JP2009041747A - 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造 - Google Patents

動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2009041747A
JP2009041747A JP2007210326A JP2007210326A JP2009041747A JP 2009041747 A JP2009041747 A JP 2009041747A JP 2007210326 A JP2007210326 A JP 2007210326A JP 2007210326 A JP2007210326 A JP 2007210326A JP 2009041747 A JP2009041747 A JP 2009041747A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
power transmission
transmission device
roller
gear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007210326A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Ishizuka
正之 石塚
Yasuo Tanno
康雄 丹野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2007210326A priority Critical patent/JP2009041747A/ja
Publication of JP2009041747A publication Critical patent/JP2009041747A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Retarders (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

【課題】動力伝達装置において、摺動部材間の摩擦・磨耗を低減させることで、伝達ロスを抑え、伝達効率を向上させる動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造を提供する。
【解決手段】一対の摺動部材が互いに摺動する摺動部を有する動力伝達装置100であって、前記一対の摺動部材の対向する2つの表面のうち少なくとも一方が、所定の粗さ加工によって形成した表面粗さと、金属元素が添加され、表面粗さ上に形成された炭素系被膜と、を有し、該対向する2つの摺動表面の間に、MoとSを成分として含む潤滑剤が配されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力された動力を複数の摺動部材を介して出力する動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造に関する。
従来、動力伝達装置の動力伝達ロスの低減を行うべく、摺動部材の摩擦・磨耗を低減するために次の3つの方法が考えられている。
(a)潤滑剤を使用する。
(b)接触面をメッキ、蒸着等で皮膜する。
(c)(a)と(b)を組み合わせる。
(a)の潤滑剤については、潤滑油(オイル等液体状)、グリース(半固体状)、固体潤滑剤の3種に大別され、それぞれ、用途により使い分けられている。一般に多く使用されているのは、潤滑油であり、軸受、ギア、エンジン、切削等に幅広く用いられている。一方グリースは、流動性のない特長を生かして、内接噛合遊星歯車減速機のような減速機の軸受等に使用されている(例えば、特許文献1)。また、固体潤滑剤は潤滑油、グリースを使用することができない環境下あるいは、潤滑油やグリースの添加剤として使用されており、使用環境としては、真空中、高温・低温中、腐食環境等が挙げられる。
特開2001−187945号公報
しかしながら、上記3つの方法ではその摺動部材の摩擦は未だ十分に低減されていなかったというのが実情である。
例えば、上述した(a)〜(c)、そして、(a)と(b)のいずれの対策もしないものを(d)として、標準試料として用いるボール表面にそれぞれの条件で表面処理をする。そして、これらの摩擦係数をボール・オン・ディスク方法によるトライボメータにて摺動距離100mの摩擦係数を測定し(図9)、その結果を表面処理の条件と共に図10に示す。なお、ここでは表面処理される下地には、粗さ加工による表面粗さは形成されていない。
この結果から明らかなように、摩擦係数μは、条件(a)で約0.08、条件(b)で約0.16、条件(c)で約0.08、条件(d)で約0.94であり、潤滑剤の使用により、摩擦係数を0.08程度まで下げることができるが、逆にそれが、限界であったことが確認できる。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、動力伝達装置において、摺動部材間の摩擦・磨耗を低減させることで、伝達ロスを抑え、伝達効率を向上させる動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造を提供することを課題とする。
本発明は、一対の摺動部材が互いに摺動する摺動部を有する動力伝達装置であって、前記一対の摺動部材の対向する2つの摺動表面のうち少なくとも一方が、所定の粗さ加工によって形成した表面粗さと、金属元素が添加され、該表面粗さ上に形成された炭素系被膜と、を有し、該対向する2つの摺動表面の間に、Mo(モリブデン)とS(硫黄)を成分として含む潤滑剤が配されていることにより前記課題を解決したものである。
本発明においては、動力伝達装置の摺動部材の対向する2つの摺動表面のうち少なくても一方は、粗さ加工によって生じた表面粗さを有して、その上に金属元素が添加された炭素系被膜を有する。この表面粗さにより、金属元素が添加された耐摩耗性・潤滑性に優れる炭素系被膜を剥がれにくく形成でき、磨耗しても炭素系被膜が消失することを防止できる。また、炭素系被膜による下地の表面の保護と耐磨耗性の効果も得ることができる。更に、摺動部材の対向する摺動表面の間に、MoとSを成分として含む潤滑剤が配されるため、炭素系被膜中の金属元素により摺動面にMoとSをひきつけやすく、潤滑性の高い2硫化モリブデン膜(以降、Mo−S膜と表記する)を形成することができる。また、粗さ加工による下地の表面粗さにより、摺動表面の磨耗が進んでも、金属元素が添加された炭素系被膜とMoとSを含む潤滑剤が残留するので、前記Mo−S膜を長期間保持でき、実用的な摩擦低減が可能となる。
なお、上記表面粗さの範囲としては、例えば、平均粗さ(Ra)で0.03μmから0.5μmのときが好ましく、Mo−S膜を長期間保持することができる。
