JP2009116346A - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(I)により定義されるReレターデーション値が20乃至200nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲にあり、そして少なくとも一方向の弾性率が4000乃至10000MPaの範囲にあるポリマーフイルムからなることを特徴とする光学補償シートを液晶表示装置に利用する。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり、そして、dは、フイルムの厚さである。
【選択図】なし
Description
液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから構成されている。現在、液晶表示装置の主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、特許文献1に記載のように、光学補償シート(位相差フイルム)を偏光板と液晶セルの間に挿入することにより、表示品位の高い液晶表示装置が実現されている。しかし、この方法によると、液晶表示装置自体が厚くなるなどの問題点があった。
歪みによる位相差発生の問題に対し、特許文献3および4では、透明支持体上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フイルムとして用いることで、液晶表示装置を厚くすることなく、上述の耐久性の問題を解決した。
本発明の目的は、液晶セルに対する光学補償特性に優れ、液晶表示装置が発生する熱や、使用環境における熱による歪みに対してその補償特性が安定している光学補償シートを提供することである。
本発明の別の目的は、前記の光学補償シートと偏光膜を一体化させ、液晶表示装置が発生する熱や、使用環境における熱に対して偏光特性が安定している偏光板を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、従来と同じ厚みで何の問題も生じることなく、表示品位が高く、かつ高輝度で、パネルサイズの大きい液晶表示装置を提供することである。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり、そして、dは、フイルムの厚さである。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり、そして、dは、フイルムの厚さである。
なお、本明細書において、「実質的に垂直」、「実質的に平行」あるいは「実質的に45°」とは、厳密な角度よりも±5°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は、±4°未満であることが好ましく、±3°未満であることがさらに好ましく、±2°未満であることが最も好ましい。また、本明細書において、「遅相軸(slow axis)」は屈折率が最大となる方向を、「進相軸(fast axis)」は屈折率が最小となる方向、そして「透過軸(transmission axis)は透過率が最大となる方向をそれぞれ意味する。
本発明においては、光学補償シートの弾性率を調整することにより、従来使用されていた光学補償シートの優れた光学特性を維持したまま、さらに、熱による複屈折の発現(液晶表示装置においては、黒表示状態での光漏れ)が少ない特性を付加できる。
従って、本発明の光学補償シート、あるいはそれを用いた偏光板を液晶表示装置に用いることで、従来の厚みを保ったまま、表示品位が高く、そしてパネルサイズの大きい液晶表示装置を作製することができる。
上記の光学補償シートおよび上記の光学補償シートを用いた偏光板は、VA(Vertically Aligned)型、OCB(Optically Compensated Bend)、TN( Twisted Nematic)型の液晶表示装置、および反射型液晶表示装置に、特に有利に用いることができる。
フイルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率であり、dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。また、式(II)において、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。
本発明において、ポリマーフイルムのReレターデーション値は波長633nmで20乃至200nmであり、そして、Rthレターデーション値が70乃至400nmに調節する。
本発明に用いるポリマーフイルムとしては、光透過率が80%以上であるポリマーフイルムを用いることが好ましい。ポリマーフイルムとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ポリマーフイルムの例としては、セルロース系ポリマー、商品名アートン(JSR(株)製)および商品名ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)などのノルボルネン系ポリマー、およびポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。セルロース系ポリマーとしては、セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いても良い。
本発明のポリマーフイルムとしては、酢化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアセテートフイルムを用いることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
液晶表示装置に用いられる偏光板は、適当な角度、および大きさに打ち抜かれ、粘着剤を介してパネルに貼り合わせられる。パネルに熱が加わると、光学補償シートは収縮(もしくは膨張)しようとするが、粘着剤にその変形が抑制されるために、あたかも見かけ上、延伸(もしくは圧縮)されることで複屈折が発生し、黒表示状態で光漏れが生じる。この、外力が加わったときに、内部に発生する応力に応じて光学異方性(複屈折)を生じる現象を光弾性といい、材料の光弾性係数が大きいほど光学異方性も大きくなり、従って光り漏れも多くなる。
しかし光学補償シートには、材料の熱的な特性のみではなく、光学的な特性も要求される。従って材料の選定により熱による歪みを解消することは、光学的な特性を犠牲にする場合もあり、上記の方法はいずれも好ましい解決法とはいえない。
光学補償シートの弾性率は、ポリマーフイルム(および重合性液晶化合物)を延伸処理することで制御することができる。
ポリマーフイルムの厚さは、40乃至200μmであることが好ましく、70乃至150μmであることがさらに好ましい。
延伸倍率は、5乃至100%であることが好ましく、10乃至90%がさらに好ましく、20乃至70%であることが最も好ましい。このポリマーフイルムの面内の遅相軸と偏光板の透過軸が平行になるようにロールtoロールで貼り合わせられるようにポリマーフイルムが延伸されることが好ましく、具体的には搬送方向に対して横方向に延伸されることが好ましい。横方向に延伸する方法としては、テンター法が好ましく用いられる。
テンター方式による横延伸の場合、ボウイング現象を防ぐために、横延伸後に一度Tg以下に冷却した後、延伸応力を解放し、再び熱処理する延伸方法とすることが好ましい。これら延伸技術の詳細に関しては、「プラスティックフイルムの延伸技術と評価」(情報技術協会1992.10.16発行)に記載がある。
