JP2009024811A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アップシフト制御中にパワーONダウンシフト判断が為された場合に、エンジン吹き上がり等による変速ショックを抑制しつつダウンシフト制御を速やかに開始して運転者の出力要求に対するレスポンスを向上させる。
【解決手段】アップシフト制御中にダウンシフト判断が為された時には、S6でフィードバック制御を適切に行なうことができると推定されるフィードバック開始条件が成立したか否かを判断し、成立した場合にS7のフィードバック制御を直ちに開始するため、エンジン10のトルクの立ち上がりの応答遅れに拘らずフィードバック制御を適切に行なうことが可能で、エンジン10の吹き上がり等の変速ショックが抑制されるとともに、速やかにダウンシフトが行なわれてレスポンスが向上する。
【選択図】図9

Description

本発明は自動変速機の変速制御装置に係り、特に、アップシフト制御中に運転者の出力要求量の増加によりダウンシフト判断が為された場合の変速制御の改良に関するものである。
複数の摩擦係合装置を選択的に係合させることにより変速比が異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機が自動車などに多用されている。そして、このような自動変速機において、第1摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることにより入力軸回転速度を低下させるアップシフト制御中に、運転者の出力要求量の増加(例えばアクセルペダルの増し踏み)等によりパワーON状態(車両駆動状態)でダウンシフト判断が為されると、その入力軸回転速度が予め定められた変化で上昇するように前記第1摩擦係合装置の油圧をフィードバック制御した後、その第1摩擦係合装置の作動油をドレーンして解放するとともに第2摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることによりダウンシフトを行なう場合がある。その場合に、アップシフト制御の進行度合によっては第1摩擦係合装置の解放や第2摩擦係合装置の係合のタイミングがずれるなどして変速ショックを生じる可能性があるため、例えばアップシフトが十分に進行し、適切にダウンシフト制御を行うことができると判断されるまで待って、アップシフト制御からダウンシフト制御へ切り換えることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
特開2001−124193号公報
しかしながら、このようにアップシフト制御をそのまま継続してダウンシフト制御の開始を遅延させると、アップシフトの進行で入力軸回転速度や原動機の回転速度が低下するため、駆動力の増加を望んでいる運転者に違和感を生じさせる恐れがあるとともに、出力要求に対するレスポンス(加速応答性など)が悪くなるという問題があった。すなわち、パワーON状態でのダウンシフトは、運転者の出力要求量の増加時など速やかな駆動力の増大を望んでいる場合に行なわれるため、変速ショックなどで乗り心地が多少悪くなっても、ダウンシフトを速やかに実行して駆動力を増加させることが望ましい場合がある。
一方、ダウンシフト判断に従って直ちにアップシフト制御からダウンシフト制御へ移行し、入力軸回転速度が予め定められた変化で上昇するように第1摩擦係合装置の油圧をフィードバック制御する場合、原動機のトルクの立ち上がりの応答遅れにより油圧を低くしても入力軸回転速度が上昇しないと、その油圧がフィードバック制御で更に低下させられ、必要以上に低下させられるため、その後に原動機トルクが増大した時に油圧制御の応答遅れなどで入力軸回転速度のコントロールが不能となり、原動機が吹き上がるなどして許容限度を超えた変速ショックを生じる恐れがある。このようにフィードバック制御によって油圧が必要以上に低下させられることを、以下、本明細書ではフィードバック制御の誤動作という。
図10は3→4アップシフト制御中にアクセルの増し踏み操作によりアクセル操作量Accが増加して4→2ダウンシフト判断が為された場合で、直ちにダウンシフト制御を開始し、タービン回転速度(入力軸回転速度)NTが所定の変化率で上昇するように第1摩擦係合装置の油圧指令値1をフィードバック制御すると、実際の原動機トルクの立ち上がりの応答遅れにより油圧指令値1は白抜き矢印で示すように大きく低下し、その後に原動機トルクが増大した時に油圧制御の応答遅れなどでタービン回転速度NTが同じく白抜き矢印で示すように急上昇し、吹き上がってしまうのである。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、アップシフト制御中にパワーON状態でダウンシフト判断が為された場合に、原動機の吹き上がり等による変速ショックを抑制しつつダウンシフト制御を速やかに開始して運転者の出力要求に対するレスポンスを向上させることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、第1摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることにより入力軸回転速度を低下させるアップシフト制御中にパワーON状態でダウンシフト判断が為されると、その入力軸回転速度が予め定められた変化で上昇するように前記第1摩擦係合装置の油圧をフィードバック制御した後、該第1摩擦係合装置の作動油をドレーンして解放するとともに第2摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることによりダウンシフトを行なう自動変速機の変速制御装置において、前記ダウンシフト判断が為された時に、前記第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立するのを待って直ちにそのフィードバック制御を開始することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック開始条件は、前記ダウンシフト判断が為された後に予め定められた所定時間が経過することであることを特徴とする。
第3発明は、第1発明の自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック開始条件は、前記入力軸回転速度の変化率が予め定められた所定値に達することであることを特徴とする。
第4発明は、第1発明の自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック開始条件は、原動機のトルク推定値が運転者の出力要求量に応じて定められる所定値に達することであることを特徴とする。
