JP2009086351A - 平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外光、可視光及びあるいは赤外光を放射する固体レーザー及び又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平板版印刷版原版、特に、pH10以下の水溶液や印刷機上において現像可能な高耐刷かつ耐汚れ性良好な簡易処理型平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属シリケート処理されたアルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版を、以下の一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の現像液で現像するか、pH10以下の現像液により現像した後、以下の一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の水溶液で非画像部のアルミニウム支持体表面を処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷版原版、特にアルカリ現像を必要としない簡易処理型の平版印刷版の作製方法に関する。
波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザー、半導体レーザー、ガスレーザーは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、これらのレーザーはコンピューター等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、非常に有用である。これら各種レーザー光に感応する記録材料については種々研究されており、代表的なものとして、第一に、感光波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料として特許文献1に記載のポジ型記録材料、特許文献2に記載されている酸触媒架橋型のネガ型記録材料等がある。第二に、300nm〜700nmの紫外光または可視光レーザー対応型の記録材料として特許文献3及び特許文献4に記載されているラジカル重合型のネガ型記録材料等が多数ある。
また、従来の平版印刷版原版(以下、PS版ともいう)では、露光の後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠であり、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。更に湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更することが望ましい。
このような観点から、処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷版原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な画像形成層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。しかしながら、従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
そこで、このような要求を満足するために、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた画像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献5参照)。その製版に際しては、赤外線レーザーで露光して、光熱変換により生じた熱で熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水及びインキの少なくともいずれかを供給することにより機上現像できる。この平版印刷版原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
しかし、熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて形成する画像は、強度が不充分で、印刷版としての耐刷性に問題がある。
また、熱可塑性微粒子に代えて、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む平版
印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献6〜11参照)。このような提案にかかる原版では、重合性化合物の反応により形成されるポリマー画像が微粒子の融着により形成される画像よりも強度に優れているという利点がある。
また、重合性化合物は反応性が高いため、マイクロカプセルを用いて隔離しておく方法が多く提案されている。そして、マイクロカプセルのシェルには、熱分解性のポリマーを使用することが提案されている。
しかしながら、上記特許文献5〜11に記載の従来の平版印刷版原版では、レーザー露光により形成される画像の耐刷性が十分ではなく、更なる改良が求められている。即ち、これら簡易処理型の平版印刷版原版においては、pH10以下の水溶液や印刷機上の湿し水(通常はほぼ中性)による現像を可能にするため、親水性の高い表面を有する支持体を使用しており、その結果、印刷中の湿し水により画像部が基板から剥離しやすく十分な耐刷が得られなかった。逆に、支持体表面を疎水性にすると、印刷中に非画像部にもインクが付着するようになり、印刷汚れが発生してしまう。このように、耐刷性と耐汚れ性の両立は極めて難しく、耐汚れ性が良好であり、且つ充分な耐刷性を有する簡易処理型の平版印刷版原版はこれまでに知られていない。
米国特許4708925号明細書 特開平8−276558号公報 米国特許2850445号明細書 特公昭44−20189号公報 特許2938397号明細書 特開2000−211262号公報 特開2001−277740号公報 特開2002−29162号公報 特開2002−46361号公報 特開2002−137562号公報 特開2002−326470号公報
従って、本発明の目的は、紫外光、可視光及びあるいは赤外光を放射する固体レーザー及び又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平板版印刷版原版、特に、pH10以下の水溶液や印刷機上において現像可能な高耐刷かつ耐汚れ性良好な簡易処理型平版印刷版の製版方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、アルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版において、特定の官能基を有する親水性化合物を含有する水溶液にてアルミニウム支持体表面を処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法により上記問題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> アルカリ金属シリケート処理されたアルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版を、以下の一般式(1)、(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の現像液で現像するか、pH10以下の現像液により現像した後、以下の一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の水溶液で非画像部のアルミニウム支持体表面を処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
Figure 2009086351
式中、M1及びM2は、各々独立に、水素原子、金属イオンまたはオニウムイオンを表す。R1〜R7は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R1〜R4の任意の2つまたはR5〜R7の任意の2つで環を形成しても良い。Xは窒素原子または燐原子を表し、Zはカウンターアニオンを表す。kは1〜4の整数を表す。
<2> 一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物が、親水性官能基を有することを特徴とする上記<1>に記載の平版印刷版の製版方法。
<3> 親水性官能基が、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、カルボン酸(塩)基、リン酸(塩)基、水酸基、硫酸モノエステル(塩)基、アンモニウム基、スルホンアミド基、アミノ基、及び、硫酸モノアミド(塩)基から選択される基であることを特徴とする上記<2>に記載の平版印刷版の製版方法。
<4> 一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物が、質量平均分子量1000以上の高分子化合物であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<5>前記アルミニウム支持体が、陽極酸化処理されていることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<6>前記アルミニウム支持体が、粗面化処理されていることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<7>前記アルミニウム支持体が、封孔処理されていることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<8>前記アルミニウム支持体が、疎水性化合物が塗布されているアルミニウム支持体であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<9>一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の現像液または水溶液が、界面活性剤を含有することを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<10> 感光層が、少なくともラジカル重合性化合物、親水性高分子化合物、350〜1200nmに吸収を有する増感色素、ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<11> アルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版が、感光層の上に保護層を有することを特徴とする上記<1>〜<10>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<12>感光層が、少なくとも熱融着性樹脂微粒子、750〜1200nmに吸収を有する色素を含有することを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
<13>感光層が、少なくとも極性変換高分子化合物、750〜1200nmに吸収を有する色素を含有することを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
本発明の作用は以下のように推測している。
すなわち、上記一般式で表される官能基は、アルカリ金属シリケート処理が施されたアルミニウム支持体に対して強い吸着力を有しており(以下の反応のようにシリケート中の負電荷と上記官能基中の正電荷の静電相互作用によると推定)、これら官能基を有する親水性化合物を含有する水溶液にてシリケート処理が施されたアルミニウム支持体表面を処理することにより、該官能基を介して親水性化合物がアルミニウム支持体表面のシリケートに吸着する。これによって非画像部のアルミニウム支持体表面は親水的となり、印刷汚れが発生しなくなる。一方、このような処理液にて処理するため、アルミニウム表面の初期親水性を高くする必要が無く、感光層の密着性が良くなり高い耐刷が得られるものと考えている。
Figure 2009086351
本発明によれば、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷用原版、特にアルカリ水溶液による現像が不要な簡易処理型の平版印刷版原版の高い耐刷と優れた汚れ性を発現する製版方法が得られる。
以下、本発明の平版印刷版の製版方法及び該製版方法に用いられる処理液について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版の製版方法は、下記一般式(1)、(2)で表される官能基の何れかを有する化合物(以下処理化合物と略する)を含有する水溶液にてアルミニウム支持体表面を処理することを特徴とする。
〔処理化合物〕
本発明の平版印刷版の製版方法は、アルミニウム支持体吸着性官能基を有する化合物により処理することを特徴とする。本発明に用いられる処理化合物は、アルミニウム支持体吸着性官能基として、以下の一般式(1)又は(2)で表される官能基のいずれかを少なくとも有している。
Figure 2009086351
1またはM2が、金属イオンを表す時、金属イオンとしては、アルカリ金属イオン(Li
+、Na+、K+、Rb+、Cs+等)、アルカリ土類金属イオン(Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等)、遷移金属イオン(Ti3+、V2+、V3+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Mn+、Mn2+、Mn3+、Mn7+、Fe2+、Fe3+、Co+、Co2+、Co3+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Ag+、Zr3+、Zr4+等)、3B族金属イオン(Al3+等)、2B族金属イオン(Zn2+、Cd2+、Hg2+等)、及びこれらの金属のアクア錯体、アンミン錯体等の錯体が挙げられ、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Ti3+、V2+、V3+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Co+、Co2+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Al3+、Zn2+が好ましく、Li+
、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Co+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Al3+、Zn2+がより好ましく、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Al3+、Zn2+が特に好ましい。
1またはM2が、オニウムイオンを表す時、オニウムイオンとしては、H4N+、Me4N+、HMe3N+、Het3N+、Et4N+、Bu4N+、PhMe3N+、BnEt3N+等のアンモニウムイオン、Ph3MeP+、Ph4P+、Ph3P+CH2CH2P+Ph3等のホスホニウムイオン、PhN2+、NaphtN2+等のジアゾニウムイオン、Ph3S+、Ph2MeS+等のスルホニウムイオン、Ph2I+、(MePh)2I+等のヨードニウムイオン、オキソニウムイオン、カルボニウムイオンが挙げられ、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、ジアゾニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンが好ましく、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンがより好ましく、2価以上のアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンが特に好ましい。
