JP2008307676A - ハードディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含有するハードディスク基板用研磨液組成物。前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径は、0.1〜0.7μmであり、前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量は、0.2重量%以下であり、前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物である。
【選択図】なし
Description
本発明の研磨液組成物は、砥粒として酸化アルミニウム(以下、アルミナと称することがある)粒子を含有する。本発明に用いられる酸化アルミニウム粒子としては、突き刺さり低減、うねり低減、表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナが好ましく、表面性状及びうねり低減の観点からは、中間アルミナ及びアモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用することが好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがより好ましい。また、酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上がさらにより好ましく、また、ロールオフ低減の観点から、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましい。本発明において、酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナの含有量は、WA−1000(昭和電工(株)製酸化アルミニウム粒子)の104面のピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナの対応ピーク面積を相対比較することにより求める。
本発明の研磨液組成物に用いられる有機窒素化合物は、その分子内にアミノ基及び/又はイミノ基を合計2つ以上有する化合物である。分子内のアミノ基及びイミノ基の数としては、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、2〜2000が好ましく、2〜1000がより好ましく、2〜50がさらに好ましい。具体的には、ポリアルキレンイミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、酸を含有することが好ましい。本発明の研磨液組成物に用いられる酸としては、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、イオン交換水、純水、超純水等を使用することができる。研磨液組成物中における水の含有量は、被研磨物を効率良く研磨する観点から、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
本発明の研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜5であり、さらにより好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3である。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
また、本発明の研磨液組成物には、さらに研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減、その他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、コロイダル酸化チタン等の金属酸化物砥粒、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
本発明の研磨液組成物の調製方法は、何ら制限されず、少なくとも、前記酸化アルミニウム粒子及び前記有機窒素化合物を水と混合することによって調製できる。前記酸化アルミニウム粒子の分散は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。本発明の研磨液組成物中における前記の各成分濃度は、研磨する際の好ましい濃度であるが、研磨液組成物が濃縮液として調製される場合は、これを使用前あるいは使用時において、上述した濃度となるように希釈することが好ましい。また、研磨液組成物は目的成分を任意の方法で添加、混合して調製することができる。
本発明の研磨液組成物を用いる被研磨基板としては、通常、ハードディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられる。前記被研磨基板の具体例としては、アルミニウム合金にNi−P合金をメッキした基板が代表的であるが、アルミニウム合金の代わりにガラスやグラッシュカーボンを使用し、これにNi−Pメッキを施した基板、あるいはNi−Pメッキの代わりに、各種金属化合物をメッキや蒸着により被覆した基板を挙げることができる。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨方法としては、例えば、不織布状あるいは多孔質の有機高分子からなる研磨パッドを備えた研磨盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨盤や被研磨基板を動かすことにより、被研磨基板を研磨することができる。研磨に際し、本発明の研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。前記濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(砥粒の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。また、上述したとおり、前記中間研磨液組成物と前記有機窒素化合物とを準備し、研磨機への供給配管中の前記中間研磨液組成物に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を供給してもよく、あるいは、研磨機へ前記中間研磨液組成物を供給すると同時に前記有機窒素化合物を添加することにより本発明の研磨液組成物を供給してもよい。
本発明のハードディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)は上述した本発明の研磨液組成物を用いた研磨方法により被研磨基板を研磨する工程(以下、「研磨する工程」と称することがある。)を有する。
以下の通りにして、酸化アルミニウムスラリーを調製した。
(1)下記表1に示す純度99.9%の酸化アルミニウム粒子を10重量%含有する酸化アルミニウムスラリー50kgに硝酸を添加し、pH3に調整した。
(2)(1)で得られた酸化アルミニウムスラリーを直径40cm、高さ50cmの円筒状容器に移した。
(3)容器内の酸化アルミニウムスラリーを均一になるよう攪拌した。
(4)撹拌後の酸化アルミニウムスラリーを3〜10時間静置した。
(5)静置後の酸化アルミニウムスラリーの下層部約5cmを残し、上層部を別の同形状の容器に移し、前記上層部について上記(3)及び(4)の操作を行った。
(6)上記(5)をさらに2〜4回繰り返し、種々の粗大粒子を除去した酸化アルミニウムスラリーを得た。
