JP2009178520A - ゴルフボール及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴルフボールの打球感の柔らかさを維持しつつ、飛距離性能を向上させる。
【解決手段】ゴルフボール10のソリッドコア12は、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16と、過加熱によって収縮した熱膨張性マイクロカプセルとを含有する。熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12内に略均等に分散した状態で存在する。膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は気体を内包しており、このため、ゴルフボール10が打撃された際にクッション機能を営む。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱膨張性マイクロカプセルを含有した層を有するソリッドコアを具備するゴルフボール及びその製造方法に関する。
ポリブタジエンにアクリル酸亜鉛等が配合されてなるゴム組成物から形成された硬質で高反発性のソリッドコアの外側に、熱可塑性樹脂からなるカバーが被覆されたツーピースソリッドゴルフボールは、センタ部に糸ゴムが巻回された糸巻きコアの外側にカバーが被覆された、いわゆる糸巻きゴルフボールよりも飛距離性能に優れるという利点を有しており、広汎に使用されている。しかしながら、前記ツーピースソリッドゴルフボールには、打球時にプレイヤが感じる衝撃が比較的強い(打球感が柔らかくない)という不具合がある。
打球感を軟らかくするためには、ソリッドコアを軟質化して硬度を小さくすればよい。しかしながら、この場合、ソリッドコアの反発性が低下するために飛距離性能が低下するという不具合を招く。
そこで、近年、ソリッドコアとカバーとの間に軟質な中間層を介在させたゴルフボールや、ソリッドコア又はカバーの少なくともいずれか一方を多層構造とし、その中の1層を軟質な素材で形成したゴルフボール、すなわち、いわゆるマルチピースソリッドゴルフボールが開発されつつある。
例えば、特許文献1では、センター(ソリッドコア)と、内層及び外層の2層からなる中間層と、カバーとを具備し、この4層中、前記中間層における内層の硬度が最も高いフォーピースソリッドゴルフボールが提案されている。なお、内層の形成材料の具体例としては、アイオノマー樹脂が開示されている。
特開平10−179797号公報
近時、さらなる柔らかい打球感が得られ、なおかつ反発性が良好で飛距離性能に優れるゴルフボールが希求される傾向にある。しかしながら、上記から諒解されるように、打球感を軟らかくすることと反発性を確保することとは二律背反の関係にあるため、両特性を同時に兼ね備えるゴルフボールを得ることは容易ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、柔らかい打球感を得ることができ、しかも、優れた飛距離性能を示すゴルフボール及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールであって、
前記ソリッドコアは、ポリブタジエンゴムと、前記ポリブタジエンゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部含有する層を有し、
且つ膨張した前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で分散して存在するとともに、過加熱によって収縮した前記熱膨張マイクロカプセルが前記層中に含まれることを特徴とする。
膨張した熱膨張性マイクロカプセルは、多量の気体を内包している。このような熱膨張性マイクロカプセルは、プレイヤがゴルフボールを打撃した際、クッションとして機能する。すなわち、衝撃を緩和する作用を営み、このため、プレイヤが柔らかい打球感を得ることができる。
その一方で、ソリッドコアがブタジエンゴムを含むため、該ブタジエンゴムによって反発性が確保される。すなわち、本発明によれば、柔らかい打球感が得られながらも飛距離性能に優れるゴルフボールが得られる。
さらに、膨張した熱膨張性マイクロカプセルを含有するソリッドコアは、熱膨張性マイクロカプセルを含まないソリッドコアに比して硬度が小さくなる。このため、柔らかい打球感が一層得られ易くなる。換言すれば、マルチピースソリッドゴルフボールのように軟質な層を設ける必要は特になく、このために低コストで柔らかい打球感を得ることができるようになる。
なお、ソリッドコアが複数層を有するものである場合、膨張した熱膨張性マイクロカプセルを含有する層を最も低硬度に設定すればよい。
いずれの場合においても、ソリッドコアの密度は、1.05〜1.20g/cm3であることが好ましい。ソリッドコアがこのように低密度であると、本発明に係るゴルフボールを一般的なゴルフボールと同一重量で作製した場合、本発明に係るゴルフボールの方が直径が著しく大きくなる。このため、プレイヤが初心者であっても打球し易い。すなわち、いわゆる空振りを回避することが容易となる。