本発明によれば、動力伝達装置の摺動部において、摩擦低減がなされ、高効率な動力伝達が可能である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態について、図1から図7を用いて説明する。図1は本実施形態に係る動力伝達装置の断面図、図2は図1の動力伝達装置の破線囲いされた摺動部構造の拡大図、図3は本実施形態の摺動表面を標準試料で実現して比較したときの摩擦係数比較図、図4は図3の結果を示した表、図5は電子線マイクロアナライザ(EPMA)による観察面となる磨耗面の位置を示す模式図、図6は図5で示した磨耗面をEPMAで分析した結果を示すディスプレイ画面、図7は摩擦係数と効率及び温度測定結果を表すグラフを、それぞれ示す。
〈第1実施形態の構成〉
初めに、本実施形態に係る動力伝達装置である内接噛合遊星歯車減速機の構成について、図1、図2を用いて説明する。内接噛合遊星歯車減速機100は、入力軸102と、該入力軸102に一体化された偏心体110、112と、該偏心体110、112によって揺動回転する外歯歯車126、128と、該外歯歯車126、128が内接噛合する内歯を備える内歯歯車136と、該外歯歯車126、128の軸方向外側に配され外歯歯車126、128の自転成分を取り出す内ピン148に連結されたフランジ体152と、を有する。以下、各構成要素について詳細に説明する。
前記入力軸102は、図1に示す如く、一対の軸受104、106によって軸支されている。軸受104は入力段カバー144によって、軸受106は出力軸154と一体であるフランジ体152の内面によって、支えられている。
前記偏心体110、112は、図1に示す如く、軸受104、106の間の入力軸102に一体化されている。偏心体110、112は、それぞれ、偏心位相が180度ずれている。図2に示す如く、偏心体110、112は、外歯歯車126、128との間に配されるころ軸受114、120のころ116、122を受ける溝側面110a,112aと、溝底面110b、112bとを備える。また、ころ軸受114、120はころ116、122ところ116、122の位置を保持するリテーナ118、124から構成される。このため、ころ(第1部材)116、122の側面116a、122aと該側面116a、122aに対向する面である偏心体(第2部材)110、112の溝側面110a、112aとを摺動表面とする摺動部が形成される。このため、後述する本実施形態に係る表面処理を、上記摺動部材の対向する2つの摺動表面に対して行う。
前記外歯歯車126、128は、図1に示す如く、偏心体110、112の外周にころ軸受114、120を介して嵌合されている。外歯歯車126、128は、軸方向に貫通する複数の内ピン孔130、132をそれぞれ有し、該内ピン孔130、132には内ローラ150が遊嵌される。すなわち外歯歯車126、128は、偏心体110、112の回転により揺動回転し、内歯歯車136と内接噛合する。本実施形態では、外歯歯車126、128は内歯歯車136の歯数と僅少な差(1乃至3程度)の同一の歯数を備え同一形状を有することで、動力伝達容量の確保を可能としている。尚、スペーサ134を外歯歯車126と、外歯歯車128の間に挿入して間隔を一定としている。
前記内歯歯車136の本体は、図1に示す如く、ケーシング142と一体化されている。複数の外ピン140と外ピン140の外周に挿嵌された外ローラ138により歯形が形成され、外歯歯車126、128と内接噛合する。外ピン140は、図2に示す如く、内歯歯車136の本体と、入力段カバー144と、出力段カバー146とで、回転自在に保持されている。また、外ローラ138はフランジ体152、及び入力段カバー144とも接触している。このため、外歯歯車126、128の揺動回転により、外ローラ(第1部材)138の内周面138aと、該内周面138aに対向する面である外ピン(第2部材)140の外周面140aとを摺動表面とする摺動部が形成される。同時に外ローラ(第1部材)138の側面138bと該側面138bに対向する面である入力段カバー(第2部材)144の内面144bとを摺動表面とする摺動部、外ローラ(第1部材)138の側面138bと該側面138bに対向する面である出力段カバー(第2部材)146の内面146aとを摺動表面とする摺動部、及び、外ローラ(第1部材)138の側面138bと該側面138bに対向する面である内歯歯車(第2部材)136の本体の内面136b、136dとを摺動表面とする摺動部が、それぞれ形成される。
また、外ローラ138の外ピン140を中心とした摺動回転により、外ピン(第1部材)140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である内歯歯車(第2部材)136の本体の内面136a、136cとを摺動表面とする摺動部、外ピン(第1部材)140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である入力段カバー(第2部材)144の内面144cとを摺動表面とする摺動部、外ピン(第1部材)140の両端保持面140cと該両端保持面140cに対向する面である入力段カバー(第2部材)144の内面144dとを摺動表面とする摺動部、外ピン(第1部材)140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である出力段カバー(第2部材)146の内面146bとを摺動表面とする摺動部、及び、外ピン(第1部材)140の両端保持面140cと該両端保持面140cに対向する面である出力段カバー(第2部材)146の内面146cとを摺動表面とする摺動部が、それぞれ形成される。このため、後述する本実施形態に係る表面処理を、上記摺動部材の対向する2つの摺動表面に対して行う。
前記フランジ体152は、図1に示す如く、外歯歯車128の軸方向外側に配されており、内ピン148が連結固定されている。内ピン148の外周にはパイプ状の内ローラ150が被嵌され、該内ローラ150は外歯歯車126、128の内ピン孔130、132に遊嵌されている。従って内ピン148により外歯歯車126、128と内歯歯車136との自転成分を取り出すことが可能である。図2に示す如く、外歯歯車126、128の揺動回転により、内ローラ(第1部材)150の内周面150aと該内周面150aに対向する面である内ピン(第2部材)148の外周面148aとを摺動表面とする摺動部が形成される。同時に、内ローラ(第1部材)150の側面150bと該側面150bに対向する面である入力段カバー(第2部材)144の内面144aとを摺動表面とする摺動部、及び、内ローラ(第1部材)150の側面150bと該側面150bに対向する面であるフランジ体(第2部材)152の内面152aとを摺動表面とする摺動部が、それぞれ形成されている。このため、後述する本実施形態に係る表面処理を、上記摺動部材との対向する2つの摺動表面に対して行う。
