JP2009083033A - ねじ締結工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音及び振動が小さく静粛で操作性の良いねじ締結工具を提供すること。
【解決手段】駆動源であるモータからギヤ7を経て回転が伝達されるギヤシャフト8と、該ギヤシャフト8に対して相対回転可能に支持されたソケット(スピンドル)10と、ギヤシャフト8に固定された駆動クラッチ部11と、ギヤシャフト8に回転可能且つ軸方向に移動可能に支承された従動クラッチ部19を備えたねじ締結工具1において、前記駆動クラッチ部11の駆動爪14と前記従動クラッチ部19の従動爪21の形状を軸心から延びる扇形とするとともに、両爪14,21の扇形の角度を9°〜36°の範囲に設定し、初期噛み合い時においては駆動爪14と従動爪21が少なくとも各々2枚以下で噛み合うよう構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、動力を用いたねじ締結工具に関し、特にモータを連続的に回転駆動しながら所定の締付深さでねじに加わるトルクを遮断するクラッチ機構を備えたねじ締結工具に関するものである。
ねじ締結工具として例えばスクリュードライバが従来から知られているが、このスクリュードライバとしては、一部に軸方向に位置調整可能なストッパを設け、このストッパが被締結材に当接するまで作業者がねじを介してスクリュードライバ本体を押し、ストッパが被締結材に当接した後はクラッチの遮断動作を爪等で行うものが用いられている。
斯かるスクリュードライバでは、作業効率を上げるためにモータを連続的に高速で回転駆動しながら作業を行うため、単にギヤとスピンドル間に各々クラッチ爪を介装するだけのものであれば、爪の干渉、即ちねじ締め開始時のクラッチ爪同士の衝突及びねじ締め終了後のクラッチ爪同士の再衝突によって大きな騒音や振動が発生する。このような騒音や振動は周りや作業者自身に不快感を与えるばかりか、爪が摩耗し易く、寿命の点でも問題となる。このため、操作性の良い快適なねじ締結工具が望まれていた。
騒音、振動、操作性及び寿命を改善するには、ねじ締め終了後のクラッチを完全に遮断状態とすれば良く、特許文献1には、モータに設けられたピニオンと噛み合うギヤに一体成形された駆動用クラッチ爪とねじ締め用ドライバビットを保持するスピンドル軸に設けられた出力用クラッチ爪との間に、出力用クラッチ爪と常時係合する回転可能且つ軸方向に摺動可能な第3の中間クラッチ爪を設け、駆動用クラッチ爪と中間クラッチ爪間を一定の距離を有するようバネを配したスクリュードライバが提案されている。
斯かるスクリュードライバを用いたねじ締め作業は、モータを回転させたままドライバビットにねじを取り付け、即ち、ギヤと駆動用クラッチ爪を回転させたまま、被締結材にスクリュードライバを押し付けることによってなされる。この場合、スピンドル軸は、駆動用クラッチ爪と中間クラッチ爪と一体になって駆動用クラッチ爪側に移動し、中間クラッチ爪と駆動用クラッチ爪とが噛み合い、スピンドル軸にトルクが伝達されてねじが締め付けられ、所定の位置で駆動用クラッチ爪と中間クラッチ爪が外れてトルク伝達が遮断される。そして、トルク伝達が遮断された後は駆動用クラッチ爪と中間クラッチ爪の間に縮装されたバネによって駆動用クラッチ爪と中間クラッチ爪間に一定の距離が保持され、クラッチ爪同士の再衝突による打撃音が発生しないため、ねじ締め終了後の騒音や振動が低減される。
又、特許文献2には、ねじ締め開始時の騒音と振動も改善する目的のために、モータに設けたピニオンに噛み合う駆動ギヤに、複数のボールを介して軸方向に移動可能な駆動側クラッチ部材を設けるとともに、ハウジングに対して回転可能且つ軸方向に移動可能に支持されたスピンドルにも同様に複数のボールを介して軸方向に移動可能な被動側クラッチ部材を設け、駆動側クラッチ部材と互いの係合離脱によって駆動ギヤとスピンドル間で動力の伝達と遮断を行うようにしたスクリュードライバが提案されている。
