして、静電霧化装置131によってミストが直接噴霧される下段収納容器119内の空間に微細ミストが充満することは言うまでもないが、下段収納容器119の上部に位置する上段収納容器120内の空間へも静電霧化装置131によって噴霧されたミストが到達する。
これは、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置され、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられているためである。
静電霧化装置131で発生する微細ミストはナノサイズと極めて粒子径が小さく、そのため、軽量で拡散性に富んでいる。よって、下段収納容器119に充満した微細ミストのうち、特に拡散性に飛んだミストの一部は空気流通孔171より上段収納容器120内の空間へ流入し、さらに上部が蓋体122によって閉塞されている上段収納容器120内の空間内に充満し、食品表面に付着する確率を増加させることで微細ミストの効果を増大させる。
また、図3dに示すように上段収納容器120には取っ手部120bが形成され、この部分が開口部となるが、図3aに示すような野菜室内の冷気の風路の中で、この部分は野菜室の吐出口からも吸い込み口からも離れているため比較的流れが遅く、さらに、蓋122の上方側から下方へ流れてくる冷気の流れに引っ張られ、この開口部である取っ手部120bからは上段収納容器120内への冷気の流入よりも流出の方が多くなり、実質的には上段収納容器120からの冷気の流出口となる。
よって、上段収納容器120の側面もしくは底面に備えられた複数の空気流通孔171がから高湿度の冷気が流入し、この取っ手部120bからゆるやかに流出する流れとなり、開口部による取っ手部120bを備えた場合でも乾燥した冷気が上段収納容器120へ流入しにくい構造となっていることで高湿度を維持することが可能となる。
さらに、上段収納容器120には蓋体122がされており、比較的低温の冷気が直接、収納容器に流入するのを防いでいるとともに、上記のように下段収納容器119から上方へと上がってきた比較的温度の高く、ミストを含んだ比較的湿度を保持した空気により上段収納容器120内の空間が冷却される為、保鮮性の向上に加え、低温障害の抑制を図ることができ、特に低温障害の生じやすい野菜や果物を上段収納容器120内へ保存するとより新鮮な状態で野菜や果物を長持ちさせることが可能となる。
いいかえると、主に野菜や果実等が収納される上段収納容器120は、上方部に蓋体122が備えられているので高湿空間に保たれており、下方部もしくは側面部にのみ開口部があるために、また上段収納容器120内には霧化装置からミストが直接噴霧されるのではなく、いったん下段収納容器119へ噴霧されたミストが上方へと拡散して上段収納容器120内に流入することで間接的に噴霧されるものである。
よって、下段収納容器119へ噴霧されミストの中でもより拡散性の高く、細かい粒子径のミストが空気流通孔171より上段収納容器120内に流入してくるので、収納されている野菜の周辺に万遍なくミストが届き、新鮮な状態で野菜や果物を長持ちさせることが可能となる。
このように、上段収納容器120は冷気によっても間接的に冷却されるとともに、ミストの噴霧においても間接的に噴霧されるものであり、これらによって下段収納容器119から上方へと上がってきた比較的温度の高い高湿度冷気で上段収納容器120内の空間が冷却される為、過冷防止、保鮮性の向上に加え、低温障害の抑制を図ることができ、特に低温障害の生じやすい野菜や果物を上段収納容器120内へ保存するとより新鮮な状態で野菜や果物を長持ちさせることが可能となる。
加えて、上段収納容器120の底面部は凹凸形状で形成された波型形状としているので、上段収納容器120内の野菜や果物に対してミスト粒子が上面や側面のみではなく底面からも廻り込んでミストが野菜表面にムラなく付着することができるので、より多角的な方向からミスト粒子を野菜や果物の周りに充満させることができ、さらに保鮮性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態ではこの波形状を側面に備えられた空気流通孔171から流入する冷気の流れと略平行となるよう上段収納容器120の左右方向に渡って凹部もしくは凸部が連続するように備えている。これによって、空気流通孔171から流入したミストを含んだ冷気がより底面部へと回り込みやすくなるので、さらに保鮮性を向上させることが可能となる。
このように本実施の形態においては、野菜室内の冷気の流れをコントロールし、上手に使いわけている。まず、低温で乾燥した冷気をPETボトル等の飲料が置かれることが多い飲料仕切り板167の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入れて、低温冷気を直接触れることで、冷却スピードを確保し、次に野菜室の手前側から流入した冷気が背面側へと流れるにつれて湿度が高くなっていくので、扉側よりも背面側の湿度を相対的高くすることで、背面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気として静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径がナノレベルで細かく拡散性の高い微細ミストとなって下段収納容器119を満たし、さらにその中でもさらに粒子径が小さく拡散性の高いミストがより下方に比べて温度が高い上方に位置する上段収納容器120へと流入して保湿を行うようにしている。
