JP2009163810A - ハードディスク基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミナ粒子、シリカ粒子、及び水を含む研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記シリカ粒子の粒径の個数基準の標準偏差が11〜35nmであり、前記研磨における研磨荷重が、10.3〜16.7kPaであるハードディスク基板の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明の製造方法に用いられる研磨液組成物(以下、本発明の研磨液組成物ともいう)は、砥粒としてアルミナ粒子を含有する。本発明に用いられるアルミナ粒子としては、砥粒の突き刺さり低減、基板表面のうねり低減、基板の表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナが好ましく、基板の表面性状及び基板表面のうねり低減の観点からは、中間アルミナ及びアモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用することが好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがより好ましい。また、アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、20〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%がさらに好ましい。本発明において、アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量は、WA−1000(昭和電工(株)製 アルミナ粒子)の104面のピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナの対応ピーク面積を相対比較することにより求めることができる。
本発明の研磨液組成物は、シリカ粒子を含有する。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられ、中でも、より高度な平滑性を必要とする高記録密度メモリー磁気ディスク用基板の最終仕上げ研磨用途に適しているという観点から、コロイダルシリカが好ましい。なお、コロイダルシリカ粒子は、例えば、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得ることができる。
研磨液組成物は、研磨速度の向上及び基板表面のうねり低減の観点から、酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸としては、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及び基板表面のうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸アルミニウム等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水又は超純水等が使用され得る。研磨液組成中の水の含有量は、研磨液組成物の取り扱い性(粘度)の観点から、55重量%以上が好ましく、75%重量%以上がより好ましく、85重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及び基板表面のうねり低減の観点から、99.8重量%以下が好ましく、99.3重量%以下がより好ましく、98.8重量%以下がさらに好ましい。即ち、研磨液組成物中の水の含有量は55〜99.8重量%が好ましく、75〜99.8重量%がより好ましく、85〜99.3重量%がさらに好ましく、90〜98.8重量%がさらにより好ましい。
研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及び基板表面のうねり低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、0.5〜5がさらに好ましく、1〜5がさらにより好ましく、1〜4がさらにより好ましく、1〜3.5がさらにより好ましい。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
本発明の研磨液組成物は、ロールオフ低減の観点から、式(I)で表される構成単位と20℃の水100gに対する溶解度が2g以下の疎水性モノマーに由来する構成単位とを有する共重合体及び/又はその塩を含むことが好ましい。前記共重合体において、下記式(I)で表される構成単位は、親水性構成単位としての役割を果たし、前記疎水性モノマーに由来する構成単位は、疎水性構成単位としての役割を果たす。前記共重合体において、下記式(I)で表される構成単位と前記疎水性モノマーに由来する構成単位との付加は、ランダム、ブロック又はグラフトのいずれであってもよく、これらの組合せであってもよい。
GPC条件
カラム:α−M−α−M
溶離液:60mmol/L H3PO4、50mmol/L LiBr/DMF
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
標準物質:ポリスチレン
研磨液組成物には、さらなる研磨速度の向上、砥粒突き刺さり低減、基板表面のうねりの低減、及びその他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コロイダル酸化チタン等の金属酸化物砥粒、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、0.05〜20重量%が好ましく、0.05〜10重量%がより好ましく、0.05〜5重量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法に用いられる研磨液組成物の調製方法は、何ら制限されず、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、酸又はその塩、及び酸化剤を適当な水系媒体に混合することによって調製できる。アルミナ粒子及びシリカ粒子を予め分散したスラリーに、必要に応じて各種添加剤を加える方法が好ましい。前記アルミナ粒子及びシリカ粒子の分散は、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