下記表1に示す酸化アルミニウムスラリー、及び、下記表2に示す有機窒素化合物を、硫酸(98重量%品)0.5重量%、クエン酸0.6重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、過酸化水素(35重量%品、旭電化社製)0.6重量%及びイオン交換水(残部)と配合して攪拌した。得られたスラリーをバックフィルター(ヘイワードジャパン株式会社製、型番:PE1−P03H−403)で濾過し、下記表3に示す実施例1〜11及び比較例1〜9の研磨液組成物を得た。
厚さ1.27mm、直径3.5インチのNi−Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板の表面を両面加工機により、以下の設定条件でポリッシングし、磁気記録媒体用基板として用いられるNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨物を得た。なお、研磨用に用いた上記基板は、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定における短波長うねり(波長:50〜500μm)の振幅が3.8nmであり、同測定による長波長うねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
両面加工機の設定条件
両面加工機:スピードファム(株)製、9B型両面加工機
研磨荷重:9.8kPa
研磨パッド:フジボウ(株)製 1P用研磨パッド 平均気孔径45μm
定盤回転数:45r/min
研磨液組成物供給流量:100mL/min
研磨時間:4min
投入した基板の枚数:10枚
(1)砥粒の突き刺さりの評価
研磨後の基板を、以下の仕上げ用研磨液組成物を用いて研磨量が0.035μm±0.005μmとなるように研磨した後の基板表面を観察することにより、砥粒の突き刺さりを評価した。仕上げ用研磨液組成物の組成、研磨条件、研磨量の測定方法、突き刺さりの観察方法及び評価基準を以下に示す。
仕上げ用研磨液組成物
コロイダルシリカスラリー(デュポン社製、一次粒子の平均粒子径0.02μm)をシリカ粒子濃度として7重量%、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシアジャパン製)を有効分として2重量%、過酸化水素(旭電化製)を有効分として0.6重量%、及びイオン交換水を残分として含有する研磨液組成物を用いた。
研磨条件
研磨試験機 :スピードファム(株)製、両面9B研磨機
研磨パッド :フジボウ(株)製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド
上定盤回転数 :32.5r/min
研磨液組成物供給量 :100mL/min
研磨時間 :0.5〜1.5min(研磨量が0.035μm±0.005μmとなるように調整)
研磨荷重 :4.1kPa
投入した基板の枚数 :10枚
研磨量の測定方法
研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、下記式に導入することにより、研磨量を求めた。
重量減少量(g)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}
研磨量(μm)=重量減少量(g)/基板片面面積(mm2)/2/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積は、6597mm2、Ni−Pメッキ密度8.4g/cm3として算出)
突き刺さりの観察方法
オリンパス光学製顕微鏡(本体BX60M、デジタルカメラDP70、対物レンズ200倍、中間レンズ2.5倍)を使用し、暗視野観察(視野550×420μm)により突き刺さった砥粒を輝点として検出し、その数を測定した。上記観察は、研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、基板の両面について中心から30mmの位置を90°ごとの各4点、計16点観察した。観察した画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込み、画像解析ソフトWinRoof(三谷商事)にて輝点数を求めた。そして、観察された輝点数の平均値を砥粒の突き刺さり数とした。
突き刺さり評価基準
5:突き刺さり数が0〜200
4:突き刺さり数が201〜400
3:突き刺さり数が401〜800
2:突き刺さり数が801〜1200
1:突き刺さり数が1201以上
研磨後の各基板の表面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製:S−4000)にて1万倍で観察し、下記の5段階評価をした。1、2は実用上の不良である。
5:表面にアルミナ残留物や研磨クズ等が全く観察されないもの
4:極わずかしか見られなかったもの
3:少し観察されたもの
2:多く観察されたもの
1:非常に多く観察されたもの
以下の測定条件で、酸化アルミニウム粒子中における粒径1μm以上の粒子及び粒径3μm以上の粒子の含有量を測定した。
測定機器:PSS社製 「アキュサイザー780APS」
Injection Loop Volume:1mL
Flow Rate :60mL/min
Data Collection Time :60sec
Number Channels :128
以下の測定条件で二次粒子の粒子径(D10、D50及びD90)を測定した。なお、D10、D50及びD90とは、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒径であり、このうち、D50を体積中位粒子径とする。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
上述の方法で調製した研磨液組成物20gを105℃で5時間乾燥させて粉末とした。そして、得られた粉末について、X線回折装置(理学電機製、型番:RINT2500VPC)にて管電圧40kW、管電流120mAの条件で104面のピーク面積を測定し、同様に測定した昭和電工製アルミナ粒子WA−1000のピーク面積から下記式のとおりに算出することによって求めた。
α−アルミナ含有量(重量%)=(試験試料ピーク面積)÷(WA−1000のピーク面積)×100
Claims (6)
- 酸化アルミニウム粒子、有機窒素化合物、及び、水を含有するハードディスク基板用研磨液組成物であって、
前記酸化アルミニウム粒子の二次粒子の体積中位粒子径が、0.1〜0.7μmであり、
前記酸化アルミニウム粒子中における粒子径が1μm以上の粒子の含有量が、0.2重量%以下であり、
前記有機窒素化合物は、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物である、ハードディスク基板用研磨液組成物。 - 前記酸化アルミニウム粒子はα−アルミナ粒子を含有し、前記α−アルミナ粒子が前記酸化アルミニウム粒子全体の20重量%以上である、請求項1記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
- 前記有機窒素化合物の数平均分子量が、150〜100000である、請求項1又は2に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
- 前記有機窒素化合物の含有量が、0.001〜0.5重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
- pHが7未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むハードディスク基板の製造方法。
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