JP2009148254A - 凍結乾燥成型品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】果実果肉をペースト化し、及び/又は復元後にその特徴的テクスチャーが確認できる形状に、前記果実果肉を粗砕もしくは細断し、これらを混合する工程と、高甘味度甘味料と、ゲル化剤と、酸味料を加えてさらに混合して加熱する工程と、その混合体を、−5℃〜−12℃の温度で6〜8時間保持する第1凍結工程と、前記第1凍結工程の後、−25℃以下の温度で凍結する第2凍結工程と、前記第2凍結工程の後、凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を有することを特徴とする凍結乾燥成型品の製造方法、前記ゲル化剤が、寒天であることを特徴とする凍結乾燥成型品の製造方法、及びこれらの製造方法により製造した凍結乾燥成型品。
【選択図】なし
Description
さらに、果汁・果肉を含む乾燥品をアルコール飲料に溶解・分散させたときに、液体内に果肉の粒や塊が残りつつ、全体にほぼ均等に分散している状態にあることで、見た目にも楽しみが持てる利点がある。
このようにして得られる凍結乾燥品は、タンパク質の変性も生じにくく、ビタミンなどの栄養成分を維持すことができ、色や香りも保持しやすい上、多孔質に仕上がるために復元性や溶解性も良いなどの利点がある。
これは果実そのものに含まれる成分、特に糖成分の存在により、凍結温度が低下(氷点降下)するためと考えられる。そのため、凍結乾燥工程で十分な昇華による凍結乾燥が行なわれず、局部的に融解現象を来たし、その部分が水分の浸入を阻害しやすく、溶液中で起泡して復元・分散の阻害要因となる。同様に果汁部分の発泡現象や、果肉部分の収縮なども生じるため、標榜する即席性を実現するような、例えば1分以内の短時間で復元するには至らず、また、果実部分の食感に違和感を来たす結果となることが多かった。
果実果肉をペースト化し、及び/又は復元後にその特徴的テクスチャーが確認できる形状に、前記果実果肉を粗砕もしくは細断し、これらを混合する工程と、
高甘味度甘味料と、ゲル化剤と、酸味料を加えてさらに混合して加熱する工程と、
その混合体を、−5℃〜−12℃の温度で6〜8時間保持する第1凍結工程と、
前記第1凍結工程の後、−25℃以下の温度で凍結する第2凍結工程と、
前記第2凍結工程の後、凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を有することを特徴とする凍結乾燥成型品の製造方法を提供するものである。
[2] また、本発明は、前記ゲル化剤が、寒天であることを特徴とする前記[1]記載の凍結乾燥成型品の製造方法を提供するものである。
[3] また、本発明は、前記高甘味度甘味料が、スクラロース、グリチルリチン酸ナトリウム、アスパルテーム、ステビアからなる群より選ばれるいずれか1以上であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の凍結乾燥成型品の製造方法を提供するものである。
[4] また、本発明は、前記混合体が、固形分含有率が9〜15%であることを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載の凍結乾燥成型品の製造方法を提供するものである。
[5] また、本発明は、前記酸味料が、クエン酸であることを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記載の凍結乾燥成型品の製造方法を提供するものである。
[6] また、本発明は、前記[1]〜[5]の何れか記載の凍結乾燥成型品の製造方法によって製造された凍結乾燥成型品を提供するものである。
さらに、その混合体を、−5℃〜−12℃の温度で6〜8時間保持する第1凍結工程と、−25℃以下の温度で凍結する第2凍結工程との2段階による凍結を行なった後、凍結乾燥することで、果実果肉中の水分が凍結する結晶が大きくなり、成型性と復元性が向上して、起泡性を有する冷たい水溶液中で容易に復元する凍結乾燥成型品を製造することができる。
本発明に用いる果実果肉は、特に限定されるものではなく、一般に食用される果実果肉であればよい。好ましくは、ブルーベリー、マンゴー、ピーチ、ブラックカーラント(カシス)、リンゴ、イチゴ、ウメ、キウイフルーツ、パインアップルなどである。これらは凍結乾燥後に溶液中で溶解・復元させても果実果肉の形状が保持されやすく、飲用の際にその特徴的なテクスチャーを確認することができる。これらの果実果肉は、果実全体を用いても、果実の一部であってもよい。リンゴなどのように皮が硬い果実は、予め剥皮して用いてもよい。
