JP2009184256A - 金属張積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させない金属張積層体を提供する。この金属張積層体からは、信頼性の高い高精度のHDDサスペンションの提供が可能である。
【解決手段】金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bは厚みが5〜50μmで、線熱膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cは厚みが0.1〜2.0μmで、ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸(B’)及び熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の前駆体樹脂(X’)を含む混合溶液を乾燥及びイミド化することによって形成されたものであり、該混合溶液は前駆体樹脂(B’)及び(X’)の合計100重量部に対して前駆体樹脂(B’)を25〜85重量部含むものである金属張積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属張積層体及びその製造方法に関し、より詳しくは、ハードディスクドライブ(HDD)サスペンション用途に適した金属張積層体に関する。
HDDは、近年のパーソナルコンピュータの需要増加や家電、カーナビ等への新規搭載などに伴い、その生産量が増加している。また、HDDは今後、大容量化や小型化が進むと予想され、HDDにおいて磁気を読み取るフレクシャーブランクを構成するサスペンション部分は、小型化及び配線の多様化、細線化が進んでいる。高容量化が進むに従い、従来使用されてきたワイヤレスタイプのサスペンションから、記憶媒体であるディスクに対し浮力と位置精度が安定した配線一体型のサスペンションへと大半が置き換わっている。配線一体型サスペンションの中で、TSA(トレース サスペンション アッセンブリ)法と呼ばれるステンレス箔−ポリイミド樹脂−銅箔の金属張積層体(積層体ともいう)をエッチング加工により所定の形状に加工するタイプがある。
ポリイミドをエッチングする手法としてはプラズマ方式を用いたドライエッチングタイプとアルカリ液を使用したウェットエッチングタイプに大別されるが、加工コスト等の観点から近年後者のウェットエッチングタイプ方式の適用が進んでいる。また、フライハイコントロール、マイクロアクチュエーター等のサスペンションの技術革新に伴って、信号線の本数も増加しており、これによって配線の細線化が進んでいる。そして、HDDサスペンション材料として使用される金属張積層体には金属―ポリイミド間の接着強度や回路加工時の寸法安定性も要求される。また、ポリイミド加工時におけるエッチング精度に関しても例外ではなく、エッチング後の加工形状等に関してもその要求は厳しい。一般的に、これらのサスペンション材料で使用されるポリイミドは金属を熱圧着する際の金属―ポリイミド間の接着強度を発現させるために、熱可塑性のポリイミドと低熱膨張性ポリイミドを使用した三層構造から構成されている。ここで使用される熱可塑性ポリイミドと低熱膨張性ポリイミドはアルカリ処理液等による溶解速度(エッチング速度)が異なるため、例えば熱可塑性のポリイミドのエッチング速度が低熱膨張性ポリイミドのエッチング速度と比較して速い場合は、エッチング加工時にアンダーカットを生じたり、逆に遅い場合はエッチング後にエッチング速度の遅い熱可塑性ポリイミド層が庇状に残存したりする。クリーン度の要求が厳しいサスペンションに関してこのようなポリイミド形状不良は、超音波洗浄時のパーティクル発生を招いたり、場合によってはハードディスク搭載時の誤作動等を引き起こす可能性がある。
これに対して、熱可塑性ポリイミドの厚みを薄くする手法や熱可塑性ポリイミドを含まない材料が提案されている。例えば、特開2006−190824号公報(特許文献1)では、COF(チップオンフィルム)の製造工程におけるICチップ実装時の配線沈み込みを防止するために導体と接するポリイミド層の厚みを2.0μm以下の積層板が提案されている。しかしながら、このような積層板は、非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度の違いを考慮しておらず、ポリイミド樹脂層のエッチング加工後の形状不良を生じやすい傾向にあった。
一方、非熱可塑性ポリイミドの最外層にある熱可塑性ポリイミドの厚み比率を規定し、ウェットエッチング時のオーバーエッチングやアンダーカットを制御する手法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法では非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度のエッチング速度を完全に一致させることが困難であるため、オーバーエッチングやアンダーカット含めたエッチング形状を精度よく制御することは困難であった。更に、ウェットエッチング加工が可能な積層体が提案されている(特許文献3)。しかしながら、ポリイミド樹脂層のエッチング加工後の形状は、今般の厳しい要求を満足しうるものではなかった。
また、ウェットエッチング時のオーバーエッチングやアンダーカットを制御するために、ポリイミド樹脂層を単一層とする金属積層体が提案されている(特許文献4)。しかしながら、このようなポリイミド樹脂層は熱可塑性であり、その分子構造から熱膨張係数が金属と比べて大きく、材料の寸法安定性に問題が生じる恐れがある。
特開2006−190824号公報 特開2005−111858号公報 特開2002−240193号公報 特開2004−276413号公報
本発明は、ポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与しつつ、金属張積層体としての寸法安定性を向上させ、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りの発生を防止でき、更に高レベルの微細回路化の要求に十分に対応できるHDDサスペンション用途に適する金属張積層体を提供することを目的とする。他の目的は、上記金属張積層体から製造されるHDDサスペンションを提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリイミド樹脂層及び金属層の間に特定の接着性層を存在させると、製造される積層体の金属層と絶縁樹脂層との面間での密着性の均一性に優れるものとなること、積層体の寸法変化率を制御し、反り等の発生しない材料となること、ポリイミドエッチング時の形状を制御することが容易となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bは厚みが5〜50μmの単一層で、線熱膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cは厚みが0.1〜2.0μmであり、ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸(B’)及び熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の前駆体樹脂(X’)を含む混合溶液を乾燥及びイミド化することによって形成されたものであり、該混合溶液は前駆体樹脂(B’)及び(X’)の合計100重量部に対して前駆体樹脂(B’)を25〜85重量部含むものであることを特徴とする金属張積層体である。
ここで、熱可塑性ポリイミド樹脂(X)のガラス転移温度が、200〜320℃の範囲であることが好適である。
また、1)ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲にあること、2)金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層であること、又は3)金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層であることのいずれか1以上を満足することはより優れた金属張積層体を与える。
また、本発明は、上記の金属張積層体からなること特徴とするHDDサスペンション用金属張積層体及びこの金属張積層体を加工して得られるHDDサスペンションである。
本発明によれば、ポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させないことができるので、優れた金属張積層体を提供することが可能となる。また、本発明で得られる接着性層は、高温加熱下における発泡の発生による不具合を抑制することができるので、その工業的価値は高いものである。従って、高密度、超微細配線化するHDDサスペンションの要求に応え、信頼性の高い高精度のHDDサスペンションの提供が可能である。
本発明の金属張積層体は、金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される。
