JP2009184882A - 塗布用組成物、紫外線遮蔽層付きガラス板及びその製造方法 - Google Patents

塗布用組成物、紫外線遮蔽層付きガラス板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽能が高く、特にUV−Aをほぼ完全に遮蔽でき、機械的耐久性、薬品耐性及び耐光性に優れる紫外線遮蔽層付きガラス板を提供する。
【解決手段】ガラス基板とガラス基板の少なくとも片面に設けられた紫外線遮蔽層とを有し、紫外線遮蔽層が紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーとを含む有機成分が包含された酸化ケイ素系マトリックスから構成され、紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[マトリックス]の質量比で1/100以上、有機成分の含有量が[有機成分]/[マトリックス]の質量比で50/100以下、紫外線遮蔽層付きガラス板の波長400nmの光の透過率が3%以下、紫外線遮蔽層に対するJIS−R3212(1998年)によるCS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験前後の曇価(%で表された数値)の差が5以下である紫外線遮蔽層付きガラス板。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布用組成物、紫外線遮蔽層付きガラス板及びその製造方法に関する。
近年、車両用ガラスや建築用ガラスを通して車内や建物内に流入する紫外線の人体や内装材に対する影響が問題視されるようになってきている。なかでも、UV−Aと呼ばれる比較的波長の長い(320〜400nm)紫外線は、地表に到達する太陽光に含まれる紫外線としてはもっとも多く含まれるが、人体にとっては皮膚への浸透程度が深いため、長時間の曝露が色素沈着(シミ)やシワを引き起こすことが知られている。
これらの背景より、これまでにも数々の紫外線を遮蔽するガラスが提案、実商化されてきている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
特許文献1はガラス溶融素地にセリウム、チタンといった紫外線遮蔽性の金属イオンを添加することによりガラス板そのものに紫外線遮蔽性能を付加しようとしたものであり、特許文献2はガラス基板上に酸化亜鉛とシリカからなる紫外線遮蔽層を成膜したものであるが、これら技術によってはUV−Aを充分に遮蔽できない。
一方、特許文献3、特許文献4に示される紫外線遮蔽層付きガラス板は、いずれもUV−Aをほぼ完全に遮蔽することができるものの、紫外線遮蔽層の機械的耐久性の点で問題があった。紫外線遮蔽層の耐久性を発現させるために、特許文献3においては紫外線遮蔽層上にさらに厚膜状の保護層を積層しており、特許文献4においてはアミド結合およびSi−O結合を有するマトリックス材料を用いて紫外線遮蔽層を形成しているが、これらの方法によっては、自動車のドアガラスやルーフガラスといった高い耐摩耗性が要求される部位で使用できるほどに耐久性の優れた被膜を製造することはできないという問題があった。
さらに、特許文献3、特許文献4においてはいずれも紫外線遮蔽層を厚膜状(膜厚5μm以上)に形成することが必須であり、工程上経済性の面で不利であるという問題もあった。UV−Aを充分に遮蔽可能な紫外線遮蔽層付きガラス板を簡便かつ安価な方法で、特に、1回の成膜プロセスにより製造する方法はこれまで見出されていなかった。特に、自動車用窓ガラス板などの高い機械的耐久性を要求される部位へ適用できる紫外線遮蔽層付きガラス板及びその製造方法はこれまで見出されていなかった。
さらに、特許文献5には、シリコンアルコキシドと、ポリエチレングリコール等の水溶性有機ポリマーとを含み、さらに紫外線吸収剤や有機色素を含有する塗布液をガラス板上に塗布し、硬化させて、有機無機複合膜からなる紫外線遮蔽層を得ることが開示されている。特許文献5における紫外線遮蔽層は、機械的、化学的耐久性にきわめて優れているとされている。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献5に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板は、充分に高いUV−Aの遮蔽性能を有していず、また長期間の露光に対応できる耐光性も充分ではないことが判明した。さらに、特許文献5に記載の有機無機複合膜に使用できる紫外線吸収剤は親水性が高いことが必要であることより紫外線吸収剤の種類が限られ(例えば、現時点で入手容易な市販紫外線吸収剤は実施例に例示された化合物に限られる)、通常広く使用されている疎水性の各種紫外線吸収剤の使用は困難であることより、より性能の高い紫外線吸収剤の採用は困難であった。
特開平8−208266号公報(特許請求の範囲) 特開平6−329989号公報(特許請求の範囲) 特許第2972827号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開平10−265241号公報(特許請求の範囲) 国際公開第2006/137454号パンフレット(特許請求の範囲、実施例)
本発明の第1の目的は、紫外線遮蔽能が高く、特にUV−Aをほぼ完全に遮蔽でき、機械的耐久性、薬品耐性及び耐光性に優れる紫外線遮蔽層付きガラス板を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、簡便かつ安価な1回の成膜プロセスによって紫外線遮蔽能及び機械的、化学的耐久性に優れた紫外線遮蔽層付きガラスが得られる紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法を提供することにある。さらに本発明の第3の目的は、特定のガラス基板の表面に紫外線遮蔽層を形成するために使用されることに限られず、他のガラス基板やガラス以外の材料からなる透明基板に対しても上記紫外線遮蔽層を形成するために使用することができる塗布用組成物を提供することにある。
本発明は、紫外線遮蔽層付きガラス板、紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法、および、紫外線遮蔽層を形成するための塗布用組成物、に関する下記発明である。
<1> ガラス基板と該ガラス基板の少なくとも片面に設けられた紫外線遮蔽層とを有し、
前記紫外線遮蔽層が、紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーとを含む有機成分が包含された酸化ケイ素系マトリックスから構成され、前記紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[マトリックス]の質量比で1/100以上、かつ、前記有機成分の含有量が[有機成分]/[マトリックス]の質量比で50/100以下である、紫外線遮蔽層付きガラス板であって、
前記紫外線遮蔽層付きガラス板は、波長400nmの光の透過率が、前記ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%である場合に3%以下であり、紫外線遮蔽層に対してJIS−R3212(1998年)によるCS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験を行った場合に試験前後の曇価(%で表された数値)の差が5以下であることを特徴とする紫外線遮蔽層付きガラス板。
<2> 分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、酸化ケイ素に換算したケイ素化合物に対する紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下である塗布用組成物を、ガラス基板の少なくとも片面に塗布して塗布用組成物の塗膜を形成する工程と、ガラス基板の表面上において塗布用組成物の塗膜から有機溶媒を除去するとともにケイ素化合物から酸化ケイ素系マトリックスを形成して紫外線遮蔽層を形成する工程と、を含む紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
<3> 分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、酸化ケイ素に換算したケイ素化合物に対する紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下である塗布用組成物。
本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、紫外線遮蔽能が高く、特にUV−Aをほぼ完全に遮蔽でき、機械的耐久性、薬品耐性及び耐光性に優れる。また本発明の製造方法によれば、簡便かつ安価な1回の成膜プロセスによって紫外線遮蔽能及び機械的、化学的耐久性に優れた紫外線遮蔽層付きガラスが得られる。さらに本発明の塗布用組成物は、特定のガラス基板の表面に紫外線遮蔽層を形成するために使用されることに限られず、他のガラス基板やガラス以外の材料からなる透明基板に対しても上記紫外線遮蔽層を形成するために使用できる。
