JP2009167330A - 赤外線遮蔽膜形成用塗料および赤外線遮蔽体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂フィルム等の透明基材面に塗布された際にハジキ、ムラ等の塗布膜欠陥が起り難い赤外線遮蔽膜形成用塗料と赤外線遮蔽体を提供する。
【解決手段】この塗料は、一般式MWO(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、かつ、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)で表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子と、界面活性剤およびバインダー樹脂が溶媒中に分散若しくは溶解されていることを特徴とする。赤外線遮蔽体は、透明基材とこの基材面に上記塗料を用いて形成された赤外線遮蔽膜とで構成されることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、可視光領域においては透明で近赤外線領域においては吸収を持つ複合タングステン酸化物微粒子が溶媒中に分散された赤外線遮蔽膜形成用塗料に係り、特に、樹脂フィルム等の透明基材に塗布された際に、ハジキ、ヌケ、ムラ等の塗布膜欠陥が起り難い赤外線遮蔽膜形成用塗料の改良と、この塗料を用いて製造される赤外線遮蔽体に関するものである。
この種の赤外線遮蔽膜形成用塗料としては、一般式MWOで表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子を有機溶剤等の溶媒中に分散させた塗料(赤外線遮蔽材料微粒子の分散液)が本出願人により提案され(特許文献1参照)、また、樹脂フィルム等透明基材の面上に上記塗料(赤外線遮蔽材料微粒子の分散液)を塗布して構成された赤外線遮蔽膜(赤外線遮蔽材料微粒子分散体)も特許文献1において既に提案されている。
ところで、複合タングステン酸化物微粒子が膜中に分散している上記赤外線遮蔽膜(赤外線遮蔽材料微粒子分散体)は、上述したように樹脂フィルム等透明基材の面上に赤外線遮蔽膜形成用塗料(赤外線遮蔽材料微粒子の分散液)を塗布して製造されている。
そして、透明基材面上への赤外線遮蔽膜形成用塗料の塗布方法として、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、ディップコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、ワイヤーブロックコート法、リブロックスコート法、リブロックスロールコート法、エクストルージョンコート法、ロッドコート法、ワイヤーバーコート法、スライドコート法およびカーテンコート法等の公知の手法が用いられている。
しかし、これ等公知の塗布方法を用いて透明基材面上へ上記赤外線遮蔽膜形成用塗料を塗布した場合、塗料の組成や透明基材の表面状態によって、透明基材表面にハジキやヌケといった塗布膜欠陥や、塗布方向に対し幅方向に連続して発生する塗布ムラ(横段ムラ)が顕著に表れることがあり、赤外線遮蔽膜に要求される性能が満たされないという問題が存在した。
塗布性を向上させる方法の一つとして、基材表面(塗布面)に対する表面処理が挙げられ、この表面処理方法として、紫外線処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理、高周波処理、プラズマ処理、レーザー処理、機械的処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が知られており、特に、コロナ放電処理、グロー放電処理が工業的に広く用いられている。そして、コロナ放電処理については、例えば特許文献2〜7に記載された方法があり、また、グロー放電処理についても、例えば特許文献8〜14に記載された方法がある。
しかし、これ等表面処理方法では、表面処理の過程で基材の加熱、冷却が必要となるため、基材自体が塑性変形し易く、基材表面の平面性が損なわれてしまうばかりか、低分子量体(基材である樹脂フィルムの添加剤やモノマー成分等)が基材表面に析出し、透明性や耐ブロッキング性を悪化させてしまうことがあった。更に、これ等基材の表面処理のみでは、種々の基材や塗料組成に対応させることは困難なため、塗布ムラを完全に解消させることはできなかった。
国際公開WO2005/37932号公報(請求項1、段落0069) 特公昭48−5043号公報 特公昭47−51905号公報 特開昭47−28067号公報 特開昭49−83767号公報 特開昭51−41770号公報 特開昭51−131576号公報 特公昭35−7578号公報 特公昭36−10336号公報 特開昭45−22004号公報 特開昭45−22005号公報 特開昭45−24040号公報 特開昭46−43480号公報 特開昭53−129262号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、樹脂フィルム等の透明基材に塗布された際に、ハジキ、ヌケ、ムラ等の塗布膜欠陥を起こし難い赤外線遮蔽膜形成用塗料を提供し、かつ、この塗料を用いて製造される赤外線遮蔽体を提供することを目的とする。
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意検討したところ、複合タングステン酸化物微粒子が分散された赤外線遮蔽膜形成用塗料内に界面活性剤を添加することにより、上述したハジキ、ヌケ、ムラ等の塗布膜欠陥が防止されることを見出すに至った。更に、上記界面活性剤が分散された赤外線遮蔽膜形成用塗料を用いて形成された赤外線遮蔽膜と透明基材とで構成される赤外線遮蔽体は精密な面内均一性を有しており、可視光領域においては透明で近赤外線領域においては優れた遮蔽特性を有することも見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されている。
すなわち、請求項1に係る発明は、
赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
一般式MWO(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、かつ、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)で表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子と、界面活性剤およびバインダー樹脂が溶媒中に分散若しくは溶解されていることを特徴とする。