本発明の金属張積層体で使用する金属層A及び金属層Dは、金属からなる層であればその材質に特に制限はないが、例えば、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、ステンレス、タンタル、チタン、銅、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金からなる金属が挙げられる。この中でも、ステンレス、銅又は銅合金が適する。
金属層A又は金属層Dがバネ特性や寸法安定性を要求される用途に使用される場合には、その材質はステンレスであることが好ましい。電導性を要求される場合には、その材質は銅又は銅合金のような導体金属であることが好ましい。金属層A又は金属層Dの一方がバネ特性や寸法安定性を要求され、他方が電導性を要求される場合には、一方の材質をステンレスとし、他方の材質を導体金属とすることが好ましい。かかる場合が生じる用途としては、HDDサスペンション用途がある。また、両方が電導性を要求される用途としては、両面フレキシブルプリント基板(両面FPC)用途がある。
ステンレスとしては、例えばSUS304のような高弾性、高強度のステンレスが好ましい。更には、金属張積層体の反りを抑制するため、300℃以上の温度でアニール処理されたSUS304が好ましい。金属張積層体をHDDサスペンション用途として適用する場合、ステンレス層の厚みは10〜50μmが好ましいが、より好ましくは10〜30μmであり、更に好ましくは15〜25μmである。ステンレス層の厚みが10μm未満であると、スライダの浮上量を十分に抑えるバネ性を確保できない問題が生じ、一方、50μmを超えると剛性が高くなり、搭載されるスライダの低浮上化が困難となる。
導体金属としては、銅又は銅合金が好ましい。ここで、銅合金とは、銅を必須として含有し、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の銅以外の少なくとも1種以上の異種の元素を含有する合金を指し、銅含有率90重量%以上のものを言う。銅合金としては、銅含有率95重量%以上のものを使用することが好ましく、銅が含有している金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される合金であっても良い。
また、導体金属層は、圧延銅箔又は電解銅箔からなることも有利である。圧延銅箔及び電解銅箔は、公知の方法で製造することができ、前者は銅インゴットを所定厚みまで圧延、熱処理をくりかえすことにより製造可能である。また電解銅箔は硫酸銅を主成分として電解液から電気分解により析出させて得ることができる。HDDサスペンション用途として使用する場合、例えば、回路幅が40μmピッチ以下の微細なフライングリードを形成した場合には、断線などの問題が特に生じやすくなるため、積層後の銅箔の引張強度が400MPa以上にあるものがよく、上限は特に限定されないが、1000MPa以下が好ましい。この場合、導体金属層の厚みは0.1〜50μmの範囲であることが望ましい。有利には導体金属層として銅又は銅合金を用い、その厚みの範囲を5〜25μm、より好ましくは7〜12μmの範囲内、更に好ましくは8〜10μmの範囲内とすることがよい。特に、導体金属層の厚みが5〜10μmの範囲内にある場合には、高導電性の電解銅箔を使用することが好ましく、導電率は95%以上、好ましくは97%以上、更に好ましくは98%以上であることがよい。このような金属層を使用することによって、電気抵抗を生じやすく熱発散を低く抑えることができ、この結果としてインピータンスを制御しやすい。
導体金属層の厚みが0.1〜9μmの厚みある場合は、積層体製造工程におけるハンドリング性の観点から、導体金属層が剥離層を介して支持体金属層を積層している支持体付きの導体金属層を使用することが好ましい。支持体金属層を剥離した導体金属層は、サブトラクティブ法ないしはセミアディティブ法で回路形成を行うこともできる。導体金属層の表面粗度は特に限定しないが、フラッシュエッチング性の観点から好ましくはRzがJIS=2.0μm以下、より好ましくはRzがJIS=1.5μm以下がよい。なお、上記Rzは、表面粗さにおける十点平均粗さ(JIS B0601−1994)を示す。
ここで、支持体金属層と導体金属層の剥離強度は、1N/m以上100N/m以下であることがよい。好ましくは1N/m〜50N/mがよく、より好ましくは3N/m〜15N/mがよく、更に好ましくは4N/m〜10N/mがよい。剥離強度が1N/m未満では、積層体製造工程において、導体金属層が支持体金属層から剥離する場合があり、安定操業に問題がある。また、剥離強度が100N/mを超えると、支持体金属層の剥離後の積層体に反りが生じ易くなる。なお、ここでいう剥離強度とは、金属箔1mm幅90°引き剥がし法(JIS C6471)を示す。この剥離強度は支持体金属層と導体金属層の接着強度を調整すること(剥離剤や低粘着性材料の使用により)変化可能である。
導体金属層が0.001〜1.0μmの厚みある場合には、例えば、スパッタリング法により導体金属層を形成することが可能である。詳細については後述するが、導体金属層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電解めっきによって厚膜にすることもできる。金属層A及び金属層Dをいかなる金属層とするかは、金属張積層体の用途、金属層とポリイミド樹脂層の接着性、金属張積層体の製造のしやすさ等によって定められる。
本発明の金属張積層体は、金属層A、金属層Dの他に、ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cを有する。ポリイミド樹脂層Bは、実質的に単一層から形成されるものである。層構造が簡単である単一層は、工業的に有利に得ることができる。
ポリイミド樹脂層Bを形成するポリイミド樹脂としては、いわゆるポリイミド樹脂を含めて、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有する耐熱性樹脂がある。また、ポリイミド樹脂層Bを形成するために、市販のポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸ともいう)のワニスも利用可能であり、例えば宇部興産株式会社製のポリアミック酸ワニスであるU-ワニス-A(商品名)、U-ワニス-S(商品名)等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂層Bは、金属層A又は金属層Dをエッチング除去した際の積層体の反りを軽減する観点から、ポリイミド樹脂層Bの線熱膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)の範囲内にあり、好ましくは13×10-6〜25×10-6(1/K)の範囲内、更に好ましくは15×10-6 〜23×10-6(1/K)の範囲内にあることがよい。このようなポリイミド樹脂は、非熱可塑性のポリイミド樹脂である。
ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂としては、一般式(1)で現される構造単位を有するポリイミド樹脂が好ましい。一般式(1)において、Ar1は式(2)又は式(3)で表される4価の芳香族基を示し、Ar3は式(4)又は式(5)で表される2価の芳香族基を示し、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、X及びYは独立に単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示し、qは構成単位の存在モル比を示し、0.1〜1.0、好ましくは0.5〜1.0の範囲である。
Figure 2009184256
上記構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在してもよい。
ポリイミド樹脂は、一般に、ジアミンと酸無水物とを反応させて製造されるので、ジアミンと酸無水物を説明することにより、ポリイミド樹脂の具体例が理解される。上記一般式(1)において、Ar3はジアミンの残基ということができ、Ar1は酸無水物の残基ということができるので、好ましいポリイミド樹脂をジアミンと酸無水物により説明する。しかし、この方法によって得られるポリイミド樹脂に限定されない。
ジアミンとしては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシ-ベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。この中でも、特にHDDサスペンション用途として使用する好ましいジアミンとしては、4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル(m-TB)、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド(MABA)、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,7'-ビス(4-アミノフェノキシ)ナフタレン(NBOA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)から選ばれる1種以上のジアミンがある。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等が好ましく挙げられる。また、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等を挙げることもできる。この中でも、特にHDDサスペンション用途として使用する好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれる1種以上の酸無水物がある。