出力軸154は、図1に示す如く、フランジ体152と一体であり、一対の軸受156、158を介して出力段カバー146によって支持されている。
〈第1実施形態の表面処理〉
上述してきた、摺動部における2つの摺動表面のいずれかに対して行う表面処理について説明する。
まず、炭素系被膜の下地である摺動部材の表面に粗さ加工を行う。本実施形態では、投射材を打ち付けて摺動部材の表面を改質するショットピーニングを用いているので、疲労強度の向上による耐久性向上、耐摩耗性の向上、耐衝撃性の向上、応力腐食割れ防止などを可能としている。本実施形態での表面粗さは、平均粗さRaで、約0.07μmである。なお、表面粗さは、平均粗さRaで0.03μm〜0.5μmが好ましい。
次に、粗さ加工された表面に炭素系被膜である炭素系硬質膜(C系硬質膜とも称する)を膜形成(コーティング)する。本実施形態では、例えばIP(イオンプレーティング)で膜形成する。IPは、蒸着法などと共に物理気相成長法(PVD)の一種であり、被膜材料である炭素を蒸着して膜形成する。膜形成中に膜付けの対象面にプラズマをかけるので、対象面がスパッタされて表面が清浄化されることと対象面の温度が上昇することにより、被膜の付着強度は大きくなる。本実施形態でのC系硬質膜の膜厚は、約2μmとする。前記膜の材質は、C(炭素)だけでなく、金属元素を1種類以上含んだ膜であり、例えば、金属元素はCr(クロム)やW(タングステン)とすることができる。
次に、C系硬質膜が成形された表面に潤滑剤を塗布する(配する)。潤滑剤は本実施形態ではその成分中にMo、S元素を同時に含むものを使用する。潤滑剤の成分中のMoとSが対象となる摺動表面でMo−S膜を形成し、潤滑フィルム(トライボフィルムとも称する)として機能するため、摩擦係数が低減する。なお、本実施形態では、各摺動部に保持されやすいグリースを潤滑剤の基油として用いる。
〈第1実施形態に係る表面処理を標準試料に用いた比較評価〉
このような表面処理を標準試料に適用したときの比較評価について説明をする。
評価は、ボール・オン・ディスク方式によって行い、回転するディスク上に載せた標準試料であるボールに上方から5Nの荷重をかけ、25cm/secでボールを回転させずにディスクに対して摺動・磨耗させて、図3に示す如く、摩擦係数を摺動距離2000mまで測定した。ボール材質は軸受鋼、ディスクの材質は工具鋼を用いている。
図4に示す如く、試験例A、B、Cが本実施形態に係る条件であり、2000mを摺動させた後の結果は次のようになった。試験例Aはディスク表面に本実施形態に係る表面処理により、Cr添加したC系硬質膜をコーティングしたもので、摩擦係数μ≒0.022が得られた。なお、ボールにも全く同じ被膜をコーティングしている。試験例Bはディスク表面に本実施形態に係る表面処理により、W添加したC系硬質膜をコーティングしたもので、摩擦係数μ≒0.025が得られた。なお、ボールにも全く同じ被膜をコーティングしている。試験例Cはディスク表面に本実施形態に係る表面処理により、W添加したC系硬質膜をコーティングしたもので、摩擦係数μ≒0.026が得られた。なお、ボールにはコーティングしていない。比較例Dはディスク表面に本実施形態に係る表面処理とは異なり、MoとSとを含まないグリースを使用したもので、摩擦係数μ≒0.138が得られた。なお、ボールにはコーティングしていない。比較例Eはディスク表面に本実施形態に係る表面処理とは異なり、なんら被膜をしていないもので、摩擦係数μ≒0.074が得られた。なお、ボールにはコーティングしていない。比較例Fはディスク表面に本実施形態に係る表面処理とは異なり、金属元素を添加していないC系硬質膜をコーティングしたもので、摩擦係数μ≒0.043が得られた。なお、ボールにはコーティングしていない。
以上のように、比較例D〜Fは、本実施形態に係る表面処理の条件を満足していないので、摩擦係数μは試験例A〜Cでの結果に比べて、高い値となっている。すなわち、本実施形態における粗さ加工による表面粗さ上にはC系硬質膜がなければならず、それにCrあるいはWの金属元素が添加されていることが必要である。しかし、前記金属元素が添加されたC系硬質膜であっても、MoとSが添加されたグリースを用いなければ、効果が出ないということを示している。これらの結果より、本発明に係る表面処理である、粗さ加工条件とコーティング条件と潤滑剤条件を満足することによって、摩擦係数μを0.03以下とすることができることを確認できる。
次に、ボール・オン・ディスクによる2000m摩擦係数測定後の試験例Cについて、EPMAを用いて図5に示すボールの磨耗面の元素分析を行った。分析結果を図6に示す。なお、グリースにMoが添加されていない条件だけが試験例Cと異なり、結果として摩擦係数0.122のボールについて比較例Gとして分析し結果を示す。なお、図6では、磨耗面における分析対象元素毎の画像を表示している。すなわち、対象元素が多く存在する場合には対象の原子が多く存在することで磨耗面が明るく表示されることとなる。
比較例Gでは、図6のS原子像の画面で摩耗面の端部のみがわずかに明るくなっているので、局所的にS元素の存在を確認できるが、不均一であり、Mo原子像の画面でMo元素の存在は確認できない。これに対して、本実施形態の試験例Cでは、Mo原子像とS原子像の画面のそれぞれにおいて、摩耗面が一様に明るく映し出されていることから、Mo元素とS元素が磨耗面に一様に分布していることがわかる。すなわち、本実施形態の表面処理により、ボールの表面が磨耗されていても、自己潤滑性の高いMo−Sによる潤滑フィルムが形成されており、その潤滑フィルムの存在が摩擦係数の低減に有効であることを確認できる。
〈第1実施形態の作用〉
次に、本実施形態に係る動力伝達装置の作用を図1、2を用いて説明する。
入力軸102を介して図示しない動力源から動力が伝達されると、入力軸102に取り付け固定された偏心体110、112も偏心回転する。すると、偏心体110、112の外周上に設けられた溝に沿って、ころ軸受114、120のころ116、122がリテーナ118、124に保持されて偏心体の溝底面110b、112bにころ116、122の外周面が接触して回転移動する。このとき、ころ116、122の側面116a、122aと該側面116a、122aに対向する面である偏心体110、112の溝側面110a、112aとが摺動するが、本実施形態に係る表面処理がなされているため、磨耗も少なく且つ伝達ロスを少なく動力を伝達する。
