JP2009079005A - アルキルフェノール誘導体の製造方法 - Google Patents

アルキルフェノール誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルキルフェノール誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】周期表4〜10族元素化合物、及び、塩基の存在下、フェノール化合物と、ヒドロキシ化合物とを反応させて、
Figure 2009079005

等で表されるアルキルフェノール誘導体を得ることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂、合成染料、可塑剤、医薬、農薬などの原料として有用なアルキルフェノール誘導体の製造方法に関する。
従来、強アルカリの存在下、フェノール化合物とヒドロキシ化合物とを反応させて、アルキルフェノール誘導体を製造することは知られている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、何れの場合も、多量の塩基を用い、且つ、200℃以上の高温、高圧条件を必要とする上、反応収率が低く、副生成物が多量に副生し、反応装置の材質が制約を受ける等の問題があった。すなわち、温和な条件で、高収率でアルキルフェノール誘導体を製造する方法が確立されていないのが現状である。
特開平6−41009号公報 特開昭56−71030号公報 米国特許第2841623号明細書
従って、本発明の目的は、芳香族炭化水素環にアルキル基やアルコキシ基等の置換基を有するアルキルフェノール誘導体を、温和な条件下で、効率よく製造し得る方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、周期表4〜10族元素化合物の存在下でフェノール化合物とヒドロキシ化合物とを反応させると、使用する塩基の量を大幅に減少させることができ、且つ、常圧、反応温度が150℃未満の温和な条件下で、高収率にアルキルフェノール誘導体を製造することができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、周期表4〜10族元素化合物、及び、塩基の存在下、下記式(1)
Figure 2009079005
(式中、Arは単環又は多環の芳香族炭化水素基、R1はArに結合している置換基であって有機基を示す。nは0〜4の整数を示す)
で表されるフェノール化合物と、下記式(2)
Figure 2009079005
(式中、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R2、R3は、互いに結合して隣接する原子と共に非芳香族性の環を形成していてもよい)
で表されるヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(3)
Figure 2009079005
(式中、Ar、R1、R2、R3、nは前記に同じ)
及び/又は、下記式(4)
Figure 2009079005
(式中、Ar、R1、R2、R3、nは前記に同じ)
で表されるアルキルフェノール誘導体を得ることを特徴とするアルキルフェノール誘導体の製造方法を提供する。
本発明のアルキルフェノール誘導体の製造方法においては、温和な条件下で、フェノール化合物とヒドロキシ化合物から、種々のアルキルフェノール誘導体を効率よく製造することができる。また、使用する塩基を大幅に減少させることができ、アルキルフェノール誘導体の製造後に排出される廃液の処理に要する労力を軽減することができる。また、多量の塩基によって引き起こされる副生成物の生成を抑制することができるため、目的とする生成物の収率を向上させることができる。
[式(1)で表されるフェノール化合物]
本発明において原料として使用されるフェノール化合物は、上記式(1)で表される。式(1)中、Arは単環又は多環の芳香族炭化水素基を示し、R1は有機基、nは0〜4の整数を示す。
Arにおける単環又は多環の芳香族炭化水素基を構成する単環又は多環の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環等の1〜10環程度の芳香族炭化水素環が挙げられる。これらの中でも、1〜5環の芳香族炭化水素環、特にベンゼン環及びナフタレン環が好ましい。
1における有機基としては、本反応を阻害しないような基(例えば、本方法における反応条件下で非反応性の基)であればよく、例えば、炭化水素基、複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等の脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基など)、置換オキシ基、置換チオ基、モノ又はジ置換アミノ基など、及びこれらが2以上結合した基などが挙げられる。前記カルボキシル基などは有機合成の分野で公知乃至慣用の保護基で保護されていてもよく、金属で置換されていてもよい。前記炭化水素基及び複素環式基には、置換基を有する炭化水素基及び複素環式基も含まれる。
1における炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル、アリル、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルキニル基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル、アダマンチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した炭化水素基には、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル基などのシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3-20シクロアルキル−C1-4アルキル基など)などが含まれる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した炭化水素基には、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基など)、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基など)などが含まれる。
好ましい炭化水素基には、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-15シクロアルキル基、C6-14芳香族炭化水素基、C3-15シクロアルキル−C1-4アルキル基、C7-14アラルキル基等が含まれる。
前記炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