次に、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
上記界面活性剤の含有量が、塗料全体を100重量部とした場合に0.001〜10重量部であることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
上記複合タングステン酸化物微粒子が、粒子直径が1nm以上800nm以下である複合タングステン酸化物の微粒子であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
上記界面活性剤が、陽イオン、陰イオン、両イオンまたは非イオン界面活性剤から選択された少なくとも一種であることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
上記非イオン界面活性剤が、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリアルキレンオキサイドであるシリコーン系化合物により構成されたシリコーン系界面活性剤であることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を前提とし、
上記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式(1)〜(6)の内から選択された1種以上であることを特徴とする。
Figure 2009167330
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[但し、化学式(1)〜(6)中において、Rはアルキル基または水素を示し、R’はアルキレン基を示し、また、a、bはそれぞれ1〜500の整数、m、nはそれぞれ1〜200の整数である。]
更に、請求項7に係る発明は、
赤外線遮蔽体を前提とし、
請求項1〜6のいずれかに記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料を透明基材の面上に塗布しかつ形成された塗布膜を板状、フィルム状または薄膜状に成形して成る赤外線遮蔽膜と、上記透明基材とで構成されることを特徴とする。
本発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料は、複合タングステン酸化物微粒子と、界面活性剤およびバインダー樹脂が溶媒中に分散若しくは溶解されていることを特徴としている。
そして、本発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を樹脂フィルム等の透明基材に塗布した際、ハジキ、ヌケ、ムラ等の塗布膜欠陥が起り難いため、上記赤外線遮蔽膜形成用塗料を用いて形成された赤外線遮蔽膜と透明基材とで構成される赤外線遮蔽体は精密な面内均一性を有しており、可視光領域においては透明で近赤外線領域においては優れた遮蔽特性を具備する効果を有している。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料は、一般式MWO(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、かつ、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)で表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子と、界面活性剤およびバインダー樹脂が溶媒中に分散若しくは溶解されていることを特徴としている。
1.複合タングステン微粒子
一般に、WO中には有効な自由電子が存在しないため、WOは近赤外線領域の吸収、反射特性が少なく、赤外線遮蔽材料としては有効ではない。一方、3酸化タングステンにNa等の陽性元素を添加したいわゆるタングステンブロンズは、導電性材料であり自由電子を持つ材料であることが知られており、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。そして、本出願人は、タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線遮蔽材料として特に有効な範囲があることを見出し、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つ上記複合タングステン酸化物微粒子を得ている(特許文献1参照)。尚、本明細書において、透明とは、可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高いという意味で用いている。
ここで、複合タングステン酸化物微粒子の粒子直径(粒子径と略称する場合もある)は、その使用目的によって各々選定可能であるが、透明性を保持した応用に使用する場合には、800nm以下の粒子径を有していることが好ましい。800nm以下の粒子径を有する粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に、可視光領域の透明性を重視する場合は、更に粒子による散乱を考慮する必要がある。この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。この理由は、粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱若しくはミー散乱による400nm〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減され、この結果、赤外線遮蔽膜が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。すなわち、粒子径が200nm以下になると、幾何学散乱若しくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減して透明性が向上するからである。更に粒子径が100nm以下になると散乱光は非常に少なくなり好ましい。このように光の散乱を回避する観点からは、粒子径は小さい方が好ましく、また、粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