このスクリュードライバの特徴は、ねじ締め初期に回転中の駆動側クラッチ部材の爪と静止している被動側クラッチ部材の爪とをスムーズに噛み合わせる係合促進機構を有していることである。即ち、ねじ締め作業時、ドライバビットにねじを取り付け、被締結材にスクリュードライバを押し付けると、スピンドルとスピンドル側被動クラッチ部材が駆動側クラッチ部材側に移動し、双方の爪が係合する直前に被動側クラッチ部材の爪がボールによって駆動側クラッチ部材の爪に押されて爪同士の噛み合いがなされるようにしている。
更に爪同士が噛み合いを始めると、駆動ギヤと駆動側クラッチ部材間に介装されたボールによって駆動側クラッチ部材が被動側クラッチ部材側に瞬時に移動し、爪同士をより深く噛合させるよう構成されている。そして、ねじ締め終了時にスピンドル側のクラッチ部材の爪が駆動側クラッチ部材の爪から外れると、バネの作用によって駆動側クラッチ部材とスピンドル側クラッチ部材間に一定の距離が確保されるよう駆動側クラッチ部材は初期位置に戻り、ギヤ側の駆動側クラッチ部材とスピンドル側の被動側クラッチ部材との間に適正な空間が形成されるため、静音クラッチが実現して騒音と振動が低減される。
特公平3−005952号公報 特開2006−116656号公報
特許文献1に記載されたスクリュードライバにおいては、ねじ締め終了後には大きな効果が得られるが、近年、ねじ締め作業速度を上げるためにモータを高速回転させる傾向にあることから、特にねじの締め始めにスムーズな噛み合いがなされなくなる可能性があるという問題がある。
ねじ締め初期に回転中の駆動用クラッチ爪と静止している中間クラッチ爪を噛み合わせるには、駆動用クラッチ爪の移動速度を速くして噛み合わせる必要があり、作業者が勢い良くスクリュードライバを押すことによって対処しているが、腕が疲れる作業となっていた。
一方、移動速度を遅くする、即ち、軽い押付力でスクリュードライバを押すことによって作業は楽にはなるが、クラッチ爪がすぐには噛み合わず、互いの爪先端が衝撃的にぶつかり合って大きな騒音や振動が発生する干渉が起き、更には爪の摩耗を早める原因ともなっていた。
又、特許文献2に記載された発明は、高速化に対応し、特許文献1に記載されたスクリュードライバの欠点を補うためになされたものである。作業者がねじを介してスクリュードライバを被動側クラッチ部材と駆動側クラッチ部材間に配されたスプリングの付勢力に抗して押し付けると、スピンドル被動軸がボールを押し、ボールが支持軸の段差を乗り越えることによって被動側クラッチ部材を瞬時に駆動側クラッチ部材に移動させ、作業者がスクリュードライバを大きな推力で押し、スピンドルと被動側クラッチ部材を高速で移動させるのと同じ効果を得ようとするものである。更には、駆動側クラッチ部材の爪と被動側クラッチ部材の爪が係合すると、駆動側クラッチ部材がスピンドル側被動側クラッチ部材に瞬時にスライドして双方が深く噛み合って動力を伝達し、動力伝達の遮断も確実に行われるというものである。
しかしながら、本方式では部品点数が増え、構造も複雑なものとならざるを得ない。又、スプリングの付勢力に加えて、ボールが支持軸の段差を乗り越える際には、より大きなスクリュードライバを押す力が必要となり、作業者の負担は依然として軽減されていない。
更に、被動側クラッチ部材の爪と駆動側クラッチ部材の爪を瞬時に互いに噛み合う方向へ移動させるため、爪同士の干渉がなく噛み合ったとしても、クラッチ部材同士が軸方向で高速で衝突し、単発の大きな騒音と衝撃力が発生することになる。このような動力の伝達と遮断時の騒音や振動及び全体の操作性等を含めてフィーリングの良いねじ締結工具の要求が高まっている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、騒音及び振動が小さく静粛で操作性の良いねじ締結工具を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、駆動源であるモータからギヤを経て回転が伝達されるギヤシャフトと、該ギヤシャフトに対して相対回転可能に支持されたスピンドルと、ギヤシャフトに固定された駆動クラッチ部と、ギヤシャフトに回転可能且つ軸方向に移動可能に支承された従動クラッチ部を備え、前記駆動クラッチ部の駆動爪と前記従動クラッチ部の従動爪との噛合/離脱によって前記モータの回転を前記スピンドルに対して伝達/遮断し、遮断後に前記駆動爪と前記従動爪とを離間させることによってねじの締め付けと緩め作業を前記