JP2008307676A - ハードディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨後の基板における砥粒の突き刺さり及び表面汚れを低減可能なハードディスク基板用研磨液組成物、及び、これを用いたハードディスク基板の製造方法の提供
【解決手段】酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含有するハードディスク基板用研磨液組成物。前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径は、0.1〜0.7μmであり、前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量は、0.2重量%以下であり、前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードディスク基板用研磨液組成物及びこれを用いたハードディスク基板の製造方法に関する。
コンピューターの急速な普及やデジタル放送の開始等に伴い、ハードディスクドライブの高容量・小径化が求められている。例えば、ハードディスクドライブに使用されるメモリーハードディスクの記録密度を上げる方法として、磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが提案されている。しかしながら、ヘッドの低浮上化に対応するためには、ハードディスク基板の表面の表面粗さ、微小うねり、ロールオフなどを低減する必要がある。かかる要求を満たすために、研磨後の基板のスクラッチを低減し得る研磨剤スラリー(特許文献1及び2)や、研磨後の基板の表面汚れなどの表面欠陥を低減できる研磨液組成物(特許文献3及び4)などが知られている。
ハードディスク基板の製造方法においては、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性向上の両立の観点から、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。多段研磨方式の最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、傷の低減という要求を満たすために、一般に、コロイダルシリカ粒子を使用した仕上げ用研磨液組成物で研磨される。一方、仕上げ研磨工程より前の研磨においては、生産性の観点から、高い研磨速度を実現し得る比較的粒子径の大きな砥粒、例えば酸化アルミニウム粒子が使用される傾向にある。
特開2000−15560号公報 特開2000−458号公報 特開2002−163407号公報 特開2006−150534号公報
しかしながら、酸化アルミニウム粒子を砥粒として使用した場合、テキスチャースクラッチとしてメディアでの欠陥を引き起こし、さらに、磁気特性の低下、即ち、シグナルノイズ比(SNR)の低下を引き起こすという問題がある。また、テキスチャー処理を施さない垂直記録用の基板においても、前記砥粒を使用した場合、記録エラー、磁気特性の低下、SNRの低下等の原因となりうるという問題がある。また、メモリーハードディスク基板の高密度化に必要な表面品質を達成するためには、研磨後の基板上の砥粒や研磨カスなどの残留物を減らすことも重要な課題である。
本発明は、酸化アルミニウム粒子を砥粒として含有する研磨液組成物であって、ハードディスク基板の表面品質を著しく向上できるハードディスク基板用研磨液組成物、及び、これを用いたハードディスク基板の製造方法を提供する。
本発明のハードディスク基板用研磨液組成物(以下、本発明の研磨液組成物ともいう)は、酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含み、前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径が、0.1〜0.7μmであり、前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量が、0.2重量%以下であり、前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物であるハードディスク基板用研磨液組成物である。また、本発明のハードディスク基板の製造方法は、上記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むハードディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を、例えば、ハードディスク基板の仕上げ研磨工程より前の研磨に使用すると、酸化アルミニウム粒子の基板への突き刺さり及び基板の表面汚れが低減された高記録密度に適したハードディスク基板を製造することができるという効果が奏される。
本発明において、砥粒の「突き刺さり」とは、基板に付着した砥粒とは異なり、基板に押し込まれて残留している状態を指す。この「突き刺さり」は、後述の実施例のように、コロイド粒子を砥粒として含有する研磨液組成物で、基板表面をわずかに研磨して基板に付着した砥粒を除去した後、その基板表面を暗視野顕微鏡観察又は原子間力顕微鏡(AFM)若しくは走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって調べることができる。
この突き刺さりがあると、ハードディスク基板のメディア化工程で実施されるテキスチャー処理において表面に深いスクラッチが入るなどの欠陥が発生したり、完成したハードディスクにおいて磁気特性の低下、即ち、シグナルノイズ比(SNR)の低下を引き起こしたりすると考えられる。従って、この砥粒の突き刺さりを低減することは、優れたハードディスク基板を得るために重要である。
本発明は、研磨液組成物の砥粒である酸化アルミニウム粒子の粒子径を特定のサイズに制御すること、及び、砥粒中に存在する特定の大きさの粗大粒子を特定量以下に低減することにより、研磨後の基板への砥粒の突き刺さりの低減が可能になるという知見に基づく。