また、本発明は、少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールの製造方法であって、
ブタジエンと、前記ブタジエンを架橋する架橋剤と、前記ブタジエンの架橋反応を開始させる架橋開始剤とを配合するとともに、前記ブタジエン100重量部に対し、加熱によって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部配合してソリッドコア用ゴム組成物を調製する工程と、
前記ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を具備する予備成形体を作製する工程と、
前記予備成形体を加熱することで前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてソリッドコアを設ける工程と、
前記ソリッドコアをカバーで被覆する工程と、
を有し、
前記ソリッドコアを設ける工程で、前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で分散するとともに、一部の前記熱膨張性マイクロカプセルが過加熱によって収縮する条件下で架橋を行うことを特徴とする。
このような工程を経ることにより、上記したように、打球感が柔らかく且つ反発性(飛距離性能)に優れるゴルフボールを得ることができる。
しかも、従来技術においては、ソリッドコア用ゴム組成物の過剰量をキャビティに射出した後に圧縮しながら加熱を行うため、余剰のソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出するとともに、ソリッドコアに多量のバリが生成するのに対し、本発明によれば、ソリッドコア用ゴム組成物を膨張させるため、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出することはほとんどなく、ソリッドコアに生成するバリも極めて僅かである。従って、省資源化を図ることができるとともに、バリ取り作業を省略することが可能となる。
なお、膨張した熱膨張性マイクロカプセルを略均等に分散させるには、例えば、ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を設けるための金型に、該金型に存在する空間に充填可能な最大充填量の65〜80重量%となる量でソリッドコア用ゴム組成物を導入した後、前記加熱を、温度を130〜180℃として300〜1200秒間行うようにすればよい。
ここで、例えば、ソリッドコアを2層構造とし、外層を前記ソリッドコア用ゴム組成物で形成する場合には、内層となる球体を金型に挿入し、この球体と金型との間の空間の最大充填量の65〜80重量%となる量でソリッドコア用ゴム組成物を導入すればよい。
本発明によれば、膨張した熱膨張性マイクロカプセルをソリッドコアに含有することによって、低密度でクッション性に優れるソリッドコアを得るようにしているので、優れた反発性が確保される一方、プレイヤが打撃した際に柔らかい打球感が得られるゴルフボールを容易に構成することができる。
以下、本発明に係るゴルフボールにつき、その製造方法との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係るゴルフボールを直径に沿って切断した概略断面図を図1に示す。このゴルフボール10は、ソリッドコア12がカバー14で被覆されることによって構成されたツーピースソリッドゴルフボールである。
この場合、ソリッドコア12は、1,4−シス−ブタジエンを基材とするソリッドコア用ゴム組成物が加熱されることによって形成され、架橋したポリブタジエンゴムを主成分とする。なお、必要に応じて、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤や、老化防止剤、着色剤等がさらに配合されていてもよい。
ソリッドコア12には、複数個の膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が含まれている。各熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12中で略均等に分散した状態で存在している。
各熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12を得るためのソリッドコア用ゴム組成物(後述)に予め配合されたものである。ここで、熱膨張性マイクロカプセル16とは、液状炭化水素が熱可塑性高分子からなる外殻に内包されたものであり、加熱によって膨張する。すなわち、前記外殻が軟化するとともに前記液状炭化水素が加熱に伴って気化し、これにより体積が増加して外殻を押圧するからである。この種の熱膨張性マイクロカプセル16は様々なものが市販されており、容易に入手可能である。
