JP2009152002A - イオンビーム照射装置 - Google Patents

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裕 井内
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正二郎 土肥
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Abstract

【課題】 基板の大型化に対応することができ、かつ重量増大を軽減し、ビームライン長増大およびビーム電流密度低下を防止することができる装置を提供する。
【解決手段】 このイオンビーム照射装置は、イオン源2a、2b、分析電磁石6a、6bおよび基板駆動装置14を備えている。イオン源2aは、Y方向の寸法が長いリボン状のイオンビーム4aを発生させる。イオン源2bは、Y方向の寸法が長くかつイオンビーム4aとはY方向の中心位置が異なるリボン状のイオンビーム4bを発生させる。分析電磁石6aは、イオンビーム4aをその主面に交差する方向に曲げて運動量分析を行って通過させる。分析電磁石6bは、イオンビーム4bをその主面に交差する方向に、かつ分析電磁石6aとは逆方向に曲げて運動量分析を行って通過させる。基板駆動装置14は、基板10を、分析電磁石6a、6bを通過した両イオンビーム4a、4bの主面と交差する方向に移動させる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、基板にイオンビームを照射して、基板に例えばイオン注入、イオンビーム配向処理等の処理を施すイオンビーム照射装置に関し、より具体的には、基板にリボン状(これはシート状または帯状と呼ばれることもある。以下同様)のイオンビームを照射することと、基板をイオンビームの主面と交差する方向に移動させることとを併用する方式のイオンビーム照射装置に関する。このイオンビーム照射装置は、基板にイオン注入を行う場合は、イオン注入装置とも呼ばれる。
リボン状のイオンビームと基板移動とを併用するイオンビーム照射装置の代表例として、次の従来技術AおよびBが挙げられる。
従来技術Aは、イオン源から長手方向の寸法(後述するY方向の寸法WY )が大きい長尺のリボン状イオンビームを引き出し、そのイオンビームを長ギャップの分析電磁石を通して質量分析を行った後に基板に照射するものである(例えば特許文献1参照)。イオン源から引き出されたイオンビームの長手方向の寸法は、ビーム軌道上でほぼ保存される。
上記従来技術Aは、イオン源から長尺のリボン状イオンビームを引き出すので、(a)イオンビームの長尺化のための距離が不要であり、従ってビームライン(イオン源から基板までのイオンビームの経路。以下同様)の長さを短くすることが可能である、(b)イオンビームの大電流化が容易である、(c)大電流イオンビームの割にビーム電流密度が小さくて済むので、イオンビームの空間電荷効果による発散が少なく、低エネルギーかつ大電流のイオンビームの輸送が容易である、(d)イオンビーム長手方向のビーム強度分布(即ちビーム電流密度分布)がビームラインでほぼ保存されるので、基板に照射されるイオンビームの強度分布制御をイオン源によって行うことができ、ビーム強度分布の制御が容易である、等の長所を有している。
従来技術Bは、比較的小さなイオン源から扇状に広がる(発散する)イオンビームを引き出し、そのイオンビームを発散途中で分析電磁石を通して質量分析を行った後に、ビーム平行化器(例えば4重極子デバイス、ビーム平行化マグネット等)によって平行ビーム化して長尺のリボン状イオンビームにした後に基板に照射するものである(例えば特許文献2参照)。イオンビームを発散させることによって、イオンビームの長手方向の長さを確保している。
上記従来技術Bは、イオンビームをその長尺方向の寸法が小さい間に質量分析することが可能であるので(即ち最終的なビームの長さよりも小さなギャップ長の分析電磁石で良いので)、分析電磁石をあまり大きくせずに済む、等の長所を有している。
特開2005−327713号公報(段落0010−0011、図1−図4) 特開2006−139996号公報(段落0010−0011、図1、図4)
例えばフラットパネルディスプレイの生産性を高める等のために、基板は大型化する傾向にあり、それに対応するために、イオンビームの更なる長尺化が求められている。
その場合、上記従来技術Aでは、イオン源から引き出すイオンビームの長手方向の長さを大きくすることになるが、イオン源から引き出して輸送するイオンビームの長さが例えば2倍程度になると、分析電磁石の重さが4倍程度になるという課題がある。これは、簡単に言えば、分析電磁石のギャップ長が約2倍になるだけでなく、ギャップ長を大きくしたことに伴って漏れ磁場を防ぐために鉄心の厚さを大きくする等の必要があり、これらを総合すると、4倍程度になるからである。
一方、上記従来技術Bでは、リボン状イオンビームの長手方向の寸法を大きくするためには、イオンビームが広がる距離を確保するためにビームラインの長さを大きくする必要があり、ビームラインの長さが大きくなると、イオンビームの輸送効率が低下するという課題がある。これは、イオンビームが空間電荷効果によって発散することに加えて、イオンビームが構造物に衝突しやすくなるからである。低エネルギーかつ大電流のイオンビームは空間電荷効果による発散が大きいので、そのようなイオンビームの輸送はより困難になる。イオンビームの輸送効率が低下するとスループットが低下する。
また、上記従来技術Bでは、イオン源から引き出されるビーム電流が同じであれば、ビーム寸法拡大に応じて、最終的に基板に照射されるイオンビームのビーム電流密度が小さくなるという課題もある。ビーム電流密度が小さくなるとスループットが低下する。
以上のように、従来技術AおよびBは、いずれも、それぞれ長所を有しているものの、基板の大型化に対応するためには上記のような課題を有している。