上記ジアミン及び酸無水物については、それぞれその1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。上記のジアミン及び酸無水物を選択し、使用することで、熱的寸法安定性が保てる。また、上記以外のジアミン及び酸無水物を併用することもでき、この場合、上記以外のジアミン又は酸無水物の使用割合は90モル%以下、好ましくは50モル%以下とすることがよい。ジアミン及び酸無水物の種類や、2種以上のジアミン又は酸無水物を使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移点(Tg)等を制御することができる。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の合成は、ほぼ等モルのジアミン及び酸無水物を溶媒中で反応させることにより行うことができる。使用する溶媒については、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
合成されたポリアミド酸は溶液とされて使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
ポリイミド樹脂層Bは、線熱膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂(以下、ポリイミド樹脂Bともいう)から構成されるが、このような低熱膨張性のポリイミド樹脂層は金属層との接着強度が低い傾向にある。従って、ポリイミド樹脂層Bと金属層Aとの接着強度を担保するため、ポリイミド樹脂層Bの金属層Aへの積層方法は、ポリイミド樹脂Bの前駆体であるポリアミド酸(B’)の溶液を金属層Aに直接塗布する方法(以下、塗布法ともいう)を採用することがよい。この方法によって、金属層Aとポリイミド樹脂層Bとの密着性のばらつきを抑制でき、接着強度を向上することができる。具体的には、金属層Aとポリイミド樹脂層Bの接着強度は、0.5kN/m以上であることが好ましい。
ポリアミド酸(B’)の樹脂溶液を金属層Aに塗布する方法としては特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。金属層Aとしては、0.1〜50μm厚みの導体金属層又は10〜50μm厚みのステンレス層が適する。塗布されたポリアミド酸(B’)は、乾燥、イミド化することによりポリイミド樹脂層Bとなる。
また、ポリイミド樹脂層Bと接する金属層Aの表面には、更に接着強度を向上させるために、シランカップリング剤処理等の有機表面処理剤が施されていてもよい。
上記塗布法によって、ポリイミド樹脂層Bが絶縁樹脂層としての低熱膨張特性及び金属層Aとの接着特性を向上することが可能になるが、ポリイミド樹脂層B側のもう一方の面に金属層Dを積層する場合には、接着性向上のための上記塗布法の適用は事実上不可能である。従って、金属層Dとの接着強度を担保するため、接着性層Cを設けるが、接着性層Cについては後で説明する。低熱膨張特性を有しつつ、塗布法によって効果的に接着特性を向上できるポリイミド樹脂層Bを得るためには、ジアミン成分100モル%とした場合、ジアミンとして4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル(m-TB)を必須成分とし、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜90モル%を使用することがよい。また、m-TB以外のジアミンを併用する場合には、2,7'-ビス(4-アミノフェノキシ)ナフタレン(NBOA)及び1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)の少なくとも1種の10〜30モル%を使用することが好ましく、より好ましくはMBOA及びTPE-Rの少なくとも1種の10〜30モル%、並びに3,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)及び4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)の少なくとも1種の1〜20モル%を使用することが好ましい。このようなジアミンを併用することは、エッチング特性を向上させるので好ましい。更に、酸無水物成分100モル%とした場合、酸無水物として無水ピロメリット酸(PMDA)及び3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれる1種又は2種を100モル%を使用することが好ましく、より好ましくはPMDAのみを100モル%を使用することがよい。このようなジアミン及び酸無水物を使用することで、低熱膨張特性及びエッチング特性を向上しつつ、金属層Aとの十分な接着強度を担保することができるのみならず、高耐熱性、強靭性等の性質を向上させることも可能となる。ポリイミド樹脂層の強靭性等の性質は、上記モノマーを反応させて得られるポリアミド酸の重量平均分子量を制御することによって向上することができる。具体的には、重量平均分子量(Mw)は15万〜80万の範囲、好ましくは20万〜80万の範囲になるように制御することがよい。なお、ポリアミド酸の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量の値を求めることができる。また、ポリイミド樹脂層の靭性は、例えば、東洋精機社製の軽荷重引き裂き試験機を用いて、引き裂き伝播抵抗を測定することで評価できる。
接着性層Cは、ポリイミド樹脂層Bの前駆体であるポリアミド酸(B’)及び熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の前駆体樹脂(X’)を含む混合溶液を、ポリイミド樹脂層B、ポリアミド酸(B’)層又は金属層Dの上に塗布、乾燥後、イミド化して形成される。
接着性層Cはポリイミド樹脂層Bと金属層Dの接着性を改良する機能を有する。このような接着性層Cを得る方法の好適な一例は、金属層Aの上にポリイミド樹脂層Bとなるポリアミド酸層を積層した金属張積層板を製造する工程(工程a)と、次に上記混合溶液を塗布、乾燥する工程(工程b)と、イミド化反応させることによってポリイミド樹脂層Bと接着性層Cを形成する工程(工程C)とを有する方法がある。ここで、工程bにおいて、ポリアミド酸層はポリアミド酸(B’)の溶液を塗布、乾燥させて得られたものである。
上記前駆体樹脂(B’)及び(X')は、公知の酸無水物とジアミンから得られるポリイミド樹脂の前駆体樹脂が適用でき、公知の方法で製造することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンをほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃で30分〜24時間撹拌し重合反応させることで得られる。反応にあたっては、得られるポリイミド樹脂の前駆体樹脂が有機溶媒中に5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%となるように反応成分を溶解することがよい。重合反応する際に用いる有機溶媒については、極性を有するものを使用することがよく、有機極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキシド、硫酸ジメチル、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらを2種類以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の一部使用も可能である。
上記前駆体樹脂(B’)及び(X')は、前駆体樹脂(B')及び(X')の合計100重量部に対して前駆体樹脂(B')を25〜85重量部、好ましくは30〜70重量部、より好ましくは30〜60重量部となるように混合した混合溶液として使用される。通常、それぞれの反応溶媒溶液として混合した混合溶液を使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。混合溶液中の前駆体樹脂(B')の混合割合が上記下限未満であると、得られる接着性層Cのエッチング特性等が熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の特性に類似する傾向になり、絶縁樹脂層のエッチング時の形状不良等が発生する可能性がある。また、前駆体樹脂(B')の混合割合が上記上限を超えると、接着性層Cの接着性が劣るものとなる。ここで、前駆体樹脂(B')は、上記ポリイミド樹脂層Bを与えるポリアミド酸(B')と同じものであるが、完全に同一でなくともよく、構成するモノマーの一部が相違しても、分子量、粘度等が多少相違しても差し支えない。