一旦膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、冷却されても収縮することはない。従って、熱膨張性マイクロカプセル16は、ソリッドコア12内に膨張した状態で存在することが可能である。なお、熱膨張性マイクロカプセル16は、後述するように、ソリッドコア12を作製する過程で膨張する。
上記から諒解されるように、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16は、気体を含有する。すなわち、ソリッドコア12は、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16を含むことにより、見かけ上、気泡を含む多孔質体となっている。このため、ソリッドコア12の密度及び硬度が一般的なゴルフボールにおけるソリッドコアの密度及び硬度に比して小さくなる。具体的には、従来技術に係るソリッドコアの密度が概ね1.15〜1.20g/cm3であるのに対し、このソリッドコア12の密度は概ね1.05〜1.20g/cm3である。このことは、体積が同一であれば、ソリッドコア12は、従来技術に係るソリッドコアに比して軽量であると言い換えることができる。
なお、膨張したマイクロカプセル16が存在する部位近傍の密度は概ね1.0g/cm3未満であり、典型的には0.9g/cm3以下である。
ソリッドコア12中に存在する膨張した熱膨張性マイクロカプセル16の粒径は、およそ20〜200μm程度である。このような熱膨張性マイクロカプセル16が存在することにより、後述するように、打球感が柔らかいゴルフボール10が得られる。膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が、クッション機能を営むからである。
その一方で、熱膨張性マイクロカプセル16は、過度に高温で加熱した場合、気化した炭化水素が外殻を透過するために収縮する。従って、本実施の形態においては、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16がソリッドコア12中に残存するように、ソリッドコア用ゴム組成物からソリッドコア12を作製する際の加熱(架橋)条件が設定される。
熱膨張性マイクロカプセル16は、膨張したもの、未膨張のもの、膨張した後に収縮したもの全てを含め、ソリッドコア12の主成分であるポリブタジエン100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で存在する。0.1重量部未満では、打球感を軟らかくする効果に乏しい。一方、10重量部を超えると、ソリッドコア12の反発性が低下してしまう。熱膨張性マイクロカプセル16のより好ましい割合は、1〜5重量部である。
また、熱膨張性マイクロカプセル16としては、ポリブタジエンを得る際の架橋温度で膨張可能なものが選定される。架橋温度は概ね140〜180℃であるので、熱膨張性マイクロカプセル16は、70〜170℃の間の温度で膨張を開始するものが好ましい。
さらに、熱膨張性マイクロカプセル16は、平均粒径が5〜35μmの範囲内のものであることが好ましい。この場合、膨張後の熱膨張性マイクロカプセル16の粒径が上記したように20〜200μm程度となり、その結果、クッション性に優れるソリッドコア12が得られ、このためにゴルフボール10を打球した際に柔らかい打球感が得られる。
カバー14は、ゴルフボールのカバー素材として一般的に採用されているものであればよく、好適には熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等からなる。
熱可塑性樹脂の好適な例としては、ゴルフボールの原材料として使用されている公知の物質、特に、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との2元系共重合体ないし該共重合体が金属イオンで部分的に中和されたアイオノマー樹脂が挙げられる。
一方、熱可塑性エラストマーの好適な例としては、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられ、このうち、柔軟であるために柔らかい打球感が得られ、且つ反発性も良好であることから、ポリウレタン系エラストマーが特に好ましい。
なお、ポリウレタン系エラストマーとしては、ポリオールと、イソシアネートと、鎖伸張剤とからなるものが例示される。ポリオールの具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、イソシアネートの具体例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート等が挙げられる。また、鎖伸張剤の具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーは、少なくともいずれか一方が配合されていればよく、勿論、双方がともに配合されていてもよい。