ころ116、122は偏心体110、112の外周面に案内されて偏心軌跡上で転がるため、該ころ116、122を介して嵌合している外歯歯車126、128が揺動回転する。ここで、外歯歯車126、128は、ケーシング142と一体である内歯歯車136に内接噛合しているため、外歯歯車126、128の自転が規制され、殆ど揺動のみを行うことになる。そして、外歯歯車126、128が内歯歯車136と内接噛合する際に、外ローラ138が外ピン140を中心に回転する。すなわち、外ローラ138の内周面138aと該内周面138aに対向する面である外ピン140の外周面140aとが摺動する。同時に外ローラ138の側面138bと該側面138bに対向する面である入力段カバー144の内面144b、外ローラ138の側面138bと該側面138bに対向する面である出力段カバー146の内面146a、及び、外ローラ138の側面138bと該側面138bに対向する面である内歯歯車136の本体の内面136b、136dとが、それぞれ摺動する。このとき、外ピン140は回転自在に保持されていることから、外ローラ138の回転が外ピン140に伝わり、外ピン140が回転することで外ピン140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である内歯歯車136の本体の内面136a、136c、外ピン140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である入力段カバー144の内面144c、外ピン140の両端保持面140cと該両端保持面140cに対向する面である入力段カバー144の内面144d、外ピン140の両端保持面140bと該両端保持面140bに対向する面である出力段カバー146の内面146b、及び、外ピン140の両端保持面140cと該両端保持面140cに対向する面である出力段カバー146の内面146cとが、それぞれ摺動する。しかし、本実施形態に係る表面処理がなされているため、磨耗も少なく且つ伝達ロスを少なく動力を伝達する。
このとき、外歯歯車126、128の歯数と内歯歯車136の歯数(外ピン140及び外ローラ138の数)とは、僅少の差(1乃至3程度)を有するように構成されているので、偏心体110、112が1回転すると、外歯歯車126、128は1回揺動を行い、この際に前記僅少の差だけ自転する。この自転成分が、内ピン孔130、132に遊嵌された内ピン148及び内ローラ150を介してフランジ体152に取り出される。この際に内ピン孔130、132の内周面が内ローラ150に接触することで、内ローラ150が内ピン148を中心に回転する。すると、内ローラ150の内周面150aと該内周面150aに対向する面である内ピン148の外周面148aとが摺動する。同時に、内ローラ150の側面150bと該側面150bに対向する面である入力段カバー144の内面144a、及び、内ローラ150の側面150bと該側面150bに対向する面であるフランジ体152の内面152aとが、それぞれ摺動する。しかし、本実施形態に係る表面処理がなされているため、磨耗も少なく且つ伝達ロスを少なく動力を伝達する。
このとき、外歯歯車126、128の揺動成分は内ピン孔130、132に対する内ピン148及び内ローラ150の遊嵌によって吸収されるので、外歯歯車126、128の自転成分のみが取り出される。従って、入力軸102の回転が、(外歯歯車126(=128)と内歯歯車136の歯数差)/(外歯歯車126(=128)の歯数)にまで減速されることとなる。このフランジ体152の減速された回転は、フランジ体152と一体に形成された出力軸154へと伝達され、図示しない負荷へ動力を高効率で伝達することとなる。
〈第1実施形態の効果〉
図7には、横軸を摩擦係数、縦軸を本実施形態に係る内接噛合遊星歯車減速機100の効率として、上記動作した際の結果を示す。本実施形態である試験例A、Bと、比較例D、比較例Eと、コーティングなしで且つMo、Sを含まないグリースを配した条件を比較例Hとして示す。なお、図では比較例Hで得られた効率を1として、その他の条件で得られた効率を比較例Hの効率に対する相対効率として表している。図7で示す如く、試験例Aの場合には、内接噛合遊星歯車減速機100は温度が比較例Hに比べて2度下がり、それに伴い、その伝達効率は比較例Hに比べて20%近く上昇していることが確認できる。
すなわち、本実施形態にかかわる表面処理のなされた摺動表面においては、粗さ加工によって生じた特定の表面粗さ(Ra0.07μm)を有して、その上にWあるいはCrの金属元素が添加されたC系硬質膜を有する。この表面粗さにより、金属元素が添加された耐摩耗性・潤滑性に優れるC系硬質膜が剥がれにくく形成されている。なお、表面粗さは、ショットピーニングにより加工されているので、疲労強度の向上によって、耐久性、耐磨耗性、耐衝撃性が高く、応力腐食割防止が可能である。そして、C系硬質膜によって摺動表面の保護がなされ、耐磨耗性も向上している。このとき、C系硬質膜は、膜が形成される表面を清浄化しつつ、温度を上昇させるIP(イオンプレーティング)によってなされているために、摺動表面への付着強度を増大させている。更に、摺動部材の対向する摺動表面の間に、MoとSを成分として含む潤滑剤が配されているため、C系硬質膜中の金属元素により摺動表面にMoとSをひきつけやすく、潤滑性の高いMo−S膜を形成することができる。このため、これら2つの摺動表面において摩擦係数が低減することになり、摺動表面の磨耗を減らすことができ、伝達ロスを大幅に低減することが可能となり、摩擦ロスにより生じていた発熱が低減できる。
又、摩擦ロスが低減できることから高効率な動力伝達が可能となり、入力軸に動力を伝える動力源の消費電力を低減することが可能となる。更には、摩擦ロスによって動力伝達装置である内接噛合遊星歯車減速機100に余分な負荷がかからず、メンテナンスサイクルの長期化及び製品寿命を延ばすことが可能である。
又、粗さ加工により、特定の表面粗さ(Ra0.07μm)としていることから、摺動する2つの表面が磨耗によりある程度磨り減っても、金属元素(Cr,W)の添加されたC系硬質膜とMoとSを含む潤滑剤であるグリースが、2つの摺動表面の間に存在する。すなわち潤滑性の高いMo−S膜が2つの摺動表面の間に長期間残るため、長期間にわたり摩擦ロスを低減するので、上述した一連の効果を長期間持続させることができる。
〈第1実施形態中の記載に限定されない事項〉
上記実施形態における内接噛合遊星歯車減速機100の摺動部構造の適用部位は、上記に限定されるものではなく、例えば、外歯歯車126の側面と外歯歯車126の側面に対向する入力段カバー144の内面、外歯歯車126の側面と外歯歯車126の側面に対向するスペーサ134の側面、外歯歯車128の側面と外歯歯車128の側面に対向するスペーサ134の側面、外歯歯車128の側面と外歯歯車128の側面に対向する出力段カバー146の内面等に適用してもよい。なお、スペーサ134に対しては、スペーサ134が金属製である場合に表面処理の対象となるものである。