モータを連続的に回転駆動しながら行うねじ締結工具において、前記駆動クラッチ部の駆動爪と前記従動クラッチ部の従動爪の形状を軸心から延びる扇形とするとともに、両爪の扇形の角度を9°〜36°の範囲に設定し、初期噛み合い時においては駆動爪と従動爪が少なくとも各々2枚以下で噛み合うよう構成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、少なくとも前記ギヤと前記駆動クラッチ部とを分離して両者を相対回転可能に遊嵌するとともに、両者間に弾性体を介設したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記駆動クラッチ部に前記駆動爪よりも高さが低い低駆動爪を別途形成するとともに、前記従動クラッチ部に前記従動爪よりも高さが低い低従動爪を別途形成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、作業者が従動クラッチ部の軸方向移動速度を速くしたと同様の効果を得ることができるが、実際には従動クラッチ部の軸方向移動速度を速くしている訳ではないため、駆動クラッチ部と従動クラッチ部同士の衝突による軸方向の単発の大きな騒音や振動は発生せず、たとえ爪同士が瞬時に噛み合わず、爪同士の干渉が起きても干渉する爪数が少ないため、単位時間当たりの衝撃を受ける回数が少なくなり、大きな騒音と振動の発生を防ぐことができる。そして、駆動クラッチ部の駆動爪と従動クラッチ部の従動爪の形状を軸心から延びる扇形とするとともに、両爪の扇形の角度を9°〜36°の範囲に設定すれば、騒音と振動を低減することができることが実験的に確認された。
請求項2記載の発明によれば、少なくともギヤと駆動クラッチ部とを分離して両者を相対回転可能に遊嵌するとともに、両者間に弾性体を介設したため、少なくともギヤと駆動クラッチ部との噛み合い時の衝撃が弾性体の弾性変形によって吸収緩和され、より一層の低騒音化と低振動化が実現するとともに、両者が瞬時に噛み合わないために互いに干渉しても、衝撃力を緩和してギヤの歯や駆動クラッチ部の駆動爪の摩耗を防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、駆動クラッチ部の駆動爪と従動クラッチ部の従動爪が磨耗した場合、両者が噛み合うまでは押付力が増えてくるが、摩耗していない新しい低駆動爪と低従動爪とが噛み合うため、小さな押付力でねじ締め作業を継続することができる。又、たとえ駆動爪と従動爪が摩耗で破損したとしても、低駆動爪と低従動爪でトルクを伝達してねじ締め作業をそのまま継続することができる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具要部の側断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は同ねじ締結工具の駆動クラッチ部の平面図、図4は図3のB−B線断面図、図5は同ねじ締結工具のキャップの平面図、図6は同ねじ締結工具の爪噛み合いの直前の状態を示すクラッチ部の展開図、図7は同ねじ締結工具のねじ締め中の爪噛み合い状態を示すクラッチ部の展開図、図8は同ねじ締結工具の駆動クラッチ部の寸法形状を示す平面図である。
本実施の形態に係るねじ締結工具1においては、図1に示すように、ギヤカバー2の下端部に深さ調節可能な円筒状のストッパスリーブ3がねじ込みによって取り付けられている。このストッパスリーブ3を手で回転させることによって該ストッパスリーブ3とギヤカバー2との相対距離を調節することができ、これによってねじ送り距離を調節することができる。
又、ハウジング4内には駆動源である不図示のモータが収容されており、ハウジング4の端部には、当該ねじ締結工具1を把持するための不図示のハンドルと不図示のモータを起動/停止するための不図示のスイッチが設けられている。更に、モータの出力軸はインナーカバー6を貫通してこれの下方に突出しており、その端部に刻設されたピニオン5はギヤ7に噛合しており、インナーカバー6にはギヤシャフト8を保持するベアリング9が圧入固定されている。そして、ギヤシャフト8は、スピンドルであるソケット10の軸内に遊嵌されており、これには駆動クラッチ部11が圧入固定されている。