1〜R4で表される1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OR11、−OCOR11、−OCON(R11)(R12)、−OSi(R11)(R12)(R13)、−SR11、−SOR11、−SO211、−SO311、−SO33、−SO2N(R11)(R12)、−SO2N(R11)SO2(R12)、−N(R11)(R12)、−N(R11)COR12、−N(R11)COOR12、−N(R11)CON(R12)(R13)、−P(R11)(R12)、−PO(R11)(R12)、−PO3(R11)(R12)、−OPO3(R11)(R12)(但し、R11〜R13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す)等が挙げられる。
1〜R4としてはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1〜R4で表される基の2つが結合して環を形成する場合の環の具体例としては、例えば、以下の構造が挙げられる。
Figure 2009086351
Xは窒素原子であることが特に好ましい。
5〜R7としては、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。
5〜R7で表される基の2つが結合して環を形成する場合の環の具体例としては、例えば、以下の構造が挙げられる。
Figure 2009086351
Zとしては任意のカウンターアニオンが利用できるが、ハロゲンイオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオンなどが好ましい。また、kはカウンターアニオンを選択することによって自ずと決まる。
本発明に用いられる処理化合物は、上記一般式で表される官能基を有する限り何れの化合物も好適に使用することができるが、質量平均分子量1000以上の高分子化合物であることが好ましく、質量分子量5000以上の高分子化合物であることがより好ましく、質量分子量10000以上の高分子化合物であることが特に好ましい。質量平均分子量の上限は、好ましくは100万、より好ましくは75万、特に好ましくは50万である。
高分子化合物とすることでアルミニウム支持体に分子が多点吸着するようになり、結果としてより強い吸着力が得られ、印刷中の汚れ性が向上する。本発明に用いられる処理化合物が、高分子化合物である場合、かかる高分子化合物は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ビニル樹脂、エステル樹脂、アルキレンオキサイド樹脂、セルロース樹脂、カーボネート樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、アルキレンオキサイド樹脂、セルロース樹脂であることがより好ましい。
本発明に用いられる処理化合物は、高分子でない場合は、分子量は50〜1000であることが好ましい。本発明に用いられる処理化合物は公知の方法により合成することができる。
本発明に用いられる処理化合物は、上記一般式(1)又は(2)で表される官能基の他に、親水性官能基を有することが好ましい。かかる親水性官能基としては、水との親和性が高くなる官能基であれば何れも好適に使用することができるが、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、カルボン酸(塩)基、リン酸(塩)基、水酸基、硫酸モノエステル(塩)基、アンモニウム基、スルホンアミド基、アミノ基、硫酸モノアミド(塩)基、ホスホニウム基、スルホンイミド基、スルホカルボキシイミド基が好ましく、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、カルボン酸(塩)基、リン酸(塩)基、水酸基、硫酸モノエステル(塩)基、アンモニウム基、スルホンアミド基、アミノ基、硫酸モノアミド(塩)基がより好ましく、スルホン酸(塩)基、アンモニウム基、アミド基、ポリアルキレンオキサイド基、水酸基が特に好ましい。本発明の処理化合物が、かかる親水性官能基を有する場合、その導入量は、0.5mmol/g以上とすることが好ましく、0.75mmol/g以上とすることがより好ましく、1.0mmol/g以上とすることが特に好ましい。この導入量とすることで更に高い親水性が得られ、印刷中の汚れ性が良好になる。
以下に本発明に用いられる処理化合物の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009086351

Figure 2009086351
本発明の製版方法に用いられる、処理化合物を含有する水溶液における処理化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.5質量%以上40質量%以下がより好ましく、1質量%以上30質量%以下が特に好ましい。この領域の含有量を有することで良好な印刷汚れ性が得られる。また、本発明に用いられる処理化合物を含有する水溶液のpHとしては、2以上10以下であることが好ましく、2以上9以下がより好ましく、2以上8以下が特に好ましい。この領域のpHとすることで良好な印刷汚れ性が得られる。
本発明の製版方法に用いられる処理化合物を含有する水溶液は、発明の効果を損ねない限り、処理化合物以外に、後述の現像液と同様、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤等の添加物を含んでいても良い。
なお、処理化合物は、後述の現像液中に、上記と同様の濃度で添加してもよい。
[現像液]
本発明において用いられる現像液は、pHが10以下、好ましくは2〜10の水溶液である。例えば、水単独または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知な湿し水と同様組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。該現像液のpHは、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらノニオン性界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、本発明の現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile
Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
現像液中に含有する界面活性剤の添加量は、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
また、本発明の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
また、本発明の現像液には、有機溶剤を含有しても良い。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から
、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明の現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。これらの成分の添加量は総量として、一般的に0質量%〜10質量%である。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコーン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下等の化合物を使用することができる。シリコーン消泡剤が好ましい。
その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明の製版方法において、上記処理化合物を含有する水溶液によるアルミニウム支持体の処理は、現像と同時に実施されても良いし、現像後に実施されても良い。現像と同時に実施される場合、現像液に上記処理化合物が添加されることになる。
[アルミニウム支持体]
本発明の製版方法に用いられるアルミニウム支持体は、通常の平版印刷版原版に用いられるアルミニウム支持体であれば好適に使用することができる。
本発明に使用されるアルミニウム支持体としては、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
アルミニウム支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変るので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム支持体は、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート処理をしてあることが必須である。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理し、または電解処理する。アルカリ金属シリケートにより処理することで、上記処理化合物の支持体吸着性が向上し汚れ性が良好になる。
シリケート処理によるアルミ支持体上へのシリケートの塗設量は、シリコン原子量として、0.5mg/m以上50mg/m以下が好ましく、1mg/m以上40mg/m以下がより好ましく、1.5mg/m以上30mg/m以下が特に好ましい。
[下塗り層]
本発明の製版方法に用いられる簡易現像型平版印刷版原版における下塗り層は、感光層とアルミニウム支持体の密着性を向上させる機能を有する化合物を含有する層である。かかる化合物としては、疎水性化合物であることが好ましく、疎水性化合物を塗布することにより、アルミニウム支持体の初期接触角を70°以上に高くすることができ、その結果感光層との密着性が向上する。
<疎水性化合物>
下塗り層として疎水性化合物を含有する層を用いた場合、アルミニウム支持体表面が疎水性となり、感光層とアルミニウム支持体間への水浸透が抑制されるため密着性が向上する。一方、非画像部においては、上記処理化合物を含有する水溶液により親水化処理されるために汚れ性が良好になる。
かかる疎水性化合物としては、疎水性化合物を含有する層を設けたアルミニウム支持体が空中水滴接触角において70°以上の値を有する限り、何れの疎水性化合物を用いることができるが、質量平均分子量5000以上の高分子化合物であることが好ましく、質量平均分子量10000以上の高分子化合物であることがより好ましい。質量平均分子量の上限は好ましくは100万以下、より好ましくは75万以下、特に好ましくは50万以下である。
疎水性化合物は、高分子でない場合は、分子量は好ましくは50〜100である。
疎水性化合物が有する疎水性基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等のアリール基、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基等のアルケニル基、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
疎水性化合物の疎水性とは、アルミ支持体上に10mg/m2以上塗布したときに、同アルミ表面の空中水滴接触角の値が30°以上となる程度の疎水性であることが好ましく、40°以上となる程度の疎水性であることがより好ましく、50°以上の疎水性となることが特に好ましい。また、疎水性化合物中の疎水性基としては、1以上の炭素数を有するアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が好ましく、2以上の炭素数を有するアルキル基、アリール基、アルケニル基アルキニル基がより好ましく、3以上の炭素数を有するアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
本発明に用いられる疎水性化合物は、アルミ支ニウム持体との密着性を高めるために、アルミニウム支持体吸着基を有することが好ましい。かかるアルミニウム支持体吸着基としては、上記一般式(1)又は(2)で表される官能基や、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、水酸基、シロキサン基、アミノ基、1,3−ジカルボニル基等が挙げられるが、処理化合物の吸着量を確保するために、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、水酸基、シロキサン基、アミノ基、1,3−ジカルボニル基が好ましい。これらの官能基は、一般式(1)又は、(2)で表される官能基よりもアルミニウム支持体に対する吸着性が弱いため、処理化合物のアルミニウム支持体吸着性が良好になり、結果印刷中の汚れ性が向上する。
本発明に用いられる疎水性化合物は、ラジカル重合性官能基を有することが好ましい。ラジカル重合性官能基を有する化合物を含有する層を用いた場合、レーザー露光によって感光層に生じるラジカル重合連鎖が、下塗り層中のラジカル重合性官能基へと進展し、その結果、感光層と下塗り層間の密着性が良好になる。一方、非画像部においては、上記処理化合物を含有する水溶液により親水化処理されるために汚れ性が良好になる。かかるラジカル重合性官能基の具体例としては、−(CH)CR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CH)NH−CO−O−CHCR=CR、−(CH)−O−CO−CR=CR、および−(CHCHO)−X(式中、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしく
はアリールオキシ基を表し、RとRまたはRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
ラジカル重合性官能基の導入量は、0.05mmol/g以上であることが好ましく、0.1mmol/g以上であることがより好ましい。0.05mmol/g以上の導入量とすることで、ラジカル重合反応による密着性が良好になり耐刷が向上する。
以下に本発明に用いられる疎水性化合物の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009086351
これら下塗り層の塗布量は、0.001g/m2以上0.2g/m2以下が好ましく、0.005g/m2以上0.1g/m2以下がより好ましい。この範囲の塗布量とすることで処理化合物の吸着が良好になり、結果印刷中の汚れ性が良好になる。
本発明の製版方法は、前記一般式(1)又は(2)で表される官能基の何れかを有する処理化合物が、前記アルミニウム支持体と相互作用することにより、処理化合物がアルミニウム支持体表面に吸着し、アルミニウム支持体表面の空中水滴接触角が30°以下に低下し非画像部の印刷汚れ性が良好になる。一方、画像部においては、アルミニウム支持体の表面が疎水性であるためにアルミニウム支持体表面と感光層との間に印刷中の湿し水が浸透することが無く、感光層密着性が確保されるために高い耐刷性が得られる。
次に本発明の平版印刷版の製版方法に用いられる平版印刷版原版の感光層について説明する。
本発明の平版印刷版原版の感光層(画像形成層ともいう)は、感光層としては、(a)ラジカル重合性感光層、(b)熱融着型感光層、(c)極性変換型感光層、等が挙げられる。
〔ラジカル重合性感光層〕
本発明のラジカル重合性感光層(画像形成層1)とは、少なくともラジカル重合性化合物、親水性高分子化合物、350〜1200nmに吸収を有する増感色素、ラジカル重合開始剤を含有する感光層であれば何れも好適に使用することができる。本発明のラジカル重合性感光層は、これらの他に、共増感剤、界面活性剤、マイクロカプセル、親水性ポリマー、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、低分子親水性化合物等を必要に応じて内包する。
ラジカル重合性感光層が含有する成分の詳細については後述する。
〔熱融着型感光層〕
