JP2009001463A - アルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐酸化性に優れ、酸化による耐食性の低下が有利に抑制されたアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、そこに含まれる炭素分の全量が該シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を超えるような量的割合において配合し、焼成することにより、アルミナ中に炭化ケイ素及び炭素が存在せしめられてなるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーとした。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー及びその製造方法に係り、特に、高炉樋材や混銑車用耐火物の原料として好適に用いられ得るアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー、及びその製造方法に関するものである。
従来より、優れた耐スポール性や耐食性等が要求される高炉樋材や混銑車用耐火物としては、様々なものが提案され、使用されている。具体的には、アルミナ源原料、炭化ケイ素及び炭素源原料を用いた不定形耐火物や定形耐火物等が広く知られており、例えば、特開平3−164479号公報においては、高炉出銑樋用流し込み耐火材として、所定の物性を有する炭化ケイ素骨材を使用し、炭化ケイ素:70〜95wt%、カーボン質原料:1〜7wt%、アルミナ微粉:3〜20wt%、及びシリカ超微粉:0.5〜5wt%を含有する組成物に、分散剤、結合剤を添加してなるものが、明らかにされている。
しかしながら、そのような従来のアルミナ、炭化ケイ素及び炭素からなる耐火物にあっては、そこに含まれる炭素が、空気中の酸素によって酸化されてCOガスとなり(2C+O2 →2CO)、気孔率の増大を招くと共に、かかる炭素の酸化によって発生したCOガスにより、耐火物中に含まれる炭化ケイ素が酸化されてシリカに変化し(SiC+2CO → SiO2 +3C)、耐食性が低下せしめられるといった問題を内在していた。
また、高炉樋材用の耐火物の原料としては、上記したアルミナ、炭化ケイ素及び炭素に、更にスピネルを加えたものが使用されて来ているが(例えば、特開平5−339065号公報参照)、そのような原料をセメント等と混合して不定形耐火物として使用すると、上記したような問題に加えて、更に、上述のようにしてSiCの酸化によって生成するSiO2 が、スピネル中のMgO及びセメント中のCaOと反応して低融点物を生成し、耐火物の耐食性が更に低下せしめられるといった問題を有していたのである。
特開平3−164479号公報 特開平5−339065号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、耐酸化性に優れ、酸化による耐食性の低下が有利に抑制されたアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー及びその製造方法を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、シリカ−アルミナ源原料に、所定量の炭素源原料を配合して、焼成することによって得られるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーにあっては、上記した課題を悉く解決し得るものであることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、そこに含まれる炭素分の全量が該シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を超えるような量的割合において配合し、焼成することによって得られた、アルミナ中に炭化ケイ素及び炭素が存在せしめられてなるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを、その要旨とするものである。
また、本発明は、そのようなアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを有利に製造することが出来る方法、即ち、1)シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、そこに含まれる炭素分の全量が該シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を超えるような量的割合において配合して、配合物を調製する工程と、2)該配合物を混練し、成形することにより、所定形状の成形体とする工程と、3)該成形体を、1500℃以上の中性雰囲気又は還元雰囲気にて焼成することにより、該成形体に含まれる前記シリカ−アルミナ源原料に由来するシリカ分を全て炭化して炭化ケイ素とすると共に、かかる炭化に寄与しない前記炭素源原料に由来する炭素分を焼成後の成形体中に残存せしめる工程と、を含むことを特徴とするアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーの製造方法をも、その要旨とするものである。