このように冷気の流れをコントロールすることによって、スピーディーに冷却したい収納物を手前部分の収納飲料収納部166に収納し、比較的低温障害等が起こりにくい一般的な野菜や果物を下段収納容器119へ、より低温障害が起こりやすい野菜や果物を上段収納容器120へと収納することで、それぞれの収納物に合った冷却を行うことができ、より品質が高く保鮮性を向上させた野菜室を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では、ミストを噴霧することを前提として上段収納容器120に低温で乾燥した冷気が流入することによって発生する低温障害の抑制を目的として上段収納容器120に蓋を設けたが、野菜室吐出口124から導入した冷気をPETボトル収納部にまず開放させることで、PETボトルの冷却スピードを速めることができるので、ミスト噴霧装置を設置しない場合においても、PETボトルの冷却スピードを速めた上で上段収納容器120の保湿性を向上させることができる。
よって、ミスト噴霧装置が備えられない場合であっても、本実施の形態のように乾燥した低温空気をまず下段収納容器119の扉側部分の収納飲料収納部166に乾燥した冷気が入るように構成し、その後に野菜等を収納する下段収納容器119を経て上段収納容器120へと流れ込む風路を構成することで、ある程度上段収納容器の保湿化と高温化を図ることができるという効果を奏する。この構成に加え、さらにミスト噴霧を行うことによって低温障害を抑制するという相乗効果が得られることとなる。
また、上記のように野菜室用吐出口124から冷気が流入していない場合において、風路上、野菜室用吐出口124より上流に位置するダンパが閉じられていても、一般的には野菜室用吸込口126より下流にはダンパが備えられていない為、少しずつではあるが、収納容器である下段収納容器119内から野菜室用吸込口126の方向へと冷気の流れが発生する。しかし、野菜室用吸込口126より上方に下部リブ162が設けられていることで、蒸散した水分を含んだ空気は直接野菜室用吸込口126へ向かわず、上部リブ161と下部リブ162で区画された空間内に保持される。よって、上部リブ161と下部リブ162で区画された空間内は高湿度の冷気が滞留し、静電霧化装置131近傍へ集まるので、静電霧化装置131により湿気を回収しやすくなる。
これにより、高湿度雰囲気内に備えられた静電霧化装置131の霧化電極135が結露しやすくなるのでミストの発生効率が高くなる。
ここで、微細ミストの発生の原理を説明する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。なお、電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μA、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力であるため庫内温度への影響は微小である。
ここで、レナード効果なども用いて水滴をイオン化するほうもあるが、この場合、発生するラジカル量は本発明と比較すると極めて微少量となり、またコリオリ力や遠心力を利用するにはその装置は、大型化になり、家庭用冷凍冷蔵庫には不向きである。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると霧化電極135先端に付着した結露水により、対向電極136の距離が接近し、これにより空気絶縁層が破壊され、放電が開始する。このとき結露水は帯電し、また、液滴表面において、表面に発生した静電気力は表面張力を超え、微細な粒子が発生する。さらに対向電極136がプラス側のため、帯電した微細ミストは引き寄せられ、微細粒子がさらにレイリー***により超微粒化され、反応性の高いラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室に向けて、微細ミストが噴霧される。
なお、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流がながれない。
また、冷却器112で熱交換され生成した冷気の一部であり、比較的乾燥し低温である冷気は、野菜室用吐出口124より野菜室107内に流入する。この時、上部リブ161によって大部分の冷気は下方へ向かわずに蓋体122の上方側から前方へ向かって流れることとなる。よって、その冷気はケースに直接流入せず、その大部分が蓋体122の上部を通過して、下段収納容器119の扉側の上部から流入し、一般のペットボトルやビン、缶などが収納している飲料収納部166に流れる。これによりペットボトルなどの飲料は冷却される。また、この時、蓋体122の下部の上部収納容器120内には、直接冷気は流れず、間接的に冷却されるので比較的、湿度が保たれやすく、また冷たい冷気が直接流入しにくいので、比較的温度が高く保たれている。