そして、上記粒子径を800nm以下に選択することにより、赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散された赤外線遮蔽材料微粒子分散体(例えば上述した赤外線遮蔽膜)のヘイズ値について、可視光透過率85%以下でヘイズ30%以下とすることができる。ヘイズ値が30%を越えると、曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。
また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上を含有する酸化物で被覆されていることは、上記微粒子の耐候性向上の観点から好ましい。
2.界面活性剤
上述したハジキやヌケ、ムラ等のない良好な塗布性を得るためには、基材に対する塗料の濡れ性およびレベリング性を制御することが好ましい。塗料物性において、上記レベリング性は表面張力が高く、粘性が低く、乾燥速度が遅い程向上し、上記濡れ性は表面張力が低く、基材表面に対する接触角を下げることで向上する。種々の溶剤により構成される塗料の場合、その塗膜形成過程において、塗料は随時、組成変化しながら乾燥、固化に至る。その塗布性において重要なのは、塗料物性よりも、固化直前における組成の親油性・親水性バランス(HLB)が、基材表面に対し良好な界面活性を有しているかどうかである。しかし、塗料に使用される溶剤は、表面張力や粘性(塗布性)の他に、極性(フィラー分散性に関連する)、沸点や蒸気圧(乾燥速度に関連する)、樹脂溶解性、安全性等の様々な制約を受けるため、単に溶剤組成の調整のみでは良好な塗布性を得ることは困難な場合が多い。
基材に対する塗料の表面張力を制御する有効な手段の一つに、本発明において適用する界面活性剤の添加が挙げられる。界面活性剤は、一つの分子内に親水性部分と親油性部分を有し、水中では親水性部分を外側にしたミセルを、非極性溶媒中では内外反対になったミセルを形成する。従って、このミセルの内部には外部環境とは性質の異なる物質を取り込むことができるため、界面活性剤の存在下では、バインダーや複合タングステン酸化物微粒子等フィラーを含む極性・非極性両方の物質の混合状態が均一化し、基材表面に対する塗料の界面活性(表面張力)が変化する。
塗料が良好な界面活性を示すためには、親油基(親油性部分)と親水基(親水性部分)がそれぞれ同一分子中に占める割合が重要で、どちらか一方があまり大きくなり過ぎると界面活性は失われてしまう。すなわち、界面活性剤は、親水基と親油基のバランスが重要であり、活性作用の強さはHLB値によって定量的に示される。
そして、本発明における界面活性剤の使用目的は、[塗布液(塗料液)][薄液膜][乾燥膜]という、低沸点溶剤から順に揮発・脱媒し、刻々と塗布液(塗料液)組成が変化するプロセスにおいて、塗布液(塗料液)が流動性を失うギリギリの液組成まで、極性・非極性双方の溶剤の均一混合状態を維持し、薄液全体のHLBを基材の表面エネルギーに対して適正化する、つまり、液特性の改質を目的としている。
ところで、界面活性剤は、親水性部分がイオン性(陽イオン性・陰イオン性・双性)のものと非イオン性(ノニオン性)のものに大別され、また、低分子系と高分子系に分類される。イオン性の界面活性剤は、液中で対イオンと解離して主鎖がイオン化する界面活性剤を意味する。ここで、主鎖とは解離後に分子量が大きい側を指し示す。
陰イオン界面活性剤の具体例としては、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等で構成される界面活性剤が挙げられる。また、陽イオン界面活性剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤等が挙げられる。また、双性(両イオン)界面活性剤は、分子内に陰イオン性部位と陽イオン性部位の両方を持っているもので、上述したそれぞれを組み合わせた構造を有し、具体例として、アミノ酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤等が挙げられる。更に、非イオン(ノニオン性)界面活性剤は、イオン化しない親水性部分を持つもので、具体的には、エーテル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、エステル型界面活性剤、多価アルコールエステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤の他、非イオン系のフッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物等)、非イオン系のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
赤外線遮蔽膜形成用塗料を用いて透明基材面に赤外線遮蔽膜を形成する場合、上記陽イオン、陰イオン、両イオンまたは非イオン界面活性剤から選択された少なくとも一種の界面活性剤を溶媒中に分散させることにより、基材表面に対する塗料の濡れ性が改善され、これにより塗布性が向上して、ハジキ、ヌケ、ムラ等の塗布膜欠陥のない精密な面内均一性を有する赤外線遮蔽膜を得ることが可能となる。
そして、本発明で適用される界面活性剤としては、イオン性(陽イオン、陰イオン、両イオン)界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれも使用可能であるが、高分子系界面活性剤であるシリコーン系界面活性剤が特に望ましい。
上記イオン性界面活性剤を用いた場合、使用する溶剤やバインダー樹脂の種類によっては、溶液中で解離した界面活性剤のイオンが、分散している複合タングステン酸化物微粒子同士の静電反発力を変位させ、あるいは、界面活性剤が複合タングステン酸化物微粒子表面に吸着することで複合タングステン酸化物微粒子と溶媒との親和性を変化させることがある。そして、塗料の組成によっては複合タングステン酸化物微粒子が分散液中で凝集し易くなり、塗膜を形成した際に塗膜に曇りが生ずる等の弊害を引き起こすことがある。これに対し、非イオン性界面活性剤はイオン化しない親水基を有するため、界面活性剤が複合タングステン酸化物微粒子表面に静電吸着して分散性を変化させることがない。但し、低分子量タイプでは十分な界面活性効果が得られないことがある。
