JP2009012450A - 複合材料の二段成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に成形でき、しかも高精度で成形品を製造できる複合材料の二段成形方法を提供する。
【解決手段】 60〜85重量%の繊維原料、無機原料または金属原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化した素材を破砕して複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を空気流を用いて押し込み及び/又は減圧吸引して所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 60〜85重量%の繊維原料、無機原料または金属原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化した素材を破砕して複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を空気流を用いて押し込み及び/又は減圧吸引して所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は混合成形した複合原料を破砕して複合中間材を形成し、これを成形する複合材料の二段成形方法の製造方法に関するものである。
複合材料、例えば、繊維強化プラスチックFRPの成型方法としては、型に繊維骨材を敷き、硬化剤を混合した樹脂を脱泡しながら多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法のほか、あらかじめ骨材と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法、繊維とマトリクス(接着剤)を予め馴染ませてある部材(プリプレグなど)を大型の窯(オートクレーブ)で「焼き固める」方法などがある。しかし、異種材料を混合した状態で成型されること、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂としていることから、リサイクルがほとんど不可能な事が欠点である。
そこで、近年、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)の代替として、リサイクル可能な、メチルメタアクリレートなどの熱可塑性樹脂を用いる発表もあるが、上述したように熱硬化性樹脂をマトリックスとしないと所定の強度が得られにくく、しかも熱可塑性樹脂を使用した場合は特殊な製法となる。例えば、繊維強化熱可塑性樹脂シートを用いたスタンパブルシート成形がある。この方法は「分繊飛動装置」を用いて従来の方法とは異なるシート製造法を開発したもので、連続した強化繊維(ロ−ビング)及び熱可塑性樹脂繊維(スライバー)を同時に供給し,装置内で繊維を切断,分繊,混合させ,両繊維が均一に混合した複合マットを連続に製造する方法である(独立行政法人 産業技術総合研究所)。しかしながら、汎用性に欠けるため、実用性がない。他方、リサイクル法としては、わずかに、FRP製の基体を用いた自動車用内装材を再生原料とし、熱可塑性樹脂の樹脂ペレットをマトリックス原料として、粉砕工程により再生原料及びマトリックス原料を10mm大以下に粉砕し、撹拌混合工程により前記粉砕された再生原料及びマトリックス原料を撹拌し、この撹拌された再生原料及びマトリックス原料を一体に擦り合わせて混合し、混合減容工程により前記撹拌混合された再生原料及びマトリックス原料を一体に擦り合わせて減容した後、前記混合減容された再生原料及びマトリックス原料を一体に押出機2に投入し、この再生原料及びマトリックス原料を溶融一体化したリサイクル製品Rを押出成形する自動車用内装材のリサイクル方法が提案されているに過ぎない(特許文献1)。
本発明者は鋭意研究の結果、通常樹脂強化のための繊維充填量は成形技術等からの制限から熱硬化性樹脂に対し高々40重量%程度である。これに対し、熱可塑性樹脂をマトリックスとし、そこへの強化繊維の充填量を60重量%以上という通常考えられない充填量を実現すると、熱硬化性樹脂をマトリックスとするFRPに匹敵する物性が得られることを見出されたものの、マトリックスへの充填量を60重量%以上とすると、通常の押出成形は全く不可能である。また、SMCプレス法 (Sheet Molding Compounds)を使用するにしても. 所定のSMCシート(基材・樹脂・充填材を混練しシート状にしたもの)を用意するのが困難である。
そこで、本発明者は鋭意研究の結果、繊維充填量60重量%以上の成形品を直接成形するのは不可能であっても、熱可塑性樹脂を使用する場合、一旦混練固化させた繊維強化複合材料を、粉砕または破砕し、これを成形中間材料として用い、二段成形すると、60重量%以上、好ましくは70重量%以上85重量%までの繊維分を配合することができ、しかもこれを成形すると、繊維の配向がランダムでしかも上下で重畳し、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用しても極めて理想的な繊維強化樹脂製品が製造できることを見出した。しかしながら、60〜85重量%の不燃性繊維原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化して一次成形し、これを粉砕又は破砕して形成した複合中間片を用意する必要があり、しかもこれを所定の成形型中に充填して加熱加圧するにあたっては、成形型内に手作業で充填するしかなく、成形能率に問題がある。