前記R1における複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾール、γ−ブチロラクトン環などの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン環などの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマン環などの縮合環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環などの橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール環などの5員環、4−オキソ−4H−チオピラン環などの6員環、ベンゾチオフェン環などの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール環などの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン環などの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン環などの縮合環など)などが挙げられる。上記複素環式基には、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。
1における置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアルコキシ基;ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアシルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ基などのスルホニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ基などの炭素数2〜21(好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7程度)の置換オキシカルボニルオキシ基(アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等);ビニルオキシ、アリルオキシ、1−ブテニルオキシなどの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;シクロヘキシルオキシ基などのシクロアルキルオキシ基などが挙げられる。
1における置換チオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、デシルチオ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアルキルチオ基などが挙げられる。
1におけるモノ又はジ置換アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基;1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ基等の環状アミノ基;アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基などが挙げられる。
好ましいR1には、炭化水素基(例えば、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-15シクロアルキル基、C6-14芳香族炭化水素基、C3-12シクロアルキル−C1-4アルキル基、C7-14アラルキル基など)などが含まれる。
1が複数個の場合、複数個のR1は、同一でもよく、異なっていてもよい。また、互いに結合して環Ar上の炭素原子とともに環を形成していてもよい。複数個のR1が互いに結合して環Ar上の炭素原子とともに形成する環としては、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの3〜8員のシクロアルカン環;オキセタン環、オキソラン環、オキサン環、ジオキソラン環、ジオキサン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル、エチル基等のアルキル基(例えば、炭素数1〜6のアルキル基);メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
1がArに結合する位置については特に制限はないが、反応性等の観点から、ヒドロキシル基が結合している位置のパラ位(環Arが多環の場合はそれらに相当する位置)以外に位置することが好ましい。R1の個数nは0〜4の整数であるが、なかでもnとしては1又は2が好ましい。
代表的な式(1)で表されるフェノール化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、1−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシフラン、3−ヒドロキシチオフェンなどが挙げられる。上記の式(1)で表されるフェノール化合物は、反応を阻害しない範囲で種々の置換基を有していてもよい。
[式(2)で表されるヒドロキシ化合物]
本発明において原料として使用されるヒドロキシ化合物は、上記式(2)で表される。式(2)中、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示し、また、R2、R3は、互いに結合して隣接する原子と共に非芳香族性の環を形成していてもよい。R2、R3について、有機基としては、本反応を阻害しないような有機基(例えば、本方法における反応条件下で非反応性の有機基)であればよく、例えば、上記R1における有機基と同様の例が挙げられる。好ましい有機基には、ヒドロキシル基、置換オキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基など)などが含まれる。
ヒドロキシ化合物には、第1級アルコール、第2級アルコール等のアルコール化合物が含まれる。また、ヒドロキシ化合物は複数のヒドロキシル基を有していてもよく、1価アルコール、2価アルコール、多価アルコール等の何れであってもよい。なお、本発明においては、第3級アルコールは、反応性の観点から好ましくない。
代表的な第1級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ヘキサデカノール、2−ブテン−1−オール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、グリセリン、ヘキサメチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの炭素数1〜30(好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15)程度の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコール;シクロヘキシルメチルアルコール、2−シクロヘキシルエチルアルコールなどの飽和又は不飽和脂環式第1級アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、桂皮アルコールなどの芳香族第1級アルコール;2−ヒドロキシメチルピリジンなどの複素環式第1級アルコールなどが挙げられる。また、炭化水素部位に置換基を有する第1級アルコールとして、例えば、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル等のグリコール酸エステル;2−メトキシエタノール(エチレングリコールモノメチルエーテル)等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;2−フェノキシエタノール(エチレングリコールモノフェニルエーテル)などのアルキレングリコールモノアリールエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールモノアセテート等のアルキレングリコールモノエステルなどが挙げられる。