本発明において、研磨後の基板の「表面汚れ」とは、前記「突き刺さり」とは異なり、研磨工程で使用した砥粒や研磨カスが研磨後の基板の表面に残留することをいう。これらの残留物が存在すると、例えば、次の研磨工程や仕上げ研磨工程に悪影響を及ぼし、スクラッチやピットを誘発することがあり、ハードディスク基板の表面品質が低下する。本発明において、表面汚れ及びその低減効果は、例えば、研磨後に得られる基板表面の顕微鏡観察、走査型電子顕微鏡観察等により評価することができ、特に、ハードディスク用基板においては、洗浄しにくい内径エッジ部分のそれら機器での観察によって評価することができる。また、さらに研磨基板表面をグロー放電分光分析(GDOES)等で評価することもできる。
本発明は、前記所定の酸化アルミニウム粒子とともに、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物及び酸を含有する研磨液組成物であれば、研磨後の基板への砥粒の突き刺さりの低減とともに、表面汚れの低減をも可能な研磨方法が可能であるという知見に基づく。前記有機窒素化合物が砥粒の突き刺さりを低減するメカニズムは明らかではないが、前記所定の酸化アルミニウム粒子と前記有機窒素化合物とを用いることにより、基板表面に残留する酸化アルミニウム粒子が低減され、仕上げ研磨工程における酸化アルミニウム粒子の突き刺さりを抑制しているためと考えられる。
本発明の研磨液組成物は、上述したように、酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含有し、前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径が0.1〜0.7μmであり、前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量が0.2重量%以下であり、前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物であることを技術的特徴の1つとする。このような技術的特徴を備えることにより、本発明は、研磨後の基板における砥粒の突き刺さり及び表面汚れがともに低減できる研磨方法、並びに、優れた表面品質の高記録密度に適したハードディスク基板を提供することができる。
[酸化アルミニウム粒子]
本発明の研磨液組成物は、砥粒として酸化アルミニウム(以下、アルミナと称することがある)粒子を含有する。本発明に用いられる酸化アルミニウム粒子としては、突き刺さり低減、うねり低減、表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナが好ましく、表面性状及びうねり低減の観点からは、中間アルミナ及びアモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用することが好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがより好ましい。また、酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上がさらにより好ましく、また、ロールオフ低減の観点から、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましい。本発明において、酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナの含有量は、WA−1000(昭和電工(株)製酸化アルミニウム粒子)の104面のピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナの対応ピーク面積を相対比較することにより求める。
酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.7μm以下であり、0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.35μm以下がさらに好ましく、0.3μm以下がさらにより好ましく、0.25μm以下がさらにより好ましい。また、該粒子径は、研磨速度向上の観点から、0.1μm以上であり、0.15μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。即ち、該粒子径は、0.1〜0.7μmであり、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.35μm、さらにより好ましくは0.15〜0.3μm、さらにより好ましくは0.2〜0.25μmである。中でも、α−アルミナの二次粒子の体積中位粒子径は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減、並びに、研磨速度向上の観点から、0.1〜0.7μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましく、0.1〜0.4μmがさらに好ましく、0.1〜0.35μmがさらにより好ましく、0.15〜0.3μmがさらにより好ましく、0.15〜0.25μmがさらにより好ましい。
酸化アルミニウム粒子の一次粒子の平均粒子径は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.4μmがより好ましく、0.03〜0.3μmがさらに好ましく、0.05〜0.2μmがさらにより好ましい。中でも、α−アルミナの一次粒子の平均粒子径は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.05〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.4μmがより好ましく、0.05〜0.3μmがさらに好ましく、0.07〜0.2μmがさらにより好ましい。
酸化アルミニウム粒子の一次粒子の平均粒子径(体積基準)及び0.1μm未満の二次粒子の体積中位粒子径は、走査型電子顕微鏡で観察(好適には3000〜30000倍)又は透過型電子顕微鏡で観察(好適には10000〜300000倍)して画像解析を行い、粒子径を測定することにより求めることができる。具体的には、拡大写真等を用い、個々の一次粒子又は二次粒子の最大長を少なくとも200個の粒子について測定し、該長さを直径とする球の体積を算出し、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径(D50)をそれぞれ、一次粒子の平均粒子径又は二次粒子の体積中位粒子径とする。また、0.1μm以上の二次粒子の体積中位粒子径(D50)は、レーザー光回折法を用いて該粒子径を測定する。
