JP2009174557A - ヒンジ装置及びそのヒンジ装置を備えた機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】筐体部材の開閉等に用いられるヒンジ装置に関し、開閉される筐体部材側に干渉を来すことがなく、外観部材に隙間の発生を防止することにある。
【解決手段】軸(開閉軸8)を回転可能に支持する軸受孔(68)に長径部を有し、この長径部によって前記軸を偏心可能に支持する軸受部(4、6)と、偏心カム面(46)を持つ偏心カム(42)にカムフォロア(カムフォロア部44)を係合させ、前記軸の回転角度に応じて前記軸を前記軸受孔の前記長径部により偏心させる第1のカム機構(14、16)と、高さを異ならせたカム面(74)を持つ固定カム(64)の前記カム面に前記軸とともに回転する回転カムにある突部(78、80)を係合させ、前記軸上に設置したばね(コイルばね26)の復元力を前記カム面と前記突部との間に作用させた第2のカム機構(22、24)とを備えることである。
【選択図】図3
【解決手段】軸(開閉軸8)を回転可能に支持する軸受孔(68)に長径部を有し、この長径部によって前記軸を偏心可能に支持する軸受部(4、6)と、偏心カム面(46)を持つ偏心カム(42)にカムフォロア(カムフォロア部44)を係合させ、前記軸の回転角度に応じて前記軸を前記軸受孔の前記長径部により偏心させる第1のカム機構(14、16)と、高さを異ならせたカム面(74)を持つ固定カム(64)の前記カム面に前記軸とともに回転する回転カムにある突部(78、80)を係合させ、前記軸上に設置したばね(コイルばね26)の復元力を前記カム面と前記突部との間に作用させた第2のカム機構(22、24)とを備えることである。
【選択図】図3
Description
本発明は、部材間を連結するとともに、各部材の開閉や部材の回転等の交差する軸を中心とした2軸操作を可能にしたヒンジ装置に関し、特に、部材を開閉可能に支持する開閉軸が回転角度に応じて偏心するヒンジ装置及びヒンジ装置を備えた機器に関する。
ディジタルカメラ等の機器では、筐体部とモニタ部とを連結するヒンジ装置が設置され、このヒンジ装置は、筐体部とモニタ部との開閉操作やモニタ部の回動操作を実現している。このようなヒンジ装置には、機器の仕様や一定角度で停止できる等の機能を実現するため、例えば、各軸に独立した回転角度を規制する機能、各軸に一定の摺動回転トルクの発生機能、各軸に一定角度の位置で回転抵抗を生じさせるクリック感発生機能等が求められている。
このようなヒンジ装置に関し、特許文献1には、開閉軸及び回転軸を直交させた2軸ヒンジにおいて、開閉軸側の本体と回転軸側の蓋とを離間させた構成が開示されている。また、特許文献2には、本体と別部材であるパネル部に2つの円弧状のガイド部を備える操作部が固定され、本体側に取り付けられた固定部がガイド部に挿入されることにより、本体に対してパネル部を回動させるヒンジ機構が開示されている。
特開2002−227826号公報(要約及び図1等)
実開昭55−166876号明細書及び図面
ところで、ヒンジ装置を備える機器では、開閉可能な2つの筐体部材がヒンジ装置によって結合されており、ヒンジ装置を中心に開閉軸を回転させて筐体部材を開閉し、また、ヒンジ装置は機器の内部に設置されて隠蔽される。しかも、各筐体部材は、機器の表示部や本体装置を構成し、機器内部に設置されるヒンジ装置より大きい厚みを備えている。このような筐体部材を機器内部に設置されたヒンジ装置で開閉すれば、筐体部材の縁部間に開閉軌跡上に干渉を生じ、互いの筐体部材の対向する縁部が当接して開閉できなくなる。これを回避するため、筐体部材側の形状を規制し、互いの筐体部材間に所要の空隙を設けることが必要となる。機器側の筐体部材の形状変更には限界があり、筐体部材側の大きさ、形状に変更を来すことなく、所望の開閉を行うための機構が必要である。
図14の(A)及び(B)に示すように、単純な1軸構造のヒンジ装置300を用いた場合、液晶ユニット側筐体302の開閉に伴い、液晶ユニット側筐体302を格納する本体側筐体304の格納部306の縁面308と、液晶ユニット側筐体302の縁面310とが干渉し、両者間に接触が発生するため、これらの縁面同士の干渉を回避するため、干渉箇所には所謂逃がしのための隙間312が必要である。図14の(A){図14の(B)の破線}は、液晶ユニット側筐体302を本体側筐体304の格納部306に格納した状態であり、図14の(B)は、液晶ユニット側筐体302を回転させて本体側筐体304の格納部306から引き出した状態である。本体側筐体304と液晶ユニット側筐体302との間に形成された隙間312は、格納部306内を露出させるとともに、ほこり等を侵入させるおそれがある。このような隙間312は、装置314全体にいびつ感を生じさせる等、外観品質を低下させるおそれがあった。