接着性層Cは、ポリイミド樹脂層Bの片面に積層するように存在させる。接着性層Cを設ける方法は特に制限されず、例えば、ポリイミド樹脂層Bとなるポリアミド酸層の上に前記混合溶液を塗布、乾燥して、2層の前駆体樹脂層を形成した後、熱処理によってイミド化を行う方法が挙げられる。また、金属層D側に設けてもよいが、前者が工程的に簡素である。
接着性層Cの厚みは0.1〜2.0μmであり、好ましくは0.5〜1.5μm、更に好ましくは0.8〜1.2μmがよい。更に、ポリイミド樹脂層Bの厚みを、接着性層Cの厚みで除した値は、1〜40の範囲内にあることが好ましく、2〜30の範囲内にあることがより好ましい。このような範囲とすることで、接着性層の接着強度を低下させずに、且つエッチング形状もより良好となる。
接着性層Cを形成するための混合溶液は、ポリアミド酸(B’)と前駆体樹脂(X’)を含むが、ポリアミド酸(B’)を選定することで、金属層の積層時における反りを抑制でき、また、エッチング特性がポリイミド樹脂層Bに類似する傾向になり、エッチング形状も良好となる。また、ポリイミド樹脂層Bのエッチング速度は5μm/min以上であることが好ましく、10μm/min以上であることがより好ましい。エッチング速度が5μm/minに満たない場合は、良好なエッチング形状が得られにくく、エッチング速度の値が高いほうが良好なエッチング形状が得られ好ましい。なお、本発明でいうエッチング速度の詳細は、後記の実施例に記載した方法による。
熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の前駆体樹脂(X’)は、一般式(6)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体樹脂が好ましい。一般式(6)において、Ar4は式(7)、式(8)又は式(9)で表される2価の芳香族基を示し、Ar5は式(10)又は式(11)で表される4価の芳香族基を示し、R2は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、V及びWは独立に単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示しmは独立に0〜4の整数を示し、pは構造単位の存在モルを示し、0.1〜1.0の範囲である。
Figure 2009184256
Figure 2009184256
上記構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在してもよい。このような構造単位を有するポリイミド前駆体樹脂の中で、好適に利用できるポリイミド前駆体樹脂は、イミド化後に熱可塑性ポリイミド樹脂となるポリイミド前駆体樹脂である。
上記一般式(6)において、Ar4はジアミンの残基ということができ、Ar5は酸二無水物の残基ということができるので、好ましいポリイミド樹脂をジアミンと酸二無水物により説明する。しかし、この方法によって得られるポリイミド前駆体樹脂に限定されない。
ジアミンとしては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。その他、上記ポリイミド樹脂の説明で挙げたジアミンを挙げることができる。
酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。その他、上記ポリイミド樹脂の説明で挙げた酸二無水物を挙げることができる。
ジアミン、酸二無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記以外のジアミン及び酸二無水物を併用することもできる。
熱可塑性ポリイミド樹脂(X)は、ガラス転移温度200〜320℃の範囲のものであることが好ましい。このようなポリイミド樹脂を使用することで、金属層との接着強度が向上する。このポリイミド樹脂を合成するために使用される好ましいジアミンとしては、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、パラフェニレンジアミン、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテルから選ばれる1種以上のジアミンがある。また、好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3,4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる1種以上の酸無水物がある。上記ジアミン及び酸無水物については、それぞれその1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。
金属層Dは接着性層Cの上に設けるが、金属層Dを設ける方法としては、接着性層Cの表面に金属層Dとなる金属箔を重ね合わせ、熱圧着する方法、又は金属薄膜層を形成する方法がある。本発明の金属張積層体における金属層Dの積層は、熱圧着を適用することで、より高い接着強度を得ることが可能となる。従って、金属層Dを設ける方法は、熱圧着が好ましい。このような接着効果は、接着性層Cの厚みを制御することで、より有利に発揮される。なお、金属層Dに接着性層Cを設けた場合は、金属層/ポリイミド樹脂層Bからなる積層体に、金属層D/接着性層Cからなる積層体を、ポリイミド樹脂層Bと接着性層Cが接するように熱圧着する方法がある。
金属層A又は金属層Dは、ポリイミド樹脂層が積層する側の面にシランカップリング剤処理が施されていてもよい。特に、熱圧着する場合であって、金属層A又は金属層Dがステンレス層であるときには、シランカップリング剤処理を施すことが好ましい。シランカップリング剤は、アミノ基又はメルカプト基等の官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、より好ましくはアミノ基を有するシランカップリング剤がよい。具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。この中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることがよい。特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、水又は水を含有する極性有機溶媒が適する。極性有機溶媒としては、水との親和性を有する極性の液体であれば、特に限定されない。このような極性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。シランカップリング剤溶液は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%濃度の溶液がよい。
シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む極性溶媒の溶液が接触する方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、浸漬時間は、浸漬法を適用する場合、10秒〜1時間、好ましくは30秒〜15分間処理することが有効である。処理後、乾燥する。乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で1分〜10分間である。
本発明の金属張積層体は、HDDサスペンション用途として適用する場合、ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは7〜25μmの範囲内、更に好ましくは8〜12μmの範囲内にあることがよい。また、金属層A及び金属層Dは金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層であること、あるいは金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層であることが好ましい。更に、導体金属層が、例えば、回路幅が40μmピッチ以下の微細なフライングリードとして形成される場合には、面内での密着性のばらつき又は耐薬品性の観点から、金属張積層体の層構成は、導体金属層/ポリイミド樹脂層/接着性層/ステンレス層であることが好ましい。なお、各層の材質及び厚さの範囲は、上述したとおりである。
次に、金属層Dを設ける方法と金属張積層体の製造方法について詳細に説明する。金属張積層体の製造方法の好適な一例は、金属層Aの上にポリイミド樹脂層Bとなるポリアミド酸層を積層した金属張積層板を製造する工程(工程a)と、次に上記混合溶液を塗布、乾燥する工程(工程b)と、イミド化反応させることによってポリイミド樹脂層Bと接着性層Cを形成する工程(工程C)と、この接着性層C上に金属層Dを形成する工程(工程d)を有する方法がある。