BET法にて測定されたα−アルミナの比表面積は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.1〜50m2/gが好ましく、より好ましくは1〜40m2/g、さらに好ましくは2〜20m2/gである。さらに、BET法で測定された中間アルミナ又はアモルファスアルミナの比表面積は、好ましくは30〜300m2/g、より好ましくは50〜200m2/gである。
研磨液組成物中における酸化アルミニウム粒子の含有量は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、さらにより好ましくは1重量%以上である。また、該含有量は、表面品質向上及び経済性の観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。即ち、研磨液組成物中における酸化アルミニウム粒子の含有量は好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、さらにより好ましくは1〜10重量%である。
酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粗大粒子の含有量は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.2重量%以下であり、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。また、酸化アルミニウム粒子中における粒子径が3μm以上の粗大粒子の含有量は、同様の観点から、0.05重量%以下が好ましく、より好ましくは0.04重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下、さらにより好ましくは0.02重量%以下、さらにより好ましくは0.01重量%以下である。なお、前記「粒子径が1μm以上の粗大粒子」又は「粒子径が3μm以上の粗大粒子」は、一次粒子のみならず、一次粒子が凝集した二次粒子をも含むものとする。
研磨液組成物中の前記粗大粒子の含有量の測定には、個数カウント方式(Sizing Particle Optical Sensing法)が使用される。具体的には、米国パーティクルサイジングシステムズ(Particle Sizing Systems)社製「アキュサイザー(Accusizer)780」によって、酸化アルミニウム粒子の粒子径を測定することにより、該含有量を求めることができる。
酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粗大粒子の含有量を制御する方法としては、特に限定はなく、研磨液組成物の製造の際あるいは製造後に、一般的な分散方法あるいは粒子除去方法を用いることができる。例えば、特定の平均粒子径とすべく、湿式の循環式ビーズミルにより均一に解砕した酸化アルミニウム粒子スラリーを、さらに、静置沈殿法や遠心分離装置等による沈降法、又は濾過材による精密濾過等により粗大粒子を除去する方法に供することによって上記含有量を制御することができる。粗大粒子の除去方法については、それぞれ単独の方法で処理しても2種以上の方法を組み合わせて処理しても良く、組合せの処理順序についても何ら制限はない。また、その処理条件や処理回数についても、適宜選択して使用することができる。
[有機窒素化合物]
本発明の研磨液組成物に用いられる有機窒素化合物は、その分子内にアミノ基及び/又はイミノ基を合計2つ以上有する化合物である。分子内のアミノ基及びイミノ基の数としては、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、2〜2000が好ましく、2〜1000がより好ましく、2〜50がさらに好ましい。具体的には、ポリアルキレンイミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。
前記ポリアルキレンイミン類とは、代表的には、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブタジエンイミン等が挙げられ、直鎖状、分岐したもの、シクロ構造のものが挙げられる。これらの中でも、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、ポリエチレンイミンが好ましい。その数平均分子量としては、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、150〜100000が好ましく、200〜30000がより好ましく、200〜10000がさらに好ましく、300〜2000がさらにより好ましい。
また、研磨液組成物中の前記有機窒素化合物の含有量としては、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.001〜0.5重量%が好ましく、0.001〜0.3重量%がより好ましく、0.001〜0.1重量%がさらに好ましい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、酸を含有することが好ましい。本発明の研磨液組成物に用いられる酸としては、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