本発明の製造方法は、上述した本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨工程」ともいう)を含む製造方法であって、その他の工程については特に制限されない。本発明の研磨工程では、定盤に配置された研磨パッドで被研磨基板を挟み込み、上述した研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力(研磨荷重)を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことなどにより、被研磨基板の研磨が行われうる。本発明の研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮物であれば希釈して使用すればよい。前記濃縮物を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(砥粒の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。本発明の研磨工程は、ポリッシング工程として特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
アルミナ粒子、コロイダルシリカ、マレイン酸、クエン酸、硫酸(98%品)、及び水を下記表1となるように配合し、実験例1〜14の研磨液組成物を調製した。αアルミナ粒子の一次粒子及び二次粒子の体積中位粒径は、それぞれ0.10及び0.30μmであり、θアルミナ粒子の一次粒子及び二次粒子の体積中位粒径は、それぞれ0.03及び0.16μmであった。また、個数基準の粒径の標準偏差が12.6nm及び10.5nmのコロイダルシリカの一次粒子の体積中位粒径は、ともに0.05μmであった。
アルミナ粒子の二次粒子の粒径の測定
以下の測定条件で二次粒子の粒径(D50)を測定した。なお、D50とは小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)が50%となる粒径であり、このD50を体積中位粒径とする。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
シリカ粒子の粒径分布、体積中位粒径及び粒径の標準偏差の測定
まず、スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)により前記試料を観察し、TEM像を写真撮影した。当該写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF」(販売元:三谷商事)を用いて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、1000個以上のシリカ粒子データを解析した後、それをもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、シリカ粒子の個数基準の平均粒径及び標準偏差を得た。また、表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカ粒子の粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得た。得られたシリカ粒子の粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットし、粒径対累積体積頻度グラフを作成し、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径を体積中位粒径(平均粒径)とした。
調製した実験例1〜14の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で前記基板を研磨した。なお、研磨荷重は、下記表1に示す値に設定した。
被研磨基板
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mm、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定におけるうねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
研磨条件
研磨試験機 :両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム(株)製)
研磨パッド :厚み1.04mm、平均開孔径43μm(FILWEL製)
定盤回転数 :45rpm
研磨荷重 :下記表1参照
研磨液供給量 :100mL/min(0.076mL/(cm2・min))
研磨量(片面) :130mg
投入した基板の枚数:10枚
実験例1〜14の研磨液組成物を用いた研磨の研磨速度及び研磨後の基板表面のうねりは、以下の方法で評価した。なお、結果は、実験例10の研磨液組成物を用いた時の値を1とした時の相対値として、下記表1に示す。
研磨速度の評価
研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/
Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.9g/cm3として算出)
うねりの評価
研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、選択した各基板の両面を180°おきに2点(計8点)について、下記の条件で測定した。その8点の測定値の平均値を基板のうねりとして算出した。
機器 :Zygo NewView5032
レンズ :2.5倍 Michelson
ズーム比 :0.5
リムーブ :Cylinder
フィルター :FFT Fixed Band Pass(0.5〜5mm)
エリア :4.33mm×5.77mm
Claims (6)
- アルミナ粒子、シリカ粒子、及び水を含む研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むハードディスク基板の製造方法であって、
前記シリカ粒子の粒径の個数基準の標準偏差が11〜35nmであり、
前記研磨における研磨荷重が、10.3〜16.7kPaである、ハードディスク基板の製造方法。 - 前記アルミナ粒子の二次粒子のレーザー光回折法により測定される体積中位粒径が、0.1〜0.8μmである、請求項1記載のハードディスク基板の製造方法。
- 前記研磨液組成物が、さらに酸及び/又はその塩を含有する、請求項1又は2に記載のハードディスク基板の製造方法。
- 前記研磨液組成物が、さらに酸化剤を含有する、請求項1から3のいずれかに記載のハードディスク基板の製造方法。
- 前記研磨液組成物における前記アルミナ粒子と前記シリカ粒子の重量比(アルミナ粒子重量/シリカ粒子重量)が、60/40〜10/90である、請求項1から4のいずれかに記載のハードディスク基板の製造方法。
- 前記研磨液組成物が、異なる粒径分布を有する2種以上のシリカ粒子を混合して得られる、請求項1から5のいずれかに記載のハードディスク基板の製造方法。
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