JP2009151179A - 偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムを接着剤層を介して接合してなる偏光板において、偏光フィルムとの接着界面近傍のシクロオレフィン系樹脂フィルムが剥離することを防止する。
【解決手段】本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層を形成し、その接着剤層上にノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物とオレフィンとが付加共重合されたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが積層されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、複屈折特性(単に複屈折性とも記す)を示すシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが接着剤層を介して接合されている偏光板に関するものである。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面または両面に、接着剤層を介して、透明樹脂フィルム、たとえば、トリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系のフィルムを積層した構成となっている。これを、必要により光学補償フィルム、位相差フィルムなど、他の光学フィルムを介して、液晶セルに粘着剤で貼り合わせ、液晶表示装置の構成部品となる。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニター、パーソナルコンピュータなど、薄型の表示画面として、用途が急拡大している。特に液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に強い。液晶テレビ用の偏光板は通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの両面にトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を水系接着剤で積層してなり、その偏光板の片面に粘着剤を介して位相差フィルムが積層されている。偏光板に積層される位相差フィルムとしては、ポリカーボネート系樹脂フィルムの延伸加工品やシクロオレフィン系樹脂フィルムの延伸加工品などが使用されているが、液晶テレビ用には、高温における位相差ムラの非常に少ないシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムが多用されている。偏光板と延伸シクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムとの貼合品については、生産性の向上、製品コストの低減のため、構成する部品点数を減らしたり、製造プロセスを簡略化したりすることが考えられている。たとえば、特開平8−43812号公報(特許文献1)には、位相差機能を有するシクロオレフィン系(ノルボルネン系)樹脂フィルム/偏光フィルム/TACフィルムの積層構成が開示されている。
また、特開2005−70140号公報(特許文献2)、特開2005−181817号公報(特許文献3)および特開2005−208456号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムとシクロオレフィン系樹脂フィルム(保護フィルム)とをウレタン系の水系接着剤で接合することが記載されている。これら特許文献1〜4で実際に使用されているシクロオレフィン系樹脂は通常、ノルボルネンなどで構成されるシクロオレフィンを開環重合し、水素添加されたものである。
一方、特開平11−142645号公報(特許文献5)および特開2006−106606号公報(特許文献6)には、エチレンをはじめとするオレフィンとノルボルネンまたはテトラシクロドデセンとの付加共重合体を、位相差フィルムまたは偏光板の保護フィルムとして用いることが記載されている。
特開平8−43812号公報 特開2005−70140号公報 特開2005−181817号公報 特開2005−208456号公報 特開平11−142645号公報 特開2006−106606号公報
位相差フィルムは、液晶テレビをはじめとする液晶表示装置の視野角を拡大させる機能を付与するために用いられ、かかる位相差フィルムとしての機能は、一般に延伸によってもたらされる。上記のようなシクロオレフィン系樹脂フィルムに位相差フィルムとしての機能を付与し、保護フィルム兼位相差フィルム(以下単に位相差フィルムとも記す)として偏光フィルムに直接貼合した位相差フィルム一体型複合偏光板は、その位相差フィルム面が粘着剤を介して液晶セルに貼合され、液晶テレビをはじめとする液晶表示装置が組み立てられる。そして、たとえば液晶セルへの貼り損じが生じた場合には、位相差フィルム一体型複合偏光板を液晶セルから剥がして、別の位相差フィルム一体型複合偏光板を貼合する、いわゆるリワーク作業が行なわれる。このリワーク作業においては、位相差フィルム一体型複合偏光板が粘着剤とともに剥がされ、剥がした後の液晶セル面に粘着剤等が残らないこと、いわゆるリワーク性が良好であることが求められる。しかるに、上記のようなシクロオレフィン系樹脂に延伸を施した位相差フィルムを偏光フィルムに貼り合わせた位相差フィルム一体型複合偏光板においては、リワーク作業の際、偏光フィルムと位相差フィルムとの間で剥離しやすいという問題が明らかになった。このように偏光フィルムと位相差フィルムとの間で剥離すると、位相差フィルムと粘着剤が液晶セル表面に残ってしまうため、それをさらに剥がす作業が必要になり、リワーク性が大きく低下することになる。
そこで本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムが接着剤層を介して接合されてなる偏光板において、偏光フィルムとの接着界面近傍のシクロオレフィン系樹脂フィルムが剥離することを防止することにある。