また、蓋体122は、上部区画が製氷室106や切替室(図示せず)等の野菜室107よりも低温度帯である例えば冷凍温度帯に保持された貯蔵室である場合には、第1の仕切り壁を通した熱伝導によって野菜室107側の冷気が冷却されるが、この冷却された比較的低温の冷気が上部収納容器120に直接流入することを防止しているので、上部収納容器120内の収納空間は比較的高い温度を保つことができる。
さらに冷気は下段収納容器119の奥部へ流れ、そこに収納されている蒸散により発生した野菜の水分を奪い、下段収納容器119奥面より流出する。
また、仮に冷却ファン113が停止している場合においても下段収納容器119内の水蒸気は上記箇所から流出する。
これによりさらに静電霧化装置131内の霧化部に湿度を供給しやすい。
ここで、静電霧化装置131で発生したミストは、下段収納容器119内に向けて噴霧されるが、その粒子径が極めて小さいためその拡散性は比較的高いことにより下段収納容器119全体および上記収納容器内にも拡散される。つまり野菜室107全体にラジカルを含んだ微細ミストが噴霧されることになる。
上記における冷蔵庫の状態を示した実験結果を図5に示す。
図5の横軸は時間、縦軸は放電電流モニター電圧値を示しており、放電電流モニター電圧値は、電極間に電流が流れる、つまり、放電現象がおき、微細ミストが発生したときのみ電圧値が下がるように設定され、出力されている。
冷蔵庫100において、冷却器112の温度が下がり始める、つまり冷凍サイクルの運転が開始したとき、野菜室107の冷却も開始する。このとき、野菜室107にも冷気が流れるため、乾燥状態となり、霧化電極135も乾燥する傾向にある。
次に冷蔵室ダンパ(図示せず)が閉じると冷蔵室吐出空気温度が上昇し、冷蔵室104や野菜室107の温度、湿度は上昇する。このとき、冷凍室吐出冷気温度は次第に低下するので、金属ピン134はさらに冷却され、高湿環境に推移した野菜室107に設置された霧化部139の霧化電極135は結露しやすくなる。そして、霧化電極135先端で液滴が成長し、液滴先端と対向電極136間の距離がある一定距離になると空気絶縁層が破壊され、放電現象が開始し、霧化電極135先端より微細ミストが噴霧される。このとき、電極間に微小電流が流れるため図に示す波形のように放電電流モニター電圧値が下がる。その後、圧縮機109が停止、冷却ファン113が停止し、金属ピン134の温度は上昇するものの霧化部139雰囲気は引き続き高湿であり、また、金属ピン134の熱容量が大きく急激な温度変動を行わない、いわゆる蓄冷の働きがあり、さらに液滴の水温が上昇することによりその表面張力も低下するので同一静電エネルギを印加して霧化しやすい環境となる。よって、霧化は継続する。
そして、再び圧縮機109が運転を開始すると冷蔵室ダンパ(図示せず)が開となり冷気が冷却ファンにより各貯蔵室に搬送し始め、貯蔵室内は低湿状態へ移行し、これにより霧化部も低湿状態となり、霧化電極134は乾燥し、霧化電極134の液滴は減少もしくは消滅する。
冷蔵庫の通常冷却時は、このようなサイクルを繰り返すことにより霧化電極先端の液滴を一定の範囲で調整する。
また、冷却器112についた霜、氷を融解し、除去する除霜時には、冷却器112の温度が0℃を超え、一般的には10℃以上となる。このとき、静電霧化装置背面の冷凍室吐出風路141の温度も上昇し、この温度上昇に伴って金属ピン134も加温され、霧化電極135の温度も上昇し、先端に付着した結露水は、水温が上昇することにより表面張力が低下することにより霧化しやすくなり、その後、蒸発し、霧化電極135が乾燥する。
また、ラジアントヒータ114は、冷却器の温度がある程度上がるとともに切れるという特性を有しているため、電極および伝熱接続部材の温度が上がりすぎることなく、適切な範囲で確実に電極および伝熱接続部材を昇温できるという効果を有する。
また、霧化電極135に対向する位置に配された対向電極136を備え、霧化電極135と対向電極136間に高圧電位差を発生させる電圧印加部133を有することで、霧化電極135近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器内に噴霧する微細ミストの精度、噴霧量をより高めることができる。
このとき噴霧された微細ミストは拡散されるが蓋体122などにより収納容器の開口面積が少ないことからラジカルを含んだミストが逃げ出しにくくなっている。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径が細かく拡散性の高い微細ミストとなって下段収納容器119を満たし、さらにその中でもさらに粒子径が小さく拡散性の高いミストがより下方に比べて温度が高い上方に位置する上段収納容器120へと流入している。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である金属ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、貯蔵室である野菜室107の奥面仕切り壁111を挟んだ外側に霧化部139が出っ張らないので、風路面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を抑制することができる。