工程dは、工程cで形成された接着性層Cに金属層Dを設ける工程である。金属層Dを設ける方法としては、接着性層Cの表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する方法(工程d1)、又は金属薄膜を形成する方法(工程d2)がある。
工程d1において、熱圧着する方法は特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。金属箔を張り合わせる方法としては、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等を挙げることができる。金属箔を張り合わせる方法の中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行え、更に金属箔の酸化を防止することができるという観点から真空ハイドロプレス、連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。
また、熱圧着は、150〜450℃の範囲内に加熱しながら金属層Dとなる金属箔をプレスすることが好ましい。より好ましくは150〜400℃の範囲内である。更に、好ましくは150〜380℃の範囲内である。別の観点からはポリイミド樹脂層又は改質イミド化層のガラス転移温度以上の温度であることがよい。また、プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが、通常、1〜50MPa程度が適当である。
金属箔としては、鉄箔、ニッケル箔、ベリリウム箔、アルミニウム箔、亜鉛箔、インジウム箔、銀箔、金箔、スズ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、タンタル箔、チタン箔、銅箔、鉛箔、マグネシウム箔、マンガン箔及びこれらの合金箔が挙げられる。この中でも、ステンレス箔、銅箔又は銅合金箔が適する。厚みは0.1〜50μmの範囲であることがよい。
工程d2において、金属薄膜層は蒸着法により形成する。蒸着法は、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等を使用でき、特に、スパッタリング法が好ましい。このスパッタリング法はDCスパッタ、RFスパッタ、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、ECスパッタ、レーザービームスパッタ等各種手法があるが、特に制限されず、適宜採用することができる。スパッタリング法による金属薄膜層の形成条件については、例えば、アルゴンガスをスパッタガスとして使用し、圧力は好ましくは1×10-2〜1Pa、より好ましくは5×10-2〜5×10-1Paであり、スパッタ電力密度は、好ましくは1〜100Wcm-2、より好ましくは1〜50Wcm-2の条件で行う方法がよい。この場合、金属薄膜層からなる金属層は十分に薄いものとすることができる。このようにして形成した金属薄膜層の上に、適宜、無電解めっき又は電解めっきによって厚膜の導体金属層としてもよい。すなわち、0.01〜50μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜1.0μmの厚みとすることができる。
蒸着で設ける金属薄膜層に適した金属としては、銅、ニッケル、クロムやこれらの合金がある。蒸着法においては、金属の薄膜を形成できるという利点があるが、厚膜を形成するには不向きである。そこで、金属薄膜層を厚くして電気抵抗を下げたり、強度を高める場合は、その上に比較的厚い銅薄膜層を設けてもよい。すなわち、0.001〜0.5μm程度の厚みの金属の薄膜を蒸着法で形成し、それ以上の厚みとするときはメッキ層を設けてもよい。蒸着法としては、スパッタリング、CVD等の公知の方法が採用できる。
蒸着法による金属薄膜の形成は、銅を薄膜層として用いることが好ましい。この際、接着性をより向上させる下地金属薄膜層を表面処理ポリイミド樹脂層に設け、その上に銅薄膜層を設けてもよい。下地金属薄膜層としては、ニッケル、クロムやこれらの合金層がある。下地金属薄膜層を設ける場合、その厚みは銅薄膜層厚みの1/2以下、好ましくは1/5以下で、1〜50nm程度の厚みとすることがよい。この下地金属薄膜層もスパッタリング法により形成することが好ましい。
ここで用いられる銅は一部に他の金属を含有する合金銅でも良い。スパッタリング法により形成させる銅又は銅合金は好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上のものである。銅が含有し得る金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される銅合金であってもよい。
工程d2において形成される金属薄膜層の厚みは、0.01〜1.0μmの範囲であることがよく、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。薄膜層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電解めっきによって、厚膜にしてもよい。このようにして形成される金属層は、サブトラクティブ法ないしはセミアディティブ法で回路形成を行うこともできる。
本発明の金属張積層体は、両面FPC、HDDサスペンション用途等に適する。本発明のHDDサスペンション用金属張積層体は、本発明の金属張積層体であって、金属層の1層がステンレス層からなり、他の1層が銅等の導体金属層からなる。
本発明のHDDサスペンションは、上記の金属張積層体を加工することにより得ることができる。好ましい加工方法として、TSA法と呼ばれるステンレス箔−ポリイミド樹脂−銅箔の積層体をエッチング加工により所定の形状に加工して、配線一体型サスペンションとする方法がある。
以下、本発明を実施例により具体例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[接着強度の測定]
金属層とポリイミド樹脂層との間の接着強度は、金属張積層板について、回路加工により1/8インチ配線幅の測定用試験片を作製し、この試験片を固定板に金属層側を貼り付け、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ-M1)を用いて、金属箔を90°方向に引き剥がし強さを測定した。
また、接着性層を介した金属層とポリイミド樹脂層との接着強度についても同様にして測定した。
また、支持体銅箔と極薄銅箔との剥離強度については、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を使用して、幅1mmのサンプルの極薄銅箔側を両面テープによりステンレス板に固定し、支持体銅箔を90°方向に50mm/分の速度で剥離して求めた。
[寸法変化率の測定]
寸法変化率の測定は、まず300mm角の金属張積層板を用い、位置測定用ターゲットを
200mm間隔にてドライフィルムレジストを露光、現像することによって試験片1を形成
する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中にてエッチング前(常態)の寸法を測定した後に試験片1のターゲット以外の銅をエッチング(液温40#C以下、時間10分以内)により除去することによって試験片2を形成する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中に24±4時間静置後、常態の場合と同様にエッチング後の寸法を測定する。縦方向及び横方向の各3箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後の寸法変化率とする。
[線熱膨張係数の測定]
線熱膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を算出した。
[ガラス転移温度の測定]
粘弾性アナライザー(レオメトリックサイエンスエフィー株式会社製RSA−II)を使って、10mm幅のサンプルを用いて、1Hzの振動を与えながら、室温から400℃まで10℃/分の速度で昇温した際の、損失正接(Tanδ)の極大から求めた。
接着性層の厚みは、走査型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、透過モードに設定し、サンプルの断面を観察し、接着性層の厚みを確認することにより測定した。
[エッチング速度の測定]
ポリイミドフィルムを80℃に加熱したエッチング液(エチレンジアミン11.0wt%、エチレングリコール22.0wt%、水酸化カリウム33.5wt%)に浸漬し、ポリイミドが完全に溶解した時間を測定し、ポリイミドフィルムの膜厚を測定時間で除することにより求めた。
[ポリイミドエッチング形状の測定]
まず100mm角の金属張積層板を用い、銅箔側をエッチングし、100μm径のビアを形成して試験片とした。その後、銅箔をエッチングマスクとして、80℃に加熱したエッチング液(エチレンジアミン11.0wt%、エチレングリコール22.0wt%、水酸化カリウム33.5wt%)に、試験片を10〜60秒間浸漬した。浸漬後に試験片を断面研磨し、ポリイミドのサイドエッチング形状を観察した。