そこで、本発明者は鋭意研究の結果、繊維充填量60重量%以上の成形品を直接成形するのは不可能であっても、熱可塑性樹脂を使用する場合、一旦混練固化させた繊維強化複合材料を、粉砕または破砕し、これを成形中間材料として用い、二段成形すると、60重量%以上、好ましくは70重量%以上85重量%までの繊維分を配合することができ、しかもこれを成形すると、繊維の配向がランダムでしかも上下で重畳し、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用しても極めて理想的な繊維強化樹脂製品が製造できることを見出した。しかしながら、60〜85重量%の不燃性繊維原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化して一次成形し、これを粉砕又は破砕して形成した複合中間片を用意する必要があり、しかもこれを所定の成形型中に充填して加熱加圧するにあたっては、成形型内に手作業で充填するしかなく、成形能率に問題がある。
かかる現状に鑑み、本発明者は破砕して形成した複合中間片に空気に対する透過性を付与すると空気流に乗せて成形型内に順次堆積させ充填することができることに着目してなされたもので、
本発明は、60〜85重量%の繊維原料または無機原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化した素材を破砕して空気流に対し透過性を有する複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を空気流を用いて押し込み及び/又は減圧吸引して所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程を備えることを特徴とする複合材料の二段成形方法にある。特に、成形型中に充填する工程では、成形型に空気流とともに複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方排気口から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させるが、これに代えて成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、材料投入口を開放して複合中間原料を型内部に吸引充填させることも可能である。
本発明は、60〜85重量%の繊維原料または無機原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化した素材を破砕して空気流に対し透過性を有する複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を空気流を用いて押し込み及び/又は減圧吸引して所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程を備えることを特徴とする複合材料の二段成形方法にある。特に、成形型中に充填する工程では、成形型に空気流とともに複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方排気口から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させるが、これに代えて成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、材料投入口を開放して複合中間原料を型内部に吸引充填させることも可能である。
本発明によれば、繊維または無機材が高充填された一次成形材料を破砕した複合中間材を成形型内にエア充填し、これを加熱加圧して圧縮一体化するようにしたので、繊維または無機材が高充填された複合製品を手作業を用いることなく、自動充填自動成形できるので、作業能率に優れ、生産コストを低減することができる。
本発明では、繊維原料として可燃性の繊維だけでなく、ガラス繊維、カーボン繊維および繊維ボロン等の不燃性強化繊維から選ばれる。無機原料としては水酸化アルミニウム、シリカ、タンカル、炭素などの各種原料が選ばれる。上記熱可塑性樹脂は用途に応じて各種熱可塑性樹脂が選択されてよく、強化繊維種類、寸法、充填量などとの関係で調整される。例えば、自動車車体、小型船舶船体材料などの構造材料にはPP(ポリプロピレン),PC(ポリカーボネイト)ポリアミド樹脂などが好ましい。また、強化繊維との混練性を改善する目的で、相溶する二以上の熱可塑性樹脂を配合して調整することができる。したがって、本発明によれば、無機原料として水酸化アルミニウム粉60〜75%と、熱可塑性樹脂としてポリ乳酸40〜25%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕して請求項1の方法により成形して耐熱性複合製品を製造することができる。
