JP2008536855A - 炎症性腸疾患(ibd)の治療 - Google Patents
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Abstract
本発明はIBD、特に潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関するものであって、CD20と結合する抗体を用いる。
Description
(関連出願)
本出願は、米国特許法119条に基づき2005年4月15日出願の米国特許仮出願番号60/671902の優先権を主張する仮出願であり、その内容が出典明記により本願明細書に援用される。
本出願は、米国特許法119条に基づき2005年4月15日出願の米国特許仮出願番号60/671902の優先権を主張する仮出願であり、その内容が出典明記により本願明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明は、CD20に結合する抗体を用いたIBD、特に潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関する。
本発明は、CD20に結合する抗体を用いたIBD、特に潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関する。
(発明の背景)
炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患(IBD)は腸の炎症を引き起こす疾患群の名称である。IBDの症状には、腹部痙攣、腹痛、下痢、体重減少、及び腸出血が含まれる。IBDの病因に関する現在の一致した意見は、常在細菌叢に対する宿主免疫反応の遺伝的に決定された調節不全の機能に収集している(Pallone等,「The immunesystem in inflammatory bowel disease」:Satsangi J等(編集)「InflammatoryBowelDisease」Churchill Livingstone,スペイン,2003,85―93頁)。
炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患(IBD)は腸の炎症を引き起こす疾患群の名称である。IBDの症状には、腹部痙攣、腹痛、下痢、体重減少、及び腸出血が含まれる。IBDの病因に関する現在の一致した意見は、常在細菌叢に対する宿主免疫反応の遺伝的に決定された調節不全の機能に収集している(Pallone等,「The immunesystem in inflammatory bowel disease」:Satsangi J等(編集)「InflammatoryBowelDisease」Churchill Livingstone,スペイン,2003,85―93頁)。
クローン病と潰瘍性大腸炎(UC)はIBDのもっとも一般的な病状である。
クローン病は通常、小腸と大腸の長さに沿った潰瘍を引き起こす。クローン病は一般に直腸は冒さないか、または直腸周辺のドレナージによる炎症又は感染を引き起こすかのどちらかである。
クローン病は通常、小腸と大腸の長さに沿った潰瘍を引き起こす。クローン病は一般に直腸は冒さないか、または直腸周辺のドレナージによる炎症又は感染を引き起こすかのどちらかである。
例外なくほとんど、UCは直腸を含み、および近接する部分又は結腸の全部に近位から広がる。疾患の活動は通常、断続的で再発と静止期がある。S字結腸鏡又は結腸鏡画像は特徴的である。軽度では結腸粘膜は充血性及び顆粒状に見える。より重度では、小さな点状(punctuate)潰瘍があり、粘膜は特徴的にもろく、自然に出血することもある。組織学的に、活動期の疾患の炎症細胞湿潤物には好中球が含まれ、しばしば腺窩に侵入し同時に上皮の障害と腺窩のねじれを伴う。粘膜固有層におけるリンパ球数の増加と基底の形質細胞増加症が通常呈される。
米国では50万から70万人の患者がUCを患っている(Loftus、Gastroenterology、126:1504-1517、2004)。UCの結腸外所見には、関節炎、ブドウ膜炎、アフタ性口内炎、壊疽性膿皮症と結節性紅斑がある。軽度から中程度の患者に対する初期の治療は通常、アミノサリチル酸である。対照試験では、プラセボ群の30%に達する患者において、さまざまな診断基準で症状の改善が起こったので、従って、非常に軽度の患者に選択される特別な治療とはなりえないであろう。直腸とS字結腸を含む遠位性左側のUCは5-アミノサリチル酸(5−ASA)浣腸製剤によって効果的に治療できる場合がある。標準的な5−ASA治療に応答しない活動期のUC患者や重度の患者には、経口ステロイド薬が急性症状治療の頼みの綱となっている。しかしながら、コルチコステロイドは、その使用は時間とともに有意な毒性を伴うので、既にUCを有する患者では緩解の長期間維持には効果的ではない(Lennard-Jones等、Lancet、1:188―189、1965)。
5−ASA剤とコルチコステロイドが応答しない患者には、疾患増悪に対する治療は限られた選択肢しかない。多くのこれらの患者は免疫抑制薬で治療され、通常は6-メルカプトプリン(6−MP)又はアザチオプリンであり、それらは活動期の疾患では治療効果の表れが有意に遅れる場合がある。高用量IVコルチコステロイドが応答しない重度患者や結腸切除を待っている患者では、IVシクロスポリンによる有意な短期間の効果が、小規模のプラセボ対照試験で観察されている(Lichtiger等,N Engl J Med、330:1841-1845 (1994))。最終的に、結腸切除は患者の25%から40%で必要である。明確な最終的ニーズは安全で効果的な治療薬であり、それは活動期の疾患の迅速なコントロールを提供し、及び長期の疾患の緩解を誘導できるものである。
UCの病変形成は完全には理解されてはいないが、UCは自己免疫性疾患で、疾患の病態生理ではB細胞が役割を果たしているであろうというエビデンスが増加している。活動期のUC患者からの組織切片で観察される、B細胞がT細胞と同様に基底のリンパアグリゲートに存在するという病理組織学的な特徴は、UCを示すと考えられる。(Yeung 等、Gut、 47:212-227(2000))。静止期のUC患者で再発を予測する臨床と病理組織のパラメータの評価において、粘膜の基底部でのプラズマ細胞数の増加は再発の独立した前兆であると分かっている(Bitton等、Gastroenterology、120:1320(2001))。UCの粘膜炎は活性型のT細胞によって引き起こされると考えられる一方で、これらの患者はTヘルパー2(Th2)サイトカイン発現パターン特性をもっている(Monteleone等、Gut、50(Suppl III):64 (2002))。Th2サイトカインは古典的にはB細胞免疫反応と抗体生産を駆動するので、UCでのB細胞の中心的な役割が想定される。
腸管腔抗原と自己抗原に対する抗体の生産増加と同様に、IgG、IgM、及びIgAとプラズマ細胞の量増加が、UC患者の炎症した結腸粘膜固有層において見出される(MacDermott等、Gastroenterology、81:844-852(1981)。さらに、UCの病変形成におけるこれらの抗体の明確な役割は確かではないけれど、UC患者において自己抗体の存在を示すデータが蓄積してきている。約3分の2のUC患者が核周辺型抗好中球細胞質抗体(p−ANCA)として知られる循環する抗体をもっており、これは好中球白血球の構成成分に向かう(Quinton 等, Gut、42:788-791(1998))。好中球構成成分(ミエロペルオキシダーゼ)に向かい、血管炎のいくつかの病状を生じさせるp−ANCAはそれ自体、血管炎と組織障害の原因であることが、近年血管炎の実験動物モデルにおいて示された(Xiao 等, J Clin Invest、110:955-963(2002))。
自己免疫の別のマーカーはUCの推定自己抗原であるヒト・トロポミオシン・アイソフォーム5(hTM5)に対する結腸粘膜B細胞の反応である。UC患者の結腸粘膜は、クローン病による結腸炎や非IBD患者と比較して、hTM5に対するIgGを生産する固有層B細胞の数が統計学的に非常に有意に増加しており、UCにおいて抗hTM5抗体の重要で明確な役割を示唆している(Onuma等,Clin Exp Immunol 、121:466-471 (2000)). 同じように、抗hTM5IgG免疫細胞数は、非IBD対照と比較してUC患者において有意に高く、23患者のうち21人(91%)がIgGを産生する免疫細胞を臨床活動とは無関係に持っていた(Onuma等,Clin ExpImmunol、121:466-471 (2000)). さらに抗hTM5抗体はUCと原発性硬化性胆管炎の患者の血清で検出されている(Sakimaki等,Gut、47:236-241(2000))。UC患者の血清の抗結腸抗体は結腸上皮細胞又は杯細胞の結腸ムチンにおいて表面抗原と反応できることが証明されている(Inoue等,Gastroenterology、121:1523(2001))。これらの抗体は結腸上皮細胞に対する抗体依存性細胞介在性細胞傷害メカニズムを通じて、結腸粘膜の破壊の一因となっているかもしれない。
ある研究では、T細胞レセプター (TCR)αが欠失したマウスで生じる自発性慢性大腸炎は、成熟B細胞の非存在下でより重度になることが観察された。αμノックアウトマウスと交配した慢性大腸炎のTCRα欠失マウスは、TCRα欠失マウスに比べてより重度な病状の結腸炎を患う子孫をもつ。この研究では、結腸炎の重症度が高くなったことは病原体の細菌叢によるものではなかったが、B細胞は完全に欠如していた。αμノックアウトマウスでは、慢性大腸炎は、TCRα欠失マウスから結腸炎発症前の3から4週齢のαμ欠失マウスに核周辺型B細胞を養子移植した後に著しく減弱した。これは、これらのマウスモデルで、結腸炎発症におけるB細胞の抑制作用を示唆する(Mizoguchi 等, IntImmunol. 12:597-605 (2000))。
CD20抗体とそれを用いた治療
リンパ球は、造血の過程で骨髄において造られる白血球細胞の多くのタイプのひとつである。Bリンパ球 (B細胞)とTリンパ球(T細胞)という2つの主な集団がリンパ球にある。本願明細書において特に興味があるリンパ球は、B細胞である。
リンパ球は、造血の過程で骨髄において造られる白血球細胞の多くのタイプのひとつである。Bリンパ球 (B細胞)とTリンパ球(T細胞)という2つの主な集団がリンパ球にある。本願明細書において特に興味があるリンパ球は、B細胞である。
B細胞は骨髄の中で成熟し、髄を離れて、その細胞表面上で抗原に結合する抗体を発現させる。ナイーブB細胞は膜結合性抗体に特異的な抗原に初めて遭遇したとき、細胞は急速に***を開始し、その子孫はメモリB細胞及び「プラズマ細胞」と呼ばれるエフェクター細胞へと分化する。メモリB細胞はより長い寿命を有して、元の親細胞と同じ特異性をもつ膜結合性抗体を発現しつづける。プラズマ細胞は膜結合性抗体を産生しないが、代わりに分泌できる型の抗体を産生する。分泌型抗体は体液性免疫の主要なエフェクター分子である。
CD20抗原(ヒトBリンパ球限定分化抗原、Bp35とも呼ばれる)は、前Bおよび成熟Bリンパ球上に位置する約35kDの分子量を有する疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine等,J.Biol.Chem.264(19):11282-11287(1989);Einfeld 等, EMBO J.7(3):711-717(1988)。抗原はB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%に現れるが(Anderson 等、Blood、63(6):1424-1433(1984))、造血幹細胞,プロB細胞,正常プラズマ細胞,又は他の正常組織では見つからない(Tedder等、J.Immunol.、135(2):973-979(1985))。CD20は、セルサイクル開始および分化(Tedder 等, 上掲、上記)の起動過程における初期ステップを調整して、おそらくカルシウムイオンチャネルとして機能する(Tedder等,J.Cell.Biochem.、14D:195(1990)。
B細胞リンパ腫ではCD20が発現するので、この抗原はこのようなリンパ腫の「ターゲティング」の候補として役立つ。本質的には、このようなターゲティングは、以下の通りに一般化されてもよい:B細胞のCD20表面抗原に特異的な抗体が、患者に投与される;これらの抗CD20抗体は、特に(表面上)正常B細胞と悪性B細胞の両方のCD20抗原と結合する;CD20表面抗原に結合する抗体は、潰瘍性B細胞の破壊および減少を導くことができる。加えて、腫瘍を破壊する能力を有する化学薬品または放射性ラベルは、該薬品が潰瘍性B細胞に特に「届けられる」ように、抗CD20抗体を活用することができる。方法にかかわりなく、主要な目的は、腫瘍を破壊することである;特異性のアプローチは、使用する特定の抗CD20抗体で決定できるので、従って、CD20抗原ターゲティングに利用できる方法はかなり変化させることができる。
リツキシマブ(リツキサン、RITUXAN(登録商標))抗体は、遺伝子改変されたキメラのマウス/ヒトモノクローナル抗体であり、CD20抗原に向かう。リツキシマブは、1998年4月7日発行の米国特許第5,736,137号(Anderson等)において、「C2B8」と呼ばれている抗体である。リツキシマブは、再発した又は難治性の低悪性度、濾胞性、CD20陽性B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療のために必要である。インビトロで、リツキシマブは相補性依存性細胞傷害活性(CDC)および抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC)を仲介すること、及びアポトーシスを誘発することが証明されている。リツキシマブと化学治療と毒素間の相乗効果もまた実験的に観察された。特に、リツキシマブは薬物抵抗性ヒトB細胞リンパ腫細胞系をドキソルビシン、CDDP、VP-16、ジフテリア毒素、そして、リシンの細胞傷害性効果に対して敏感にする(Demidem等,Cancer Chemotherapy & Radiopharmaceuticals、12(3):177-186 (1997))。生体内前臨床研究はリツキシマブがカニクイザルの末梢血、リンパ節および骨髄からB細胞を減少させることを示した(Reff等,Blood 83:435-445(1994))。
リツキシマブはまた、種々の非悪性自己免疫不全において研究され、それによればB細胞および自己抗体は疾患の病態生理に役割を果たすようである(Edwards 等,Biochem Soc. Trans.30:824-828 (2002)。リツキシマブは、例えば以下の疾患から徴候および症状を取り除く可能性があることが報告された:リウマチ様関節炎(RA)(Leandro等,Ann.Rheum.Dis.,61:883-888(2002);Edwards 等, Arthritis Rheum., 46 (Suppl. 9):S46(2002);Stahl 等, Ann.Rheum.Dis.,62(Suppl.1): OP004 (2003); Emery等,Arthritis Rheum.48(9): S439(2003)),狼瘡(Eisenberg,Arthritis.Res. Ther.5:157-159(2003);Leandro等、Arthritis Rheum.,46:2673-2677(2002); Gorman 等,Lupus,13:312-316(2004)),免疫性の血小板減少性紫斑病(D’Arena 等,Leuk. Lymphoma 44:561-562 (2003);Stasi 等,Blood,98:952-957 (2001); Saleh 等,Semin.Oncol.,27(Supp 12):99-103(2000); Zaia 等,Haematolgica,87:189-195(2002);Ratanatharathorn 等,Ann.Int.Med.,133:275-279 (2000)), 真性赤血球無形成(Auner 等, Br.J.Haematol.,116:725-728(2002)); 自己免疫性貧血症(Zaja 等,Haematologica 87:189-195(2002)(erratumappears in Haematologica 87:336(2002)),寒冷凝集素症(Layios 等,Leukemia,15:187-8(2001);Berentsen 等, Blood,103:2925-2928(2004); Berentsen等,Br.J.Haematol.,115:79-83(2001);Bauduer,Br. J. Haematol.,112:1083-1090(2001);Damiani 等,Br.J.Haematol.,114:229-234(2001)), 重度インスリン抵抗性B型症候群(Coll 等,N.Engl.J.Med.,350:310-311(2004), 混合性クリオグロブリン血症(DeVita 等,ArthritisRheum.46Suppl.9:S206/S469(2002)), 重症筋無力症(Zaja 等,Neurology,55:1062-63(2000);Wylam 等,J.Pediatr., 143:674-677 (2003)), ヴェゲナー肉芽腫症(Specks 等,Arthritis &Rheumatism 44: 2836-2840(2001)), 難治性尋常性天疱瘡(Dupuy 等,Arch Dermatol.,140:91-96(2004)), 皮膚筋炎(Levine,ArthritisRheum.,46(Suppl.9):S1299(2002)),シェーグレン症候群(Somer 等, Arthritis &Rheumatism,49:394-398(2003)), 活発型II型混合性クリオグロブリン血症(Zaja等,Blood,101:3827-3834(2003)),尋常性天疱瘡 (Dupay 等,Arch. Dermatol., 140:91-95(2004)), 自己免疫神経障害(Pestronk 等,J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry 74:485-489(2003)), 傍腫瘍性眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(Pranzatelli 等Neurology 60(Suppl.1)PO5.128:A395 (2003)),および再発寛解型多発性硬化症(RRMS)(Cross 等(要約)"Preliminary results from a phase II trial of rituximab inMS"Eighth Annual Meeting of the Americas Committees forResearch andTreatment in Multiple Sclerosis,20-21(2003))。