弾性率は、引っ張り試験機に幅50mm、厚み100μm、長さ100mmのストリプスを装着し、常温常湿での応力−歪み曲線より計算で求めた。
ポリマーフイルムのレターデーションを調整するためには、延伸等の外力を与える方法が一般的である。また、ポリマーフイルムに、欧州特許0911656A2号明細書に記載されているように、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤を使用してレターデーションの調整をすることができる。
ポリマーフイルムとしてセルロースアセテートフイルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
レターデーション上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
本発明のポリマーフイルムの製造を、セルロースアセテートを例に具体的に説明する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステル、および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン、およびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例としては、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、およびペンチルアセテートなどが挙げられる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、および2−ブトキシエタノールなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1もしくは2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素の代表的な例としては、メチレンクロリドを挙げることができる。
また、二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保管する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフイルムの厚さは、40乃至140μmであることが好ましく、70乃至120μmであることがさらに好ましい。
光学補償シートと偏光膜を接着して偏光板を作製する場合、光学補償シートに用いられるポリマーフイルムと偏光膜の接着性の観点から、表面処理を実施することが好ましい。表面処理の例として、ケン化処理、プラズマ処理、火炎処理、および紫外線照射処理が挙げられる。ケン化処理には、酸ケン化処理およびアルカリケン化処理が含まれる。プラズマ処理にはコロナ放電処理およびグロー放電処理が含まれる。フイルムの平面性を保つために、これらの表面処理においては、ポリマーフイルムの温度をガラス転移温度(Tg)以下とすることが好ましい。
アルカリケン化処理は、ポリマーフイルムをアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液の例としては、水酸化カリウム溶液、および水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。アルカリ溶液中の水酸化イオンの規定濃度は、0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液の温度は、0乃至90℃の範囲が好ましく、40乃至70℃がさらに好ましい。
上記のように得られた、ポリマーフイルムのみからなる本発明の光学補償シートに、液晶性化合物を含む光学異方性層を設けることにより、延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する、別な本発明の光学補償シートを作製することができる。光学異方性層を有する光学補償シートは、前記のポリマーフイルムの上に、配向膜を塗設し、液晶性化合物を含む光学異方性層を形成することにより作製することができる。
また、ポリマーフイルムと配向膜の間に、密着層(下塗り層)を設けてもよい。密着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。密着層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
配向膜は、光学異方性層の液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1−、−NR2 −、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 およびR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1乃至6のアルキル基)である。
市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
配向膜を透明支持体と光学異方性層との間に設ける場合は、さらに下塗り層(接着層)を透明支持体と配向膜との間に設けることが好ましい。
光学異方性層に含まれる液晶性化合物には、棒状液晶性化合物、あるいは円盤状液晶性化合物が含まれる。棒状液晶性化合物は、棒状液晶性分子を配向させて、その配向状態を固定してなる。円盤状液晶性化合物は、円盤状液晶性分子を配向させて、その配向状態を固定してなる。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7であることが好ましい。棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基の例は、後述円盤状化合物の重合性基の例と同様である。
棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。
光学異方性層は、後述する配向膜によって円盤状化合物を配向させ、その配向状態の円盤状化合物を固定することによって形成することが好ましい。円盤状化合物は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を越える値である。
円盤状化合物を重合により固定するためには、円盤状化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状化合物は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(III)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
光学異方性層は、円盤状化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
円盤状化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20乃至5000mJ/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
一般に、液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