〔1、紫外線遮蔽層付きガラス板〕
本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%である場合に、波長400nmの光の透過率が3%以下であり、紫外線遮蔽層に対してJIS−R3212(1998年)によるCS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験を行った場合に試験前後の曇価(%で表された数値)の差が5以下である。すなわち、本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、高い紫外線遮蔽性と高い耐摩耗性を有する。
紫外線遮蔽層付きガラス板の「紫外線遮蔽性」は、紫外線遮蔽層の紫外線遮蔽性とガラス基板の紫外線遮蔽性とを合わせて得られる紫外線遮蔽性を示す。この場合、紫外線遮蔽層付きガラス板の高い紫外線遮蔽性は、紫外線遮蔽層の高い紫外線遮蔽性に起因するものである。そのため、高い紫外線遮蔽性を有する紫外線遮蔽層を備えるのであれば、紫外線遮蔽層付きガラス板は、ガラス基板の波長400nmの光の透過率に制限されることなく高い紫外線遮蔽性を示す。
本発明においては、紫外線遮蔽層付きガラス板の高い紫外線遮蔽性が、ガラス基板の紫外線遮蔽性と紫外線遮蔽層の紫外線遮蔽性とからもたらされる特性であることより、そのうちの紫外線遮蔽層の紫外線遮蔽性を示すため、ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%の場合に、紫外線遮蔽層付きガラス板の波長400nmの光の透過率が3%以下であるとした。ガラス基板に関する記述は紫外線遮蔽層付きガラス板の光の透過率の測定基準を明確にする目的でなされたものであるため、ガラス基板の特性は特に制限されるものではない。
ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%超〜80%であっても、紫外線遮蔽層付きガラス板の波長400nmの光の透過率は3%以下とすることができる。
本発明に係る紫外線遮蔽層付きガラス板の紫外線遮蔽性は、ガラス基板の紫外線遮蔽性に制限されることなく、その波長400nmの光の透過率を5%以下となることが好ましい。すなわち、ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%を超える場合、紫外線遮蔽層付きガラス板の波長400nmの光の透過率は3%を超えてもよいが、5%以下となることが好ましい。ガラス基板の波長400nmの光の透過率は制限されるものではないが、ガラス基板の波長400nmの光の透過率が80%以下である場合には、紫外線遮蔽層付きガラス板の波長400nmの光の透過率は3%以下であることがより好ましい。ガラス基板の波長400nmの光の透過率は5%以上であることが技術的意義から見て適当であり、より好ましくは20%以上である。よって、紫外線遮蔽層付きガラス板は、そのガラス基板の波長400nmの光の透過率が20〜80%であって、その波長400nmの光の透過率が3%以下であることが好ましい。
さらに本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、紫外線遮蔽層に対し、促進耐候試験機(サンシャインウェザオーメーター(SWOM))を用い、ガラス面からカーボンアークランプでブラックパネル温度83±2℃の状態で擬似太陽光を2000時間照射した際の試験前後の波長400nmの光の透過率(%で表された数値)の差が10未満であることが好ましい。
紫外線遮蔽層付きガラス板を自動車用窓ガラス板として使用する際には、部位によっては高い可視光透過率が要求される場合があるため、紫外線遮蔽層付きガラス板としての可視光透過率が70%以上となるものが好ましい。ここでいう「可視光透過率」とは、JIS−R3106(1998年)で規定される計算式から算出される可視光透過率を示している。また、自動車用窓ガラス板のみならず、通常の窓ガラス板として使用する場合にも、透明性は非常に重要である。そのためには、紫外線遮蔽層付きガラス板としてのヘイズ値が1.0%以下、さらには0.5%以下であることが好ましい。
紫外線遮蔽層付きガラス板は高いUV−A遮蔽能を有しつつも、高い機械的耐久性を具備している。すなわち、紫外線遮蔽層は、ガラス基板自体の耐摩耗性にほぼ匹敵し、かつ始終昇降され摺動される自動車用のドアガラス板などにも充分に使用できる程度に優れた耐摩耗性を有する。
図1に本発明に係る紫外線遮蔽層付きガラス板の1例を示す。図において、紫外線遮蔽層付きガラス板1は、ガラス基板10と、ガラス基板10の片面に設けられた紫外線遮蔽層20と、を備える。ガラス基板10としてはソーダライムガラスなどの無機ガラスからなるガラス基板が好ましく、紫外線遮蔽層20はガラス基板の片面に設けられていることが好ましい。但し、本発明に係る紫外線遮蔽層付きガラス板は、図示した実施形態に限定されるものではない。
(1−1、紫外線遮蔽層)
紫外線遮蔽層付きガラス板における紫外線遮蔽層は、有機成分を包含する酸化ケイ素系マトリックス(以下、単に「マトリックス」ともいう。)から構成されている。「有機成分を包含する酸化ケイ素系マトリックス」とは、酸化ケイ素系マトリックスの分子サイズの網目状構造の間隙に有機成分が含まれていることを意味する。「有機成分」としては、低分子量ないし高分子量の炭素化合物であって、マトリックスの金属原子と実質的に結合していないものが好ましい。有機成分としては、紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーが少なくとも含まれる。尚、有機基を有する加水分解性シラン化合物(例えばシランカップリング剤)などはマトリックス形成時にマトリックスの金属原子と結合してマトリックスの構成成分となると考えられることから、ここでいう有機成分ではないものとみなす。
紫外線遮蔽性有機化合物の含有量は[紫外線遮蔽性有機化合物]/[マトリックス]の質量比で表して1/100以上であり、有機成分の含有量は[有機成分]/[マトリックス]の質量比で表して50/100以下である。
紫外線遮蔽層20に対してJIS−R3212(1998年)によるCS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験を行った際、その試験前後の曇価(%で表された数値)の差は5以下である。
紫外線遮蔽層の層厚は、10μm以下が好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜8μmが特に好ましい。上記範囲内であれば400nmにおける透過率や、曇値の増加率が良好であるからである。
紫外線遮蔽層は、ガラス基板の片面のみならず両面に設けられてもよいが、紫外線遮蔽層は片面に設けるのみで充分な紫外線遮蔽機能を発揮でき、また通常の無機ガラスからなるガラス基板では基板そのものの耐光性や表面の耐摩耗性などの機械的耐久性は紫外線遮蔽層よりも高い。以上より、紫外線遮蔽層はガラス基板の片面に設けられることが好ましい。ポリカーボネートなどの有機ガラスからなるガラス基板では、紫外線遮蔽層を両面の設けることができ、また、紫外線遮蔽層をその片面に設け、他の表面に各種ハードコート層を設けることもできる。
紫外線遮蔽層はさらにその上にオーバーコート層を設けてもよい。そのオーバーコート層としては、例えば、本発明における紫外線遮蔽層よりもさらに耐摩耗性に高い材料からなる層(例えば、有機成分を有しない酸化ケイ素からなる層など)、反射防止や防曇などの機能を付与する層などが挙げられる。また、ガラス基板と紫外線遮蔽層との間にも各種機能を付与し得る薄層を設けてもよい。例えば、紫外線遮蔽層の露出面を酸化ケイ素系薄膜で被覆することにより、紫外線遮蔽層の耐光性及び機械的・化学的耐久性をさらに長期にわたって維持することができる。酸化ケイ素系薄膜としては、例えば、後述のポリシラザンから形成した酸化ケイ素系薄膜が好ましい。
(1−1−1、酸化ケイ素系マトリックス)
酸化ケイ素系マトリックスは、紫外線遮蔽層の高い機械的、化学的耐久性を発現させるとともに、ガラス基板の表面への紫外線遮蔽層の密着性を付与する構成因子である。酸化ケイ素系マトリックスは主に無機質のマトリックスであることより、紫外線遮蔽層は非常に高い機械的、化学的耐久性を具備できる。
紫外線遮蔽層は巨視的には実質上光学的に均一な層であり、有機成分を包含する酸化ケイ素系マトリックスは可視光線などの透過光に対して散乱や不均一な屈折などの光学的不均一性を実質的にもたない層である。すなわち、紫外線遮蔽層の光学的不均一性は、それに起因して紫外線遮蔽層付きガラス板が自動車用窓ガラス板などの用途における実用性を阻害されることがない程度であることを意味する。
酸化ケイ素系マトリックスは酸化ケイ素以外にも、金属酸化物、金属イオン、ホウ素などの非金属酸化物(金属酸化物系ガラスの構成原子となるもの)などを少量有していてもよい。例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素などの酸化物やイオンを少量有していてもよい。酸化ケイ素系マトリックスにおけるこのような少量成分の含有割合は質量比で15%以下が好ましく、特に5%以下が好ましい。