このような課題について、特許文献1、2には開示がなく、その解決手段についての開示や示唆もない。
そこで、本発明の目的は、筐体部材の開閉等に用いられるヒンジ装置に関し、開閉される筐体部材側に干渉を来すことがなく、外観部材に隙間が発生するのを防止することにある。
また、本発明の他の目的は、斯かるヒンジ装置を備えた機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、ヒンジ装置であって、軸を回転可能に支持する軸受孔に長径部を有し、この長径部によって前記軸を偏心可能に支持する軸受部と、偏心カム面を持つ偏心カムにカムフォロアを係合させ、前記軸の回転角度に応じて前記軸を前記軸受孔の前記長径部により偏心させる第1のカム機構と、高さを異ならせたカム面を持つ固定カムの前記カム面に前記軸とともに回転する回転カムにある突部を係合させ、前記軸上に設置したばねの復元力を前記カム面と前記突部との間に作用させた第2のカム機構とを備えることである。斯かる構成により、上記目的が達成される。
上記目的を達成するためには、上記ヒンジ装置において、好ましくは、前記軸に取り付けられたストッパ部を備え、このストッパ部により前記軸の回転範囲を規制させてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
上記目的を達成するためには、上記ヒンジ装置において、好ましくは、前記偏心カムに前記軸の回転範囲を規制させるストッパを備えてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、ヒンジ装置を備えた機器であって、第1の部材と第2の部材とをヒンジ装置により連結し、該ヒンジ装置により前記第1の部材と前記第2の部材とが開閉可能であって、前記第1の部材又は前記第2の部材の回転中心が回転角度に応じて偏心し、かつその偏心方向が軸受部の長径部によって規制されていることである。斯かる構成により、上記目的が達成される。
上記目的を達成するためには、上記ヒンジ装置を備えた機器において、好ましくは、既述のヒンジ装置を備えた構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
(1) 筐体部材の開閉等に用いられるヒンジ装置であって、開閉される筐体部材側に干渉を来すことがなく、外観部材に隙間が発生するのを防止することができる。
(2) 軸の回転角度に応じて軸の回転中心を変位させることができ、軸受部を固定した部材と軸側に固定される部材との距離を軸の偏心回転による角度に応じて変化させ、その偏心方向及び距離がガイド手段を成す軸受孔によって規制でき、その偏心方向及び距離に応じて部材間の開閉の自由度を高めることができる。
(3) 軸受部を固定した部材と軸側に固定される部材との距離を軸の偏心回転による角度に応じて変化させることができるので、筐体部材の開閉等に用いれば、開閉される筐体部材間の干渉を防止できる。
(4) 斯かるヒンジ装置を備えた機器によれば、部材間の干渉を防止でき、干渉を回避するための部材の厚みや形状に制限を受けることがなく、設計の自由度を高めることができる。
(5) 軸受部を固定した部材と軸側に固定される部材との距離を軸の偏心回転による角度に応じて変化させることができるので、例えば、開閉途上と開又は閉位置との部材間の距離を異ならせ、部材間に開閉のための隙間等の対策が不要となる。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は、ヒンジ装置を示す斜視図、図2は、コイルばねを切断して示したヒンジ装置の正面図である。図1及び図2に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
このヒンジ装置2は、図1及び図2に示すように、第1及び第2の軸受部4、6によって開閉軸8を回転可能に支持し、この開閉軸8の中間部には、第3の軸受部10によって回転軸12が開閉軸8と交差方向に取り付けられるとともに、回転可能に支持されている。