上記駆動クラッチ部11は、図3及び図4に示すように、駆動クラッチ板である大径ボス12と小径ボス13とから成り、大径ボス12側でソケット10に向く面に2枚の駆動爪14が一体に形成されている。これらの駆動爪14は、高さ方向に台形状を成し、平面視で大径ボス12の中心から広がるような扇形状を成し、周方向に180°隔てた位置に対称に設けられている。
前記ギヤ7は、駆動クラッチ部11の小径ボス13に回転可能且つ摺動可能に遊嵌されており、その外周には歯が刻設され、内面側は中心軸に対して左右対称に各2つの空間15が形成されている(図2参照)。
図5に示すキャップ16は、ギヤ7側の面に向かって2つの突起17が高さ方向には垂直に、中心軸に対しては180°隔てて対称に扇形状で対向突設されている。このキャップ16は、ギヤシャフト8に圧入固定され、一端をベアリング9に、突起17が設けられた面が小径ボス13の端面にそれぞれ当接されるとともに、ギヤ7の中刳りされた部位には端面、外周共に隙間をもってギヤ7に蓋をするよう取り付けられるため、ギヤ7は、軸方向には大径ボス12とキャップ16間の隙間分だけ、回転方向には突起7間で動くことができる。
図2に示すように、ギヤ7の2つの空間15とキャップ16の2つの突起17により4分割された空間には、中央部にくびれ部36を有する弾性体18が4個装着されている。又、ギヤシャフト8には、ソケット10と駆動クラッチ部11間に従動クラッチ部19が軸方向に摺動可能且つ回転可能に遊嵌されている。
上記従動クラッチ部19は、駆動クラッチ部11側に向く従動クラッチ板20上に駆動爪14と同形状の2枚の第1従動爪21が180°対向して等間隔に設けられている。又、従動クラッチ部19のソケット10側に向く面には、図6及び図7に示すように、3つの第2従動爪22が等間隔に設けられており、これらの第2従動爪22は、ソケット10と一体に設けられた被動クラッチ部23の3つの被動爪24と常時係合している。
図6に示すように、第2従動爪22は、被動クラッチ部23に対向する面から緩やかな傾斜面25を有し、続いて垂直な横面26を有して先端面27に繋がる形状に成形されており、ソケット10側より見ると各々の面25,26,27は中心より外周面に広がる扇形状を成し、第2従動爪22は3個とも同一形状を有している。又、被動爪24も同様に傾斜面28と横面29及び先端面30を有し、第2従動爪22と同一形状を有し、同一個数(3個)設けられている。
図1に示すように、ソケット10の被動クラッチ部23の他端側には、先端にねじ33を取り付けるビット31を保持する保持部32が穿設されている。ソケット10は、ギヤカバー2内で軸受34によって回転可能且つ軸方向に摺動可能に保持されている。駆動クラッチ部11と従動クラッチ部19間にばね35が縮装されており、図1に示すように、初期状態では駆動爪14と第1従動爪21は互いに距離を隔てて噛み合わない状態にあり、第2従動爪22と被動爪24は常に接触している状態にある。
次に、以上のように構成されたねじ締結工具1の動作について説明する。
作業者が不図示のハンドルを把持し、不図示のスイッチを引いてモータを起動すると、ピニオン5、ギヤ7、駆動クラッチ部11、ギヤシャフト8及びキャップ16が回転する。この時点では従動クラッチ部19とソケット10は回転しない。
ビット31の先端にねじ33を取り付け、この状態からねじ締結工具1の操作者が被締結材37にねじ33を介してねじ締結工具1を押し付けると、ソケット10、被動クラッチ部23及び従動クラッチ部19がばね35の付勢力に抗してギヤ7側に移動し、回転している駆動クラッチ部11の駆動爪14に第1従動爪21が噛み合い始める。ここで、駆動爪14と第1従動爪21が噛み合う際に発生する衝撃力は、ギヤ7と駆動クラッチ部11間の弾性体18の作用により、ばね定数の低いくびれ部36が最初に潰れ変形し、次に全体が徐々に変形して大きな緩衝効果と減衰効果が得られる。
図6は駆動クラッチ部11の駆動爪14と従動クラッチ部19の第1従動爪21とが噛み合いを始める直前の状態を示し、矢印は駆動クラッチ部11の回転方向を示す。ここで、駆動クラッチ部11の駆動爪14に従動クラッチ部19の第1従動爪21が噛み合うと、従動クラッチ部19の第2従動爪22は、被動クラッチ部23の被動爪24の傾斜面28に沿って登り、各々の横面26,29が噛み合った状態で図7に示すように駆動クラッチ部11と従動クラッチ部19及び被動クラッチ部23は一体に回転する。