そして、偏光板の一方の保護膜を、上記のポリマーフイルムからなる光学補償シート、もしくは、ポリマーフイルムと液晶性化合物を含む光学異方性層とを積層してなる光学補償シートとすることで、本発明の偏光板を作製することができる。また、偏光膜の他方の保護膜として、通常のセルロースアセテートフイルムを積層してもよい。このようにして、弾性率が4000乃至10000MPaの範囲にある光学補償シートと偏光膜を(接着剤を介して)積層することにより本発明の偏光板を得ることが出来る。
本発明の偏光板において、ポリマーフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸の関係は、適用される液晶表示装置の種類により異なる。本発明の偏光板を、TN、MVA、およびOCBモードの液晶表示装置に用いる場合は、ポリマーフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸を実質的に平行になるように配置し、反射型液晶表示装置に用いる場合は、ポリマーフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸を実質的に45度となるように配置することが好ましい。
本発明の光学補償シートまたはそれを用いる偏光板は、透過型液晶表示装置あるいは反射型液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置の例としては、TN、MVA、およびOCBモードの液晶表示装置液晶が挙げられる。これらの液晶表示装置は、セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を坦持している。OCBモードの液晶表示装置の場合、本発明の光学補償シートは、ポリマーフイルム上に円盤状化合物、もしくは棒状液晶化合物を含む光学異方性層を有することが好ましい。円盤状化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化合物には、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。円盤状化合物を用いた光学補償シートについては、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、***特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。
本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合は、液晶表示装置の二枚の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板を、本発明の偏光板とすればよい。本発明の偏光板を用いることで、優れた視野角特性が得られ、そして熱による光学補償シートの歪みも減少するため、液晶パネルサイズの大型化にも十分対応できる。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.5質量部であった。
作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。結果は第1表に示す。
さらに、作製したセルロースアセテートフイルムの延伸方向の弾性率を測定したところ、5700MPaであった。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
シクロオレフィン溶液組成
────────────────────────────────────
ゼオノア(日本ゼオン製) 100質量部
シクロへキサン(第1溶媒) 400質量部
────────────────────────────────────
シクロオレフィン溶液475質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、シクロオレフィン95質量部に対して、5質量部であった。
作製したシクロオレフィンフイルム(光学補償シート)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。結果は第1表に示す。
さらに、作製したシクロオレフィンフイルムの延伸方向の弾性率を測定したところ、4200MPaであった。
レターデーション上昇剤の添加量を、セルロースアセテート100質量部に対して、3.0質量部となるように調整し、延伸倍率を20%に変更した以外は、実施例1と同様に作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。結果は第1表に示す。
このセルロースアセテートフイルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して、配向膜を形成した。
次に、セルロースアセテートフイルムの遅相軸(波長632.8nmで測定)と45°の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
────────────────────────────────────
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成して、光学補償シートを作製した。
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は38nmであった。また、円盤面と透明支持体(セルロースアセテートフイルム)面との間の角度(傾斜角)は平均で40°であった。結果は第1表に示す。
さらに、作製した光学補償シートの弾性率を、セルロースアセテートフイルムの延伸方向で測定したところ、4600MPaであった。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ポリカーボネート溶液を調製した。
ポリカーボネート溶液組成
────────────────────────────────────
カーボネート(帝人製) 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 400質量部
────────────────────────────────────
さらに、作製したポリカーボネートフイルムの延伸方向の弾性率を測定したところ、2500MPaであった。
────────────────────────────────────
フイルム レターデーション上昇剤 延伸倍率 Re Rth
────────────────────────────────────
実施例1 3.5質量部 33% 40nm 130nm
実施例2 5.0質量部 45% 50nm 240nm
実施例3 3.0質量部 20% 20nm 110nm
比較例1 なし 延伸せず 30nm 40nm
────────────────────────────────────
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作成したセルローストリアセテートフイルムを偏光膜の片側に、もう一方には市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い貼り付けた後、80℃で10分間乾燥させた。
偏光膜の透過軸と実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムの遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアセテートフイルムの遅相軸とは、平行になるように配置した。