また、本発明によれば、無機原料として希土類磁石粉60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕して請求項1の方法により成形してプラスチック磁石製品を製造することができる。
さらに、本発明によれば、繊維原料としてカーボン繊維60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリカーボネイト樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後請求項1の方法により成形して構造物複合製品を製造することができる。
また、本発明によれば、無機原料として希土類磁石粉60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕して請求項1の方法により成形してプラスチック磁石製品を製造することができる。
さらに、本発明によれば、繊維原料としてカーボン繊維60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリカーボネイト樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後請求項1の方法により成形して構造物複合製品を製造することができる。
本発明に基づいて成形される成形品に着色する場合は、一種又は二種以上の着色した60〜85重量%の繊維原料に対し40〜15重量%の透明又は透光性熱可塑性樹脂を混練して固化した繊維強化素材の破砕片を用意し、繊維原料を着色するのが好ましい。着色した繊維原料に対し同系統に着色した熱可塑性樹脂を混練して固化した繊維強化素材の破砕片を用意することも可能であり、上記破砕片が2種以上の異種の着色材料である場合もある。
本発明の特徴は混練固化した複合素材を粉砕又は破砕し、これを成形型内にエア充填して加熱し加圧して薄いシート、やや厚いプレート状又は立体形状の複合樹脂成形品を製造するようにした点にある。強化繊維が水分を含有する場合は溶融したマトリックス樹脂との混練前に、他の熱源で加熱し含有水分を蒸発させるようにしてもよく、又溶融したマトリックス樹脂と複数の強化繊維とを混練する際に強化繊維をマトリックス樹脂の熱によって加熱して強化繊維の含有水分を蒸発させるようにしてもよい。このようにすると、強化繊維の乾燥工程を別途必要とせず、製造工程を簡素化できる。
使用済みの繊維素材をリサイクルする場合、回収した繊維素材を適当な大きさ、例えば繊維の立体的形状が残存する程度の大きさ、例えば一辺が5mm〜20mmの大きさに破砕し、適当な熱源によって加熱してマトリックス樹脂を軟化又は溶融させ、必要に応じてマトリックス樹脂を添加し、繊維素材の原料の全部又は一部として用いることもできる。
複合樹脂成形品に表面樹脂層を形成する場合、複合樹脂成形品の表面に軟化又は溶融した合成樹脂材料を重ねることにより形成してもよく、合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートを積層することにより形成することもできる。複合樹脂成形品の表面樹脂層は複合樹脂成形品の外表面の全部に形成してもよく、外表面の一部、例えばプレート状複合樹脂成形品の上面又は下面だけに形成してもよい。
複合樹脂成形品は表面樹脂層を形成して所定の製品形状に加圧成形することができるが、複合樹脂成形品の表面に合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートを積層し、あるいは軟化又は溶融した合成樹脂材料を重ねる際に、所定の製品形状に成形することもできる。この複合樹脂成形品の成形には金型やローラなどを用い、絞り成形、曲げ成形、真空成形、圧空成形、マッチモールド成形などを採用することができる。
合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートと複合樹脂成形品とは接着剤によって接着するようにしてもよく、複合樹脂成形品のマトリックス樹脂と表面樹脂層の合成樹脂材料との親和性によって相互に結合するようにしてもよい。
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る再生可能な繊維強化樹脂製品の製造方法の好ましい実施形態を示す。繊維強化樹脂製品を製造する場合、各種強化繊維材料を準備する。この強化繊維は長繊維、短繊維のほかに、平均外径10μm〜35μmの粉状のものを用いることもできる。また、樹脂、例えば適当な大きさのチップ状のポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を準備する。これらの樹脂は1種でもよく、2種が混ざったものでもよい。
他方、混練機10の加熱ヒータを作動させ、混練機10内部を熱可塑性樹脂の溶融温度、例えば100°C〜300°Cの範囲内の温度まで上昇させておき、図1の(a)に示されるように、破砕した熱可塑性樹脂のチップを混練機10内に投入し、攪拌しながら溶融させる。バインダー樹脂のチップの投入は一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。バインダー樹脂の溶融中に攪拌羽根の回転による溶融樹脂の攪拌によって熱が発生する場合には加熱ヒータによる加熱温度はバインダー樹脂の溶融温度よりも多少低温であってもよい。