第II相試験(WA16291)はリツキシマブの有効性と安全性に関して、リウマチ様関節炎(RA)患者において行われ、48週の追跡データを提供した(Emery等、Arthritis Rheum,48(9):S439 (2003); Szczepanski et al. Arthritis Rheum48(9):S121(2003);Edwards 等,NEngl. J. Med. 350:2572-82 (2004))。計161人の患者は、次の4つの治療アームに均一に無作為化された:メトトレキサート、リツキシマブ単独、リツキシマブに加えてメトトレキサート、およびリツキシマブに加えてシクロホスファミド(CTX)。リツキシマブの治療法は、第1日および第15日に静注で1グラムを投与する。それらの第1回注入の間に少なくとも一つの有害事象を経験している患者は36%であり(プラセボを受けている30%の患者との比較すると)、大部分のRA患者へのリツキシマブの注入は、大部分の患者で十分に許容された。全体として、大多数の有害事象は、重症度において軽度から中程度であると考慮され、全ての治療群全体でよく平衡していた。48週間で4アーム全体では合計19の深刻な有害事象があり、それはリツキシマブ/CTXグループにおいてわずかにより頻度が高かった。感染症の発病率は、全てのグループ全体によく平衡していた。このRA患者集団の重度感染症の平均率は100患者年につき4.66であり、それは自治体を基礎する疫学研究において報告されたRA患者の病院入院を必要としている感染症の率(100患者年につき9.57)より低い(Doran 等, Arthritis Rheum.,46:2287-2293 (2002))。
リツキシマブの安全面について、少数の神経病学的障害患者においての報告は、自己免疫神経障害(Pestronk 等, 上掲)、眼球クローヌスミオクローヌス症候群(Pranzatelli 等、上掲),およびRRMS (Cross等, 上掲)を含んでおり、それは腫瘍またはRAにおいて報告されたものと類似していた。調査者が後援する進行中の試験(IST)(Cross等,上掲)において、RRMS患者は、インターフェロン-β(IFN-β)とリツキシマブまたは酢酸グラチラマーを組合せて、治療をうけた。治療をうけた10人の患者のうち1人はリツキシマブの第1回注入後、中程度の発熱および悪寒を経験し、観察のために一晩入院した。その一方で、その他の9人の患者は4回の注入の投与計画をいかなる有害事象の報告なしに完了した。
CD20抗体及びCD20結合分子に関する特許及び特許文献には、米国特許第5,776,456号、同第5,736,137号、同第5,843,439号、同第6,399,061号及び同第6,682,734号、並びに米国公開特許2002/0197255、米国公開特許2003/0021781、米国公開特許2003/0082172、米国公開特許2003/0095963、米国公開特許2003/0147885(Anderson 等);米国特許第 6,455,043号及び国際公報2000/09160(Grillo-Lopez,A.);国際公報2000/27428(Grillo-Lopez及びWhite);国際公報2000/27433及び米国公開特許2004/0213784(Grillo-Lopez及びLeonard);国際公報2000/44788(Braslawsky等);国際公報2001/10462(Rastetter,W.);国際公報01/10461(Rastetter及びWhite);国際公報2001/10460(White及びGrillo-Lopez);米国公開特許2001/0018041、米国公開特許2003/0180292、国際公報2001/34194(Hanna及びHariharan);米国公開特許2002/0006404及び国際公報2002/04021(Hanna及びHariharan);米国公開特許2002/0012665及び国際公報2001/74388及び第6,896,885号B5(Hanna,N.);米国公開特許2002/0058029(Hanna,N.);米国公開特許2003/0103971(Hariharan及びHanna);米国公開特許2005/0123540(Hanna 等);米国公開特許2002/0009444及び国際公報2001/80884(Grillo-Lopez,A.);国際公報2001/97858;米国公開特許2005/0112060、及び米国特許第6,846,476号(White,C.);米国公開特許2002/0128488及び国際公報2002/34790(Reff,M.);国際公報2002/060955(Braslawsky 等);国際公報2002/096948(Braslawsky 等);国際公報2002/079255(Reff及びDavies);米国特許第6,171,586号及び国際公報1998/56418(Lam 等);国際公報1998/58964(Raju, S.);国際公報1999/22764(Raju,S.);国際公報1999/51642、米国特許第6,194,551号、米国特許第6,242,195号、米国特許第6,528,624号及び米国特許第6,538,124号(Idusogie 等);国際公報2000/42072(Presta,L.);国際公報2000/67796(Curd 等);国際公報2001/03734(Grillo-Lopez 等);米国公開特許2002/0004587及び国際公報2001/77342(Miller及びPresta);米国公開特許2002/0197256(Grewal,I.);米国公開特許2003/0157108(Presta,L.);WO 04/056312 (Lowman 等.); US 2004/0202658 及び WO2004/091657(Benyunes, K.);WO 2005/000351 (Chan, A.); US 2005/0032130A1 (Beresini 等); US 2005/0053602A1(Brunetta, P.);米国特許第6,565,827号、同第6,090,365号、同第6,287,537号、同第6,015,542号、同第5,843,398号、及び同第5,595,721号(Kaminski 等);米国特許第 5,500,362号、同第5,677,180号、同第5,721,108号、同第6,120,767号、同第6,652,852号、同第6,893,625号(Robinson 等);米国特許第6,410,391号(Raubitschek 等);米国特許第 6,224,866号及び国際公報00/20864(Barbera-Guillem,E.);国際公報2001/13945(Barbera-Guillem,E.);国際公報2000/67795(Goldenberg);米国公開特許2003/0133930及び国際公報2000/74718(Goldenberg及びHansen);米国公開特許2003/0219433及び国際公報2003/68821(Hansen 等);国際公報2004/058298(Goldenberg及びHansen);国際公報2000/76542(Golay 等);国際公報2001/72333(Wolin及びRosenblatt);米国特許第6,368,596号(Ghetie 等);米国特許第 6,306,393号及び米国公開特許2002/0041847(Goldenberg, D.);米国公開特許2003/0026801(Weiner及びHartmann);国際公報2002/102312(Engleman,E.);米国公開特許2003/0068664(Albitar 等);国際公報2003/002607(Leung,S.);国際公報2003/049694、米国公開特許2002/0009427、及び米国公開特許2003/0185796(Wolin等);国際公報2003/061694(Sing及びSiegall);米国公開特許2003/0219818 (Bohen 等);米国公開特許2003/0219433及び国際公報2003/068821(Hansen 等);米国公開特許2003/0219818(Bohen 等);米国公開特許2002/0136719 (Shenoy 等);国際公報2004/032828及び米国公開特許2005/0180972(Wahl 等);及び国際公報2002/56910(Hayden-Ledbetter);米国公開特許2003/0219433A1 (Hansen 等);国際公報2004/035607(Teeling等);国際公開公報2004/056312(Lowman 等);米国公開特許2004/0093621 (Shitara 等);国際公報2004/103404(Watkins 等);国際公報2005/000901(Tedder 等);米国公開特許2005/0025764(Watkins 等);国際公報2005/016969および2005/0069545A1(Carr 等);国際公報2005/014618(Chang 等)が含まれる。また、米国特許第5,849,898号及び欧州特許第330,191号(Seed等);欧州特許第332,865号A2 (Meyer及びWeiss);米国特許第4,861,579号(Meyer 等); 米国公開特許2001/0056066(Bugelski 等);国際公報1995/03770(Bhat 等)も参照
。
。
リツキシマブを用いた治療に関する文献には以下がある。Perotta及びAbuel, 「Response of chronic relapsing ITP of 10 years durationto rituximab」 Abstract # 3360 Blood 10(1)(part 1-2): p.88B (1998);Perotta 等, 「Rituxanin the treatment of chronic idiopathic thrombocytopaenic purpura (ITP)」, Blood,94: 49(abstract) (1999);Matthews, R., 「Medical Heretics」New Scientist(7April, 2001);Leandro 等, 「Clinical outcome in 22patients with rheumatoidarthritis treated with B lymphocyte depletion」 Ann Rheum Dis, 上掲;Leandro 等, 「Lymphocytedepletion inrheumatoid arthritis: early evidence for safety,efficacy and doseresponse」Arthritis and Rheumatism 44(9):S370 (2001);Leandro 等,「An open studyof B lymphocyte depletion in systemic lupus erythematosus」,Arthritis andRheumatism, 46:2673-2677 (2002)、この中では2週間の期間に各患者はリツキシマブ500mgの2回投与、シクロフォスファミド750mgの2回投与、及び高用量経口コルチコステロイドを受け、この治療患者のうち2人はそれぞれ7月間と8月間で再発し、異なるプロトコルで再治療されている;「Successful long-termtreatment of systemic lupus erythematosus withrituximab maintenance therapy」 Weide等, Lupus, 12: 779-782 (2003)、この中ではある患者はリツキシマブ(375mg/m2×4回、1週間間隔で繰り返す)で治療を受け、更に5から6か月ごとにリツキシマブを適用し、次いで維持療法として3か月ごとに375mg/m2のリツキシマブ投与をした、他方、難治性SLE患者はリツキシマブで成功裏に治療され、維持療法を3か月ごとに受けている、両患者はリツキシマブ療法によく応答している;Edwards及びCambridge,「Sustained improvement in rheumatoid arthritis followinga protocol designed todeplete B lymphocytes」 Rheumatology 40:205-211(2001);Cambridge 等, 「Blymphocyte depletion in patients with rheumatoid arthritis: serial studies of immunologicalparameters」Arthritis Rheum.,46(Suppl. 9): S1350 (2002);Cambridge 等,「Serologicchanges following B lymphocyte depletion therapy for rheumatoid arthritis」ArthritisRheum.,48:2146-2154(2003);Edwards 等, 「Efficacy ofB-cell-targeted therapy with rituximab in patients with rheumatoid arthritis」NEngl.J. Med.350:2572-82 (2004);Pavelka 等,Ann.Rheum.Dis.63:(S1):289-90(2004);Emery 等, Arthritis Rheum.50 (S9):S659(2004);Levine及びPestronk,「IgMantibody-relatedpolyneuropathies:B-cell depletion chemotherapy using rituximab」Neurology 52:1701-1704 (1999);DeVita 等, 「Efficacy of selective B cell blockade in the treatmentof rheumatoidarthritis」 Arthritis &Rheum 46:2029-2033 (2002);Hidashida 等「Treatmentof DMARD-refractory rheumatoid arthritis with rituximab.」 the Annual ScientificMeeting of the American College ofRheumatology; Oct 24-29;New Orleans, LA2002に公開;Tuscano,J. 「Successful treatment of infliximab-refractory rheumatoid arthritiswith rituximab」 the Annual Scientific Meeting of the American College ofRheumatology; Oct24-29; New Orleans, LA 2002に公開そしてTuscano,ArthritisRheum.46:3420(2002)に出版;「Pathogenic roles of B cellsin human autoimmunity;insightsfromthe clinic」 Martin and Chan,Immunity 20:517-527(2004);Silverman及びWeisman,「Rituximab Therapyand Autoimmune Disorders,Prospects for Anti-B Cell Therapy」,Arthritis and Rheumatism,48:1484-1492(2003);Kazkaz及びIsenberg, 「Anti B celltherapy (rituximab) in the treatment of autoimmune diseases」, Current opinionin pharmacology, 4: 398-402(2004);Virgolini and Vanda, 「Rituximab inautoimmune diseases」, Biomedicine &pharmacotherapy,58: 299-309(2004);Klemmer等,「Treatment of antibody mediated autoimmune disorders with a AntiCD20monoclonal antibodyRituximab」,Arthritis And Rheumatism , 48: (9) 9,S (SEP),page: S624-S624 (2003);Kneitz等,「Effective B cell depletion with rituximab inthe treatment of autoimmune diseases」,Immunobiology,206:519-527 (2002);Arzoo等, 「Treatment of refractory antibody mediated autoimmune disorders with ananti-CD20 monoclonal antibody (rituximab)」Annals of the Rheumatic Diseases, 61(10), p922-4(2002) Comment in Ann Rheum Dis. 61:863-866(2002);「FutureStrategies in Immunotherapy」Lake及びDionne,Burger's Medicinal Chemistry andDrug Discovery(2003 by JohnWiley&Sons,Inc.)Article Online PostingDate: January 15, 2003 (Chapter2「Antibody-Directed Immunotherapy」);Liang andTedder,Wiley Encyclopedia of Molecular Medicine,Section: CD20 as anImmunotherapy Target, 文献オンライン登記日:2002年1月15日表題「CD20」;「Monoclonal Antibodies toHuman Cell Surface Antigens」と題するAppendix 4A Stockinger 等,編集:Coligan 等,inCurrent Protocolsin Immunology (2003 John Wiley &Sons,Inc) オンライン登記日:2003年3月;印刷物出版日:2003年2月;Penichet及びMorrison,「CD Antibodies/molecules:Definition;Antibody Engineering」 Wiley Encyclopedia of Molecular MedicineSection:Chimeric, ヒト化 and Human Antibodies;オンライン登記2002年1月15日も参照。