そこでこの発明は、基板の大型化に対応することができ、しかも重量増大を軽減し、かつビームライン長増大およびビーム電流密度低下を防止することができるイオンビーム照射装置を提供することを主たる目的としている。
この発明に係るイオンビーム照射装置は、基板にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置であって、進行方向と実質的に直交する平面内におけるY方向の寸法が当該Y方向と実質的に直交するX方向の寸法よりも大きいリボン状の第1のイオンビームを発生させる第1のイオン源と、前記第1のイオン源とは前記Y方向における中心の位置を異にして配置されていて、進行方向と実質的に直交する平面内における前記Y方向の寸法が前記X方向の寸法よりも大きく、かつ前記第1のイオンビームとは前記Y方向における中心の位置が異なるリボン状の第2のイオンビームを発生させる第2のイオン源と、前記第1のイオン源からの第1のイオンビームを受けて当該イオンビームを、その主面に交差する方向に曲げて当該イオンビームの運動量分析を行って通過させる第1の分析電磁石と、前記第1の分析電磁石とは前記Y方向における中心の位置を異にして配置されていて、前記第2のイオン源からの第2のイオンビームを受けて当該イオンビームを、その主面に交差する方向に、かつ前記第1の分析電磁石による方向とは逆方向に曲げて当該イオンビームの運動量分析を行って通過させる第2の分析電磁石と、前記基板を保持するホルダを有していて、当該ホルダに保持された前記基板に前記第1および第2の分析電磁石を通過した前記第1および第2のイオンビームが入射するように、前記基板を前記第1および第2のイオンビームの主面と交差する方向に移動させる基板駆動装置とを備えていることを特徴としている。
このイオンビーム照射装置によれば、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きい第1および第2のリボン状のイオンビームを、互いにY方向にずらして、即ちY方向の中心の位置を異にして、基板に照射することができる。基板は、基板駆動装置によって、第1および第2のイオンビームの主面と交差する方向に移動させられるので、基板には、上記第1および第2のイオンビームの両方が、互いにY方向にずれた状態で照射される。その結果、基板に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さを、第1または第2のイオンビーム単独の場合よりも大きくすることができる。
前記第1および第2の分析電磁石と前記基板駆動装置との間に設けられていて、前記第1および第2の分析電磁石をそれぞれ通過した前記第1および第2のイオンビームを、それらの主面に交差する方向に、かつ互いに逆方向に曲げて、前記第1および第2のイオンビーム間の前記X方向における距離を入射時よりも小さくして出射するビーム偏向器を更に備えていても良い。
前記第1および第2のイオンビームは、少なくとも前記ホルダ上の基板に入射する位置において、前記Y方向の位置が互いに部分的に重なっていても良い。
前記ホルダ上の基板の下流側または上流側に設けられていて、前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布を測定するビームプロファイルモニタと、前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ調整する第1および第2のビームプロファイル調整手段とを更に備えていても良い。
前記ビームプロファイルモニタからの測定情報に基づいて前記第1および第2のビームプロファイル調整手段を制御して、前記基板に照射されるイオンビームの、前記部分的に重なっている部分を含めた前記Y方向におけるビーム電流密度分布を均一化する制御を行う機能を有している制御装置を更に備えていても良い。
前記第1および第2のイオン源の内の少なくとも一方を前記Y方向に複数個有しており、前記第1の分析電磁石を前記第1のイオン源と同数有しており、かつ前記第2の分析電磁石を前記第2のイオン源と同数有していても良い。
請求項1に記載の発明によれば、基板に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さを、第1または第2のイオンビーム単独の場合よりも大きくすることができる。その結果、基板の大型化に対応することができる。
しかも、第1および第2のイオンビームの運動量分析を第1および第2の分析電磁石で個別に行うので、第1および第2の分析電磁石の重量を合計しても、上記Y方向の合計の長さに相当する長尺のイオンビームを運動量分析する分析電磁石の重量に比べて、重量は軽くて済み、重量増大を軽減することができる。
更に、第1および第2のイオン源からリボン状のイオンビームをそれぞれ発生させるので、上記従来技術Bのように比較的小さなイオン源から扇状に広がるイオンビームを引き出しそれを平行ビーム化して長尺のリボン状イオンビームを得る技術に比べて、ビームライン長の増大およびビーム電流密度低下を防止することができる。従って、低エネルギーかつ大電流のイオンビームの輸送も容易である。
請求項2に記載の発明によれば、上記ビーム偏向器によって、第1および第2のイオンビーム間のX方向における距離を小さくすることができるので、そのぶん基板駆動装置による基板の移動距離を小さくすることができ、そのぶんスループットを向上させることができる、という更なる効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、第1および第2のイオンビームのY方向の位置が互いに部分的に重なっているので、基板にY方向において切れ目なくイオンビームを照射することができる、という更なる効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、上記のようなビームプロファイルモニタと、第1および第2のビームプロファイル調整手段とを備えているので、基板に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を調整することが容易になる、という更なる効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、上記のようなビームプロファイルモニタと、第1および第2のビームプロファイル調整手段と、制御装置とを備えているので、第1および第2のイオンビームのY方向の位置が互いに部分的に重なっていても、基板に照射されるイオンビームの、上記部分的に重なっている部分を含めたY方向におけるビーム電流密度分布を自動制御によって均一化することができる、という更なる効果を奏する。