代表的な第2級アルコールとしては、例えば、2−プロパノール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ヘキサデカノール、2−ペンテン−4−オール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオールや2,3−ペンタンジオールなどのビシナルジオール類などの炭素数3〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜15)程度の飽和又は不飽和脂肪族第2級アルコール;1−シクロペンチルエタノール、1−シクロヘキシルエタノールなどの、ヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基(シクロアルキル基など)とが結合している第2級アルコール;シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、2−シクロヘプテン−1−オール、2−シクロヘキセン−1−オール、2−アダマンタノール、アダマンタン環にオキソ基を有する2−アダマンタノール、2−ヒドロキシノルボルナン、3−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度の飽和又は不飽和脂環式第2級アルコール(橋かけ環式第2級アルコールを含む);1−フェニルエタノール、1−フェニルプロパノール、1−フェニルメチルエタノール、ジフェニルメタノールなどの芳香族第2級アルコール;1−(2−ピリジル)エタノールなどの複素環式第2級アルコールなどが例示される。
本発明に係るヒドロキシ化合物としては、なかでも、上記式(2)中、R2が水素原子を示し、R3がアルキル基、又は、ヒドロキシアルキル基、置換オキシ基置換アルキル基を示し、1級水酸基部位を少なくとも1つ有する1価又は2価アルコールが好ましく、R3が、−(R4−O)m−R5(R4はアルキレン基を示し、R5は水素原子又は炭化水素基を示す。mは1以上の整数を示す)で表される1価又は2価アルコールが特に好ましい。
上記R4におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜12程度のアルキレン基が挙げられ、R5における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、メチルエチル基、フェニル基などの炭素数1〜12程度の炭化水素基が挙げられる。mは1以上の整数を示し、なかでも1〜3の整数、特に1が好ましい。
本発明に係るヒドロキシ化合物の使用量としては、例えば、原料として使用されるフェノール化合物1モルに対して、1〜10モル程度である。
[周期表4〜10族元素化合物]
本発明では周期表4〜10族元素化合物(金属単体を含む)を触媒として用いる。周期表4族元素(金属)には、チタン、ジルコニウム、ハフニウムが含まれる。周期表5族元素(金属)には、バナジウム、ニオブ、タンタルが含まれる。周期表6族元素(金属)には、クロム、モリブデン、タングステンが含まれる。周期表7族元素(金属)には、マンガン、テクネチウム、レニウムが含まれる。周期表8族元素(金属)には、鉄、ルテニウム、オスミウムが含まれる。周期表9族元素(金属)には、コバルト、ロジウム、イリジウムが含まれる。また、周期表10族元素(金属)には、ニッケル、パラジウム、白金が含まれる。周期表4〜10族元素化合物には、周期表4〜10族元素を含む広範な無機及び有機化合物が含まれる。無機化合物としては、例えば、金属単体、酸化物、硫化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、周期表4〜10族元素を含むオキソ酸又はその塩、無機錯体などが挙げられる。有機化合物としては、例えば、シアン化物、有機酸塩(酢酸塩など)、有機錯体などが挙げられる。これらの中でも有機錯体などの有機化合物が好ましい。錯体の配位子には公知の配位子が含まれる。周期表4〜10族元素化合物における4〜10族元素の価数は0〜6程度、好ましくは0〜3である。特にイリジウム化合物などの場合には1価又は3価が好ましい。周期表4〜10族元素化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
周期表4〜10族元素化合物の代表的な例をイリジウムを例にとって示すと、無機のイリジウム化合物として、例えば、金属イリジウム、酸化イリジウム、硫化イリジウム、水酸化イリジウム、フッ化イリジウム、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、硫酸イリジウム、イリジウム酸又はその塩(例えば、イリジウム酸カリウムなど)、無機イリジウム錯体[例えば、ヘキサアンミンイリジウム(III)塩、クロロペンタアンミンイリジウム(III)塩等]などが挙げられる。
有機のイリジウム化合物としては、例えば、シアン化イリジウムのほか、有機イリジウム錯体を用いることができる。該有機イリジウム錯体として、例えば、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム、ドデカカルボニル四イリジウム(0)、クロロトリカルボニルイリジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス(シクロオクテン)二イリジウム(I)([IrCl(coe)22)、ジ−μ−クロロテトラキス(エチレン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)([IrCl(cod)]2)、ジ−μ−クロロジクロロビス(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)二イリジウム(III)([Cp*IrCl22)、トリクロロトリス(トリエチルホスフィン)イリジウム(III)、ペンタヒドリドビス(トリメチルホスフィン)イリジウム(V)、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)(IrCl(PPh33)、クロロエチレンビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジカルボニルイリジウム(I)、ビス{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}イリジウム(I)塩化物、ペンタメチルシクロペンタジエニルビス(エチレン)イリジウム(I)、カルボニルメチルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、(1,5−シクロオクタジエン)(ジホスフィン)イリジウム(I)ハロゲン化物、1,5−シクロオクタジエン(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)イリジウム(I)ヘキサフルオロリン酸塩、(1,5−シクロオクタジエン)ビス(トリアルキルホスフィン)イリジウム(I)ハロゲン化物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムテトラフルオロボレート([Ir(cod)2+BF4 -)、(1,5−シクロオクタジエン)(アセトニトリル)イリジウムテトラフルオロボレートなどが挙げられる。