酸化ケイ素系マトリックスとしては二酸化ケイ素が挙げられるが、二酸化ケイ素以外にも酸化数が2未満の酸化ケイ素であってもよく、また、ケイ素原子に結合する酸素原子の一部は窒素原子などの他の非金属原子と置換されていてもよい。なかでも、マトリックス中にケイ素原子に対して1原子%以上の窒素原子を含むと、機械的耐久性が高まることがあるため好ましい。一方、マトリックス中の窒素原子の含有量をケイ素原子に対して20原子%以下とすると、ガラス基板10の表面への紫外線遮蔽層20の密着性を充分に保持できるため好ましい。窒素原子以外のケイ素原子に結合する非金属原子としては炭素原子が好ましい。この炭素原子は、アルキル基やフェニル基などの有機基の炭素原子であってもよい。炭素原子が結合したケイ素原子(ケイ素原子に直接結合していない炭素原子を有するケイ素原子は除く)の含有量は、全ケイ素原子に対して20原子%以下が好ましく、5原子%以下がより好ましい。
紫外線遮蔽層20における酸化ケイ素系マトリックスは、後述のようにポリシラザン類より形成される酸化ケイ素系マトリックスが好ましい。ポリシラザン類よりほぼ純粋な酸化ケイ素からなる酸化ケイ素系マトリックスを形成することができるが、上記のような量の窒素原子を残存させることも容易である。また、ポリシラザン類としてケイ素原子に結合した有機基を有するポリシラザン類を使用することにより、ケイ素原子に結合した有機基を有する酸化ケイ素系マトリックスを形成することができる。ポリシラザン類とともに他の金属酸化物を形成しうる成分を併用することにより、ケイ素原子以外の金属原子を有する酸化ケイ素系マトリックスを形成することができる。
マトリックスが包含する有機成分としては、紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーのそれぞれは2種以上含まれていてもよく、これら以外の他の有機成分が含まれていてもよい。
紫外線遮蔽層におけるマトリックスは、また、マトリックスの構成成分とはならない無機成分を包含していてもよい。マトリックスの構成成分となるか否かにかかわらず、酸化ケイ素以外の無機成分としては紫外線吸収性を有する無機成分(以下、無機系紫外線吸収剤ともいう)が好ましい。具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン、チタン酸塩、炭化珪素などが挙げられる。また、例えば紫外線吸収性以外の機能を付与するために、赤外線遮蔽性の無機成分や無機質顔料などを包含させてもよい。赤外線遮蔽性の無機成分としては、例えばITO、ATO、ホウ化ランタンなどがある。
上記のような無機成分の量は、それがマトリックスの構成成分とはならない無機成分と考えられる場合は有機成分との合計量が、[有機成分と無機成分の合計]/[マトリックス]の質量比で表して50/100以下となる量であることが好ましい。それがマトリックスの構成成分となると考えられる場合は、このような無機成分の量は、上記少量成分の含有割合として記したように、マトリックスに対して質量比で15%以下含まれることが好ましい。
(1−1−2、紫外線遮蔽性有機化合物)
「紫外線遮蔽性有機化合物」とは、紫外線遮蔽性を発現させる構成因子であり、UV−A領域で高い吸光度を有する有機化合物をいう。UV−A領域で高い吸光度を有するものであれば特に限定されず、また2種以上の有機化合物から構成されていてもよい。紫外線遮蔽性有機化合物としては、紫外線吸収剤または蛍光増白剤が好ましい。しかし、紫外線吸収剤はUV−A領域の長波長側の360〜400nmの光の吸収が充分でないものが多い。したがって、このような紫外線吸収剤は360〜400nmの光の吸収が比較的高い化合物と併用することが好ましい。360〜400nmの光を吸収する化合物としては蛍光増白剤が好ましい。しかし、蛍光増白剤単独ではUV−A領域の短波長側の光が充分吸収されないので、紫外線吸収剤と併用することが好ましい。紫外線遮蔽性有機化合物は、紫外線吸収剤の1種以上からなっていてもよく、紫外線吸収剤と蛍光増白剤のそれぞれ1種以上からなっていてもよい。特に紫外線吸収剤と蛍光増白剤のそれぞれ1種以上からなることが好ましい。
紫外線遮蔽性有機化合物である「紫外線吸収剤」(以下、有機系紫外線吸収剤ともいう)としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アントラセン系紫外線吸収剤及びこれらの化合物と金属との錯体が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤及びこれらの化合物と金属との錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。しかし、これらの紫外線吸収剤は上述のように360〜400nmの光の吸収が充分でないものが多い。したがって、これらの紫外線吸収剤は蛍光増白剤とを組み合わせて使用することがより好ましい。
「蛍光増白剤」とは、360〜400nmの光を吸収し420nm前後の蛍光に変換する有機化合物をいう。具体的にはチオフェン系蛍光増白剤、スチルベン系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤、ナフタレン系蛍光増白剤などがある。特に、2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン(2,5−bis(5−tert−butyl−2−benzoxazolyl)thiophene)などのチオフェン系蛍光増白剤や4,4’−ビス(2−ベンズオキサゾリル)スチルベン(4,4‘−bis(2−benzoxazolyl)stilbene)などのスチルベン系蛍光増白剤、1,4−ビス(2−ベンズオキサゾリル)ナフタレン(1,4−bis(2−benzoxazolyl)naphtalene)などのナフタレン系蛍光増白剤が好ましい。特に、このような蛍光増白剤を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上の有機系紫外線吸収剤と組み合わせて使用することにより非常に高い紫外線遮蔽性を具備でき、好ましい。
また、上記蛍光増白剤の1種以上と無機系紫外線吸収剤の1種以上とを組み合わせて使用することもできる。この場合、有機系紫外線吸収剤を併用することは必須ではないが、併用してもよい。この無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
紫外線吸収剤と蛍光増白剤を併用する場合、紫外線吸収剤100質量部に対する蛍光増白剤の量は10〜300質量部が好ましい。特に、有機系紫外線吸収剤の場合はその100質量部に対する蛍光増白剤の量は50〜300質量部が好ましく、無機系紫外線吸収剤の場合はその100質量部に対する蛍光増白剤の量は10〜200質量部が好ましい。
酸化ケイ素系マトリックス中の紫外線遮蔽性有機化合物の含有量は[紫外線遮蔽性有機化合物]/[マトリックス]の質量比で表して1/100以上である。特に、3/100〜30/100であることが好ましい。紫外線遮蔽性有機化合物の量は多いほど紫外線遮蔽性は高まると考えられるが、上述の有機ポリマーを含め有機成分の量が多くなると紫外線遮蔽層の機械的耐久性、薬品耐性、耐光性などの特性は一般に低下する傾向にある。したがって、紫外線遮蔽性有機化合物の含有量の上限は酸化ケイ素系マトリックス中の有機成分の含有量の上限によって制約される。マトリックス中の有機成分の含有量は、[有機成分]/[マトリックス]の質量比で50/100以下であり、45/100以下であることが好ましい。
なお、以下において、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤及び蛍光増白剤を総称して紫外線遮蔽性材料という。
(1−1−3、有機ポリマー)
マトリックス中に有機ポリマーが含まれることにより、紫外線遮蔽性材料の耐光性を長期にわたって維持することができる。また、有機ポリマーの存在は紫外線遮蔽層の耐摩耗性や耐久性などの機械的物性の向上にも有効である。なお、有機ポリマーとしては多官能モノマーを含む硬化性樹脂の硬化物などの分子量を測定できない有機ポリマーであってもよく、分子量を測定できる、予め製造した溶媒可溶性の有機ポリマーであってもよい。分子量を測定できる場合、有機ポリマーの数平均分子量は概ね1000を超えるものが好ましいが、数平均分子量が1000を超えないものであってもよい。
紫外線遮蔽性材料、なかでも紫外線吸収剤は、通常、紫外線を吸収して励起状態となり、次にこの励起エネルギーを主に無放射遷移により放出してそれ自身は安定な基底状態へ戻ることで長期耐光性を維持していると考えられる。しかし、紫外線吸収剤の励起エネルギーの放出が速やかに起こらない場合は紫外線吸収剤の光劣化が起こりやすいと考えられる。マトリックス中の紫外線吸収剤ではその励起エネルギーをマトリックスに直接放出することは困難と考えられる。一方、有機ポリマーが介在すると、紫外線吸収剤の励起エネルギーはまず有機ポリマーに速やかに移行し、その後マトリックスに放出されることにより、紫外線吸収剤の励起エネルギーの放出が速やかに起こり、紫外線吸収剤の光劣化が起こりにくくなっていると考えられる。