第5発明は、第1発明〜第4発明の何れかの自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御は、前記入力軸回転速度の変化率が予め定められた目標値と一致するように前記油圧を制御するものであることを特徴とする。
このような自動変速機の変速制御装置においては、アップシフト制御中にパワーON状態でダウンシフト判断が為された時には、第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立するのを待って直ちにそのフィードバック制御を開始するため、ダウンシフトの制御性を確保するために制御開始(変速出力)を遅延させる場合に比較してダウンシフトが速やかに開始されるようになり、運転者の出力要求量の増加でダウンシフト判断が為された場合に、アップシフトの進行による違和感が解消するとともに出力要求に対するレスポンスが向上する。
また、フィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立するのを待って第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を開始するため、原動機のトルクの立ち上がりの応答遅れに拘らず、入力軸回転速度が例えば一定の変化率で上昇するように、油圧のフィードバック制御を適切に行なうことが可能で、原動機の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつできるだけ速やかにダウンシフトを行なうことができる。すなわち、原動機のトルクが立ち上がる前に第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御が開始されると、油圧が低下しても入力軸回転速度が上昇しないため、その油圧がフィードバック制御の誤動作で低くなり過ぎ、その後に原動機トルクが増大した時に油圧制御の応答遅れなどで入力軸回転速度のコントロールが不能となり、原動機が吹き上がるなどして大きな変速ショックを生じる恐れがあるが、本発明ではフィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立するのを待ってフィードバック制御を開始するため、そのようなフィードバック制御の誤動作を回避することができるのである。
第2発明では、ダウンシフト判断が為された後に予め定められた所定時間が経過するまで待って第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を開始するため、原動機トルクの立ち上がり特性などを考慮して上記所定時間を適当に設定することにより、フィードバック制御の誤動作による原動機の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつできるだけ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
第3発明では、入力軸回転速度の変化率が予め定められた所定値に達したら第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を開始するため、原動機トルクが立ち上がって入力軸回転速度が上昇し始めたら確実にフィードバック制御が開始されるようになり、運転者の出力要求量の増加によるダウンシフト判断だけでなく運転者の手動操作によるダウンシフト指令でダウンシフト判断が為された場合など、如何なるダウンシフト判断においても、第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御が適切に行なわれ、原動機の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
第4発明では、原動機のトルク推定値が運転者の出力要求量に応じて定められる所定値に達したら第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を開始するため、原動機トルクが立ち上がり始めたら確実にフィードバック制御が開始されるようになり、運転者の出力要求量の増加によるダウンシフト判断だけでなく運転者の手動操作によるダウンシフト指令でダウンシフト判断が為された場合など、如何なるダウンシフト判断においても、第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御が適切に行なわれ、原動機の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
第5発明では、入力軸回転速度の変化率が予め定められた目標値と一致するように油圧をフィードバック制御するため、原動機のトルクが立ち上がる前にそのフィードバック制御を開始すると、油圧が低下しても入力軸回転速度が上昇しないため、フィードバック制御の誤動作で油圧が低くなり過ぎることがあるのであり、第1発明〜第4発明が適用されることにより、そのようなフィードバック制御の誤動作を回避しつつできるだけ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
本発明は、車両用の自動変速機に好適に適用され、燃料の燃焼によって駆動力を発生するエンジン駆動車両や、電動モータによって走行する電気自動車、或いはエンジンおよび電動モータを原動機として備えているハイブリッド車両など、種々の車両用自動変速機に適用され得る。特に、運転者の出力要求量の増加に対するトルクの立ち上がり応答性が悪いエンジンなどを原動機として備えているエンジン駆動車両等に好適に適用される。
自動変速機としては、例えば遊星歯車式や平行軸式など、複数の摩擦係合装置の作動状態に応じて複数のギヤ段が成立させられる種々の自動変速機が用いられる。摩擦係合装置は油圧式で、例えばソレノイド弁等による油圧制御やアキュムレータの作用などで油圧(係合力)を所定の変化パターンで変化させたり、所定のタイミングで油圧を変化させたりすることによって変速制御が行われる。これ等の摩擦係合装置は、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合させられる単板式或いは多板式のクラッチやブレーキ、ベルト式のブレーキなどである。
本発明は、アップシフト制御の途中からダウンシフト制御へ移行する多重変速に関するもので、特にアップシフト制御で途中まで係合させられた第1摩擦係合装置を、ダウンシフト制御への移行に伴って変速ショックを抑制しつつできるだけ速やかに解放する際の技術に関するものである。これ等のアップシフトおよびダウンシフトは、連続するギヤ段の間の変速であっても良いが、1または複数のギヤ段を飛び越して変速する飛び変速であっても良い。