好ましいイリジウム化合物にはイリジウム錯体が含まれる。これらの中でも、有機イリジウム錯体、特に、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、エチレン、ペンタメチルシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエンなどの不飽和炭化水素;アセトニトリルなどのニトリル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類を配位子として有する有機イリジウム錯体[例えば、ジ−μ−クロロテトラキス(シクロオクテン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス(エチレン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)([IrCl(cod)]2)、ジ−μ−ヒドロキシビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)([IrOH(cod)]2)、ジ−μ−クロロジクロロビス(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)二イリジウム(III)([Cp*IrCl22)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムテトラフルオロボレート、(1,5−シクロオクタジエン)(アセトニトリル)イリジウムテトラフルオロボレート等]が好ましい。
イリジウム化合物以外の周期表4〜10族元素化合物の例としては、上記イリジウム化合物に対応する化合物[例えば、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二ロジウム等]などが例示できる。イリジウム化合物以外の遷移元素化合物においても、例えば、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、エチレン、ペンタメチルシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエンなどの不飽和炭化水素;アセトニトリルなどのニトリル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類を配位子として有する有機錯体が特に好ましい。
本発明に係る周期表4〜10族元素化合物としては、上記周期表4〜10族元素化合物のなかでも、周期表8族元素及び周期表9族元素化合物が好ましく、白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)化合物がより好ましく、特にイリジウム化合物が好ましい。
周期表4〜10族元素化合物は、そのままで又は担体に担持した形態で使用できる。前記担体としては、触媒担持用の慣用の担体、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、マグネシアなどの金属酸化物や活性炭などが挙げられる。担体担持型触媒において、周期表4〜10族元素化合物の担持量は、担体に対して、例えば0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%程度である。触媒の担持は、慣用の方法、例えば、含浸法、沈殿法、イオン交換法などにより行うことができる。
周期表4〜10族元素化合物の使用量は、原料の種類や触媒の種類等によって適宜選択できるが、一般には、原料として使用される上記式(1)で表されるフェノール化合物1当量に対して、例えば0.0001〜1当量、好ましくは0.001〜0.3当量、さらに好ましくは0.001〜0.05モル当量である。
[塩基]
本発明では、前記周期表4〜10族元素化合物と共に塩基の存在下で、上記式(1)で表されるフェノール化合物と上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物を反応させることを特徴とする。該塩基は、無機塩基、有機塩基、ルイス塩基等の何れであってもよく、アルドール縮合に通常用いられる塩基が好適である。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸セリウムなどが挙げられる。
有機塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属有機酸塩;トリエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジンなどのアミン類(第3級アミンなど)や含窒素複素環化合物などが挙げられる。
これらの中でも、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドなどの強塩基が好ましい。
塩基の添加量は、原料の種類や周期表4〜10族元素化合物等によっても異なるが、通常、原料として使用される上記式(1)で表されるフェノール化合物1当量に対して、0.01〜2当量程度、好ましくは0.01〜1.5当量程度である。本発明に係るアルキルフェノール誘導体の製造方法によれば、使用する塩基の量を大幅に減量することができる。
[反応]
Figure 2009079005
本発明に係るアルキルフェノール誘導体の製造方法においては、式(1)で表されるフェノール化合物と、式(2)で表されるヒドロキシ化合物とを反応させることにより、式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体及び/又は式(4)で表されるアルキルフェノール誘導体を製造する方法において、周期表4〜10族元素化合物を触媒として使用することにより、温和な条件下で高収率に製造することができ、使用する塩基の量を従来と比べて著しく減量することができることを特徴とする。
上記式(1)で表されるフェノール化合物と、上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物との反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、上記式(1)で表されるフェノール化合物と、上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物とを溶解し、且つ、反応に対して不活性な溶媒であればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、原料として用いる式(1)で表されるヒドロキシ化合物について、1級アルコールを使用する場合、反応系に、対応するアルデヒドを少量添加してもよい。該アルデヒドの添加により、反応速度が向上する場合がある点で好ましい。