紫外線吸収剤の励起エネルギーが有機ポリマーを介して放出されるためには、マトリックス中で両者が近接していることが好ましいと考えられる。また、有機系紫外線吸収剤や有機化合物である蛍光増白剤の多くが疎水性であり、水溶性ポリマーないしは親水性ポリマーと呼ばれているものを除き多くの有機ポリマーは疎水性である。一方、酸化ケイ素系マトリックスは親水性の物質であると考えられる。したがって、後述のように酸化ケイ素系マトリックス形成の際に疎水性の紫外線遮蔽性材料と疎水性の有機ポリマー(または疎水性の有機ポリマーとなる疎水性の重合性有機化合物)が存在すると、紫外線遮蔽性材料と有機ポリマーが近接した状態でマトリックス中に包含されやすくなると考えられる。逆に、酸化ケイ素系マトリックス形成の際に親水性の紫外線遮蔽性材料と親水性の有機ポリマーが存在しても酸化ケイ素系マトリックスが親水性であることにより特に両者が近接することなくそれぞれがマトリックス中に包含され、その結果紫外線吸収剤の励起エネルギーが有機ポリマーに速やかに移行することが容易でなくなると考えられる。この意味で、紫外線遮蔽性材料は疎水性の有機系紫外線吸収剤(無機系紫外線吸収剤は通常親水性である)や疎水性の蛍光増白剤であることが好ましく、有機ポリマーもまた疎水性であることが好ましい。ここにおいて疎水性とは水に実質的に溶解しない性質をいい、疎水性の有機化合物や有機ポリマーとは、水に実質的に溶解せず、炭化水素系溶媒などの疎水性溶媒に溶解するものをいう。
有機ポリマーはまた紫外線遮蔽層の機械的物性の向上にも有効である。酸化ケイ素系マトリックスは硬質であるため、後述の方法で比較的厚い層を形成しようとすると亀裂(クラック)やピンホールが発生するおそれがある。有機ポリマーを包含しない場合、層厚が4μmを超える紫外線遮蔽層の形成は困難である。また、有機ポリマーを包含しない場合、層厚が1μm未満であると、紫外線遮蔽性材料を多量に配合しても充分な紫外線遮蔽性能を発現させることが困難であり、紫外線遮蔽層の耐摩耗性を維持できなくなるおそれもある。したがって、有機ポリマーを包含しない紫外線遮蔽層の場合はその層厚は1〜4μmの範囲に制限されることが多い。これに対し、有機ポリマーを酸化ケイ素系マトリックスに包含させることにより、亀裂(クラック)やピンホール等の発生を防止することが可能となり、紫外線遮蔽層は上記のような厳しい層厚の制限を受けることが少なくなる。
紫外線遮蔽層に包含される有機ポリマーは線状の有機ポリマーであっても架橋有機ポリマーであってもよい。有機ポリマーは通常マトリックスに比較して軟質であり、特に線状の有機ポリマーをマトリックスに多量に包含させると紫外線遮蔽層の耐摩耗性を低下させるおそれがある。一方、架橋度の高い有機ポリマーは硬質であり紫外線遮蔽層の耐摩耗性を低下させる程度が線状の有機ポリマーに比較してはるかに少ない。しかし、架橋有機ポリマーは溶媒溶解性が低く、たとえ溶解性の高い疎水性有機溶媒であっても実質的に溶解しない。
このため、架橋有機ポリマーをマトリックスに包含させるためには重合硬化性の有機化合物を使用し、紫外線遮蔽層を形成するための後述塗布用組成物中にこの重合性有機化合物を溶解させておき、この塗布用組成物からマトリックスを形成する際に重合性有機化合物を重合させて有機ポリマーを形成するとともに形成されたマトリックス中にこの有機ポリマーを包含させることが好ましい。なお、この有機ポリマーの包含方法はこの包含方法に限定されない。溶媒溶解性の線状の有機ポリマーや溶媒溶解性の架橋度の低い有機ポリマーの場合は、予め有機ポリマーを形成した後、その有機ポリマーを後述塗布用組成物中に溶解させ、その塗布用組成物から紫外線遮蔽層を形成することにより、マトリックス中にその有機ポリマーを包含させることができる。
溶媒溶解性が低いもしくは溶媒溶解性がない架橋有機ポリマーは、いわゆる硬化性樹脂から形成されるものである。硬化性樹脂は硬化性の低分子化合物からなり、付加重合、縮重合、重縮合などにより重合して架橋有機ポリマーとなって硬化するものである。例えば、硬化性アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、硬化性ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。特に、硬化性が高くかつ硬い硬化樹脂が得られる硬化性アクリル樹脂が好ましい。
硬化性アクリル樹脂と呼ばれているものは、重合性有機化合物として、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる少なくとも1種の重合性官能基を2以上有する多官能モノマーの1種以上またはそれと他の重合性化合物を含む混合物からなるものである。この多官能モノマーを配合した塗布用組成物を用いて紫外線遮蔽層を形成することにより、マトリックス中にこの多官能モノマーが重合した有機ポリマーを包含させることができる。
紫外線遮蔽層における上記有機ポリマーの含有量は、[有機ポリマー]/[マトリックス]の質量比で1/100以上であることが好ましい。より好ましくは5/100以上である。塗布用組成物に重合性有機化合物を配合して有機ポリマーを形成する場合、マトリックス中に形成された有機ポリマーの量の測定は容易でないことが少なくないが、本実施形態においては、重合性有機化合物がすべて有機ポリマーに変換されたと仮定して、重合性有機化合物の量からその重合性有機化合物から形成された有機ポリマーの量を計算するものとする。
予め形成された有機ポリマーをマトリックスに包含させる場合、有機ポリマーとしては有機溶媒可溶性の線状有機ポリマーが好ましく、特に疎水性の有機ポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリメチルメタクリレートなどの線状メタクリレート系ポリマー、線状アクリレート系ポリマー、ポリスチレンなどの線状スチレン系ポリマー、アセタール系ポリマー、線状ポリウレタン系ポリマーなどが挙げられる。
マトリックス形成時に重合させてマトリックスに包含させる有機ポリマーとしては、上記のような硬化性樹脂を挙げることができるが、特に上記多官能モノマーが好ましい。この多官能性モノマーとしては、ポリオールの水酸基の2個以上をアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基(以下、これらを総称して「(メタ)アクリロイルオキシ基」という、尚、(メタ)アクリレートなどにおいも同様とする。)に置換した構造の多官能モノマーが好ましい。ポリオールとしては、水酸基を2〜16、好ましくは2〜6個有するポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのオリゴマー状ポリオールであってもよい。例えば、ポリオールの水酸基の2個以上(ただし、全てでなくてもよい)を(メタ)アクリロイルオキシ基に置換することにより多官能モノマーが得られる。また、ポリオールとジイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能モノマーやポリオールとイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能モノマーなどのウレタン結合を有する多官能モノマー(「アクリルウレタン」と呼ばれることもある)なども使用できる。このような多官能モノマーは2種以上併用できる。また、多官能モノマーは(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する化合物と併用することもできる。
多官能モノマーは少数の例外を除き通常疎水性である。例えばポリエチレングリコールなどの親水性のオリゴマーを使用して得られる多官能モノマーは親水性であり、親水性の多官能モノマーから形成される架橋有機ポリマーは親水性の有機ポリマーとなりうる。しかし、通常の多官能モノマーは疎水性であり、それより得られる架橋ポリマーも疎水性となる。疎水性の多官能モノマーを塗布用組成物に配合することにより、上記のように、紫外線遮蔽性材料と架橋ポリマーが近接した状態でマトリックス中に包含されやすくなると考えられる。
多官能モノマーを重合させるためにラジカル発生剤などの重合開始剤を併用することもできる。光重合開始剤を併用して紫外線などの照射により重合させることもできる。官能基としてアクリロイルオキシ基を有する多官能モノマーは反応性が高いため加熱することにより容易に重合させることができる。また、後述ポリシラザン類をマトリックス原料として使用する場合は、シラザン類から酸化ケイ素系マトリックスを形成する際の加熱により重合開始剤を特に使用せずに多官能モノマーを重合させることができる。
(1−1−4、その他の有機成分)
マトリックス中に包含される有機成分として、上記の紫外線遮蔽性材料と上記有機ポリマー以外に、さらに他の有機化合物が包含されていてもよい。他の有機化合物としては、例えば、ラジカル捕捉性を有する有機化合物、赤外線吸収性を有する有機化合物、後述の界面活性剤などが挙げられる。また、上記のような重合開始剤を使用することもでき、この場合はその分解物である有機化合物がマトリックス中に残存すると考えられる。
ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。ヒンダードアミン系光安定剤は、含窒素複素環(ピペリジン環など)の窒素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子の全てがメチル基などのアルキル基に置換された構造を有する有機化合物であり、例えば、アデカアーガス社製の商品名「アデカスタブ」などのラジカル捕捉剤が挙げられる。ラジカル捕捉剤を使用する場合、その量は、質量比で[ラジカル捕捉剤]/[マトリックス]=0.1/100〜5/100の範囲とすることが好ましい。ラジカル捕捉剤を含め、その他の有機成分を使用する場合は、その他の有機成分の全量は、質量比で[その他の有機成分]/[マトリックス]=0.1/100〜10/100の範囲とすることが好ましい。
(1−2、ガラス基板)
ガラス基板は特に限定されず、無機系のガラス材料からなるガラス板や、有機系のガラス材料からなるガラス板を例示できる。自動車の窓用、特にウインドシールドや摺動窓用には無機系のガラス材料からなるガラス板を用いることが好ましい。無機系のガラス材料としては、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス材料が挙げられる。有機系のガラス材料としては、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂やポリフェニレンカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート系樹脂がある。
ガラス基板として、紫外線や赤外線を吸収するガラス板を用いることもできる。ガラス基板としては、波長400nmの光の透過率が5%以上であることが好ましく、紫外線遮蔽層の効果をより発揮するためには20%以上が好ましい。さらに、波長400nmの光の透過率は80%以下であることが好ましく、特に65%以下であることが好ましい。また、ガラス基板のJIS−R3106(1998年)の日射透過率は75%以下が好ましく、特に65%以下が好ましい。さらに、可視光透過率は50%以上が好ましく、特に70%以上が好ましい。
本発明の効果をより発揮できるガラス基板としては、波長400nmの光の透過率が20〜80%、JIS−R3106(1998年)の日射透過率が65%以下、可視光透過率が70%以上である、無機系のガラス材料からなるガラス基板が好ましい。このようなガラス基板の材料としては、具体的には、ソーダライムガラス素地にチタンイオン、セリウムイオン、鉄イオンなどの金属イオンを含む、グリーン系のガラス材料が好適に用いられる。このようなガラス基板を用いると、より高い紫外線遮蔽性を具備できるだけでなく、1μm近傍の近赤外領域の遮蔽も行えるため、断熱性も具備させることができるという利点がある。
また、無機系ガラス材料からなるガラス板を大気中、650〜700℃近い温度まで昇温し、急冷して強化処理を行って得られる強化ガラスをガラス基板として用いることができる。さらに、この熱処理においてガラス基板を曲げ加工することにより、曲げ加工されたガラス基板が得られる。このような加工が施されたガラス基板を用いることにより、高い耐久性を備えた紫外線遮蔽層付きの加工ガラス板が得られ、これは自動車用及び建築用の窓材として特に有用である。
〔2、紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法〕
(2−1、塗布用組成物)
まず、紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法に用いられる塗布用組成物について説明する。塗布用組成物としては、分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、酸化ケイ素に換算したケイ素化合物に対する紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下であることが好ましい。
塗布用組成物における、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマーおよび重合により有機ポリマーとなる重合性化合物については既に詳細に説明した内容と同様であるため説明を省略し、説明していない他の成分であるケイ素化合物、有機溶媒について主に説明する。
(2−1−1、ケイ素化合物)
塗布用組成物における「分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物」は、いわゆるゾルゲル法で酸化ケイ素ゲルを形成しうるケイ素化合物である。このようなケイ素化合物としてはアルコキシシラン類、ポリシラザン類、水ガラスなどが知られている。このうち、アルコキシシラン類と水ガラスは塗布用組成物を形成するための溶媒として、水や親水性溶媒が通常使用される。例えば、アルコキシシラン類を使用する場合は、メタノールやエタノールなどの水可溶性溶媒と水との混合溶媒が通常使用されている。しかし、このような親水性溶媒を使用すると、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマーおよび重合により有機ポリマーとなる重合性化合物などの有機化合物の溶解性に劣り、その種類が制約される。また、上記のように酸化ケイ素系マトリックス中に紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーを近接して包含させることが困難となりやすい。
一方、ポリシラザン類は疎水性の有機溶媒に溶解性が高く、通常疎水性有機溶媒に溶解した溶液が各種塗布用組成物に使用されている。疎水性有機化合物の溶解性の高い疎水性有機溶媒溶液を使用することにより上記問題は解決され、したがって上記ケイ素化合物としてはポリシラザン類が好ましい。ただし、疎水性有機溶媒を用いることができる限り、他のケイ素化合物の使用は可能であり、またポリシラザン類と他のケイ素化合物を併用できる。
ポリシラザン類とは、−SiR −NR−SiR −(R、Rは、それぞれ独立に水素もしくは炭化水素基を表し、複数のRは異なっていてもよい)で表される構造を有する線状又は環状の化合物をいう。ポリシラザン類は雰囲気中の水分との反応によってSi−NR−Si結合が分解してSi−O−Siネットワークを形成し、酸化ケイ素となる。この分解縮合反応は熱により促進され、通常ポリシラザン類を加熱して酸化ケイ素に変換する。反応を促進するために、金属錯体触媒やアミン系触媒などの触媒を使用することができる。アルコキシシラン類から形成される酸化ケイ素に比較して、ポリシラザン類から形成される酸化ケイ素は緻密な構造を有し、高い機械的耐久性やガスバリヤ性を有する。なお、ポリシラザン類から酸化ケイ素が生成する反応は通常300℃程度までの加熱では完全に進行するわけではなく、酸化ケイ素中にSi−N−Si結合、もしくは他の結合形態で窒素が残り、少なくとも一部に酸窒化ケイ素が生成していると考えられる。ポリシラザン類の数平均分子量は、500〜5000程度が好ましい。数平均分子量が500以上であることで、酸化ケイ素形成反応が有効に進行しやすくなる。一方、数平均分子量が5000以下であることで、酸化ケイ素ネットワークの架橋点の数が適度に保たれ、マトリックス中にクラックやピンホールが発生することを防止できる。
上記R、Rが炭化水素基の場合、メチル基やエチル基などの炭素数4以下のアルキル基及びフェニル基が好ましい。Rが炭化水素基の場合生成する酸化ケイ素のケイ素原子にその炭化水素基が残存する。酸化ケイ素中にこのケイ素原子に結合した炭化水素基の量が多くなるとマトリックスの耐摩耗性などの特性が低下することが考えられることより、ポリシラザン類中のケイ素原子に結合した炭化水素基の量は少ないことが好ましく、また、ケイ素原子に結合した炭化水素基を有するポリシラザン類を使用する場合はケイ素原子に結合した炭化水素基を有しないポリシラザン類と併用することが好ましい。より好ましいポリシラザン類は、上記化学式でR=R=Hであるペルヒドロポリシラザン、R=炭化水素基、R=Hである部分有機化ポリシラザン、及びこれらの混合物が好ましく用いられる。ポリシラザン類としては、炭化水素基が結合したケイ素原子の数の割合が、全ケイ素原子に対して30%以下、特に10%以下であることが好ましい。これらのポリシラザン類を用いて形成される紫外線遮蔽層20は機械的強度及び酸素バリヤ性が高いため非常に好適である。特に好ましいポリシラザン類はペルヒドロポリシラザンである。
酸化ケイ素系マトリックスを形成するために、ポリシラザン類以外の、酸化ケイ素ゲルを形成しうるケイ素化合物を使用することもできる。他のケイ素化合物としてはアルコキシ基や塩素原子がケイ素原子に結合したケイ素化合物が好ましく、テトラアルコキシシランやそのオリゴマー、オルガノトリアルコキシシランやそのオリゴマー、などのアルコキシシラン類やオルガノトリクロロシランやそのオリゴマーなどのクロロシラン類が好ましい。しかしこれらのケイ素化合物は、上記のように、酸化ケイ素形マトリックスを形成するために使用するケイ素化合物の主たる成分とすることは好ましくない。