カバー14には、上記した組成物の他、酸化防止剤、着色剤、充填剤、光安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、分散剤、帯電防止剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
このように構成されたゴルフボール10は、ソリッドコア12が低密度であるために軽量である。これを換言すれば、ゴルフボールを、ゴルフ競技規則で許容されている最大重量とした場合、一般的なゴルフボールに比して直径が大幅に大きくなる。このような大直径のゴルフボールは、プレイヤが初心者であっても比較的容易に打球することが可能である。すなわち、いわゆる空振りを回避することができる。
その一方で、このソリッドコア12には、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が含有されている。このために硬度を低く設定することが可能となるとともに、熱膨張性マイクロカプセル16が内包する気体が打球時にクッションとして機能し、衝撃力を緩和する。その結果、柔らかい打球感が得られる。
しかも、ソリッドコア12の主成分であるポリブタジエン、及びカバー14の形成材料である熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーのいずれも、反発性が良好である。従って、ゴルフボール10は打球時に優れた反発性を示し、このために初速度が大きく、飛距離性能も良好となる。
なお、図1においては、ソリッドコア12が単層からなるゴルフボール10を示しているが、ソリッドコア12は複数層であってもよい。すなわち、例えば、図2及び図3に示すように、ソリッドコア12が内層20と外層22からなるゴルフボール24(スリーピースソリッドゴルフボール)であってもよい。この場合において、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16を内層20のみに含有させるようにしてもよいし(図2参照)、外層22のみに含有させるようにしてもよい(図3参照)。勿論、内層20及び外層22の双方に含有させるようにしてもよい。また、図示しないが、カバー14も複数層からなるものであってもよい。
いずれの場合においても、未膨張の熱膨張性マイクロカプセル16、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16、収縮した熱膨張性マイクロカプセル16の合計を100体積%としたとき、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が占める割合は、20体積%以上であることが好ましい。これにより、反発性(飛距離性能)に優れるとともにクッション機能に優れるソリッドコア12を構成することが容易となる。
次に、本実施の形態に係るゴルフボールの製造方法につき、図1に示すゴルフボール10を製造する場合を例示して説明する。
はじめに、ソリッドコア12を作製するためのソリッドコア用ゴム組成物を調製する。すなわち、1,4−シス−ブタジエンに対し、架橋剤(例えば、アクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸金属塩)、架橋反応を開始させる架橋開始剤(例えば、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物)、さらには熱膨張性マイクロカプセル16を配合する。通常、ポリブタジエンを得る際の架橋温度は概ね140〜180℃であるので、熱膨張性マイクロカプセル16は、70〜170℃の間の温度で膨張を開始するものが好ましい。
ここで、各々の好適な割合は、1,4−シス−ブタジエンを100重量部とするとき、架橋剤は10〜40重量部、架橋開始剤は0.1〜5重量部、熱膨張性マイクロカプセル16は0.1〜10重量部である。必要に応じ、5〜80重量部の無機充填剤を配合するようにしてもよいし、老化防止剤、着色剤等をさらに配合するようにしてもよい。
次に、球形状のキャビティが形成された金型に前記ソリッドコア用ゴム組成物を射出する。
なお、後述する加熱が行われる間、熱膨張性マイクロカプセル16に内包された液状炭化水素が気化することに伴って熱膨張性マイクロカプセル16が膨張する。これに追従してソリッドコア用ゴム組成物も体積が大幅に増加するため、キャビティへの射出量は、従来技術に係るソリッドコア用ゴム組成物に比して少量でよい。すなわち、本実施の形態の場合、該金型に充填可能な量(最大充填量)に対し、65〜80重量%の量でソリッドコア用ゴム組成物を導入すればよい。具体的には、直径38.3mmのソリッドコア12を得る場合、従来技術では38g程度の射出量が必要であるが、本実施の形態に係るソリッドコア用ゴム組成物を用いた場合、射出量は26.6g程度で十分である。
そして、このように射出量が低減することに伴い、低密度のソリッドコア12を得ることができる。