また、生鮮の状態で用いることが好ましいが、加工された状態であってもよく、例えば、収穫時に冷凍された果実果肉を解凍して用いることもできる。
果実果肉をペースト化する方法としては、例えば、ミキサーなどで破砕すればよい。または、市販のピューレやペーストを用いてもよい。
特徴的テクスチャーが確認できる形状とは、果実果肉が有する特有の食感が確認できる形状になることを言う。具体的には、歯切れ、歯ざわり、のどごし、組織の形状や質感などが確認でき、例えば、リンゴならば少し硬めのサクサク感、マンゴーならば軟らかいヌメリ感、カシスならば口の中でプチッと潰れるような食感などが確認できる形状である。
このような果実果肉の特徴的テクスチャーが確認できる形状に、果実果肉を粗砕もしくは細断する方法としては、例えば、包丁などを用いてダイス状に切ればよい。好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜8mm、さらに好ましくは3〜5mmのダイス状にする。
起泡性を有する冷たい水溶液とは、例えば10℃以下、好ましくは5℃以下の、炭酸飲料や気泡性アルコール飲料などのことである。
例えば、チューハイのような起泡性のアルコール飲料に、各種の果汁類を混合して供することは一般的に行われているが、果肉が入っていれば、より本物感を味わうことができる。また、果肉でもピューレなどよりも、形のある果肉自体を投入することで、さらに高い満足感が得られる。
ところが、果実果肉を小型の1個/1杯分ずつの乾燥品にすれば、使用に際しては器具類・容器類の準備も不要で、しかも短時間で済む。そして、この乾燥品を飲料に投入して、飲用前に復元させることで、生鮮果実と同様に高い満足感が得られることを見出した。
なお、復元とは、この溶液中の水分などが凍結乾燥成型品の乾燥した組織や空隙に浸入して、凍結乾燥前の形状や組織に近い状態になることである。
凍結乾燥は、食品を凍結したままの状態で乾燥する方法であり、食品中の水分が凍結して氷になった結晶を、固体から気体に昇華させて水蒸気として除去するため、乾燥による形態の変化が生じにくく、新鮮時又は調理時の形態のまま多孔質の乾燥品を製造することができる。このようにして得られる凍結乾燥品は、タンパク質の変性も生じにくく、ビタミンなどの栄養成分を維持すことができ、色や香りも保持しやすい。
先ず、味の調整を行ったところ、甘味と酸味を強化した方が良いとの方向性から、甘味には砂糖の使用を、酸味にはクエン酸の使用を検討した。しかし、量産を考慮したコンパクトなサイズの制限の下、しかもたっぷり量の果実類の使用が必要とされる条件では、砂糖を使用した結果、果実類との混合体は凍結の工程で氷点降下の現象を来たした。また、一部には果実中の糖類成分と砂糖からなる濃縮部の現出を来たし、通常の−25℃程度の凍結庫では、十分に凍結し得ずに凍結乾燥に供される部分があり、乾燥の工程で発泡する現象を来たした。
酸味料は、一般的に食用に用いられる酸味のある成分であれば、特に限定されるものではないが、果実果肉の風味を損なわない酸味料が好ましい。例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。特に好ましくは、クエン酸である。
酸味料の濃度は、例えば、0.01〜1.0%程度にすればよく、好ましくは0.02〜0.7%である。
小型のブロック状の形状の保持、乾燥品の包装作業等に支障を来たさないような堅さ、そして凍結および凍結乾燥の工程でトラブルの発生のないこと、さらに何よりも気泡性を有する液体中での復元、等の条件を考慮すると、乾燥に供する混合体の固形分含有率を、各種のテストの結果15%を超えると所望する状態にはなりにくいと判断し、効果的な範囲を12%前後と見込んだが、製品による構成成分、特に果実自体に含まれる糖類の相違による対凍結乾燥性などから9〜15%の範囲が適当とした。
通常、溶液状あるいはペースト状の製品を小型の成型容器に注入して凍結乾燥し、一定の大きさのブロック状にする際に、ある程度の粘性を付与する。成型容器に注入された果肉の固形成分を含む溶液あるいはペーストが一部沈降したりせずに、ほぼ均等な状態を維持し、さらに予備凍結工程が完了するまでにその中の水分が遊離しての移動を最小限に抑制し、全体がその均等な状態を保持した凍結乾燥製品にするためである。その成分として、ゲル化剤を用いることとした。