請求項6に記載の発明によれば、基板に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さをより大きくすることができるので、基板のより大型化に対応することが容易になる、という更なる効果を奏する。
図1は、この発明に係るイオンビーム照射装置の一実施形態を示す概略平面図である。図2は、図1中の線C−Cに沿う概略断面図である。図3は、図1中の矢印Q方向に見た概略図であり、ホルダおよび基板駆動装置は省略している。図2と図3とは、見る方向が逆であるから、第1のイオンビーム4aと第2のイオンビーム4bの左右の位置は逆になっている。
以下の図においては、イオンビーム4a、4bの進行方向を常にZ方向とし、このZ方向に実質的に直交する平面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向としている。例えば、X方向およびZ方向は水平方向であり、Y方向は垂直方向である。またこの明細書において、イオンビーム4a、4bを構成するイオンは正イオンの場合を例に説明している。
このイオンビーム照射装置は、基板10にリボン状のイオンビーム4aおよび4bを照射して、基板10にイオン注入、イオンビーム配向処理等の処理を施す装置である。
基板10は、処理対象となる材料の総称であり、例えば、ガラス基板、配向膜付ガラス基板、半導体基板、その他の基板である。その平面形状は、例えば四角形であるが、それに限られるものではない。
このイオンビーム照射装置は、図4も参照して、Y方向の寸法WY がX方向の寸法WX よりも大きいリボン状の第1のイオンビーム4aを発生させる第1のイオン源2aと、このイオン源2aとはY方向における中心の位置を異にして配置されていて、Y方向の寸法WY がX方向の寸法WX よりも大きく、かつイオンビーム4aとはY方向における中心の位置が異なるリボン状の第2のイオンビーム4bを発生させる第2のイオン源2bとを備えている。
両イオンビーム4a、4bの寸法WX 、WY は、この実施形態では互いにほぼ同じであるが、異なるものでも良い。
両イオンビーム4a、4bは、リボン状と言ってもX方向の寸法WX が紙や布のように薄いという意味ではない。例えば、イオンビーム4a、4bのX方向の寸法WX は30mm〜80mm程度、Y方向の寸法WY は、40cm〜80cm程度である。このイオンビーム4a、4bの大きい方の面、即ちYZ面に沿う面が主面5である。
この実施形態では、第1のイオン源2a、第1のイオンビーム4aおよび後述する第1の分析電磁石6aよりも、第2のイオン源2b、第2のイオンビーム4bおよび後述する第2の分析電磁石6bの方が、Y方向における上側に位置しているが、この逆でも良い。
このイオンビーム照射装置は、更に、第1のイオン源2aからの第1のイオンビーム4aを受けて当該イオンビーム4aを、その主面5(図4参照。以下同様)に交差する方向に曲げて当該イオンビーム4aの運動量分析(例えば質量分析。以下同様)を行って通過させる第1の分析電磁石6aと、この第1の分析電磁石6aとはY方向における中心の位置を異にして配置されていて、第2のイオン源2bからの第2のイオンビーム4bを受けて当該イオンビーム4bを、その主面5に交差する方向に、かつ第1の分析電磁石6aによる方向とは逆方向に曲げて当該イオンビーム4bの運動量分析(例えば質量分析)を行って通過させる第2の分析電磁石6bとを備えている。
両分析電磁石6a、6bには、例えば上記特許文献1に記載されているような公知の分析電磁石を使用することができる。
両分析電磁石6a、6bを、この実施形態のように、イオンビーム4a、4bを互いに逆方向に曲げるものにすると、図2に示す例のように、両分析電磁石6a、6bのY方向の位置が互いに部分的に重なるようにすることができるので、両イオンビーム4a、4bのY方向における位置を互いに近づけたり、両イオンビーム4a、4bのY方向における位置を互いに部分的に重ねることが容易になる。
両分析電磁石6a、6bは、この実施形態では、それらから出射するイオンビーム4a、4bが互いに実質的に平行になるように配置している。従って、基板10には、両イオンビーム4a、4bは互いに実質的に平行に入射する。両分析電磁石6a、6bから出射する両イオンビーム4a、4b間は、X方向において距離L1 (図3参照)だけ離れている。
各分析電磁石6a、6bの下流側には、この実施形態のように、各分析電磁石6a、6bとそれぞれ協働して第1および第2のイオンビーム4aおよび4bの運動量分析をそれぞれ行う第1および第2の分析スリット8aおよび8bをそれぞれ設けておくのが好ましい。そのようにすると、運動量分析の分解能を向上させることができる。
上記第1のイオン源2a、分析電磁石6aおよび分析スリット8aと、上記第2のイオン源2b、分析電磁石6bおよび分析スリット8bとは、この実施形態では、平面的には、簡単に言えば、所定の中心線を中心にして線対称に配置されている。
なお、各イオン源2a、2bから引き出されたイオンビーム4a、4bは、X方向について細かく言えば、X方向において若干発散し、各分析電磁石6a、6bによって各分析スリット8a、8b付近である程度絞られるように集束されるけれども、そのことはこの発明の本質には殆ど関係しないので、図面においては、そのようなX方向における発散、集束は無視して図示している。