開閉軸8は、回転可能かつ偏心可能に軸受部4、6に支持される軸の一例である。この開閉軸8には、軸受部4、6の外側に第1のカム機構14、16及びストッパ機構18、20が設置されているとともに、軸受部4、6と軸受部10との間に第2のカム機構22、24が設置されている。カム機構14、16は、開閉軸8の回転角度に応じて開閉軸8を偏心させるための機構であり、ストッパ機構18、20は、開閉軸8の回転角度範囲を規制する手段であって、この実施の形態では、回転軸12の位置aから位置bに90度だけの回動範囲に回動を規制している。また、カム機構22、24は、圧縮状態に維持されているコイルばね26の復元力により角度即ち、開閉軸8の開閉始点及び開閉終点側に回転モーメントを付与し、自動復帰力及び安定感を生じさせる手段である。
次に、ヒンジ装置2の部品構成について、図3を参照する。図3は、ヒンジ装置を示す分解斜視図である。図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図3において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してある。
軸受部4、6は、開閉軸8を回転可能かつ偏心可能に支持する手段であって、一定の間隔で開閉軸8に取り付けられる。これら軸受部4、6は例えば、金属板等の剛性材料で形成され、開閉軸8と平行に固定部28を備えている。軸受部4、6には、開閉軸8を回転可能に支持するとともに偏心させるための軸受孔30が形成され、この軸受孔30は、開閉軸8の偏心方向に長径部を形成した長円孔で構成されている。この実施の形態では、固定部28の面部に対して45度方向に長径部が設定されている。
開閉軸8は、その中間部に軸受部10を一体に備え、この軸受部10を挟んで端部側にカム機構14、16及びストッパ機構18、20が取り付けられる一対の第1のカム軸部32と、軸受部4、6の軸受孔30に支持される一対の支持軸部34と、カム機構22、24が取り付けられる一対の第2のカム軸部36とを備えている。カム軸部32は円柱軸の周面の一部を平行に切り落とす所謂Iカットを施し、平行面部38を備えている。支持軸部34は円柱軸であり、また、カム軸部36は支持軸部34より径大な円柱軸の周面に所謂Iカットを施し、平行面部40を備えている。
カム機構14、16は、偏心カム42と、軸受部4に突出させた円柱状のカムフォロア部44とで構成され、偏心カム42には開閉軸8を回転角度によって偏心させる偏心カム面46を備えている。この偏心カム42は固定孔48を備え、この固定孔48に開閉軸8のカム軸部32を挿入することにより、カム軸部32に固定される。各偏心カム42と軸受部4、6との間には、合成樹脂からなるリング状のワッシャ50が取り付けられ、回転の円滑性を維持している。偏心カム42の偏心カム面46には、軸受部4、6に取り付けられたカムフォロア部44が接触する。
ストッパ機構18、20は、偏心カム42と合体させてカム軸部32に固定されて開閉軸8とともに回転させる第1のストッパ部52と、軸受部4の固定部28側に形成された第2のストッパ部54とで構成され、これらストッパ部52とストッパ部54との係合により、開閉軸8の回転角度範囲が決定される。ストッパ部52は、固定部28に形成されたストッパ部54に係合させるためのストッパ片56を備え、偏心カム42に突出させた係合突部58を係合孔60に挿入させることにより、偏心カム42と合体する。ストッパ部52にも偏心カム42と同様の固定孔62が形成され、この固定孔62に開閉軸8のカム軸部32が挿入され、開閉軸8にストッパ部52が固定される。
カム機構22、24は、軸受部4、6に固定される固定カム64と、開閉軸8のカム軸部36に摺動可能に支持されて回転する回転カム66と、コイルばね26とを備えている。固定カム64は、開閉軸8の支持軸部34を挿通させるための軸受孔68を備えるとともに、この軸受孔68の周囲部に複数の固定用突部70、位置決め孔71が形成され、各固定用突部70を軸受部4、6の固定用凹部72又は固定用孔75に挿入し、軸受部4、6側の位置決め突部73を位置決め孔71に挿入することにより、軸受部4又は6と合体される。軸受孔68の形状は、軸受部4の軸受孔30と同形である。この固定カム64は、その厚み方向に高さの異なる曲面からなるカム面74を備えている。また、回転カム66は例えば、合成樹脂で形成されてカム軸部36と断面相似形の摺動孔76を備え、この摺動孔76の中心軸と直交方向に突出し、頂部の高さが等しく径の異なる半円柱状の突部78、80を備え、これら突部78、80を固定カム64のカム面74に接触させる。この回転カム66に形成された径小部82には金属で形成された補強環84が取り付けられ、この補強環84を備えた回転カム66と軸受部10との間にはカム軸部36に取り付けたコイルばね26が挿入されている。