なお、エッチング後の絶縁樹脂層において、ポリイミド樹脂層と接着性層の境界が確認されないレベルのものを「優」とし、ポリイミド樹脂層と接着性層の境界が僅かに確認されるレベルのものを「良」とし、ポリイミド樹脂層と接着性層の境界が確認できるが、凹凸のないレベルのものを「可」と評価した。また、ポリイミド樹脂層と接着性層の境界において、凹凸が確認されるものを「不可」と評価した。
次に、以下の実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。本発明はこれに限定されないことは勿論である。
なお、本実施例に用いた略号は下記のとおりである。
m-TB:4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
PMDA:無水ピロメリット酸
NBOA:2,7'-ビス(4-アミノフェノキシ)ナフタレン
DAPE34:3,4'-ジアミノジフェニルエーテル
DAPE44:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
DANPG:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
APB:1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
合成例1
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら15.77gのm-TB(0.074モル)及び2.41gのTPE-R(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.82gのPMDA(0.082モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s1を得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液s1の粘度は29,200cPであった。なお、粘度の測定は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)にて、25℃で測定した。また、樹脂溶液s1中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、210,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s1を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS1を得た。このフィルムの線熱膨張係数は12×10-6/Kであった。また、エッチング速度は25μm/minであった。
合成例2
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.76gのm-TB(0.06モル)及び5.49gのNBOA(0.024モル)を268gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で18.31gのPMDA(0.084モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s2を得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液s2の粘度は30,000cPであった。また、樹脂溶液s2中の重量平均分子量(Mw)は、180,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s2を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS2を得た。このフィルムの線熱膨張係数は16×10-6/Kであった。また、エッチング速度は19μm/minであった。
合成例3
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのTPE-R(0.016モル)及び1.63gのDAPE34(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s3を得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液s3の粘度は13,200cPであった。また、樹脂溶液s3中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、219,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s3を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS3を得た。このフィルムの線熱膨張係数は22×10-6/Kであった。また、エッチング速度は23μm/minであった。
合成例4
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのTPE-R(0.016モル)及び1.63gのDAPE44(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s4を得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液s4の粘度は19,200cPであった。また、樹脂溶液s4中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、235,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s4を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS4を得た。このフィルムの線熱膨張係数は17×10-6/Kであった。また、エッチング速度は23μm/minであった。
合成例5
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのNBOA(0.016モル)及び1.63gのDAPE34(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s5を得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液s5の粘度は3,400cPであった。また、樹脂溶液s5中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、150,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s5を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS5を得た。このフィルムの線熱膨張係数は19×10-6/Kであった。また、エッチング速度は17μm/minであった。
合成例6
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら30.3gの1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)(0.057モル)を352gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で9.3gのPMDA(0.04モル)及び20.5gのBTDA(0.06モル)を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液s6を得た。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液s6を基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS6を得た。このフィルムの線熱膨張係数は35×10-6/Kであった。
合成例7
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら29.5gのAPB(0.1モル)を367gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流中で9.1gのPMDA(0.04モル)及び20.2gのBTDA(0.06モル)を加えた。その後、約3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド樹脂の前駆体溶液s7を得た。
得られた前駆体溶液s7を、ステンレス基板の上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルムS7を得た。このフィルムのガラス転移温度は218℃であった。また、エッチング速度は8μm/minであった。
合成例8
5gの3-アミノプロピルトリメトキシシラン、500gのメタノール及び2.5gの水を混合し、2時間撹拌することで、シランカップリング剤溶液を調整した。予め水洗したステンレス箔1(新日本製鐵株式会社製 SUS304 H-TA、厚み20μm)をシランカップリング剤溶液(液温約20℃)へ30秒間浸漬した後、一旦大気中に引き上げ、余分な液を落とした。次いで圧縮空気を約15秒間吹き付けて乾燥した。その後、110℃で30分間加熱処理を行い、シランカップリング剤処理のステンレス箔2を得た。