ケイ素原子に結合した有機基(末端の炭素原子の結合手でケイ素原子に結合しているもの)を有するアルコキシシラン類などのケイ素化合物は疎水性有機溶媒に溶解しやすいことよりポリシラザン類と併用することが容易である。このようなケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、オルガノトリクロロシランなどがある。特に、シランカップリング剤と呼ばれている、有機基としてアミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基などの反応性官能基を有するアルコキシシラン類は、反応性官能基の反応性を利用した機能を付与するためにポリシラザン類と併用することができる。ポリシラザン類と併用する上記のような他のケイ素化合物の量は、ケイ素原子の数の比で30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
塗布用組成物におけるケイ素化合物と他の成分(有機溶媒を除く)の割合は、ケイ素化合物を酸化ケイ素に換算して計算される、紫外線遮蔽層の説明に記した割合である。すなわち、酸化ケイ素に換算したケイ素化合物に対する紫外線遮蔽性有機化合物の含有量は[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上であり、有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下である。有機ポリマーの量は、塗布用組成物においては、有機ポリマー、重合により有機ポリマーとなる重合性化合物またはその両者が含まれることよりそれらの合計量を考慮して、[有機ポリマーと重合性化合物の合計]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上であることが好ましい。これらの割合のより好ましい範囲も紫外線遮蔽層の説明に記した範囲であることが好ましい。
塗布用組成物において、有機溶媒は紫外線遮蔽層の構成成分とはならない成分であり、塗布用組成物から紫外線遮蔽層を形成する工程の途中で除去される。塗布用組成物が有機溶媒以外に紫外線遮蔽層を形成する工程の途中で除去される成分である場合には、有機溶媒と同様に上記割合の計算から除かれるものとする。例えば、水などの有機溶媒以外の液状媒体、分解して分解物が有機溶媒と同様に気化する化合物などが挙げられる。
(2−1−2、有機溶媒)
塗布用組成物における有機溶媒としては、塗布用組成物に含まれている、ケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、及び、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物(有機ポリマーと重合性化合物の両者が含まれている場合は両者とも)のすべてを溶解しうる有機溶媒が使用され、塗布用組成物においてはこれらが有機溶媒に実質的にすべて溶解していることが好ましい。塗布用組成物が他の有機成分を含む場合はそれらもまた溶解していることが好ましい。ただし、これら成分のうち有機溶媒に溶解していない成分があったとしても、それらは微細粒状で安定的に均一に有機溶媒に分散していることが好ましい。有機溶媒は2種以上併用することができる。例えば、主たる有機溶媒に対し溶解性が低い成分であっても、その成分を溶解しうる有機溶媒を従たる有機溶媒として併用することにより、その成分を溶解した塗布用組成物とすることができる。塗料組成物の有機溶媒を除く主要成分である、ケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物及び有機ポリマー(及び/又は重合性化合物)はその全量が有機溶媒に溶解していることが好ましい。
有機溶媒は疎水性有機溶媒であることが好ましい。疎水性有機溶媒とは水と相互に溶解しない有機溶媒をいう。親水性有機溶媒は疎水性有機溶媒と相溶性がある限り併用できるが、塗布用組成物における全有機溶媒の質量割合で50%以上、特に80%以上は疎水性有機溶媒であることが好ましい。疎水性有機溶媒としては、具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類が挙げられる。これら疎水性溶媒は、ケイ素化合物としてポリシラザン類を用いる場合に溶解力やポリシラザン類の安定性等の点で好ましい。ポリシラザン類溶液として通常使用されているトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類が特に好ましい。これら疎水性溶媒とともに、親水性有機溶媒であるエタノール、2-プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、アセトニトリル等の含窒素有機溶媒なども使用できる。
(2−1−3、他の成分)
塗布用組成物には上述の成分以外の成分が含まれていてもよい。例えば、塗布性やレベリング性、乾燥性の制御のために、上述したその他の有機成分として挙げた界面活性剤などを少量含ませることができる。また、塗布用組成物には非溶解性の成分が含まれていてもよく、例えば、上述の無機系紫外線吸収剤や無機系の赤外線遮蔽性材料が含まれていてもよい。このような有機溶媒非溶解性の無機系成分は微細な粒子状で塗布用組成物中に分散していることが好ましい。この無機系成分の微粒子の平均粒子径は200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。平均粒子径が200nm以下であることで、紫外線遮蔽層付きガラス板の透明性を高く維持できる。無機系成分の微粒子の平均粒子径は100nm以下であることが特に好ましく、また、紫外線遮蔽性等の機能を発揮するためにはその平均粒子径は5nm以上であることが好ましい。なお、紫外線遮蔽性維持の点で好ましい。ここにおける平均粒子径とは、分散液中に存在する微粒子の分散粒子径を指しており、動的光散乱方式粒度分布計で測定されるメジアン径(D50)をいう。
(2−2、工程)
本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、以下のようにして製造することができる。
(イ)まず、塗布用組成物を用意する。塗布用組成物としては、上述の(2−1、塗布用組成物)の欄で説明した、分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、酸化ケイ素に換算したケイ素化合物に対する紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下である塗布用組成物を用いることが好ましい。尚、塗布用組成物としては、紫外線遮蔽層付きガラス板の製造時に調製されたものに制限されず、時もしくは場所が異なって調製されたものを使用しても構わない。
(ロ)ガラス基板を用意する。ガラス基板としては上述のものを用いることができる。ガラス基板としては、上述のように、波長400nmの光の透過率が20〜80%、JIS−R3106(1998年)の日射透過率が65%以下、可視光透過率が70%以上であるガラス基板が特に好ましい。
(ハ)ガラス基板の少なくとも片面に上記塗布用組成物を塗布して、ガラス基板上に塗布用組成物の被膜を形成する。ここで形成される被膜は有機溶媒を含む被膜である。塗布用組成物の塗布方法は特に限定はされず、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、メニスカスコート法、ダイコート法など、公知の方法を用いることができる。塗布用組成物の被膜の厚さは、最終的に得られる紫外線遮蔽層の厚さを考慮して決められる。
(ニ)ガラス基板上の塗布用組成物の被膜から有機溶媒を除去するとともにケイ素化合物から酸化ケイ素系マトリックスを形成して紫外線遮蔽層を形成する。塗布用組成物の被膜には揮発性の有機溶媒などを含んでいるため、まずこの揮発性成分を蒸発させて除去する。この揮発性成分の除去は加熱によって行うことが好ましい。この揮発性成分の除去のための加熱と、酸化ケイ素系マトリックスの形成のための加熱は連続していてもよい。また、塗布用組成物の被膜を形成した後室温〜50℃程度の温度下でセッティングを行うことが、塗膜のレベリング性を向上できるため好ましい。セッティングの時間は、30秒〜2時間程度であると好ましい。このセッティングの際に揮発成分が気化して除去される。この際揮発成分が充分除去されることが好ましいが、完全に除去されなくてもよい。
揮発成分除去後、ケイ素化合物から酸化ケイ素系マトリックスを形成させる。この反応は、常温下ないし加熱下に行うことができる。加熱下に酸化ケイ素系マトリックスを形成する場合、マトリックスが有機成分を含むことより、その加熱温度の上限は200℃が好ましく、特に170℃が好ましい。常温でマトリックスを形成することができることより、その加熱温度の下限は特に限定されるものではない。ただし、加熱による反応の促進を意図する場合は、加熱温度の下限は60℃が好ましく、100℃がより好ましい。したがって、この加熱温度は60〜200℃が好ましく、100〜170度がより好ましい。加熱時間は数分〜数時間であることが好ましい。また、ケイ素化合物として触媒を含むポリシラザンを用いた場合には、加熱処理以外に、雰囲気中の水分によるマトリックス形成も可能である。すなわち、約80%以上の湿度下に10分〜数日間、もしくは40〜80%の湿度下に数日間〜数週間保持することで、室温付近の温度でも硬化が進行し、充分な強度を持った被膜とすることができる。
