JP2009062324A - 粉末化粧料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉末成分と結合剤としての油性成分と分散剤としてのアミノ変性シリコーンを揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを備え、該乾燥粉末から粉末化粧料を得る粉末化粧料の製造方法であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置14は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
【選択図】図1
Description
また、粉末成分と油分とを揮発性溶媒中で混合を行う湿式混合の際に用いられる種々の装置に対する検討も広く行われている。例えば高分子粉体を揮発性溶媒中で媒体攪拌ミルを用いて粉砕した粉砕溶液を得た後、該粉砕溶液と顔料等の粉体をディスパーなどの湿式混合機にて混合しスラリーとし、得られたスラリーから揮発性溶媒を除去して乾燥粉末とし、さらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る製造方法(特許文献1)や、湿式混合の際に媒体攪拌ミルを用いる。得られたスラリーを容器内に充填後、吸引プレスする湿式成型を行うか、もしくは得られたスラリーから溶媒を除去して乾燥粉末とし、該乾燥粉末をさらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行って得られる粉末固形化粧料の製造方法(特許文献2)等が提案されている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は使用感触、特に化粧持ちに優れた粉末化粧料を製造するための製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明の粉末化粧料の製造方法は、粉末成分と結合剤としての油性成分と分散剤としてのアミノ変性シリコーンを揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、備え、該乾燥粉末から粉末化粧料を得る粉末化粧料の製造方法であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする。
上記の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることが好適である。
上記の製造方法において、前記乾燥粉末および/または前記乾燥粉末とパール顔料とを混合して得た粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。
まず、スラリー調整工程では、図1に示した媒体攪拌ミル10を用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とアミノ変性シリコーンを混合し、該粉末成分を解砕/粉砕/分散することでスラリーを得る。得られたスラリーは貯蔵タンク12に一旦貯められ、乾燥装置14へ所定の流量で供給される。
このように本実施形態ではスラリーを微細液滴にした状態で乾燥を行う乾燥装置14を用いて乾燥粉末を製造しているため、乾燥時に粉末成分の凝集がほとんど生じていない乾燥粉末を得ることができる。そのため、肌への塗付時における使用感触に優れた粉末化粧料を提供することが可能となる。また、乾燥後に再度解砕を行う必要がないため生産性・作業環境性にも優れている。
また、図1に示したように、スラリー調製工程において、粉末油分と結合剤としての油性成分とを揮発性溶媒中で混合するために媒体攪拌ミル10を用いることが好適である。媒体攪拌ミルを用いることで、油性成分が粉末成分表面にきれいにコートされたスラリーを得ることができ、該スラリーを用いることでより使用感触、使用性がさらに優れた粉末化粧料を得ることができる。
以上が本発明にかかる粉末化粧料の製造方法の概略であり、以下に各工程について詳しい説明を行う。
粉末成分と油性成分とを揮発性溶媒中で混合してスラリーとする方法としては次のような方法が挙げられる。
(A)粉末と油分をあらかじめヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザーなどにより乾式混合/解砕したものを、揮発性溶媒中に添加し、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、および二軸混練機などにより混合/分散する方法。
(B)粉末と油分を揮発性溶媒中に添加し、必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後に、媒体攪拌ミルにより、解砕/粉砕/分散処理を行う方法。
(C)高分子弾性粉末や微粒子粉末などの凝集性の強い一部特定の粉末成分を揮発性溶媒中に添加し、これを必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後、媒体攪拌ミルを用いて解砕/粉砕/分散させることで分散液を得て、該分散液とそのほかの粉末油分を添加し、さらに湿式混合機や媒体攪拌ミルを用いて処理を行う方法。
なお、スラリー調製工程において媒体攪拌ミルを使用することが好適である(例えば、上記(B)、(C))。媒体攪拌ミルとは、粉末成分(および油性成分)と溶媒からなる分散液をビーズ等の固体分散媒体(メディア)が充填された容器内に収容し、該容器内の液体を攪拌することでメディアによる衝撃力、摩擦力等により粉末成分の解砕/粉砕/分散を行うものである。
図2に示した例の媒体攪拌ミル110は、略円筒状の容器112と、容器112内に挿通された駆動軸114と、駆動軸114を回転駆動する駆動モータ116と、駆動軸114に取り付けられた複数枚の攪拌ディスク118a〜fと、を備えている。容器112内は、粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室120と、処理後の分散液を抽出する抽出室122とに分かれている。容器112の分散室120側には、処理対象の分散液を供給する供給口124が設けられ、また抽出室122側には処理後の分散液を取り出す抽出口126が設けられている。分散室120と抽出室122との間には開口部128を設けた隔壁130が備えられており、この隔壁130に近接して、駆動軸114に取り付けられた分離ディスク132が隔壁130の開口部128を覆うように配置されている。隔壁130と分離ディスク132との間には隙間が設けられており、この隙間を固体分散媒体と処理対象の分散液とを分離する分離スリット134として使用する。