本発明に用いられる酸の具体例を以下に示す。無機酸としては硝酸、塩酸、過塩素酸、アミド硫酸等の一価の鉱酸類と、硫酸、亜硫酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の多価鉱酸類が挙げられる。また、有機酸としてはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、プロパン酸、ヒドロキシプロパン酸、酪酸、安息香酸、グリシン等のモノカルボン酸類、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の多価カルボン酸類、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類、エチルリン酸、ブチルリン酸等のアルキルリン酸類、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキリエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のホスホン酸類等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上並びに突き刺さり及びうねりの低減の観点から、多価酸が好ましく、より好ましくは多価鉱酸、多価有機カルボン酸及び多価有機ホスホン酸、さらに好ましくは多価鉱酸及び多価有機カルボン酸である。ここで多価酸とは分子内に2つ以上の、水素イオンを発生させ得る水素を持つ酸をいう。また、被研磨物の表面汚れ防止の観点からは、硝酸、硫酸、スルホン酸及びカルボン酸が好ましい。
前記酸は単独で用いても良いが、2種以上を混合して使用することが好ましい。特に、Ni−Pメッキ基板のような金属表面を研磨する場合で、研磨中に被研磨物の金属イオンが溶出して研磨液組成物のpHが上昇し、高い研磨速度が得られないとき、pH変化を小さくするためにpK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することが好ましく、pK1が1.5以下の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。このような2種以上の酸を含有する場合、研磨速度向上及びうねり低減、かつ入手性を考慮すると、pK1が2.5未満の酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸や有機ホスホン酸を用いることが好ましい。一方、pK1が2.5以上の酸としては、同様な観点から、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イタコン酸等の有機カルボン酸が好ましく、中でも、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イタコン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。また、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、pK1が2.5以上の有機カルボン酸を使用する場合は、オキシカルボン酸と2価以上の多価カルボン酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。例えば、オキシカルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。従って、これらをそれぞれ1種以上組み合わせて使用することが好ましく、中でも、クエン酸と多価カルボン酸を組み合わせることが好ましい。
研磨液組成物中における前記酸の含有量は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、好ましくは0.002重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上、さらにより好ましくは0.01重量%以上である。また、該含有量は、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下である。即ち、研磨液組成物中における酸の含有量は、好ましくは0.002〜20重量%、より好ましくは0.005〜15重量%、さらに好ましくは0.007〜10重量%、さらにより好ましくは0.01〜5重量%である。また、研磨速度向上の観点から、pK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸との重量比〔(pK1が2.5未満の酸)/(pK1が2.5以上の酸)〕は、9/1〜1/9が好ましく、7/1〜1/7がより好ましく、5/1〜1/5がさらに好ましい。
また、本発明の研磨液組成物において、前記有機窒素化合物と前記酸との含有量の重量比(有機窒素化合物/酸)は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、1/10000〜1/1が好ましく、1/1000〜1/2がより好ましく、1/500〜1/5がさらに好ましい。
[水]
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、イオン交換水、純水、超純水等を使用することができる。研磨液組成物中における水の含有量は、被研磨物を効率良く研磨する観点から、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
酸化剤の研磨液組成物中の含有量は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.002重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がより好ましく、0.007重量%以上がさらに好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましい。また、ロールオフ低減及び表面品質の観点から、20重量%以下が好ましく、15重量%以上がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましく、5重量%以下がさらにより好ましい。即ち、研磨液組成物中の酸化剤の含有量は、0.002〜20重量%が好ましく、0.005〜15重量%がより好ましく、0.007〜10重量%がさらに好ましく、0.01〜5重量%がさらにより好ましい。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜5であり、さらにより好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3である。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