又、本実施形態は、上記内接噛合遊星歯車減速機に限定されるものではなく、2段の内接噛合遊星歯車減速機構を有するものや、内接噛合遊星歯車減速機であっても、外ローラや内ローラを使用しないものであっても適用されるものである。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について、図8を用いて説明する。図8は本実施形態に係る動力伝達装置の断面図を示す。
なお、本実施形態に係る表面処理と標準試料を用いての比較評価についは第1実施形態と同一であるので省略する。
〈第2実施形態の構成〉
まず、本実施形態に係る動力伝達装置である調和歯車式遊星歯車減速機の構成について、図8を用いて説明する。調和歯車式遊星歯車減速機200は、入力軸202と、該入力軸202に取付けられたウエーブジェネレータ208と、該ウエーブジェネレータ208の外側に配され弾性変形する外歯歯車210と、該外歯歯車210の外周に設けられた外歯が内接噛合する内歯を備える内歯歯車212と、を有する。各構成要素について以下に詳細に説明する。
前記入力軸202は、軸受204と、ウエーブジェネレータ208の構成要素であるボールベアリング206によって軸支されている。そして、軸受204は入力段カバー216によって、ボールベアリング206は外歯歯車210と内歯歯車212を介してケーシング214に支持されている。入力軸202はウエーブジェネレータ208の回転軸であり、入力軸202の回転によりウエーブジェネレータ208が回転する。
前記ウエーブジェネレータ208は、楕円状カム207の外周に薄肉のボールベアリング206を有する。ボールベアリング206の内輪は楕円状カム外周に固定されているが、楕円状カムの回転によりボールベアリング206の外輪、すなわちウエーブジェネレータ208の外周面208aは弾性変形することとなる。
前記外歯歯車210は、薄肉カップ状の金属弾性体で、開口部の外周に外歯が刻まれており、カップ中心が出力軸220に取付けられている。ウエーブジェネレータ208の外周面208aに配され、楕円状カム207の回転でウエーブジェネレータ208の外周面208aが弾性変形すると、外歯歯車210の外周面に設けられた外歯が内歯歯車212の内歯と内接噛合するため、ウエーブジェネレータ(第1部材)208の外周面208aと該外周面208aに対向する面である外歯歯車(第2部材)210の内周面210aとを摺動表面とする摺動部が形成される。このため、本実施形態に係る表面処理を、上記摺動部材の対向する2つの摺動表面に対して行う。すなわち、この一対の摺動部材の対向する2つの摺動表面のうち一方のみを粗さ加工により、約0.07μmの平均粗さRaとして、その上にWあるいはCrが添加された約2μm厚のC系硬質膜を施し、MoとSが含まれる潤滑剤であるグリースをこの一対の摺動表面の間に配する。
前記内歯歯車212は、リング状の部品であり、内側に歯が刻まれている。外歯歯車210の歯数とは僅少の差(1乃至3)で、外歯歯車210よりも歯数が多く、ケーシング214に固定されている。
前記出力軸220は、外歯歯車210の回転軸であり、一対の軸受222、224により軸支されており、軸受222、224はケーシング214によって支持されている。
〈第2実施形態の作用〉
次に、本実施形態の作用を説明する。入力軸202を介して図示しない動力源から動力が伝達されると、入力軸202に取り付け固定されたウエーブジェネレータ208の楕円状カム207が回転する。すると、ボールベアリング206を介してウエーブジェネレータ208の外輪が楕円状に弾性変形して、ウエーブジェネレータ208により生じた外歯歯車210の楕円の長軸方向の両端位置で内歯歯車212と内接噛合する。このとき、ウエーブジェネレータ208の外周面208aと該外周面208aに対向する外歯歯車210の内周面210aは互いに摺動するが、上述した表面処理が適用されているため、磨耗も少なく且つ伝達ロスを少なく動力を伝達する。
このとき、外歯歯車210と内歯歯車212との間に相対回転が発生して、入力軸202から大幅に減速された回転が外歯歯車210に取り出される。すなわち入力軸202の回転が、(外歯歯車210と内歯歯車212の歯数差)/(外歯歯車210の歯数)にまで減速されることとなる。この外歯歯車210の減速された回転は、外歯歯車210と一体に形成された出力軸220へと伝達され、図示しない負荷へ動力を高効率で伝達することとなる。
〈第2実施形態の効果〉
第1実施形態と同様の効果を有し、摩擦ロスの低減により、温度上昇が抑えられ省電力化や長寿命化、メンテナンスサイクルの長期化、一連の効果の長期持続などが可能となる。なお、第1実施形態に比べて、本実施形態に係る調和歯車式遊星歯車減速機200は部品点数が少ないので、摺動部構造を採用する箇所は少なくてよい。
〈第2実施形態中の記載に限定されない事項〉
上記実施形態における調和歯車式遊星歯車減速機200の摺動部構造は、上記に限定されるもではない。例えば、内歯歯車212の内歯と外歯歯車210の外歯とがインボリュート曲線形状でなく、単純歯形であれば、内接噛合する部分で摺動表面が増えるので、このような一対の摺動表面に本実施形態に係る表面処理を適用しても良い。
又、調和歯車式遊星歯車減速機200は、本実施形態の1段のものに限定されず、2段あるいは、他の減速機構との組合せとしてもよい。
〈実施形態に限定されない事項〉
上記実施形態では、粗さ加工処理をショットピーニングとしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、粗さ加工処理は、化学エッチング、機械的切削のいずれか、あるいはショットピーニングなどと組み合わせて行うこともできる。
又、摺動表面の面粗さは平均粗さRaで0.07μmである必要はなく、上述したように好ましくは平均粗さRaで0.03μm〜0.5μmであればよい。Ra<0.03μmでは、表面が鏡面状態となり、炭素系被膜との密着性が保てないこと、摺動により磨耗したときに炭素系被膜が完全に消失する可能性が高いこと、炭素系被膜成形後に潤滑剤の保持がしにくいことなどにより摩擦係数を低減する効果は少なくなるからである。また、Ra>0.5μmでは炭素系被膜を成形後においても表面が粗くなりすぎて摩擦係数が増加するからである。
又、炭素系被膜はダイヤモンドライクカーボン(DLC)のようなC系硬質膜に限らず、グラファイトなど、炭素を主原料とする膜であればよい。そして、IPに限らず、蒸着法などの物理気相成長法(PVD)や化学気相成長法(CVD)で形成してもよい。このときの炭素系被膜の膜厚は、約2μmに限られるものではなく、好ましくは0.5μm以上10μm以下であればよい。膜厚が0.5μmよりも薄すぎると、摺動する表面の摩擦により膜が短時間で磨り減り、10μmより厚すぎると、膜の応力で剥がれやすくなるためである。炭素系皮膜に添加される金属元素は、Cr、Wだけに限られるものではなく、金属元素はチタン(Ti)、Mo、あるいは半金属であるシリコン(Si)等のいずれかとすることができる。