塗布用組成物が重合により有機ポリマーとなる重合性化合物を含む場合、上記マトリックスの形成と同時に重合性化合物を重合させて有機ポリマーを形成させる。例えば、多官能モノマーを上記加熱により重合させることができ、またマトリックス形成の際紫外線を照射して重合させることができる。
以上の製造方法によれば、簡便なプロセスにより、高い紫外線遮蔽性能と高い機械的、化学的耐久性を有する紫外線遮蔽層付きガラス板を効率よく経済的に製造できる。
以下、実施例及び比較例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[調製例1]
低温硬化型ペルヒドロポリシラザン(数平均分子量:1000)(AZ−エレクトロニックマテリアルズ社製、商品名:アクアミカNP−110)を20%含むキシレン溶液を10g、多官能モノマーとしてネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学社製、商品名:A−NPG)を0.4g、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、CGL−777MPA−D)を0.2g、蛍光増白剤として2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、UVITEX−OB)を0.2g秤量し、これらを乾燥窒素気流中、室温で混合し、溶解後組成物Aを得た。
[実施例1〜実施例5]
得られた組成物Aを、表面を清浄した高熱線吸収グリーンガラス(縦10cm、横10cm、厚さ4mm、Tv:73%、Te:50%、波長400nmの光の透過率:61%、旭硝子社製、通称UVFL、)上にスピンコート法によって塗布した。その後、室温で5分間セッティングを行った後、大気中155℃で40分間硬化した。そして、層厚がそれぞれ2.7μm、4.5μm、5.0μm、7.2μm、9.2μmである、実施例1〜実施例5に係る紫外線遮蔽層付きガラス板を得た。
その後、実施例1〜実施例5に係る紫外線遮蔽層付きガラス板について、後に挙げる評価基準に従い、層厚(μm)、波長400nmの光の透過率(%)、ΔH(%)、%で表された曇価の増加量、可視光透過率Tv(%)及び以下に挙げる耐光性試験前後の透過率(%で表された数値)の差(表1においては「耐光性Δ400」という。)を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
Figure 2009184882
実施例2〜実施例5については、さらに耐薬品性試験、耐光性試験を行った。その結果、耐薬品性試験の結果は酸、アルカリともに合格であった。また実施例2についてはさらにスペクトル測定を行った。その結果を図2に示す。実施例2によれば、図2より400nm以下の光がほぼ完全に遮蔽されることが確認された。
[調製例2]
上記低温硬化型ペルヒドロポリシラザンを20%含むキシレン溶液を10g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、TINUVIN 109)を0.2g、上記蛍光増白剤を0.2g秤量し、これらを乾燥窒素気流中、室温で混合し、溶解後組成物Bを得た。
[比較例1]
組成物Aに代えて組成物Bを使用し、層厚を変えた以外は実施例1と同様にして紫外線遮蔽層付きガラス板を得た。得られた紫外線遮蔽層の層厚は4.0μm、紫外線遮蔽層付きガラス板の400nmでの透過率は0.9%であり、Tvは75.3%であった。また、耐摩耗性試験による曇価増加量は4.6%であった。さらに、耐薬品性試験の結果は酸、アルカリともに合格であった。しかし、耐光性試験の結果は不合格であった。
[調製例3]
純水18.02g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製TINUVIN 1130)を3.90g、ポリエチレングリコール400(関東化学製)を0.26g、エチルアルコール(純正化学製)を45.22g、エチルシリケート40(コルコート社製)を32.50g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)を0.10g秤量し、これらを混合、撹拌し、組成物Cを得た。
[比較例2]
組成物Aに代えて組成物Bを使用し、層厚を変えた以外は実施例1と同様にして紫外線遮蔽層付きガラス板を得た。得られた紫外線遮蔽層の層厚は3.3μm、紫外線遮蔽層付きガラス板の400nmでの透過率は40.0%であった。Tvは73.5%であった。また、耐摩耗性試験による曇価増加量は2.1%であった。さらに、耐薬品性試験の結果は酸、アルカリともに合格であった。耐光性試験の結果、不合格であった。
[調製例4]
純水18.02g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、CGL−777MPA−D)を3.90g、ポリエチレングリコール400(関東化学製)を0.26g、エチルアルコール(純正化学製)を45.22g、エチルシリケート40(コルコート社製)を32.50g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)を0.10g秤量し、これらを混合、撹拌し、組成物Dを得た。
[比較例3]
組成物Aに代えて組成物Dを使用した以外は実施例1と同様にして、紫外線遮蔽層付きガラス板を得た。得られた紫外線遮蔽層の層厚は2.7μm、紫外線遮蔽層付きガラス板の400nmでの透過率は55.7%であった。Tvは73.5%であった。しかし、耐摩耗性試験を行おうとしたところ、試験前の初期曇価(ΔH)が既に19.2%と、非常に視認性の低いものであったため、試験を中止した。さらに、耐薬品性試験の結果は酸、アルカリともに合格であった。耐光性試験の結果は不合格であった。
[考察]
実施例1〜5においては、比較例1〜3と比較して、耐光性に優れた紫外線遮蔽層付きガラス板が得られていることがわかる。この理由は必ずしも明確ではないが、実施例1〜5においては、有機ポリマー成分を酸化ケイ素系マトリックス中に添加することにより、紫外線吸収剤の励起エネルギーの無放射遷移が促進され、紫外線吸収剤の光劣化を抑制し、紫外線遮蔽層の光劣化を抑制しているためであると考えられる。
また、実施例1〜5においては、比較例2及び3と比較して、波長400nmの光の遮蔽効果に高度に優れた紫外線遮蔽層付きガラス板が得られていることがわかる。この理由は、実施例1〜5においては、マトリックス中に、疎水性である紫外線吸収剤を高濃度で溶解可能な有機ポリマー成分が添加されていることにより、紫外線吸収性能が高まったためであると考えられる。
[評価]
1)層厚:塗布後、硬化する前に被膜の一部を剃刀を用いて剥離させておき、硬化後に触針式表面粗さ計(Sloan社製:DEKTAK3)を用いて段差を測定して層厚[μm]を得た。
2)波長400nmの光の透過率(%T400):分光光度計(日立製作所製:U−4100)により波長400nmでの紫外線遮蔽層付きガラス板の透過率を測定した。
3)可視光透過率(Tv):分光光度計(日立製作所製:U−4100)により300〜2100nmの紫外線遮蔽層付きガラス板の透過率を測定し、JIS−R3106(1998年)により可視光透過率[%]を算出した。
4)日射透過率(Te):分光光度計(日立製作所製:U−4100)により300〜2100nmのガラス基板の透過率を測定し、JIS−R3106(1998年)により日射透過率[%]を算出した。
5)曇価(ΔH):ヘイズメータ(東洋精機製作所:ヘイズガードプラス)により同一サンプルについて4点測定し、その平均値をヘイズ値(%で表される値)とした。
6)耐摩耗性(%で表された曇価の増加量):テーバー式耐摩耗試験機を用い、JIS−R3212(1998年)に記載の方法によって、CS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験を行い、試験前後の傷の程度を曇価(ヘイズ値:%で表される値)によって測定し、初期曇価との差の数値を曇価の増加量で評価した。
7)耐薬品性:0.05モル/リットルの硫酸溶液及び0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム溶液を被膜上に滴下し、25℃で24時間放置したのち水洗して試験前後での外観、特性の変化を追跡した。外観、特性の変化が見られないものを合格とした。
8)耐光性:促進耐候試験機(サンシャインウェザオーメーター(SWOM))を用い、ガラス面からカーボンアークランプでブラックパネル温度83±2℃の状態で擬似太陽光を2000時間照射し、試験前後の%T400の変化を測定し評価した。照射前後の%T400の差の数値が10未満であることを合格とした。