熱融着型感光層(画像形成層2)は熱融着性微粒子を含有し、該熱融着性微粒子は融着した形態、すなわちラテックスフィルム構造を有していてもよい。
本発明に用いる熱融着性微粒子としては、熱融着性ポリマー微粒子が好適である。
かかる微粒子を形成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等のモノマーからのホモポリマーまたはコポリマーもしくはそれらの混合物を挙げることができる。この中でもより好ましいものとして、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸メチルを挙げることができる。
これらの微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、ポリマーを有機溶剤に溶解し水に乳化分散した後に溶剤を蒸発させる方法(溶剤蒸発法)、機械的に分散する方法等により作製可能である。
本発明に用いられる熱融着性微粒子を形成するための熱融着性ポリマーとして、熱により反応する官能基(熱反応性基)を有するポリマーを用いることもできる。熱反応性基を有するポリマーの方が、強固な画像を形成する点でより好ましい。
上記熱反応性基としては、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等)、付加反応を行うイソシアナート基もしくはそのブロック体およびその反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等)、同じく付加反応を行うエポキシ基およびその反応相手であるアミノ基、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基、縮合反応を行う
カルボキシル基とヒドロキシル基もしくはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基もしくはヒドロキシル基等を挙げることができる。しかし、熱融着により化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でも良い。
これらの熱反応性基のポリマー粒子への導入は、微粒子ポリマーの重合時に行ってもよいし、微粒子ポリマーの重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
微粒子ポリマーの重合時に導入する場合は、これらの熱反応性基を有するモノマーを乳化重合または懸濁重合することが好ましい。そのような官能基を有するモノマーの具体例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレートもしくはそのアルコール等によるブロックイソシアナート、2−イソシアネートエチルアクリレートもしくはそのアルコール等によるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの熱反応性基を有するモノマーを重合時に導入する場合は、熱反応性基をもたないモノマーを上記の熱反応性基を有するモノマーと共重合することもできる。このような共重合可能な熱反応性基をもたないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができるが、熱反応性基をもたないモノマーであれば、これらに限定されない。
熱反応性基の導入をポリマー微粒子の重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、WO96−34316号公報に記載されている高分子反応を挙げることができる。
以上にあげた熱反応性基を有していないポリマー微粒子および熱反応性基を有しているポリマー微粒子ともに質量平均分子量は2,000〜1,000,000の範囲であってよい。
上記のポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.03〜1.00μmがさらに好ましく、特に0.05〜0.40μmが最適である。この範囲内で画像形成性と現像性を両立させることができる。
これらのポリマー微粒子には光熱変換剤が含まれている方が露光時の熱効率が良く画像形成上好ましい。このような光熱変換剤を含有する微粒子は、上記溶媒蒸発法でポリマーを非水溶性の有機溶剤に溶解する場合、光熱変換剤を一緒に溶解することにより得られる。
画像形成層2には親水性樹脂を添加することができる。親水性樹脂を添加することによりpH10以下の水溶液への現像性が良好となるばかりか、画像形成層自体の皮膜強度も上がる。親水性樹脂としては3次元架橋していないものが現像性が良好で好ましい。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するものが好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガ
ム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等を挙げることができる。
親水性樹脂の画像形成層2中への添加量は、画像形成層固形分の2〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。この範囲内で良好な現像性と高耐刷性が得られる。
画像形成層2には、樹脂微粒子、親水性樹脂の他に、光を吸収して発熱する光熱変換剤、無機微粒子、界面活性剤、着色剤、可塑剤など、感度の向上、親水性の程度の制御、画像形成層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上などの種々の目的の化合物を添加することができる。以下これらについて説明する。
光熱変換剤としては、700nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用いる事ができる。光熱変換剤の具体例としては、後述の赤外線吸収染料や顔料が挙げられる。
画像形成層2には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムもしくはこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像形成層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の画像形成層2への含有量は、画像形成層の全固形分の1.0〜70質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜50質量%である。
画像形成層2には、印刷条件に対する安定性を拡げるため、ノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほか、特開平2−195356号公報に記載されているようなカチオン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特開昭59−121044号及び特開平4−13149号公報に記載されている両性界面活性剤を添加することができる。
上記界面活性剤の親水層全固形物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく
、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、画像形成層2には、画像形成後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。添加量は、画像形成層の全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
画像形成層2には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
画像形成層2は、必要な上記各成分を水、又は必要に応じて有機溶剤を加えた混合溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像形成層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g/m2がより好ましい。
塗布液中の画像形成層固形分の濃度は、好ましくは2〜20質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。この範囲内で、塗布液中での微粒子の良好な分散性と、画像形成層に塗布し乾燥した場合のポリマー微粒子の良好な融着が得られる。
支持体と画像形成層2の間に親水層を設けることができる。好適な親水層は、3次元架橋しており、水および/またはインキを使用する平版印刷で湿し水に溶けない層であり、下記のコロイドを含有することが好ましい。
ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンまたは遷移金属の酸化物または水酸化物のゾルゲル変換系からなるコロイドである。さらに、これらの元素の複合体からなるコロイドであっても良い。これらのコロイドは、上記の元素が酸素原子を介して網目状構造を形成すると同時に未結合の水酸基やアルコキシキ基を有していて、これらが混在した構造となっている。
保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性の画像形成層表面を保護するため、画像形成層上に後述の保護層を設けることができる。
赤外線の吸収効率を高めて感度を向上させるため、赤外線を吸収して発熱する光熱変換
剤を、画像形成層2、親水層、および保護層の少なくとも一つの層に含有させることが好ましい。かかる光熱変換剤としては、700〜1200nmの少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。特に、後述の赤外線吸収剤と同様のものを利用することができる。
〔極性変換型感光層〕
極性変換型感光層(画像形成層3)は、レーザー露光により露光部の親水性−疎水性を変化させる性質を有する画像形成層であってもよい。(i)レーザー露光によって親水性から疎水性に変化する性質を有するネガ型画像形成層、(ii)レーザー露光によって疎水性から親水性に変化する性質を有するポジ型画像形成層の2種類が挙げられ、それぞれについて説明する。
(i)レーザー露光によって親水性から疎水性に変換されるネガ型画像形成層としては、特開2000-122272等に挙げられる画像形成層が好ましく用いられる。このような画像形成層としては、特定の官能基、特に、熱により脱炭酸を起こすカルボン酸基およびカルボン酸塩基からなる群から選ばれる少なくともいずれかの基を有するバインダーポリマーを含有する層が好ましい。
熱により脱炭酸を起こすカルボン酸基およびカルボン酸塩基からなる群から選ばれる少なくともいづれかの基を有するポリマーは、特に限定されないが、下記一般式(A1)または(A2)で表される群から選ばれる少なくともいづれかであることが好ましい。
Figure 2009086351
(式中、Xは4族から6族の元素、同酸化物、同硫化物、同セレン化物および同テルル化物からなる群から選択され、Pはポリマー主鎖を表し、−L−は2価の連結基を表し、R1及びR2は、それぞれ同じでも異なっていてもよい1価の基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。)
1及びR2として好ましくは、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。Lとして好ましくは、記の構造単位で組合わさって構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009086351
Xとして好ましくは、−CO−、−SO−、−SO2 −が挙げられる。
Mとして好ましくは、1〜4価の金属カチオンまたは下記一般式(A3)で示されるアンモニウム塩が好ましい。
Figure 2009086351
(R4、R5、R6およびR7はそれぞれ同じでも異なっていてもよい1価の基を表す。)
Pで表されるポリマー主鎖骨格としては、特に限定されないが、好ましくは(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明で使用される熱により脱炭酸を起こすカルボン酸基およびカルボン酸塩基からなる群から選ばれる少なくともいずれかの基を有するバインダーポリマーの質量平均分子量は好ましくは2000以上であり、さらに好ましくは5000〜30万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは800以上であり、さらに好ましくは1000〜25万の範囲である。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましく
は1.1〜10の範囲である。これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
画像形成層は前記バインダーポリマーと必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の成分により構成されてもよい。前記バインダーポリマーは画像形成層の全固形物分の50〜90質量%、好ましくは70〜90質量%の割合で使用することができる。添加量が50質量%未満の場合は、印刷画像が不鮮明になり、また添加量が90質量%を越える場合は、レーザー露光による画像形成が十分できなくなる。
本発明に使用される画像形成層の前記バインダーポリマー以外の構成成分として、後述の増感色素、重合開始剤など種々の添加剤を加えることが可能である。
(ii)レーザー露光によって疎水性から親水性に変換されるポジ型画像形成層としては、特開平11-174685等に挙げられる画像形成層が好ましく用いられる。このような画像形成層としては、特定の官能基を有し、レーザー露光により発生するエネルギーにより親水性に変化する疎水性バインダーポリマー(以後感熱バインダーポリマーと呼ぶ)を含有することが好ましい。感熱バインダーポリマーとは、通常は水に対して溶解するあるいは膨潤する等の親和性を示さないバインダーポリマーであり、熱によってその構造の一部もしくは全部が変化して水に対して溶解するあるいは膨潤する等の親和性を示すようになるバインダーポリマーを指す。そのような化合物の例として、側鎖に、以下の一般式(B1)〜(B5)の何れかで表される官能基の内の少なくとも一つを有する疎水性バインダーポリマーが挙げられる。
Figure 2009086351
式中、Lは疎水性バインダーポリマー主鎖に連結した多価の非金属原子から成る有機基を表し、R1 はアリール基、アルキル基又は環状イミド基を表し、R2 、R3はアリール基又はアルキル基を表し、R4 はアリール基、アルキル基又は−SO2 5 を表し、R5 はアリール基又はアルキル基を表し、R6 、R7 及びR8 はそれぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、R6 、R7 及びR8 の内の任意の2つもしくは3つで環を形成してもよい。R9 及びR10の内の一方は水素原子を、他方は水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、R11はアルキル基を表し、R9 とR11又はR10とR11で環を形成してもよい。Lは非金属原子からなる多価の連結基であって、1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子、及び0〜20個の硫黄原子から成り立つものである。より具体的には下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
本発明で使用される一般式(B1)〜(B5)のいずれかで表される官能基の少なくとも何れか一つを有するバインダーポリマーの質量平均分子量は好ましくは2000以上で
あり、さらに好ましくは5000〜30万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは800以上であり、さらに好ましくは1000〜25万の範囲である。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