実施例1
合成例1で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s1における前駆体成分a1と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が70対30の割合になるように、樹脂溶液s1及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p1を用意した。
樹脂溶液s1を、ステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に、前記の混合溶液p1をウェット厚み約30μmで塗布し、130℃で2分間乾燥後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L1を作製した。この積層板の接着性層の厚みは1.0μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、電解銅箔1(三井金属株式会社製、NS-VLP箔、銅箔厚み9μm)を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、ステンレス層、絶縁樹脂層及び銅箔層から構成される金属張積層体1を得た。ステンレス側及び銅箔側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体1は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も非常に良好であった。なお、接着強度は0.5kN/m以上を問題なしとした。
実施例2
合成例1で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s1における前駆体成分a1と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が50対50の割合になるように、樹脂溶液s1及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p2を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p2を使用した以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体2を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体2は接着強度に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例3
合成例1で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s1における前駆体成分a1と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が30対70の割合になるように、樹脂溶液s1及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p3を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p3を使用した以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体3を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体3は接着強度に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も問題はなかった。
実施例4
合成例2で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s2における前駆体成分a2と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が50対50の割合になるように、樹脂溶液s2及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p4を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p4を使用したこと、および実施例1における樹脂溶液s1の代わりに、樹脂溶液s2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体4を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体4は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例5
合成例3で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s3における前駆体成分a3と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が50対50の割合になるように、樹脂溶液s3及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p5を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p5を使用したこと、および実施例1における樹脂溶液s1の代わりに、樹脂溶液s3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体5を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体5は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例6
合成例4で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s4における前駆体成分a4と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が50対50の割合になるように、樹脂溶液s4及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p6を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p6を使用したこと、および実施例1における樹脂溶液s1の代わりに、樹脂溶液s4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体6を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体6は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例7
合成例5で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s5における前駆体成分a5と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が50対50の割合になるように、樹脂溶液s5及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p7を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p7を使用したこと、および実施例1における樹脂溶液s1の代わりに、樹脂溶液s5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層、接着性層及び銅箔層から構成される金属張積層体7を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体7は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例8
実施例2で使用した混合溶液p2を用意した。
樹脂溶液s1を、ステンレス箔2にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に、前記の混合溶液p2をウェット厚み約30μmで塗布し、130℃で2分間乾燥後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L8を作製した。この積層板の接着性層の厚みは1.0μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置(ANELVA;SPF-332HS)にセットし、槽内を3×10-4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10-1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9重量%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層)]が膜厚30nmとなるようにポリイミドフィルムへ成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99重量%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層を得た。