このような本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーにあっては、炭化ケイ素及び炭素が、アルミナ中に存在せしめられているところから、換言すれば、クリンカー中において、炭化ケイ素及び炭素が、アルミナに覆われた状態で存在しているところから、炭化ケイ素及び炭素の酸化が有利に防止されて、以て、酸化による耐食性の低下が極めて有利に抑制され得る。
しかも、そのような本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーは、比較的安価なシリカ−アルミナ源原料及び炭素源原料を、混合、焼成して得られるものであり、その原料コストが極めて低廉となる。従って、本発明のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを耐火物原料として用いた場合には、シリカ−アルミナ源原料と比較して高価なアルミナや炭化ケイ素をそれぞれ用いて得られる従来の耐火物に比して、その製造コストを有利に低減することが出来る。
また、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーの製造方法に従えば、上述の如き優れた特性を発揮するアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを、有利に製造することが可能である。
ところで、上述したように、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーは、シリカ−アルミナ源原料に対して、所定割合の炭素源原料を配合し、かかる配合物を焼成することによって得られるものである。そこにおいて用いられるシリカ−アルミナ源原料としては、焼成後にアルミナ及び炭化ケイ素を与え得る原料であれば、特に限定されるものではなく、例えば、蛙目粘土や頁岩粘土等の粘土類、カオリン、蝋石、ばん土頁岩等の従来より公知のものが、何れも採用可能である。
このように、本発明のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーにあっては、安価に入手可能なシリカ−アルミナ源原料を用いて得られるものであり、それ故に安価に製造することが可能である。従って、そのような本発明のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを用いて得られる各種耐火物は、従来の、比較的高価なアルミナや炭化ケイ素を原料として用いて得られる耐火物と比較して、その製造コストが有利に低く抑えられ得ることとなる。
一方、そのようなシリカ−アルミナ源原料に対して配合せしめられる炭素源原料としても、焼成後に炭素を与え得る原料であれば何等限定されるものではなく、従来から公知のものの中から、目的に応じて適宜に選定され得るのである。そのような炭素源原料としては、例えば、石炭粉、土状黒鉛、鱗状黒鉛や木炭等を、挙げることが出来る。
そして、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを製造するに際しては、上述のようなシリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料が、そこに含まれる炭素分の全量がシリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を越えるような量的割合において、配合せしめられるのである。そのような特定の量的割合において炭素源原料が配合せしめられた配合物を焼成すると、アルミナ、炭化ケイ素及び炭素からなるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーとして、有利に得られることとなる。即ち、シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分は、焼成によって、炭素源原料の炭素と反応して全て炭化ケイ素とされる一方、シリカ−アルミナ源原料中のアルミナ分はアルミナ(コランダム)として残存し、またシリカ分の炭化に寄与せずに残った炭素源原料は、焼成後、炭素としてクリンカー中に存在せしめられることとなるのである。
かかる本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーは、炭化ケイ素及び炭素が、アルミナ中に分散して存在せしめられてなるものであり、耐酸化性が非常に優れたものとなるのである。即ち、本発明に係るアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー中において、炭化ケイ素及び炭素は、アルミナに包まれた状態で存在し、そしてそのようにアルミナに包まれた炭化ケイ素及び炭素は、空気中の酸素と接触することが有利に防止され得るところから、前記したような炭素の酸化(2C+O2 →2CO)による気孔率の増加や、炭化ケイ素の酸化によるシリカへの変化(SiC+2CO → SiO2 +3C)が有利に抑制され得る。従って、本発明のクリンカーの耐食性が優れていることは勿論のこと、これを原料として用いて得られる各種耐火物にあっても、その耐食性は非常に優れたものとなるのである。