上記の解砕/粉砕/分散処理された分散液は、分散室120と抽出室122との間にある隔壁130と分離ディスク132との間の分離スリット134を通過して抽出室122に流入し、抽出口126から外部に抽出される。分離スリット134は、固体分散媒体136が分散室120内から抽出室122へ流出しない程度の大きさに取られている。そのため、分散液が分離スリット134を通過する際に、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体136との分離が行われ、抽出室には分散液のみが入ることになる。
出口スリット228は固体分散媒体224が環状空間218内から流出しない程度の大きさに取られており、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体224と分離する分離手段として機能する。また、ロータ214には固体分散媒体224を入口側へ戻すための戻し孔230が設けられており、固体分散媒体224が出口付近に留まらないようにされている。
また、媒体攪拌ミルの例としては、上で説明したものの他に、バスケットミルなどのバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス(登録商標)などが好適なものとして挙げられるが、本発明の目的に合致していれば特に制限無く使用することができる。つまり、凝集状態にある粉末成分を配合した場合、これら粉末成分の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで攪拌、分散させ、油性成分を粉末表面に均一に付着させ得るものであれば特に制限なく使用することができる。
また、スラリー調製工程において、粉末成分と油性成分の量比(質量比)は、使用する油性成分、粉末成分の種類にもよるが、粉末成分/油性成分=60/40〜99.5/0.5であることが好適である。また、このとき用いる揮発性溶媒の量は、使用する揮発性溶媒の極性、比重などにもよるため、規定はできないが、媒体攪拌ミルのよる処理が可能となる流動性を確保することが重要である。
次に図1を参照して、本発明の実施形態にかかる製造方法の乾燥工程において用いられる乾燥装置の一例について説明を行う。なお、本実施形態にかかる製造方法で用いる乾燥装置は図1のものに限定されず、スラリーを機械的に微細液滴化するせん断手段を備えているものであればよい。図1の乾燥装置14は、スラリーの乾燥を行う場となる中空状の筐体16と、前記筐体16内に設けられた回転するせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーを微小液滴化するせん断手段18と、筐体16内のせん断部材(板状部材34a,34b,34c)へスラリーを供給する供給手段20と、筐体16内に乾燥ガスを送風し、せん断手段18により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給する送風手段22と、スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段24とを備えている。
せん断手段18は筐体16底部から垂直方向に設けられた回転軸32と、該回転軸32に直角に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)と、回転軸32を回転するための駆動部36と、を備える。駆動部36は筐体16の外に配置され、回転軸32を介してせん断部材(板状部材34a,34b,34c)に回転力を伝達する。図1で示したせん断部材は、上下方向に間隔を置いて、回転軸32に直角に設けられた3つの板状部材34a,34b,34cによって構成されている。これらのせん断部材はスラリーの供給口30の下方かつ乾燥ガスの送風口28の上方に位置している。モータ等で構成される駆動部36により回転軸32を回転させることで、板状部材34a,34b,34cが筐体16内で回転軸32を中心に水平方向に回転し、この機械的なせん断力によりスラリーを微小液滴にする。
また、筐体16内の排出口26の部分に分級手段38が設けられている。分級手段38は排出口26に設けられたオリフィスとして構成されており、大きな粒や塊、未乾燥品などが捕集手段24へと入ることを防止している。なお、分級手段の構成としてはこれに限られず、その他の構成でもかまわない。
ここではせん断部材として水平方向に回転する板状部材で構成されるものを示したが、この他に垂直方向に回転(回転軸が水平方向)に回転する板状部材で構成されるものも設けてもよい。また、せん断部材の形状としては上記のものに限られず、例えば、羽根状(回転軸に垂直な棒状部材の先端に垂直にカッターを設けたもの等)、円盤状、等が挙げられる。また、せん断部材の個数なども特に限定されない。
また、乾燥の際に用いる乾燥ガスの温度は、用いる揮発性溶媒の沸点により変化させることが可能である。また、乾燥ガスの温度が高いほど乾燥効率は高くなるため、熱による乾燥粉末構成成分の変性等の悪影響が及ばない範囲で高温に設定することが望ましい。
また、筐体16内へ窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスを封入することで対防爆性に優れたものになるため、作業環境性も良くなる。また、コンデンサーなどの溶媒回収機構を取り入れることで、溶剤の回収も可能である。
本発明の実施形態にかかる粉末化粧料の製造方法において、乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型などを用いればよい。このようにして得られた粉末固形化粧料は湿式製法の利点である優れた使用感触を保ちながら、乾式成型の利点である使用性の良さ(パフへのとれ具合)も兼ね備えている。また、射出充填により容器内にスラリーを充填する工程を含む従来の湿式成型の場合はスラリーの充填性を考慮する必要があるため、用いる原料に制限があったが、通常の乾式プレス成型を行う限りにおいては、用いる原料の制限も無いことも利点として挙げられる。