Specks等「Response of Wegener's granulomatosis to anti-CD20 chimeric monoclonal antibody therapy」Arthritis &Rheumatism44:2836-2840(2001);オンラインによる要旨提出および招待Koegh等「Rituximab for Remission Induction in Severe ANCA-Associated Vasculitis:Report of a Prospective Open-Label Pilot Trial in 10 Patients」、米国リウマチ学会、セッション番号:28-100、セッションタイトル:Vasculitis、セッションタイプ:ACR Concurrent Session、第一カテゴリー:28Vasculitis、セッション 10/18/2004(http://www.abstractsonline.com/viewer/SearchResults.asp));Eriksson「Short-term outcome and safety in 5 patients withANCA-positive vasculitis treated with rituximab」Kidney and Blood Pressure Research, 26: 294(2003); Jayne等、「B-cell depletion with rituximab for refractory vasculitis」Kidney and Blood Pressure Research, 26: 294 (2003); Jayne、ポスター88(第11回国際VasculitisおよびANCAワークショップ)、2003American Society of Nephrology; Stone と Specks、「Rituximab Therapy for the Induction of Remission and Tolerance」ANCA-associated Vasculitis, The Clinical Trial Research Summary of the 2002-2003 Immune Tolerance Network(http://www.immunetolerance.org/research/autoimmune/trials/stone.html;)及び、Leandro等、「B cell repopulation occurs mainly fromnaive B cells inpatient with rheumatoid arthritis and systemic lupus erythematosus」Arthritis Rheum., 48 (Suppl 9):S1160(2003)。
(発明の概要)
第1の態様において、本発明はヒト患者の中程度から重度の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、該抗体の投与により、臨床効果または疾患緩解を生じる方法に関する。
別の態様においては、本発明は活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、該患者にCD20抗体を1または2回だけ投与することを含んで成り、そこにおいて疾患緩解または臨床効果は該CD20抗体の該1または2回の投与に応じて成し遂げられる方法に関する。
更なる本発明は、活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、さらにアミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6‐メルカプトプリン(6‐MP)及びアザチオプリンからなる群から選択される第2医薬の有効量が該患者に投与されることを含んで成る方法を提供する。
また更なる態様において、本発明は、活動期の潰瘍性大腸炎(UC)であるヒト患者の疾患活性インデックス(DAI)スコアを減らす方法であって、CD20抗体を患者に対してDAIスコアを減らすために有効量を投与することから成る方法に関する。
また更なる態様において、本発明は、以下を含んでなる製造品である:
i. CD20抗体を含んで成る容器;及び、
ii. ヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療するための指示が書かれたパッケージ内の挿入物であって、該指示が該CD20抗体の有効量が該ヒト患者に投与されることを示すパッケージ内の挿入物。
第1の態様において、本発明はヒト患者の中程度から重度の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、該抗体の投与により、臨床効果または疾患緩解を生じる方法に関する。
別の態様においては、本発明は活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、該患者にCD20抗体を1または2回だけ投与することを含んで成り、そこにおいて疾患緩解または臨床効果は該CD20抗体の該1または2回の投与に応じて成し遂げられる方法に関する。
更なる本発明は、活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、さらにアミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6‐メルカプトプリン(6‐MP)及びアザチオプリンからなる群から選択される第2医薬の有効量が該患者に投与されることを含んで成る方法を提供する。
また更なる態様において、本発明は、活動期の潰瘍性大腸炎(UC)であるヒト患者の疾患活性インデックス(DAI)スコアを減らす方法であって、CD20抗体を患者に対してDAIスコアを減らすために有効量を投与することから成る方法に関する。
また更なる態様において、本発明は、以下を含んでなる製造品である:
i. CD20抗体を含んで成る容器;及び、
ii. ヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療するための指示が書かれたパッケージ内の挿入物であって、該指示が該CD20抗体の有効量が該ヒト患者に投与されることを示すパッケージ内の挿入物。
(発明の詳細な説明)
I.定義
「炎症性腸疾患」または「IBD」は腸の炎症を引き起こす疾患群の名前であり、一般に腹部痙攣、腹痛、下痢、体重減少及び腸出血を含む症状となって現れる。IBDの主病状は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病である。
I.定義
「炎症性腸疾患」または「IBD」は腸の炎症を引き起こす疾患群の名前であり、一般に腹部痙攣、腹痛、下痢、体重減少及び腸出血を含む症状となって現れる。IBDの主病状は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病である。
「潰瘍性大腸炎」または「UC」は、血性下痢により特徴づけられる大腸および直腸の慢性、突発性、炎症性病気である。潰瘍性大腸炎は、結腸粘膜の慢性炎症によって特徴づけられて、部位により分類されることがある:「直腸炎」は直腸だけを含む、「S字結腸炎」は直腸およびS字結腸を襲う、「左側大腸炎」は大腸の左側全てを含む、「汎大腸炎」は結腸の全てが炎症になる。
「クローン病」(「限局性腸炎」とも呼ばれている)は、消化管のあらゆる部分をも襲うことがあるが、最も一般的には回腸(小腸と大腸が接する領域)に起こる慢性自己免疫疾患である。クローン病は、潰瘍性大腸炎とは対照的に、腸壁の全ての層を通じて広がっていて、領域のリンパ節とともに腸間膜を含んでいる慢性炎症によって特徴づけられる。小腸または結腸が含まれるか否かにかかわらず、基本的な病理学的処置は同じである。
潰瘍性大腸炎およびクローン病は、90%以上の症例について、臨床的に、内視鏡で、病理学的に、および血清学的にどちらであるか区別することができる;残りは、不確定のIBDとみなされる(Harrison’s Principles of Internal medicine, 第12版、1271頁、(1991))。
「中程度から重度の」IBDは、患者の疾患の徴候または症状が軽度よりも強いIBDである。このような患者は、熟練した胃腸病学者によって識別されうる。中程度から重度のIBDを有する患者はスクリーニング前2年以内にUCのため経口コルチコステロイドで治療されたか、および/または、治療強度が少なくとも2週間持続して20mg/日のプレドニゾン等価量以上であってもよい。このような患者は、ステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性であることがある。例えば、中程度から重度のUC患者はDAIスコアに基づいて選ばれてもよく、DAIスコアが6以上、直腸出血スコア2以上、および/またはS字結腸鏡検査スコア2以上は、患者が中程度から重度であること示す。あるいは、または加えて、Truelove と Witts(Br Med J. 2:1041-1048(1955):下記の表1を参照)に記載の軽度、中程度、および重度の診断基準は、このような患者を見分けることに使えるであろう。劇症型または中毒性大腸炎である患者には、通常、日に10回以上の便通、連続出血、腹部膨張と圧通、および浮腫とおそらく腸拡大の放射線学的証拠がある。
本願明細書において「患者」は、ヒト患者である。
「活動期の」IBDである患者は、スクリーニング時または最初の治療時にIBDの少なくとも一つの症状を経験している。
「ステロイド抵抗性」IBDは、ステロイドがIBD患者に投与されている場合であっても、進行するか、または悪化するIBDである。
「ステロイド依存性」IBDの患者は、ステロイド使用に依存していて、症状が持続している為にステロイド投与を漸減することまたは使用をやめることが出来ない。
IBDの「症状」は,IBD患者および徴候のある者が経験する、病的な現象または構造、機能または知覚の常態からの逸脱である。
「活動期の」IBDである患者は、スクリーニング時または最初の治療時にIBDの少なくとも一つの症状を経験している。
「ステロイド抵抗性」IBDは、ステロイドがIBD患者に投与されている場合であっても、進行するか、または悪化するIBDである。
「ステロイド依存性」IBDの患者は、ステロイド使用に依存していて、症状が持続している為にステロイド投与を漸減することまたは使用をやめることが出来ない。
IBDの「症状」は,IBD患者および徴候のある者が経験する、病的な現象または構造、機能または知覚の常態からの逸脱である。
「粘膜」は特定の器官および消化管を含む全身にわたる体腔に沿って並ぶ湿った組織である。粘膜に沿った腺は、粘液(濃い体液)を分泌する。
「結腸」は、盲腸から直腸に及ぶ大腸の部分である。
「結腸」粘膜は、結腸に沿って並ぶ粘膜である。
「パイエル板」は、全身、特に消化管及び呼吸管の粘膜内面に見られる集合リンパ小胞である。
「疾患緩解」によって、実質的に疾患の症状の所見がないことを意味する。緩解は、アンタゴニストまたは抗体を用いた治療開始からまたは初回投与から約8週以内のような具体的な期間内で成し遂げられることがある。また、緩解は例えば24週間以上または48週間以上のように、しばらくの間継続されることがある。疾患緩解はS字結腸鏡検査スコア0または1、および/または直腸出血スコア0として定義されることもある。
「結腸」は、盲腸から直腸に及ぶ大腸の部分である。
「結腸」粘膜は、結腸に沿って並ぶ粘膜である。
「パイエル板」は、全身、特に消化管及び呼吸管の粘膜内面に見られる集合リンパ小胞である。
「疾患緩解」によって、実質的に疾患の症状の所見がないことを意味する。緩解は、アンタゴニストまたは抗体を用いた治療開始からまたは初回投与から約8週以内のような具体的な期間内で成し遂げられることがある。また、緩解は例えば24週間以上または48週間以上のように、しばらくの間継続されることがある。疾患緩解はS字結腸鏡検査スコア0または1、および/または直腸出血スコア0として定義されることもある。
「S字結腸鏡検査」は、S字結腸の内部を、内視鏡で検査する。
「S字結腸鏡検査スコア」は、S字結腸鏡検査に基づいて臨床医によって割り当てられるスコアを指す。好適なS字結腸鏡検査スコアリングシステムは、以下の通りである:
0=正常であるか不活発な疾患
1=軽度(紅斑、血管走行の減少、軽度の脆さ)
2=中程度(顕著な紅斑、血管走行の欠如、脆さ、糜爛)
3=重度(自発性出血、潰瘍化)
「S字結腸鏡検査スコア」は、S字結腸鏡検査に基づいて臨床医によって割り当てられるスコアを指す。好適なS字結腸鏡検査スコアリングシステムは、以下の通りである:
0=正常であるか不活発な疾患
1=軽度(紅斑、血管走行の減少、軽度の脆さ)
2=中程度(顕著な紅斑、血管走行の欠如、脆さ、糜爛)
3=重度(自発性出血、潰瘍化)
「直腸出血」は、直腸におけるまたは直腸からのあらゆる出血を指す。
「直腸出血スコア」は、直腸出血があれば、その程度に割り当てられるスコアまたは等級である。日単位の出血スコアは、その日の最も重度の出血を意味する。好適な直腸出血スコアリングシムテムは、以下の通りである。
0=出血なし
1=半分より少ない排便時に、血液のスジがある
2=ほとんどの排便時に、明らかな血液がある
3=血液だけが出る
「直腸出血スコア」は、直腸出血があれば、その程度に割り当てられるスコアまたは等級である。日単位の出血スコアは、その日の最も重度の出血を意味する。好適な直腸出血スコアリングシムテムは、以下の通りである。
0=出血なし
1=半分より少ない排便時に、血液のスジがある
2=ほとんどの排便時に、明らかな血液がある
3=血液だけが出る
「臨床効果」をもって、疾患の症状の改善を意味する。臨床効果は、アンタゴニストまたは抗体を用いた治療開始から、または初回投与から約8週以内のような、具体的な期間内で成し遂げられることがある。臨床効果は、また、例えば24週間以上または48週間以上のように、しばらくの間持続されることがある。臨床効果は、疾患活性インデックス(DAI)スコアの減少、例えばDAIスコアが3ポイント以上減少することによって評価されてもよい。
「疾患活性インデックス(DAI)」スコアリングシステムは、量的にUC活性を評価する方法である。好適なDAIスコアリングシステムは、下記の表2に示される。
「疾患活性インデックス(DAI)」スコアリングシステムは、量的にUC活性を評価する方法である。好適なDAIスコアリングシステムは、下記の表2に示される。
表2
UC活性の評価のためのDAIスコアリングシステム
排便回数(各々の患者は、排便回数の異常の程度を証明するために、彼(女)の自身の制御で行う)
0 =正常な排便回数の患者
1 =正常な排便回数より1-2回多い
2 =正常な排便回数より3-4回多い
3 =正常な排便回数より5回以上多い
UC活性の評価のためのDAIスコアリングシステム
排便回数(各々の患者は、排便回数の異常の程度を証明するために、彼(女)の自身の制御で行う)
0 =正常な排便回数の患者
1 =正常な排便回数より1-2回多い
2 =正常な排便回数より3-4回多い
3 =正常な排便回数より5回以上多い
直腸出血(その日の最も重度の出血を意味する日単位の出血スコア)
0 =出血なし
1 =半分より少ない排便時に、血液のスジがある
2 =ほとんどの排便時に、明らかな血液がある
3 =血液だけが出る
0 =出血なし
1 =半分より少ない排便時に、血液のスジがある
2 =ほとんどの排便時に、明らかな血液がある
3 =血液だけが出る
可動プロトS字結腸鏡検査の所見
0=正常であるか不活発な疾患
1=軽度(紅斑、血管走行の減少、軽度の脆さ)
2=中程度(顕著な紅斑、血管走行の欠如、脆さ、糜爛)
3=重度(自発性出血、潰瘍化)
0=正常であるか不活発な疾患
1=軽度(紅斑、血管走行の減少、軽度の脆さ)
2=中程度(顕著な紅斑、血管走行の欠如、脆さ、糜爛)
3=重度(自発性出血、潰瘍化)
医師のグローバルな評価(次の3つの他の基準を認める:腹部不快感の患者日記、健康状態の全般的感覚、および身体的所見と患者の動作状態のような他の診察)
0 =正常
1 =軽度
2 =中程度
3 =重度
0 =正常
1 =軽度
2 =中程度
3 =重度
「自己抗体」は、患者で生じた、患者の自身の抗原に対する抗体である。
「トロポミオシン」は、筋肉から抽出される繊維様タンパク質である。8つのヒト・トロポミオシン・アイソフォームが知られている。結腸上皮細胞において、ヒト・トロポミオシン・アイソフォーム5(hTM5)は、支配的なアイソフォームであり、アイソフォーム4(hTM4)の量は少ない。
「抗hTM5抗体」をもって、患者で生じた、その患者のhTM5に対して向かう自己抗体を意味する。
「核周辺型抗好中球細胞質抗体 (p−ANCA)」は、患者で生じた、その患者の好中性白血球の構成要素に対する自己抗体を指す。「核周辺型」はこの種の自己抗体の染色パターンを指す。
「非定型」自己抗体濃度をもって、正常濃度を上回る該自己抗体の濃度を意味する。該正常なまたは典型的な自己抗体濃度は、正常な患者またはIBDで苦しんでいない患者の結腸組織または結腸粘膜で見つかる濃度であってもよい。
「B細胞」は、骨髄の中で成熟するリンパ球であって、ナイーブB細胞、メモリB細胞またはエフェクターB細胞(プラズマ細胞)を含む。本願においてB細胞は、正常なまたは非悪性B細胞であってもよい。
「トロポミオシン」は、筋肉から抽出される繊維様タンパク質である。8つのヒト・トロポミオシン・アイソフォームが知られている。結腸上皮細胞において、ヒト・トロポミオシン・アイソフォーム5(hTM5)は、支配的なアイソフォームであり、アイソフォーム4(hTM4)の量は少ない。