上記状態で更にねじ33を締めていくと、ストッパスリーブ3が被締結材37に突き当たり、駆動クラッチ部11の駆動爪14と従動クラッチ部19の第1従動爪21が台形状を成して噛み合っているため、回転トルクの分力で駆動爪14と第1従動爪21が互いに引き離れる方向の力を受け、更に、ばね35の作用によって従動クラッチ部19が被締結材37側に押し出されることによって駆動爪14と第1従動爪21の噛み合いが外れ、その後、ばね35の作用によって従動クラッチ部19は図6に示す初期状態の位置に戻り、駆動爪14と第1従動爪21間には隙間が確保されて両者の接触は起きず、静粛性が確保される。
ここで、図8に示すような駆動クラッチ部11の大径ボス12に対する駆動爪14の占有面積比と、従動クラッチ部19の従動クラッチ板20に対する第1従動爪21の占有面積比によって噛み合い時の騒音がどのように変化するかを測定した結果を表1及び図9に示す。条件として、駆動爪14と第1従動爪21は共に爪数が2個で同一形状であり、クラッチ部11,19の中心から外周に扇形に延びる形状を成し、高さ方向には約25°前後の傾斜の台形状を成している。
Figure 2009083033
図8の大径ボス12に示されるように扇形の角度θは駆動爪14の底面と上面の平均角度とし、駆動クラッチ部11が回転したときに駆動爪14が描く軌道面積Smm2 に対する駆動爪の面積smm2 との比をP%とし、角度θを変数として初期噛み合い時の騒音を計測した。従動クラッチ部20も同様である。
このときのS,s,Pはそれぞれ次式で表される。
S=3.14((D/2)2 −(d/2)2
s=2Sθ/360
P=(s/S)×100=(2θ/360)×100
図8に示すように、大径ボス12の外径をD、ばね35を配置するために必要なスペースをdとすると、dは約12mm必要であるため、このときのDは約22mm前後がスペース上及び製作上の限度となり、この最小径で検討した。駆動クラッチ部11の回転数は現在最も高速で能率が良いとされる6000rpmで検討した。又、ねじ締結工具1の押圧力を軽めの3kgf、強めとされる10kgfとした。現在製品に使用されている一例としてPを45%、即ちθを81°を最大としてこれからθを減じていった。
表1及び図9に示す結果から無負荷時の騒音77dBAに対して負荷時は騒音が大きいが、角度θを小さくすればするほど駆動爪14間及び第1従動爪21間の距離が広がり、爪14,21同士が干渉する機会が減って騒音が低くなることが分かる。又、押付力を大きくして噛み合い速度を上げることによって同様に噛み合い時の爪14,21の干渉が減り、騒音が低くなることが分かった。尚、図9において、○は押圧力3kgfの場合であり、●は押圧力10kgfの場合である。
そこで、θが81°のときの騒音値に対して6dBAの低減を図ることができれば、騒音エネルギーで1/2となり、はっきりと差が分かると言われている。測定結果から、6dBAの低減が得られるのは押付力3kgfの場合は93dBAが87dBA、押付力10kgfの場合で89dBAが83dBAになるθは双方とも略36°、Pが約20%以下であれば良いことが分かった。
一方、強度上から見ると、スクリュードライバは木材、軽天と呼ばれる鉄板にねじ33で石膏ボードを取り付けたるための工具であり、常用トルクとして400kgf・mm程度のトルクがあれば十分であり、角度θが9°のときの爪14,21の占有面積Sを断面積と考えて応力を計算すると、爪14,21の半径方向の中央に加わる力は平均で、
400kgf・mm÷17mm=23.5kgf
であり、これを占有面積P=5%、s=13mm2 で計算すると、応力は、
23.5kgf÷13mm2 =2kgf/mm2
となり、全く問題ないことになる。
しかし、衝撃的に爪14,21同士が噛合う際は、場合によって常用トルクの4倍程度の衝撃トルク1600kgf・mm以上が発生することもある。本実施の形態では、弾性体18によって衝撃を大幅に緩和させているが、弾性体18の摩耗と塑性変形が進行して該弾性体18が無くなった状態を考慮し、又、製作精度等により爪1枚だけでトルクを受けることも想定して再計算すると、平均で、