本発明者らは、かかる目的のもとで鋭意研究を行なった結果、上記の剥離現象はシクロオレフィン系樹脂フィルムの延伸状態に深く相関することを見出し、1軸延伸さらには2軸延伸した場合、無延伸状態と比較して剥離強度が著しく低下することを見出した。さらにこの剥離現象はポリマーの構造にも深く相関することを見出し、シクロオレフィン系樹脂フィルムが環状オレフィン系モノマーの開環重合体水素化ポリマーではなく、環状オレフィン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合ポリマーを用いることで、2軸延伸した場合でもシクロオレフィン系樹脂フィルムの剥離を低減できることを見出すとともに、この剥離の低減は特定組成の接着剤層を形成した場合に特に顕著となることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層を形成し、その接着剤層上にノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物とオレフィンとが付加共重合されたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが積層されていることを特徴とする偏光板が提供される。
本発明によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムがポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに特定組成の接着剤層を介して接合されてなる位相差フィルム一体型複合偏光板が提供される。本発明の位相差フィルム一体型複合偏光板は、粘着剤層を介して液晶セルに貼合した後に剥がす場合においても、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムと偏光フィルムとの間で剥がれることがなく、粘着剤層の部分で確実に剥がすことができるようになる。すなわち、本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムとシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムとの剥離強度(接合強度)が特段に向上したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<偏光板>
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤層を介してシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムを積層した構造を有する。
<偏光フィルム>
ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムは、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向したものである。配向は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに一軸延伸を施すことにより実現される。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000程度、好ましくは1500〜5000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したもの(以下「ポリビニルアルコール系樹脂フィルム」ともいう)が、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。このような原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、たとえば、10μm〜150μm程度である。
偏光フィルムは通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびこのホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
なお、上記のような一軸延伸する工程は、染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常2〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜1質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100質量部あたり、通常1×10-4〜10質量部程度、好ましくは1×10-3〜1質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なわれる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なわれる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒程度である。
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理が施されて、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、5〜40μm程度である。
<シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム>
本発明においては、上記のようにして得られる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム(以下単に「シクロオレフィン系樹脂フィルム」ともいう)を積層して偏光板とするが、このシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン系モノマーの開環重合体や2種以上のシクロオレフィン系モノマーを用いた開環共重合体の水素添加物ではなく、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物とオレフィンとが付加共重合された共重合体を用いることを特徴とする。
ここで、当該共重合体(すなわちシクロオレフィン系樹脂)を構成するオレフィンの例としては、エチレンやプロピレンなどのα−オレフィンをはじめとする各種オレフィン類(鎖状オレフィン)が挙げられるとともに、本発明においてはビニル基を有する芳香族化合物をも含むものとする。ビニル基を有する芳香族化合物は、フェニル基などの芳香族基で置換されたエチレンとみることもできるからである。このようなビニル基を有する芳香族化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。
また、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物としては、分子中にノルボルネン骨格(以下の化学式(I))またはテトラシクロドデセン骨格(以下の化学式(II))を有する限り、任意の置換基を有していてもよいし、そのような置換基を有していなくてもよい(置換基を有さない場合はノルボルネンまたはテトラシクロドデセンとなる)。このような置換基としては、たとえば、メチル基やエチル基の如きアルキル基、メトキシ基やエトキシ基の如きアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができる。
