JP2009014584A - 振動ジャイロ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水晶からなり基部11より延出する振動腕10a,10bを有する音叉型振動ジャイロ1において、振動腕10a,10bの表面に形成され振動腕10a,10bを振動させる駆動電極を備え、音叉型振動ジャイロ1に角速度が働いたときに、駆動電極により振動する振動腕10a,10bの振動方向に対して直交する方向に振動する振動腕10a,10bのコリオリ力による振動成分を検出する圧電素子12が、振動腕10a,10bの表面に取り付けられている。
【選択図】図1
Description
振動ジャイロでは、駆動モードと検出モードのそれぞれ直交する振動モードが利用されている。例えば、機械振動を生じる材料からなる断面が四角柱状の振動子に、駆動用および検出用の圧電素子を取り付けた振動ジャイロが、特許文献1に開示されている。この振動ジャイロでは、圧電素子を用いて振動子を大きく振動させかつ高感度に角速度を検出することを可能としている。
また、角速度の検出用途のみに圧電素子を用いるため、単結晶圧電材料に検出電極を形成した場合と比べて角速度の検出精度を向上させることができる。さらに、振動ジャイロの1面に圧電素子を取り付ければよく、圧電素子の取り付けが容易である。
(実施形態)
音叉型振動ジャイロ1は、単結晶圧電材料である水晶基板からフォトリソグラフィ技術を用いてエッチングされて形成されている。水晶基板は水晶の結晶軸のX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)を平面とする基板をX軸回りに0〜10度の範囲で回転した基板が用いられる。そして、本実施形態ではX軸回りに回転することによって新たに生成される軸をY’軸、Z’軸としている。
音叉型振動ジャイロ1には、基部11と、基部11からY’軸方向に延びる2本の振動腕10a,10bと、振動腕10a,10bに取り付けられた圧電素子12を備えている。なお、圧電素子12の取り付け位置は、コリオリ力により振動腕10a,10bが受ける応力のおよぶ部分に取り付ければよい。本実施形態の場合、振動腕10a,10bから基部11にかけて取り付けられているが、振動腕10a,10bの一部だけであっても、また、基部11だけに取り付けてもよい。また、図示しないが振動腕10a,10bには、この振動腕10a,10bを励振させる駆動電極が形成されている。
圧電素子12はチタン酸ジルコン酸鉛などの圧電セラミックスにて形成されている。好ましくは、100μm以下のチタン酸ジルコン酸鉛薄膜を用いることであり、薄膜のため質量が軽微であり水晶の振動が安定する。また、圧電素子としてフッ化ビニリデン(PVPF)、フッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体などの高分子圧電膜も使用することができる。
振動腕10aのZ’軸に略平行な対向する面には駆動電極21aが設けられ、同様に振動腕10bのZ’軸に略平行な対向する面には駆動電極21bが設けられている。駆動電極21a,21bは発振回路26に接続され、駆動電極21aと駆動電極21bとが逆極性となるように構成されている。
また、振動腕10a,10bのX軸に略平行な対向する面にはそれぞれグランド電極22が設けられ、接地されている。なお、駆動電極21a,21bおよびグランド電極22は、スパッタまたは真空蒸着などの手法により下地をクロム膜、その上に金膜を形成して構成されている。
そして、圧電素子12の表面に形成された検出電極24a,24bは差動検出器27に接続され、さらに差動検出器27は検出回路28に接続されている。
この振動腕10a,10bが駆動振動しているとき、Y’軸回りの回転が加わると、駆動振動に直交する方向にコリオリ力が働き、振動腕10a,10bがZ’軸方向(図1における矢印B方向)に振動(検出振動)する。このとき、振動腕10a,10bはお互いに逆の方向に振動する。そして検出振動における振動腕10a,10bの動きから受ける応力を圧電素子12が検出して、この検出信号が差動検出器27により差動増幅されて検出回路28に入力される。検出回路28では、検出信号を処理して角速度信号が得られる。
図3は、本実施形態における振動腕と圧電素子との取り付け状態例を示す模式説明図である。
図3(a)において、振動腕10aの表面にはグランド電極22が形成されている。グランド電極22は、下地をクロム膜13とし、その上に第1の金属膜としての金膜14を形成して構成されている。圧電素子12の対向する2面には第2の金属膜としての金膜15,16が形成されている。
そして、振動腕10aの金膜14と圧電素子12の金膜15とを熱を加えて圧着することで、両者を接合することができる。
このように、接合する面にともに金膜14,15が形成されていることから、圧着することで圧電素子12を振動腕10aに接合することができ、取り付けが容易である。