このイオンビーム照射装置は、更に、基板10を保持するホルダ12を有していて、当該ホルダ12に保持された基板10に両分析電磁石6a、6bを通過した第1および第2のイオンビーム4aおよび4bが入射するように、ホルダ12に保持された基板10を、例えば図1、図3中に矢印Dで示すように、両イオンビーム4a、4bの主面5と交差する方向(例えばX方向に沿う方向)に移動させる基板駆動装置14を備えている。基板駆動装置14による基板10の上記移動は、例えば往復移動であるが、片道移動でも良い。
両イオン源2a、2bから基板10までのイオンビーム4a、4bの経路および基板10の周りは、図示しない真空容器内に収納されていて、真空雰囲気に保たれる。後述するビームプロファイルモニタ20a、20bを設ける場合は、当該ビームプロファイルモニタ20a、20bまで真空雰囲気に保たれる。
このイオンビーム照射装置においては、各イオン源2a、2bから引き出された各イオンビーム4a、4bのY方向の寸法WY は、基板10に照射されるまで、ビーム軌道上でほぼ保存される。
このイオンビーム照射装置によれば、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きい第1および第2のリボン状のイオンビーム4a、4bを、互いにY方向にずらして、即ちY方向の中心の位置を異にして、基板10に照射することができる。基板10は、基板駆動装置14によって、第1および第2のイオンビーム4a、4bの主面5と交差する方向に移動させられるので、基板10には、上記第1および第2のイオンビーム4a、4bの両方が、互いにY方向にずれた状態で照射される。即ち、両イオンビーム4a、4b自体はX方向に距離L1 だけずれていて互いに重なっていないけれども、基板10を上記のように移動させることによって、基板10には、イオンビーム4aおよび4bの両方が照射されることになる。
その結果、基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さを、第1または第2のイオンビーム4a、4b単独の場合よりも大きくすることができる。基板10に照射されるイオンビームのY方向の長さを、等価的にまたは実質的に大きくすることができると言うこともできる。
その結果、基板10の大型化に対応することができる。しかも上記従来技術Aの長所を維持しつつ、重量増大を軽減することができる。
即ち、第1および第2のイオンビーム4a、4bの運動量分析を第1および第2の分析電磁石6a、6bで個別に行うので、第1および第2の分析電磁石6a、6bの重量を合計しても、上記Y方向の合計の長さ(例えば図3中の合計の長さL3 参照)に相当する長尺のイオンビームを運動量分析する分析電磁石の重量に比べて、重量は軽くて済み、重量増大を軽減することができる。
例えば、基板10に照射するイオンビームのY方向の長さを2倍にしようとすると、上記従来技術Aでは、前述したように、そのような長尺のリボン状イオンビーム用の分析電磁石の重量が4倍程度になるけれども、このイオンビーム照射装置では、上記構成によって基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さを、第1または第2のイオンビーム4a、4b単独の場合の2倍程度にしても、各分析電磁石6a、6bの重量は変わらずその合計の重量が2倍(2台だから2倍)になるだけであるので、両分析電磁石6a、6bを含めた装置全体の重量も、2倍程度に抑えることができる。
更に、第1および第2のイオン源2a、2bからリボン状のイオンビーム4a、4bをそれぞれ発生させるので、上記従来技術Bのように比較的小さなイオン源から扇状に広がるイオンビームを引き出しそれを平行ビーム化して長尺のリボン状イオンビームを得る技術に比べて、ビームライン長の増大およびビーム電流密度低下を防止することができる。従って、低エネルギーかつ大電流のイオンビームの輸送も容易である。
これを詳述すると、このイオンビーム照射装置には次のような長所がある。
(a)初めから、即ちイオン源2a、2bからリボン状のイオンビーム4a、4bを発生させるので、イオンビームの長尺化のための距離が不要であり、従ってイオン源2a、2bから基板10までのビームラインの長さが長くなるのを防止することができる。即ちビームラインの長さを短くすることが可能である。従って、空間電荷効果による発散等による損失を小さくして、イオンビームの輸送効率を高めることができる。
(b)初めから、即ちイオン源2a、2bからリボン状のイオンビーム4a、4bを発生させるので、イオンビーム4a、4bの大電流化が比較的容易である。
(c)初めから、即ちイオン源2a、2bからリボン状のイオンビーム4a、4bを発生させるので、大電流イオンビーム4a、4bの割にビーム電流密度は小さくて済む。その結果、イオンビーム4a、4bの空間電荷効果による発散が少なく、従って低エネルギーかつ大電流のイオンビーム4a、4bの輸送が容易である。
例えば、近年は、基板10上に形成される半導体デバイスの微細化に対応してイオン注入深さを浅くする等の観点から、基板10に照射するイオンビームには低エネルギーのものが望まれており、しかも装置のスループットを高める観点から大電流のイオンビームが望まれており、即ち低エネルギーかつ大電流のイオンビームが望まれているので、上記低エネルギーかつ大電流のイオンビーム4a、4bの輸送が容易であるという効果は大きい。
(d)初めから、即ちイオン源2a、2bからリボン状のイオンビーム4a、4bを発生させるので、イオンビーム4a、4bのY方向のビーム電流密度分布がビームラインでほぼ保存される。従って、基板10に照射されるイオンビーム4a、4bのビーム電流密度分布の制御をイオン源2a、2bによって行うことができ、ビーム電流密度分布の制御が容易である。