上記シリコーン系界面活性剤は非イオン系が主流であり、非極性溶媒中においてその高い可溶化力から優れた界面活性効果を発現する。そして、高分子系界面活性剤である上記シリコーン系界面活性剤は、分子側鎖または末端の官能基や分子骨格および分子量によって親油性と親水性のバランス(HLB)を変更することができるため、各溶剤系に応じた最適のものを選択して使用できる。更に、フィラー表面に対する反応性が高いものでも、高分子の立体障害効果によりフィラーの分散性を悪化させ難く、界面活性剤の過剰添加によるブリーディング(塗膜表面からの経時的な染み出し)や泡立ち(膜欠陥の原因)が少ないという利点が挙げられる。
そして、高分子系界面活性剤である上記シリコーン系界面活性剤として、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリアルキレンオキサイドであるシリコーン系化合物を用いることができる。具体的には、下記化学式(1)〜(6)で示される1種以上のシリコーン系界面活性剤が適用された場合、赤外線遮蔽膜形成用塗料内における複合タングステン酸化物微粒子の分散性を損なうことなく透明基材表面に対する塗料の濡れ性が改善され、塗布膜欠陥のない精密な面内均一性を有する赤外線遮蔽膜を得ることが可能となる。
尚、上記効果を損なわない範囲で他の界面活性剤を併用してもよい。
Figure 2009167330
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[但し、化学式(1)〜(6)中において、Rはアルキル基または水素を示し、R’はアルキレン基を示し、また、a、bはそれぞれ1〜500の整数、m、nはそれぞれ1〜200の整数である。]
ここで、赤外線遮蔽膜形成用塗料内への界面活性剤の添加量は、塗料全体を100重量部とした場合に0.001〜10重量部の範囲に設定することが望ましく、0.005〜5重量部の範囲が特に望ましい。添加量が0.001重量部未満であると基材に対する濡れ性や乾燥時のレベリング性が十分でない場合があり、また、10重量部を超えて過剰に添加した場合、塗液のHLBが最適範囲から外れ、塗布性が逆に悪化するだけでなく、塗料の泡立ちや完成塗膜のブリーディングを引き起こす原因となる場合があるからである。
3.溶媒
本発明の赤外線遮蔽膜形成用塗料に適用される溶媒は、特に限定されることなく公知の有機溶剤を使用することができる。具体的には、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、3−メチル−メトキシ−プロピオネート(MMP)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特にMIBK、MEK等のケトン類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE−AC等のグリコールエーテルアセテート類等、疎水性の高いものがより好ましい。これ等溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
4.バインダー樹脂
上記赤外線遮蔽膜形成用塗料にはバインダー成分を含有させる必要があり、このバインダー成分として公知の硬化性樹脂を用いることができる。例えば、熱硬化型樹脂、UV硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が目的に応じて選定可能である。そして、熱硬化型樹脂として、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等プレポリマーの架橋反応を利用する樹脂を挙げることができる。また、熱硬化型、UV硬化型または電子線硬化型の樹脂としては多官能重合性不飽和化合物が挙げられ、例えば、多官能アクリレートまたはメタクリレート[ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等]が挙げられる。更に、これ等バインダー成分中には必要に応じて充填剤、重合開始剤、重合促進剤を添加することが好ましい。
5.透明基材
本発明における透明基材の材質としては、透明体であれば特に限定されることはなく、ガラス、樹脂シート若しくは樹脂フィルムが好ましく用いられる。そして、上記樹脂シート若しくは樹脂フィルムとしては、必要とするシート若しくはフィルムの表面状態や耐久性に不具合を生じないものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、更にこれ等の二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物等の透明ポリマーからなるシート若しくはフィルムが挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系2軸配向フィルムが、機械的特性、光学特性、耐熱性および経済性の点より好適である。また、ポリエステル系2軸配向フィルムは共重合ポリエステル系であってもよい。
6.赤外線遮蔽膜形成用塗料の調製および塗布方法
本発明の赤外線遮蔽膜形成用塗料は、例えば上記複合タングステン酸化物微粒子を溶媒中に分散させ、これに上記界面活性剤を添加し、更にバインダー樹脂を溶解、混合させることにより調製することができる。また、調製された赤外線遮蔽膜形成用塗料を樹脂フィルム等の透明基材表面に塗布し、かつ、塗布された塗料の溶媒を蒸発させ、所定の方法でバインダー樹脂を硬化させることにより赤外線遮蔽膜を形成することができる。
尚、赤外線遮蔽膜形成用塗料の塗布方法としては、樹脂フィルム等の透明基材表面に上記塗料を均一に塗布できる方法なら任意であり、例えば、バーコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、ディップコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、ワイヤーブロックコート法、リブロックスコート法、リブロックスロールコート法、エクストルージョンコート法、ロッドコート法、ワイヤーバーコート法、スライドコート法およびカーテンコート法等が挙げられる。
7.赤外線遮蔽体
本発明の赤外線遮蔽体は、上記赤外線遮蔽膜形成用塗料を樹脂フィルム等透明基材の面上に塗布しかつ形成された塗布膜を板状、フィルム状または薄膜状に成形して成る赤外線遮蔽膜と、上記透明基材とで構成される。