また、奥面仕切り壁111の一部に凹部があり、そこに霧化部139が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱接続部材を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134は、ある程度の熱容量を確保できているので冷却風路からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化電極135の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化電極135の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。さらに、良熱伝導性の金属ピン134と断熱材を組み合わせることにより損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに金属ピン134と霧化電極135の接合部は絶縁体などの断熱体がなく直接接合されているので熱抵抗を抑えている。よって、霧化電極135と金属ピン134の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
また、金属ピンカバー185を用いた場合でも、金属ピン134と金属ピンカバー185の間の空隙186を熱伝導部材で埋めることにより冷却面からの金属ピン134までの熱抵抗を抑えることができるので、霧化電極135を十分に冷却できる。
発生したOHラジカルやO2ラジカルなどを含んだ微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。ここで上段収納容器には蓋体122が備えられているため微細ミストは逃げにくくなっている。
噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷も帯びている。野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜や果物の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、青果物に付着して劣化を進行させる菌類に対しては、酸化力のあるOHラジカルを含んだ微細ミストが菌類自体の細胞膜,菌糸に直接作用して除菌や抑制の効果を発揮し、これは一般細菌にとどまらず、カビやウイルス等の抑制にも有効に作用して外部要因としての劣化要因を低減できる。
また、青果物にOHラジカルを含んだミストが付着することにより表面の細菌が除菌されるため菌による野菜表面細胞の壊死が防止できる。これにともない野菜表面細胞が壊死することによる青果物の老化促進媒体であるエチレンガスの発生を抑制できる。
さらに、霧化電極135の先端に生成されたラジカルを含んだ微細ミストは、青果物の老化を促進するエチレンガスと反応し、分解することもわかった。図9に示すとおり、その分解速度は速く、約4時間で80%のエチレンガスを分解する分解能力を持っている。
また、図10にようにある一定の容量のBOXにエチレンを放出しやすいりんご等を保存したときのエチレンの濃度を計測すると、本発明品は3日後も7日後も検出限界以下という極めて少量のエチレンガス量であるが、従来品においては、1ppmを超えるような濃度での保存となるので老化が促進することにより変色が加速され、また、痛みやすくなる。本発明品はこれらエチレンガスの発生自体を抑制するとともに、その青果物自体から発生した、或いは同空間に収納された他の青果物から発生したエチレンガスを分解する作用ことで、青果物の老化進行による劣化を防ぎ、大幅に保鮮性を向上させることができる。
一方、野菜や果物など青果物の劣化(鮮度や栄養素)を進行させる要因としては、上記表面層の保水状態や菌の存在、エチレンガスによる影響などの外部要因だけでなく、内部要因に起因するものがある。
内部要因に起因するものとしては、酵素反応に起因するものや青果物内部の保水状態に起因するものなどがあげられる。
まず、青果物の低温障害に関して、一般的に、バナナなどの本来熱帯や亜熱帯で生育する青果物を冷蔵保存すると図6の従来品で示すように低温障害により表皮が黒色化する。
これは、低温障害になるとバナナの表面のタンニンがポリフェノールオキシターゼにより酸化重合し、これが低温により固化、黒色化する。これは、常温保管でよくみられるエチレンガスによるバナナ表面の黒色の斑点ではなく表面全体が黒色化していく。
このため、従来では低温保存によって貯蔵期間を長く持たせたくても、品質を維持しての貯蔵が困難であるため、低温貯蔵に向かない青果物を、家庭等で貯蔵する限界があり、冷蔵庫としての利便性を損ね、食生活の多面的要望に応えるのに一定の制約をまねいていた。
一方、本実施の形態においては、上記で説明したように、噴霧された微細ミストは拡散されるが蓋体122などにより収納容器の開口面積が少ないことからラジカルを含んだミストが逃げ出しにくくなっており、さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径が細かく拡散性の高い微細ミストとなって下段収納容器119を満たし、さらにその中でもさらに粒子径が小さく拡散性の高いミストがより下方に比べて温度が高い上方に位置する上段収納容器120へと流入して保湿を行い、微細ミストの中のOHラジカル等が低温障害を抑制する機能を発揮する。すなわち、微細ミストに含まれているラジカルが表皮に付着し、それが表皮から浸透して、酵素反応を阻害することにより低温障害を抑制し、黒色化するのを防止している。