なお、両イオンビーム4a、4bは、この実施形態では、図3に示すように、少なくともホルダ12上の基板10に入射する位置において、Y方向の位置が互いに部分的に重なっている。この明細書において「部分的に重なっている」と言うのは、イオンビーム自体が部分的に重なっているのではなく、図3に示すように、イオンビームのY方向の位置が部分的に重なっていることを言う。従って、基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さL3 を、各イオンビーム4a、4bのY方向の寸法の約2倍弱にすることができる。例えば、各イオンビーム4a、4bのY方向の寸法を共に約80cmとし、上記重なっている部分Fの寸法L2 を約20cmとすると、基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さL3 を約140cmにすることができる。このように重なっている部分Fを設けておくと、基板10にY方向において切れ目なくイオンビームを照射することができる。
もっとも、基板10上にイオンビーム照射を必ずしも必要としない領域がある等の場合には、例えば基板10の表面に複数のセルが分割帯を挟んでマトリックス状に配置されている場合は分割帯にイオンビームを照射する必要はないので分割帯にイオンビームの切れ目を位置させれば良く、従って両イオンビーム4a、4bのY方向の位置が互いに部分的に重なっていなくても良い場合もある。
この実施形態のように重なっている部分Fを有している場合、仮に両イオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布が均一であると、基板10に対するイオンビーム照射量(例えばイオン注入量)は、重なっている部分Fに対応する領域において他よりも多くなる。しかしこれは、イオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布を調整することによって解消することができる。これを以下に説明する。
図1、図3を参照して、このイオンビーム照射装置は、更に、ホルダ12上の(即ちホルダ12に保持された)基板10の下流側の近傍に設けられていて、各イオンビーム4a、4bをそれぞれ受けて各イオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ測定する第1および第2のビームプロファイルモニタ20aおよび20bを備えている。両ビームプロファイルモニタ20a、20bは、ホルダ12上の基板10の上流側の近傍に設けても良い。
両ビームプロファイルモニタ20a、20bをホルダ12上の基板10の下流側に設ける場合は、それらによる測定時には、基板駆動装置14によって基板10を測定の邪魔にならない位置に移動させれば良い。両ビームプロファイルモニタ20a、20bをホルダ12上の基板10の上流側に設ける場合は、基板10へのイオンビーム照射時には、何らかの手段によって、両ビームプロファイルモニタ20a、20bを基板10へのイオンビーム照射の邪魔にならない位置に移動させれば良い。
両ビームプロファイルモニタ20a、20bは、例えば、複数のビーム検出器(例えばファラデーカップ。以下同様)をY方向に並べたものである。
上記のように二つのビームプロファイルモニタ20a、20bを設ける代わりに、両イオンビーム4a、4bを受けて各イオンビーム4a、4bのY方向のビーム電流密度分布をそれぞれ測定する一つのビームプロファイルモニタを設けても良い。この場合のビームプロファイルモニタは、例えば、複数のビーム検出器をX方向およびY方向に並べたものである。なお、以下の説明では、ビームプロファイルモニタとして、二つのビームプロファイルモニタ20a、20bを用いる場合を例に説明しているが、上記のような一つのビームプロファイルモニタを用いる場合も同様である。
このイオンビーム照射装置は、更に、第1および第2のイオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ調整する第1および第2のビームプロファイル調整手段を備えている。
第1および第2のビームプロファイル調整手段の一例を図5を参照して説明する。図5は、イオン源およびイオン源電源の構成の一例を示す概略図である。この実施形態では、イオン源2aとイオン源2bとは同じ構成をしており、イオン源電源30aとイオン源電源30bとは同じ構成をしているので、以下においてはイオン源2aおよびイオン源電源30aで代表して説明する。
イオン源2aは、バケット型イオン源と呼ばれるものであり、Y方向に長く1面が開いている、例えば長方形箱状のプラズマ生成容器50を有している。このプラズマ生成容器50内に、プラズマ56生成用の原料ガス(蒸気の場合を含む)が導入される。
プラズマ生成容器50内には、プラズマ生成容器50内へ熱電子を放出する複数のフィラメント52がY方向に並べて設けられている。フィラメント52の数は、図5に示す4個に限られるものではなく、イオンビーム4aのY方向の寸法WY に応じて決めれば良い。例えば、当該寸法WY が80cm程度の場合、フィラメント52の数は6個程度にすれば良い。
プラズマ生成容器50の開口部付近には、プラズマ生成容器50内のプラズマ56から電界の作用でイオンビーム4aを引き出し、かつ所望のエネルギーまで加速する引出し電極系54が設けられている。引出し電極系54は、この例では、4枚の電極を有しているが、4枚に限られるものではない。引出し電極系54を構成する各電極は、イオン引出し孔として、イオンビーム4aのY方向の寸法WY 以上の長さのスリットを有していても良いし、当該寸法WY 以上に亘って並設された複数の(多数の)小孔を有していても良い。図5は後者の場合を示す。
イオン源電源30aは、各フィラメント52に流すフィラメント電流を互いに独立して制御することができるフィラメント電源を有している。その一例として、この例では、図5に示すように、各フィラメント52ごとに独立したフィラメント電源32を設けている。即ち、フィラメント52の数だけ電圧可変のフィラメント電源32を設けている。但し、そのようにせずに、複数の電源を一つにまとめる等して、一つのフィラメント電源を用いて、各フィラメント52に流すフィラメント電流を互いに独立して制御することができるようにしても良い。各フィラメント電源32は、図示例のように直流電源でも良いし、交流電源でも良い。