第1摩擦係合装置を係合させるアップシフトは、例えば原動機が出力しているパワーON状態(車両駆動状態)において、第1摩擦係合装置の係合トルクにより入力軸回転速度を低下させるパワーONアップシフトで、第1摩擦係合装置の係合トルクで入力軸回転速度が低下するイナーシャ相の時にダウンシフト判断が為された場合に、本発明は好適に適用される。また、このアップシフトは、運転者の出力要求量(アクセル操作量など)および車速等の運転状態をパラメータとして予め定められた変速条件に従って、例えば車速の上昇に伴って自動的に行なわれる場合でも、シフトレバー操作等の運転者の手動操作によるアップシフト指令に従って行なわれる場合でも良い。
パワーON状態すなわち車両駆動状態でのダウンシフト判断は、例えば出力要求量(アクセル操作量など)の増加に伴ってダウンシフトするように予め定められた変速条件に基づいて、運転者の出力要求量の増加によって自動的に行なわれるが、シフトレバー操作等の運転者の手動操作によるダウンシフト指令に従って行なわれる場合でも良い。パワーON状態は、原動機から駆動輪側へ動力が伝達される駆動状態で、自動変速機をニュートラル状態とした場合に入力軸回転速度が上昇する状態であり、例えばエンジン回転速度がトルクコンバータのタービン回転速度よりも高い場合はパワーON状態であると判断できるが、アクセル操作されている時はパワーON状態である可能性が高いため、アクセル操作されているアクセルON状態の時にはパワーON状態と見做すこともできる。
そして、このようなパワーON状態でのダウンシフトでは、原動機が吹き上がることを防止しつつ速やかにダウンシフトが行なわれるように、入力軸回転速度が例えば予め定められた一定の変化率或いは所定の変化パターンで上昇するように解放側、すなわち第1摩擦係合装置の油圧(係合力)がフィードバック制御されるが、原動機のトルクが立ち上がる前にそのフィードバック制御を開始すると、油圧が低下しても入力軸回転速度が上昇しないため、その油圧がフィードバック制御の誤動作で低くなり過ぎ、その後の原動機トルクの上昇で変速ショック等を生じることから、本発明では、所定のフィードバック開始条件が成立するのを待って第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を開始する。
フィードバック開始条件は、原動機のトルクの立ち上がりの応答性やトルク特性、或いは実際の入力軸回転速度の変化等に基づいて定められる。第2発明では、ダウンシフト判断が為された後に予め定められた所定時間が経過するまで待ってフィードバック制御を開始するが、この所定時間は、原動機のトルクの立ち上がり応答性やトルク特性等に基づいて予め一定値が定められても良いし、例えば運転者の出力要求量やダウンシフトの種類、現在の入力軸回転速度、原動機回転速度等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。
上記第2発明の所定時間は、例えば運転者の出力要求量の増加時に予め定められた変速条件に基づいて自動的にダウンシフト判断が為された場合を前提として、原動機のトルクの立ち上がり応答性等に基づいて設定し、運転者の出力要求量の増加によるダウンシフト判断以外でも有効に機能する第3発明の入力軸回転速度の変化率による判定や第4発明の原動機のトルク推定値による判定と併用することが望ましい。
第3発明では、実際の入力軸回転速度の変化率が予め定められた所定値に達するのを待ってフィードバック制御を開始するが、その所定値は、原動機のトルク特性等に基づいて予め一定値が定められても良いし、例えば運転者の出力要求量やダウンシフトの種類、現在の入力軸回転速度、原動機回転速度、アップシフトの進行度合等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。なお、第1発明の実施に際しては、原動機の回転速度の変化率が予め定められた所定値に達することをフィードバック開始条件として設定しても良い。
第4発明では、原動機のトルク推定値が運転者の出力要求量に応じて定められる所定値に達するのを待ってフィードバック制御を開始するが、出力要求量だけでなくダウンシフトの種類や現在の入力軸回転速度、原動機回転速度等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。また、この原動機のトルクに応じて変化する入力トルクの推定値(推定入力トルク)が所定値に達するのを待ってフィードバック制御を開始する場合も、実質的に原動機のトルク推定値に基づいてフィードバック制御を開始する第4発明の一実施態様である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の車両用駆動装置の骨子図であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されているエンジン10の出力は、トルクコンバータ12、自動変速機14を経て、図示しない差動歯車装置から駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。上記エンジン10は車両走行用の動力源(原動機)で、トルクコンバータ12は流体継手である。
自動変速機14は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置20を主体として構成されている第1変速部22と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置28を主体として構成されている第2変速部30とを同軸線上に有し、入力軸32の回転を変速して出力歯車34から出力する。入力軸32は入力部材に相当するもので、本実施例ではトルクコンバータ12のタービン軸であり、出力歯車34は出力部材に相当するもので、差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機14は中心線に対して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半分が省略されている。
