JP2006315093A - インパクト工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】経時変化によって緩衝材が塑性変形しても、緩衝機構が安定した緩衝機能を果たすことができ、締め付け能力の低下を招くことなく低騒音化を実現することができる丈夫なインパクト工具を提供すること。
【解決手段】モータによって回転駆動されるスピンドル7に回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力をハンマ8からアンビル3を経て先端工具4に間欠的に伝達することによって該先端工具4に回転打撃力を与えるインパクト工具において、回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たし、且つ、設定値以上の回転トルクを直接伝達する緩衝機構(ゴムダンパ13)を前記アンビル3に設けるとともに、該アンビル3及び緩衝機構(ゴムダンパ3)に前記スピンドル7を嵌合させる。
【選択図】図1
【解決手段】モータによって回転駆動されるスピンドル7に回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力をハンマ8からアンビル3を経て先端工具4に間欠的に伝達することによって該先端工具4に回転打撃力を与えるインパクト工具において、回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たし、且つ、設定値以上の回転トルクを直接伝達する緩衝機構(ゴムダンパ13)を前記アンビル3に設けるとともに、該アンビル3及び緩衝機構(ゴムダンパ3)に前記スピンドル7を嵌合させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転打撃力を発生して所要の作業を行うためのインパクト工具であって、特に偏摩耗の防止と騒音の低減を図ったインパクト工具に関するものである。
電動工具の一形態としてのインパクト工具は、モータを駆動源として回転打撃力を発生して先端工具を回転させつつ、これに打撃力を間欠的に与えてネジ締め等の作業を行うものであるが、反動が小さく締め付け能力が高い等の特長を有しているため、現在、広く用いられている。しかし、回転打撃力を発生する回転打撃機構を有するために作業時の騒音が大きく、この騒音が問題となっている。
図13に従来から使用されている一般的なインパクト工具の縦断面を示す。
図13に示す従来のインパクト工具は、電池パック1を電源とし、モータ2を駆動源として回転打撃機構部を駆動し、アンビル3に回転と打撃を与えることによって先端工具4に回転打撃力を間欠的に伝達してネジ締め等の作業を行うものである。
ハンマケース5に内蔵された回転打撃機構部においては、モータ2の出力軸(モータ軸)の回転は、遊星歯車機構6を経て減速されてスピンドル7に伝達され、該スピンドル7が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル7とハンマ8とはカム機構によって連結されてり、このカム機構は、スピンドル7の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝7a及びハンマ8の内周面に形成されたV字状のハンマカム溝8a及びこれらのカム溝7a,8aに係合するボール9で構成されている。
又、ハンマ8は、スプリング10によって常に先端方向(図13の右方)に付勢されており、静止時にはボール9とカム溝7a,8aとの係合によってアンビル3の端面とは隔てた位置にあり、ハンマ8とアンビル3の相対向する回転平面上の2箇所には凸部がそれぞれ対称的に形成されている。尚、ネジ11と先端工具4及びアンビル3は、回転方向が互いに拘束されている。又、図13において、14はアンビル3を回転自在に支承する軸受メタルである。