イオン源電源30aは、更に、直流のアーク電源34を有している。アーク電源34は、各フィラメント52とプラズマ生成容器50との間にプラズマ生成容器50を正極側にして接続されていて、各フィラメント52から放出された熱電子を加速して、プラズマ生成容器50内に導入された原料ガスを電離させると共にプラズマ生成容器50内でアーク放電を生じさせて、プラズマ56を生成する作用を奏する。アーク電源34は、この例のように複数のフィラメント52に共通のものでも良いし、各フィラメント52とプラズマ生成容器50との間に個別に設けても良い。
各フィラメント電源32の出力を個別に調整(増減)することによって、即ち各フィラメント32に流すフィラメント電流を個別に調整することによって、各フィラメント52付近におけるプラズマ56の密度を調整して、プラズマ56のY方向における密度分布を調整することができる。ひいては、プラズマ56から引き出されるイオンビーム4aのY方向におけるビーム電流密度分布を調整することができる。例えば、フィラメント電流を増大させたフィラメント52に対応する位置付近のビーム電流密度が増大し、フィラメント電流を減少させたフィラメント52に対応する位置付近のビーム電流密度が減少する。従って、この例では、上記複数のフィラメント52および複数のフィラメント電源32が、第1(または第2)のビームプロファイル制御手段を構成している。
アーク電源34を各フィラメント52に対して個別に設けている場合は、各アーク電源34の出力を個別に調整(増減)することによっても、プラズマ56のY方向における密度分布、ひいてはイオンビーム4aのY方向におけるビーム電流密度分布を調整することができる。その場合は、複数のフィラメント52および複数のアーク電源34が、第1(または第2)のビームプロファイル調整手段を構成している。
上記のように複数のアーク電源34の出力を個別に調整することと、各フィラメント電源32の出力を個別に調整することとを併用しても良く、その場合は、複数のフィラメント52、複数のフィラメント電源32および複数のアーク電源34が、第1(または第2)のビームプロファイル調整手段を構成している。
上記のようなビームプロファイルモニタ20a、20bと、第1および第2のビームプロファイル調整手段とを備えていることによって、基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を調整することが容易になる。
上記ビームプロファイルモニタ20a、20b、第1および第2のビームプロファイル調整手段を用いて、基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を調整するより具体例を説明する。図6Aに示すように、各イオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布Pa、Pbを、それぞれ、上記重なっている部分Fでほぼ0にまで減少し、その他の領域ではほぼ均一なビーム電流密度分布に調整する。かつ、重なっている部分Fにおける両ビーム電流密度分布Pa、Pbを合成(加算)したビーム電流密度分布が、その他の領域のビーム電流密度分布とほぼ等しくなるように調整する。その結果、基板10に照射されるイオンビーム(第1および第2のイオンビーム4a、4bを合せたイオンビーム)のビーム電流密度分布を、図6Bに示すビーム電流密度分布Pcのように、上記重なっている部分Fを含めて、Y方向において均一化することができる。
上記のようなビーム電流密度分布の調整は、上記ビームプロファイルモニタ20a、20b、第1および第2のビームプロファイル調整手段を用いて、手動で行っても良いし、制御装置40(図1参照)が行うようにしても良い。
制御装置40は、ビームプロファイルモニタ20a、20bからの測定情報に基づいて、上記第1および第2のビームプロファイル調整手段を制御して、より具体的にはこの例では上記イオン源電源30a、30bの各フィラメント電源32を制御して各フィラメント52に流すフィラメント電流を制御して、基板10に照射されるイオンビームの、上記重なっている部分Fを含めたY方向におけるビーム電流密度分布を均一化する制御を行う機能を有している。図5中の符号mは、制御装置40からの制御信号ラインがm本(即ちフィラメント電源32の数と同数)あることを示している。
例えば、制御装置40は、ビームプロファイルモニタ20a、20bで測定するY方向におけるビーム電流密度が相対的に大きい領域に対応するフィラメント52に流すフィラメント電流を減少させることと、相対的に小さい領域に対応するフィラメント52に流すフィラメント電流を増加させることとの少なくとも一方を行って、基板10に照射されるイオンビームの、上記重なっている部分Fを含めたY方向におけるビーム電流密度分布を均一化する制御を行う。
上記のようなビームプロファイルモニタ20a、20bと、第1および第2のビームプロファイル調整手段と、制御装置40とを備えていることによって、第1および第2のイオンビーム4a、4bのY方向の位置が互いに部分的に重なっていても、基板10に照射されるイオンビームの、上記部分的に重なっている部分Fを含めたY方向におけるビーム電流密度分布を自動制御によって均一化することができる。
基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を均一化する機能として、制御装置40は、例えば特開2000−315473号公報に記載されているように、ビームプロファイルモニタ20a、20bによる測定データをフィラメント52に対応するようにグループ分けしてフィラメント電流の制御を行う機能を有していても良い。