そのような優れた耐食性を発揮する本発明のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーは、有利には、以下のような手法に従って製造されることとなる。
先ず、上述の如きシリカ−アルミナ源原料及び炭素源原料を準備し、シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、所定割合で配合し、配合物を調製することとなる。先述したように、かかる調製に際して、炭素源原料は、そこに含まれる炭素分の全量が、シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を越えるような量的割合において、シリカ−アルミナ源原料に対して配合される。配合される炭素源原料の量が、シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量に満たない場合には、焼成後に得られるクリンカー中にシリカ分が残存し、また、炭素分がシリカ分を炭化ケイ素とするのに全て消費され、最終的に得られるクリンカー中に残存しないこととなるため、目的とするアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーが得られないからである。なお、より好ましくは、焼成後に得られるクリンカーの組成が、アルミナ(Al23 ):25〜55重量%、炭化ケイ素(SiC):30〜60重量%、炭素(C):5〜15重量%となるような割合において、炭素源原料が配合される。
なお、焼成後におけるクリンカー中のアルミナ及び炭化ケイ素の割合は、使用するシリカ−アルミナ源原料に依存することとなるため、目的とするアルミナ及び炭化ケイ素の割合を与え得るように、一種又は二種以上のシリカ−アルミナ源原料が適宜に選択されて、使用される。
次いで、そのようにして調製された配合物を、混練し、成形することにより、所定形状の成形体とする。具体的には、上述のようにして準備された配合物に対して水を加えてスラリー状と為し、その後脱水して、押出成形するか、或いは上記配合物に対してバインダーを添加して混練し、その後、ブリケットマシンやアムスラー成形機等の成形機にて成形する。
そこにおいて、添加される水としては、特に限定されるものではなく、上水道水や工業用水等が、何れも用いられ得るのであり、またその添加割合としても、本発明にあっては特に限定されるものではなく、有利には、従来から一般的に添加割合として採用されている範囲内において、目的に応じて適宜に決定されることとなる。
また、前記バインダーとしても、特に限定されるものではなく、例えば、リグニン類、デンプン類、ポリビニルアルコールやメチルセルロース類、各種フェノール樹脂、糖蜜等の従来から公知の各種のものが、目的に応じて、適宜の割合において用いられることとなる。
さらに、本発明にあっては、上記バインダーと共に、他の公知の各種の添加物、例えば、ヘキサミン等の硬化剤等も、必要に応じて、適宜に用いられることとなる。
そして、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーの製造方法にあっては、上述のようにして得られる成形体を、1500℃以上の中性雰囲気又は還元雰囲気にて焼成することにより、成形体に含まれるシリカ−アルミナ源原料に由来するシリカ分を全て炭化して炭化ケイ素とすると共に、かかる炭化に寄与しない炭素源原料に由来する炭素分を焼成後の成形体中に残存せしめることにより、目的とするアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを得るのである。
すなわち、シリカ−アルミナ源原料と炭素源原料とからなる成形体が所定雰囲気下において焼成されることによって、シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分と、炭素源原料の炭素との反応によりシリカが全て炭化ケイ素とされて、かかる炭化ケイ素と、そのようなシリカの炭化に寄与しない余剰の炭素源原料由来の炭素と、シリカ−アルミナ源原料中のアルミナとから構成されるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーが形成されることとなるのである。
なお、本発明において、かかる焼成は、上述せるように、1500℃以上の中性雰囲気又は還元雰囲気にて行われることとなるが、より好ましくは1900℃以上、2200℃以下の雰囲気下にて行われることとなる。かかる焼成温度が低過ぎると、シリカと炭素との反応が充分に進行せず、目的とするアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーが得られない恐れがあり、一方、焼成温度が高過ぎると、特別な設備(装置)が必要となるため、望ましくない。また、中性雰囲気又は還元雰囲気ではない雰囲気、即ち酸化雰囲気は、かかる雰囲気にて焼成を行なうと、供給される炭化水素燃料(プロパン等)に対して過剰となる酸素により、成形体中のシリカや炭素が酸化され、得られるクリンカーの耐食性を低下せしめる恐れがあるため、本発明のクリンカーを製造するに際しては採用されない。なお、中性雰囲気又は還元雰囲気での焼成は、重油を燃焼するロータリーキルンを用いることにより、容易に実施可能である。