キャビティに射出されたソリッドコア用ゴム組成物は、金型ごと加熱される。この加熱に伴って、前記架橋剤及び前記架橋開始剤の作用下に1,4−シス−ブタジエンが架橋してポリブタジエンが形成される。
その一方で、上記したように、熱膨張性マイクロカプセル16が膨張を開始する。その結果、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティの壁に堰き止められるまで膨張する。すなわち、球形状に成形され、ソリッドコア12を形成する。
従来技術においては、ソリッドコア用ゴム組成物の過剰量をキャビティに射出した後に圧縮しながら加熱を行うため、余剰のソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出するとともに、ソリッドコアに多量のバリが生成する。これに対し、本実施の形態によれば、上記のようにソリッドコア用ゴム組成物を膨張させるため、ソリッドコア用ゴム組成物がキャビティから漏出することはほとんどなく、ソリッドコア12に生成するバリも極めて僅かである。従って、本実施の形態によれば、省資源化を図ることができるとともに、バリ取り作業を省略することが可能となるという利点が得られる。
熱膨張性マイクロカプセル16は、キャビティの壁に近接する側(外方)から膨張を開始する。上記したように、熱膨張性マイクロカプセル16は、過度に加熱を行うと収縮する。従って、加熱温度及び加熱時間等の加熱条件を設定することによって、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が占める割合を制御することが可能となる。例えば、架橋条件を160℃、780秒とした場合、38.3mmのソリッドコア12中に膨張した熱膨張性マイクロカプセル16が略均等に存在するとともに、全ての熱膨張性マイクロカプセル16中において膨張したものが占める割合が20体積%以上となる。一般的には、温度を130〜180℃とし、300〜1200秒間保持することが好ましい。
なお、さらなる高温とし且つ長時間とすると、熱膨張性マイクロカプセル16の全てが収縮する。この場合、クッション性が乏しくなる。
以上のようにして、膨張した熱膨張性マイクロカプセル16を含有するソリッドコア12が得られるに至る。
次に、このソリッドコア12を被覆するように、上記したような熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが射出成形され、これによりカバー14が形成される。その後、該カバー14にディンプルが形成され、ゴルフボール10が得られるに至る。
ここで、例えば、図3に示すように、外層22のみに熱膨張性マイクロカプセル16を分散させる場合、内層20となる球体を金型に挿入し、この球体と金型との間の空間に充填可能な量(最大充填量)の65〜80重量%となる量でソリッドコア用ゴム組成物を導入すればよい。
図4に示す割合で、シス−1,4−ポリブタジエン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アクリル酸亜鉛、ジクミルパーオキサイド、老化防止剤、熱膨張性マイクロカプセルを混合してソリッドコア用ゴム組成物を調製した。次に、このソリッドコア用ゴム組成物を球形状のキャビティに射出した後、表記の温度・時間で加熱を行うことでソリッドコアを作製した。場合によっては、同様の作業を2回行うことによって、内層及び外層を具備する2相構造のソリッドコアを作製した。
なお、図4中のF−793D、F−36D、F−80S及びF−100Dは、それぞれ、松本油脂製薬社製の熱膨張性マイクロカプセルの商品名であり、各々の平均粒径及び膨張開始温度は、25〜35μm及び110〜120℃、5〜15μm及び75〜85℃、20〜30μm及び140〜145℃、20〜30μm及び130〜140℃である。
このソリッドコアに対し、図4に示すカバーを被覆するように設けてゴルフボールとした。各々を実施例1〜5とする。以上の実施例1〜5における各ゴルフボールのソリッドコアでは、膨張した熱膨張性マイクロカプセルが略均等に分散して存在していた。図4には、各ソリッドコアの硬度及び密度を併せて示す。
比較のため、熱膨張性マイクロカプセルを含有しない2層構造のソリッドコアを具備するゴルフボール、熱膨張性マイクロカプセルを含有しない単層構造のソリッドコアを具備するゴルフボール、熱膨張性マイクロカプセルを含有したソリッドコア用ゴム組成物を用いて加熱時間を長くすることで全ての熱膨張性マイクロカプセルが収縮したソリッドコアを具備するゴルフボールを作製した。各々を比較例1〜6とする。
なお、図4には、以上の実施例1〜5、比較例1〜6の各ゴルフボールにおけるソリッドコアに対して10kg荷重を付加した状態から130kg荷重を付加した状態までの変形量、各ゴルフボールを130フィート/秒の速度で400mm×800mm×50mm寸法の鉄製プレートに衝突させた際の反発係数、及び慣性モーメントを併せて示すとともに、カバーの厚み及びショアD硬度を示している。