Figure 2009151179
このような共重合体において、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物からなるモノマーのユニットは50モル%以下、たとえば、15〜50モル%程度であってもよい。特に、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物と鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体とする場合、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物からなるモノマーのユニットは、このように比較的少ない量であることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%程度、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%程度である。
上記のようなシクロオレフィン系樹脂を製膜して、フィルムとすることになるが、製膜には、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。シクロオレフィン系樹脂を製膜したフィルムも市販されており、たとえば、積水化学工業(株)から販売されている“エスシーナ”(商品名)のある種のグレードがこれに相当する。
シクロオレフィン系樹脂を製膜したフィルムは、少なくとも一方向に延伸されシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムとなる(上記のような市販品は通常延伸フィルムである)。そして、このような延伸フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内でそれと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとすると、その延伸フィルムの面内位相差値Ro および厚み方向位相差値Rthは、それぞれ次式(1)および(2)で表わされる。
Ro =(nx−ny)×d (1)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (2)
本発明のシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、面内位相差値Roが40nm以上100nm以下、厚み方向位相差値Rthが80nm以上300nm以下であるという複屈折特性を有することが好ましい。このように面内位相差値Roを40nm以上100nm以下、厚み方向位相差値Rthを80nm以上300nm以下とする複屈折特性を有することにより、液晶テレビをはじめとする液晶表示装置の視野角特性が広くなるという効果を得ることができ、位相差フィルムとしての作用と保護フィルムとしての作用を兼ね備えるものとなる。面内位相差値Roは、より好ましくはその上限が70nm、その下限が45nmである。また、厚み方向位相差値Rthは、より好ましくはその上限が270nm、その下限が100nmである。
上記のような面内位相差値および厚み方向位相差値を発現させるためには、通常二軸延伸が施される。したがって、本発明のシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、2軸方向に延伸されていることが特に好ましい。
ところで、このようなシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、従来公知の接着剤を用いて偏光フィルムと積層させるとその延伸状態により偏光板の剥離性(偏光フィルムとの剥離強度)に差が現れ、単に無延伸状態が最も剥離し難く、1軸延伸さらには2軸延伸すると剥離しやすくなることが判明している。本発明は、このような延伸状態(特に2軸延伸状態)でも剥離しにくいという点を特徴とするものである。
一方、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、保護フィルムとしての機能を発現されるためにはある程度の厚みを有することが好ましいが、厚すぎると、加工性に劣るものとなり、また、透明性が低下したり、偏光板の質量が大きくなったりするなどの問題が生じやすい。そこで、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムの厚みは60μm以上であるのが好ましく、120μm以下とすることが好ましい。
<保護フィルム>
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、特定の接着剤層を介して上記のようなシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム(好ましくは上記のような特定の屈折率特性を有する複屈折性の延伸フィルム)が積層されていることを特徴とするものであるが、好ましくは偏光フィルムの一方の面にこのような延伸フィルムを積層させ、他方の面はこの延伸フィルムと同種のまたは異なる種類の保護フィルムを接合するのが好適である。この偏光板を液晶表示装置に適用する場合、本発明で規定する上記シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが液晶セルに当接するようにして貼合される。したがって、偏光フィルムの他方の面(液晶セルに当接しない方の面)に接合するフィルムは保護フィルムとして作用するものであり、このような保護フィルムとしてシクロオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いる場合、このフィルムは、延伸されていても、延伸されていなくてもよい。また、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルムとは異なる種類のフィルムを保護フィルムとして使用することもでき、このような異なる種類のフィルムとしては、酢酸セルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルムなどを用いることができる。
酢酸セルロース系フィルムは、セルロースの部分または完全酢酸エステル化物であって、たとえば、トリアセチルセルロースフィルムやジアセチルセルロースフィルムなどが挙げられる。市販のトリアセチルセルロースフィルムとして、富士フイルム(株)から販売されている“フジタック TD80”、“フジタック TD80UF”および“フジタック TD80UZ”、コニカミノルタオプト(株)から販売されている“KC8UX2M”および“KC8UY”などがある。酢酸セルロース系フィルムの厚みは、通常20〜200μm程度である。