このようにして偏光板を作製した。
実施例2で作製したシクロオレフィンフイルムを用いた以外は、実施例4と同様にして、偏光板を作製した。
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、比較例1で作成したポリカーボネートフイルムを偏光膜の片側に、もう一方には市販のポリカーボネートフイルム(帝人(株)製)を貼り付けた後、80℃で30分間乾燥させたが、偏光能が低下し、偏光板としての機能を十分に果たさなかった。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例4で作製した偏光板を、実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第2表に示す。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板を、実施例2で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して一枚、観察者側に貼り付けた。また、バックライト側には、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)を一枚貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第2表に示す。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)について、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第2表に示す。
────────────────────────────────────
液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)
表示装置 透過軸方向 透過軸から45°の方向
────────────────────────────────────
実施例6 >80° >80°
実施例7 >80° >80°
比較例3 >80° 44°
────────────────────────────────────
(註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例3で作製したセルローストリアセテートフイルムを偏光板の片側に、もう一方には市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い貼り付けた後、80℃で10分間乾燥させた。
偏光板の透過軸と実施例3で作製したセルロースアセテートフイルムの遅相軸とは平行になるように配置した。さらに偏光板の透過軸と実施例3で作製した光学補償シートのディスコティック層の遅相軸とは実質的に45度となるように配置した。また、偏光板の透過軸と市販のセルローストリアセテートフイルムの遅相軸とは、平行になるように配置した。このようにして楕円偏光板を作製した。
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
作製したベンド配向セルを挟むように、実施例8で作製した楕円偏光板を二枚貼り付けた。楕円偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第3表に示す。
────────────────────────────────────
液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)
表示装置 上 下 左右
────────────────────────────────────
実施例9 80° 80° 80°
────────────────────────────────────
(註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例4で作製した偏光板を、実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第4表に示す。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)について、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第4表に示す。
────────────────────────────────────
液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)
表示装置 上 下 左右
────────────────────────────────────
実施例10 18° 23° 77°
比較例4 15° 25° 37°
────────────────────────────────────
(註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
Claims (7)
- 下記式(I)により定義されるReレターデーション値が20乃至200nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲にあり、そして少なくとも一方向の弾性率が4000乃至10000MPaの範囲にあるポリマーフイルムからなることを特徴とする光学補償シート:
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。 - 下記式(I)により定義されるReレターデーション値が20乃至200nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲にあるポリマーフイルムと、液晶性化合物を含む光学異方性層とを積層してなる光学補償シートであり、そして該光学補償シートの少なくとも一方向の弾性率が4000乃至10000MPaの範囲にあることを特徴とする光学補償シート:
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。 - 前記のポリマーフイルムが、酢化度59.0乃至61.5%の範囲にあるセルロースアセテート、およびセルロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の光学補償シート。
- 偏光膜の少なくとも一方の面に、請求項1もしくは2に記載の光学補償シートが貼り合わされてなることを特徴とする偏光板。
- 前記の光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸が、実質的に平行になるように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の偏光板。
- 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1方の偏光板が、請求項4もしくは5に記載の偏光板であり、該偏光板の光学補償シートが液晶セル側になるように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶セルが、OCBモード、VAモードまたはTNモードの液晶セルであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
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