上記の実験結果を図6に示す。これは、本実施の例で8日間保存したときの本発明品と従来品との比較である。
これにより、開発品においては、変色を抑制しており、低温障害を抑制していると考えられる。
また、図7a,図7b,図7cに、それぞれにんじん、しいたけ、なすでの比較結果を示す。
図7aのにんじんについては、低温には強い食材であるが、保存環境が乾燥すると表面が黒色化するなどの痛みが生じる。特に冷蔵庫で保管する場合、従来は冷気のON/OFFで乾燥気味になる。これに対して、開発品は、ナノレベルのミストがニンジンの表面に付着するため乾燥を防止でき黒色化を防止できる一方、また粒子が小さいため、水腐れなどの心配も必要ない。
同様に図7bに示すしいたけの結果においても従来品においては、乾燥状態で一部黒色化している部分も見られるが、開発品においては、保存状態は良好である。
また、図7cのなすについては、従来品おいては、表面にくぼみ等がみられ、また、表面が硬くなっている。これは、低温障害を生じている。一般に、なすは10℃程度の保存温度がよく、5℃以下で保存すると上記のような状況が現れる。
これに対して、開発品については、表面状態もよく、くぼみも見られない。よって低温障害を抑制していると考えられる。
これらにより、本発明により乾燥抑制と低温障害の抑制ができることが判明した。
また、この低温障害の抑制効果をより明確にする為に次のような実験を行った。
一般に細胞膜上では、浸透圧作用でカリウムイオンが外部に漏出しようとするのをATPaeがバリアの役割を果たし、漏出を防止している。低温障害が生じた場合、このATPaseの働きが弱くなり、カリウムイオンが漏出することがわかっている。そこで図8に示すとおり、本発明品と従来品との各食材における比較を行った。
この結果によると、どの食材で比較してもカリウムイオンの漏出が発明品は抑制されていることが明確となり、低温障害を抑制する効果を発揮していることを実証することができる。
以上のように、本発明によると、乾燥により傷むニンジンやしいたけなどの保鮮度を維持させると同時に、低温保存状態においても低温障害を抑制する事が可能であり、よって低温貯蔵下において貯蔵期間を長く持たせながら、上述のバナナ、なす,きゅうりなど低温貯蔵に弱いが使用頻度の高い青果物の品質を維持して貯蔵することができ、冷蔵庫としての利便性を高め、食生活の多面的要望に応えることができ、類を見ない極めて実用効果が高い冷蔵庫を提供できる。
次に、青果物の栄養素に関して、ラジカルを含んだ微細ミストは、野菜表面に付着すると葉の表面からラジカルを含んだ水が内部に浸透し、ジャスモン酸などの植物ホルモンを分泌するシグナルになる。これにより、酵素発現を誘導、生体防御反応を起こし、結果、抗酸化物質であるビタミンCやEやAなどを生成する。これにより本実施例の保存されたブロッコリースプラウトやカイワレスプラウト、ほうれん草、モロヘイア、クレソン等のビタミンなどの栄養価は初期投入時より増加する。その結果を図11a〜図11dに示す。
これらによりビタミンC、A、ポリフェノールなどは投入時から3日後に栄養価が上昇する事がわかった。
また、ビタミンEについては、従来品より栄養価が維持されることがわかった。
このように、内部因子として経時的栄養素の低下に歯止めを掛け、さらに栄養素の増加効果を発現することが可能となり、低温貯蔵により青果物の劣化の進行を抑えるだけの冷蔵庫の機能に留まらず、貯蔵することで栄養素の増加による食品価値を高めることができる付加価値の高い冷蔵庫を提供することができる。
さらに、青果物の内部保水に関して、ラジカルを含んだ微細ミストは、青果物表面に付着すると表面層からラジカルを含んだ活性化された水分が内部に浸透し、青果物の内部から保水状態を高めることにより賦活化し、乾燥やしおれ防止と相俟って保鮮性を青果物内外から高めることができる。
以上述べたように、本発明によると、ラジカルを含んだナノレベルの微細ミストは、青果物を外的要因から防護するだけに留まらず、青果物内部の細胞レベルまで浸透して内部の生体活動を活性化し、また、劣化要因となるような酵素反応を抑制することができるものである。
すなわち、外的要因となる青果物表面の保水状態の維持、菌類の除菌,抑制、菌類による表面層細胞の壊死に起因するエチレンガス発生の抑制および発生したエチレンガスの分解などに留まらず、青果物内部への微細ミスト浸透により、低温障害の抑制,抑制、栄養素の増加,低減抑制、内部への活性化水分浸透による賦活化の効果など、多様な効果が発現し、たとえば家庭用の冷蔵庫を例にとれば、貯蔵温度の低温維持により青果物自体の呼吸作用や蒸散作用の劣化要因や菌類の活動を抑制する作用を主体として一部低温環境に向かない青果物を除いて貯蔵期間の延長効果を利用していたものが、収納する青果物の種類にとらわれず低温環境に向かないものも含めて広範囲の青果物を収納しながら、鮮度維持だけでなく栄養素の向上などの価値を高める貯蔵機能を併せ持ち、食生活のバリエーションを広げることのできる極めて付加価値の高い冷蔵庫を提供することができるものである。
