JP2009184382A - ハイブリッド自動車およびその制御方法 - Google Patents

ハイブリッド自動車およびその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009184382A
JP2009184382A JP2008023174A JP2008023174A JP2009184382A JP 2009184382 A JP2009184382 A JP 2009184382A JP 2008023174 A JP2008023174 A JP 2008023174A JP 2008023174 A JP2008023174 A JP 2008023174A JP 2009184382 A JP2009184382 A JP 2009184382A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
driving force
torque
value
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008023174A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuaki Higa
光明 比嘉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008023174A priority Critical patent/JP2009184382A/ja
Publication of JP2009184382A publication Critical patent/JP2009184382A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Landscapes

  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】複数の運転モードを選択可能なハイブリッド自動車において運転モードごとに走行用の動力の出力状態をより適正に制御する。
【解決手段】ハイブリッド自動車20では、目標トルクT*の設定に際し、所定条件(S1510,S1520)が成立すると共にノーマルモードが選択されているときには、要求トルクTr*と上限レート値Truとして設定される値Trunorまたは値Tranor等とに基づいて緩変化するように目標トルクT*が設定される(S1570またはS1610)。また、上記所定条件が成立すると共にパワーモードが選択されているときには、要求トルクTr*と値Trunor,Tranorに比べて目標トルクT*を急峻に変化させる傾向をもった値TrupwrまたはTrapwr等とに基づいて緩変化するように目標トルクT*が設定される(S1570またはS1610)。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッド自動車およびその制御方法に関する。
従来から、アクセル操作に対して異なる駆動力特性を定めた複数の走行モードを切り替えて走行するハイブリッド自動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、パワースイッチがオンされると共にアクセルペダルが踏み増されてノーマルモードからパワーモードに設定が切り替えられると、アクセル開度が所定開度よりも大きな領域にあるときには非線形の特性をもってノーマルモードよりも大きな実行用アクセル開度が設定され、設定された実行用アクセル開度に基づくトルクにより走行するようにエンジンやモータが制御される。また、エンジンとモータとを備えたハイブリッド自動車として、燃費優先から駆動力優先まで段階的に複数の異なる走行モードを選択可能なものも知られており(例えば、特許文献2参照)、このハイブリッド自動車では、駆動力を優先する走行モードほど、アクセルの踏み込み量に対する要求トルクが大きく設定される。更に、ハイブリッド車の制御装置として、車両の走行状態に基づいて求められる電動機の第1の目標出力軸トルクと発電機の第1の目標入力軸回転数との双方に施すフィルタ処理のフィルタ時定数をスポーツ走行モードに相当するシフトレンジにおいて通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くするものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−091073号公報 特開2007−554436号公報 特開2004−343830号公報
上述のように、ハイブリッド自動車の運転モード(走行モード)を複数用意することにより、運転者の多様なニーズに応えることが可能となる。ただし、このようなハイブリッド自動車において振動やショックの抑制や高出力の要求といった互いに相反するニーズに応えるためには、走行用の動力の出力状態すなわち車軸に対する動力の出力状態を運転モードごとにそれぞれの優先事項に合致するように制御する必要がある。
そこで、本発明は、複数の運転モードを選択可能なハイブリッド自動車において、運転モードごとに走行用の動力の出力状態をより適正に制御することを主目的とする。
本発明によるハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明によるハイブリッド自動車は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含むハイブリッド自動車であって、
通常走行用の第1の運転モードと、該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを実行用運転モードとして選択するための運転モード選択手段と、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて目標駆動力を設定すると共に、所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第1の運転モードが選択されているときには、前記設定された要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定し、前記所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第2の運転モードが選択されているときには、前記設定された要求駆動力と前記第1の緩変化制約に比べて前記目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
前記実行用運転モードのもとで、前記設定された目標駆動力に基づく走行用の動力が得られるように前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
このハイブリッド自動車では、実行用運転モードとして、通常走行用の第1の運転モードと、当該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを選択することができる。そして、このハイブリッド自動車では、走行に要求される要求駆動力に基づいて目標駆動力が設定されると共に、実行用運転モードのもとで、目標駆動力に基づく走行用の動力が得られるように内燃機関と電動機とが制御される。更に、目標駆動力の設定に際し、所定条件が成立すると共に実行用運転モードとして第1の運転モードが選択されているときには、要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように目標駆動力が設定される。また、上記所定条件が成立すると共に実行用運転モードとして第2の運転モードが選択されているときには、要求駆動力と第1の緩変化制約に比べて目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように目標駆動力が設定される。これにより、通常走行用の第1の運転モードが選択された場合には、第2の運転モードが選択された場合に比べて、走行用の動力の出力応答性が若干低下するものの、第1の緩変化制約に基づいて走行用の動力を緩変化させることで振動やショックを良好に抑制することが可能となる。また、走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードが選択された場合には、第1の緩変化制約に比べて目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約を用いる関係上、通常走行用の第1の運転モードが選択された場合に比べて振動やショックが若干増加するものの、走行用の動力を応答性よく得ることが可能となり、運転者による高出力要求を良好に満たすことが可能となる。従って、このハイブリッド自動車では、走行用の動力の出力状態すなわち車軸に対する動力の出力状態を運転モードごとにそれぞれの優先事項に合致するようにより適正に制御することが可能となる。
また、前記第1の制約は、前記設定された要求駆動力と第1の上限レート値とを用いたレート処理により前記目標駆動力を緩変化させる制約であってもよく、前記第2の制約は、前記設定された要求駆動力と前記第1の上限レート値よりも大きい第2の上限レート値とを用いたレート処理により前記目標駆動力を緩変化させる制約であってもよい。これにより、第2の運転モードの選択時に、振動やショックの発生をある程度抑制しつつ、走行用の動力を応答性よく得ることが可能となり、運転者による高出力要求を良好に満たすことが可能となる。
更に、前記所定の条件は、走行用の動力が値0を含む所定範囲内に含まれるときに成立するものであってもよい。これにより、第1の運転モードが選択されている最中に走行用の動力が値0を跨いで変化するときには、走行用の動力の変化に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。また、第2の運転モードが選択されている最中に走行用の動力が値0を跨いで変化するときには、第1の運転モードの選択時に比べて振動やショックが若干増加するものの、走行用の動力を応答性よく変化させることが可能となる。