又、上記金属元素の添加量は、数原子量%から数+原子量%とすることができる。炭素系被膜は無潤滑条件で摺動させると、炭素系被膜はMo−S膜その被膜表面における反応性の低さから低い摩擦係数を示すが、潤滑剤中では、逆にその被膜表面の低い反応性に起因して摩擦係数の低減効果は少ない。そのため、上記条件でMo−S膜を表面に形成して潤滑剤中において低い摩擦係数を実現するものである。なお、このような金属元素を添加するには、蒸着する主原料である炭素に金属元素を適量混ぜることや、別の熱源を用いて同時に蒸着することで容易に実現できる。
又、MoとSは、潤滑剤全量に対して、それぞれ、数重量%とすることができる。すなわち、2硫化モリブデン(MoS2)の形でリチウムと共に添加されている市販の潤滑剤を使用することもできる。MoS2を使用する理由としては、分子構造が層状格子構造であり、それぞれの層はMo原子を2つのS原子が両側から挟んだ形をしているが、このMoとSの結合は非常に強く、反面SとSの結合は弱いので低い剪断力で容易に滑るため、高い潤滑性と低摩擦性を発揮するためである。
又、潤滑剤は、グリースに限定されるものではなく、潤滑油などを使用することもできる。
又、摺動部材である第1及び第2部材は、同一金属に限定する必要は無く、異種金属間でもよく、粗さ加工処理と表面の炭素系の被膜は、摺動表面の片側に行うだけでも、両方に行うこととしても良い。
又、動力伝達装置は、上記内接噛合遊星歯車減速機や調和歯車式遊星歯車減速機に限定されものではなく、本発明は、例えば、太陽歯車と遊星歯車からなる減速機やその他の増速機、などを含む摺動部材及び摺動部構造を含む動力伝達装置一般に適用可能であり、相応の成果が得られる。
第1実施形態に係る動力伝達装置の断面図 図1の動力伝達装置の破線囲いされた摺動部構造の拡大図 摺動表面を標準試料で実現して比較したときの摩擦係数比較図 図3の結果を示した表 電子線マイクロアナライザ(EPMA)による観察面となる磨耗面の位置を示す模式図 図5で示した磨耗面をEPMAで分析した結果を示すディスプレイ画面 摩擦係数と効率及び温度測定結果を表すグラフ 第2実施形態に係る動力伝達装置の断面図 従来の摺動表面を標準試料で比較したときの摩擦係数比較図 図8の結果を示した表
符号の説明
100…内接噛合遊星歯車減速機
102、202…入力軸
104、106、156、158、204、222、224…軸受
110、112…偏心体
110a、112a…偏心体の溝側面
110b、112b…偏心体の溝底面
114、120…ころ軸受
116、122…ころ
116a、122a…ころの側面
118、124…リテーナ
126、128…外歯歯車
130、132…内ピン孔
134…スペーサ
136…内歯歯車
136a、136b、136c、136d…内歯歯車の本体の内面
138…外ローラ
138a…外ローラの内周面
138b…外ローラの側面
140…外ピン
140a…外ピンの外周面
140b、140c…外ピンの両端保持面
142、214…ケーシング
144、216…入力段カバー
144a、144b、144c、144d…入力段カバーの内面
146、218…出力段カバー
146a、146b、146c…出力段カバーの内面
148…内ピン
148a…内ピンの外周面
150…内ローラ
150a…内ローラの内周面
150b…内ローラの側面
152…フランジ体
152a…フランジ体の内面
154、220…出力軸
200…調和歯車式遊星歯車減速機
206…ボールベアリング
207…楕円状カム
208…ウエーブジェネレータ
208a…ウエーブジェネレータの外周面
210…外歯歯車
210a…外歯歯車の内周面
212…内歯歯車

Claims (6)

  1. 一対の摺動部材が互いに摺動する摺動部を有する動力伝達装置であって、
    前記一対の摺動部材の対向する2つの摺動表面のうち少なくとも一方が、
    所定の粗さ加工によって形成した表面粗さと、
    金属元素が添加され、該表面粗さ上に形成された炭素系被膜と、を有し、
    該対向する2つの摺動表面の間に、MoとSを成分として含む潤滑剤が配されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1において、
    前記動力伝達装置が、入力軸と、該入力軸に一体化された偏心体と、該偏心体によって揺動回転する外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する内歯を備える内歯歯車と、該外歯歯車の軸方向外側に配され外歯歯車の自転成分を取り出す内ピンに連結されたフランジ体と、を有する内接揺動噛合型遊星歯車減速機であって、
    前記摺動部材の対向する2つの摺動表面が、前記偏心体と外歯歯車との間に配されるころ軸受のころの側面と該ころの側面に対向する面、前記内ピンの外周面と該内ピンの外周面に対向する内ピンに被嵌された内ローラの内周面、該内ローラの側面と該内ローラの側面に対向する面、前記内歯を形成する外ピンの両端保持面と該外ピンの両端保持面に対向する面、該外ピンの外周面と該外ピンの外周面に対向する外ピンに被嵌された外ローラの内周面、及び、該外ローラの側面と該外ローラの側面に対向する面の、少なくとも一対以上であることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1において、
    前記動力伝達装置が、入力軸と、該入力軸に取付けられたウエーブジェネレータと、該ウエーブジェネレータの外側に配され弾性変形する外歯歯車と、該外歯歯車の外周に設けられた外歯が内接噛合する内歯を備える内歯歯車と、を有する調和歯車式遊星歯車減速機であって、
    前記摺動部材の対向する2つの摺動表面が、前記ウエーブジェネレータの外周面と該ウエーブジェネレータの外周面に対向する前記外歯歯車の内周面であることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記表面粗さが、0.03μmから0.5μmの間に設定された平均粗さを有していることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記炭素系被膜が、その膜厚が0.5μmから10μmであり、且つ、前記添加される金属元素が、Cr、Ti、Mo、W、Siのうちの少なくとも1以上であることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 第1部材と第2部材とが互いに摺動する摺動部を有する動力伝達装置の摺動部構造であって、