このような本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーの製造方法によれば、上述したようなアルミナ中に炭化ケイ素及び炭素が存在せしめられてなるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを有利に得ることが出来るのである。そして、そのようなアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーにあっては、炭化ケイ素及び炭素が、アルミナに覆われた状態にて存在しているところから、クリンカー中の炭化ケイ素及び炭素が、直接、空気中の酸素と接触することが有利に防止されて、以て、そのような酸化により惹起されるクリンカーの耐食性の低下が極めて有利に抑制されることとなるのである。そして、そのような本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーは、その優れた耐酸化性及び耐食性により、高炉大樋や混銑車用耐火物の原料として、有利に使用され得るのである。
なお、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを、耐火物原料として用いる場合には、上記のようにして得られた本発明に従うクリンカーに対して、常法に従って、粉砕、整粒操作を施し、それにより該クリンカーの粉又は粒状物を得た後、従来から公知の手法に従って、所定の形状に成形し、更に必要に応じて加熱、焼結せしめることによって、煉瓦等の成形耐火物を得ることとなる。また、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを、キャスタブル耐火物の原料として使用する場合には、従来と同様に、必要に応じて、各種のセメントやバインダー等を配合して、粉末状や練り土状のものとして、用いられることとなる。更に、そのようなキャスタブルから耐火物を得るに際しては、かかるキャスタブルに対して水を添加して、スタンプ成形法や振動成形法等による成形操作を実施して、所望の形状を有する耐火物が形成される。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、シリカ−アルミナ源原料として、下記表1に示す化学組成を有するカオリンを準備し、かかるカオリン:100kgに、炭素源原料としての土状黒鉛:25kgと、バインダーとしてのフェノール樹脂:3kgと、硬化剤としてのヘキサミン:1.5kgとを配合し、ウェットパンにより混練した。その混練物をブリケットマシンを用いて成形し、得られた成形体を、200℃にて乾燥した後、還元雰囲気とされたロータリーキルン内にて、1900℃で1時間、焼成した。得られた焼結体の化学組成を、蛍光X線分析により測定した。その測定結果を、下記表2に示す。
Figure 2009001463
Figure 2009001463
かかる表2から明らかなように、得られた焼結体は、アルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーであることが認められた。また、得られた焼結体を切断し、肉眼観察を行なったところ、焼結体の外周部(表面)は灰色を呈しており、アルミナで構成されていることが確認された。更に、焼結体の内部は黒色を呈しており、顕微鏡により観察したところ、炭化ケイ素、炭素及びアルミナが点在して分布していることが確認された。
次いで、得られた焼結体(クリンカー)を粉砕し、かかる粉砕物を耐火物原料として用いて、以下の評価を行なった。
−耐酸化性試験−
得られた焼結体(クリンカー)の粉砕物のうち、1〜3mm、1mm未満、及び微粉に篩分けしたものを用いて、それらを、1〜3mm:30重量%、1mm未満:40重量%、微粉:30重量%の割合にて混合した。得られた混合物の100重量部に対して、フェノール樹脂の3重量部とヘキサミンの1重量部とを加え、ウェットパンにて混練した。この混練物を用いて、直径:50mm×高さ:40mmの円柱状に成形し、かかる成形体を、カーボンを充填したアルミナ質のコウバチに入れて蓋をして、電気炉内に載置し、1600℃で2時間、焼成し、焼成物(耐火物A)を得た。
そのようにして得られた耐火物Aを、1000℃に設定された電気炉内に5時間、載置した。その後、電気炉内より耐火物Aを取り出し、切断して、成形体表面に形成された酸化層の厚さ(mm)を測定することにより、耐火物の耐酸化性を評価した。その測定結果を、下記表3に示す。
その一方、焼結体(クリンカー)の粉砕物に代えて、平均粒径の異なる炭化ケイ素の混合物(1〜3mm:30重量%、1mm未満:40重量%、微粉:30重量%)を用いた以外は耐火物Aと同様にして、焼成物(耐火物B)を得た。得られた耐火物Bについて、上述の手法に従って耐酸化性試験を行ない、酸化層の厚さ(mm)を測定した。その測定結果を、下記表3に示す。