而して、前述のようにスピンドル7が回転駆動されると、その回転は前記カム機構を介してハンマ8に伝達され、ハンマ8が半回転しないうちに、該ハンマ8の凸部がアンビル3の凸部に係合してアンビル3を回転させるが、そのときの係合反力によってハンマ8とスピンドル7との間に相対回転が生ずると、ハンマ8はカム機構のスピンドルカム溝7aに沿ってスプリング10を圧縮しながらモータ2側へと後退を始める。そして、ハンマ8の後退動によって該ハンマ8の凸部がアンビル3の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ8は、スビンドル7の回転力に加え、スプリング10に蓄積された弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング10の付勢力によって前方へと移動し、その凸部がアンビル3の凸部に再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル3に加えられるため、該アンビル3に装着された先端工具4を介してネジ11に回転打撃力が伝達される。
以後、同様の動作が繰り返されて先端工具4からネジ11に回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、該ネジ11が締結対象である木材12にネジ込まれる。
ところで、斯かるインパクト工具を用いた作業中においては、ハンマ8は回転運動と同時に前後運動も行うため、これらの運動が振動源となり、アンビル3と先端工具4及びネジ11を介して締結対象である木材12が軸方向に加振されて大きな騒音を発生する。
ここで、インパクト工具を用いた作業時の騒音のうち、締結対象からの騒音エネルギーは大きな割合を占めることが分かっており、騒音低減のためには締結対象に伝わる加振力を小さくする抑える必要があり、そのための対策が種々検討されてきた(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、アンビル12を回転打撃部材7と先端工具装着部材8とに分離し、両者の間にトルク伝達部11を形成し、両者の軸方向の隙間に緩衝材10を介在させることによって、先端工具やねじに作用する軸方向の力を減少させて騒音を低減させることが記載されている。ここで、先端工具装着部材8は軸受によって直接支持されているが、スピンドル1の先端部は、先端工具装着部材8に支持された回転打撃部材7のみによって支持されている。
しかし、このような構成では、回転打撃部材7が先端工具装着部材8に対して傾き、その傾きによってスピンドル1が更に傾き、ハンマ3と回転打撃部材7との間で偏摩耗が生じる場合がある。又、不要な傾きにより回転打撃部材7の軸方向移動が妨げられ、騒音低減効果が不十分であった。
又、特許文献2には、ボール、コロ等の転動可能な部品をキー要素とし、2分割されたアンビルの両部材に設けられた溝と前記キー要素との係合によってトルク伝達部を構成することで、両部材間の軸方向の摩擦力を低減させることが記載されているが、このような構造でも前記と同様の問題があった。
又、本発明は、上記課題を解決し、丈夫で騒音の小さいインパクト工具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、モータによって回転駆動されるスピンドルに回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力をハンマからアンビルを経て先端工具に間欠的に伝達することによって該先端工具に回転打撃力を与えるインパクト工具において、回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たし、且つ、設定値以上の回転トルクを直接伝達する緩衝機構を前記アンビルに設けるとともに、該アンビル及び緩衝機構に前記スピンドルを嵌合させたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記スピンドルの前記アンビル及び前記緩衝機構への嵌合範囲を前記アンビルとこれを支承する軸受メタルとの嵌合範囲に軸方向においてオーバーラップさせたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、モータと、該モータによって回転駆動されるスピンドルと、該スピンドル上で回転及び軸方向運動するハンマと、該ハンマの回転及び軸方向運動に伴って該ハンマと係合/離脱を繰り返すアンビルと、該アンビルを回転可能に支持する軸受と、該アンビルに装着される先端工具と、を有するインパクト工具において、
前記スピンドルに、前記アンビル側に延びる軸状の先端部を設け、
前記アンビルを、