[その他の成分]
また、本発明の研磨液組成物には、さらに研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減、その他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、コロイダル酸化チタン等の金属酸化物砥粒、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
さらに、本発明の研磨液組成物には、他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。研磨液組成物中におけるこれらの殺菌剤及び抗菌剤等の含有量は、機能を発揮する観点、並びに研磨性能への影響及び経済性の観点から、好ましくは0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002〜0.02重量%である。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物の調製方法は、何ら制限されず、少なくとも、前記酸化アルミニウム粒子及び前記有機窒素化合物を水と混合することによって調製できる。前記酸化アルミニウム粒子の分散は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。本発明の研磨液組成物中における前記の各成分濃度は、研磨する際の好ましい濃度であるが、研磨液組成物が濃縮液として調製される場合は、これを使用前あるいは使用時において、上述した濃度となるように希釈することが好ましい。また、研磨液組成物は目的成分を任意の方法で添加、混合して調製することができる。
なお、本発明の研磨液組成物は、その使用の直前に、本発明の研磨液組成物から前記有機窒素化合物を除いた組成の中間組成物(以下、中間研磨液組成物ともいう)と前記有機窒素化合物とを混合して調製してもよい。例えば、研磨機において本発明の研磨液組成物を使用する場合、研磨機への供給配管中の中間研磨液組成物に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を調製してもよく、あるいは、研磨機へ中間研磨液組成物を供給すると同時に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を調製してもよい。
[被研磨基板]
本発明の研磨液組成物を用いる被研磨基板としては、通常、ハードディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられる。前記被研磨基板の具体例としては、アルミニウム合金にNi−P合金をメッキした基板が代表的であるが、アルミニウム合金の代わりにガラスやグラッシュカーボンを使用し、これにNi−Pメッキを施した基板、あるいはNi−Pメッキの代わりに、各種金属化合物をメッキや蒸着により被覆した基板を挙げることができる。
[研磨方法]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨方法としては、例えば、不織布状あるいは多孔質の有機高分子からなる研磨パッドを備えた研磨盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨盤や被研磨基板を動かすことにより、被研磨基板を研磨することができる。研磨に際し、本発明の研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。前記濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(砥粒の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。また、上述したとおり、前記中間研磨液組成物と前記有機窒素化合物とを準備し、研磨機への供給配管中の前記中間研磨液組成物に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を供給してもよく、あるいは、研磨機へ前記中間研磨液組成物を供給すると同時に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を供給してもよい。
前記研磨荷重は、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。本発明の製造方法における研磨荷重は、酸化アルミニウム粒子の基板への突き刺さり低減及び研磨後の基板の表面汚れ低減の観点から、好ましくは50kPa以下、より好ましくは40kPa以下、さらに好ましくは30kPa以下である。また、前記研磨荷重は、生産性(研磨速度)の観点から、好ましくは3kPa以上、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上である。したがって、前記研磨荷重は、3〜50kPaが好ましく、より好ましくは5〜40kPa、さらに好ましくは7〜30kPaである。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
研磨液組成物の供給速度は、低コストの面から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.2mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度をさらに向上できることから、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上、さらに好ましくは0.05mL/分以上である。また、したがって、前記供給速度は、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/分が好ましく、より好ましくは0.025〜0.2mL/分、さらに好ましくは0.05〜0.15mL/分である。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨方法は、好ましくは、研磨速度を低下させることなく研磨後の基板における砥粒の突き刺さり及び表面汚れが低減されるため、好ましくは、高記録密度化に適したハードディスク基板を提供することができる。