また、ゲル化剤の使用により固定化された果実ペースト・果肉の混合体は、固形分と水分とが分離しない状態を維持しつつ、比較的大きい氷結晶を形成させることができる。
ペースト化された果実果肉、及び/又は粗砕もしくは細断された果実果肉を混合した後、高甘味度甘味料と、ゲル化剤と、酸味料を加えてさらに混合して加熱する。このとき、水や香料などを加えてもよい。
ペースト化された果実果肉と、粗砕もしくは細断された果実果肉の混合比は、特に限定されるものではなく、果実の種類にもよるが、例えば1:10〜10:1程度に混合すればよい。
果実の種類によって多少の温度巾はあるが、まず温度−5〜−12℃、好ましくは−6〜−8℃で凍結することにより、良好な氷結晶生成を開始する第1凍結工程を6〜8時間保持し、次に−25℃以下、好ましくは−25〜−35℃、より好ましくは−30〜−35℃で凍結することにより、この時点で未凍結の水分を氷結晶の生長に使用させる第2凍結工程からなる2段階の凍結工程である。
また、凍結工程の前処理として、抗酸化処理、着色変色防止処理、殺菌、軟化、pH調整などを行なってもよい。
次に、凍結乾燥工程に移すと、この生長した大きな氷結晶が昇華により消失して、空隙が比較的大きいものとなり、復元の容易な乾燥品となる。
凍結乾燥工程は、6.12hPa以下の真空条件下で、エネルギーを加えて行なうことが好ましい。例えば80Pa以下を維持しながら、製品温度が例えば45℃を超えることのないようにコントロールして行えばよい。
さらに、全重量の5%以下の非常に低水分まで乾燥できるため、包装等でその水分状態を維持すれば相当長期にわたる保管が可能である。しかも、常温の保管が可能であり、非常に軽量となるため輸送性が高い。
冷凍ブラックカーラント(カシス)果実をミキサーにて破砕し、粗めのペーストにし、これを350g用意した。別に、同じ冷凍ブラックカーラント果実を、凍結状態を少し緩めにして、ナイフにて4〜5mmのダイス状になるようにカットし、これを270g用意した。
冷凍状態のマンゴースライスを解凍して、包丁にて3〜4mmのダイス状にカットし、320gを用意した。そこにマンゴーピューレ−320gを注入して混合した。
生鮮のリンゴを剥皮して、包丁にて3〜4mmのダイス状にカットし、190gを用意した。処理中の褐変防止のため0.2%食塩水溶液に浸漬して、浮き上がらないように重石をしておいた。浸漬後液切りを行い、そこに業務用のアップルペースト320gを注入して混合した。
Claims (6)
- 起泡性を有する冷たい水溶液中で容易に復元する凍結乾燥成型品の製造方法であって、
果実果肉をペースト化し、及び/又は復元後にその特徴的テクスチャーが確認できる形状に、前記果実果肉を粗砕もしくは細断し、これらを混合する工程と、
高甘味度甘味料と、ゲル化剤と、酸味料を加えてさらに混合して加熱する工程と、
その混合体を、−5℃〜−12℃の温度で6〜8時間保持する第1凍結工程と、
前記第1凍結工程の後、−25℃以下の温度で凍結する第2凍結工程と、
前記第2凍結工程の後、凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を有することを特徴とする凍結乾燥成型品の製造方法。 - 前記ゲル化剤は、寒天であることを特徴とする請求項1記載の凍結乾燥成型品の製造方法。
- 前記高甘味度甘味料は、スクラロース、グリチルリチン酸ナトリウム、アスパルテーム、ステビアからなる群より選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結乾燥成型品の製造方法。
- 前記混合体は、固形分含有率が9〜15%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の凍結乾燥成型品の製造方法。
- 前記酸味料は、クエン酸であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の凍結乾燥成型品の製造方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の凍結乾燥成型品の製造方法によって製造された凍結乾燥成型品。
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