反ハンマ側に形成された第1の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第1の孔部とを有する第1の分割片と、
前記軸受に回転可能に支持され、前記先端工具を装着する部材であって、前記第1の凹凸部と回転方向に係合可能な第2の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第2の孔部を有する第2の分割片と、
前記第1及び第2の分割片の間に介在し、該第1及び第2の分割片の前記第1及び第2の凹凸部同士の軸方向の直接接触を妨げる弾性体と、
で構成したことを特徴とする。
前記スピンドルに、前記アンビル側に延びる軸状の先端部を設け、
前記アンビルを、
反ハンマ側に形成された第1の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第1の孔部とを有する第1の分割片と、
前記軸受に回転可能に支持され、前記先端工具を装着する部材であって、前記第1の凹凸部と回転方向に係合可能な第2の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第2の孔部を有する第2の分割片と、
前記第1及び第2の分割片の間に介在し、該第1及び第2の分割片の前記第1及び第2の凹凸部同士の軸方向の直接接触を妨げる弾性体と、
で構成したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記スピンドルの先端部と前記アンビルの第2の分割片との嵌合範囲と、該第2の分割片と前記軸受との嵌合範囲とを軸方向においてオーバーラップさせたことを特徴とする。
請求項1及び2記載の発明によれば、アンビルに設けられる緩衝機構は回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たすため、打撃力に伴う軸方向振動及び回転振動が緩衝機構によって吸収緩和され、振動源である回転打撃機構からの特に軸方向振動の締結対象への伝播が抑制されて低騒音化が実現される。そして、緩衝機構は、設定値以上の回転トルクを直接伝達するため、締め付け能力の低下を招くことがない。
又、アンビル及び緩衝機構にスピンドルを嵌合させたため、緩衝機構の例えばゴムダンパ等の緩衝部材が経時変化によって塑性変形しても、緩衝機構が安定的に動作して常に所期の緩衝機能を果たすことができる。
請求項3記載の発明によれば、スピンドルの先端部が第1の分割片に挿通されるのみでなく、軸受に直接支持された第2の分割片にも挿通されるため、スピンドルの不要な傾きが抑えられ、これによりスピンドルの先端部に挿通された第1の分割片の不要な傾きも抑えられる。よって、ハンマと第1の分割片との間の偏摩耗を防ぐことができるとともに、第1の分割片が軸方向にスムースに移動できるようになり、被締付材から生ずる騒音がより小さくなる。従って、丈夫で騒音の小さいインパクト工具を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、更に先端部と第2の分割片との嵌合が、第2の分割片と軸受との嵌合範囲に及ぶため、たとえ第2の分割片が軸受に対して傾いたとしてもスピンドルは殆ど傾かず、従って、第1の分割片も殆ど傾かない。この結果、より丈夫で騒音の小さいインパクト工具を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1は本実施の形態に係るインパクト工具の回転打撃機構部の縦断面図、図2は図1のA部拡大詳細図、図3及び図4は同インパクト工具の回転打撃機構部の分解斜視図、図5はアンビルの側面図、図6は図5のB−B線断面図である。
図1は本実施の形態に係るインパクト工具の回転打撃機構部の縦断面図、図2は図1のA部拡大詳細図、図3及び図4は同インパクト工具の回転打撃機構部の分解斜視図、図5はアンビルの側面図、図6は図5のB−B線断面図である。
本実施の形態に係るインパクト工具は、電池パックを電源とし、モータを駆動源とするコードレスの手持ち式の工具であって、その構成は一部を除き図13に示した従来の回転打撃工具のそれと同様である。従って、以下の説明では図13に示したものと同一構成についての再度の説明は省略し、本発明の特徴的な構成についてのみ説明する。