図3(b)において、振動腕10aに形成されたグランド電極22の金膜14の表面には凹凸が形成されている。この凹凸はナノインプリンティング技術などを用いて形成されている。
そして、振動腕10aの金膜14と圧電素子12の金膜15とを熱を加えて圧着することで、両者を接合することができる。なお、金膜表面に設ける凹凸は圧電素子12の側の金膜15に設けてもよく、また、両者の金膜14,15に設けてもよい。
このように、圧着される振動腕10aと圧電素子12の接合面の金属膜が同一の金属で形成された金膜14,15である。そして、圧着される少なくとも片方の面に凹凸が形成されていることから、表面の凸部で圧着力を受けることになり、圧着力を低減しても両者の接合が確実に行われる。
そして、振動腕10aと圧電素子12とを金バンプ17を介して熱を加えて圧着することで、両者を接合することができる。なお、金膜表面に設ける金バンプは圧電素子12の側の金膜15に設けてもよい。
このように、圧着される振動腕10aと圧電素子12の接合面の金属膜が同一の金属で形成された金膜14,15である。そして、圧着される少なくとも片方の面に金バンプが形成されている。このことから、バンプで圧着力を受けることになり、圧着力を低減しても両者の接合が確実に行われる。
そして、振動腕10aと圧電素子12とを金ペースト18を介して熱を加えて圧着することで、両者を接合することができる。なお、金膜表面に設けるペーストは圧電素子12の側の金膜15に設けてもよい。
このように、圧着される振動腕10aと圧電素子12の接合面の金属膜が同一の金属で形成された金膜14,15である。そして、圧着される少なくとも片方の面に金ペースト18が形成されている。このことから、金膜の厚みが十分形成できない場合でも、金ペースト18で厚みを調整することで、両者の接合を確実にすることができる。
図4において、振動腕10aの表面にはグランド電極22が形成されている。グランド電極22は、下地をクロム膜13とし、その上に第1の金属膜としての金膜14を形成して構成されている。そして、金膜14の表面の圧電素子12が取り付けられる部分に半田クリーム19が塗布されている。また、圧電素子12の対向する2面には第2の金属膜としての金膜15,16が形成されている。
そして、振動腕10aの半田クリーム19上に圧電素子12を載置して熱を加えることで、半田が溶融して両者を接合することができる。このとき、半田クリームの塗布位置を精度よく形成すれば、半田が溶融した際に表面張力が圧電素子をその塗布位置に合わせるように働き、接合位置精度を向上させることができる。
なお、金膜表面に設ける半田クリームは圧電素子12の側の金膜15に設けてもよく、また、両者の金膜14,15上に設けてもよい。また、半田クリームの代り半田薄膜を形成して実施してもよい。
また、半田の他に、金/スズ、金/ゲルマニウムなど共晶合金を用いることができ、これらの共晶合金を振動腕10aと圧電素子12との間に配置して加熱することで振動腕10aと圧電素子12を接合できる。
また、角速度の検出用途のみに圧電素子12を用いるため、振動ジャイロ1の1面に圧電素子12を取り付ければよく、圧電素子12の取り付けが容易である。
また、単結晶圧電材料として水晶を用いることから、周波数温度特性に優れ角速度の検出精度のよい振動ジャイロ1を提供できる。また、水晶はフォトリソグラフィ技術を用いて、外形加工、電極形成が容易であり、量産性に優れた振動ジャイロ1を得ることができる。
さらに、圧電素子12として圧電セラミックスまたは高分子圧電膜を利用することから、これらの圧電素子12は水晶に比べて圧電定数が大きく、角速度の検出感度に優れた振動ジャイロを提供することができる。
(変形例1)
図5は他の振動ジャイロの概略構成および駆動検出回路例を示す説明図である。本変形例では音叉型振動ジャイロにおいて、圧電素子の取り付けが片方の振動腕のみに設けられている例である。
振動腕10aのX軸に略平行な対向する面には駆動電極31aが設けられ、同様に振動腕10bのZ’軸に略平行な対向する面には駆動電極31bが設けられている。そして、駆動電極31a,31bは発振回路26に接続されている。
また、振動腕10aのZ’軸に略平行な対向する面および振動腕10bのX軸に略平行な対向する面にはそれぞれグランド電極32が設けられ、接地されている。なお、駆動電極31a,31bおよびグランド電極32は、スパッタまたは真空蒸着などの手法により下地をクロム膜、その上に金膜を形成して構成されている。
そして、圧電素子12の表面に形成された検出電極24bは検出回路28に接続されている。