「抗hTM5抗体」をもって、患者で生じた、その患者のhTM5に対して向かう自己抗体を意味する。
「核周辺型抗好中球細胞質抗体 (p−ANCA)」は、患者で生じた、その患者の好中性白血球の構成要素に対する自己抗体を指す。「核周辺型」はこの種の自己抗体の染色パターンを指す。
「非定型」自己抗体濃度をもって、正常濃度を上回る該自己抗体の濃度を意味する。該正常なまたは典型的な自己抗体濃度は、正常な患者またはIBDで苦しんでいない患者の結腸組織または結腸粘膜で見つかる濃度であってもよい。
「B細胞」は、骨髄の中で成熟するリンパ球であって、ナイーブB細胞、メモリB細胞またはエフェクターB細胞(プラズマ細胞)を含む。本願においてB細胞は、正常なまたは非悪性B細胞であってもよい。
「B細胞表面マーカー」または「B細胞表面抗原」は、本願において結合すべきアンタゴニストまたは抗体の標的となることができるB細胞の表面に発現する抗原である。例示的B-細胞表面マーカーはCD10,CD19,CD20,CD21,CD22,CD23,CD24,CD37,CD40,CD53, CD72, CD73, CD74,CDw75,CDw76,CD77,CDw78,CD79a,CD79b, CD80,CD81,CD82, CD83,CDw84, CD85 およびCD86白血球面マーカー (詳細はThe Leukocyte Antigen Facts Book, 第2版.1997,Barclay等編集. Academic Press, Harcourt Brace &Co., New Yorkを参照)である。他のB細胞表面マーカーは、RP105、FcRH2、B細胞CR2、CCR6、P2X5、HLA−DOB、CXCR5、FCER2、BR3、Btig、NAG14、SLGC16270、FcRH1、IRTA2、ATWD578、FcRH3、IRTA1、FcRH6、BCMAおよび239287を含む。特に興味深いB細胞表面マーカーは、患者の他の非B細胞マーカーと比較してB細胞に優先して発現し、前駆体B細胞および成熟B細胞の両方に発現することがある
「CD20」抗原または「CD20」は、約35kDaの、非グリコシル化リン酸化タンパク質で、末梢血またはリンパ系器官の90%を超えるB細胞の表面に見られる。CD20は、正常B細胞のほかに悪性B細胞の両方において存在するが、幹細胞では発現しない。文献に見られるCD20の他の名称には、「Bリンパ球限定抗原(B-lymphocyte-restricted antigen)」及び「Bp35」がある。CD20抗原は、例えばClark 等(Proc. Natl. Acad.Sci.(USA)82:1766(1985))に記載されている。
「B細胞表面マーカーアンタゴニスト」は、B細胞上のB細胞表面マーカーと結合すると、即座に、患者のB細胞を破壊または減少させ、および/または、例えばB細胞が誘発する体液の反応を減らすかまたは予防することによって、一つ以上のB細胞機能を妨害する分子である。アンタゴニストは、好ましくは、それによって治療される患者のB細胞を減少させることができる(すなわち、循環するB細胞濃度を減らす)。該減少は、この種の抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害活性(CDC)、B細胞増殖の抑制および/またはB細胞死の誘導(例えばアポトーシスによって)のようにさまざまな機構を経て成し遂げられてもよい。本発明の範囲内に含まれるアンタゴニストは、抗体、合成または天然配列ペプチド、イムノアドヘシン、およびCD20のようなB細胞表面マーカーと結合する小分子アンタゴニストで、任意に細胞障害活性剤に接合または結合されたものを含む。好適なアンタゴニストは、抗体を含んでなる。
「CD20抗体アンタゴニスト」は、本願明細書において、B細胞上のCD20と結合すると、即座に、患者のB細胞を破壊または減少させて、および/または、例えばB細胞が誘発する体液の反応を減らすかまたは予防することによって、一つ以上のB細胞機能を妨害する抗体である。抗体アンタゴニストは、好ましくは、それによって治療される患者のB細胞を減少させることが可能である(すなわち、循環するB細胞濃度を減らす)。該減少は、この種の抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害活性(CDC)、B細胞増殖の抑制および/またはB細胞死の誘導(例えばアポトーシスによって)のようにさまざまな機構を経て成し遂げられることができる。
用語「抗体」は、本願明細書において最も広義に使われ、具体的にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全抗体から形成されるマルチ特異性抗体(例えば二重特異性抗体)および抗体断片を含み、それらが所望の生物学的活性を呈するものでさえあればよい。
用語「抗体」は、本願明細書において最も広義に使われ、具体的にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全抗体から形成されるマルチ特異性抗体(例えば二重特異性抗体)および抗体断片を含み、それらが所望の生物学的活性を呈するものでさえあればよい。
「抗体断片」は、完全抗体の一部分を含み、好ましくはそれの抗原結合領域を含む。
抗体断片の例には、Fab, Fab’,F(ab’)2, およびFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;および、抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体が含まれる。
「不完全抗体」は、本願明細書において、2つの抗原結合領域とFc 領域から成るものである。好ましくは、完全な抗体は、機能的なFc領域がある。
抗体断片の例には、Fab, Fab’,F(ab’)2, およびFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;および、抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体が含まれる。
「不完全抗体」は、本願明細書において、2つの抗原結合領域とFc 領域から成るものである。好ましくは、完全な抗体は、機能的なFc領域がある。
CD20抗体の例には以下のものが含まれる:現在では「リツキシマブ」(「リツキサン(登録商標)」)と呼称される「C2B8」(米国特許第5,736,137号);IDEC Pharmaceuticalsから市販されている);「Y2B8」又は「Ibritumomab Tiuxetan」ゼバリン(登録商標)と命名されたイットリウム-[90]-標識2B8マウス抗体、(米国特許第5,736,137号、1993年6月22日に受託番号HB11388としてATCCに寄託された2B8);マウスIgG2a「B1」は「トシツモマブ(Tositumomab)」とも呼ばれていて、任意に131Iで標識された「131I-B1」又は「ヨウ素I131トシツモマブ(Tositumomab)」抗体(BEXXAR(登録商標))がCorixaから市販されている(参照、米国特許第5,595,721号);マウスモノクローナル抗体「1F5」(Press等Blood 69(2):584-591 (1987)及びそれらの変異体である「フレームワークパッチ」又はヒト化1F5(国際公報03/002607,Leung,S;ATCC寄託番号HB-96450)を含む;マウス2H7及びキメラ2H7抗体(米国特許第5,677,180号);ヒト化2H7(国際公報2004/056312(Lowman 等)及び以下に挙げるもの);B細胞の細胞膜のCD20分子を標的とした完全ヒト、高親和性抗体2F2(HuMax-CD20)(Genmab, Denmark;例としてGlennie及びvan de Winkel,Drug Discovery Today 8: 503-510 (2003)とCragg 等, Blood 101:1045-1052(2003)を参照);国際公報2004/035607およびUS2004/0167319 (Teeling 等)に記載のヒトモノクローナル抗体;HB20-3,HB20-4,HB20-25,およびMB20-11のようなCD20に結合するモノクローナル抗体および抗原結合断片(WO2005/000901,Tedder 等);WO 2004/103404 および US2005/0025764(Watkins 等,Eli Lilly/Applied Molecular Evolution、AME)に記載のAME33抗体;US 2005/0025764 (Watkins 等)に記載されているようなCD20結合分子;キメラ又はヒト化A20抗体(それぞれcA20、hA20)などのA20抗体又はその変異形(米国公開番号2003/0219433、Immunomedics);US 2005/0069545A1および WO2005/16969 (Carr 等)に記載のCD20結合抗体でエピトープ減少型のLeu-16, 1H4,または2B8を含み、任意でIL-2と結合させたもの;CD22およびCD20と結合する双特異的抗体で例としてhLL2xhA20がある(WO2005/14618,Chang 等);及びInternational Leukocyte Typing Workshopより入手のモノクローナル抗体L27、G28-2、93-1B3、B-C1又はNU-B2(Valentine等,Leukocyte Typing III (McMichael, 編集, 440頁, Oxford University Press (1987));1H4(Haisma等Blood 92:184(1998))。本願明細書において好適なCD20抗体は、キメラCD20抗体、ヒト化CD20抗体、又はヒトCD20抗体であり、より好ましくは、リツキシマブ、ヒト化2H7、2F2(Hu−Max−CD20)ヒトCD20抗体(Genmab)およびヒト化A20抗体(Immunomedics)である。
「リツキシマブ」又は「リツキサン(登録商標)」なる用語は本願明細書において、CD20に対する遺伝学的に改変されたキメラ・マウス/ヒト・モノクローナル抗体であり、米国特許第5,736,137号の「C2B8」を指し、CD20結合能力を保持する該抗体断片を含んだものである。
単に本願明細書の目的では、および特に明示しない限り、「ヒト化2H7」抗体はマウス2H7抗体のヒト化変異体であり、該抗体は成体内で循環するB細胞を減らす効果がある。
単に本願明細書の目的では、および特に明示しない限り、「ヒト化2H7」抗体はマウス2H7抗体のヒト化変異体であり、該抗体は成体内で循環するB細胞を減らす効果がある。
ある実施例において、ヒト化2H7抗体は、以下のCDR配列のうち1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを含んでなる:
CDR L1配列RASSSVSYXH(XがMまたはL)(配列番号21)、例えば配列番号4(図1A)、
CDR L2配列を含む配列番号5(図1A)、
CDR L3配列QQWXFNPPT(XがSまたはA)(配列番号22)、例えば配列番号6(図1A)、
CDR H1配列を含む配列番号10(図1B)、
CDR H2配列AIYPGNGXTSYNQKFKG(XがDまたはA)(配列番号23)、例えば配列番号11(図1B)、
およびCDR H3配列VVYYSXXYWYFDV(6番目のXがN、A、Y、WまたはD、および7番目のXがSまたはR)(配列番号24)、例えば配列番号12(図1B)。
CDR L1配列RASSSVSYXH(XがMまたはL)(配列番号21)、例えば配列番号4(図1A)、
CDR L2配列を含む配列番号5(図1A)、
CDR L3配列QQWXFNPPT(XがSまたはA)(配列番号22)、例えば配列番号6(図1A)、
CDR H1配列を含む配列番号10(図1B)、
CDR H2配列AIYPGNGXTSYNQKFKG(XがDまたはA)(配列番号23)、例えば配列番号11(図1B)、
およびCDR H3配列VVYYSXXYWYFDV(6番目のXがN、A、Y、WまたはD、および7番目のXがSまたはR)(配列番号24)、例えば配列番号12(図1B)。
上記のCDR配列は通常、実質的なヒト軽鎖カッパ・サブグループI(VL6I)のヒトコンセンサスFR残基および実質的なヒト重鎖サブグループIII(VHIII)のヒトコンセンサスFR残基のようなヒトの可変軽鎖および可変重鎖フレームワーク配列に存在する。WO 2004/056312(Lowman 等)を参照。
可変的な重鎖領域はヒトIgG鎖定常領域に取り付けられることができる。そこにおいて、該領域は、例えば、IgG1またはIgG3であって天然配列および変異体の定常領域を含む。
可変的な重鎖領域はヒトIgG鎖定常領域に取り付けられることができる。そこにおいて、該領域は、例えば、IgG1またはIgG3であって天然配列および変異体の定常領域を含む。
好ましい実施態様において、該抗体は配列番号8の可変重鎖ドメイン配列を含み(図1Bに示すv16)、任意にまた配列番号2の可変軽鎖ドメイン配列を含み(図1Aに示すv16)、任意に可変重鎖ドメインの56番目、100番目、および/または100a番目において一つ以上のアミノ酸置換(例えばD56A、N100AまたはN100Y)と,可変軽鎖ドメインの32番目および/または92番目にアミノ酸置換(例えばM32Lおよび/またはS92A)を含む。 好ましくは、抗体は配列番号13または15の軽鎖アミノ酸および配列番号14、16、17または20の重鎖アミノ酸配列を含んで成る完全抗体である。
好適なヒト化2H7抗体は、ocrelizumab(ジェネンテック)である。
好適なヒト化2H7抗体は、ocrelizumab(ジェネンテック)である。
本願明細書において抗体は、ADCC活性を改良するような少なくとも一つのアミノ酸置換をFc領域に含んでもよい。それは、重鎖残基のEu番号付けによる位置298、333および334における、好ましくはS298A、E333AおよびK334Aのようなアミノ酸置換である。また、米国特許第6,737,056B1号(プレスタ)を参照。
これらの抗体のいずれかは、FcRn結合性または血清半減期を改善する少なくとも一つの置換をFc領域に含むことができる。例えば重鎖位置434番目の置換をもつN434Wである。また、米国特許第6,737,056B1号(プレスタ)を参照。
これらの抗体のいずれもが、CDC活性を高める少なくとも一つのアミノ酸置換を、Fc領域に更に含むことができる。例えば、少なくとも位置326番目の置換を含む、好ましくはK326AまたはK326Wである。また、米国特許第6,528,624B1号(Idusogie等)を参照。
これらの抗体のいずれかは、FcRn結合性または血清半減期を改善する少なくとも一つの置換をFc領域に含むことができる。例えば重鎖位置434番目の置換をもつN434Wである。また、米国特許第6,737,056B1号(プレスタ)を参照。
これらの抗体のいずれもが、CDC活性を高める少なくとも一つのアミノ酸置換を、Fc領域に更に含むことができる。例えば、少なくとも位置326番目の置換を含む、好ましくはK326AまたはK326Wである。また、米国特許第6,528,624B1号(Idusogie等)を参照。
いくつかの好適なヒト化2H7変異体は、配列番号2の可変軽ドメインおよび配列番号8の可変重鎖ドメインを含んで成り、Fc領域(あるならば)における置換があるものとないものを含み、配列番号8において可変重鎖ドメインに代わりとしてN100A;またはD56A及びN100A;またはD56A、N100Y及びS100aRと、配列番号2において可変軽鎖ドメインに代わりとしてM32L;またはS92A;またはM32LおよびS92Aを有するものを含んでなる。
2H7.v16の可変重鎖ドメインのM34は、抗体安定性のポテンシャル・ソースと確認されおり、置換の潜在的候補である。
本発明のいくつかのさまざまな好適な様態の概要として、2H7.v16に基づく変異体の可変領域が下記の表3に示すアミノ酸置換の位置を除くv16のアミノ酸配列を含んでなる。特に明記しない限り、2H7変異体は、v16のそれと同じ軽鎖を有する。
2H7.v16の可変重鎖ドメインのM34は、抗体安定性のポテンシャル・ソースと確認されおり、置換の潜在的候補である。
本発明のいくつかのさまざまな好適な様態の概要として、2H7.v16に基づく変異体の可変領域が下記の表3に示すアミノ酸置換の位置を除くv16のアミノ酸配列を含んでなる。特に明記しない限り、2H7変異体は、v16のそれと同じ軽鎖を有する。
好適なヒト化2H7の一つは、2H7.v16可変軽鎖ドメイン配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKR (配列番号2);
及び2H7.v16可変重鎖ドメイン配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSS (配列番号8)
を含んで成る。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKR (配列番号2);
及び2H7.v16可変重鎖ドメイン配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSS (配列番号8)
を含んで成る。
上記ヒト化2H7.v16抗体は完全抗体である場合、軽鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号13);
及び配列番号14の重鎖アミノ酸配列、または:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG (配列番号17)、
を含んでもよい。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号13);
及び配列番号14の重鎖アミノ酸配列、または:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG (配列番号17)、
を含んでもよい。
別の好適なヒト化2H7抗体は、2H7.v511可変軽鎖ドメイン配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKR (配列番号18)
及び2H7.v511可変重鎖ドメイン配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSS (配列番号19)