本実施の形態に係るインパクト工具は、アンビル3に緩衝機構を設けるとともに、該アンビル3及び緩衝機構にスピンドル7を嵌合させたことたことを特徴としている。ここで、緩衝機構は、回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たし、且つ、設定値以上の回転トルクを直接伝達するものであって、具体的には、アンビル3が軸方向に2分割された分割片3A,3Bで構成され、両分割片3A,3B間に緩衝材としてのゴムダンパ13を介設することによって構成されている。尚、ゴムダンパ13は、後述のように第1の凹凸部である爪3c及び爪3c付け根の略円板状部の端面と、第2の凹凸部である爪3f及び爪3f付け根のフランジ部3eの端面との回転方向及び軸方向の直接接触を妨げる弾性体としても作用する。
上記一方の分割片3Aは、略円板状に成形され、その中心部には円孔3aが形成されている。そして、この分割片3Aのハンマ8側の端面には、図3に示すように、中心を通る直線状の凸部3bが一体に形成されており、ハンマ8側の端面(分解片3Aに対向する端面)には、図4に示すように、2つの扇状の凸部8bが周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に形成されており、これらの凸部8bと前記分割片3Aに形成された凸部3bとは後述のように反回転毎に間欠的に係脱する。又、分割片3Aの他方の端面(他方の分割面3Bに対向する端面)には、図4〜図6に示すように、2つの爪3cが周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に形成されており、各爪3cには円弧状の2つの凹部3−1が形成されている(図6参照)。尚、ハンマ8の中心部には円孔8cが貫設されている。
ここで、分割片3Aは、後述のようにハンマ8の凸部8bと分割片3Aの凸部3bとが係合/離脱を繰り返すため、ハンマ8と係合/離脱を繰り返す第1の分割片となる。そして、爪3cと爪3cの付け根である略円板状部の端面とにより、第1の凹凸部が形成される。
又、他方の分割片3Bは、中空状の軸部3dの一端部に円板状のフランジ部3eを軸直角方向に一体に形成して構成され、フランジ部3eの端面(分割片3Aに対向する側の端面)には、図3、図5及び図6に示すように、分割片3A側の爪3cと同様の2つ爪3fが周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に形成されており、各爪3fには円弧状の2つの凹部3f−1が形成されている(図6参照)。ここで、分割片3Bは、第1の分割片に対する第2の分割片となる。そして、爪3cと爪3cの付け根であるフランジ部3eの端面とにより、第1の凹凸部と回動方向に係合可能な第2の凹凸部が形成される。
更に、前記ゴムダンパ13は、図3、図4及び図6に示すように、中心に形成された円孔13aの周囲に4つの円柱状のダンパ片13bを周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で配列してこれらを一体化することによって構成されている。
而して、アンビル3は、図1に示すように、その分割片3Bの軸部3dが軸受メタル14によって回転自在に支承されてハンマケース5内に収納されるが、分割片3Bのフランジ部の端面3eには、間にゴムダンパ13を介在させて、他方の分割片3Aが、それらの爪3c,3f同士が図6に示すように周方向に交互に配列されるように組み付けられ、分割片3Aは、その中心に形成された円孔3aに挿通するスピンドル7の先端部7bによって分割片3Bに対して相対回転可能に支持されている。
ここで、スピンドル7の先端部7bは、分割片3Aの円孔3aとゴムダンパ13の円孔13aを貫通して他方の分割片13Bの円孔3gに隙間嵌めによって嵌合しており、図1に示すように、その嵌合範囲はアンビル3とこれを支承する軸受メタル14との嵌合範囲に軸方向においてオーバーラップしている。即ち、円孔3aがスピンドル7の先端部7bに挿通される第1の穴部として作用し、円孔3gがスピンドル7の先端部7bに挿通される第2の穴部として作用する。
又、図2に示すように、アンビル3の分割片3Bのフランジ部3eの背面と軸受メタル14の端面フランジ部14aとの間には、スラスト受け用のメタルリング15とゴムリング16が介設されている。