軸受部10には回転軸12の回転を規制するストッパ機構86が設けられ、また、回転軸12の端部は固定板88の固定孔90に挿入されて固定板88に固定されている。
次に、カム機構22、24について、図4、図5及び図6を参照する。図4は、コイルばねを除いて示したカム機構を示す図、図5は、固定カムを示す図、図6は、回転カムを示す図ある。図4〜図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図4〜図6において、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してある。
軸受部4、6に固定された固定カム64のカム面74には、図4に示すように、開閉軸8のカム軸部36に摺動可能に取り付けられた回転カム66の突部78、80が接触し、コイルばね26(図1〜図3)の復元力によって加圧力がカム面74と突部78、80との間に作用している。
固定カム64は、図5の(A)、(B)、(C)及び(D)に示すように、軸受部4、6に接合される面を平坦面にし、軸受孔68の長径部側を高く、短径部側を低く設定されている。図5の(A)は、固定カム64の全容を示す斜視図、図5の(B)は、短径部側を横方向にして示した固定カム64の斜視図、図5の(C)は、長径部側を横方向にして示した固定カム64の斜視図、図5の(D)は、長径部側から示した固定カム64の側面図である。この固定カム64では、軸受孔68の長径部側に最大高さh1 、短径部側の縁部に最小高さh2 (<h1 )が設定され、軸受孔68の短径部側に最小高さh2 の窪み92が固定カム64の外縁方向になだらかに立ち上がる傾斜面94によって形成されている。
この固定カム64のカム面74に対向させる回転カム66は、図6の(A)及び(B)に示すように、開閉軸8のカム軸部36の断面と相似形の摺動孔76を中心に持つ環状体であって、既述した通り、頂部の高さが等しく径の異なる半円柱状の突部78、80を備えている。図6の(A)は、摺動孔76の斜め上方から見て示した回転カム66の斜視図、図6の(B)は、回転カム66の側面図である。各突部78、80の頂部の高さは、図6の(B)に示すように、同一である。これら突部78、80の頂部と固定カム64のカム面74{図5の(A)、(C)}との接触とともに、回転カム66の背面側からコイルばね26の押圧力を受けることにより、回転カム66側に回転モーメントを生じさせている。
次に、開閉動作について、図7、図8、図9及び図10を参照する。図7は、ストッパ機構の動作を示す図、図8は、開閉軸の偏心回転動作を示す図、図9は、カム機構による偏心軌道を示す図、図10は、カム機構による回転モーメントの生成を説明するための図である。図7〜図10に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図7〜図10において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してある。
図7の(A)に示す位置は、回転軸12が軸受部4の固定部28と平行に維持されており、この位置を開閉始点とすれば、図7の(C)に示す位置は、開閉終点であり、図7の(B)に示す位置は、その中間点である。開閉始点から矢印cに示すように、開閉軸8を回転させると、図7の(B)に示す中間点を経て、図7の(C)に示す開閉終点に至る。この場合、ストッパ機構18のストッパ部52は、開閉軸8を中心に図7の(A)の位置から反時計方向に回動し、ストッパ片56が固定部28のストッパ部54に当たるまで開閉軸8を回動させることができる。ストッパ片56がストッパ部54に当たると、開閉軸8の回動が阻止され、これが開閉終点となる。図7の(A)〜(C)は、軸受部4側のストッパ機構18を示しているが、軸受部6側のストッパ機構20においても同様の動作となる。