を含んでなる。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKR (配列番号18)
及び2H7.v511可変重鎖ドメイン配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSS (配列番号19)
を含んでなる。
上記ヒト化2H7.v511抗体は完全抗体である場合、軽鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号15)
及び配列番号16の重鎖アミノ酸配列、または:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNAALPAPIAATISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG (配列番号20)
を含んでもよい。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号15)
及び配列番号16の重鎖アミノ酸配列、または:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNAALPAPIAATISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG (配列番号20)
を含んでもよい。
「成長抑制」抗体は、抗体が結合する抗原を発現している細胞の増殖を予防するかまたは減らすものである。例えば、抗体は、生体外でおよび/または生体内で、B細胞の増殖を予防することができるかまたは減らすことができる。
「アポトーシスを誘発する」抗体は、例えばB細胞の中では、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の膨張、細胞断片化および/または膜小胞の形成(アポトーシス体と呼ばれる)ような標準的なアポトーシスアッセイによって決定されるプログラムされた細胞死を誘発するものである。
「アポトーシスを誘発する」抗体は、例えばB細胞の中では、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の膨張、細胞断片化および/または膜小胞の形成(アポトーシス体と呼ばれる)ような標準的なアポトーシスアッセイによって決定されるプログラムされた細胞死を誘発するものである。
「天然の抗体」は通常約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。そして、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)から成る。各々の軽鎖は1つの共有結合のジスルフィド結合によって重鎖に連結され、その一方で、ジスルフィド連結の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の中で変化する。各々の重鎖と軽鎖も、規則正しく間隔を置いた鎖間のジスルファイド架橋をもつ。各々の重鎖は一端に、可変ドメイン(VH)をもち、多数の定常ドメインがつながる。各々の軽鎖は一端に可変ドメイン(VL)及びもう一方の端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1定常ドメインに並んでおり、軽鎖可変ドメインは重鎖可変ドメインに並んでいる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖可変ドメインの間の接点を形成すると考えられている。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方の高頻度可変領域又は相補性決定領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖の高頻度可変領域は、FRによって近接して結合され、他の鎖の高頻度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(カバットら,Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Bethesda, MD (公衆衛生局、国立衛生研究所、1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、抗体依存性細胞媒介性障害活性(ADCC)への抗体の関与などの種々のエフェクター機能を表す。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')2断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この配置において、各可変ドメインの3つの高頻度可変領域は相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの高頻度可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの高頻度可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の何れかに分類される。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、(もしあるならば)抗体は異なるクラスに分類される。無傷の抗体には5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等のサブクラス(アイソタイプ)に分かれる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られている。
特に明示しない限り本願明細書において、免疫グロブリン重鎖の残基の番号付けは、カバット(Kabat)等(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Bethesda, MD (公衆衛生局、国立衛生研究所、1991))に記載されるように、EUインデックスのものであり、本願明細書において特に参照文献とする。「カバットに記載のEUインデックス」は、ヒトIgG1EU抗体の残基番号付けを指す。
本願明細書において「Fc領域」なる用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用い、天然配列Fc領域および変異体Fc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は異なるかもしれないが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、アミノ酸残基の位置Cys226から、またはPro230から、そのカルボキシル末端に及ぶと定められる。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けの残基447)は、例えば抗体の製造または生成の間、または抗体の重鎖をコードしている核酸の組換えによる改変によって、除去してもよい。したがって、完全な抗体の組成は、全てのK447残基が除去された抗体集団と、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基を有する抗体とない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでなってもよい。
「機能的なFc領域」は、天然配列のFc領域の「エフェクター機能」を所有する。典型的な「エフェクター機能」は、C1q結合性を含む;補体依存性細胞傷害性; Fc受容体結合性;抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC);食作用;細胞表面受容体の下方制御(例えばB細胞受容体;BCR)など。該エフェクター機能は一般にFc領域が結合性ドメイン(例えば抗体可変ドメイン)と結合されることを要求し、例えば本願明細書において開示されるようにさまざまな分析を使用して評価してもよい。
「天然配列Fc領域」は、自然で見つかるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含んでなる。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非AおよびAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2Fc領域;天然配列ヒトIgG3Fc領域;そして、天然配列ヒトIgG4Fc領域;同様に上記のいずれか一の自然に起こる変異体を含む。
「変異体Fc領域」は、少なくとも一つのアミノ酸変更、好ましくは1以上のアミノ酸置換によって、天然配列Fc領域のそれと異なるアミノ酸配列を含んでなる。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも一つのアミノ酸置換、例えば約1からの約10のアミノ酸置換を有し、および好ましくは天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、約1からの約5のアミノ酸置換を有する。変異体Fc領域は、本願明細書において、好ましく天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と約80%の相同性を有し、最も好ましくは少なくとも90%の相同性、さらに好ましくは少なくとも95%の相同性を有する。
「抗体依存性細胞媒介細胞傷害活性」および「ADCC」は、標的細胞上に抗体が結合したことを認識してFc受容体(FcR)(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)を発現し、その後標的細胞の溶解を引き起こす非特異性の細胞傷害性細胞における細胞介在性反応を指す。ADCC、NK細胞を介在する一次細胞はFcγRIIIだけを発現するが、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現をまとめたものは、RavetchとKinet(Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464ページの表3である。米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されているように、興味がある分子のADCC活性を評価するために、生体外ADCC分析を行ってもよい。上記分析のために役立つエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)とナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、または加えて、興味がある分子のADCC活性は、例えば、Clynes等(PNAS (USA) 95:652-656、1998)において開示されているように、動物モデルにおいて生体内で評価されてもよい。
「ヒトエフェクター細胞」は、一つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、該細胞は少なくともFcγRIIIを発現して、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを介在するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球を含む;PBMC及びNK細胞を用いることが好ましい。
「Fc受容体」または「FcR」なる用語は、抗体のFc領域と結合する受容体を記載するために用いる。好適なFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好適なFcRはIgG抗体(ガンマ受容体)を結合して、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含むものである。そして、これらの受容体の対立遺伝子変異体および別のスプライシング型を含む。FcγRII受容体はFcγRIIA(「活性型受容体」)およびFcγRIIB(「抑制性受容体」を含み、それらは主に細胞質ドメインにおいて異なる、類似したアミノ酸配列を有する。活性化する受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体活性型チロシンモチーフ(ITAM)を含む。阻害する受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(ITIIM)を含む。(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照)。FcRは、Ravetch 及び Kinet, Annu.Rev.Immunol9:457-492 (1991);Capel 等,Immunomethods 4:25-34(1994);及びdeHaas 等(J.Lab. Clin. Med.126:330-341 (1995))で概説されている。他のFcRは、将来識別されるものも含み、本願明細書において「FcR」なる用語で含まれる。該用語は、新生児受容体(FcRn)を含み、それは胎児への母系IgGの転送および免疫グロブリン・ホメオスタシスの役割を持つ(Guyer等、J.Immunol.117:587(1976)およびキム等、J.Immunol.24:249(1994))。
「補体依存性細胞傷害活性」または「CDC」は補体の存在下で、標的を溶解させる分子の能力を指す。補体活性型経路は、同系抗原で合成した分子(例えば抗体)に、補体システム(C1q)の第一成分が結合することによって開始される。補体活性を評価するために、CDCアッセイ(例えばGazzano-Santoro等、J.Immunol.Methods 202:163 (1996))を実行してもよい。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成することを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編,Springer-Verlag,New York,269-315頁 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成が可能であるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公報93/11161;及びHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
本願明細書において使用する「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を指す、即ちモノクローナル抗体の製造過程で生じる可能性のある変異体、通常少量存在するが、そのような変異体を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一でおよび/または同じエピトープを結合する。該モノクローナル抗体は典型的に、標的に結合するポリペプチド配列を含んでなる成る抗体を含む。そこにおいて、標的結合性ポリペプチド配列は複数のポリペプチド配列から一つの標的結合性ポリペプチド配列を選択する過程により得られる。例えば、選択過程は、複数のクローン、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローンまたは組み換えDNAクローンのプールからの唯一のクローンの選択であってもよい。選択された標的結合性配列が、例えば標的に対する親和性を改善するために、標的結合性配列をヒト化するために、細胞培養の生産性を改善するために、生体内での免疫原性を減らすためなどにさらに改変されてもよく、および抗体は改変した標的結合性配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であると理解されなければならない。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体の個々のモノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の免疫グロブリンの混入がないという利点がある。「単クローン性」なる修飾語句は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴を示し、何か特定の方法によって抗体が製造されることを要求するものとは解釈されない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法を含む種々の技術によって作られることができる(例えば、Kohler 等、Nature,256:495(1975);Harlow等(Antibodies:ALaboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版. 1988));Hammerling等:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681頁, (Elsevier, N.Y., 1981)), 組換えDNA法(米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(Clackson等、Nature, 352:624-628(1991)を参照);Marks 等(J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991);Sidhu等(J. Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee 等, J.Mol.Biol.340(5): 1073-1093 (2004);;Fellouse、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472 (2004);そして、Lee 等、J. Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004), 及びヒト免疫グロブリン配列をコード化している遺伝子又はヒト免疫グロブリン対立遺伝子の一部または全体を有する動物においてヒト又はヒト化抗体を産生する技術(WO 1998/24893; WO 1996/34096; WO1996/33735; WO 1991/10741;Jakobovits等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits等、Nature,362:255-258(1993);Bruggemann等、Year in Immuno., 7:33(1993) ;米国特許第5,545,806号;5,569,825;5,591,669(全てGenPharm);5,545,807;WO 1997/17852;米国特許第5,545,807号;5,545,806;5,569,825; 5,625,126;5,633,425;及び5,661,016;Marks 等、Bio/Technology、10:779-783(1992);Lonberg等、Nature,368:856-859(1994);Morrison,Nature,368:812-813(1994);Fishwild等、Nature Biotechnology,14: 845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnology, 14: 826(1996);及び、LonbergおよびHuszar,Intern.Rev.Immunol.,13:65-93(1995)。