以上の実施例1〜5、比較例1〜6の各ゴルフボールにつき、比較例1の反発指数を100として相対的な反発指数を測定した。反発指数が大きいほど反発性が高く、飛距離性能に優れるゴルフボールであることを意味する。その一方で、各ゴルフボールを実打評価することによって打球感を調べた。
以上の結果を、図4に併せて示す。この結果から、実施例1〜9の各ゴルフボールが飛距離性能に優れ、しかも、柔らかい打球感が得られるものであることが明らかである。
本実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 別の実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 また別の実施の形態に係るゴルフボールの概略断面図である。 実施例1〜5及び比較例1〜6のゴルフボールにおけるソリッドコア、カバーの原材料の成分及びその混合割合と、諸物性及び評価結果とを示す図表である。
符号の説明
10、24…ゴルフボール 12…ソリッドコア
14…カバー 16…熱膨張性マイクロカプセル
20…内層 22…外層

Claims (5)

  1. 少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールであって、
    前記ソリッドコアは、ポリブタジエンゴムと、前記ポリブタジエンゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部含有する層を有し、
    且つ膨張した前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で分散して存在するとともに、過加熱によって収縮した前記熱膨張マイクロカプセルが前記層中に含まれることを特徴とするゴルフボール。
  2. 請求項1記載のゴルフボールにおいて、前記ソリッドコアの密度が1.05〜1.20g/cm3であることを特徴とするゴルフボール。
  3. 請求項1又は2記載のゴルフボールにおいて、前記ソリッドコアが複数層を有するとき、膨張した前記熱膨張性マイクロカプセルを含有する前記層が最も低硬度であることを特徴とするゴルフボール。
  4. 少なくとも1層を有するソリッドコアと、少なくとも1層を有し且つ前記ソリッドコアを被覆するカバーとを具備するゴルフボールの製造方法であって、
    ブタジエンと、前記ブタジエンを架橋する架橋剤と、前記ブタジエンの架橋反応を開始させる架橋開始剤とを配合するとともに、前記ブタジエン100重量部に対し、加熱によって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜10重量部配合してソリッドコア用ゴム組成物を調製する工程と、
    前記ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を具備する予備成形体を作製する工程と、
    前記予備成形体を加熱することで前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてソリッドコアを設ける工程と、
    前記ソリッドコアをカバーで被覆する工程と、
    を有し、
    前記ソリッドコアを設ける工程で、前記熱膨張性マイクロカプセルが前記層中で分散するとともに、一部の前記熱膨張性マイクロカプセルが過加熱によって収縮する条件下で架橋を行うことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法において、前記ソリッドコア用ゴム組成物からなる層を設けるための金型に、該金型に存在する空間に充填可能な最大充填量の65〜80重量%となる量で前記ソリッドコア用ゴム組成物を導入した後、前記加熱を、温度を130〜180℃として300〜1200秒間行うことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012096032A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Nike Internatl Ltd 変化が可能なディンプルを有するゴルフボール
JP2017113308A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 株式会社ブリヂストン ゴルフボール
US10183197B2 (en) 2016-09-30 2019-01-22 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf ball
US10751576B2 (en) 2018-10-16 2020-08-25 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf ball

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