[ハードディスク基板の製造方法]
本発明のハードディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)は上述した本発明の研磨液組成物を用いた研磨方法により被研磨基板を研磨する工程(以下、「研磨する工程」と称することがある。)を有する。
本発明の製造方法を用いて得られたハードディスク基板は、酸化アルミニウム粒子の突き刺さり及び表面汚れが低減されて表面品質が向上していることから、例えば、高記録密度化に適したものである。
また、本発明の製造方法は、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式であることが好ましく、最終工程である仕上げ研磨工程よりも前の工程で、前記の「研磨する工程」を行なうことが好ましい。仕上げ研磨工程で使用する研磨液組成物においては、ハードディスク基板の表面品質の観点、例えば、うねりの低減、表面粗さの低減、スクラッチ等の表面欠陥の低減の観点から、研磨粒子(砥粒)の一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることがさらに好ましく、0.03μm以下であることがさらにより好ましい。また、研磨速度向上の観点から、該平均粒子径が0.005μm以上であることが好ましく、0.01μm以上であることがより好ましい。
仕上げ研磨工程で使用される研磨液組成物中の研磨粒子としては、フュームドシリカ砥粒、コロイダルシリカ砥粒等が挙げられ、表面粗さの低減、及びスクラッチ等表面欠陥の低減の観点から、コロイダルシリカ砥粒が好ましい。コロイダルシリカ砥粒の一次粒子の平均粒子径としては、0.005〜0.08μmが好ましく、0.005〜0.05μmがより好ましく、0.01〜0.03μmがさらに好ましい。
仕上げ研磨工程において、一次粒子の平均粒子径が0.005〜0.1μmの研磨粒子を使用する場合、表面粗さの低減、酸化アルミニウム粒子の突き刺さりの低減の観点、及び生産性(研磨時間)の観点から、研磨量は、0.05〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.4μmがより好ましく、0.2〜0.4μmがさらに好ましい。仕上げ研磨を行なう際の他の条件(研磨機の種類、研磨温度、研磨速度、研磨液の供給量等)については特に限定はなく、研磨荷重としては、前記の「研磨する工程」において例示される研磨荷重と同様であればよい。なお、研磨量は、後述の実施例のようにして求めることができる。
なお、本発明の研磨液組成物は、ハードディスク基板の製造方法において、ポリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
1.酸化アルミニウム粒子の粗大粒子除去処理
以下の通りにして、酸化アルミニウムスラリーを調製した。
(1)下記表1に示す純度99.9%の酸化アルミニウム粒子を10重量%含有する酸化アルミニウムスラリー50kgに硝酸を添加し、pH3に調整した。
(2)(1)で得られた酸化アルミニウムスラリーを直径40cm、高さ50cmの円筒状容器に移した。
(3)容器内の酸化アルミニウムスラリーを均一になるよう攪拌した。
(4)撹拌後の酸化アルミニウムスラリーを3〜10時間静置した。
(5)静置後の酸化アルミニウムスラリーの下層部約5cmを残し、上層部を別の同形状の容器に移し、前記上層部について上記(3)及び(4)の操作を行った。
(6)上記(5)をさらに2〜4回繰り返し、種々の粗大粒子を除去した酸化アルミニウムスラリーを得た。
2.研磨液組成物の調製
下記表1に示す酸化アルミニウムスラリー、及び、下記表2に示す有機窒素化合物を、硫酸(98重量%品)0.5重量%、クエン酸0.6重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、過酸化水素(35重量%品、旭電化社製)0.6重量%及びイオン交換水(残部)と配合して攪拌した。得られたスラリーをバックフィルター(ヘイワードジャパン株式会社製、型番:PE1−P03H−403)で濾過し、下記表3に示す実施例1〜11及び比較例1〜9の研磨液組成物を得た。
3.研磨方法
厚さ1.27mm、直径3.5インチのNi−Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板の表面を両面加工機により、以下の設定条件でポリッシングし、磁気記録媒体用基板として用いられるNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨物を得た。なお、研磨用に用いた上記基板は、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定における短波長うねり(波長:50〜500μm)の振幅が3.8nmであり、同測定による長波長うねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
両面加工機の設定条件
両面加工機:スピードファム(株)製、9B型両面加工機
研磨荷重:9.8kPa
研磨パッド:フジボウ(株)製 1P用研磨パッド 平均気孔径45μm
定盤回転数:45r/min
研磨液組成物供給流量:100mL/min
研磨時間:4min
投入した基板の枚数:10枚
4.評価方法
(1)砥粒の突き刺さりの評価
研磨後の基板を、以下の仕上げ用研磨液組成物を用いて研磨量が0.035μm±0.005μmとなるように研磨した後の基板表面を観察することにより、砥粒の突き刺さりを評価した。仕上げ用研磨液組成物の組成、研磨条件、研磨量の測定方法、突き刺さりの観察方法及び評価基準を以下に示す。
仕上げ用研磨液組成物
コロイダルシリカスラリー(デュポン社製、一次粒子の平均粒子径0.02μm)をシリカ粒子濃度として7重量%、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシアジャパン製)を有効分として2重量%、過酸化水素(旭電化製)を有効分として0.6重量%、及びイオン交換水を残分として含有する研磨液組成物を用いた。
研磨条件
研磨試験機 :スピードファム(株)製、両面9B研磨機