ここで言うモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体が持つ配列に一致する又は類似する、重鎖及び/又は軽鎖の一部を含むものであり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体が持つ配列に一致する又は類似するものである(米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855 (1984))。ここで対象とするキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル又はカニクイザルなどの旧世界サル)由来の可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒトイムノグロブリン(免疫グロブリン)に由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)由来の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも1又は一般的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含んでもよい。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、一般的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。更なる詳細については、Jones等,Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照のこと。
ここで使用されるところの「高頻度可変領域」なる用語は、抗原結合に寄与する抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は一般には「相補性決定領域」又は「CDR」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、及び重鎖可変ドメインの31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);カバット等,Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Bethesda, MD (公衆衛生局、国立衛生研究所、1991))及び/又は「高頻度可変ループ」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及び重鎖可変ドメインの残基26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901-917 (1987))を含む。「フレームワーク」又は「FR」残基はここで定義するように高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「ネイキッド抗体」は、(本願明細書の定義では)非相同的な分子、例えば細胞障害活性部分または識別用放射性同位元素に結合していない抗体である。本願明細書において「完全抗体」は、2つの抗原結合性領域およびFc領域を含んで成るものである。好ましくは、完全な抗体には機能的なFc領域がある。
「単離された」抗体は、その自然環境の構成要素から識別されて、切り離しておよび/または回収したものである。その自然環境の混入物構成は、抗体の診断又は治療の用途に干渉する物質であって、酵素、ホルモンおよび他のタンパク溶質か非タンパク溶質を含んでもよい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)ラウリー方法により測定するならば抗体が質量の95%を超えるまで、最も好ましくは質量の99%以上にまで、(2)ピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端の少なくとも15残基又は内部のアミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、又は(3)還元又は非還元SDS−PAGEによって、クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用して均質になるまで精製される。
「単離された」抗体は、その自然環境の構成要素から識別されて、切り離しておよび/または回収したものである。その自然環境の混入物構成は、抗体の診断又は治療の用途に干渉する物質であって、酵素、ホルモンおよび他のタンパク溶質か非タンパク溶質を含んでもよい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)ラウリー方法により測定するならば抗体が質量の95%を超えるまで、最も好ましくは質量の99%以上にまで、(2)ピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端の少なくとも15残基又は内部のアミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、又は(3)還元又は非還元SDS−PAGEによって、クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用して均質になるまで精製される。
「親和性成熟」抗体は、抗体の1つ以上の高頻度可変領域に1つ以上の変更があるもので、変更を持たない親抗体に比べて、抗原に対する親和性が改善されている。好適な親和性成熟抗体は、標的抗原に対しナノモルまたはピコモルもの親和性を有する。親和性成熟抗体は、公知技術の手順によって製造される。Marks 等(Bio/Technology 10:779-783(1992))は、VHおよびVLドメインのシャッフルによる親和性成熟を記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダムな突然変異生成は、Barbas 等、Proc Nat. Acad.Sci, USA 91:3809-3813 (1994); Schier 等、Gene 169:147-155(1995);Yelton 等、 J.Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson 等、J.Immunol.154(7):3310-9(1995);およびHawkins 等、J. Mol. Biol.226:889-896 (1992)に記載されている。
患者の「治療」は、本願明細書において、治療上の処置および予防または防止的な処置を指す。治療を必要とする者には、すでにIBDである者のほかにIBDを予防されることになっている者を含む。それ故、患者は、IBDを有するかを診断されるか、またはIBDになりやすいかまたは感受性が高いかを診断されていてもよい。本願明細書において使用する「治療する」、「処置」または「治療」という用語は、予防的な(例えば、防止の)、対症的な、治癒的な治療を含む。
補助的治療のための「免疫抑制剤」なる用語は、本願明細書では、処置されている患者の免疫系を抑制するまたは遮蔽する働きの物質を指す。これは、サイトカイン生産を抑制する、自己抗原発現を減少させる又は抑制する、又はMHC抗原をマスキングする物質を含むであろう。外薬剤の例は、2-アミノ-6-アリル-5-置換されたピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照)を含む;非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);ガンシクロビル;タクロリムス;コルチゾールまたはアルドステロンなどのグルココルチコイド;例えばシクロオキシゲナーゼ抑制剤のような抗炎症剤;5-リポキシゲナーゼ抑制剤;またはロイコトリエン受容体アンタゴニスト;アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル(MMF)のようなプリン・アンタゴニスト;例えばシクロホスファミドのようなアルキル化薬;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されているようにMHC抗原をマスキングする);MHC抗原およびMHC断片のための抗イディオタイプ抗体;シクロスポリン;6メルカプトプリン;コルチコステロイドまたはコルチコステロイドまたはグルココルチコイドの類似体のようなステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、SOLU-MEDROL(登録商標)メチルプレドニゾロン・ナトリウム琥珀酸塩およびデキサメタゾンを含む;ジヒドロ葉酸還元酵素抑制剤(例えば経口又は経皮メトトレキサート);抗マラリア薬剤(例えばクロロキンおよびヒドロキシクロロキン);sulfasalazine; leflunomide;サイトカインまたはサイトカイン受容体抗体または抗インターフェロン-α、-β、または-γ抗体を含むアンタゴニスト、抗腫瘍壊死要因(TNF)-α抗体(インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))またはアダリムマブ(adalimumab))、抗TNF-αイムノアドヘシン(エタネルセプト)、抗TNF-β抗体、抗インターロイキン2(IL-2)抗体および抗IL-2受容体抗体、そして、抗インターロイキン6(IL-6)受容体抗体およびアンタゴニスト;抗CD11aおよび抗CD18抗体を含む抗LFA-1抗体;抗L3T4抗体;異種性多い抗リンパ球グロブリン;汎T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体;LFA-3結合性領域を含んでいる可溶性ペプチド(1990年7月26日発行WO 90/08187);ストレプトキナーゼ;形質転換増殖因子-β(TGF-β);ストレプトドルナーゼ;宿主からのRNAまたはDNA;FK506;RS-61443;クロラムブシル;deoxyspergualin;ラパマイシン;T細胞受容体(Cohen 等, 米国特許第5,114,721号);T-細胞受容体断片(Offner等、Science、251:430-432 (1991);WO 90/11294;Ianeway、Nature、341:482 (1989);およびWO 91/01133);例えばBAFFまたはBR3抗体またはイムノアドヘシンのようなBAFFアンタゴニストおよびzTNF4アンタゴニスト(総説はMackay と Mackay, Trends Immunol., 23:113-5 (2002)および 下記の定義を参照);例えば、CD40-CD40リガンドに対する抗体をブロックすることを含む、抗CD40受容体または抗CD40リガンド(CD154))のようなT細胞ヘルパーシグナルに干渉する生物学的な薬品(例えば、Durie等、Science、261:1328-30(1993);Mohan等、J.Immunol.、154:1470-80(1995))、そして、CTLA4-Ig(Finck等、Science、265:1225-7(1994));そして、例えばT10B9のようなT細胞受容体抗体(EP 340,109)。
「細胞障害活性剤」なる用語は、本願明細書において、細胞の機能を阻害するかまたは抑制するか、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。該用語は(放射性同位元素(例えばAt211,I131,I125,Y90,Re186,Re188,Sm153,Bi212,P32およびLuの放射性同位元素)、化学療法薬、および毒素、例えばバクテリア、菌類、植物、動物、又はそれらの断片の小分子毒素または酵素活性毒素を含む。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN登録商標) のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));δ-9テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、マリノールMARINOL登録商標);βラパコン(lapachone);ラパコール(lapachol);コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)(HYCAMTIN登録商標)、CPT-11(イリノテカン(CAMPTOSAR登録商標))、アセチル・カンプトセシン、スコプレクチン(scopolectin)および9-アミノ・カンプトセシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリンの酸;テニポサイド;クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む);エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne)抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンフィーI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);エスペラマイシン(esperamicin);同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne)抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及び;ドキソルビシンHClリポソーム注射(DOXIL登録商標);デオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycins)、例えばマイトマイシンC、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート ジェムシタビン(gemcitabine)(GEMZAR登録商標)、テガフール(UFTORAL登録商標)、カペシタビン(capecitabine)(XELODA登録商標)、エポチロン(epothilone)及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような代謝拮抗産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);多糖類複合体(JHS Natural Products、ユージン、OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE登録商標(FILDESIN登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton,NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony, France) アルブミン結合したタキソールナノ粒子製剤(ABRAXANE登録商標), doxetaxel (TAXOTERE登録商標);;クロランブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン(VELBAN登録商標);プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントン;ビンクリスチン(ONCOVIN登録商標);オキサリプラチン(oxaliplatin);leucovovin;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine)(Navelbine登録商標);ノバントロン(novantron);エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート(ibandronate);CTP-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類;並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。同様に、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロンの併用治療の略CHOP、および5-FUおよびleucovovinと組合せたオキサリプラチン(ELOXATIN登録商標)を有する治療療法の略FOLFOXのように上記の2以上の組合せ。