また、焼結体(クリンカー)の粉砕物に代えて、平均粒径の異なる焼結アルミナの混合物(1〜3mm:50重量%、1mm未満:50重量%):40重量部と、鱗状黒鉛:60重量部とからなる混合物の100重量部を用いた以外は、耐火物Aと同様にして、焼成物(耐火物C)を得た。得られた耐火物Cについて、上述の手法に従って耐酸化性試験を行ない、酸化層の厚さ(mm)を測定した。その測定結果を、下記表3に示す。
Figure 2009001463
かかる表3の結果から明らかなように、本発明に従うクリンカーを用いて得られた耐火物(耐火物A)にあっては、酸化層の厚さが薄く、耐酸化性に優れていることが分かる。このことから、本発明のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを用いることにより、得られる耐火物においては、酸化に起因する耐食性の低下が有利に抑制され得ることが認められた。その一方、炭化ケイ素からなる耐火物(耐火物B)や、炭化ケイ素を含まないアルミナ−炭素系耐火物(耐火物C)にあっては、本発明に従うクリンカーを用いて得られた耐火物に比して酸化層が厚く、耐酸化性に劣ることが認められた。
−回転侵食試験−
大樋メタル材の流し込み材を念頭において、本発明に従う焼結体(クリンカー)の粉砕物(1mm未満):49重量部と、スピネル(1〜3mm):48重量部と、アルミナセメント:3重量部とからなる混合物の100重量部に対して、フェノール樹脂:10重量部と、ヘキサミン:1重量部とを加え、混練することにより、不定形耐火物を調製した。得られた不定形耐火物を型内に流し込み、養生した後に脱型して、耐火物Dを得た。得られた耐火物Dより所定大きさの円筒状の試料を切り出した後、1)かかる円筒状の試料を水平状態に寝かせて、その内壁部に侵食剤(銑鉄)を載せ、次いで、2)この侵食剤を載せた状態の試料を、1650℃の雰囲気下において30分間、回転せしめ、更に、3)その回転終了後、侵食剤を一旦廃滓することからなる工程を、1サイクルとして、これを10サイクル(5時間)繰り返すことにより、回転侵食試験を行なった。その後、試料を切断して、試料における溶損寸法(mm)を測定した。その測定結果を、下記表4に示す。
一方、クリンカー粉砕物、スピネル及びアルミナセメントからなる混合物に代えて、アルミナ(1mm以下):30重量部、スピネル(1〜3mm):48重量部、炭化ケイ素(200メッシュ以下):15重量部、ピッチペレット:3重量部、カーボンブラック:1重量部、及びアルミナセメント:3重量部からなる混合物の100重量部を用いた以外は、耐火物Dと同様にして、不定形耐火物を調製し、耐火物Eを得た。得られた耐火物Eについて、上述の手法に従って回転侵食試験を行ない、その試験の後、試料を切断し、溶損寸法(mm)を測定した。その測定結果を、下記表4に示す。
Figure 2009001463
かかる表4の結果から明らかなように、本発明に従うアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーを用いて得られた耐火物(耐火物D)にあっては、銑鉄による溶損は少なく、優れた耐食性を有していることが認められた。一方、アルミナ、炭化ケイ素及び炭化ケイ素をそれぞれ配合して得られた従来のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系耐火物(耐火物E)にあっては、本発明に従うクリンカーを用いて得られた耐火物(耐火物D)と比較して、溶損寸法が大きく、耐食性に劣るものであることが認められたのである。

Claims (2)

  1. シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、そこに含まれる炭素分の全量が該シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を超えるような量的割合において配合し、焼成することによって得られた、アルミナ中に炭化ケイ素及び炭素が存在せしめられてなるアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカー。
  2. シリカ−アルミナ源原料に対して、炭素源原料を、そこに含まれる炭素分の全量が該シリカ−アルミナ源原料中のシリカ分を化学量論的に全て炭化ケイ素とすることが可能な炭素量を超えるような量的割合において配合して、配合物を調製する工程と、
    該配合物を混練し、成形することにより、所定形状の成形体とする工程と、
    該成形体を、1500℃以上の中性雰囲気又は還元雰囲気にて焼成することにより、該成形体に含まれる前記シリカ−アルミナ源原料に由来するシリカ分を全て炭化して炭化ケイ素とすると共に、かかる炭化に寄与しない前記炭素源原料に由来する炭素分を焼成後の成形体中に残存せしめる工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ−炭化ケイ素−炭素系クリンカーの製造方法。
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