また、前記要求駆動力設定手段は、運転者によるアクセル操作量に基づいて前記要求駆動力を設定するものであってもよく、前記所定の条件は、前記アクセル操作量の変化度合が所定度合以上となるときに成立するものであってもよい。これにより、第1の運転モードが選択されている最中にアクセル操作量の変化度合が所定度合以上となったときには、アクセル操作量に応じた走行用の動力の変化に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。また、第2の運転モードが選択されている最中にアクセル操作量の変化度合が所定度合以上となったときには、第1の運転モードの選択時に比べて振動やショックが若干増加するものの、アクセル操作量の変化に応じて走行用の動力を応答性よく得ることが可能となる。
更に、前記ハイブリッド自動車は、前記内燃機関をクランキング可能であると共に前記蓄電手段と電力をやり取りすることができる電動クランキング手段を更に備えてもよく、前記所定の条件は、前記電動クランキング手段によるクランキングを伴う前記内燃機関の始動時であって前記蓄電手段の放電に許容される電力である放電許容電力が所定の閾値未満であるときに成立するものであってもよい。これにより、第1の運転モードが選択されている最中に蓄電手段の放電許容電力が所定の閾値未満である状態で内燃機関を始動させるときには、走行性能が若干低下するものの内燃機関の始動に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。また、第2の運転モードが選択されている最中に蓄電手段の放電許容電力が所定の閾値未満である状態で内燃機関を始動させるときには、内燃機関の始動に伴う振動やショックが若干増加するものの、走行用の動力を応答性よく得ることが可能となる。
また、前記ハイブリッド自動車は、所定の車軸と前記内燃機関の機関軸とに接続されて電力と動力との入出力を伴って前記車軸と前記機関軸とに動力を入出力すると共に前記蓄電手段と電力をやり取り可能な電力動力入出力手段を更に備えてもよく、前記電動機は、前記車軸または該車軸とは異なる他の車軸に動力を出力可能であってもよい。更に、前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能であると共に前記蓄電手段と電力をやり取りすることができる発電用電動機と、前記車軸と前記内燃機関の前記機関軸と前記発電用電動機の回転軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段とを含むものであってもよい。
本発明によるハイブリッド自動車の制御方法は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、通常走行用の第1の運転モードと該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを実行用運転モードとして選択するための運転モード選択手段とを備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
(a)走行に要求される要求駆動力に基づいて目標駆動力を設定すると共に、所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第1の運転モードが選択されているときには、前記要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定し、前記所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第2の運転モードが選択されているときには、前記要求駆動力と前記第1の緩変化制約に比べて前記目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定するステップと、
(b)前記実行用運転モードのもとで、ステップ(a)にて設定された目標駆動力に基づく走行用の動力が得られるように前記内燃機関と前記電動機とを制御するステップと、
を含むものである。
この方法によれば、走行用の動力の出力状態すなわち車軸に対する動力の出力状態を運転モードごとにそれぞれの優先事項に合致するようにより適正に制御することが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフト(機関軸)26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された車軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70等とを備えるものである。
エンジン22は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22に対して設けられて当該エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。そして、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号や上記センサからの信号等に基づいてエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。機関側回転要素としてのキャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、車軸側回転要素としてのリングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側とにそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ列37およびデファレンシャルギヤ38を介して最終的に駆動輪である車輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびMG2は、何れも発電機として作動すると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介して二次電池であるバッテリ50と電力のやり取りを行う。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の何れか一方により発電される電力を他方のモータで消費できるようになっている。従って、バッテリ50は、モータMG1,MG2の何れかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになり、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されないことになる。モータMG1,MG2は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や、図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号等が出力される。また、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンを実行し、モータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。更に、モータECU40は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号等に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からのバッテリ温度Tb等が入力されている。バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70やエンジンECU24に出力する。更に、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCを算出したり、当該残容量SOCに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を算出したり、残容量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Winとバッテリ50の放電に許容される電力である放電許容電力としての出力制限Woutとを算出したりする。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定すると共に、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定可能である。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速V等が入力ポートを介して入力される。また、実施例のハイブリッド自動車20の運転席近傍には、走行に際して実際に用いられる運転モード(以下「実行用運転モード」という)として動力性能すなわちアクセル操作に対するトルク出力の応答性を優先するパワーモード(第2の運転モード)を選択するためのパワースイッチ(運転モード選択手段)88が設けられており、このパワースイッチ88からのオン/オフ信号もハイブリッドECU70に入力される。ここで、パワースイッチ88がオフされた状態では、実行用運転モードとしてノーマルモード(第1の運転モード)が選択されることになり、この状態では、ハイブリッドECU70により、所定のパワーモードフラグFpwrが値0に設定されると共にノーマルモード選択時用の各種制御手順に従ってハイブリッド自動車20が制御されることになる。また、パワースイッチ88がオンされてハイブリッド自動車20の実行用運転モードとしてパワーモードが選択されると、ハイブリッドECU70により、上記パワーモードフラグFpwrが値1に設定されると共に予め定められたパワーモード選択時用の各種制御手順に従ってハイブリッド自動車20が制御されることになる。すなわち、運転者によりパワーモードが選択されたときには、ノーマルモードの選択時に比べて車軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを高めて運転者によるアクセル操作に対するトルク出力の応答性が向上するようにエンジン22、モータMG1およびMG2が制御される。そして、ハイブリッドECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52等と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52等と各種制御信号やデータのやり取りを行っている。