研磨パッド :フジボウ(株)製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド
上定盤回転数 :32.5r/min
研磨液組成物供給量 :100mL/min
研磨時間 :0.5〜1.5min(研磨量が0.035μm±0.005μmとなるように調整)
研磨荷重 :4.1kPa
投入した基板の枚数 :10枚
研磨量の測定方法
研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、下記式に導入することにより、研磨量を求めた。
重量減少量(g)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}
研磨量(μm)=重量減少量(g)/基板片面面積(mm2)/2/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積は、6597mm2、Ni−Pメッキ密度8.4g/cm3として算出)
突き刺さりの観察方法
オリンパス光学製顕微鏡(本体BX60M、デジタルカメラDP70、対物レンズ200倍、中間レンズ2.5倍)を使用し、暗視野観察(視野550×420μm)により突き刺さった砥粒を輝点として検出し、その数を測定した。上記観察は、研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、基板の両面について中心から30mmの位置を90°ごとの各4点、計16点観察した。観察した画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込み、画像解析ソフトWinRoof(三谷商事)にて輝点数を求めた。そして、観察された輝点数の平均値を砥粒の突き刺さり数とした。
突き刺さり評価基準
5:突き刺さり数が0〜200
4:突き刺さり数が201〜400
3:突き刺さり数が401〜800
2:突き刺さり数が801〜1200
1:突き刺さり数が1201以上
(2)表面汚れ
研磨後の各基板の表面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製:S−4000)にて1万倍で観察し、下記の5段階評価をした。1、2は実用上の不良である。
5:表面にアルミナ残留物や研磨クズ等が全く観察されないもの
4:極わずかしか見られなかったもの
3:少し観察されたもの
2:多く観察されたもの
1:非常に多く観察されたもの
(3)粗大粒子含有量の測定
以下の測定条件で、酸化アルミニウム粒子中における粒径1μm以上の粒子及び粒径3μm以上の粒子の含有量を測定した。
測定機器:PSS社製 「アキュサイザー780APS」
Injection Loop Volume:1mL
Flow Rate :60mL/min
Data Collection Time :60sec
Number Channels :128
(4)二次粒子の粒子径の測定
以下の測定条件で二次粒子の粒子径(D10、D50及びD90)を測定した。なお、D10、D50及びD90とは、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒径であり、このうち、D50を体積中位粒子径とする。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
(5)酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナの含有量
上述の方法で調製した研磨液組成物20gを105℃で5時間乾燥させて粉末とした。そして、得られた粉末について、X線回折装置(理学電機製、型番:RINT2500VPC)にて管電圧40kW、管電流120mAの条件で104面のピーク面積を測定し、同様に測定した昭和電工製アルミナ粒子WA−1000のピーク面積から下記式のとおりに算出することによって求めた。
α−アルミナ含有量(重量%)=(試験試料ピーク面積)÷(WA−1000のピーク面積)×100
Figure 2008307676
Figure 2008307676
上記表2に示される通り、実施例1〜11の研磨液組成物を用いた場合、比較例1〜9の研磨液組成物に比べ、基板への砥粒の突き刺さりが顕著に低減し、かつ、被研磨基板の表面汚れが顕著に低減されることが分かる。
本発明を用いることにより、例えば、高記録密度化に適したハードディスク基板を提供することができる。

Claims (6)

  1. 酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含有するハードディスク基板用研磨液組成物であって、
    前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径が、0.1〜0.7μmであり、
    前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量が、0.2重量%以下であり、
    前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物である、ハードディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記酸化アルミニウム粒子はα−アルミナ粒子を含有し、前記α−アルミナ粒子が前記酸化アルミニウム粒子全体の20重量%以上である、請求項1記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  3. 前記有機窒素化合物の数平均分子量が、150〜100000である、請求項1又は2に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  4. 前記有機窒素化合物の含有量が、0.001〜0.5重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  5. pHが7未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むハードディスク基板の製造方法。
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