熱可塑性樹脂が十分に軟化又は溶融すると、準備した繊維原料、例えばガラス繊維を一度に又は複数回に分けて混練機10内に投入するとともに、着色剤、例えば塗料を一度に又は複数回に分けて混練機10内に投入し、軟化・溶融した熱可塑性樹脂と充填剤及び着色剤を実質的に均一になるように混練する。充填剤は一度に大量に投入すると、軟化・溶融した樹脂の温度が低下してしまうことがあるので、混練機10への投入前に繊維強化素材の原料を予め加熱ヒータ等で適当な温度に加熱してもよい。
また、熱可塑性樹脂を溶融状態のままで長時間加熱すると、樹脂本来の物性が損なわれることもあるので、十分に溶融した後、短時間で混練を完了させるのが好ましい。本件発明者の実験によれば、溶融してから混練が完了するまでの時間は5分〜30分程度が好ましいことが判明したが、加熱温度や熱可塑性樹脂の物性によって異なるので、最適な時間は実験などによって求めるのがよい。
十分な混練が済むと、図1の(b)(c)に示されるように、混練物20を取り出し、破砕機11で適切な寸法、例えば一辺が10mm〜40mmの大きさの繊維が突出した鱗片状に破砕する。この破砕片21の寸法は後の工程における加圧によって流動させるので特に限定されないが、空気流に乗せて成形型内に充填するので空気流に浮遊しやすい形状が好ましく、堆積しても堆積物全体を空気が透過するような形態とするのが肝要である。
同様にして図1の(d)に示されるように、色彩の異なる、例えば白色、黒色、茶色、青色の破砕片21を製造する。
こうして複数の色彩の破砕片21が得られると、これらを成形面、例えば図1の(e)に示されるように、加熱した一対の金型30、31内に充填する。ここでは、金型内を排気口32を介して吸引減圧し、次いで排気口32を閉じ、吸引口33から複合中間片21を吸引充填する。その後、振動などを付与し、充填密度を安定させ、その位置で加熱し加圧する。すると、色彩の異なる熱可塑性樹脂が流動しながら1/4〜1/5に圧縮され、相互に一体化するので、温度低下後、取り出し、表面を研磨すると、図1の(f)に示されるように、磨いた表面の模様と思えるような繊維強化樹脂製品が得られ、表面には樹脂層が形成される。
本発明では空気流に乗せて破砕片を成形型内に充填することができるように成形型中に充填する工程では、成形型の上方を空気流の投入口とする一方、成形型の下方を空気流の排出口とし、空気流に対し透過性を有する複合中間原料を空気流とともに成形型に投入するとともに下方から排気し、成形型中で下方から上方に中間原料を順次堆積させて充填させる。詳しくは、例えば充填機として回転した空気流に破砕片を浮遊させ、送り出し順次堆積させるサイクロン方式を用いる場合がある。
図2は無機材料を高充填配合した耐熱性樹脂製品の製造方法の好ましい実施形態を示す。ここでは耐熱性付与剤として水酸化アルミニウムを準備する。この無機材料は通常粉末のものを用いる。他方、樹脂、としては適当な大きさのチップ状のポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いることができるが、ここではポリ乳酸を準備する。ポリ乳酸にはその他の樹脂は適宜混合してもよい。
他方、混練機10の加熱ヒータを作動させ、混練機110内部を熱可塑性樹脂の溶融温度、例えば100°C〜300°Cの範囲内の温度まで上昇させておき、図2の(a)に示されるように、破砕した熱可塑性樹脂のチップを混練機110内に投入し、攪拌しながら溶融させる。バインダー樹脂のチップの投入は一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。バインダー樹脂の溶融中に攪拌羽根の回転による溶融樹脂の攪拌によって熱が発生する場合には加熱ヒータによる加熱温度はバインダー樹脂の溶融温度よりも多少低温であってもよい。
熱可塑性樹脂が十分に軟化又は溶融すると、準備した水酸化アルミニウムを一度に又は複数回に分けて混練機110内に投入するとともに、着色剤、例えば塗料を一度に又は複数回に分けて混練機110内に投入し、軟化・溶融した熱可塑性樹脂と充填剤及び着色剤を実質的に均一になるように混練する。充填剤は一度に大量に投入すると、軟化・溶融した樹脂の温度が低下してしまうことがあるので、混練機110への投入前に繊維強化素材の原料を予め加熱ヒータ等で適当な温度に加熱してもよい。
また、熱可塑性樹脂を溶融状態のままで長時間加熱すると、樹脂本来の物性が損なわれることもあるので、十分に溶融した後、短時間で混練を完了させるのが好ましい。本件発明者の実験によれば、溶融してから混練が完了するまでの時間は5分〜30分程度が好ましいことが判明したが、加熱温度や熱可塑性樹脂の物性によって異なるので、最適な時間は実験などによって求めるのがよい。
十分な混練が済むと、図2の(b)(c)に示されるように、混練物20を取り出し、破砕機111で適切な寸法、例えば一辺が3mm〜20mmの大きさの鱗片状に破砕する。この破砕片121の寸法は後の工程における加圧によって流動させるので特に限定されないが、空気流に乗せて成形型内に充填するので空気流に浮遊しやすい形状が好ましく、堆積しても堆積物全体を空気が透過するような形態とし、適宜金型内を排気して材料が隅々にまで均一に堆積するように工夫するのが肝要である。