そして、本発明の赤外線遮蔽体は、赤外線遮蔽膜形成用塗料のハジキ、ヌケ、塗布ムラ等に起因した塗布膜欠陥がなく、精密な面内均一性を有しているため、可視光領域においては透明でかつ近赤外線領域においては優れた遮蔽特性を有している。従って、近赤外線を吸収する機能が要求される光学用フィルター等として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
尚、各実施例と比較例1における光学測定は、建築窓ガラス用フィルムJISA 5759(1998)(光源:A光)に基づき測定を行って可視光透過率を算出し、ヘイズ値は、JISK7105に基づき測定を行った。また、平均分散粒子直径は、動的光散乱法を用いた測定装置(大塚電子株式会社製 ELS−800)により測定した平均値とした。また、透明基材である厚さ50μmのPETフィルムにおける光学特性は、可視光透過率90%、ヘイズ0.9%である。
Cs0.33WOで表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物の粉末を8重量部、トルエン84重量部、分散剤8重量部を混合し、分散処理を行って平均分散粒子直径80nmの分散液(A液)とした。
このA液100重量部と、ハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部と、上記化学式(1)で示されるシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製、商品名:FZ−2164)0.05重量部とを混合して実施例1に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、実施例1に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
尚、上記赤外線遮蔽膜の表面を目視で観察し、下記の評価基準で判定した。
[横断ムラ]
○:全くない。△:部分的に確認される。×:はっきり確認できる。
[ヌケ(直径1〜3mm程度のピンホールの有無)]
○:ヌケの数が5個/m2以下。△:50個/m2未満。×:50個/m2以上。
そして、実施例1に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は70%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。また、ヘイズは0.8%であり、優れた透明性を示した。
尚、赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)のヘイズがPETフィルムのヘイズよりも僅かに低下しているのは、PETフィルム表面には塗膜の密着性を向上させるための易接着処理(プライマーやコロナ放電等)が施されているため、PETフィルム表面の若干の凹凸に起因した表面散乱によりヘイズ発生してPETフィルムのヘイズが0.9%になっているのに対し、このPETフィルムに塗膜が形成されると、フィルム表面の凹凸が埋められて平滑化するため、赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)のヘイズが0.8%になったと考えられる。
更に、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラは見られず(○)、ヌケも少なく(○)、良好な塗布性を呈していた。
上記A液100重量部と、ハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部と、上記シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製、商品名:FZ−2164)0.0016重量部とを混合して実施例2に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、実施例2に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
次に、実施例2に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は71%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。また、ヘイズは0.8%であり、優れた透明性を示した。
更に、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラは見られず(○)、ヌケも少なく(○)、良好な塗布性を呈していた。
上記A液100重量部と、ハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部と、上記シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製、商品名:FZ−2164)16重量部とを混合して実施例3に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、実施例3に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
次に、実施例3に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は71%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。また、ヘイズは1.0%であり、優れた透明性を示した。
更に、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラが部分的に見られたが(△)、ヌケは少なく(△)、比較的良好な塗布性を呈していた。
[比較例1]
上記A液を100重量部とハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部とを混合して比較例1に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、比較例1に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
次に、比較例1に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は71%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。また、ヘイズは0.8%であり、優れた透明性を示した。