また、反応系に、配位子として例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類を添加してもよい。配位子を添加することにより、周期表4〜10族元素とキレート錯体を形成し、触媒活性が向上し、より温和な条件下でフェノール化合物とヒドロキシ化合物とを反応させてアルキルフェノール誘導体を製造することができる点で好ましい。トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の添加量としては、例えば、上記式(1)で表されるフェノール化合物1当量に対して、0.001〜0.1当量程度である。
反応は重合禁止剤の存在下で行ってもよい。反応温度は、反応原料や周期表4〜10族元素化合物の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、20〜200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。なお、少量の酸素の存在は、該酸素が水素受容体として機能して反応速度が速くなる場合があるが、過剰の酸素が系内に存在すると、他の反応が進行しやすくなる。そのため、反応系の気相部の酸素濃度は、例えば10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下とするのが望ましい。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行うこともできる。また、原料として使用される上記式(1)で表されるフェノール化合物は、一括して投入してもよく、連続的又は間欠的に投入してもよい。
本発明の方法では、上記式(1)で表されるフェノール化合物と上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物とが反応して、上記式(3)及び/又は上記式(4)で表されるアルキルフェノール誘導体が生成する。例えば、反応において、原料として使用する前記式(2)で表されるヒドロキシ化合物について、置換オキシ基を有するアルコールを使用した場合は、上記式(1)で表されるフェノール化合物と上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物とが反応して、上記式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体が生成し、上記式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体に、更に上記式(1)で表されるフェノール化合物が反応して、上記式(4)で表されるアルキルフェノール誘導体が生成する。一方、原料として使用する前記式(2)で表されるヒドロキシ化合物について、置換オキシ基を有しないアルコールを使用した場合は、上記式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体が生成された段階で反応が終了することが多い。
反応機構としては必ずしも明らかではないが、まず式(2)で表されるヒドロキシ化合物が周期表4〜10族元素化合物により酸化脱水素されてアルデヒドとなり(この時、周期表4〜10族元素化合物は水素化される)、これが式(1)で表されるフェノール化合物の例えばパラ位に縮合反応を起こし、更に、上記水素化された周期表4〜10族元素化合物により水素添加されて、アルキル基が結合したフェノール化合物(上記式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体)が生成する(この時、元の周期表4〜10族元素化合物が再生する)ものと推測される。また、原料として使用する前記式(2)で表されるヒドロキシ化合物について、置換オキシ基を有するアルコールを使用した場合は、置換オキシ基が電子供与性基としての性質を有するため、上記式(3)で表されるアルキルフェノール誘導体に、更に、式(1)で表されるフェノール化合物が反応し、上記式(4)で表されるアルキルフェノール誘導体が生成するものと推測される。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
本発明に係るアルキルフェノール誘導体の製造方法によれば、周期表4〜10族元素化合物を触媒として使用するため、温和な条件下で目的とするアルキルフェノール誘導体を製造することができる。こうして得られたアルキルフェノール誘導体は、フェノール樹脂、合成染料、可塑剤、医薬、農薬などの原料として使用することができる。更に、使用する塩基の量を従来に比べて、大幅に減少させることができ、製造後に排出される廃液の処理に要する労力を軽減することができる。また、多量の塩基が存在することにより引き起こされる副生成物の生成を抑制することができるため、目的とする生成物の収率を向上させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール3g、1,3−プロパンジオール4.6g、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム0.15g、トリフェニルホスフィン0.08g、水酸化カリウム0.84g、及び、ジオキサン9gの混合物を、80℃で18時間反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率60%で生成した。
実施例2
ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウムを0.03g使用し、105℃で反応させた以外は実施例1と同様の条件で反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率49%で生成した。
実施例3
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール3g、2−メトキシエタノール4.42g、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム0.15g、トリフェニルホスフィン0.08g、及び、水酸化ナトリウム0.17gの混合物を、120℃で14時間反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−メトキシエチル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率52%、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率34%で生成した。
実施例4