同様にして図2の(d)に示されるように、色彩の異なる、例えば白色、黒色、茶色、青色の破砕片121を製造する。
こうして複数の色彩の破砕片121が得られると、例えば図2の(e)に示されるように、一対の縦型金型51、52を開放してなる金型50を用意する。ここで、金型50内に充填口53を介して空気流とともに破砕片121を充填する。詳しくは、成形型中に充填する工程では、一対の成形型に空気流とともに複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型の他方向に、必要とあれば所定箇所に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方排気口から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させる。次いで振動などを付与し、充填密度を安定させ、その位置で加熱し加圧する。すると、色彩の異なる熱可塑性樹脂が流動しながらおよそ1/3に圧縮され、相互に一体化するので、温度低下後、取り出し、表面を研磨すると、図2の(f)に示されるように、磨いた表面の模様と思えるような樹脂製品が得られる。なお、本実施態様では縦型金型をそのままにして圧縮成型したが、これを水平に寝かせて圧縮することもできる。
以下に他の複合中間材料について詳細に説明する。
繊維強化素材の原料にカーボン繊維を用いる場合、平均長さ5〜15mmのものを用いる。他方、マトリックス樹脂としてポリカーボネイトの適当なサイズものを準備する。これから例えば一辺が3mm〜20mmの大きさの薄片に破砕することにより複合中間片を用意する。かかる複合材料は高充填のカーボン繊維によって十分な構造強度が付与されており、自動車用や船舶用構造材に用いることができる。
繊維強化素材の原料にカーボン繊維を用いる場合、平均長さ5〜15mmのものを用いる。他方、マトリックス樹脂としてポリカーボネイトの適当なサイズものを準備する。これから例えば一辺が3mm〜20mmの大きさの薄片に破砕することにより複合中間片を用意する。かかる複合材料は高充填のカーボン繊維によって十分な構造強度が付与されており、自動車用や船舶用構造材に用いることができる。
また、ポリカーボネイト(PC)に代え、ポリプロピレン(PP)/エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂を用い、強化繊維としてガラス繊維を用い、ガラス繊維80重量%及びPP15重量%、EVA5重量%からなる表面が極めて平滑な複合樹脂プレートが得られる。
10、110 混練機
11、111 破砕機
30、31、51、52 金型
20、120 複合素材
21、121 破砕片
40、60 複合製品
11、111 破砕機
30、31、51、52 金型
20、120 複合素材
21、121 破砕片
40、60 複合製品
Claims (7)
- 60〜85重量%の繊維原料、無機原料または金属原料に対し40〜15重量%の熱可塑性樹脂を混練して固化した素材を破砕して複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を空気流を用いて押し込み及び/又は減圧吸引して所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程を備えることを特徴とする複合材料の二段成形方法。
- 成形型中に充填する工程では、一対の成形型に空気流とともに複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方排気口から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させる請求項1記載の複合材料の二段成形方法。
- 成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、この状態で材料投入口を開放して複合中間原料を型内部に吸引充填させる請求項1記載の複合材料の二段成形方法。
- 成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して圧縮一体化する工程での圧縮比が1/3以上である請求項1記載の複合材料の二段成形方法。
- 無機原料として水酸化アルミニウム粉60〜75%と、熱可塑性樹脂としてポリ乳酸40〜25%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕してなる複合中間材料を請求項1の方法により成形してなる耐熱性複合製品。
- 無機原料として希土類磁石粉60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕してなる複合中間材料を請求項1の方法により成形してなるプラスチック磁石製品。
- 繊維原料としてカーボン繊維60〜85%と、熱可塑性樹脂としてポリカーボネイト樹脂40〜15%を配合してなる複合材料を混練し、固化後破砕してなる複合中間材料を請求項1の方法により成形してなる構造物複合製品。
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