しかし、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラがはっきりと観察され(×)、ヌケも多く(×)、塗布性は不良であった。
上記A液100重量部と、ハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部と、上記シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製、商品名:FZ−2164)0.0008重量部とを混合して実施例4に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、実施例4に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
次に、実施例4に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は71%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。また、ヘイズは0.8%であり、優れた透明性を示した。
更に、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラに関しては比較例1より改善されていた(△)が、ヌケが若干多く(×に近い△)他の実施例に較べて塗布性が若干劣っていた。
上記A液100重量部と、ハードコート用紫外線硬化型樹脂[東亞合成(株)社製、商品名UV3701]50重量部と、上記シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製、商品名:FZ−2164)26重量部とを混合して実施例5に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を調製した。
次に、実施例5に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を、ロールコーターを用いてPETフィルム(50μm厚)上に塗布し塗膜とした。
そして、この塗膜を80℃で60秒間乾燥して溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させて赤外線遮蔽膜とし、この赤外線遮蔽膜とPETフィルムとで構成される赤外線遮蔽フィルム(赤外線遮蔽体)を得た。
次に、実施例5に係る赤外線遮蔽フィルムの光学特性を測定したところ、可視光透過率は71%であり、可視光領域の光を十分透過していることが確認された。但し、ヘイズは2.0%と高く、他の実施例に較べて若干不良であった。
更に、上記評価基準に従って得られた赤外線遮蔽膜を判定したところ、横断ムラに関しては比較例1より改善されていた(△)が、ヌケが若干多く(×に近い△)他の実施例に較べて塗布性が若干劣っていた。
本発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を用いて形成された赤外線遮蔽膜と透明基材とで構成される赤外線遮蔽体は精密な面内均一性を有しており、可視光領域においては透明で近赤外線領域においては優れた遮蔽特性を具備している。従って、本発明に係る赤外線遮蔽膜形成用塗料を用いて得られた赤外線遮蔽体は、可視光領域の光を透過し近赤外領域の光を遮蔽する光学フィルターや窓材等に用いられる産業上の利用可能性を有している。

Claims (7)

  1. 一般式MWO(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、かつ、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)で表記されかつ六方晶系の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子と、界面活性剤およびバインダー樹脂が溶媒中に分散若しくは溶解されていることを特徴とする赤外線遮蔽膜形成用塗料。
  2. 上記界面活性剤の含有量が、塗料全体を100重量部とした場合に0.001〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料。
  3. 上記複合タングステン酸化物微粒子が、粒子直径が1nm以上800nm以下である複合タングステン酸化物の微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料。
  4. 上記界面活性剤が、陽イオン、陰イオン、両イオンまたは非イオン界面活性剤から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料。
  5. 上記非イオン界面活性剤が、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリアルキレンオキサイドであるシリコーン系化合物により構成されたシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料。
  6. 上記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式(1)〜(6)の内から選択された1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料。
    Figure 2009167330
    Figure 2009167330
    Figure 2009167330
    Figure 2009167330
    Figure 2009167330
    Figure 2009167330
    [但し、化学式(1)〜(6)中において、Rはアルキル基または水素を示し、R’はアルキレン基を示し、また、a、bはそれぞれ1〜500の整数、m、nはそれぞれ1〜200の整数である。]
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の赤外線遮蔽膜形成用塗料を透明基材の面上に塗布しかつ形成された塗布膜を板状、フィルム状または薄膜状に成形して成る赤外線遮蔽膜と、上記透明基材とで構成されることを特徴とする赤外線遮蔽体。
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