基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を均一化する手段として、上記第1および第2のビームプロファイル調整手段に加えて、イオン源2a、2bの引出し電極系54のイオン引出し孔の面積を不均一にすることを併用しても良い。例えば、上記重なっている部分Fに対応する部分のイオン引出し孔の面積を徐々に小さくする。これを併用することによって、基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布を均一化することが容易になる。第1および第2のビームプロファイル調整手段に以下に述べるようなものを用いる場合も同様である。
イオンビーム4a、4bのY方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ調整する第1および第2のビームプロファイル調整手段として、例えば特開2007−172927号公報に記載されているようなビームプロファイル調整手段を用いても良い。即ち、分析電磁石6aと基板10との間におけるイオンビーム4aの経路のX方向の少なくとも片側に、Y方向に並べて配置されていて互いに独立してX方向に可動でありイオンビーム4をそれぞれ遮るための複数の可動遮蔽板と、この複数の可動遮蔽板を互いに独立してX方向に移動させる遮蔽板駆動装置とを有する第1のビームプロファイル調整手段と、イオンビーム4bについてこの第1のビームプロファイル調整手段と同様の構成を有する第2のビームプロファイル調整手段とを用いても良い。可動遮蔽板によるイオンビーム4a、4bの遮蔽量を多くした領域のビーム電流密度は小さくなり、遮蔽量を少なくした領域のビーム電流密度は大きくなる。
この第1および第2のビームプロファイル調整手段を、先に述べたビームプロファイル調整手段の場合と同様に、手動で調整しても良いし、制御装置40によって制御しても良い。
先に述べた複数のフィラメント52およびフィラメント電源32を有するビームプロファイル調整手段は、イオン源2a、2bを出る際のイオンビーム4a、4bを制御するものであり、すぐ上に述べた複数の可動遮蔽板を有するビームプロファイル調整手段は、イオン源2a、2bを出た後のイオンビーム4a、4bをその輸送途中で制御するものである。必要に応じて両者を併用しても良い。そのようにすれば、基板10に照射されるイオンビームのY方向におけるビーム電流密度分布をより精密に均一化することが可能になる。
図7、図8に示す実施形態のように、第1および第2の分析電磁石6a、6bと基板駆動装置14(図1参照)との間に設けられていて、分析電磁石6a、6bを通過したイオンビーム4a、4bを、それらの主面5に交差する方向に、かつ互いに逆方向に曲げて、両イオンビーム4a、4b間のX方向における距離L1 を入射時よりも小さくして出射するビーム偏向器60を更に備えていても良い。ビーム偏向器60は、この実施形態では、それから出射する両イオンビーム4a、4bが互いに実質的に平行になるように両イオンビーム4a、4bを曲げる。
この場合は、この実施形態のように、分析電磁石6a、6bを幾分内向き斜めに配置して(イオン源2a、2bおよび分析スリット8a、8bもそれに応じたものにして)、ビーム偏向器60に、両イオンビーム4a、4bが集まるように入射させる方が、上記のようにイオンビーム4a、4bを曲げやすい。
ビーム偏向器60は、この実施形態では、イオンビーム4a、4bを電界によって偏向するものであり、X方向における中間に設けられた第1の電極61と、そのX方向の両側にイオンビーム4a、4bが通る間隔をあけて設けられた第2および第3の電極62および63とを有している。
電極61よりも電極62、63を低電位にすることによって、中間の電極61から両電極62、63に向かう電界が発生するので、両イオンビーム4a、4bを上記のように曲げることができる。
例えば、図8に示す例では、第1の電圧可変の直流電源65から電極61に+V1 の直流電圧を印加し、第2の電圧可変の直流電源66から電極62に−V2 の直流電圧を印加し、第3の電圧可変の直流電源67から電極63に−V3 の直流電圧を印加するようにしている。直流電圧−V2 と直流電圧−V3 とは、通常は、互いに等しいまたはほぼ等しい電圧にすれば良い。
この実施形態のイオンビーム照射装置によれば、ビーム偏向器60によって、両イオンビーム4a、4b間のX方向における距離L1 を、図1に示した実施形態の場合よりも小さくすることができるので、そのぶん基板駆動装置14による基板10の移動距離を小さくすることができ、そのぶんスループットを向上させることができる。距離L1 は、例えば、図1に示した実施形態の場合は50cm〜80cm程度、図7に示す実施形態の場合は20cm〜30cm程度である。
また、上記のようなビーム偏向器60を設けてイオンビーム4a、4bを曲げることによって、不所望の(即ち所望のエネルギーよりも大きいまたは小さい)エネルギーのイオンビームや中性粒子を分離して、所望のエネルギーのイオンビーム4a、4bを選別して導出することができるいう効果も期待できる。
ビーム偏向器60の電極の構成やそれ用の電源の構成は、図7、図8に示すものに限られるものではない。
また、電界によるビーム偏向器60の代わりに、磁界によってイオンビーム4a、4bを上記のように曲げるビーム偏向器を設けても良い。その場合も上記とほぼ同様の効果を奏することができる。
上記第1および第2のイオン源2a、2bの内の少なくとも一方をY方向に複数個有しており、上記第1の分析電磁石6aを第1のイオン源2aと同数有しており、かつ上記第2の分析電磁石6bを第2のイオン源2bと同数有していても良い。
その場合のビームプロファイルモニタ、ビームプロファイル調整手段および制御装置は、先に説明したものを拡張して考えれば良い。
例えば、n個(nは2以上の整数。以下同様)のイオン源2aおよび分析電磁石6aをそれぞれY方向に重ねて配置し、同じくn個のイオン源2bおよび分析電磁石6bをそれぞれY方向に重ねて配置しても良い。
上記のようにすることによって、基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さをより大きくすることができるので、基板10のより大型化に対応することが容易になる。