画像形成層3は感熱バインダーポリマーと必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の成分により構成されてもよい。感熱バインダーポリマーは画像形成層の全固形物分の50〜90質量%、好ましくは70〜90質量%の割合で使用することができる。添加量が50質量%未満の場合は、印刷画像が不鮮明になり、また添加量が90質量%を越える場合は、レーザー露光による画像形成が十分できなくなる。
画像形成層3の感熱バインダーポリマー以外の構成成分として、後述の増感色素、赤外線吸収染料又は顔料からなる光熱変換剤、重合開始剤など種々の添加剤を加えることが可能である。
以下、画像形成層1が含有する各成分及び画像形成層1〜3が含有しうる成分の詳細について説明する。
(A)増感色素
本発明の感光層には、露光光源の波長に対応した増感色素を含有することができる。
露光光源として、赤外光を用いる場合は増感色素として赤外線吸収色素を用いることができる。赤外線吸収色素としては、シアニン染料が特に好ましく用いられる。
下記に本発明の好ましい態様である350nm〜450nmに発振波長を有する光源を用いた場合に使用する増感色素である350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素について説明する。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で表される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で表されるアントラセン類、下記一般式(V)〜(XII)で示される増感色素、等を挙げることができる。
Figure 2009086351
(式中、AはS原子もしくは、NR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび、隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、X1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。)
Figure 2009086351
(式中、=Zは、カルボニル基、チオカルボニル基、イミノ基または上記部分構造式(1’)で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(I)と同義であり、R7〜R12はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。)
Figure 2009086351
(式中、Ar3は、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、
13は一価の非金属原子団を表す。より好ましいR13は、芳香族基またはヘテロ芳香族基であって、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2009086351
(式中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表し、より好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。)
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基、等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、ピロール、フラン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフ
ィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、等が挙げられ、以上の一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(I)に於けるYが隣接するAおよび、隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素、あるいは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
含窒素複素環の例としては、例えば、L.G.Brooker et al.,J.Am.Chem.Soc.,73,5326−5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、ナフトチアゾール類、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、ナフトオキサゾール類、セレナゾール類、ベンゾセレナゾール類、ナフトセレナゾール類、チアゾリン類、2−キノリン類、4−キノリン類、1−イソキノリン類、3−イソキノリン類、ベンズイミダゾール類、3,3−ジアルキルインドレニン類、2−ピリジン類、4−ピリジン類等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号公報記載の色素類におけるジチオール部分構造をあげることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類、ナフトジチオール類、ジチオール類等を挙げることができる。
以上、述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基形で導入される。
さらに、下記のような増感色素を用いることができる。
Figure 2009086351
Figure 2009086351
1〜R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロ
ゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは、炭素数2以上のアルコキシ基を
表す。
15〜R32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは、炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2009086351
ここで、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいア
ルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアラルキル基を表し、k、mおよびnは、0または1〜5の整数を表す。
Figure 2009086351
(一般式(VIII)中、X1、X2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、-CR1112-又は
-NR13-を表す。但し、少なくともいずれか一方は酸素原子、硫黄原子又は-NR13-である。Yは酸素原子、硫黄原子又は=NR14を表す。R1〜R14はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表す。あるいはR1〜R14はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成していてもよい。)
Figure 2009086351
一般式(IX)中、A1 およびA2 は各々炭素原子またはヘテロ原子を表す。Q1はA1
、A2 およびこれらに隣接する炭素原子とともに複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。X1およびX2は各々シアノ基または置換カルボニル基を表すか、あるいはX1とX2とが互いに結合して環を形成していてもよい。)
Figure 2009086351
式中、Xは、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。)
Figure 2009086351
(式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7
およびR8は、それぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、Aは炭素数2
0以下の置換または未置換のアリール基またはヘテロアリール基を表す。)
360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点か
らより好ましい色素は下記一般式(XII)で表される色素である。
Figure 2009086351
(一般式(XII)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−R3をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の非金属原子団を表し、AとR1およびR2とR3はそれぞれ互いに、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合してもよい。)
一般式(XII)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または、一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環残基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。
好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、さらに、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、さらに、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、さらに、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられる。これら置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等を挙げることができる。
これら置換基におけるヘテロアリール基の具体例としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、特に好ましいヘテロア
リール基の例としては、例えば、チオフェン、フラン、ピラン、カルバゾール、アクリジン等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
これら置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基等が挙げられ、アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、アルケニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
該置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基の、具体例としては、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、2−オキソエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、ホスフォノブチル基、ベンジル基、シンナミル基、アリル基、2−プロピニル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
次に、一般式(XII)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環の具体例としては、一般式(XII)中のR1、R2およびR3で記載したものと同様のものが挙げられる。
本発明の一般式(XII)で表される増感色素は、上に示したような酸性核や、活性メチレン基を有する酸性核と、置換、もしくは非置換の、芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られるが、これらは特公昭59−28329号公報を参照して合成することができる。
以下に一般式(XII)で表される化合物の好ましい具体例(D1)から(D75)を示す。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらかの異性体に限定されるものではない。
Figure 2009086351
Figure 2009086351
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Figure 2009086351
Figure 2009086351
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、本発明の感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。通常、感光層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、最も好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
<赤外線吸収剤>
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、光熱変換剤として機能する。本発明において好ましく使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシ
アニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009086351
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(I)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009086351
一般式(I)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示
す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同義であり、Raは、水素原子、アルキル基、リー
ル基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2009086351
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rはぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(I)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の感光層中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、感光層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.3〜1.3の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.4〜1.2の範囲である。この範囲で、感光層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
感光層の吸光度は、感光層に添加する赤外線吸収剤の量と感光層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版原版として必要な範囲において適宜決定される厚みの感光層を形成し、その反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
(B)重合開始剤