上記第1変速部22を構成している第1遊星歯車装置20は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸32に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース36に固定されることにより、キャリアCA1が中間出力部材として入力軸32に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部30を構成している第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置28のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置26のリングギヤR2および第3遊星歯車装置28のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置26のキャリアCA2および第3遊星歯車装置28のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置26のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。上記第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置26のピニオンギヤが第3遊星歯車装置28の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸32に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸32に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1遊星歯車装置20のキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(キャリアCA2、CA3)は前記出力歯車34に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
上記クラッチC1、C2およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路98(図3参照)のリニアソレノイド弁SL1〜SL5の励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブによって油圧回路が切り換えられることにより、図2に示すように係合、解放状態が切り換えられ、シフトレバー72(図3参照)の操作位置(ポジション)に応じて前進6段、後進1段の各ギヤ段が成立させられる。図2の「1st」〜「6th」は前進の第1速ギヤ段〜第6速ギヤ段を意味しており、「Rev」は後進ギヤ段であり、それ等の変速比(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )は、前記第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装置26、および第3遊星歯車装置28の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。図2の「○」は係合、空欄は解放を意味している。
上記シフトレバー72は、例えば図4に示すシフトパターンに従って駐車ポジション「P」、後進走行ポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、前進走行ポジション「D」、「4」、「3」、「2」、「L」へ操作されるようになっており、「P」および「N」ポジションでは動力伝達を遮断するニュートラルが成立させられるが、「P」ポジションでは図示しないメカニカルパーキング機構によって機械的に駆動輪の回転が阻止される。
図3は、エンジン10や自動変速機14などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル50の操作量(アクセル開度)Accがアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。また、エンジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によって開度θTHが変化させられる電子スロットル弁56が設けられている。この他、エンジン10の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、上記電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、車速Vに対応する出力歯車34の回転速度(出力軸回転速度に相当)NOUT を検出するための車速センサ66、エンジン10の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ68、フットブレーキ操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NTを検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78、イグニッションスイッチ82などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V(出力軸回転速度NOUT )、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、イグニッションスイッチ82の操作位置などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。上記タービン回転速度NTは、入力部材である入力軸32の回転速度(入力軸回転速度NIN)と同じである。
油圧制御回路98は、自動変速機14の変速制御に関して図5に示す回路を備えている。図5において、オイルポンプ40から圧送された作動油は、リリーフ型の第1調圧弁100により調圧されることによって第1ライン圧PL1とされる。オイルポンプ40は、例えば前記エンジン10によって回転駆動される機械式ポンプである。第1調圧弁100は、タービントルクTT すなわち自動変速機14の入力トルクTIN、或いはその代用値であるスロットル弁開度θTHに応じて第1ライン圧PL1を調圧するもので、その第1ライン圧PL1は、シフトレバー72に連動させられるマニュアルバルブ104に供給される。そして、シフトレバー72が「D」ポジション等の前進走行ポジションへ操作されているときには、このマニュアルバルブ104から第1ライン圧PL1と同じ大きさの前進ポジション圧PD がリニアソレノイド弁SL1〜SL5へ供給される。リニアソレノイド弁SL1〜SL5は、それぞれ前記クラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3に対応して配設されており、電子制御装置90から出力される駆動信号に従ってそれぞれ励磁状態が制御されることにより、それ等の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB2、PB3がそれぞれ独立に制御され、これにより第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の何れかを択一的に成立させることができる。リニアソレノイド弁SL1〜SL5は何れも大容量型で、出力油圧がそのままクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3に供給され、それ等の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB2、PB3を直接制御する直接圧制御が行われる。