本発明の紫外線遮蔽層付きガラス板は、優れた紫外線遮蔽性及び耐久性、耐光性を有しており、自動車用のドアガラス板など、機械的及び化学的耐久性が高度に要求される部位への適用も可能である。また、本発明の製造方法によれば、優れた紫外線遮蔽性と耐久性とを兼ね備えた紫外線遮蔽層付きガラスを1回の成膜プロセスにより低コストで製造できるので、特に自動車用ガラス板、建材用ガラス板等の作製に好適に使用できる。
実施形態にかかる紫外線遮蔽層付きガラス板の概略断面図である。 実施例2のスペクトル図である。
符号の説明
10・・・ガラス基板
20・・・紫外線遮蔽層

Claims (24)

  1. ガラス基板と該ガラス基板の少なくとも片面に設けられた紫外線遮蔽層とを有し、
    前記紫外線遮蔽層が、紫外線遮蔽性有機化合物と有機ポリマーとを含む有機成分が包含された酸化ケイ素系マトリックスから構成され、
    前記紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[マトリックス]の質量比で1/100以上、かつ、前記有機成分の含有量が[有機成分]/[マトリックス]の質量比で50/100以下である、紫外線遮蔽層付きガラス板であって、
    前記紫外線遮蔽層付きガラス板は、波長400nmの光の透過率が、前記ガラス基板の波長400nmの光の透過率が61%である場合に3%以下であり、紫外線遮蔽層に対してJIS−R3212(1998年)によるCS−10F摩耗ホイールで1000回転の摩耗試験を行った場合に試験前後の曇価(%で表された数値)の差が5以下であることを特徴とする紫外線遮蔽層付きガラス板。
  2. 前記紫外線遮蔽層における前記有機ポリマーの含有量が[有機ポリマー]/[マトリックス]の質量比で1/100以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  3. 前記紫外線遮蔽性有機化合物が、有機系紫外線吸収剤と有機系蛍光増白剤の組合せからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  4. 前記有機系紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アントラセン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  5. 紫外線遮蔽性有機化合物が疎水性の有機化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  6. 前記酸化ケイ素系マトリックスが、分解縮合反応により酸化ケイ素となるケイ素化合物から前記紫外線遮蔽層形成時に形成された酸化ケイ素系マトリックスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  7. 前記ケイ素化合物がポリシラザン類であることを特徴とする請求項6に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  8. 前記有機ポリマーが、前記酸化ケイ素系マトリックスの形成の際に同時に重合により形成された有機ポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  9. 有機ポリマーが、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる少なくとも1種の重合性官能基を2以上有する多官能モノマーの単位を含むポリマーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  10. 前記紫外線遮蔽層の層厚が、2〜10μmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  11. 前記ガラス基板の波長400nmの光の透過率が20〜80%、JIS−R3106(1998年)の日射透過率が65%以下、可視光透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  12. 前記紫外線遮蔽層に対し、促進耐候試験機(サンシャインウェザオーメーター(SWOM))を用い、ガラス面からカーボンアークランプでブラックパネル温度83±2℃の状態で擬似太陽光を2000時間照射した場合に試験前後の波長400nmの光の透過率(%で表された数値)の差が10未満であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板。
  13. 分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、酸化ケイ素に換算した前記ケイ素化合物に対する前記紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、前記有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下である塗布用組成物を、ガラス基板の少なくとも片面に塗布して前記塗布用組成物の塗膜を形成する工程と、
    前記ガラス基板の表面上において前記塗布用組成物の塗膜から前記有機溶媒を除去するとともに前記ケイ素化合物から酸化ケイ素系マトリックスを形成して紫外線遮蔽層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  14. 酸化ケイ素に換算した前記ケイ素化合物に対する、前記有機ポリマー及び重合により有機ポリマーとなる前記重合性化合物の含有量が、[有機ポリマーと重合性化合物の合計]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上であることを特徴とする請求項13に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  15. 前記紫外線遮蔽性有機化合物が、有機系紫外線吸収剤と有機系蛍光増白剤の組合せからなることを特徴とする請求項13又は14に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  16. 前記有機溶媒が疎水性有機溶媒であり、前記塗布用組成物において前記ケイ素化合物、前記紫外線遮蔽性有機化合物、前記有機ポリマー及び重合により有機ポリマーとなる前記重合性化合物が前記疎水性有機溶媒に溶解していることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  17. 塗布用組成物が重合により有機ポリマーとなる重合性化合物を含有し、前記ケイ素化合物が酸化ケイ素系マトリックスとなる際に該重合性化合物を重合させることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  18. 重合性化合物が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる少なくとも1種の重合性官能基を2以上有する多官能モノマーを含むことを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  19. 前記ケイ素化合物がポリシラザン類であることを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  20. 紫外線遮蔽層を形成する工程において、60〜200℃に加熱して前記ケイ素化合物から酸化ケイ素を形成することを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽層付きガラス板の製造方法。
  21. 分解縮合反応により酸化ケイ素ゲルとなるケイ素化合物、紫外線遮蔽性有機化合物、有機ポリマー又は重合により有機ポリマーとなる重合性化合物、及び、有機溶媒を含み、
    酸化ケイ素に換算した前記ケイ素化合物に対する前記紫外線遮蔽性有機化合物の含有量が[紫外線遮蔽性有機化合物]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上、前記有機溶媒を除く有機成分の含有量が[有機溶媒を除く有機成分]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で50/100以下であることを特徴とする塗布用組成物。
  22. 酸化ケイ素に換算した前記ケイ素化合物に対する、前記有機ポリマー及び重合により有機ポリマーとなる前記重合性化合物の含有量が、[有機ポリマーと重合性化合物の合計]/[酸化ケイ素に換算したケイ素化合物]の質量比で1/100以上であることを特徴とする請求項21に記載の塗布用組成物。
  23. 前記有機溶媒が疎水性有機溶媒であり、前記塗布用組成物において前記ケイ素化合物、前記紫外線遮蔽性有機化合物、前記有機ポリマー及び重合により有機ポリマーとなる前記重合性化合物が前記疎水性有機溶媒に溶解していることを特徴とする請求項21又は22に記載の塗布用組成物。
  24. 前記ケイ素化合物がポリシラザン類であることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の塗布用組成物。
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