また、粉形化粧料を得る際の乾燥粉体の配合量は、化粧料100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは、30〜100重量部である。
R1は炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、およびフッ素置換アルキル基からなる群より互いに独立に選択される基であり、
mは50<m<400の整数、及びnは1<n<20の整数であり、s及びtは互いに独立に0〜3の整数であり、ただし、1≦n+s+tである。]
上記R1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフロロプロピル基、ヘプタデカフロロン基等のフッ素置換アルキル基で表される有機基などを挙げることができる。好ましくは、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基である。
また、R2及びR3の例としては、メチル基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができ、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
例1:アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体
<スラリー調製工程>
下記処方表1に示す粉末成分と油性成分とその他の成分を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填した媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル)を用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより粉末スラリーを得た。
<粉末化粧料の製造>
前記粉末スラリーを、攪拌乾燥装置ドライマイスター(ホソカワミクロン社製)を用い、微小液滴の状態で乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
得られた乾燥粉末を樹脂製の中皿容器に充填し、公知の方法で乾式プレス成型を行い、固形状の粉末化粧料を得た。
水接触角の測定方法については特に限定されるものではないが、当業者において公知の接触角測定装置を用いることができる。接触角測定装置としては、例えば、CA−V150(協和界面科学社製)等が挙げられる。本発明においては、例えば、前記水不溶性複合体被膜を被覆した表面上に、粒径1.5mm程度の水滴を滴下し、1000ミリ秒経過した後に、被膜表面と水滴との接触角を測定する。なお、本発明における接触角とは、被膜表面から水滴内部を通過して水滴外面の接線までの角度を意味し、通常、接触角が大きいほど被膜表面の撥水性が高いと考えられ(図8)、汗などの水分によって粉末化粧料が落ちにくく、化粧持ちが良好であると考えられる。
図4から分かるように、アミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を分散剤として添加した実施例1の粉末化粧料が、最も大きい接触角を得られることが明らかとなった。
一方、分散剤を全く添加しなかった比較例1は、アミノ変性シリコーンを添加した実施例1ほどの接触角の大きさは得られなかった。また、他の分散剤としてポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体を添加した比較例2、高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体を添加した比較例3、セスキイソステアリン酸を添加した比較例4、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを添加した比較例5においても、実施例1ほどの接触角の大きさを得ることはできなかった。そして、アミノ変性シリコーンを添加せずに、シリコーン処理を施した粉末成分を添加して製造した比較例6は、実施例1に比べてやや小さいが、同程度の接触角の高さを得た。
また、前述の水に対する接触角の測定方法に準じて、実施例1及び比較例1〜比較例6の粉末化粧料について、油に対する接触角の測定結果を図5に示す。油に対する接触角が大きいほど、被膜表面の撥油性が高いと考えられ、皮脂などの油分によって粉末化粧料が落ちにくく、化粧持ちが良好であると考えられる。
そして、図5から分かるように、実施例1の処方によって得られた粉末化粧料は、油に対する接触角が比較例1〜6に比べて顕著に大きくなること明らかとなった。水に対する接触角が実施例1と同程度の高さであった比較例6も、油に対する接触角の高さにおいては、実施例1ほどの高さを得ることはできなかった。
すなわち、以上の結果から、上記粉末化粧料の製造工程にアミノ変性シリコーンを添加すると、撥水性が高く且つ撥油性が極めて高い粉末化粧料を提供することができることが明らかとなった。
以上の実施例1〜4の粉末化粧料を用いて、水に対する接触角の測定を行った結果を図6に、油に対する接触角の測定を行った結果を図7に示す。
一方、図7から分かるように、アミノ変性シリコーンを0.2質量%添加させた実施例2は、0.5質量%以上添加させた他の実施例等と比べると油に対する接触角は小さくなるが、分散剤を全く添加しなかった比較例1及びシリコーン処理を施した粉末成分を添加して製造した比較例6よりも大きくなることが明らかとなった。
また、アミノ変性シリコーンを1.0質量%添加した実施例1が油に対する接触角は最も大きく、2.0質量%添加した実施例4が次いで大きいが、アミノ変性シリコーンを0.2質量%以上添加すれば、各比較例と比べて大きくなることが明らかとなった。