前記電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、図6に示すようにエンジン制御手段120および変速制御手段130の各機能を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。
エンジン制御手段120は、エンジン10の出力制御を行うもので、前記スロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁92(図3参照)を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置94を制御する。電子スロットル弁56の制御は、例えば図7に示す関係から実際のアクセル操作量Accに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、アクセル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。また、エンジン10の始動時には、スタータ(電動モータ)96によってクランキングする。
変速制御手段130は、自動変速機14の変速制御を行うもので、例えば図8に示す予め記憶された変速線図(変速マップ)から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14の変速すべきギヤ段を決定し、すなわち現在のギヤ段から変速先のギヤ段への変速判断を実行し、その決定されたギヤ段への変速作動を開始させる変速出力を実行するとともに、駆動力変化などの変速ショックが発生したりクラッチCやブレーキBの摩擦材の耐久性が損なわれたりすることがないように、油圧制御回路98のリニアソレノイド弁SL1〜SL5の励磁状態を連続的に変化させる。前記図2から明らかなように、本実施例の自動変速機14は、クラッチCおよびブレーキBの何れか1つを解放するとともに他の1つを係合させるクラッチツークラッチ変速により、連続するギヤ段の変速が行われるようになっている。図8の実線はアップシフト線で、破線はダウンシフト線であり、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って、変速比が大きい低速側のギヤ段に切り換えられるようになっており、図中の「1」〜「6」は第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」を意味している。このスロットル弁開度θTHはアクセル操作量Accに応じて制御されるため、運転者の出力要求量に対応し、出力要求量が大きくなるのに伴ってダウンシフトするように定められている。
そして、シフトレバー72が「D」ポジションへ操作されると、総ての前進ギヤ段「1st」〜「6th」を用いて自動的に変速する最上位のDレンジ(自動変速モード)が成立させられる。また、シフトレバー72が「4」〜「L」ポジションへ操作されると、4、3、2、Lの各変速レンジが成立させられる。4レンジでは第4速ギヤ段「4th」以下の前進ギヤ段で変速制御が行われ、3レンジでは第3速ギヤ段「3rd」以下の前進ギヤ段で変速制御が行われ、2レンジでは第2速ギヤ段「2nd」以下の前進ギヤ段で変速制御が行われ、Lレンジでは第1速ギヤ段「1st」に固定される。したがって、例えばDレンジの第6速ギヤ段「6th」で走行中に、シフトレバー72を「D」ポジションから「4」ポジション、「3」ポジション、「2」ポジションへ操作すると、変速レンジがD→4→3→2へ切り換えられて、第6速ギヤ段「6th」から第4速ギヤ段「4th」、第3速ギヤ段「3rd」、第2速ギヤ段「2nd」へ強制的にダウンシフトさせられ、手動操作でギヤ段を変更することができる。
上記変速制御手段130はまた、パワーON時アップ−ダウン多重変速手段132を備えており、パワーON状態でのアップシフト制御中にダウンシフト判断が為された場合に、図9のフローチャートに従って多重変速制御を実行する。図10は、アクセルペダル50が踏込み操作されたパワーON状態(車両駆動状態)で車速Vの増加(例えば図8のA→B)により第3速ギヤ段「3rd」から第4速ギヤ段「4th」へのアップシフト判断が為され(時間t1 )、第3ブレーキB3を解放するとともに第2クラッチC2を係合させる3→4アップシフト制御(第1変速制御)を実行している際に、その変速制御の途中でアクセルペダル50が更に増し踏み操作(例えば図8のB→C)されて第4速ギヤ段「4th」から第2速ギヤ段「2nd」へのダウンシフト判断が為された場合に(時間t3 )、図9のフローチャートに従って多重変速制御が行なわれ、上記第2クラッチC2を解放するとともに第1ブレーキB1を係合させる4→2ダウンシフト制御(第2変速制御)が行われた時の各部の変化を示すタイムチャートの一例である。この場合は、第2クラッチC2が、第1変速(3→4アップシフト)で係合させられるとともに第2変速(4→2ダウンシフト)で解放される第1摩擦係合装置で、油圧指令値1はこの第1摩擦係合装置すなわち第2クラッチC2の係合油圧PC2に関する指令値である。また、第1ブレーキB1が、第2変速(4→2ダウンシフト)で係合させられる第2摩擦係合装置で、油圧指令値2はその第2摩擦係合装置すなわち第1ブレーキB1の係合油圧PB1に関する指令値である。これ等の油圧指令値1、油圧指令値2は、何れも係合油圧PC2、PB1に対応し、油圧指令値1、油圧指令値2が高くなるに従って係合油圧PC2、PB1も高くなるが、実際の係合油圧PC2、PB1は、油圧指令値1、2よりも遅れて且つなまされた形で変化する。なお、図示は省略するが、3→4アップシフトでは、第3ブレーキB3の係合油圧PB3が徐々に低下させられ、イナーシャ相の開始と共に速やかに解放される。