次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層)を電極として電解めっき浴にて8μm厚の銅めっき層を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行い、金属張積層体8を作製した。絶縁樹脂層と金属層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体8は接着強度に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例9
実施例2で使用した混合溶液p2を用意した。
実施例1における混合溶液p1の代わりに、前記の混合溶液p2を使用したこと、実施例1にけるステンレス箔1の代わりに電解銅箔1を使用したこと、および実施例1における電解銅箔1の代わりにステンレス箔1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、銅箔層、絶縁樹脂層及びステンレス箔層から構成される金属張積層体9を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体9は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例10
実施例2で使用した混合溶液p2を用意した。
樹脂溶液s1を、支持体銅箔付き極薄銅箔1(日本電解株式会社製、YSNAP-3B、支持体銅箔厚み18μm、極薄銅箔厚み1μm、無機系剥離層)の極薄銅箔上にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に、前記の混合溶液p2をウェット厚み約30μmで塗布し、130℃で2分間乾燥後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、銅箔層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L10を作製した。この積層板の接着性層の厚みは1.0μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、ステンレス箔2を重ね合わせ、実施例1と同様にして、銅箔層、絶縁樹脂層及びステンレス箔層から構成される金属張積層体10を得た。ステンレス側及び銅箔層の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体10は接着強度に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
比較例1
合成例1で得られたポリイミドフィルムS1に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体11を得た。絶縁樹脂層と銅箔の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例2
合成例2で得られたポリイミドフィルムS2に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体12を得た。絶縁樹脂層と銅箔の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例3
合成例3で得られたポリイミドフィルムS3に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体13を得た。絶縁樹脂層と銅箔の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例4
合成例4で得られたポリイミドフィルムS4に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体14を得た。絶縁樹脂層と銅箔の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例5
合成例5で得られたポリイミド樹脂フィルムS5に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体15を得た。絶縁樹脂層と銅箔の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例6
樹脂溶液s6を、ステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ポリイミド樹脂層に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機で、370℃、20MPa、1分の条件でプレスを行い、金属張積層体16を得た。得られた積層体は接着強度には問題なかったが、寸法変化率が−0.80%となり、積層体の反りが生じた。
比較例7
実施例1における混合溶液p1をウェット厚み約30μmで塗布の代わりに、合成例7で得られたポリイミド樹脂の前駆体溶液s7を、硬化後の厚みが1.0μmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層体17を得た。得られた積層体は接着強度、寸法安定性には問題なかったが、エッチング後の絶縁樹脂層の形状に凹凸が生じた。
比較例8
合成例1で得られたポリアミド酸の樹脂溶液s1における前駆体成分a1と、合成例7で得られた前駆体溶液s7における前駆体成分b7との重量比が20対80の割合になるように、樹脂溶液s1及び前駆体溶液s7を混合した後、DMAcを加えて希釈し、前駆体成分としての固形分濃度を12重量%に調整した混合溶液p18を用意した。
実施例1における混合溶液p1をウェット厚み約30μmで塗布の代わりに、前記の混合溶液p18を、硬化後の厚みが1.0μmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層体18を得た。得られた積層体は接着強度、寸法安定性には問題なかったが、エッチング後の絶縁樹脂層の形状に凹凸が生じた。
以上の結果をまとめて、表1に示す。なお、表1において、樹脂層(μm)とは、得られた金属張積層体のポリイミド樹脂層及び接着性層の合計厚み(μm)を示し、接着層(μm)とは、接着性層又は接着層の厚み(μm)を示し、CTE(ppm/K)とは、ポリイミド樹脂層の線熱膨張係数(×10-6/K)を示し、接着強度のA側とは、金属層Aとポリイミド樹脂層の接着強度を示し、接着強度のD側とは、金属層Dと接着性層の接着強度を示し、寸法変化率(%)とは、エッチング後の寸法変化率(%)を示し、形状とは、エッチング後の絶縁樹脂層の形状を示す。また、金属層A及びDの欄において、SUS1はステンレス箔1であり、SUS2はステンレス箔2であり、銅箔は電解銅箔1であり、s+pはスパッタ+メッキである。
Figure 2009184256

Claims (7)

  1. 金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bは厚みが5〜50μmの単一層で、線熱膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cは厚みが0.1〜2.0μmで、ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸(B’)及び熱可塑性ポリイミド樹脂(X)の前駆体樹脂(X’)を含む混合溶液を乾燥及びイミド化することによって形成されたものであり、該混合溶液は前駆体樹脂(B’)及び(X’)の合計100重量部に対して前駆体樹脂(B’)を25〜85重量部含むものであることを特徴とする金属張積層体。
  2. 熱可塑性ポリイミド樹脂(X)のガラス転移温度が、200〜320℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層体。
  3. ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属張積層体。
  4. 金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層である請求項1〜3のいずれかに記載の金属張積層体。
  5. 金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層である請求項1〜3のいずれかに記載の金属張積層体。
  6. 請求項4又は5に記載の金属張積層体からなること特徴とするHDDサスペンション用金属張積層体。
  7. 請求項6に記載のHDDサスペンション用金属張積層体を加工して得られること特徴とするHDDサスペンション。
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