なお、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。
また、生成された微細ミストは、極めてナノレベルの微細粒子であるため、拡散性が強く、そのため貯蔵室内の自然対流にしたがって貯蔵室内に拡散噴霧されるので微細ミストの効果は貯蔵室全体にいきわたる。
上記のように、噴霧された微細ミストは拡散されるが蓋体122などにより収納容器の開口面積が少ないことからラジカルを含んだミストが逃げ出しにくくなっている上に、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径が細かく拡散性の高い微細ミストとなって下段収納容器119を満たし、さらにその中でもさらに粒子径が小さく拡散性の高いミストがより下方に比べて温度が高い上方に位置する上段収納容器120へと流入して保湿を行うようにしているので、上段収納容器120は野菜室の他の収納空間と比較してより温度が多く拡散性の高い微細ミストが充満した空間となっているので、ミストが含有しているOHラジカルの効果に加え、より低温障害を抑制する効果を高めることができる。
また、一般にOHラジカルはその寿命が短く、例えば貯蔵室内を浮遊している間の数秒の間に他の物質と反応してラジカルが消滅しまう懸念があるが、本発明のラジカルは水分子で覆われている為に、寿命が300倍程度の10分程度まで長くなることができ、より浮遊時間が長く、冷蔵庫のような密閉環境においては効果的にOHラジカルなどを食品に付着させることができる。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
また、本実施の形態において、電圧印加部133は貯蔵室内の比較的低温で高湿の位置に設置されており、電圧印加部はポッチング材やコーティング材による防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。
なお、電圧印加部133を貯蔵室外に設置し場合は、上記対応を行わなくてもよい。
以上のように、本実施の形態1においては、断熱区画された貯蔵室と、貯蔵室内にミストを噴霧させる静電霧化装置を備え、霧化部には高電圧を発生する電圧印加部に電気的に接続させる霧化電極と、霧化電極に対向する位置に配された対向電極と、霧化電極の水量を調整する手段を構成し、霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧することにより、微細ミスト含まれるラジカルによって収納物である青果物の低温障害を抑制することができる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚、除菌などの効果を高めることができる。
特に、食品の表面を除菌することにより菌の繁殖による劣化、腐りなどを防止することができる。
また、微細ミストに含まれるラジカルにより貯蔵室内で発生したエチレンガスを分解することができる。これにより、エチレンガスによる老化促進を抑制でき、変色抑制もできる。
また、噴霧されたミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率が向上すると同時に脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果もさらに向上する。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、霧化電極を基準電位側(0V)と対向電極(+7kV)間に高圧電位差を発生させたが、対向電極を基準電位側(0V)とし、霧化電極に印加(−7kV)し、高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室に近い対向電極が基準電位側になるので、人が対向電極に近づいても感電等を起こさず、ミストの帯電量が多いので収納容器に噴霧されるラジカル量が増大する。また、霧化電極に−7kVにした場合、貯蔵室側を基準電位側とすれば、特に対向電極を持たなくてもよい場合もある。
なお、本実施の形態では、金属ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の霧化電極周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極近傍で生成された結露水を霧化電極周囲に保持することができるので霧化電極に適時に供給することができる。
なお、本実施の形態において、冷蔵庫の貯蔵室は野菜室としたが、冷蔵室や切替室などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
(実施の形態2)
図12は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。また、図13は本発明の実施の形態2における別形態の冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。さらに、図14は図13のC−C部の静電霧化装置近傍の詳細平面図である。