以下、上記3→4→2の多重変速の場合について、図10のタイムチャートを参照しつつ、図9のフローチャートに従って具体的に説明する。ステップS1では、パワーON状態での3→4アップシフト制御中か否か、すなわち第3ブレーキB3を解放するとともに第2クラッチC2を係合させることにより、タービン回転速度NTを所定の変化率で低下させる3→4アップシフト制御を実行中か否かを判断し、実行中であればステップS2以下を実行する。パワーON状態か否かは、例えばエンジン回転速度NEがタービン回転速度NTよりも高いか否かによって判断できるが、アクセルペダル50が踏込み操作されているアクセルON状態や、そのアクセル操作量Accに応じて制御される電子スロットル弁56がアイドル状態でない場合も、パワーON状態である可能性が高いため、アクセルONか否か、或いは電子スロットル弁56がアイドル状態でないか否か、によってパワーON状態か否かを判断することもできる。また、前記図8の変速マップに基づく自動変速制御でのアップシフトか、シフトレバー72の移動操作に基づく手動変速によるアップシフトかを問わないが、自動変速制御の場合に限定しても良い。図10の時間t1 は、パワーONの3→4アップシフト判断が為されてアップシフト制御が開始された時間で、この時間t1 以降はステップS1の判断がYES(肯定)となってステップS2が実行される。
ステップS2では、上記3→4アップシフト制御において、第2クラッチC2の係合によりタービン回転速度NTが第3速ギヤ段「3rd」の同期回転速度ntdoki3よりも低下するイナーシャ相か否かを判断し、イナーシャ相が始まったらステップS3以下を実行する。同期回転速度ntdoki3は、第3速ギヤ段「3rd」の変速比に出力軸回転速度NOUT を掛け算した値で、第3速ギヤ段「3rd」が成立している場合にはNT=ntdoki3であり、変速が開始する(イナーシャ相)とNT≠ntdoki3になる。図10の時間t2 は、イナーシャ相の開始判定が為された時間で、この時間t2 以降はステップS2の判断がYES(肯定)となってステップS3が実行される。なお、図10の「ntdoki2」、「ntdoki4」は、それぞれ第2速ギヤ段「2nd」の同期回転速度、第4速ギヤ段「4th」の同期回転速度である。
ステップS3では、パワーON状態でダウンシフト判断が為されたか否かを判断し、パワーONダウンシフト判断が為された場合にはステップS4以下を実行する。パワーON状態か否かは、前記ステップS1のパワーONアップシフトの判断でパワーON状態か否かを判断する場合と同様にして判断できる。ここでは、前記図8の変速マップに基づく自動変速制御でのダウンシフト判断か、シフトレバー72の移動操作に基づく手動変速によるダウンシフト判断かを問わないが、自動変速制御の場合に限定しても良い。また、アクセルペダル50の増し踏みによるダウンシフト判断か否かを、アクセル操作量Accの変化などから判断し、増し踏みによるダウンシフト判断の場合のみステップS4以下を実行するようにしても良い。図10は、アクセルペダル50が増し踏み操作されてアクセル操作量Accが急に増大することにより、図8の変速マップに従って第4速ギヤ段「4th」から第2速ギヤ段「2nd」まで飛び変速する場合であるが、第4速ギヤ段「4th」から第3速ギヤ段「3rd」へ1段だけダウンシフトする場合にも、ステップS4以下が実行されて同様の制御が行なわれる。図10の時間t3 は、パワーONの4→2ダウンシフト判断が為されてステップS3の判断がYES(肯定)になった時間である。
ステップS4では、3→4アップシフト制御を直ちに中止する。すなわち、第2クラッチC2を係合させるためにタービン回転速度NTを所定の変化率で低下させる油圧指令値1のフィードバック制御を中止する。また、ステップS5では、4→2ダウンシフトで解放する側の摩擦係合装置、すなわち上記第2クラッチC2の油圧指令値1を、所定の変化率で変化させるようにフィードフォワード制御する。このフィードフォワード制御は、予め定められた一定の変化率で油圧指令値1を漸減させるだけでも良いが、3→4アップシフトの変速の進行度合、例えば同期回転速度ntdoki3とntdoki4との差に対する実際のタービン回転速度NTの変化割合〔(ntdoki3−NT)/(ntdoki3−ntdoki4)〕などに応じて変化率が設定されるようにしても良い。なお、このようなフィードフォワード制御を行なうことなく、油圧指令値1を制御開始時すなわちステップS4でフィードバック制御が中止された時の値に固定しても良い。
そして、次のステップS6では、ステップS3で4→2ダウンシフト判断が為された後の経過時間、すなわち図10における時間t3 からの経過時間が所定時間timeAに達したか否か、或いは実際のタービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の判定値dntAに達したか否かを判断し、何れかが成立した場合にステップS7で解放油圧すなわち油圧指令値1のフィードバック制御を開始する。ステップS6は、ステップS7のフィードバック制御が適切に行なわれるようにするために、アクセルペダル50の増し踏みに応答してエンジン10のトルクが上昇し始めるまでフィードバック制御の開始を一時的に禁止するもので、ステップS6のYES(肯定)条件は、ステップS7のフィードバック制御を適切に行なうことができると推定されるフィードバック開始条件である。
すなわち、ステップS7ではエンジン10の吹き上がりを防止しつつ速やかにダウンシフトが行なわれるように、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の目標値dntBと一致するように第2クラッチC2の係合油圧PC2に関する油圧指令値1をフィードバック制御するが、エンジン10のトルクが立ち上がる前にフィードバック制御が開始されると、係合油圧PC2が低下してもタービン回転速度NTが上昇しないため、フィードバック制御の誤動作で油圧指令値1は図10に白抜き矢印で示すように大きく低下し、その後にエンジントルクが上昇し始めた時に、油圧制御の応答遅れなどでタービン回転速度NTを適切にコントロールすることが不能となり、図10に白抜き矢印で示すように一気に上昇して吹き上がってしまう恐れがある。
このような問題を回避しつつ4→2ダウンシフトができるだけ速やかに実行されるようにするため、前記ステップS6では、4→2ダウンシフト判断が為された後の経過時間が所定時間timeAに達したか否か、或いはタービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の判定値dntAに達したか否かによって、フィードバック開始条件を満たすか否かを判断する。所定時間timeAは、アクセルペダル50の増し踏みによるダウンシフトであることを前提として、エンジン10のトルクの立ち上がり応答性等に基づいて、例えば予め一定値が設定されるが、アクセル操作量Accやダウンシフトの種類(どのギヤ段からどのギヤ段への変速か)、タービン回転速度NT、或いはエンジン回転速度NE等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。また、判定値dntAは、油圧制御の応答遅れに拘らず適切にステップS7のフィードバック制御が開始されるように、例えばエンジン10のトルクの立ち上がり特性等に基づいて予め一定値が設定されるが、アクセル操作量Accやダウンシフトの種類、タービン回転速度NT、エンジン回転速度NE、或いは3→4アップシフトの進行度合等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。