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクが計算され、この要求トルクに基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御モードとしては、要求トルクに見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求トルクとバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求トルクに応じたトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2から要求トルクに見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するように運転制御するモータ運転モード等がある。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2および図3は、実施例のハイブリッドECU70により所定時間(例えば数msec)ごとに繰り返し実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図2等に示す駆動制御ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速V、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、充放電要求パワーPb*、バッテリ50の入出力制限Win,Wout、パワーモードフラグFpwrの値といった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。なお、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータECU40から通信により入力するものとし、充放電要求パワーPb*や入出力制限Win,Woutは、バッテリECU52から通信により入力するものとした。また、パワーモードフラグFpwrは、上述のように運転者によるパワースイッチ88の操作状態に応じてハイブリッドECU70により設定されて所定の記憶領域に保持されるものである。
ステップS100のデータ入力処理の後、入力したパワーモードフラグFpwrが値0であるか否かを判定する(ステップS110)。パワーモードフラグFpwrが値0であって実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されている場合には、ステップS100にて入力したアクセル開度Accと駆動力設定制約としてのノーマルモード時アクセル開度設定用マップとを用いて制御上のアクセル開度である実行用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS120)。また、パワーモードフラグFpwrが値1であって実行用運転モードとしてパワーモードが選択されている場合には、ステップS100にて入力したアクセル開度Accと駆動力設定制約としてのパワーモード時アクセル開度設定用マップとを用いて制御上のアクセル開度である実行用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS130)。図4にノーマルモード時アクセル開度設定用マップおよびパワーモード時アクセル開度設定用マップを例示する。図4に示すように、実施例のノーマルモード時アクセル開度設定用マップは、0〜100%の範囲でアクセル開度Accに対して実行用アクセル開度Acc*が線形性をもつように予め作成されてROM74に記憶されている。図4に例示するノーマルモード時アクセル開度設定用マップは、アクセル開度Accをそのまま実行用アクセル開度Acc*として設定するように作成されたものである。また、実施例のパワーモード時アクセル開度設定用マップは、図4に示すように、低車速時における車両の飛び出し感を抑制すべく任意の低アクセル開度領域にあるアクセル開度Accに対してはノーマルモード時アクセル開度設定用マップにより設定されるものと同一の値を実行用アクセル開度Acc*として設定し、低アクセル開度領域以外の100%までのアクセル開度Accに対してはアクセル操作に対するトルク出力の応答性を向上させるべくノーマルモード時アクセル開度設定用マップにより設定されるものよりも大きな値を実行用アクセル開度Acc*として設定するように作成されてROM74に記憶されている。
ステップS120またはS130にて実行用アクセル開度Acc*を設定したならば、実行用アクセル開度Acc*とステップS100にて入力したブレーキペダルポジションBPおよび車速Vとに基づいてアクセルペダル83を介して運転者により要求されている要求トルクTr*を設定する(ステップS140)。実施例では、実行用アクセル開度Acc*とブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクTr*との関係が予め定められて駆動力設定制約としての要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられた実行用アクセル開度Acc*とブレーキペダルポジションBPと車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。このような処理が実行される結果、運転者によりパワーモードが選択されているときに実行用アクセル開度Acc*がノーマルモードの選択時に比べて大きく設定されると、それに応じて、要求トルクTr*がノーマルモードの選択時に比べて大きく設定されることになる。
続いて、ステップS140にて設定した要求トルクTr*に基づいて車軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべきトルクの目標値である目標トルクT*を設定する(ステップS150)。図3にステップS150の処理の詳細を示す。ステップS150の処理の開始に際しては、同図に示すように、ステップS100にて入力したアクセル開度Accから本ルーチンの前回実行時に入力されたアクセル開度Acc(前回値)を減じることによりアクセル開度変化量ΔAccを計算する(ステップS1500)。次いで、計算したアクセル開度変化量ΔAccが予め定められた閾値Accref未満であるか否かを判定する(ステップS1510)。実施例において、ステップS1510にて用いられる閾値Accrefとしては、比較的大きな値が用いられ、アクセル開度変化量ΔAccが閾値Accref未満であれば、更に本ルーチンの前回実行時に設定された目標トルクT*(前回値)の絶対値が所定のトルク閾値Tref以下であるか否かを判定する(ステップS1520)。トルク閾値Trefは、車軸としてのリングギヤ軸32aに実際に出力される走行用のトルク(負のトルクを含む)が値0を含む所定範囲(値0近傍)に含まれているとみなせるか否かを判定するためのものであり、実験・解析を経て定められる比較的小さな正の値である。すなわち、ステップS1520では、目標トルクT*の前回値が値0を含む値−Trefから値Trefまでの範囲内にあるか否かを判定する。そして、目標トルクT*の前回値が値−Trefから値Trefまでの範囲内に含まれていない場合には、ステップS140にて設定した要求トルクTr*をそのまま目標トルクT*として設定する(ステップS1530)。
また、ステップS1520にて目標トルクT*の前回値が値−Trefから値Trefまでの範囲内に含まれていると判断された場合には、パワーモードフラグFpwrが値0であるか否か、すなわち実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているか否かを判定する(ステップS1540)。パワーモードフラグFpwrが値0であって実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されている場合には、目標トルクT*の所定時間(ここでは本ルーチンの実行間隔)あたり変化量の上限値である上限レート値Truをノーマルモード用の値Trunor(第1の緩変化制約)に設定すると共に目標トルクT*の所定時間あたり変化量の下限値である下限レート値Trlをノーマルモード用の値Trlnor(第1の緩変化制約)に設定する(ステップS1550)。また、パワーモードフラグFpwrが値1であって実行用運転モードとしてパワーモードが選択されている場合には、上限レート値Truをパワーモード用の値Trupwr(第2の緩変化制約)に設定すると共に下限レート値Trlをパワーモード用の値Trlpwr(第2の緩変化制約)に設定する(ステップS1560)。実施例において、ステップS1550またはS1560にて上限レート値Truとして設定される値Trunorおよび値Trupwrと下限レート値Trlとして設定される値TrlnorおよびTrlpwrとは、何れも実験・解析を経て定められる比較的小さな正の値とされるが、パワーモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Trupwrは、ノーマルモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Trunorよりも大きく定められると共に、パワーモードの選択時に下限レート値Trlとして設定される値Trlpwrは、ノーマルモードの選択時に下限レート値Trlとして設定される値Trlnorよりも大きく定められている。