このような開閉軸8の回転とともに、偏心カム42が回転する。図8の(A)に示す位置では、偏心カム42の偏心カム面46にカムフォロア部44が接触しているだけであり、開閉軸8の偏心はない。即ち、偏心カム42の開閉始点及び開閉終点の中心をO1 、偏心回転中心をO2 とすると、開閉始点及び開閉終点では、中心O1 と偏心回転中心O2 とが一致している。開閉始点から開閉軸8の角度を矢印c方向に変化させると、偏心カム面46がカムフォロア部44にのし上がり、図8の(B)に示す位置では、偏心カム面46の回転中心から半径Rに応じて偏心回転中心O2 が中心O1 から偏心し、中心O1 と偏心回転中心O2 との間に距離ΔXが生じる。
この場合、開閉軸8を図8の(A)に示す状態から45度だけ回転させると、図8の(C)に示すように、カムフォロア部44に偏心カム42の最大半径Rmax の部分が到達し、図8の(C)に示す位置では、偏心カム面46の回転中心から最大半径Rmax に応じて偏心回転中心O2 が中心O1 から偏心し、中心O1 と偏心回転中心O2 との間に距離ΔXmax が生じる。即ち、これが最大偏心位置である。
この位置から開閉軸8を矢印c方向に回転させると、偏心カム面46の最大半径Rmax の位置を超え、図8の(D)に示す位置では、偏心カム面46の回転中心から半径Rに応じて偏心回転中心O2 が中心O1 から偏心し、中心O1 と偏心回転中心O2 との間に距離ΔXが生じる。これは、図8の(B)と同様の位置となる。
また、開閉軸8を図8の(A)に示す状態から90度だけ回転させると、図8の(E)に示すように、カムフォロア部44に偏心カム42の最小半径Rmin の部分が到達し、図8の(E)に示す位置では、最小半径Rmin に応じて偏心回転中心O2 が中心O1 に一致し、偏心はない。
このような開閉始点(0度)から開閉終点(90度)の偏心回転では、図9に示すように、中心O1 から偏心回転中心O2 の軌道変位nにより、開閉始点と開閉終点との中間点に最大変位を持つ偏心軌道mが得られる。破線mO は、偏心がない場合の回転軌道の比較例である。
このような偏心回転とカム機構22、24の関係について、開閉始点では、図10の(A)に示すように、回転カム66が圧縮状態にあるコイルばね26の復元力を受けて固定カム64のカム面74に接触しており、斜線部95、96は接触部分を示している。斜線部95は、回転カム66の突部78の接触部分、斜線部96は、回転カム66の突部80の接触部分である。これら斜線部95、96の位置は、カム面74の最小高さ部分から最大高さ部分に至る傾斜面94の中途部にある。
回転カム66を反時計方向に回転させ、回転カム66が開閉始点と開閉終点との中間部(45度)の位置に到達すると、図10の(B)に示すように、回転カム66は圧縮状態に維持されているコイルばね26の復元力に対抗して固定カム64のカム面74の最大高さ部分にのし上がる。
また、回転カム66を反時計方向にさらに回転させ、回転カム66が開閉終点(開閉始点から90度の位置)に到達すると、図10の(C)に示すように、開閉始点と対称位置であるカム面74の最小高さ部分から最大高さ部分に至る傾斜面94の中途部に至る。
このような回転カム66の偏心回転による突部78、80と固定カム64のカム面74との接触と、コイルばね26の復元力により回転カム66に回転モーメントが生じる。即ち、図10の(B)では、突部78、80がカム面74の最大高さ部分に接触し、回転モーメントMがM=0となるのに対し、図10の(A)では、突部78、80がカム面74の最大高さ部分から最小高さ部分に向かう傾斜面94に接触しているため、回転カム66の背面からコイルばね26の復元力を受け、回転カム66が時計方向の回転モーメントMを生じ、また、図10の(C)では、突部78、80がカム面74の最大高さ部分から最小高さ部分に向かう傾斜面94に接触しているため、回転カム66の背面からコイルばね26の復元力を受け、回転カム66が反時計方向の回転モーメントMを生じることになる。即ち、このような回転モーメントMにより、開閉始点では、開閉終点とは反対方向(時計方向)に回転させようとする力(回転力)が作用しており、開閉終点では、開閉始点とは反対方向(反時計方向)に回転させようとする力(回転力)が作用することになり、図10の(B)の中間点を中心に時計方向又は反時計方向への自動復帰が可能となる。