本発明に使用される重合開始剤としては、トリハロメチル化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、鉄アレーン錯体が挙げられる。なかでも、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、オニウム塩、トリハロメチル化合物およびメタロセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にヘキサアリールビイミダゾール系化合物が好ましい。上記の重合開始剤は、2種以上を適宜併用することもできる。
ヘキサアリールビイミダゾール重合開始剤としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号の各公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビ
ス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
トリハロメチル化合物としてはトリハロメチル-s-トリアジンが好ましく、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するs−トリアジン誘導体等が挙げられる。
オニウム塩としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、などが挙げられる。更に好ましくは、置換基を有してもよいトリアリールスルホニウム塩、置換基を有してもよいジアリールヨードニウム塩である。特に下記一般式(III)で表されるオニウム塩が好ましく用いられる。
Figure 2009086351
一般式(B)中、R11、R12およびR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、
置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。
-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフル
オロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、およびスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
チタノセン化合物としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタニウム等を挙げることができる。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。
本発明における重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明における感光層中の重合開始剤の使用量は感光層全固形分の質量に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0質量%〜10質量%である。
(C)重合性化合物
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマーおよびその共重合体の例としては、以下の一般式(C1)〜(C5)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
Figure 2009086351
式中、Rl〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子またはアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、メチル基の水素原子の一つを水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アシルチオ基、スルホ基、スルホン酸基、カルボキシル基で置換した基がラジカル反応性の高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R12)(R13)−を表し、R12、R13は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12、R13は、アルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R12、R13は、Lを構成する原子と結合して環を形成してもよい。
Lは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硼素原子、硫黄原子、リン原子、珪素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、銀、パラジウム、鉛、ジルコニウム、ロジウム、錫、白金、タングステンから構成されるn価の有機基であり、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硼素原子、硫黄原子、リン原子、珪素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムから構成されるn価の有機基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硼素原子、硫黄原子、リン原子、珪素原子から構成されるn価の有機基であることがより好ましい。
nは、自然数を表し、1以上100以下が好ましく、2以上80以下がより好ましく、3以上60以下が特に好ましい。
一般式(C1)で表される重合性化合物の具体例としては、a.不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−ブロモアクリル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸など)や、b.そのエステル類、c.アミド類が挙げられ、好ましくは、d.不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、e.不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、f.ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、g.イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にh.ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなど)に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62
−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
Figure 2009086351
上記一般式(C2)において、R1〜R5は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R1〜R5は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。R1〜R5は、任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
導入し得る置換基としては、一般式(C1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−、または−C(R12)(R13)−を表す。R12及びR13は、一般式(C1)におけるR12及びR13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(C1)のL、nの場合と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(C2)で表される重合性化合物の具体例としては、不飽和二重結合を有するアルコール(例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、3-ブテン-1-オール、2-シクロヘキセン-1-オール、レチノール等)と単官能或いは多官能カルボン酸(酢酸、安息香酸、マレイン酸、トリカルバリン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等)のエステル化合物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネート(ブチルイソシアネート、1,3-ビス(シソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、フェニルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)等)のウレタン化合物、単官能或いは多官能アルコール(エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、イノシトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、デキストリン、フェノール、ビスフェノールA等)のエーテル化合物、単官能或いは多官能エポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート等)の付加反応物、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキル(1,4-ジブロモブタン、マレイン酸 ビス(2-ブロモエチル)エステル等)又は単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸(メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸等)エステルの置換反応物、不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキル(例えば、アリルブロミド、4-ブロモ-1-ブテン、3-クロロ-2-メチルプロペンなど)や不飽和二重結合を有するアルコールのスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン(例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、プロリン、4,4’-メチレンジアニリンなど)、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物の置換反応物、不飽和二重結合を有するアミン(例えば、アリルアミン、トリアリルアミン、ゲラニルアミン、N-エチル-2-メチルアリルアミンなど)と単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能イソシアネートのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルの置換反応物、単官能或いは多官能カルボニル化合物のイミン、単官能或いは多官能スルホン酸のスルホンアミド、不飽和二重結合を有するイソ(チオ)シアネート(例えば、アリルイソシアネート、アリルイソチオシアネートなど)と単官能或いは多官能アルコールのウレタン、単官能或いは多官能アミンのウレア、単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能チオールとの付加反応物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートの付加反応物が挙げられる。
Figure 2009086351
上記一般式(C3)において、R1〜R3は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R1〜R3は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。R1〜R3は、任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
導入し得る置換基としては、一般式(C1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−、または−C(R12)(R13)−を表す。R12及びR13は、一般式(C1)におけるR12及びR13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(C1)のL、nの場合と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(C3)で表される重合性化合物の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸トリビニルなどの単官能或いは多官能カルボン酸ビニルエステル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのビニルエーテルアルコールと単官能或いは多官能カルボン酸のエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシの付加生成物、2-クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテルハロゲン化アルキルやp-トルエンスルホン酸ビニルオキシエチルエステルなどのビニルエーテルスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物の置換反応物、3-アミノ-1-プロパノールビニルエーテル、2-(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテルなどのビニルエーテルアミンと単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルの置換生成物、と単官能或いは多官能スルホン酸のスルホンアミド、N-ビニルルバゾール、N-ビニルピロリジノン、N-ビニルフタルイミド等の単官能或いは多官能ビニルアミド、が挙げられる。
Figure 2009086351
上記一般式(C4)において、R1〜R3は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R1〜R3は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。
4〜R8は、それぞれ独立に1価の有機基か、Lに連結する2価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の有機基が好ましく、2価の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、珪素原子、燐原子から構成される2価の有機基であることが好ましい。またR4〜R8の任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
導入し得る置換基としては、一般式(C1)と同様のものが例示される。
L、nは一般式(C1)のL、nの場合と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(C4)で表される重合性化合物の具体例としては、p-スチレンカルボン酸などのカルボン酸基含有スチレンやp-スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコールのエステル、単官能或いは多官能アミンのアミド、p-ヒドロキシメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-ヒドロキシエチルエステルやp-スチレンスルホン酸2-ヒドロキシエチルエステルなどの水酸基含有スチレンと単官能或いは多官能カルボン酸のエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシの付加生成物、p-クロロメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-クロロエチルエステルなどのハロゲン化アルキル基含有スチレンやp-トシルオキシメチルスチレンなどのスルホン酸エステル基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物の置換反応物、p-アミノメチルスチレンなどのアミノ基含有ス