こうして上限レート値Truおよび下限レート値Trlを設定したならば、要求トルクTr*と目標トルクT*の前回値と上限レート値Truおよび下限レート値Trlとに基づいて目標トルクT*を設定する(ステップS1570)。すなわち、ステップS1570では、次式(1)に示すように、目標トルクT*の前回値から下限レート値Trlを減じた値とステップS110で設定した要求トルクTr*とのうちの大きい方と、目標トルクT*の前回値に上限レート値Truを加えた値とのうちの小さい方を目標トルクT*として設定する。これにより、例えばブレーキオン状態あるいはアクセルオフ状態からアクセルオン状態へと移行して要求トルクTr*が増加していく場合やアクセルオン状態からブレーキオン状態あるいはアクセルオフ状態へと移行して要求トルクTr*が減少していく場合、実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているときには、走行用のトルク(目標トルクT*の前回値)が値0を含む所定範囲(値0近傍*)に含まれる間、目標トルクT*が第1の緩変化制約としての値Trunorおよび値Trlnorと要求トルクTr*とに基づいて緩変化するように設定される(ステップS1570)。また、実行用運転モードとしてパワーモードが選択されているときには、走行用のトルクが値0を含む所定範囲に含まれる間、目標トルクT*が第2の緩変化制約としての値Trupwrおよび値Trlpwrと要求トルクTr*とに基づいてノーマルモードの選択時に比べて急峻に緩変化するように設定される(ステップS1570)。
T* = min(max(Tr*,前回T*-Trl),前回T*+Tru) …(1)
一方、ステップS1510にてアクセル開度変化量ΔAccが閾値Accref以上であると判断された場合には、パワーモードフラグFpwrが値0であるか否か、すなわち実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているか否かを判定する(ステップS1580)。パワーモードフラグFpwrが値0であって実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されている場合には、目標トルクT*の所定時間(本ルーチンの実行間隔)あたり変化量の上限値である上限レート値Truをノーマルモード用の値Tranor(第1の緩変化制約)に設定する(ステップS1590)。また、パワーモードフラグFpwrが値1であって実行用運転モードとしてパワーモードが選択されている場合には、上限レート値Truをパワーモード用の値Trapwr(第2の緩変化制約)に設定する(ステップS1600)。実施例において、ステップS1590またはS1600にて上限レート値Truとして設定される値TranorおよびTrapwrは、何れも実験・解析を経て定められる比較的小さな正の値とされるが、パワーモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Trapwrは、ノーマルモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Tranorよりも大きく定められている。なお、ステップS1550にて上限レート値Truとして設定される値TrunorとステップS1590にて上限レート値Truとして設定される値Tranorとは同一であってもよく、異なっていてもよい。同様に、ステップS1560にて上限レート値Truとして設定される値TrupwrとステップS1600にて上限レート値Truとして設定される値Trapwrとは同一であってもよく、異なっていてもよい。
こうして上限レート値Truを設定したならば、要求トルクTr*と目標トルクT*の前回値と上限レート値Truとに基づいて目標トルクT*を設定する(ステップS1610)。すなわち、ステップS1610では、次式(2)に示すように、要求トルクTr*と目標トルクT*の前回値に上限レート値Truを加えた値とのうちの小さい方を目標トルクT*として設定する。これにより、運転者によりアクセルペダル83が大きく踏み込まれてアクセル開度変化量ΔAccが閾値Accref以上となった場合、実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているときには、目標トルクT*が第1の緩変化制約としての値Tranorと要求トルクTr*とに基づいて緩変化するように設定される(ステップS1610)。また、実行用運転モードとしてパワーモードが選択されているときには、目標トルクT*が第2の緩変化制約としての値Trapwrと要求トルクTr*とに基づいて、ノーマルモードの選択時に比べて急峻に緩変化するように設定される(ステップS1610)。
T* = min(Tr*,前回T*+Tru) …(2)
上述のようにして目標トルクT*を設定したならば、当該目標トルクT*に基づいて車両全体に要求される目標パワーP*を設定する(ステップS160)。実施例において、目標パワーP*は、設定した目標トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと充放電要求パワーPb*とロスLossとの総和として計算される。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、図示するようにモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除するか、あるいは車速Vに換算係数kを乗じることによって求めることができる。続いて、エンジン22が運転されているか否かを判定し(ステップS170)、エンジン22が運転されている場合には、更にエンジン22の運転を続行すべきか否かを判定する(ステップS180)。ステップS180にてエンジン22の運転を継続させるべきと判断された場合には、ステップS160にて設定された目標パワーP*に基づいてエンジン22の仮の目標運転ポイントである仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpとを設定する(ステップS190)。実施例では、エンジン22を効率よく動作させるための動作ラインと目標パワーP*とに基づいてエンジン22の仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpとを設定するものとした。図6に、エンジン22の動作ラインと回転数NeとトルクTeとの相関曲線とを例示する。同図に示すように、仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpとは、上記動作ラインと目標パワーP*(Netmp×Tetmp)が一定となることを示す相関曲線との交点として求めることができる。次いで、ステップS100にて入力したパワーモードフラグFpwrが値1であって実行用運転モードとしてパワーモードが選択されているか否かを判定し(ステップS200)、実行用運転モードとしてパワーモードが選択されていなければ、仮目標回転数Netmpをエンジン22の目標回転数Ne*として設定すると共に仮目標トルクTetmpをエンジン22の目標トルクTe*として設定する(ステップS210)。また、実行用運転モードとしてパワーモードが選択されている場合には、エンジン22から速やかにトルクを出力可能となるようにエンジン22の回転数Neの下限値であるエンジン下限回転数Neminを設定する(ステップS220)。実施例では、車速Vとエンジン下限回転数Neminとの関係が予め定められて図示しないエンジン下限回転数設定用マップとしてROM74に記憶されており、エンジン下限回転数Neminとしては、与えられた車速Vに対応したものが当該マップから導出・設定される。こうしてエンジン下限回転数Neminを設定したならば、仮目標回転数Netmpとエンジン下限回転数Neminとの大きい方をエンジン22の目標回転数Ne*として設定すると共に、ステップS160にて設定した目標パワーP*を目標回転数Ne*で除することによりエンジン22の目標トルクTe*を設定する(ステップS230)。
ステップS210またはS230にてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定したならば、目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)とを用いて次式(3)に従いモータMG1の目標回転数Nm1*を計算した上で、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とを用いて次式(4)に従いモータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定する(ステップS240)。ここで、式(3)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。図7に動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を例示する。図中、左側のS軸はモータMG1の回転数Nm1に一致するサンギヤ31の回転数を示し、中央のC軸はエンジン22の回転数Neに一致するキャリア34の回転数を示し、右側のR軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。また、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1にトルクTm1を出力させたときにこのトルク出力によりリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2にトルクTm2を出力させたときに減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。モータMG1の目標回転数Nm1*を求めるための式(3)は、この共線図における回転数の関係を用いれば容易に導出することができる。そして、式(4)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(4)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(3)
Tm1*=-ρ/(1+ρ)・Te*+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt …(4)