1600kgf・mm÷17mm=94kgf
となる。この力を爪1枚、s=6.5mm2 で受けたとして応力は15kgf/mm2 となり、材料を焼結材料の許容応力を30kgf/mm2 と考えると、安全率は2となって問題はないが、θが9°以下、Pが5%以下になると安全率は2以下となるため、安全のために製作誤差、公差等を考慮してθは9°以上が望ましい。
図10は駆動クラッチ部11の駆動爪14と従動クラッチ部19の第1従動爪21が摩耗した状態を示す。このような状態になると噛み合い面の台形状が崩れ、トルクによる分力によって駆動爪14と第1従動爪21を引き離す力が大きくなり、噛み合うまで及び噛み合ってからでも常により大きな押付力でねじ締結工具1を押し続けねばならない。これを繰り返していると最後には爪14,21が薄くなって破損してしまう。この問題を解決するための実施の形態を以下に示す。
<実施の形態2>
本実施の形態では、図11に示すように、駆動クラッチ部11に低駆動爪40を2枚、駆動爪14に対して90°だけ位相をずらして配置した。ここで、低駆動爪40は、駆動爪14と同様の形状で高さのみを0.5mm低くしただけである。
従動クラッチ部19の第1従動爪21に対しても低駆動爪40と同形状の低第1従動爪41を同様に配置した例を図12の展開図に示す。
駆動爪14と第1従動爪21が磨耗した場合、両者が噛み合うまでは押付力が増えてくるが、僅か0.5mm過ぎると摩耗していない新しい低駆動爪40と低第1従動爪41が噛み合い、小さな押付力でねじ締め作業を継続することができる。又、たとえ駆動爪14と第1従動爪21が摩耗で破損したとしても、低駆動爪40と低第1従動爪41でトルクを伝えることができ、その際のねじ締め深さの調整はストッパスリーブ3で対応することができる。
但し、駆動爪14と第1従動爪21が摩耗していない新しい状態で、最初に駆動爪14と低第1従動爪41とが噛み合う現象が起きた場合、即ち、4枚の爪14,21,40,41が同時に噛み合う場合に騒音と振動は高くなってしまう。
そこで、図13に駆動クラッチ部11と従動クラッチ部19だけの展開面を示し、上記現象が発生するか否かを確認した。
駆動爪14と第1従動爪21のPを各々20%とすると、θは36°、sは53mm2 となり、第1従動爪21と低第1従動爪41の最外周間での距離Lは約10.3mmとなる。駆動爪14と低第1従動爪41の高低差を0.5mm、駆動爪14の回転数を6000rpmとする。
一般的に10kgf以下の押付力でねじ締めをしており、押付力10kgfでねじ締結工具1を押した場合、従動爪14の軸方向移動速度は実測で約300mm/sec以下である。
そこで、図13に示すの状態から6000rpmの駆動爪14がL10.3mm間で低第1従動爪41に噛み合わなければ良い。低第1従動爪41が軸方向に0.5mm移動するのに要する時間は1.7×10-3secである。
一方、駆動爪14の移動速度は外径22mmの位置で2.5×107 mm/secとなり、L10.3mmを移動に要する時間は約4×10-7secであって全く問題はない。
仮に上記の条件で従動クラッチ部19の移動速度を上げ、駆動爪14と低第1従動爪41が噛み合ったとしても、そのときは押付力が大きくなり、爪14,41同士の干渉が殆どなくなると考えられるために同様に問題はないと考えられる。
このように駆動爪14と低第1従動爪41が噛み合わない範囲であれば、駆動爪14の回転数及び爪14と40及び爪21と41との高低差は許容できる範囲で変えることができる。尚、本実施の形態では、従動クラッチ板20の外径を22mmとしたが、θ,Pの比率が変わらなければ外径を大きくしても良い。駆動爪14と第1従動爪21の枚数を1枚ずつにすると更に効果が高くなるが、偏寄荷重が加わり部品寿命に影響が出る可能性があるものの、前述のように高さの低い爪40,41を配することによって問題は解決でき、高さの低い爪40,41の枚数は設計の範囲で任意に設定することができる。