本実施の形態では、実施の形態1で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態2は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁201が構成され、仕切り壁201と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110と野菜室を仕切る第2の仕切り壁125に霧化装置である静電霧化装置131は、図12のように冷却室110の冷却源を利用するように設置されており、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その第二の仕切り壁125の断熱材が凹形状になっており、その近傍に金属ピンヒータ158が構成されている。
また、野菜室107を冷却するための風路構成は、図12に示すとおり、野菜室107の奥面に冷蔵室からの風路もしくは、冷凍室からの風路を利用した野菜室吐出風路202が構成され、野菜室107よりやや低温の空気が野菜室吐出風路202を経由して、野菜室吐出口124より野菜室107の下段収納容器119の奥面から底面に向けて流出する。そして、その冷気の流れは、下段収納容器119の底面から前面に流れ、収納容器前方の飲料収納部166に流れこみ、さらに、第2の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路203より冷却器112に循環している。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
第二の仕切り壁125は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡ウレタンや発泡スチロールなどを用い、野菜室107と冷凍室108、冷却室110を断熱しているとともに、貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している第2の仕切り壁125には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが第2の仕切り壁に嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側は冷却室110側に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
静電霧化装置131の霧化部139は蓋体122と上部収納容器120の間隙に設置されており霧化電極先端は、上部収納容器120に向け設置されている。
また、場合によれば、図13および図14に示すように第2の仕切り壁125に霧化電極135を垂直方向に設置するように取り付けてもよい。
この場合、冷凍室108からの熱伝導により金属ピンを冷却するとともに、蓋体122の一部には静電霧化装置131からのミストが上部収納容器に噴霧できるように孔が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第二の仕切り壁125の厚さは、冷凍室108および冷却室110と野菜室を断熱区画するための壁厚が必要であるが、その一方、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている壁厚は他の部分より薄く構成されている。さらに金属ピン134が保持されている最深凹部の壁厚はさらに薄く構成されている。そのため、低温である冷却室110からの熱伝導により金属ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
また、外気温度変動により冷凍室108の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された金属ピンヒータ158で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化する。
このとき、野菜室107の冷気の流れは、野菜室吐出風路202より野菜室より低温である冷気が野菜室吐出口124から吐出され、下部収納容器120の底面の収納容器と断熱箱体間で構成された風路に流れ、前方扉側に流れる。そして下部収納容器110の一部に設けられた空気流通孔204から収納容器内に流入し、飲料収納部の飲料を冷却する。このとき下部収納容器の奥側の区画は間接冷却により冷却される。そして、冷気は第二の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路203より冷却器112に循環している。これにより、上部収納容器にも冷気の影響が少なくなっており、保鮮性が維持されることになる。