次いで、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとステップS240にて設定したモータMG1に対するトルク指令Tm1*とモータMG1,MG2の現在の回転数Nm1,Nm2とを用いてモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(5)および式(6)に従い計算する(ステップS250)。更に、目標トルクT*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮モータトルクTm2tmpを次式(7)に従い計算する(ステップS260)。そして、モータMG2に対するトルク指令Tm2*をトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値に設定する(ステップS270)。このようにしてモータMG2に対するトルク指令Tm2*を設定することにより、車軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内に制限することができる。なお、式(7)は、図7の共線図から容易に導出することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS280)、再度ステップS100以降の処理を実行する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを得るための制御を実行する。更に、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*に従ってモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(5)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(6)
Tm2tmp=(T*+Tm1*/ρ)/Gr …(7)
また、ステップS180にて、例えば車速Vが所定の所定の間欠禁止車速未満であり、かつ目標パワーP*が所定の閾値未満であってエンジン22の運転を停止すべきと判断された場合には、所定のエンジン停止フラグをオンした上で(ステップS290)、本ルーチンを終了させる。こうしてエンジン停止フラグがオンされた場合には、ハイブリッドECU70により図示しないエンジン停止制御ルーチンが実行される。なお、エンジン停止制御ルーチンは、エンジン22に対する燃料供給を停止した状態で、例えばエンジン22の回転数Neが所定の停止直前回転数に達するまでエンジン22の回転を抑制するための負のトルクをモータMG1に対するトルク指令Tm1*として設定すると共に、回転数Neが停止直前回転数に達したタイミングでピストンを保持するための正のトルクをモータMG1に対するトルク指令Tm1*として設定し、更に目標トルクT*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する処理であり、エンジン停止制御ルーチンが終了するとエンジン停止フラグがオフされることになる。
一方、ステップS170にてエンジン22の運転が停止されていると判断された場合には、エンジン22を始動させるべきか否かを判定し(ステップS300)、エンジン22の運転停止状態を継続させるべき場合には、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をそれぞれ値0に設定すると共に(ステップS310)、モータMG1に対するトルク指令Tm1*を値0に設定した上で(ステップS320)、上述のステップS250以降の処理を実行する。これに対して、車速Vが所定の間欠禁止車速以上である場合や、目標パワーP*が所定のエンジン始動閾値以上である場合等には、所定のエンジン始動フラグをオンした上で(ステップS330)、本ルーチンを終了させる。こうしてエンジン始動フラグがオンされた場合には、ハイブリッドECU70により図8に示すエンジン始動時駆動制御ルーチンが実行される。
引き続き、図8を参照しながら、エンジン始動時駆動制御ルーチンについて説明する。図8のエンジン始動時駆動制御ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP、車速V、エンジン22の回転数Ne、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、バッテリ50の入出力制限Win,Wout、パワーモードフラグFpwrの値といった制御に必要なデータを入力する(ステップS400)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。ステップS400におけるデータ入力処理の後、図3に示す要求トルク設定用マップを用いてステップS400にて入力したアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vとに応じた要求トルクTr*を設定する(ステップS410)。
次いで、ステップS400にて入力したバッテリ50の出力制限Woutが予め定められた閾値W0未満であるか否かを判定する(ステップS420)。ステップS420にて用いられる閾値W0は、比較的小さな値が用いられ、出力制限Woutが閾値W0以上である場合には、ステップS410にて設定した要求トルクTr*をそのまま目標トルクT*として設定する(ステップS430)。また、ステップS420にて出力制限Woutが閾値W0未満であると判断された場合には、パワーモードフラグFpwrが値0であるか否か、すなわち実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているか否かを判定する(ステップS440)。パワーモードフラグFpwrが値0であって実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されている場合には、目標トルクT*の所定時間(本ルーチンの実行間隔)あたり変化量の上限値である上限レート値Truをノーマルモード用の値Trenor(第1の緩変化制約)に設定する(ステップS450)。また、パワーモードフラグFpwrが値1であって実行用運転モードとしてパワーモードが選択されている場合には、上限レート値Truをパワーモード用の値Trepwr(第2の緩変化制約)に設定する(ステップS460)。実施例において、ステップS450またはS460にて上限レート値Truとして設定される値TrenorおよびTrepwrは、何れも実験・解析を経て定められる比較的小さな正の値とされるが、パワーモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Trepwrは、ノーマルモードの選択時に上限レート値Truとして設定される値Trenorよりも大きく定められている。なお、ステップS450にて上限レート値Truとして設定される値Trenorと上述の値Trunorや値Tranorとは同一であってもよく、異なっていてもよい。同様に、ステップS460にて上限レート値Truとして設定される値Trepwrと上述の値Trupwrや値Trapwrとは同一であってもよく、異なっていてもよい。こうして上限レート値Truを設定したならば、要求トルクTr*と目標トルクT*の前回値に上限レート値Truを加えた値とのうちの小さい方を目標トルクT*として設定する(ステップS480)。これにより、エンジン22を始動させる際にバッテリ50の出力制限Woutが閾値W0未満となる場合、実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているときには、目標トルクT*が第1の緩変化制約としての値Trenorと要求トルクTr*とに基づいて緩変化するように設定される(ステップS470)。また、実行用運転モードとしてパワーモードが選択されているときには、目標トルクT*が第2の緩変化制約としての値Trepwrと要求トルクTr*とに基づいて、ノーマルモードの選択時に比べて急峻に緩変化するように設定される(ステップS470)。
ステップS430またはS470にて目標トルクT*を設定したならば、予め定められてROM74に記憶されているクランキングトルク設定用マップを用いて、ステップS400にて入力したエンジン22の回転数Neと、図示しないタイマにより計時されるエンジン22の始動処理の開始からの経過時間tとに基づくエンジン22をクランキングするクランキングトルクとしてのモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS480)。ステップS480にて用いられるクランキングトルク設定用マップは、エンジン22をクランキングして始動させる際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neと始動開始時からの経過時間tとの関係を例えば図9に示すように規定するものである。このクランキングトルク設定用マップを用いた場合、図9に示すように、エンジン22の回転数Neを迅速に増加させるべく、ステップS480が最初に実行される時間t1の直後からレート処理を用いて比較的大きなトルクがトルク指令Tm1*(クランキングトルク)として設定される。そして、エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過したか、あるいは共振回転数帯を通過するのに必要な時間が経過した以降の時間t2になると、エンジン22を安定して点火開始回転数Nfire以上でクランキングすることができるトルクがトルク指令Tm1*として設定され、それにより、電力消費やエンジン22のクランキングに伴ってモータMG1により駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルク(反力)を小さくしている。更に、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nfireに達した時間t3からレート処理を用いてクランキングトルクが値0まで漸減させられる。なお、エンジン22の完爆が判定された時間t4から発電用のトルクがモータMG1に対するトルク指令Tm1*として設定されることになる。
こうしてモータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定したならば、図2のステップS250と同様にしてトルク制限Tmin,Tmaxを計算すると共に(ステップS490)、図2のステップS260と同様にしてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを計算し(ステップS500)、計算した仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmax,Tminで制限することによりモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS510)。これにより、エンジン22をクランキングするトルク(モータMG1のトルク指令Tm1*)に応じてリングギヤ軸32aに作用する駆動力に対する反力としてのトルク(=−1/ρ・Tm1*)をキャンセルしつつリングギヤ軸32aに目標トルクT*を出力するためのトルク指令Tm2*をバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内に制限したトルクとして設定することができる。そして、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する(ステップS520)。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
続いて、燃料噴射制御や点火制御が開始されるまでは値0に設定されると共に燃料噴射制御や点火制御が開始されると値1に設定される燃料噴射開始フラグFfireが値0であるか否か判定し(ステップS530)、燃料噴射開始フラグFfireが値0であるときには、更に、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nfireに達しているか否かを判定する(ステップS540)。点火開始回転数Nfireは、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を開始するときのエンジン22の回転数であり、例えば1000〜1200rpmといった値とされる。エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nfireに達していないときには、ステップS400からS530までの処理を繰り返す。また、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nfireに達したときには、燃料噴射制御と点火制御を開始させるための制御信号をエンジンECU24に送信すると共に燃料噴射開始フラグFfireに値1を設定した上で(ステップS550)、エンジン22が完爆に至ったか否かを判定し(ステップS560)、エンジン22が完爆に至っていないときにはステップS400に戻る。また、ステップS550にて燃料噴射開始フラグFfireに値1が設定されると、ステップS530にて燃料噴射開始フラグFfireが値1であると判定され、ステップS540およびS550の処理をスキップしてエンジン22が完爆に至っているか否かを判定する。そして、エンジン22が完爆に至ると、本ルーチンが終了することになる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、実行用運転モードとして、通常走行用のノーマルモードと、ノーマルモードに比べてアクセル操作に対するトルク出力の応答性を優先するパワーモードとの何れかを選択することができる。そして、ハイブリッド自動車20では、走行に際して運転者により要求される要求トルクTr*に基づいて目標トルクT*が設定され(ステップS150)、実行用運転モードすなわちノーマルモードまたはパワーモードのもとで目標トルクT*に基づく走行用のトルクが車軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1よびMG2とが制御される(ステップS190〜S280,S310,S320)。更に、目標トルクT*の設定に際し、所定条件(図3のステップS1510,S1520あるいは図8のステップS420)が成立すると共に実行用運転モードとしてノーマルモードが選択されているときには、要求トルクTr*と上限レート値Truとして設定される第1の緩変化制約としての値Trunor,TranorまたはTrenor等とに基づいて緩変化するように目標トルクT*が設定される(図3のステップS1570,S1610または図8のステップS470)。また、上記所定条件が成立すると共に実行用運転モードとしてパワーモードが選択されているときには、要求トルクTr*と値Trunor,TranorまたはTrenor等に比べて目標トルクT*を急峻に変化させる傾向をもった上限レート値Truとして設定される第2の緩変化制約としての値Trupwr,TrapwrまたはTrepwr等に基づいて緩変化するように目標トルクT*が設定される(図3のステップS1570,S1610または図8のステップS470)。
これにより、ノーマルモードが選択された場合には、パワーモードが選択された場合に比べて、車軸としてのリングギヤ軸32aに対するトルク出力の応答性が若干低下するものの、車軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクの変化に起因した振動やショックを抑制することが可能となる。また、パワーモードが選択された場合には、ノーマルモードが選択された場合に比べて振動やショックが若干増加するものの、車軸としてのリングギヤ軸32aに対してトルクを応答性よく出力することが可能となり、運転者による高出力要求を良好に満たすことが可能となる。従って、実施例のハイブリッド自動車20では、走行用のトルクの出力状態すなわち車軸としてのリングギヤ軸32aに対するトルクの出力状態を運転モードごとにそれぞれの優先事項に合致するようにより適正に制御することが可能となる。
また、上記実施例のように、ノーマルモードが選択されている最中に走行用のトルクが値0を含む所定範囲内に含まれるとき(値0を跨いで変化するとき)に(図3のステップS1520)、ノーマルモード用の値Trunorおよび値Trlnorを上限レート値Truおよび下限レート値Trlとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、車軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクの変化に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。そして、パワーモードが選択されている最中に走行用のトルクが値0を含む所定範囲内に含まれるときに(ステップS1520)、ノーマルモード用の値Trunorおよび値Trlnorよりも大きい値Trupwrおよび値Trlpwrを上限レート値Truおよび下限レート値Trlとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、ノーマルモードの選択時に比べて振動やショックが若干増加するものの、走行用のトルクを応答性よく変化させることが可能となる。
更に、ノーマルモードが選択されている最中にアクセル開度Acc(アクセル操作量)の変化度合を示すアクセル開度変化量ΔAccが閾値Accref以上になったときに(図3のステップS1510)、ノーマルモード用の値Tranorを上限レート値Truとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、アクセル開度Accに応じた走行用のトルクの変化に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。そして、パワーモードが選択されている最中にアクセル開度Accの変化度合を示すアクセル開度変化量ΔAccが閾値Accref以上になったときに(ステップS1510)、ノーマルモード用の値Tranorよりも大きい値Trapwrを上限レート値Truとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、ノーマルモードの選択時に比べて振動やショックが若干増加するものの、アクセル開度Accの変化に応じて走行用のトルクを応答性よく得ることが可能となる。
加えて、ノーマルモードが選択されている最中にバッテリ50の出力制限Woutが閾値W0未満である状態でエンジン22を始動させるときに(図8のステップS420)、ノーマルモード用の値Trenorを上限レート値Truとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、走行性能が若干低下するもののエンジン22の始動に伴う振動やショックの発生を良好に抑制することが可能となる。また、パワーモードが選択されている最中にバッテリ50の出力制限Woutが閾値W0未満である状態でエンジン22を始動させるときに(ステップS420)、ノーマルモード用の値Trenorよりも大きい値Trepwrを上限レート値Truとしたレート処理により目標トルクT*を緩変化させれば、エンジン22の始動に伴い振動やショックが若干増加するものの、車軸としてのリングギヤ軸32aに走行用のトルクを応答性よく出力することが可能となる。
なお、上限レート値Truとして設定されるノーマルモード用の値やパワーモード用の値は、パワーモード用の値がそれに対応したノーマルモード用の値よりも大きくなるのであれば、一定の値の代わりに所定のパラメータに応じて変化するものとされてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、車軸としてのリングギヤ軸32aとモータMG2とがモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達する減速ギヤ35を介して連結されているが、減速ギヤ35の代わりに、例えばHi,Loの2段の変速段あるいは3段以上の変速段を有したモータMG2の回転数を変速してリングギヤ軸32aに伝達する変速機を採用してもよい。更に、実施例のハイブリッド自動車20は、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに接続された車軸に出力するものであるが、本発明の適用対象はこれに限られるものでもない。すなわち、本発明は、図10に示す変形例としてのハイブリッド自動車120のように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに接続された車軸(車輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものに適用されてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して車輪39a,39bに接続される車軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものでもない。すなわち、本発明は、図11に示す変形例としてのハイブリッド自動車220のように、エンジン22のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と車輪39a,39bに動力を出力する車軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を車軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えたものに適用されてもよい。