そして、上記ステップS6のフィードバック開始条件が成立した場合には、ステップS7を実行し、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の目標値dntBと一致するように、第2クラッチC2の係合油圧PC2に関する油圧指令値1のフィードバック制御を開始する。目標値dntBは、変速ショックを抑制しつつダウンシフトができるだけ速やかに行なわれるように、例えば予め一定値が設定されるが、アクセル操作量Accやダウシンフトの種類、変速後ギヤ段の同期回転速度に達するまでのタービン回転速度NTの上昇幅、等をパラメータとしてマップ等により設定されるようにしても良い。このように、ステップS6のフィードバック開始条件が成立した後にステップS7のフィードバック制御が開始されることにより、エンジン10のトルクの立ち上がりの応答遅れに拘らず、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の目標値dntBと一致するように油圧指令値1のフィードバック制御が適切に行なわれるようになる。図10の時間t4 は、ステップS6の判断がYES(肯定)となってステップS7のフィードバック制御が開始された時間である。
なお、上記第2変速である4→2ダウンシフトで係合制御される第1ブレーキB1の係合油圧PB1に関する油圧指令値2は、4→2ダウンシフト判断が為された後直ちに油圧制御が開始され、ファーストフィルに続いて第1ブレーキB1が係合トルクを持つ直前の低圧待機圧に保持する一方、タービン回転速度NTが変速後の同期回転速度ntdoki2を超えるかその近傍に達すると(時間t5 )、油圧指令値2を増大させて第1ブレーキB1を係合させることにより、タービン回転速度NTを所定量だけオーバーシュートさせて同期回転速度ntdoki2に収束させる。第1ブレーキB1が係合トルクを持つようになったら、第2クラッチC2の係合油圧PC2に関する油圧指令値1を低下させ、第2クラッチC2の作動油をドレーンして速やかに解放する。そして、油圧指令値1が0となり、且つ油圧指令値2が最大値となる時間t6 で、一連の多重変速制御は終了する。
このように、本実施例の車両用自動変速機の変速制御装置においては、パワーON状態でのアップシフト制御中にダウンシフト判断が為された時には、ステップS4でアップシフト制御を直ちに中止するとともに、ステップS6で所定のフィードバック開始条件が成立したか否かを判断し、フィーバック開始条件が成立した場合には、ステップS7で直ちに解放側の摩擦係合装置の油圧指令値1のフィードバック制御を開始するため、ダウンシフトの制御性を確保するために制御開始を遅延させる場合に比較してダウンシフトが速やかに開始されるようになり、アクセルペダル50の増し踏みでダウンシフト判断が為された場合に、アップシフトの進行による違和感が解消するとともに出力要求に対するレスポンスが向上する。
また、上記ステップS6では、フィードバック制御を適切に行なうことができると推定されるフィードバック開始条件が成立したか否かを判断し、成立した場合にステップS7の油圧指令値1のフィードバック制御を開始するため、エンジン10のトルクの立ち上がりの応答遅れに拘らず、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の目標値dntBと一致するように油圧指令値1のフィードバック制御を適切に行なうことが可能で、エンジン10の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつできるだけ速やかにダウンシフトを行なうことができる。すなわち、エンジン10のトルクが立ち上がる前に油圧指令値1のフィードバック制御が開始されると、油圧指令値1を低下させてもタービン回転速度NTが上昇しないため、フィードバック制御の誤動作で油圧指令値1が低くなり過ぎ、その後にエンジントルクが上昇し始めた時に油圧制御の応答遅れなどでタービン回転速度NTのコントロールが不可となり、エンジン10が吹き上がるなどして大きな変速ショックを生じる恐れがあるが、本実施例ではステップS6のフィードバック開始条件が成立するのを待ってフィードバック制御を開始するため、そのような問題を回避することができるのである。
また、本実施例では、フィードバック開始条件としてステップS3でダウンシフト判断が為された後の経過時間が所定時間timeAに達したか否かを判断し、その所定時間timeAに達したらステップS7で解放側の油圧指令値1のフィードバック制御を開始するようになっており、上記所定時間timeAは、アクセルペダル50の増し踏みによるダウンシフトであることを前提として、エンジン10のトルクの立ち上がり応答性に基づいて設定されているため、フィードバック制御の誤動作によるエンジン10の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつできるだけ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
また、本実施例では、上記経過時間が所定時間timeAに達したか否かとは別に、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の判定値dntAに達したか否かを判断し、その判定値dntAに達した場合にも、ステップS7で解放側の油圧指令値1のフィードバック制御を開始するようになっているため、エンジン10のトルクが立ち上がってタービン回転速度NTが上昇し始めたら確実にフィードバック制御が開始されるようになり、一層適切に油圧指令値1のフィードバック制御が行なわれる。特に、アクセルペダル50の増し踏みによるダウンシフト判断だけでなく、運転者の手動操作によるダウンシフト指令でダウンシフト判断が為された場合など、如何なるダウンシフト判断においても、油圧指令値1のフィードバック制御が適切に行なわれ、エンジン10の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