これらの保護フィルムは、偏光フィルムに接合される面と反対側の面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理などの表面処理が施されていてもよい。また、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。
本発明においては、偏光フィルムの一方の面には、上記のようなシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムを、他方の面には、酢酸セルロース系フィルムを、それぞれ接着剤層で接合したものが、好ましい形態として挙げられる。
<接着剤層>
続いて、本発明の偏光板において、偏光フィルムと上記のシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムとを接着させるために形成される接着剤層について説明する。本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層を形成し、その接着剤層上に、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物とオレフィンとが付加共重合されたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが積層されていることを特徴とする。換言すれば、上記偏光フィルムの少なくとも一方の面に上記シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが積層され、その偏光フィルムと延伸フィルムとがポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層を介して接合されたものである。
このような接着剤層は、接着剤層自体を薄くする観点から、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものが好ましく、偏光フィルムと延伸フィルムとの接合性(剥離強度)を向上させる観点からポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有することが好ましい。
ここで、ポリビニルアルコール系化合物としては、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂と同様のものを挙げることができ、たとえば部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系化合物であってもよい。そして接着性能を向上させる観点からこのようなポリビニルアルコール系化合物としては、特にカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(カルボキシル基を有するモノマーが共重合されたもの)を用いることが好ましい。
本発明においては、このようなポリビニルアルコール系化合物の水溶液が接着剤層を構成することとなる。接着剤層中のポリビニルアルコール系化合物の濃度は、水100質量部に対して、通常1〜10質量部程度、好ましくは1〜5質量部である。また、ポリビニルアルコール系化合物の重合度は、通常500〜1000程度、好ましくは1500〜5000程度である。
また、水溶性エポキシ化合物は、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂であることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている“スミレーズレジン 650”や“スミレーズレジン 675”、また日本PMC(株)から販売されている“WS−525”などがある。このような水溶性エポキシ化合物の添加量は、上記ポリビニルアルコール系化合物100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部である。その添加量が少ないと、接着性向上効果が小さくなり、一方でその添加量が多いと、接着剤層が脆くなる傾向にある。
なお、偏光フィルムの一方の面に保護フィルムを積層させる場合において、そのような保護フィルムとしてシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム以外のフィルムを積層させる場合、それら両フィルムの間に介在する接着剤層としては、上記のようなポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層としてもよいし、他の組成の接着剤層としてもよい。このような他の組成の接着剤層としては、たとえば主成分としてポリビニルアルコール系化合物やウレタン樹脂を用いた組成物が好ましい接着剤組成として挙げられる。
このような他の接着剤層には、接着性を上げるために、グリオキザールや上記の水溶性エポキシ化合物のような硬化性成分ないし架橋剤を添加することが好ましい。
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板を製造するに際し、偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムや保護フィルムを接着剤層を介して接合する方法は、通常一般に知られているものでよく、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光フィルムおよび/またはそこに接合されるフィルムの接着面に接着剤層を構成する接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに接合されるフィルムをニップロールなどにより挟んで貼り合わせる。
この際、シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムと偏光フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルムを貼合する側のシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム表面にコロナ処理を施すのが有効である。ここでのコロナ処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し電極間に配置した樹脂フィルムを活性化するものである。コロナ処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類などにより異なるが、具体的には電極間隔を1〜5mm、処理速度を3〜20m/分とするのが好ましい。また、偏光フィルムの他方の面に貼り合せる保護フィルムとしてトリアセチルセルロース系樹脂からなるフィルムを用いる場合には、その接着性を向上させるために接着表面にコロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