この振動腕10a,10bが駆動振動しているとき、Y’軸回りの回転が加わると、駆動振動に直交する方向にコリオリ力が働き、振動腕10a,10bがZ’軸方向に振動(検出振動)する。このとき、振動腕10a,10bはお互いに逆の方向に振動する。そして検出振動における振動腕10bの動きから受ける応力を圧電素子12が検出して、この検出信号が検出回路28に入力される。検出回路28では、検出信号を処理して角速度信号が得られる。このように、音叉型の振動ジャイロにおいて、圧電素子12が1つであっても角速度を検出することが可能である。
(変形例2)
図6は変形例2におけるH型振動ジャイロの形状と圧電素子の取り付け位置を説明する概略平面図である。
H型振動ジャイロ2の形状は、本実施形態と同様な水晶基板をエッチングすることで得られる。H型振動ジャイロ2には基部41と、基部41からY’方向に延びる2本の駆動用の振動腕40a,40bと、基部41から振動腕40a,40bが延びる方向とは逆の方向に延びる検出用の振動腕43a,43bと、検出用の振動腕43a,43bに取り付けられた圧電セラミックスまたは高分子圧電膜の圧電素子42とを備えている。圧電素子42は1つの振動腕に2つの圧電素子が設けられている。
このように、H型振動ジャイロにおいても、駆動電極により振動腕43a,43bを振動させ、圧電素子42で角速度の検出が可能であり、前述した実施形態と同様の効果を享受することができる。
(変形例3)
図7は変形例3におけるWT型振動ジャイロの形状と圧電素子の取り付け位置を説明する概略平面図である。
WT型振動ジャイロ3の形状は、本実施形態と同様な水晶基板をエッチングすることで得られる。WT型振動ジャイロ3には基部51と、基部51からY’方向に延びる2本の検出用の振動腕53a,53bと、基部51からX軸方向に延びる2本の連結腕54と、連結腕54の先端部でY’軸方向に延びる駆動用の振動腕50a,50b,50c,50dと、検出用の振動腕53a,53bのそれぞれに取り付けられた圧電セラミックスまたは高分子圧電膜の圧電素子52とを備えている。
このように、WT型振動ジャイロ3においても、駆動電極により駆動用の振動腕50a,50b,50c,50dを振動させ、検出用の振動腕53a,53bに取り付けられた圧電素子52で角速度の検出が可能である。このことから、本変形例においても、前述した実施形態と同様の効果を享受することができる。
Claims (7)
- 基部から延出され複数の振動腕を有する単結晶圧電材料を用いた振動ジャイロであって、
少なくとも1つの前記振動腕の表面に形成され前記振動腕を振動させる駆動電極を備えており、
前記振動ジャイロに角速度が働いたときに、前記駆動電極により振動する前記振動腕の振動方向に対して直交するコリオリ力による振動成分を検出する圧電素子が、少なくとも前記振動腕または前記基部の表面に取り付けられたことを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項1に記載の振動ジャイロにおいて、
前記単結晶圧電材料が水晶であることを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項1または2に記載の振動ジャイロにおいて、
前記圧電素子が圧電セラミックスまたは高分子圧電膜であることを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動ジャイロにおいて、
前記振動腕または前記基部の表面に形成された第1の金属膜と前記圧電素子表面に形成された第2の金属膜とが接合され、
前記第1の金属膜および前記第2の金属膜は金、白金、パラジウムから選択される同種の金属膜であることを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項4に記載の振動ジャイロにおいて、
前記振動腕または前記基部の表面に形成された前記第1の金属膜、または前記圧電素子表面に形成された前記第2の金属膜の少なくとも一方の金属膜表面に凹凸が形成され、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とが接合されていることを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項4に記載の振動ジャイロにおいて、
前記振動腕または前記基部の表面に形成された前記第1の金属膜、または前記圧電素子表面に形成された前記第2の金属膜の少なくとも一方の金属膜表面にバンプが形成され、
前記バンプが前記第1の金属膜および前記第2の金属膜と同種の金属で形成され、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とが前記バンプを介して接合されていることを特徴とする振動ジャイロ。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動ジャイロにおいて、
前記振動腕または前記基部の表面に前記圧電素子が合金にて接合されていることを特徴とする振動ジャイロ。
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