ここで、上記実施例ではステップS6で、ダウンシフト判断が為された後の経過時間が所定時間timeAに達したか否か、或いはタービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の判定値dntAに達したか否かを判断するようになっていたが、図11に示すように、上記ステップS6の代わりにステップS6−1を設け、ダウンシフト判断が為された後の経過時間が所定時間timeAに達したか否か、或いはエンジントルク推定値が所定の判定値teAに達したか否かを判断し、何れかが成立した場合にフィードバック開始条件が成立したものと判断してステップS7のフィードバック制御を開始するようにしても良い。エンジントルク推定値は、例えばエンジン10の吸入空気量Qやエンジン回転速度NEなどをパラメータとして予め定められた演算式やマップにより算出される。また、判定値teAは、油圧制御の応答遅れに拘らず適切にステップS7のフィードバック制御が開始されるように、アクセル操作量Accをパラメータとしてアクセル操作量Accが大きい程大きな値に設定されるが、アクセル操作量Accの他にダウンシフトの種類やタービン回転速度NT、エンジン回転速度NE等をパラメータとしてマップなどで設定されるようにしても良い。
この場合にも、ステップS6−1で、ステップS7のフィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立したか否かを判断し、成立した場合にステップS7のフィードバック制御を開始するため、エンジン10のトルクの立ち上がりの応答遅れに拘らず、タービン回転速度NTの変化率ΔNTが所定の目標値dntBと一致するように油圧指令値1のフィードバック制御を適切に行なうことが可能で、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
また、エンジントルク推定値が所定の判定値teAに達したか否かを判断し、その判定値teAに達した場合にはステップS7で解放側の油圧指令値1のフィードバック制御を開始するため、エンジン10のトルクが立ち上がり始めたら確実にフィードバック制御が開始されるようになり、油圧指令値1のフィードバック制御が適切に行なわれる。特に、アクセルペダル50の増し踏みによるダウンシフト判断だけでなく、運転者の手動操作によるダウンシフト指令でダウンシフト判断が為された場合など、如何なるダウンシフト判断においても、油圧指令値1のフィードバック制御が適切に行なわれ、エンジン10の吹き上がり等の変速ショックを抑制しつつ速やかにダウンシフトを行なうことができる。
なお、上記ステップS6−1で行なうエンジントルク推定値が所定の判定値teAに達したか否かの判断を、前記図9のステップS6で行ない、3つのフィードバック開始条件の何れかが成立した場合にステップS7のフィードバック制御が開始されるようにしても良い。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用駆動装置の骨子図である。 図1の自動変速機の各ギヤ段を成立させるためのクラッチおよびブレーキの係合、解放状態を説明する図である。 図1の実施例の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 図3のシフトレバーのシフトパターンの一例を示す図である。 図3の油圧制御回路のうち自動変速機の変速制御に関連する部分の構成を説明する回路図である。 図3の電子制御装置が備えている機能を説明するブロック線図である。 図6のエンジン制御手段によって行われるスロットル制御で用いられるアクセル操作量Accとスロットル弁開度θTHとの関係の一例を示す図である。 図6の変速制御手段によって行われる自動変速機の変速制御で用いられる変速線図(マップ)の一例を示す図である。 図6のパワーON時アップ−ダウン多重変速手段の処理内容を具体的に説明するフローチャートである。 3→4→2の多重変速時に図9のフローチャートに従って信号処理が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一例である。 本発明の他の実施例を説明する図で、図9に対応するフローチャートである。
符号の説明
10:エンジン(原動機) 14:自動変速機 90:電子制御装置 132:パワーON時アップ−ダウン多重変速手段 NT:タービン回転速度(入力軸回転速度) C2:第2クラッチ(第1摩擦係合装置) B1:第1ブレーキ(第2摩擦係合装置) PC2:第2クラッチ係合油圧(第1摩擦係合装置の油圧)
ステップS6、S6−1:フィードバック開始条件

Claims (5)

  1. 第1摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることにより入力軸回転速度を低下させるアップシフト制御中にパワーON状態でダウンシフト判断が為されると、該入力軸回転速度が予め定められた変化で上昇するように前記第1摩擦係合装置の油圧をフィードバック制御した後、該第1摩擦係合装置の作動油をドレーンして解放するとともに第2摩擦係合装置に作動油を供給して係合させることによりダウンシフトを行なう自動変速機の変速制御装置において、
    前記ダウンシフト判断が為された時に、前記第1摩擦係合装置の油圧のフィードバック制御を適切に行なうことができると推定される所定のフィードバック開始条件が成立するのを待って直ちに該フィードバック制御を開始する
    ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記フィードバック開始条件は、前記ダウンシフト判断が為された後に予め定められた所定時間が経過することである
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記フィードバック開始条件は、前記入力軸回転速度の変化率が予め定められた所定値に達することである
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記フィードバック開始条件は、原動機のトルク推定値が運転者の出力要求量に応じて定められる所定値に達することである
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  5. 前記フィードバック制御は、前記入力軸回転速度の変化率が予め定められた目標値と一致するように前記油圧を制御するものである
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の自動変速機の変速制御装置。
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