偏光フィルムに上記のようなシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムを積層し、また必要により偏光フィルムの他面に保護フィルムを積層した後は、乾燥処理が施される。乾燥処理は、たとえば、熱風を吹き付けることにより行なわれるが、そのときの温度は、40〜100℃程度、好ましくは60〜100℃の範囲から適宜選択される。乾燥時間は20〜1200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが厚くなりすぎると、偏光板の外観不良となりやすい。
貼合後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施すことで、十分な接着強度が得られる。好ましい養生温度は、30〜50℃、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃以上になると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は適度にあっても構わず、相対湿度が0%〜70%程度の範囲にあればよい。養生時間は、通常1日〜10日、好ましくは2日〜7日である。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上記のようにして製造された偏光板を液晶セルの少なくとも片側に粘着剤層を介して配置してなるものである。既に説明したように、本発明においてはシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが液晶セルに当接するようにして貼合される。その際粘着剤層としては、この種の用途に使用される従来公知の粘着剤層をいずれも採用し得る。そのような粘着剤層としては、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることができる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液の形で用い、それを偏光板上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができるほか、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を偏光板に転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚みについても特に制限はないが、一般に2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
また、偏光板と液晶セルとの貼合方法も特に限定されることはなく、通常一般に知られているものでよく、たとえば、市販されている偏光板シートと液晶セルの貼合装置や、一本のロールを偏光板に押し当てながら、液晶セルに貼合する方法、一対のロールの間を通過させながら偏光板シートと液晶セルを貼り合わせる方法などを挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り、質量基準である。
<製造例1>偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、約30℃の水中で一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が1/2/100の水溶液に28℃で約60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に約55℃で300秒間浸漬した。引き続き10℃の純水で20秒間洗浄した後、65〜90℃で乾燥して、ポリビニルアルコール樹脂に二色性色素としてヨウ素が吸着配向された偏光フィルム(厚み28μm)を得た。
<製造例2>接着剤層を構成する接着剤の調製
水100部に、ポリビニルアルコール系化合物としてカルボキシル基変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製の“クラレポバール KL318”)3部と水溶性エポキシ化合物として水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス(株)製の“スミレーズレジン 650”(固形分濃度30%の水溶液))1.8部とを添加して、接着剤層を構成する接着剤(ポリビニルアルコール系接着剤)とした。
<実施例1>
シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムとして、ノルボルネン骨格を有する化合物とα−オレフィンとの付加共重合体からなり、2軸延伸された厚さ70μmのフィルム(積水化学工業(株)製の「エスシーナ BES−057R120PDS1340」:商品名)を用意した。このフィルムの面内位相差値は57nmであり、厚み方向位相差値は120nmであった。このフィルムの片面にコロナ処理を施した。製造例1で得られた偏光フィルムの片面に、上記2軸延伸フィルムのコロナ処理面を、他方の面には、表面ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚さ80μmの保護フィルムのケン化処理面を、それぞれ製造例2で作製したポリビニルアルコール系接着剤からなる接着剤層(厚み約0.1μm)を介して貼合し、50℃から80℃の温度で7分間乾燥した。その後、40℃の環境下で7日間養生して、偏光板を得た。この偏光板の偏光フィルムと2軸延伸フィルムとの間に、カッターナイフで切り込みを入れて剥離を試みたが、良好な接着性を示し、剥離することができなかった。
この偏光板を、吸収軸方向100mm長さで25mm幅に切断し、2軸延伸フィルム側でアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼合した。こうしてガラス板に貼合された偏光板のコーナー部にカッターの刃を入れて、偏光フィルムと2軸延伸フィルムとの界面で180°方向に剥離する試験を行なった。このときの剥離強度(密着力)を、(株)島津製作所製の「オートグラフ ASG−100D」(商品名)を用いて評価したところ、2.4N/25mmの密着力が得られた。
<比較例1>