よって、本実施の形態においては、野菜室内の冷気の流れをコントロールし、上手に使いわけている。まず、低温で乾燥した冷気をPETボトル等の飲料が置かれることが多い飲料仕切り板167の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入れて、低温冷気を直接触れることで、冷却スピードを確保し、次に野菜室の手前側から流入した冷気が背面側へと流れるにつれて湿度が高くなっていくので、扉側よりも背面側の湿度を相対的高くすることで、背面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気として静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径がナノレベルで細かく拡散性の高い微細ミストとなって上段収納容器120を満たした上で、下段収納容器119へと流入して保湿を行うようにしている。
このように冷気の流れをコントロールすることによって、スピーディーに冷却したい収納物を手前部分の収納飲料収納部166に収納し、比較的低温障害等が起こりにくい一般的な野菜や果物を下段収納容器119へ、より低温障害が起こりやすい野菜や果物を上段収納容器120へと収納することで、それぞれの収納物に合った冷却を行うことができ、より品質が高く保鮮性を向上させた野菜室を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では、ミストを噴霧することを前提としているが、野菜室吐出口124から導入した冷気をPETボトル収納部にまず開放させることで、PETボトルの冷却スピードを速めることができるので、ミスト噴霧装置を設置しない場合においても、PETボトルの冷却スピードを速めた上で上段収納容器120の保湿性を向上させることができる。
よって、ミスト噴霧装置が備えられない場合であっても、本実施の形態のように乾燥した低温空気をまず下段収納容器119の扉側部分の収納飲料収納部166に乾燥した冷気が入るように構成し、その後に野菜等を収納する下段収納容器119を経て上段収納容器120へと流れ込む風路を構成することで、ある程度上段収納容器の保湿化と高温化を図ることができるという効果を奏する。この構成に加え、さらにミスト噴霧を行うことによって低温障害を抑制するという相乗効果が得られることとなる。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部、霧化電極温度およびその周辺湿度などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態2は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
(実施の形態3)
図15は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1および2で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態3は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁201が構成され、仕切り壁201と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110の下部に霧化装置用冷却風路を備え、その風路の一部に静電霧化装置131を、図15のように設置し、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その風路と極めて隣接しており、その近傍に金属ピンヒータ158が構成されている。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
霧化装置用冷却風路205は、ABSやPPなどの樹脂と発泡スチロールなどの断熱材で製作されており、その風路を流れる冷気は−15〜−25℃と比較的低温であり、野菜室107の奥面で上段収納容器と下段収納容器の間隙近傍の霧化装置用冷却風路に静電霧化装置を設置している。これにより野菜室の構成においては、実施例1とほぼ同一の構成となる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている霧化装置用冷却風路205は、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力があれば、収納野菜等からの蒸散により、静電霧化装置131近傍は高湿状態となり、霧化電極先端は、水滴が確実に生成される。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120と下部収納容器119の間に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態3は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、霧化電極を冷却するための霧化装置用冷却風路が備えられ、静電霧化装置はその風路部に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の区画が上部にある場合、それらの冷熱源を野菜室背面まで風路により搬送し、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
なお、本実施の形態では、冷熱源の搬送に霧化装置用風路を用いたが、アルミや銅の固体物の熱伝導を利用したもの、ヒートパイプやヒートレーンなどの熱搬送手段を利用してもよい。これにより、風路面積が不必要となるので庫内容積への影響が少なくなる。