チレンと単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルの置換生成物、単官能或いは多官能スルホン酸のスルホンアミドが挙げられる。
Figure 2009086351
上記一般式(C5)において、R1〜R3は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R1〜R3は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。R5は、それぞれ独立に1価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の有機基が好ましい。またR5はLと共に環を形成しても良い。
導入し得る置換基としては、一般式(C1)と同様のものが例示される。また、Wとしては酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−、または−C(R12)(R13)−を表す。R12及びR13は、一般式(C1)におけるR12及びR13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(C1)のL、nの場合と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(5)で表される重合性化合物の具体例としては、ビニルホスホン酸、メチル2-ホスホノアクリレートなどビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコールのエステル、単官能或いは多官能アミンのアミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ビニルホスホン酸などの水酸基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能カルボン酸のエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシの付加生成物、ビス(2-ブロモエチル)ビニルホスホン酸等のハロゲン化アルキル基含有ビニルホスホン酸やp-トシルオキシエチルビニルホスホン酸などのスルホン酸エステル基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物の置換反応物等が挙げられる
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあ
り得る。
上記の重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
(D)バインダーポリマー
本発明の感光層に使用可能なバインダーポリマーとしては、現像性の観点から、親水性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
親水基としては、一価又は二価以上の親水性基から選ばれ、例えば、ヒドロキシ基、ヒドロキシエチル基、アルキレンオキシ基の繰り返し単位、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノ基を酸で中和した塩、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、エーテル基、またはカルボン酸、スルホン酸及びリン酸などの酸基を中和した塩が好ましく、特にアミノ基、アミノ基を酸で中和した塩、アンモニウム基、アミド基、−CH2CH2O−繰り返し単位または、−CH2CH2NH−繰り返し単位が好ましく、第三級アミノ基、第三級アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基が最も好ましい。
親水性基としては、バインダーポリマーの主鎖又は側鎖のどちらにあっても構わないが、合成などの観点から側鎖にあることが好ましく、特に側鎖末端にあることが好ましい。但し、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基などのアルキレンオキシ基の繰り返し単位は主鎖又は側鎖のどちらにあっても構わない。
バインダーポリマーは共重合体であることが好ましく、共重合体の全共重合成分に占める前記のような親水性基を有する共重合成分の割合は、現像性の観点から、1〜70%が好ましい。現像性と耐刷性の両立を考慮すると、1〜50%がより好ましく、1〜30%が特に好ましい。
さらに、本発明に使用可能なバインダーポリマーは、現像性・汚れ性の観点から、カルボン酸基、リン酸基を実質的に含有しないものが好ましい。
また、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、現像性・汚れ性の観点から、0.3meq/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1meq/g以下である。
また、本発明に使いられるバインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましい。バインダーポリマーの水に対する溶解度(飽和溶解時のバインダーポリマー濃度)は、好ましくは1.0質量%以下である。なお、上記溶解度の測定温度は、製版現像時の通常の温度である25℃である。
このようなバインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、なかでも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ビニルアルコール樹脂等のビニル共重合体、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明に用いられるバインダーポリマーは架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ
基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましい。
バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
さらに耐刷性向上という観点から、架橋性基は親水性基の近傍にあることが望ましく、親水性基と架橋性基が同一の重合単位上にあってもよい。
本発明に用いられるバインダーポリマーは、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、親水性基および架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%であるのが更に好ましい。
また、重合性化合物及びバインダーポリマーの合計含有量は、感光層の全固形分に対して、80質量%以下であることが好ましい。80質量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜75質量%である。
(E)共増感剤
本発明においては、共増感剤を用いることができる。共増感剤とは、感光層に添加したときに、感光層の感度をさらに向上させることができる添加剤である。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。すなわち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。共増感剤は、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成
しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類、およびN−OHをエステル化したオキシムエステル類をあげることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例としては、特開平9−236913号公報中に感度向上を目的とした添加剤として記載されている化合物を挙げることができる。
以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
Figure 2009086351
これら共増感剤としては、分子内にSHを有する化合物が特に好ましく用いられる。
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、平版印刷版原版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や重合開始剤、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、多官能化又はポリマー化等の方法が利用できる。これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
<マイクロカプセル>
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく該構成成分の一部、あるいは全部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
<その他の感光層成分>
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
<界面活性剤>
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
<親水性ポリマー>
本発明においては、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー
およびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの感光層への含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
<着色剤>
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
<焼き出し剤>
本発明の感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、感光層固形分に対して0.01〜15質量%の割合である。
<重合禁止剤>
本発明の感光層には、感光層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<高級脂肪酸誘導体等>
本発明の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<可塑剤>
本発明の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチル
フタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<無機微粒子>
本発明の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<低分子親水性化合物>
本発明の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
〔感光層の形成〕
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、また
は溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と感光層
の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day
)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低
い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましく
は1.5≦A≦12 (mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0
(mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素
透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは、30〜90質量%である。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニ
ウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
保護層への他の添加剤として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライ
ト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310
)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(N
a,Li)Mg2 Li(Si4 10)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクト
ライト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在し
ている陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+ 、Na+ の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明で使用する無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、
ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性可塑剤など公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲
であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
〔バックコート層〕
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔製版方法〕
本発明における平版印刷版原版を、光源で画像露光した後、自動現像機により、pH10以下、好ましくはpHが2〜10の現像液の存在下、保護層および非露光部の感光層を一括除去し、アルミニウム板支持体表面に画像を形成することができる。
すなわち、保護層および非露光部の感光層を一括除去した後、直ちに印刷機にセットして印刷することができる。
また、このような自動現像機での処理は、機上現像の場合に生ずる保護層/感光層の由来の現像カスへの対応から開放されるという優位性がある。
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の製版方法においてもこの補充方式
が好ましく適用される。
本発明における現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像記録後の平版印刷版原版をシリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
また、回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感熱層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
上記現像液の温度は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
なお、本発明において、擦り処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
その他、本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