    前記第1部材と第2部材との間に、Mo、Sを成分として含む潤滑剤が配され、
    該第1部材、第2部材のうち少なくとも一方の摺動表面が、金属元素が添加された炭素系被膜により覆われ、
    且つ、該炭素系被膜の下地に所定の粗さ加工が施されている
    ことを特徴とする動力伝達装置の摺動部構造。
JP2007210326A 2007-08-10 2007-08-10 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造 Pending JP2009041747A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007210326A JP2009041747A (ja) 2007-08-10 2007-08-10 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007210326A JP2009041747A (ja) 2007-08-10 2007-08-10 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009041747A true JP2009041747A (ja) 2009-02-26

Family

ID=40442678

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007210326A Pending JP2009041747A (ja) 2007-08-10 2007-08-10 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009041747A (ja)

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009197819A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Sumitomo Heavy Ind Ltd 減速機
JP2010221964A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
JP2011117577A (ja) * 2009-12-07 2011-06-16 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
JP2012097765A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
JP2013007416A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Seiko Epson Corp 減速機、ロボット及びロボットハンド
WO2013008492A1 (ja) 2011-07-08 2013-01-17 住友重機械工業株式会社 減速装置
JP2013185619A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Heavy Ind Ltd 遊星歯車減速機
CN103670586A (zh) * 2012-09-12 2014-03-26 住友重机械工业株式会社 减速装置
CN104864040A (zh) * 2015-04-24 2015-08-26 江苏联合传动设备有限公司 一种行星摆线齿轮减速器
JP2015197158A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型の減速装置
JP2015209956A (ja) * 2014-04-30 2015-11-24 ナブテスコ株式会社 歯車伝動装置
US9216648B2 (en) 2011-07-08 2015-12-22 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. Wheel driving device
JP2016075329A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型減速装置
CN105952849A (zh) * 2016-07-06 2016-09-21 沈阳工业大学 一种行星优化减速机
KR20170098311A (ko) 2015-01-13 2017-08-29 가부시키가이샤 하모닉 드라이브 시스템즈 파동기어장치
CN108138913A (zh) * 2015-11-03 2018-06-08 索尤若驱动有限及两合公司 斜置轴承和具有止推片的减速器
US10718419B2 (en) 2014-11-28 2020-07-21 Harmonic Drive Systems Inc. Method for lubricating strain wave gearing
WO2022176681A1 (ja) * 2021-02-18 2022-08-25 セイコーホールディングス株式会社 伝動装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003033838A (ja) * 2001-07-19 2003-02-04 Sumitomo Heavy Ind Ltd 回転ローラ体の製造方法、回転ローラ体を備えた内接噛合遊星歯車構造、及び回転ローラ体
JP2005024034A (ja) * 2003-07-04 2005-01-27 Nissan Motor Co Ltd デファレンシャルユニット

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003033838A (ja) * 2001-07-19 2003-02-04 Sumitomo Heavy Ind Ltd 回転ローラ体の製造方法、回転ローラ体を備えた内接噛合遊星歯車構造、及び回転ローラ体
JP2005024034A (ja) * 2003-07-04 2005-01-27 Nissan Motor Co Ltd デファレンシャルユニット

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009197819A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Sumitomo Heavy Ind Ltd 減速機
JP2010221964A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