下記処方表3に示す粉末成分と油性成分とその他の成分を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填した媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル)を用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより粉末スラリーを得た。
<粉末化粧料の製造>
前記粉末スラリーを、攪拌乾燥装置ドライマイスター(ホソカワミクロン社製)を用い、微小液滴の状態で乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
得られた乾燥粉末を樹脂製の中皿容器に充填し、公知の方法で乾式プレス成型を行い、固形状の粉末化粧料を得た。
上記で得た粉末固形化粧料に対し、下記のように、肌への塗付時の使用感触(なめらかさ、均一な仕上がり感、色の出、化粧持ち)について官能特性評価を行った。
官能特性評価
専門パネラー20名を用いて以下の官能特性評価項目に関して評価をした。
評価基準
・なめらかさ
◎:20名中、17名以上がなめらかであると回答
○:20名中、12〜16名以上がなめらかであると回答
△:20名中、9〜11名以上がなめらかであると回答
×:20名中、5〜8名以上がなめらかであると回答
××:20名中、4名以下がなめらかであると回答
・均一な仕上がり感
◎:20名中、17名以上が均一な仕上がり感があると回答
○:20名中、12〜16名以上が均一な仕上がり感があると回答
△:20名中、9〜11名以上が均一な仕上がり感があると回答
×:20名中、5〜8名以上が均一な仕上がり感があると回答
××:20名中、4名以下が均一な仕上がり感があると回答
・色の出
◎:20名中、17名以上が肌へのフィット感があると回答
○:20名中、12〜16名以上が肌へのフィット感があると回答
△:20名中、9〜11名以上が肌へのフィット感があると回答
×:20名中、5〜8名以上が肌へのフィット感があると回答
××:20名中、4名以下が肌へのフィット感があると回答
・化粧持ち
◎:20名中、17名以上がうるおい感があると回答
○:20名中、12〜16名以上がうるおい感があると回答
△:20名中、9〜11名以上がうるおい感があると回答
×:20名中、5〜8名以上がうるおい感があると回答
××:20名中、4名以下がうるおい感があると回答
一方、アミノ変性シリコーンを添加せずに、シリコーン処理を施した粉末成分を添加して製造した比較例7は、なめらかさ、均一な仕上がり感、色の出といった使用感触に優れていたが、化粧持ちといった使用感触が欠如していることが確認された。また、アミノ変性シリコーンを添加せず、シリコーン処理を施していない粉末成分を添加して製造した比較例8の粉末化粧料は、色の出、化粧持ちといった使用感触が欠如していることが確認された。
以上の結果より、アミノ変性シリコーンを添加した本発明の粉末化粧料の製造方法は化粧持ちに優れたものであることが分かる。
下記処方表5に示される実施例6及び7の粉末成分と油性成分を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、3mmφのジルコニアビーズを充填した媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル)を用いて、解砕/粉砕/分散を行った。得られた粉末スラリーをドライマイスター(ホソカワミクロン社製)にて乾燥させ、得られた乾燥粉体とパール顔料部をそれぞれヘンシェルミキサーにて混合後、混合乾燥粉体を得た。
得られた混合乾燥粉末とその他の成分とを混ぜ、容器に充填し、公知の乾式プレス成型により粉末固形化粧料を得た。得られた粉末固形化粧料は使用感触、パール感が非常に優れたものであった。
12 貯蔵タンク
14 乾燥装置
16 筐体
18 せん断手段
20 供給手段
22 送風手段
24 捕集手段
Claims (6)
- 粉末成分と結合剤としての油性成分と分散剤としてのアミノ変性シリコーンを揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、備え、該乾燥粉末から粉末化粧料を得る粉末化粧料の製造方法であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、
前記粉末化粧料がアミノ変性シリコーンを0.1〜5.0質量%含有することを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 - 請求項1または2のいずれかに記載の製造方法において、
前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、中空状の筐体と、該筐体内に設けられたせん断部材によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給、接触させる送風手段と、前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段とを備えた乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 - 請求項1または3のいずれかに記載の製造方法において、
前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 - 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法において、
パール顔料以外の粉末成分を前記スラリー調整工程および前記乾燥工程によって乾燥粉末とし、該乾燥粉末とパール顔料とを混合して得た粉末を用いて粉末化粧料を得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法において、
前記乾燥粉末および/または前記乾燥粉末とパール顔料とを混合して得た粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えたことを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
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