また、この定義には、癌の増殖を促進できるホルモン作用を調節、減少、阻害、又は抑制するように働く抗ホルモン剤が含まれ、しばしば全身性のまたは全身治療の形態である。それらは、ホルモンそのものであってもよい。例えばタモキシフェン(Nolvadex登録商標を含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(Fareston登録商標)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs);抗プロゲステロン;フルベストラントのようなエストロゲン受容体アンタゴニスト(FASLODEX登録商標);卵巣を抑制するかまたはシャットダウンするように機能する薬品(例えば酢酸ロイプロリド(LUPRON登録商標およびELIGARD登録商標))、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩およびトリプテレリン(tripterelin)のような性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト);フルタミド,ニルタミド(nilutamide)、およびビカルタミド(bicalutamide)のような抗アンドロゲン; 副腎におけるエストロゲン生成を調節する、アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼインヒビター、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲステロール(MEGASE登録商標)、エグゼメスタン(AROMASIN登録商標)、ホルメスタン(formestane)、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor登録商標)、レトロゾール(Femara登録商標)、及びアナストロゾールArimidex登録商標)が含まれる。さらには、化学療法剤の定義にはクロドロネート(clodronate)のようなビス・ホスホン酸塩(例えばBONEFOS登録商標またはOSTAC登録商標)、エチドロン酸(DIDROCAL登録商標)、NE-58095、ゾレドロニック酸/ゾレドロネート(zoledronate)(ZOMETA登録商標)、アレンドロネート(FOSAMAX登録商標)、パミドロン酸(AREDIA登録商標))は、チルドロネート(tiludronate)(SKELID登録商標)か、またはリセドロネートrisedronate(ACTONEL登録商標);同様にトロクスアシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソラン・ヌクレオシド・シトシンの類似体)と;アンチセンスオリゴヌクレオチド(特に悪質な細胞増殖(例えばPKC-α、Raf、H-Ras、および上皮細胞増殖因子受容体(EGF-R)に関係するシグナル経路の遺伝子発現を抑制するもの);THERATOPE登録商標ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン(例えばアロベクチン(ALLOVECTIN登録商標)ワクチン、レウベクチン(LEUVECTIN登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン)のようなワクチン;トポイソメラーゼ1抑制剤(例えばLURTOTECAN登録商標);rmRH(例えばABARELIX登録商標);トシル酸ラパチニブ(ErbB-2およびEGFR二重チロシン・キナーゼ小分子抑制剤(別名GW572016));そして、薬学的に受け入れられる塩類、酸または上記のいずれかの派生物が含まれる。
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン;IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15等のインターロイキン(IL)、さらにPROLEUKIN登録商標rIL−2及びヒトIL−4、ヒトIL−4の突然変異体、例えばIL−2Rγに結合性を持つIL−4領域に突然変異をもつ突然変異体(Arg21がGlu残基に置換したもの)を含む;TNF−αまたはTNF-β等の腫瘍壊死因子;LIF及びキットリガンド(KL)等の他のポリペプチド因子を含む。本願明細書においては、サイトカインなる用語は、自然源由来、または組換え細胞培養物由来および天然配列ホルモン生物学的活性等価物由来のタンパク質を含む。そして、それの合成的に生成された小分子物および薬学的に受け入れられる派生物および塩類を含む。
「ホルモン」なる用語は、ポリペプチドホルモンを指し、一般的にダクトを有する腺器官で分泌される。ホルモンの中には、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニル・ヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモン);副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインシュリン;リラキシン;エストラジオール;ホルモン補充療法;アンドロゲン(例えばカルステロン(calusterone)、ドロモスタノロネ(dromostanolone)プロピオン酸塩、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)またはテストラクトン);プロ・リラキシン;グリコプロテイン・ホルモン類(例えば小胞を刺激しているホルモン(FSH)、甲状腺の刺激的なホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH));プロラクチン、胎盤乳汁分泌ホルモン、マウス性腺刺激ホルモン関連のペプチド、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン;インヒビン(inhibin);アクチビン(activin);ムレリアン(mulleria)阻害物質;そして、トロンボポエチンが含まれる。本願明細書において、用語ホルモンは自然源由来、または組換え細胞培養物由来および天然配列ホルモン生物学的活性等価物由来のタンパク質を含む。そして、それの合成的に生成された小分子物および薬学的に受け入れられる派生物および塩類を含む。
用語「増殖因子」は、増殖を促進するタンパク質を指し、例えば肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;脈管内皮増殖因子;神経増殖因子(例えばNGF-β);血小板由来増殖因子;形質転換増殖因子(TGFs)(例えばTGF-αおよびTGF-β);インスリン様増殖因子-Iと-II;エリトロポイエチン(EPO);骨誘導要因;インターフェロン-α-β、および-γのようなインターフェロン;およびマクロファージ-CSF(M−CSF))のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒白血球マクロファージCSF(GM−CSF);及び顆粒白血球-CSF(G−CSF)を含む。本願明細書において、用語増殖因子は自然源由来または組換え細胞培養物由来および天然配列ホルモン生物学的活性等価物由来のタンパク質を含む。そして、その合成して生成された小分子物および薬学的に受容可能な誘導体および塩類を含む。
用語「インテグリン」は、細胞外のマトリックスに対し結合することと反応することの両方を細胞に許可する受容体タンパク質を指し、そして、腫瘍細胞およびアポトーシスの自動誘導、損傷治癒、細胞分化など種々の細胞機能に関わっている。それらは、細胞の細胞外マトリックスおよび細胞-細胞相互作用に関係している細胞粘着力受容体の大ファミリーの一つである。機能的なインテグリンは、2つの膜貫通性糖プロテイン・サブユニット(αおよびβといい、非共有結合している)から成る。αサブユニットのすべては、互いにある程度の相同性があり、βサブユニットも同じである。受容体は、常に1つのα鎖および1つのβ鎖を含む。例には、α6β1、α3β1、α7β1、LFA-1などを含む。本願明細書において、用語「インテグリン」は自然源由来、または組換え細胞培養物由来および生物学的活性等価物の天然配列インテグリン由来のタンパク質を含む。そして、その合成して生成された小分子物および薬学的に受容可能な誘導体および塩類を含む。
本願明細書において目的のために、「腫瘍壊死要因α(TNF-α)」は、Pennica等、Nature, 312:721(1984)またはAggarwal等(JBC、260:2345(1985))に記載されているアミノ酸配列から成るヒトTNF-α分子を指す。「TNF-α抑制剤」は、本願明細書において、一般にTNF-αと結合してその活性を消すことによって、ある程度は、TNF-αの生物学的機能を阻害する薬剤である。本願明細書において特に考察されるTNF抑制剤の例は、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))およびアダリムマブ(adalimumab)(HUMIRA(登録商標))である。
「疾患修飾抗リウマチ剤」または「DMARD」の例は、ハイドロオキシクロロキン(hydroxycloroquine)(スルホサラジン(sulfasalazine)、メトトレキサート、レフルノミド(leflunomide)、エタネルセプト、インフリキシマブ、アザチオプリン、D-ペニシラミン、金塩類(経口)、金塩類(筋肉内)、ミノサイクリン、シクロスポリンAおよび局所用のシクロスポリンを含むシクロスポリン、ブドウ球菌タンパク質A(Goodyear と Silverman, J. Exp. Med., 197, (9), p1125-39 (2003)、それらの塩類および誘導剤、その他を含む。
「非ステロイド性抗炎症剤」または「NSAID」の例はアスピリン、アセチルサルチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、トルメチンを含むこと、セレコキシブのようなCOX-2抑制剤(CELEBREX(登録商標);4(5(4-メチルフェニル)-3(トリフルオロメチル(trifluoromethyl)-1H-ピラゾール(pyrazol)-1-イル)ベンゼン・スルフォンアミド、そして、バルデコシブ(valdecoxib)(BEXTRA(登録商標))、及びメロキシカン(meloxicam)(MOBIC登録商標)、それらの塩類およびそ誘導剤、その他を含む。
「インテグリン・アンタゴニストまたは抗体」の例は、本願明細書において、LFA-1抗体(例えばジェネンテックから市販されているエファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))、またはナタリズマブ(natalizumab)(ANTEGREN(登録商標))(例えばバイオジェンから入手可能なα4インテグリン抗体)、またはディアザサイクリック(diazacyclic)フェニルアラニン誘導体(WO 2003/89410)、フェニルアラニン誘導体(WO 2003/70709、WO 2002/28830、WO 2002/16329およびWO 2003/53926)、フェニルプロピオン酸誘導体(WO 2003/10135)、エナミン誘導剤(WO 2001/79173)、プロパン酸誘導体(WO 2000/37444)、アルカニック酸誘導体(WO 2000/32575)、置換されたフェニル誘導体(US特許番号6,677,339および6,348,463)、芳香族アミン誘導体(US特許番号6,369,229)、ADAM非インテグリン領域ポリペプチド(US2002/0042368)、アルファvベータ3インテグリン(EP 633945)に抗体、アザ架橋二環式アミンの酸誘導体(WO 2002/02556)、その他を含む。
「コルチコステロイド」は、いくつかの合成又は自然に生じた物質の何れか指し、自然に起こっているコルチコステロイドの自然な効果を擬態するかまたは増強するステロイドの一般的化学構造を有する。合成コルチコステロイドの例は、プレドニゾン、プレドニゾロン(メチルプレドニゾロン、例えばSOLU-MEDROL登録商標メチルプレドニゾロン・ナトリウム琥珀酸塩を含む)、デキサメタゾンまたはデキサメタゾン・トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、及びベタメタゾンを含む。好適なコルチコステロイドは、本願明細書において、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンまたはデキサメタゾンである。
本用語「有効量」は、本願明細書において、IBDを治療するために効果的である抗体またはアンタゴニストの量を意味している。有効量は、典型的に、その効果が、活性成分を含まない構成物(すなわち対照)が同じような状態にある個体に投与された時に観察される効果と比較されることで測定される。
「パッケージ内の挿入物」は、治療用製品の市販パッケージに慣例上含まれる指示書を示すために用い、表示、使用、投薬量、管理、禁忌、そのパッケージ製品と併用できる他の治療用製品、および/または該他の治療用製品の使用に関する警告、その他についての情報を含む。
「薬剤」はIBD、その症状、副作用を治療する有効薬である。
「薬剤」はIBD、その症状、副作用を治療する有効薬である。
II. IBDの治療
本発明は、本願明細書において、CD20のようなB細胞表面マーカーと結合する抗体(またはアンタゴニスト)の有効量を患者に投与することを含んで成る、ヒト患者においてIBDを治療するための方法を提供する。
特に、本発明はヒト患者の中程度から重度の炎症性腸疾患(IBD)を治療するために、CD20抗体(またはアンタゴニスト)の有効量を患者に投与することを含んで成る方法を提供するものであって、該抗体(またはアンタゴニスト)の投与は臨床効果および/または疾患緩解を生じるものである。
該投与は、また、結腸粘膜、パイエル板、二次リンパ組織または器官(例えばリンパ節および脾臓)、および血液のB細胞を減らすことができるが、しかし、特に患者の結腸粘膜でB細胞を減らすことができる。
本発明は、本願明細書において、CD20のようなB細胞表面マーカーと結合する抗体(またはアンタゴニスト)の有効量を患者に投与することを含んで成る、ヒト患者においてIBDを治療するための方法を提供する。
特に、本発明はヒト患者の中程度から重度の炎症性腸疾患(IBD)を治療するために、CD20抗体(またはアンタゴニスト)の有効量を患者に投与することを含んで成る方法を提供するものであって、該抗体(またはアンタゴニスト)の投与は臨床効果および/または疾患緩解を生じるものである。
該投与は、また、結腸粘膜、パイエル板、二次リンパ組織または器官(例えばリンパ節および脾臓)、および血液のB細胞を減らすことができるが、しかし、特に患者の結腸粘膜でB細胞を減らすことができる。
IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病であってもよいが、好ましくはUCである。本願明細書において治療される患者は、活動期のIBD、活動期のUC、または活動期のクローン病であってもよい。通常、治療される患者は、中程度から重度のIBD、中程度から重度のUC、または中程度から重度のクローン病である。
さらに、患者は、ステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性IBD、ステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性UC、またはステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性クローン病であってもよい。
本願明細書において治療される患者は以下であってもよい:スクリーニング時にIBDの診断を6ヵ月以上受けていた;S字結腸鏡検査のスクリーニング時に20cm以上の活動期疾患を有する;活動期疾患は、DAIスコアが6以上11以下の間で、且つ直腸出血スコア2以上、および可動S字結腸鏡検査スコア2以上と定義される;スクリーニング前に2年以内にUCのための経口コルチコステロイドによる治療が行われていた;少なくとも2週間持続で20mg/日のプレドニゾン等価量より強い強度で治療されていた;エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリムマブ(adalimumab)に抵抗性または難治性である;3週間以上のアミノサリチル酸の安定投与で治療されていた;2週間以上の経口コルチコステロイド安定投与で治療されていた;3ヵ月間の6−MPによる治療を受け、そして4週間以上それの安定投与で治療されていた;3ヵ月間のザチオプリンによる治療を受け、そして4週間以上それの安定投与で治療されていた。
さらに、患者は、ステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性IBD、ステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性UC、またはステロイド抵抗性および/またはステロイド依存性クローン病であってもよい。
本願明細書において治療される患者は以下であってもよい:スクリーニング時にIBDの診断を6ヵ月以上受けていた;S字結腸鏡検査のスクリーニング時に20cm以上の活動期疾患を有する;活動期疾患は、DAIスコアが6以上11以下の間で、且つ直腸出血スコア2以上、および可動S字結腸鏡検査スコア2以上と定義される;スクリーニング前に2年以内にUCのための経口コルチコステロイドによる治療が行われていた;少なくとも2週間持続で20mg/日のプレドニゾン等価量より強い強度で治療されていた;エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリムマブ(adalimumab)に抵抗性または難治性である;3週間以上のアミノサリチル酸の安定投与で治療されていた;2週間以上の経口コルチコステロイド安定投与で治療されていた;3ヵ月間の6−MPによる治療を受け、そして4週間以上それの安定投与で治療されていた;3ヵ月間のザチオプリンによる治療を受け、そして4週間以上それの安定投与で治療されていた。
活動性の中程度から重度の活動期UCを有する患者の標準治療は、以下の標準用量を用いる治療を含む:アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6-メルカプトプリン(6‐MP)および/またはアザチオプリン。CD20抗体による治療は、本願明細書において開示されるように、疾患緩解(疾患の迅速な制御および/または長期にわたる緩解)、および/または臨床効果の改善を生じ、該患者の標準的治療による結果よりも優れている。
抗体の投与は、例えば約8週でまたはそれまでに疾患緩解が達成されるような疾患緩解を生じてもよい。好ましくは、疾患緩解までの時間は、CD20抗体で治療されない患者で達成するよりも短い。さらに好ましくは、緩解の持続期間は、CD20抗体で治療されない患者で達成するよりも長い。例えば、最初の治療からまたは緩解の成就からの緩解の持続期間は、少なくとも24週間、好ましくは少なくとも48週間、最も好ましくは少なくとも約2年間であってもよい。緩解は、S字結腸鏡検査スコアOおよび/または1であること、直腸出血スコア0であることで定義してもよい。
抗体の投与は、例えば約8週でまたはそれまでに臨床効果が達成されるような臨床効果を生じてもよい。本願明細書において臨床効果は、例えば3ポイント以上の減少として定義されるような、疾患活性インデックス(DAI)スコアの減少として定義してもよい。