実施例1で用いたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム「エスシーナ BES−057R120PDS1340」の代わりに、ノルボルネン系化合物の開環重合体に水素添加された樹脂からなり、2軸延伸された厚さ68μmのフィルム((株)オプテス製の「ゼオノア ZB14−063225EF1340」:商品名)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で偏光板を作製した。この偏光板について、実施例1と同様にして剥離強度の評価を行なった。
<比較例2>
実施例1で用いたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム「エスシーナ BES−057R120PDS1340」の代わりに、表面ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚さ80μmの保護フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で偏光板を作製した。この偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合されたものであって、旧来から用いられている構造である。この偏光板について、実施例1と同様にして剥離強度の評価を行なった。
<実施例2>
実施例1において偏光フィルムの他方の面に設けるトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを、アクリル系樹脂からなる防眩層が片面に形成されたトリアセチルセルロースフィルムに変更し、その防眩層とは反対側(表面ケン化処理が施されている)で偏光フィルムに貼合したこと以外は、実施例1と同様の方法で偏光板を作製した。この偏光板について、実施例1と同様にして剥離強度の評価を行なった。
<比較例3>
実施例1で用いたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム「エスシーナ BES−057R120PDS1340」の代わりに、比較例1で用いたのと同じノルボルネン系化合物の開環重合体に水素添加された樹脂の2軸延伸フィルム「ゼオノア ZB14−063225EF1340」を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で偏光板を作製した。この偏光板について、実施例1と同様にして剥離強度の評価を行なった。
以上の実施例および比較例における「偏光板の構成」、偏光フィルムのトリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合された側とは反対側に設けた樹脂フィルムの「延伸状態」、および偏光フィルムとそれに貼合されたフィルム(トリアセチルセルロースからなる保護フィルムではない方のフィルム。ただし比較例2は一方のトリアセチルセルロースからなるフィルム)との間の「剥離強度」(密着力)を表1にまとめた。表1中、「TAC」はトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを、「PVA」はポリビニルアルコール樹脂にヨウ素が吸着配向している偏光フィルムを、「AG−TAC」は防眩層が形成されたトリアセチルセルロースからなるフィルムを、「付加共重合体」はノルボルネン骨格を有する化合物とα−オレフィンとの付加共重合体からなる延伸フィルムを、そして「開環重合体」はノルボルネン系化合物の開環重合体に水素添加された樹脂からなり2軸延伸されたフィルムを、それぞれ表わす。なお、剥離強度の評価は全て実施例1のものと同様に表1に記載された最も右側のフィルムを、粘着剤を介してガラス板に貼合させることにより行なった。
Figure 2009151179
表1より明らかなように、偏光フィルムの両面をトリアセチルセルロースからなる保護フィルムで挟んだ伝統的な構造の偏光板である比較例2では、保護フィルムが強い密着力で偏光フィルムに接着しているのに対し、その一方の保護フィルムを、ノルボルネン系化合物の開環重合体に水素添加された樹脂からなり2軸延伸されたフィルムに代えた比較例1および比較例3では、当該2軸延伸されたフィルムの偏光フィルムへの密着力が極端に小さくなる。一方、そのトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを、本発明のシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルム(すなわちノルボルネン骨格を有する化合物とα−オレフィンとが付加共重合された2軸延伸フィルム)とした実施例1および2では、比較例1および3に比べ剥離強度(密着力)が飛躍的に向上した。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、
    ポリビニルアルコール系化合物と水溶性エポキシ化合物とを含有する接着剤層を形成し、
    前記接着剤層上に、ノルボルネン骨格またはテトラシクロドデセン骨格を有する化合物とオレフィンとが付加共重合されたシクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムが積層されていることを特徴とする偏光板。
  2. 前記シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、2軸方向に延伸されている請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記接着剤層に含有されるポリビニルアルコール系化合物は、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールである請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記シクロオレフィン系樹脂からなる延伸フィルムは、面内位相差値が40nm以上100nm以下、厚み方向位相差値が80nm以上300nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板を液晶セルの少なくとも片側に粘着剤層を介して配置してなることを特徴とする液晶表示装置。
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JP2011197642A (ja) * 2010-02-25 2011-10-06 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法

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