上記製版プロセスについて、さらに詳述する。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。具体的には、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲であると上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
また、本発明においては上述の露光工程および、好ましくは加熱処理工程の後に、現像処理工程が施され、平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段および現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていても良い。
使用する印刷版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルタまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
上記のように画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行っても良い。該全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、更に好ましくは、40〜120℃である。
上記の現像処理に先立って、平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
望ましい光源の波長は700nmから850nmの赤外と350nmから450nmであり、特に好ましくは350nmから450nmである。具体的にはInGaN系半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明に使用可能な他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、
導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2
)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n
、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の平版印刷版原版の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の平版印
刷版原版においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組
み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<アルミ支持体1の作製>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
得られたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行うことにより、アルミニウム支持体1を作製した。その際のシリケート付着量はいずれも3.6mg/m2であった。
このようにして得られた支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
<平版印刷版用支持体1〜6の作製>
上記のようにして得られたアルミ支持体1上に、以下の組成を有する表面処理組成物液を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた表面処理組成物層の塗布量は、10mg/m2であった。
(表面処理組成物液)
・表1記載の表面処理化合物 0.50g
・1−メトキシ−2−プロパノール 250.00g
・メチルエチルケトン 250.00g
<平版印刷版用支持体1〜6の親水化処理>
上記のようにして得られた平版印刷版用支持体1〜6を、3×3cmの大きさに切断し
、下記組成の水溶液1〜12(pHは約5.0):20mLに1分間浸漬した。その後、蒸留水により支持体を洗浄し、100℃にて1分間乾燥して親水化処理後の平版印刷版用支持体を作製した。
(水溶液1〜12)
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル
(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・表1記載の親水性化合物 1.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
以上のようにして得られた平版印刷版用支持体1〜6の親水化処理前後の空中水滴接触角を接触角計(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2009086351
Figure 2009086351
Figure 2009086351
Figure 2009086351
表1より明らかなように、本発明の親水性化合物を含有する水溶液で処理すると空中水滴接触角が大きく低下し、親水性が向上することが分かる。
〔実施例1〜6及び比較例1〜18〕
<平版印刷版原版1、2の作製>
上記のようにして得られた平版印刷版用支持体1及び6上に、以下の組成を有する画像形成層塗布液1を塗布し、80℃にて1分間乾燥した。得られた画像形成層の塗布量は、1.2g/m2であった。
(画像形成層塗布液1)
・バインダーポリマー(1)(Mw:8万) 0.54g
・下記重合性化合物(1) 0.48g
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.10g
・下記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸
(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/
メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15
質量部/20質量部/40質量部〕
・メチルエチルケトン 4.80g
・ジメチルスルホキシド 4.80g
重合性化合物(1):エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15、分子量1000)
Figure 2009086351
こうして得られた感光層上に、以下の組成を有する保護層塗布液1を乾燥塗布量が0.50g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して平版印刷版原版1、2を作製した。
(保護層塗布液1)
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 40g
・ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
・ポリ〔ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)〕 分子量7万 0.5g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
・水 950g
<露光、現像および印刷>
上記平版印刷版原版1、2について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、下記組成の現像水溶液(pH=約4.5)を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し未加熱の平版印刷版を作成した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
現像水溶液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像水溶液のタンク容量は、10リットルであった。
(現像水溶液)
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 1.00g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・表2に記載の親水性化合物 3.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
一方、レーザー露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃に、15秒間保持した。その後、30秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し加熱した平版印刷版を作成した。
次いで、現像した未加熱の平版印刷版、加熱した平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
<評価>
先に作製した平版印刷版原版を用いて、耐刷性、汚れ性を下記のように評価した。結果を表2に示す。
(耐刷性)
上述したように、印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。同一露光量で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を相対評価した。
比較例1を基準として100とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象感材の耐刷枚数)×100/(基準感材の耐刷枚数)
(汚れ性)
印刷開始後、500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により汚れ性を相対評価した。比較例1を基準として100とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、即ち汚れ性が良好であることを表す。
汚れ性=(基準感材の非画像部インキ濃度)×100/(対象感材の非画像部インキ濃度)
Figure 2009086351
〔実施例7〜18及び比較例19〜30〕
<平版印刷版原版3及び4の作製>
上記平版印刷版溶支持体6を平版印刷版用支持体2に、上記画像形成層塗布液1を下記画像形成層塗布液2に、上記保護層塗布液1を下記保護層塗布液2に変更した以外は、平版印刷版原版1、2と同様にして平版印刷版原版3、4を作製した。
(画像形成層塗布液2)
・バインダーポリマー(2)(Mw:9万) 0.54g
・下記重合性化合物(2) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸
(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/
メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15
質量部/20質量部/40質量部〕
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2009086351


重合性化合物(2)
Figure 2009086351


バインダーポリマー(2)
(保護層塗布液2)
・下記雲母分散液(1) 13.00g
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル=1/1)分子量7万 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133.00g
(雲母分散液(1)の調製)
水368gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
得られた平版印刷版原版3、4を、表3に記載の親水性化合物を含有する上記組成の現像水溶液を用いて実施例1と同様にして評価した。評価の基準には比較例19、25を用いた。結果を表3に示す。
Figure 2009086351
〔実施例19〜30及び比較例31〜42〕
<アルミ支持体2の作製>
厚さ0.3mmのJIS−A−1050に従うアルミニウム板を用い、下記に示す工程(a)〜(k)をこの順序で実施して処理した。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行っ
た。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8ms、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。エッチング量は、3.5g/m2であった。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2 であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
得られたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行うことにより、アルミニウム支持体2を作製した。その際のシリケート付着量はいずれも3.6mg/m2であった。
<下塗り層3の形成>
上記のようにして得られたアルミ支持体2上に、以下の組成を有する下塗り層塗布液3を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた下塗り層の塗布量は、7mg/m2であった。
(下塗り層塗布液3)
・上記表面処理化合物(C) 0.50g
・N−メチルピロリドン 50.00g
・メタノール 450.00g
<下塗り層4の形成>
上記のようにして得られたアルミ支持体2上に、以下の組成を有する下塗り層塗布液4を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた下塗り層の塗布量は、8mg/m2であった。
(下塗り層塗布液4)
・上記表面処理化合物(E) 0.50g
・N−メチルピロリドン 50.00g
・メタノール 450.00g
<平版印刷版原版5、6の作製>
上記の下塗り層3、4を有するアルミ支持体上に、下記組成の画像形成層層塗布液5をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の画像形成層を形成して平版印刷版用原版5、6を作製した。なお、画像形成層塗布液5は、下記母液1およびマイクロカプセル液2を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
(母液1)
・バインダーポリマー(3)(Mw:8万) 0.162g
・下記重合開始剤(1) 0.160g
・下記重合開始剤(2) 0.180g
・下記赤外線吸収剤(3) 0.020g
・重合性化合物 0.385g
アロニックスM−215(東亜合成(株)製)
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.210g
Figure 2009086351
Figure 2009086351
マイクロカプセル液2
・下記の通り合成したマイクロカプセル(2) 2.640g
・水 2.425g
(マイクロカプセル液2の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスSR−399(東亞合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製) 0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
上記の画像形成層上に下記保護層塗布液(3)をバー塗布した後、125℃75秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成して平版印刷版原版を得た。
保護層塗布液(3)
・ポリビニルアルコール(6質量%水溶液) 2.24g
(株)クラレ製PVA105、ケン化度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン(K30) 0.0053g