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール3g、2−メトキシエタノール4.42g、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム0.12g、トリフェニルホスフィン0.08g、及び、水酸化カリウム0.28gの混合物を、120℃で17時間反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−メトキシエチル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率27%、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率48%で生成した。
実施例5
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウムの代わりにジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムを0.12g使用する以外は実施例4と同様の条件で反応させたところ、痕跡量の2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−メトキシエチル)フェノールと、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率13%で生成した。
実施例6
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウムの代わりにジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二ロジウムを0.11g使用する以外は実施例4と同様の条件で反応させたところ、痕跡量の2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−メトキシエチル)フェノールと、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率15%で生成した。
実施例7
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール3g、2−メトキシエタノール4.42g、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム0.15g、及び、水酸化カリウム0.95gの混合物を、120℃で15時間反応させたところ、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率70%で生成した。
実施例8
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール413g、2−フェノキシエタノール1662g、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム27.1g、トリフェニルホスフィン14.3g、及び、水酸化カリウム37.6gの混合物を、120℃で14時間反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−フェノキシエチル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率24%、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェノキシエタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率10%で生成した。
実施例9
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール10g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル51.4g、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム0.03g、トリフェニルホスフィン0.02g、及び、水酸化カリウム0.1gの混合物を、120℃で5時間反応させたところ、2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)フェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率53%、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−メトキエトキシ)エタンが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを基準として、収率11%で生成した。
比較例1
窒素雰囲気下、2,6−ジ−t−ブチルフェノール19.8g、1,3−プロパンジオール56.5g、及び、水酸化カリウム3.25gの混合物を、200℃以上で5時間加熱還流したが、2,6−ジ−t−ブチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノールは、全く得られなかった。
上記実施例及び比較例の結果を、表1、及び、表2にまとめて示す。
Figure 2009079005
Figure 2009079005
上記表1、2より明らかなように、本発明に係るアルキルフェノール誘導体の製造方法により行った実施例1〜9においては、周期表4〜10族元素化合物、及び、少量の塩基の存在下、上記式(1)で表されるフェノール化合物と、上記式(2)で表されるヒドロキシ化合物から、目的化合物である上記式(3)及び/又は(4)で表されるアルキルフェノール誘導体を温和な条件下で、効率よく製造することができた。一方、周期表4〜10族元素化合物の不存在下で反応を行った比較例1においては、200℃を超える高温条件下でも、目的化合物を得ることができなかった。

Claims (1)

  1. 周期表4〜10族元素化合物、及び、塩基の存在下、下記式(1)
    Figure 2009079005
    (式中、Arは単環又は多環の芳香族炭化水素基、R1はArに結合している置換基であって有機基を示す。nは0〜4の整数を示す)
    で表されるフェノール化合物と、下記式(2)
    Figure 2009079005
    (式中、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R2、R3は、互いに結合して隣接する原子と共に非芳香族性の環を形成していてもよい)
    で表されるヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(3)
    Figure 2009079005
    (式中、Ar、R1、R2、R3、nは前記に同じ)
    及び/又は、下記式(4)
    Figure 2009079005
    (式中、Ar、R1、R2、R3、nは前記に同じ)
    で表されるアルキルフェノール誘導体を得ることを特徴とするアルキルフェノール誘導体の製造方法。
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