ここで、上記実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明しておく。すなわち、上記実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、ノーマルモードに比べてアクセル操作に対するトルク出力の応答性を優先するパワーモードを選択するためのパワースイッチ88が「運転モード選択手段」に相当し、図2のステップS140や図8のステップS410の処理を実行するハイブリッドECU70が「要求駆動力設定手段」に相当し、図2のステップS150(図3)や図8のステップS420〜S470の処理を実行するハイブリッドECU70が「目標駆動力設定手段」に相当し、図2および図3の駆動制御ルーチンや図8のエンジン始動時駆動制御ルーチンを実行するハイブリッドECU70、エンジンECU24およびモータECU40の組み合わせが「制御手段」に相当する。また、モータMG1および動力分配統合機構30の組み合わせや対ロータ電動機230が「電動クランキング手段」や「電力動力入出力手段」に相当し、モータMG1が「発電用電動機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。
なお、「内燃機関」は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力するエンジン22に限られず、水素エンジンといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「電動機」や「発電用電動機」は、モータMG1,MG2のような同期発電電動機に限られず、誘導電動機といったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「蓄電手段」は、バッテリ50のような二次電池に限られず、電力動力入出力手段や電動機と電力をやり取り可能なものであればキャパシタといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「運転モード選択手段」は、通常走行用の第1の運転モードと、当該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを実行用運転モードとして選択可能とするものであれば、パワースイッチ88以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「要求駆動力設定手段」は、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば、車速Vを用いることなくアクセル開度Accのみを用いて要求トルクを設定するもの等、如何なる形式のものであっても構わない。「目標駆動力設定手段」は、要求駆動力に基づいて目標駆動力を設定すると共に、所定条件が成立すると共に第1の運転モードが選択されているときには、要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように目標駆動力を設定し、上記所定条件が成立すると共に第2の運転モードが選択されているときには、要求駆動力と第1の緩変化制約に比べて目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように目標駆動力を設定するものであれば、如何なる形式のものであっても構わない。「制御手段」は、ハイブリッドECU70とエンジンECU24とモータECU40との組み合わせに限られるものではなく、単一の電子制御ユニットのような他の如何なる形式のものであっても構わない。「電力動力入出力手段」は、所定の車軸と前記内燃機関の機関軸とに接続されて電力と動力との入出力を伴って前記車軸と前記機関軸とに動力を入出力すると共に前記蓄電手段と電力をやり取り可能なものであれば、モータMG1および動力分配統合機構30の組み合わせや対ロータ電動機230以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。何れにしても、これら実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業等において利用可能である。
本発明の実施例に係るハイブリッド自動車20の概略構成図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 図2のステップS150の詳細を示すフローチャートである。 ノーマルモード時アクセル開度設定用マップおよびパワーモード時アクセル開度設定用マップを例示する説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインと回転数NeとトルクTeとの相関曲線とを例示する説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を例示する共線図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行されるエンジン始動時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 クランキングトルク設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の概略構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の概略構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、37 ギヤ列、38 デファレンシャルギヤ、39a〜39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、ストロークセンサ、87 車速センサ、88 パワースイッチ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含むハイブリッド自動車であって、
    通常走行用の第1の運転モードと、該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを実行用運転モードとして選択するための運転モード選択手段と、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力に基づいて目標駆動力を設定すると共に、所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第1の運転モードが選択されているときには、前記設定された要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定し、前記所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第2の運転モードが選択されているときには、前記設定された要求駆動力と前記第1の緩変化制約に比べて前記目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    前記実行用運転モードのもとで、前記設定された目標駆動力に基づく走行用の動力が得られるように前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備えるハイブリッド自動車。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド自動車において、
    前記第1の制約は、前記設定された要求駆動力と第1の上限レート値とを用いたレート処理により前記目標駆動力を緩変化させる制約であり、
    前記第2の制約は、前記設定された要求駆動力と前記第1の上限レート値よりも大きい第2の上限レート値とを用いたレート処理により前記目標駆動力を緩変化させる制約であるハイブリッド自動車。
  3. 前記所定の条件は、走行用の動力が値0を含む所定範囲内に含まれるときに成立する請求項1または2に記載のハイブリッド自動車。
  4. 前記要求駆動力設定手段は、運転者によるアクセル操作量に基づいて前記要求駆動力を設定し、
    前記所定の条件は、前記アクセル操作量の変化度合が所定度合以上となるときに成立する請求項1または2に記載のハイブリッド自動車。
  5. 請求項1または2に記載のハイブリッド自動車において、
    前記内燃機関をクランキング可能であると共に前記蓄電手段と電力をやり取りすることができる電動クランキング手段を更に備え、
    前記所定の条件は、前記電動クランキング手段によるクランキングを伴う前記内燃機関の始動時であって前記蓄電手段の放電に許容される電力である放電許容電力が所定の閾値未満であるときに成立するハイブリッド自動車。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載のハイブリッド自動車において、
    所定の車軸と前記内燃機関の機関軸とに接続されて電力と動力との入出力を伴って前記車軸と前記機関軸とに動力を入出力すると共に前記蓄電手段と電力をやり取り可能な電力動力入出力手段を更に備え、
    前記電動機は、前記車軸または該車軸とは異なる他の車軸に動力を出力可能であるハイブリッド自動車。
  7. 請求項6に記載のハイブリッド自動車において、