以上の通り、このヒンジ装置2では、カム機構14、16により開閉軸8の回転位置に応じて開閉軸8の回転中心を変位させることができ、ストッパ機構18、20により開閉範囲を規制することができ、また、カム機構22、24により偏心回転と相俟って開閉始点又は開閉終点へのなだらかな回転による自動復帰が得られる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態について、図11及び図12を参照する。図11及び図12は、ヒンジ装置を備えた機器を示し、図11は、開閉始点にある機器を示す斜視図、図12は、開閉終点にある機器を示す斜視図である。図11及び図12に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図11及び図12において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してある。
ヒンジ装置2を備える機器100は、図11に示すように、第1の部材として筐体102と、第2の部材として筐体104とを備えており、筐体102、104間をヒンジ装置2で連結させたものである。筐体102にはヒンジ装置2の軸受部4、6を固定ねじ106で固定し、また、筐体104は、ヒンジ装置2の固定板88を固定ねじ108を以て固定している。
斯かる構成によれば、図11に示すように、機器100の筐体104を開閉始点の閉位置とすれば、図12に矢印Nxに示すように、ヒンジ装置2の開閉軸8を回転中心として開閉することができ、この実施の形態では、矢印Nyで示すように、開閉終点である90度の開位置で、筐体104を回転軸12を中心に回転させることができる。
この場合、機器100の筐体104が開位置と閉位置との中間点である45度の位置では、ヒンジ装置2の回転モーメントMはM=0{図10の(B)}となり、この中間位置から閉位置又は開位置に向かう回転モーメントMが筐体104に加わり、筐体104を自動的に閉位置に閉じ、又は、筐体104を自動的に開位置に開くことができる。
また、筐体104の開閉は、ヒンジ装置2の偏心回転によるため、開閉の中間点を最大の偏心位置として開閉始点及び開閉終点の偏心最小位置になだらかな偏心開閉を行うことができる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態について、図13を参照する。図13は、ヒンジ装置を備えた機器を示し、図13の(A)は、開閉始点にある機器を示す斜視図、図13の(B)は、開閉始点と開閉終点との間の開閉状態を示す図である。図13に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図13において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態に係るヒンジ装置2が搭載された機器200では、筐体202側の収納部204に収納可能な筐体206がヒンジ装置2によって開閉可能に構成されている。ヒンジ装置2は、既述の通り、偏心回転が可能であるから、図13の(A)に示すように、筐体206の閉位置では、筐体206と収納部204との間には僅かな隙間208が設けられているにすぎない。
このように筐体202の収納部204の縁部との間に僅かの隙間208が存在していない場合であっても、筐体202から筐体206を開いた場合、ヒンジ装置2の偏心回転により、筐体206は筐体202から偏心によって逃げ、両者を干渉させることなく、開閉することができる。
また、ヒンジ装置2を用いたことにより、筐体202の収納部204と筐体206の縁部間の隙間208を小さくすることができ、外部からのごみ等の侵入を阻止できるとともに、筐体202の収納部204の内側を露出させることもなく、外観品質を高めることができる。
そして、筐体206側を例えば、液晶ユニット部材に構成してヒンジ装置2を用いれば、次のような利点が得られる。
(1) 開閉軸8の軌道コントロール用として、固定カム64の軸受孔68を所定の軌道に合わせた長さの長径部を持つ長径孔とすれば、例えば、液晶ユニット部材の開閉が可能になる。
(2) カムフォロア部44が偏心カム42の外周で常に接触していることにより、偏心カム42の形状に合わせて開閉軸8の回転中心が偏心するので、例えば、液晶ユニット部材の開閉に合わせて、本体側の筐体202と液晶ユニット側の筐体206との干渉を回避させることができる。
(3) 固定カム64の窪み92と回転カム66が常に接触状態を保つため、開閉に伴う回転変位が滑らかになり、例えば、液晶ユニット部材の開閉に違和感が生じない。
以上述べたように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は、発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であり、斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