ところで、上述のようにアンビル3がハンマケース5内に収納された状態では、両分割片3A,3Bの周方向に交互に配列された爪3c,3fによってゴムダンパ13の外形形状に沿う空間が形成され、この空間内にゴムダンパ13が図6に示すように嵌め込まれて収納されている。
而して、アンビル3に回転打撃力が作用しない無負荷状態においては、図5及び図6(a)に示すように、両分割片3A,3Bの爪3c,3fと間には周方向隙間δ1が形成されるとともに、軸方向隙間δ2(図5参照)が形成されている。
そして、アンビル3の分割片3Bの軸部3dには先端工具4が脱着可能に装着されており、分割片3Aの外端面に形成された凸部3bに係脱される凸部8bを備えるハンマ8は、スプリング10によってアンビル3側(先端方向)に常に付勢されている。
次に、以上の構成を有するインパクト工具の作用について説明する。
回転打撃機構部においては、モータの出力軸(モータ軸)の回転は、遊星歯車機構を経て減速されてスピンドル7に伝達され、該スピンドル7が所定の速度で回転駆動される。このように、スピンドル7が回転駆動されると、その回転はカム機構を介してハンマ8に伝達され、ハンマ8は、半回転しないうちにその凸部8bがアンビル3の分割片3Aの凸部3bに係合して分割片3Aを回転させる。
そして、ハンマ8の凸部8bとアンビル3の分割片3Aの凸部3bとの係合に伴う反力(係合反力)によってハンマ8とスピンドル7との間に相対回転が生ずると、ハンマ8はカム機構のスピンドルカム溝7aに沿ってスプリング10を圧縮しながらモータ側へと後退を始める。そして、ハンマ8の後退動によって該ハンマ8の凸部bがアンビル3の分割片3Aの凸部3bを乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ8は、スビンドル7の回転力に加え、スプリング10に蓄積された弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング10の付勢力によって前方へと移動し、その凸部8bがアンビル3の凸部3bに再び係合してアンビル3を回転させ始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル3に加えられるが、アンビル3は、2つの分割片3A,3Bの間にゴムダンパ13を介在させて構成され、図5に示すように、両分割片3A,3Bの間には軸方向隙間δ2が形成されているため、打撃力によるゴムダンパ13の軸方向の弾性変形によって打撃振動が吸収減衰される。
以後、同様の動作が繰り返されて先端工具4からネジ11に回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、該ネジ11が締結対象である木材にねじ込まれる
而して、本実施の形態に係るインパクト工具においては、アンビル3に設けられる緩衝機構は回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たすため、打撃力に伴う軸方向振動及び回転振動が緩衝機構によって吸収緩和され、振動源である回転打撃機構からの特に軸方向振動の木材への伝播が抑制されて低騒音化が実現される。
而して、本実施の形態に係るインパクト工具においては、アンビル3に設けられる緩衝機構は回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たすため、打撃力に伴う軸方向振動及び回転振動が緩衝機構によって吸収緩和され、振動源である回転打撃機構からの特に軸方向振動の木材への伝播が抑制されて低騒音化が実現される。
又、緩衝機構は、設定値以上の回転トルクに対してはアンビル3の分割片3Aの爪3cを他方の分割片3Bの爪3fに直接接触させ(図6(b)参照)、両分割片3A,3Bは一体となって先端工具4及びネジ11に設定値以上の回転トルクを直接伝達してこれらを回転させるため、締め付け能力の低下が防がれる。
従って、本実施の形態に係るインパクト工具によれば、締め付け能力の低下を招くことなく低騒音化を実現することができる。