JP2011117577A (ja) * 2009-12-07 2011-06-16 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
US8807253B2 (en) 2009-12-07 2014-08-19 Ntn Corporation In-wheel motor drive device
JP2012097765A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置
JP2013007416A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Seiko Epson Corp 減速機、ロボット及びロボットハンド
WO2013008492A1 (ja) 2011-07-08 2013-01-17 住友重機械工業株式会社 減速装置
US9216648B2 (en) 2011-07-08 2015-12-22 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. Wheel driving device
JP2013185619A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Heavy Ind Ltd 遊星歯車減速機
CN103670586A (zh) * 2012-09-12 2014-03-26 住友重机械工业株式会社 减速装置
JP2015197158A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型の減速装置
JP2015209956A (ja) * 2014-04-30 2015-11-24 ナブテスコ株式会社 歯車伝動装置
JP2016075329A (ja) * 2014-10-03 2016-05-12 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型減速装置
CN106195132A (zh) * 2014-10-03 2016-12-07 住友重机械工业株式会社 偏心摆动型减速装置
KR101736901B1 (ko) * 2014-10-03 2017-05-17 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 편심요동형 감속장치
US10718419B2 (en) 2014-11-28 2020-07-21 Harmonic Drive Systems Inc. Method for lubricating strain wave gearing
KR20170098311A (ko) 2015-01-13 2017-08-29 가부시키가이샤 하모닉 드라이브 시스템즈 파동기어장치
US10655721B2 (en) 2015-01-13 2020-05-19 Harmonic Drive Systems Inc. Strain wave gearing
CN104864040A (zh) * 2015-04-24 2015-08-26 江苏联合传动设备有限公司 一种行星摆线齿轮减速器
CN108138913A (zh) * 2015-11-03 2018-06-08 索尤若驱动有限及两合公司 斜置轴承和具有止推片的减速器
CN105952849A (zh) * 2016-07-06 2016-09-21 沈阳工业大学 一种行星优化减速机
WO2022176681A1 (ja) * 2021-02-18 2022-08-25 セイコーホールディングス株式会社 伝動装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009041747A (ja) 動力伝達装置及び動力伝達装置の摺動部構造
JP4807689B2 (ja) 無潤滑型波動歯車装置
US11015693B2 (en) Wave gear device
US20070078067A1 (en) Sliding structure and sliding method
CN102822546A (zh) 滚动轴承
JP2006144848A (ja) ロッカアーム用軸受
JP6848669B2 (ja) ロボットおよび歯車装置
Fouts et al. Additive effects on the tribological performance of WC/aC: H and TiC/aC: H coatings in boundary lubrication
JP4320605B2 (ja) 一対の摺動部材
EP2918860B1 (en) Rolling bearing cage and rolling bearing
US9790447B2 (en) Sliding system
US20130272776A1 (en) Ball joint
JP2008255160A (ja) 摺動構造
Pepper et al. Nitinol 60 as a material for spacecraft triboelements
JP2006258149A (ja) 組合せ摺動部材
JP2007284760A (ja) 摺動部材
US20090201774A1 (en) Contact component and timepiece
JP2007155022A (ja) 転動装置
Sjöström et al. Diamond-like carbon coatings in rolling contacts
WO2019022010A1 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
CN113355633A (zh) 一种齿轮副的表面处理方法
US20170211174A1 (en) Tribological system with reduced counter body wear
JP2008174590A (ja) 摺動部材、バルブリフタ、及び内燃機関の動弁装置
US20090062159A1 (en) Non-lubricated components and machine systems and vehicles including the components
Finch Assessing the wear and friction properties of self-lubricating coatings in dry-running aerospace actuation gearboxes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110607

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111018