・界面活性剤(花王(株)製エマレックス710)1質量%水溶液 2.15g
・鱗状合成雲母(3.4質量%水分散物) 3.75g
(UNICOO(株)製MEB3L、平均粒径1〜5μmΦ)
・蒸留水 10.60g
<露光、現像および印刷>
上記平版印刷版原版5、6の各々について、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。
その後、上記組成の現像水溶液3を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し未加熱の平版印刷版を作成した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
水溶液3は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。水溶液3のタンク容量は、10リットルであった。
一方、レーザー露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃に、15秒間保持した。その後、30秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し加熱した平版印刷版を作成した。
次いで、現像した未加熱の平版印刷版、加熱した平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(現像水溶液3)
・水 100.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.50g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・表4記載の親水性化合物 3.00g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
<評価>
先に作製した平版印刷版原版を用いて、耐刷性、汚れ性を上記の実施例1のように評価した。結果を表4に示す。なお、評価基準としては比較例5531、6137を用いた。
Figure 2009086351
〔実施例31〜42及び比較例43〜54〕
<平版印刷版原版7の作製>
上記の下塗り層3を有するアルミ支持体上に、下記組成の画像形成層層塗布液6をバー塗布した後、100℃、120秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の画像形成層を形成して平版印刷版用原版7を作製した。
(画像形成層塗布液6)
・熱脱炭酸ポリマー(1)(Mw:5万) 1.0g
・赤外線吸収剤NK−3508 0.15g
(日本感光色素研究所(株)製)
・メガファックF−177 0.06g
(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)
・メチルエチルケトン 20g
・メチルアルコール 7g
Figure 2009086351
熱脱炭酸ポリマー(1)
<平版印刷版原版8の作製>
上記の下塗り層4を有するアルミ支持体上に、下記組成の画像形成層塗布液7をバー塗布した後、80℃、180秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.2g/m2の画像形成層を形成して平版印刷版原版8を作製した。
(画像形成層塗布液7)
・感熱高分子化合物(1)(Mw:6万) 4.0g
・赤外線吸収剤(IR−125、和光純薬(株)製) 0.15g
・酸発生剤
ジフェニルヨードニウムアントラキノンスルホン酸塩 0.15g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを
1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177
大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g
・メチルエチルケトン 20g
・γ−ブチロラクトン 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8g
・水 2g
Figure 2009086351

感熱高分子化合物(1)
得られた平版印刷版原版7、8を、表5に記載の親水性化合物を含有する上記組成の現像水溶液を用いて実施例19と同様にして評価した。評価の基準にはそれぞれ比較例43、49を用いた。結果を表5に示す。
Figure 2009086351
〔実施例43〜54及び比較例55〜66〕
平版印刷版原版1及び3を実施例1及び実施例7と同様にして画像露光した後、下記図2に示す構造の自動現像処理機の現像浴に下記組成の現像液4を、Fin浴に下記組成を有する水溶液5を入れて、現像処理を実施し未加熱の平版印刷版を作成した。
一方、レーザー露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃に、15秒間保持した。その後、30秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し加熱した平版印刷版を作成した。
次いで、現像した未加熱の平版印刷版、加熱した平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(現像液4)
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル
(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
(水溶液5)
・水 100.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・表6記載の親水性化合物 2.00g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
<評価>
上記のようにして作製した平版印刷版を用いて、耐刷性、汚れ性を実施例1のように評価した。結果を表6に示す。なお、評価基準としては、それぞれ比較例55、61を用いた。
Figure 2009086351
〔実施例55〜66及び比較例67〜78〕
上記のようにして作成した平版印刷版原版5、8の各々について、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。得られた露光済み平版印刷版原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。以下に示す組成を有する湿し水(1)とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)を供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行い、実施例1と同様にして耐刷性及び耐汚れ性を評価した。評価の基準にはそれぞれ比較例67、73を用いた。結果を表6に示す。
<湿し水(1)>
・表7記載の親水性化合物 3質量部
・EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液) 1質量部
・水 89質量部
・イソプロピルアルコール 7質量部
Figure 2009086351
〔実施例67〜78及び比較例79〜90〕
<平版印刷版原版9の作製>
上記平版印刷版用支持体3上に、下記組成の画像形成層塗布液Aを塗布し、35℃で1時間乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の画像形成層を形成して、平版印刷版原版9を作製した。
(画像形成層塗布液A)
Hostapal B(重合体に対して1%)で安定化されたポリメタクリル酸メチル(粒子直径90nm)の脱イオン水中10%分散液11.25gに、撹拌しながら、5.83gのカーボンブラックの水中15%分散液、57.92gの水および25gの98%加水分解されたポリ酢酸ビニル(質量平均分子量:20万)の2%水溶液を連続的に加えた。
<平版印刷版原版10の作製>
上記平版印刷版用支持体4に、下記組成の画像形成層塗布液Bを塗布し、60℃にて2分間乾燥して平版印刷用原板10を作製した。
(画像形成層塗布液B)
水 30g
以下の処方にして調製したノボラック樹脂微粒子 11.8g
トリクレジルホスフェート 0.1g
メガファックF−171 0.1g
(ノボラック樹脂微粒子の調製)
酢酸エチル12.0gおよびメチルエチルケトン6.0gに、質量平均分子量1500のフェノールノボラック樹脂(メタ/パラ比60/40)6.0g、光熱変換剤(以下の構造式で表されるIR−26)1.5g、アニオン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを溶解し、油相を作製した。これに4%のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)水溶液36.0gの水相を加え、ホモジナイザーで15000rpmで15分間乳化させた。水24.0gを加えた後に、この液を40℃で3時間、有機溶剤を飛ばしながら加熱した。固形分濃度を測定したところ13.0質量%であった。平均粒径は0.25μmであった。
Figure 2009086351
<露光、現像および印刷>
上記平版印刷版原版9を1050nmで発光する走査NdYLF赤外線レーザーで露光した(像形成要素表面上の走査速度4m/秒、スポット寸法15μmおよび170mWの
馬力)。一方、平版印刷版原版10は、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm 2 、解像度2400dpiの条件で露光した。
その後、下記組成の現像水溶液3を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版を作成した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
水溶液3は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。水溶液3のタンク容量は、10リットルであった。
次いで、現像した未加熱の平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(現像水溶液3)
・水 100.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.50g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・表8記載の親水性化合物 3.00g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
<評価>
先に作製した平版印刷版原版を用いて、耐刷性、汚れ性を上記の実施例1のように評価した。結果を表8に示す。なお、評価基準としては表8に記載の比較例を用いた。
Figure 2009086351
以上の実施例から明らかなように、本発明の製版方法及び処理液を用いることで、耐刷が高く汚れ性に優れた簡易現像型の平版印刷版を得ることができる。
自動現像処理機の構造を説明するための図である。 自動現像処理機の構造を説明するための図である。
符号の説明
1 搬送ローラ対
2 搬送ローラ対
3 回転ブラシローラ
4 搬送ローラ対
5 搬送ローラ対
6 回転ブラシローラ
7 回転ブラシローラ
8 搬送ローラ対
9 搬送ローラ対
10 受けローラ
11 搬送ローラ対
12 搬送ローラ対
13 搬送ローラ対
61 回転ブラシロール
62 受けロール
63 搬送ロール
64 搬送ガイド板
65 スプレーパイプ
66 管路
67 フィルター
68 給版台
69 排版台
70 現像液タンク
71 循環ポンプ
72 版

Claims (13)

  1. アルカリ金属シリケート処理されたアルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版を、以下の一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の現像液で現像するか、pH10以下の現像液により現像した後、以下の一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の水溶液で非画像部のアルミニウム支持体表面を処理することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
    Figure 2009086351
    式中、M1及びM2は、各々独立に、水素原子、金属イオンまたはオニウムイオンを表す。R1〜R7は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R1〜R4の任意の2つまたはR5〜R7の任意の2つで環を形成しても良い。Xは窒素原子または燐原子を表し、Zはカウンターアニオンを表す。kは1〜4の整数を表す。
  2. 一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物が、親水性官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の製版方法。
  3. 親水性官能基が、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、カルボン酸(塩)基、リン酸(塩)基、水酸基、硫酸モノエステル(塩)基、アンモニウム基、スルホンアミド基、アミノ基、及び、硫酸モノアミド(塩)基から選択される基であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版の製版方法。
  4. 一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物が、質量平均分子量1000以上の高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  5. 前記アルミニウム支持体が、陽極酸化処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  6. 前記アルミニウム支持体が、粗面化処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  7. 前記アルミニウム支持体が、封孔処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  8. 前記アルミニウム支持体が、疎水性化合物が塗布されているアルミニウム支持体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  9. 一般式(1)または(2)で表される官能基の何れかを有する化合物を含有するpH10以下の現像液または水溶液が、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  10. 該感光層が、少なくともラジカル重合性化合物、親水性高分子化合物、350〜1200nmに吸収を有する増感色素、ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  11. アルミニウム支持体上に感光層を有する平版印刷版原版が、感光層の上に保護層を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  12. 該感光層が、少なくとも熱融着性樹脂微粒子、750〜1200nmに吸収を有する色素を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  13. 該感光層が、少なくとも極性変換高分子化合物、750〜1200nmに吸収を有する色素を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
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