又、前述のように、スピンドル7の先端部7bは、分割片3Aの円孔3aとゴムダンパ13の円孔13aを貫通して他方の分割片13Bの円孔3gに嵌合しており、図1に示すように、その嵌合範囲はアンビル3とこれを支承する軸受メタル14との嵌合範囲に軸方向においてオーバーラップしているため、緩衝機構のゴムダンパ13が経時変化によって塑性変形しても、緩衝機構は安定的に動作して常に所期の緩衝機能を果たすことができるそして、この場合、スピンドル7の先端部7bは、分割片3Aの円孔3aとゴムダンパ13の円孔13a及び分割片3Bの円孔3gに隙間嵌めによって嵌合しているため、かじり等の問題を生ずることなく緩衝機構が安定的に動作し、該緩衝機構による低騒音化が長期に亘って実現される。
又、別の視点から見れば、スピンドル7の先端部7bが分割片3Aに挿通されるのみでなく、軸受メタル14に直接支持された分割片3Bにも挿通されるため、スピンドル7の不要な傾きが小さくなり、これによりスピンドル7の先端部7bに挿通された分割片3Bの不要な傾きも小さくなる。よって、ハンマ8の凸部8bと分割片3Aの凸部3bとの間の偏摩耗を防ぐことができるとともに、分割片3Aが軸方向によりスムースに移動できるようになり、被締付材から生ずる騒音が小さくなる。
更に、スピンドル7の先端部7bと分割片3Bとの嵌合が、分割片3Bと軸受メタル14との嵌合範囲にまで及ぶため、たとえ分割片3Bが軸受メタル14に対して傾いたとしてもスピンドル7は殆ど傾かず、よって分割片3Aも殆ど傾かない。
ここで、緩衝材としてのゴムダンパの種々の形態を図7〜図12にそれぞれ示す。尚、図7〜図12は図6と同様の図であり、各図において(a)は無負荷状態を示し、(b)は設定値以上の回転トルクが作用する負荷状態を示し、(c)はゴムダンパの断面を示す。
図7に示す形態では、ゴムダンパ13は、図6に示したものと同形状に成形されているが、図7(c)に示すように、ゴムダンパ13は、バネ定数の異なる2層の弾性体13A,13Bを軸方向(図7(c)の上下方向)に積層して構成されている。このため、ゴムダンパ13の回転方向のバネ定数を軸方向のそれよりも大きく設定する等、ゴムダンパ13の特性を任意に変更することができる。
図8に示す形態では、ゴムダンパ13は、図6に示したものと同様の形状を有する弾性体13cの他に、アンビル3の分割片3A,3Bの各爪3c,3fに形成された略扇形の孔3c−2,3f−2に嵌め込まれた計4つの弾性体13dで構成されている。ここで、弾性体13cと弾性体13dのバネ定数は同一であっても異なっていても良く、例えば回転力の伝達に寄与しない弾性体13dのバネ定数を回転力の伝達に寄与する弾性体13cのバネ定数よりも小さく設定することによって、ゴムダンパ13全体の回転方向のバネ定数を軸方向のそれよりも大きく設定する等、必要に応じてゴムダンパ13の特性を変更することができる。
又、図9に示す形態では、軸方向視の形状が図6に示したものと同形状のゴムダンパ13を図9(c)に示すように軸方向に変形し易い皿バネ形状に成形している。従って、このゴムダンパ13の回転方向のバネ定数を軸方向のそれよりも大きく設定することができる。
図10に示す形態では、ゴムダンパ13を4つの独立した円柱状の弾性体13eで構成しており、アンビル3の分割片3Aの伝達トルクが所定値を超えると、図10(b)に示すように、ゴムダンパ13が弾性変形して一方の分割片3Aの爪3cが他方の分割片3Bの爪3fに当接(金属接触)するため、回転トルクが一方の分割片3Aから他方の分割片3Bに直接伝達され、アンビル3は一体となって回転して先端工具4に回転を伝達する。この場合、ゴムダンパ13を構成する4つの弾性体13eはそれぞれ独立に構成されるため、これらのバネ定数をそれぞれ任意に設定してゴムダンパ13全体の特性を必要に応じて変更することができる。
図11に示す形態では、ゴムダンパ13を中心のスリーブ状の弾性体13fとその周囲に配される4つの独立した弾性体13gで構成しており、アンビル3の分割片3Aの伝達トルクが所定値を超えると、図11(b)に示すように、ゴムダンパ13が弾性変形して一方の分割片3Aの爪3cが他方の分割片3Bの爪3fに当接(金属接触)するため、回転トルクが一方の分割片3Aから他方の分割片3Bに直接伝達され、アンビル3は一体となって回転して先端工具4に回転を伝達する。この場合も、ゴムダンパ13を構成する1つの弾性体13fと4つの弾性体13gはそれぞれ独立に構成されるため、これらのバネ定数をそれぞれ任意に設定してゴムダンパ13全体の特性を必要に応じて変更することができる。