    前記電力動力入出力手段は、
    動力を入出力可能であると共に前記蓄電手段と電力をやり取りすることができる発電用電動機と、
    前記車軸と前記内燃機関の前記機関軸と前記発電用電動機の回転軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段とを含むハイブリッド自動車。
  8. 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、通常走行用の第1の運転モードと該第1の運転モードに比べて走行用の動力の出力応答性を優先する第2の運転モードとの何れかを実行用運転モードとして選択するための運転モード選択手段とを備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
    (a)走行に要求される要求駆動力に基づいて目標駆動力を設定すると共に、所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第1の運転モードが選択されているときには、前記要求駆動力と第1の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定し、前記所定条件が成立すると共に前記実行用運転モードとして前記第2の運転モードが選択されているときには、前記要求駆動力と前記第1の緩変化制約に比べて前記目標駆動力を急峻に変化させる傾向をもった第2の緩変化制約とに基づいて緩変化するように前記目標駆動力を設定するステップと、
    (b)前記実行用運転モードのもとで、ステップ(a)にて設定された目標駆動力に基づく走行用の動力が得られるように前記内燃機関と前記電動機とを制御するステップと、
    を含むハイブリッド自動車の制御方法。
JP2008023174A 2008-02-01 2008-02-01 ハイブリッド自動車およびその制御方法 Pending JP2009184382A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008023174A JP2009184382A (ja) 2008-02-01 2008-02-01 ハイブリッド自動車およびその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008023174A JP2009184382A (ja) 2008-02-01 2008-02-01 ハイブリッド自動車およびその制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009184382A true JP2009184382A (ja) 2009-08-20

Family

ID=41068115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008023174A Pending JP2009184382A (ja) 2008-02-01 2008-02-01 ハイブリッド自動車およびその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009184382A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013035179A1 (ja) * 2011-09-08 2013-03-14 トヨタ自動車株式会社 車両および車両の制御方法
JP2014087246A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Toshiba Corp 電気自動車及び車両制御装置
JP2016155484A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両
JP2017043200A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 トヨタ自動車株式会社 デジタルフィルタ、および、車両の駆動力制御装置
WO2023145720A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 株式会社BluE Nexus 車両用駆動装置の制御装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003254421A (ja) * 2002-02-28 2003-09-10 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の変速制御装置
JP2006217750A (ja) * 2005-02-04 2006-08-17 Toyota Motor Corp 自動車およびその制御方法
JP2007091073A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Toyota Motor Corp 駆動装置およびこれを搭載する自動車並びに駆動装置の制御方法
JP2007261442A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Nissan Motor Co Ltd ハイブリッド車両の運転モード遷移制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003254421A (ja) * 2002-02-28 2003-09-10 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の変速制御装置
JP2006217750A (ja) * 2005-02-04 2006-08-17 Toyota Motor Corp 自動車およびその制御方法
JP2007091073A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Toyota Motor Corp 駆動装置およびこれを搭載する自動車並びに駆動装置の制御方法
JP2007261442A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Nissan Motor Co Ltd ハイブリッド車両の運転モード遷移制御装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013035179A1 (ja) * 2011-09-08 2013-03-14 トヨタ自動車株式会社 車両および車両の制御方法
JP2014087246A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Toshiba Corp 電気自動車及び車両制御装置
JP2016155484A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両
JP2017043200A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 トヨタ自動車株式会社 デジタルフィルタ、および、車両の駆動力制御装置
WO2023145720A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 株式会社BluE Nexus 車両用駆動装置の制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5530813B2 (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP4254899B1 (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP4201001B2 (ja) 車両およびその制御方法
JP2008162491A (ja) 車両およびその制御方法
JP5187005B2 (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP2006242096A (ja) ハイブリッド車およびその制御方法
JP2011166995A (ja) 車両およびその制御方法
JP2007196889A (ja) 車両およびその制御方法
JP2019156007A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2007055473A (ja) ハイブリッド車およびその制御方法
JP2009137401A (ja) ハイブリッド車およびその制御方法
JP2005204360A (ja) 車両およびその制御方法
JP2009184382A (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP2010241386A (ja) ハイブリッド車両およびその制御方法
JP2010137823A (ja) 車両およびその制御方法
JP2009173167A (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP2009143315A (ja) 動力出力装置及びこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法
JP6332173B2 (ja) ハイブリッド自動車
JP2009274627A (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
JP4345765B2 (ja) 車両およびその制御方法
JP5397168B2 (ja) ハイブリッド車両およびその制御方法
JP4285489B2 (ja) 車両およびその制御方法
JP2009196472A (ja) ハイブリッド車およびその制御方法
JP4438815B2 (ja) 車両およびその制御方法
JP4301252B2 (ja) 動力出力装置およびその制御方法並びに車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120425

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120724