又、本実施の形態では、ギヤ7を遊合としているが、駆動クラッチ部11を遊合としてギヤ7をギヤシャフト8に圧入固定しても良く、ソケット10と被動クラッチ部23間で遊合にしても良い。又、弾性体18を使用しているが、弾性体18を用いず、単にギヤ7とギヤシャフト8間及びソケット10と被動クラッチ部23間にガタを持たせるだけでも衝撃緩和の効果が得られる。
本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具要部の側断面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具要部の駆動クラッチ部の平面図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具のキャップの平面図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具の爪噛み合いの直前の状態を示すクラッチ部の展開図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具のねじ締め中の爪噛み合い状態を示すクラッチ部の展開図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具の駆動クラッチ部の寸法形状を示す平面図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具のクラッチ部の爪の角度θと騒音との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係るねじ締結工具のクラッチ部の爪の摩耗状態を示す展開図である。 本発明の実施の形態2に係るねじ締結工具の駆動クラッチ部の平面図である。 本発明の実施の形態2に係るねじ締結工具のクラッチ部の展開図である。 本発明の実施の形態2に係るねじ締結工具のクラッチ部の展開図である。
符号の説明
1 ねじ締結工具
2 ギヤカバー
3 ストッパスリーブ
4 ハウジング
5 ピニオン
6 インナーカバー
7 ギヤ
8 ギヤシャフト
9 ベアリング
10 ソケット(スピンドル)
11 駆動クラッチ部
12 大径ボス(駆動クラッチ板)
13 小径ボス(駆動クラッチ板)
14 駆動爪
15 空間
16 キャップ
17 突起
18 弾性体
19 従動クラッチ部
20 従動クラッチ板
21 第1従動爪
22 第2従動爪
23 被動クラッチ部
24 被動爪
25 第2従動爪の傾斜面
26 第2従動爪の横面
27 第2従動爪の先端面
28 被動爪の傾斜面
29 被動爪の横面
30 被動爪の先端面
31 ビット
32 保持部
33 ねじ
34 軸受
35 ばね
36 弾性体のくびれ部
37 被締結材
40 低駆動爪
41 低第1従動爪

Claims (3)

  1. 駆動源であるモータからギヤを経て回転が伝達されるギヤシャフトと、該ギヤシャフトに対して相対回転可能に支持されたスピンドルと、ギヤシャフトに固定された駆動クラッチ部と、ギヤシャフトに回転可能且つ軸方向に移動可能に支承された従動クラッチ部を備え、前記駆動クラッチ部の駆動爪と前記従動クラッチ部の従動爪との噛合/離脱によって前記モータの回転を前記スピンドルに対して伝達/遮断し、遮断後に前記駆動爪と前記従動爪とを離間させることによってねじの締め付けと緩め作業を前記モータを連続的に回転駆動しながら行うねじ締結工具において、
    前記駆動クラッチ部の駆動爪と前記従動クラッチ部の従動爪の形状を軸心から延びる扇形とするとともに、両爪の扇形の角度を9°〜36°の範囲に設定し、初期噛み合い時においては駆動爪と従動爪が少なくとも各々2枚以下で噛み合うよう構成したことを特徴とするねじ締結工具。
  2. 少なくとも前記ギヤと前記駆動クラッチ部とを分離して両者を相対回転可能に遊嵌するとともに、両者間に弾性体を介設したことを特徴とする請求項1記載のねじ締結工具。
  3. 前記駆動クラッチ部に前記駆動爪よりも高さが低い低駆動爪を別途形成するとともに、前記従動クラッチ部に前記従動爪よりも高さが低い低従動爪を別途形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のねじ締結工具。
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