又、図12に示す形態では、ゴムダンパ13を構成する円柱状のダンパ片13bの数を減らして2つとし、これらのダンパ片13bを周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に配置しており、特に大きな伝達トルクを必要としない場合に好適に採用することができる。
尚、本発明に係る回転打撃工具に用いられるゴムダンパは、軸方向及び回転方向の双方に対して緩衝機能を果たし、且つ、軸方向に関しては実機作動中においてアンビルの両分割片同士の直接接触を防ぎ、又、円周方向に関しては、設定値以上の回転トルクが加わったときに分割片の爪が分割片の爪に直接接触するよう作用するものであれば良く、製品スペックに合わせてゴムダンパの厚さやアンビルの分割片の爪の角度を変えることによって適切な特性を得ることが可能となる。又、製品スペック上、伝達トルクを低く設定しても問題ない場合は、爪の角度を大きくして円周方向に対しても直接接触を防止するよう構成しても良い。
本発明は、回転打撃力を発生して所要の作業を行うためのハンマドリル等のインパクト工具に適用して、特に騒音の低減を図る上で有用である。
1 電池パック
2 モータ
3 アンビル
3A,3B 分割片
3b 凸部
3c,3f 爪
4 先端工具
5 ハンマケース
6 遊星歯車機構
7 スピンドル
7a スピンドルカム溝
7b スピンドル先端部
8 ハンマ
8a ハンマカム溝
8b 凸部
9 ボール
11 ネジ
12 木材
13 ゴムダンパ
14 軸受メタル
15 メタルリング
16 ゴムリング
δ1 周方向隙間
δ2 軸方向隙間
2 モータ
3 アンビル
3A,3B 分割片
3b 凸部
3c,3f 爪
4 先端工具
5 ハンマケース
6 遊星歯車機構
7 スピンドル
7a スピンドルカム溝
7b スピンドル先端部
8 ハンマ
8a ハンマカム溝
8b 凸部
9 ボール
11 ネジ
12 木材
13 ゴムダンパ
14 軸受メタル
15 メタルリング
16 ゴムリング
δ1 周方向隙間
δ2 軸方向隙間
Claims (4)
- モータによって回転駆動されるスピンドルに回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力をハンマからアンビルを経て先端工具に間欠的に伝達することによって該先端工具に回転打撃力を与えるインパクト工具において、
回転方向及び軸方向に対して緩衝機能を果たし、且つ、設定値以上の回転トルクを直接伝達する緩衝機構を前記アンビルに設けるとともに、該アンビル及び緩衝機構に前記スピンドルを嵌合させたことを特徴とするインパクト工具。 - 前記スピンドルの前記アンビル及び前記緩衝機構への嵌合範囲を前記アンビルとこれを支承する軸受メタルとの嵌合範囲に軸方向においてオーバーラップさせたことを特徴とする請求項1記載のインパクト工具。
- モータと、該モータによって回転駆動されるスピンドルと、該スピンドル上で回転及び軸方向運動するハンマと、該ハンマの回転及び軸方向運動に伴って該ハンマと係合/離脱を繰り返すアンビルと、該アンビルを回転可能に支持する軸受と、該アンビルに装着される先端工具と、を有するインパクト工具において、
前記スピンドルに、前記アンビル側に延びる軸状の先端部を設け、
前記アンビルを、
反ハンマ側に形成された第1の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第1の孔部とを有する第1の分割片と、
前記軸受に回転可能に支持され、前記先端工具を装着する部材であって、前記第1の凹凸部と回転方向に係合可能な第2の凹凸部と、スピンドルの前記先端部が挿通される第2の孔部を有する第2の分割片と、
前記第1及び第2の分割片の間に介在し、該第1及び第2の分割片の前記第1及び第2の凹凸部同士の軸方向の直接接触を妨げる弾性体と、
で構成したことを特徴とするインパクト工具。 - 前記スピンドルの先端部と前記アンビルの第2の分割片との嵌合範囲と、該第2の分割片と前記軸受との嵌合範囲とを軸方向においてオーバーラップさせたことを特徴とする請求項3記載のインパクト工具。
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