本発明は、ヒンジ装置及びそのヒンジ装置を備えた機器であって、軸の回転位置に応じて軸の回転中心を変位させることができ、軸受部を固定した部材と軸側に固定される部材との距離を軸の偏心回転による角度に応じて変化させるので、部材間の開閉の自由度を高めることができ、開閉される筐体部材側に干渉を防止できる等、有用性が高い。また、互いの筐体部材間に設けていた空隙の幅を小さくし、極めて接近した状態に配置することができるので、互いの筐体部材の表面を連続面に近い形態とすることができるため、機器全体の外観品質を高めることができる。
2 ヒンジ装置
4、6 軸受部
8 開閉軸
14、16 第1のカム機構
22、24 第2のカム機構
26 コイルばね
42 偏心カム
44 カムフォロア部
46 偏心カム面
64 固定カム
66 回転カム
68 軸受孔
74 カム面
78、80 突部
4、6 軸受部
8 開閉軸
14、16 第1のカム機構
22、24 第2のカム機構
26 コイルばね
42 偏心カム
44 カムフォロア部
46 偏心カム面
64 固定カム
66 回転カム
68 軸受孔
74 カム面
78、80 突部
Claims (5)
- 軸を回転可能に支持する軸受孔に長径部を有し、この長径部によって前記軸を偏心可能に支持する軸受部と、
偏心カム面を持つ偏心カムにカムフォロアを係合させ、前記軸の回転角度に応じて前記軸を前記軸受孔の前記長径部により偏心させる第1のカム機構と、
高さを異ならせたカム面を持つ固定カムの前記カム面に前記軸とともに回転する回転カムにある突部を係合させ、前記軸上に設置したばねの復元力を前記カム面と前記突部との間に作用させた第2のカム機構と、
を備えることを特徴とする、ヒンジ装置。 - 請求項1に記載のヒンジ装置において、
前記軸に取り付けられたストッパ部を備え、このストッパ部により前記軸の回転範囲を規制させたことを特徴とする、ヒンジ装置。 - 請求項1に記載のヒンジ装置において、
前記偏心カムに前記軸の回転範囲を規制させるストッパを備えることを特徴とする、ヒンジ装置。 - 第1の部材と第2の部材とをヒンジ装置により連結し、該ヒンジ装置により前記第1の部材と前記第2の部材とが開閉可能であって、前記第1の部材又は前記第2の部材の回転中心が回転角度に応じて偏心し、かつその偏心方向が軸受部の長径部によって規制されていることを特徴とする、ヒンジ装置を備えた機器。
- 請求項4に記載のヒンジ装置を備えた機器において、請求項1、請求項2又は請求項3のヒンジ装置を備えたことを特徴とする、ヒンジ装置を備えた機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008010772A JP2009174557A (ja) | 2008-01-21 | 2008-01-21 | ヒンジ装置及びそのヒンジ装置を備えた機器 |
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ID=41029866
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012021575A (ja) * | 2010-07-14 | 2012-02-02 | Sugatsune Kogyo Co Ltd | ヒンジ装置 |
JP2016048076A (ja) * | 2014-08-27 | 2016-04-07 | キヤノン株式会社 | ヒンジユニットおよびヒンジユニットを備える電子機器 |
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JP2003074537A (ja) * | 2001-09-04 | 2003-03-12 | Sugatsune Ind Co Ltd | ヒンジ装置 |
JP2005172133A (ja) * | 2003-12-11 | 2005-06-30 | Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd | ハーネス配線が可能な2軸ヒンジ機構 |
-
2008
- 2008-01-21 JP JP2008010772A patent/JP2009174557A/ja active Pending
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