例えば、イオン源2a、2b、分析電磁石6a、6bを上記のようにn個ずつ設ければ、第1または第2のイオンビーム4a、4b単独の場合に比べて、基板10に照射されるイオンビームのY方向の合計の長さをn倍程度にすることができる。しかも、このようにY方向の合計の長さを大きくしても、図1の実施形態の場合と同様に、イオン源2a、2bから基板10までのビームラインの長さが長くなるのを防止することができる。それに伴う効果は前述したとおりである。
なお、イオン源2aおよび分析電磁石6a側の数と、イオン源2bおよび分析電磁石6b側の数とは、上記例のように互いにn個ずつの同数にせずに、互いに異なる数にしても良い。例えば、一方側の数が他方側の数よりも一つだけ多くなるようにしても良い。より具体例を挙げると、イオン源2aおよび分析電磁石6aの数をそれぞれ2個とし、イオン源2bおよび分析電磁石6bの数をそれぞれ1個としても良い。
この発明に係るイオンビーム照射装置の一実施形態を示す概略平面図である。 図1中の線C−Cに沿う概略断面図である。 図1中の矢印Q方向に見た概略図であり、ホルダおよび基板駆動装置は省略している。 リボン状のイオンビームの一例を部分的に示す概略斜視図である。 イオン源およびイオン源電源の構成の一例を示す概略図である。 Y方向におけるビーム電流密度分布の例を示す概略図であり、(A)は第1のイオンビームのビーム電流密度分布Paおよび第2のイオンビームのビーム電流密度分布Pbを示し、(B)は基板を移動させることによって基板上で等価的に得られるビーム電流密度分布Pcを示す。 ビーム偏向器周りを拡大して示す概略図である。 図7中の線E−Eに沿う概略断面図であり、電源も併せて示している。
符号の説明
2a 第1のイオン源
2b 第2のイオン源
4a 第1のイオンビーム
4b 第2のイオンビーム
6a 第1の分析電磁石
6b 第2の分析電磁石
10 基板
12 ホルダ
14 基板駆動装置
20a 第1のビームプロファイルモニタ
20b 第2のビームプロファイルモニタ
30a 第1のイオン源電源
30b 第2のイオン源電源
32 フィラメント電源
40 制御装置
60 ビーム偏向器

Claims (6)

  1. 基板にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置であって、
    進行方向と実質的に直交する平面内におけるY方向の寸法が当該Y方向と実質的に直交するX方向の寸法よりも大きいリボン状の第1のイオンビームを発生させる第1のイオン源と、
    前記第1のイオン源とは前記Y方向における中心の位置を異にして配置されていて、進行方向と実質的に直交する平面内における前記Y方向の寸法が前記X方向の寸法よりも大きく、かつ前記第1のイオンビームとは前記Y方向における中心の位置が異なるリボン状の第2のイオンビームを発生させる第2のイオン源と、
    前記第1のイオン源からの第1のイオンビームを受けて当該イオンビームを、その主面に交差する方向に曲げて当該イオンビームの運動量分析を行って通過させる第1の分析電磁石と、
    前記第1の分析電磁石とは前記Y方向における中心の位置を異にして配置されていて、前記第2のイオン源からの第2のイオンビームを受けて当該イオンビームを、その主面に交差する方向に、かつ前記第1の分析電磁石による方向とは逆方向に曲げて当該イオンビームの運動量分析を行って通過させる第2の分析電磁石と、
    前記基板を保持するホルダを有していて、当該ホルダに保持された前記基板に前記第1および第2の分析電磁石を通過した前記第1および第2のイオンビームが入射するように、前記基板を前記第1および第2のイオンビームの主面と交差する方向に移動させる基板駆動装置とを備えていることを特徴とするイオンビーム照射装置。
  2. 前記第1および第2の分析電磁石と前記基板駆動装置との間に設けられていて、前記第1および第2の分析電磁石をそれぞれ通過した前記第1および第2のイオンビームを、それらの主面に交差する方向に、かつ互いに逆方向に曲げて、前記第1および第2のイオンビーム間の前記X方向における距離を入射時よりも小さくして出射するビーム偏向器を更に備えている請求項1記載のイオンビーム照射装置。
  3. 前記第1および第2のイオンビームは、少なくとも前記ホルダ上の基板に入射する位置において、前記Y方向の位置が互いに部分的に重なっている請求項1または2記載のイオンビーム照射装置。
  4. 前記ホルダ上の基板の下流側または上流側に設けられていて、前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布を測定するビームプロファイルモニタと、
    前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ調整する第1および第2のビームプロファイル調整手段とを更に備えている請求項1、2または3記載のイオンビーム照射装置。
  5. 前記ホルダ上の基板の下流側または上流側に設けられていて、前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布を測定するビームプロファイルモニタと、
    前記第1および第2のイオンビームの前記Y方向におけるビーム電流密度分布をそれぞれ調整する第1および第2のビームプロファイル調整手段と、
    前記ビームプロファイルモニタからの測定情報に基づいて前記第1および第2のビームプロファイル調整手段を制御して、前記基板に照射されるイオンビームの、前記部分的に重なっている部分を含めた前記Y方向におけるビーム電流密度分布を均一化する制御を行う機能を有している制御装置とを更に備えている請求項3記載のイオンビーム照射装置。
  6. 前記第1および第2のイオン源の内の少なくとも一方を前記Y方向に複数個有しており、前記第1の分析電磁石を前記第1のイオン源と同数有しており、かつ前記第2の分析電磁石を前記第2のイオン源と同数有している請求項1記載のイオンビーム照射装置。
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