ある実施態様において、患者は以前にCD20抗体で治療されたことがない。好ましくは、患者はB細胞悪性腫瘍に患っていない。また、患者は、好ましくは、IBD、UCまたはクローン病以外の自己免疫疾患を患っていない。
さらに提供することは、DAIスコアを減らす効果的な量のCD20抗体を患者に投与することを含んなる、活動期の潰瘍性大腸炎(UC)のヒト患者の疾患活性インデックス(DAI)スコアを減らす方法である。好ましくは、DAIスコアリングシステムは本願明細書の表2に記載のものであり、そして、CD20抗体の投与は該DAIスコアを3ポイント以上減らすものである。
ある実施態様において、患者は以前にCD20抗体で治療されたことがない。好ましくは、患者はB細胞悪性腫瘍に患っていない。また、患者は、好ましくは、IBD、UCまたはクローン病以外の自己免疫疾患を患っていない。
さらに提供することは、DAIスコアを減らす効果的な量のCD20抗体を患者に投与することを含んなる、活動期の潰瘍性大腸炎(UC)のヒト患者の疾患活性インデックス(DAI)スコアを減らす方法である。好ましくは、DAIスコアリングシステムは本願明細書の表2に記載のものであり、そして、CD20抗体の投与は該DAIスコアを3ポイント以上減らすものである。
さらに、方法は、非定型レベルの核周辺型抗好中球細胞質抗体(p−ANCA)および/または抗ヒト・トロポミオシン・アイソフォーム5 (hTM5)の自己抗体濃度を有する活動期の炎症性腸疾患(IBD)のヒト患者の治療を含む。患者に対するCD20抗体の投与は、効果的に患者のp−ANCAおよび/または抗hTM5抗体濃度を減らことを含んで成る。
正確な用量は、治療される状態の性質および重症度、アンタゴニストまたは抗体のタイプ、患者の特徴その他を考慮して、認められた標準に従い臨床医が決定する。用量の決定は従来技術において通常の技術レベルの中にある。好ましくは、抗体は、全身的に、静注でまたは皮下に投与される。投与経路および方法によって、アンタゴニストまたは抗体は、単一の服用において、長期にわたる注入として、または断続的に長期の期間にわたって投与されてもよい。静脈内投与は、通常、大量瞬時投与または1時間から数時間までの典型的期間を超えた注入によって行われる。徐放型製剤を使用してもよい。
正確な用量は、治療される状態の性質および重症度、アンタゴニストまたは抗体のタイプ、患者の特徴その他を考慮して、認められた標準に従い臨床医が決定する。用量の決定は従来技術において通常の技術レベルの中にある。好ましくは、抗体は、全身的に、静注でまたは皮下に投与される。投与経路および方法によって、アンタゴニストまたは抗体は、単一の服用において、長期にわたる注入として、または断続的に長期の期間にわたって投与されてもよい。静脈内投与は、通常、大量瞬時投与または1時間から数時間までの典型的期間を超えた注入によって行われる。徐放型製剤を使用してもよい。
好ましい実施態様では、方法は約200mgから2000mg、好ましくは約500mgから1500mg、および最も好ましくは約750mgから1200mgの範囲で1回または2回投与されることを含んでなる。例えば、1回から4回の投与、または1回のみまたは2回投与されてもよい。この実施態様によっては、抗体は約1ヶ月の期間内に、好ましくは2から3週間の期間内に、より好ましくは2週間の期間内に投与される。
複数の投与がある場合には、後の投与(例えば2回目であるか3回目の投与)は前の投与から約1から20日までに好ましくは投与される、より好ましくは約6から16日までに、そして、最も好ましくは約14から16日までに投与される。その個別の投与は、好ましくは約1日から4週間の総期間内に、より好ましくは約1日から20日間の期間内に(例えば、6日から18日間の期間内にで)投与される。抗体の個別の投与量は、それぞれにつき、好ましくは約200mgから2000mg、好ましくは約500mgから1500mg、および最も好ましくは約750mgから1200mgである。
しかしながら、上記のようにアンタゴニストまたは抗体のこれらの提案された量は、多くの治療的な裁量の問題である。上記のように、適切な投与およびスケジュールの選択において鍵となる要因は、得られた結果である。例えば、比較的により高い投与量は、活動期IBDの治療初期に必要とされるかもしれない。次の投与量は、以前の投与量より高くてもよい。最も有効な結果を得るためには、アンタゴニストまたは抗体は一般に、疾患または障害の最初の徴候、診断、出現または発生にできる限り近接して、または疾患または障害の緩解の間、投与される。
それ故、本発明は活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、患者に対してCD20抗体を1回又は2回だけを投与することを含んで成る方法を提供する。そこにおいて、疾患緩解または臨床効果はCD20抗体の1回又は2回の投与に応じて生じる。好ましくは、該1回又は2回投与は、皮下に(SQ)又は静注(IV)で投与される。2回の静脈内服用が投与されるならば、2回の投与のそれぞれは好ましくは約200mgから約2000mgまで範囲において行われる。
アンタゴニストまたは抗体は、局所免疫抑制治療(病巣内投薬)のために必要ならば、非経口、皮下、腹膜内、吸入、髄膜下、関節内、鼻腔内を含む任意の適当な手段によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、皮下の投与を含む。加えて、アンタゴニストまたは抗体は、パルス注入によって、最適に、例えばアンタゴニストまたは抗体の漸減的用量を投与されてもよい。好ましくは、投与は注射により、最も好ましくは静脈内または皮下注射によって与えられ、それは投与が短期であるか長期かどうかに拠る部分もある。
患者はアンタゴニストまたは抗体で、1回の曝露または複数の投与のセットを与えられることによって、再治療することができる。例えば少なくとも約2回のアンタゴニスト又は抗体の曝露は例えば、約2から60回の曝露、より好ましくは2から40回の曝露、最も好ましくは約2から20回の曝露による。
患者はアンタゴニストまたは抗体で、1回の曝露または複数の投与のセットを与えられることによって、再治療することができる。例えば少なくとも約2回のアンタゴニスト又は抗体の曝露は例えば、約2から60回の曝露、より好ましくは2から40回の曝露、最も好ましくは約2から20回の曝露による。
ある実施態様において、疾患の徴候または症状が戻った時、患者がもはや緩解状態ではない時、および/またはp−ANCAまたは抗hTM5自己抗体濃度が上がった時など、いかなる再治療がなされてもよい。
他の実施態様において、いかなる再治療も決められた間隔で与えられることができる。例えば、次の曝露は、さまざまな間隔、例えば少なくとも約24−28週または48−56週で投与されることができる。好ましくは、該曝露は、約24−26週または約38−42週または約50−54週のいずれかの間隔をおいて投与される。
ある実施態様において、各々のアンタゴニストまたは抗体曝露は、アンタゴニストまたは抗体の単一用量として提供される。別の実施態様において、各々のアンタゴニストまたは抗体曝露は、抗体の服用の投与として提供される。しかしながら、すべてのアンタゴニストまたは抗体曝露が、単一の投与としてまたは個別の投与として提供される必要があるというわけではない。
他の実施態様において、いかなる再治療も決められた間隔で与えられることができる。例えば、次の曝露は、さまざまな間隔、例えば少なくとも約24−28週または48−56週で投与されることができる。好ましくは、該曝露は、約24−26週または約38−42週または約50−54週のいずれかの間隔をおいて投与される。
ある実施態様において、各々のアンタゴニストまたは抗体曝露は、アンタゴニストまたは抗体の単一用量として提供される。別の実施態様において、各々のアンタゴニストまたは抗体曝露は、抗体の服用の投与として提供される。しかしながら、すべてのアンタゴニストまたは抗体曝露が、単一の投与としてまたは個別の投与として提供される必要があるというわけではない。
好適なアンタゴニストは、抗体である。本願明細書において記載される方法において、CD20抗体は、ネイキッド抗体であってもよいし、または他の分子(例えば細胞傷害性剤またはサイトカイン)によって接合されてもよい。好ましくは、抗体は完全、ネイキッド抗体である。本願明細書において好適なCD20抗体は、キメラ、ヒト化、人又はCD20抗体、より好ましくは、リツキシマブ、ヒト化2H7、2F2(HuMax−CD20)ヒトCD20抗体(ジェンマブGenmab)、ヒト化A20抗体(Immunomedics)である。より好適なものは、リツキシマブまたはヒト化2H7である。
本願明細書の全方法の更なる実施態様において、患者が、以前に薬、例えばIBDを治療する薬剤によって治療されたことがなく、および/またはアンタゴニストまたはB細胞表面マーカーに対するアンタゴニスト又は抗体で以前、治療されたことがない(例えば、CD20抗体によってこれまで治療されていない)。
本願明細書において、B細胞表面マーカーに結合するアンタゴニストまたは抗体とともに、第2医薬の有効量を患者に投与してもよい。(ここにおいて、B細胞表面マーカーに結合する該アンタゴニストまたは抗体が(例えばCD20抗体)が第1医薬である)。該第2医薬のタイプは、IBDタイプ、IBDの重度患者、患者の状態および年齢、使用される第1医薬のタイプと用量などを含むさまざまな要因に依存する。
該付加的な薬剤または他の治療の例は、IBD治療の他薬品、化学治療薬、インターフェロンクラス薬であり、以下のものを含む。インターフェロン-α(例えば、Amrillo Biosciences社から)、IFN-β-1a(REBIF(登録商標)およびAVONEX(登録商標))オリゴペプチド(例えば酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))、CD40-CD40リガンドをブロックする薬品、細胞傷害性剤(例えばミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、メトトレキサート、シクロホスファミド、クロラムブシル、leflunomideおよびアザチオプリン)、一つ以上の免疫抑制薬品(例えばアザチオプリン、6-メルカプトプリン、シクロスポリン)、静脈免疫グロブリン(ガンマグロブリン)、リンパ球を減少する治療(例えばミトキサントロン、シクロホスファミド、CAMPATH(登録商標)抗体、抗CD4、cladribine)、少なくとも2つの領域を含んで成るポリペプチド、非免疫化自己応答性抗原又はその断片で特に自己応答性B細胞のIg受容体B細胞に認識されるもの(WO 2003/68822)、全身照射、骨髄移植、インテグリン・アンタゴニストまたは抗体(例えば、ジェネンテックから市販されているエファリズマブ(RAPTIVA登録商標)のようなLFA-1抗体、または例えばバイオジェンIdecから入手可能なnatalizumab(ANTEGREN(登録商標))α4インテグリン抗体、または上記の他のもの)、コルチコステロイドのようなステロイド(例えば注射のためのSOLU-MEDROL(登録商標)メチルプレドニゾロン・ナトリウム琥珀酸塩のようなメチルプレドニゾロン、低用量プレドニゾンようなプレドニゾン、デキサメタゾン、または全身コルチコステロイド治療を含むグルココルチコイド)、非リンパ球減少性免疫抑制療法(例えばMMFまたはシクロスポリン)、「スタチン」クラスのコレステロール低下薬(セリバスタチン(cerivastatin)(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(fluvastatin)(LESCOL(登録商標))、アトバスタチン(atorvastatin)(LIPITOR(登録商標))、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、そして、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標)を含む)、エストラジオール、テストステロン(任意で高投薬量;、Stuve等Neurology 8:290-301(2002))、アンドロゲン、ホルモン補充療法、TNF抑制剤(例えばエタネルセプト(ENBREL(登録商標))インフリキシマブ(REMICADE登録商標)、及びアダリムマブ(adalimumab)(HUMIRA登録商標)、疾患修飾抗リウマチ剤(DMARD)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、血漿交換またはプラズマ交換、トリメトプリムスルファメトキサゾール(BACTRIM(登録商標)、SEPTRA(登録商標))ミコフェノール酸モフェチル、H2受容体遮断薬またはプロトンポンプ阻害剤(潜在性潰瘍誘発免疫抑制療法を使う間)、レボチロキシン、シクロスポリンA(例えばSANDIMMUNE(登録商標))、ソマタスタチン(somatastatin)類似体、サイトカイン、サイトカインまたはサイトカイン受容体抗体またはアンタゴニスト、代謝拮抗物質、復帰手術または結腸切除、放射性ヨウ素、甲状腺摘出術、BAFFアンタゴニスト(例えばBAFFまたはBR3抗体またはイムノアドヘシン)、抗CD40受容体または抗CD40リガンド(CD154)、抗IL-6受容体アンタゴニストまたは抗体、抗IL-2抗体(例えばdaclizumab)、他のB細胞表面アンタゴニストまたは抗体(例えば、リツキシマブによるヒト化2H7または他のヒト化またはヒトCD20抗体)、経口コルチコステロイド(例えばCD20抗体またはアンタゴニストによる最初の治療から2年以内で)、プレドニゾン(例えば、少なくとも2週間持続の20mg/日のプレドニゾン等価量)、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ(adalimumab)、アミノサリチル酸(例えば3週間以上の安定服用)、経口コルチコステロイド(例えば2週間以上の安定服用)、6−MP(例えば3ヵ月の治療中の、4週間以上の安定服用)、アザチオプリン(例えば3ヵ月の治療中の、4週間以上の安定服用)、カルシニュリン抑制剤、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、局在直腸製剤、非生物学性細胞減少療法、(例えばADACOLUMN登録商標、抗生物質、止瀉薬)、胆汁酸バインダ(例えばコレスチラミン)、経口および/または局所用5-ASA、経口および/または局所用ステロイド、MLN-02、メサラミン、コーチゾン・クリーム、ヒドロコルチゾン浣腸、スルファサラジン、alsalazine、バルサラジド、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ACTH、静注コルチコステロイド、GELTEX(登録商標)(ジェンザイム)、抗CD3抗体(例えばvisilizumab(NUVION登録商標))、OPC-6535、CBP1011、サリドマイド、ISIS 2302、BXT-51072、増殖因子、例えばケラチン生成細胞増殖因子-2(KGF-2;REPIFERMIN登録商標)、RPD-58、antegren、FK-506、その他。
該付加的な薬剤または他の治療の例は、IBD治療の他薬品、化学治療薬、インターフェロンクラス薬であり、以下のものを含む。インターフェロン-α(例えば、Amrillo Biosciences社から)、IFN-β-1a(REBIF(登録商標)およびAVONEX(登録商標))オリゴペプチド(例えば酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))、CD40-CD40リガンドをブロックする薬品、細胞傷害性剤(例えばミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、メトトレキサート、シクロホスファミド、クロラムブシル、leflunomideおよびアザチオプリン)、一つ以上の免疫抑制薬品(例えばアザチオプリン、6-メルカプトプリン、シクロスポリン)、静脈免疫グロブリン(ガンマグロブリン)、リンパ球を減少する治療(例えばミトキサントロン、シクロホスファミド、CAMPATH(登録商標)抗体、抗CD4、cladribine)、少なくとも2つの領域を含んで成るポリペプチド、非免疫化自己応答性抗原又はその断片で特に自己応答性B細胞のIg受容体B細胞に認識されるもの(WO 2003/68822)、全身照射、骨髄移植、インテグリン・アンタゴニストまたは抗体(例えば、ジェネンテックから市販されているエファリズマブ(RAPTIVA登録商標)のようなLFA-1抗体、または例えばバイオジェンIdecから入手可能なnatalizumab(ANTEGREN(登録商標))α4インテグリン抗体、または上記の他のもの)、コルチコステロイドのようなステロイド(例えば注射のためのSOLU-MEDROL(登録商標)メチルプレドニゾロン・ナトリウム琥珀酸塩のようなメチルプレドニゾロン、低用量プレドニゾンようなプレドニゾン、デキサメタゾン、または全身コルチコステロイド治療を含むグルココルチコイド)、非リンパ球減少性免疫抑制療法(例えばMMFまたはシクロスポリン)、「スタチン」クラスのコレステロール低下薬(セリバスタチン(cerivastatin)(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(fluvastatin)(LESCOL(登録商標))、アトバスタチン(atorvastatin)(LIPITOR(登録商標))、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、そして、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標)を含む)、エストラジオール、テストステロン(任意で高投薬量;、Stuve等Neurology 8:290-301(2002))、アンドロゲン、ホルモン補充療法、TNF抑制剤(例えばエタネルセプト(ENBREL(登録商標))インフリキシマブ(REMICADE登録商標)、及びアダリムマブ(adalimumab)(HUMIRA登録商標)、疾患修飾抗リウマチ剤(DMARD)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、血漿交換またはプラズマ交換、トリメトプリムスルファメトキサゾール(BACTRIM(登録商標)、SEPTRA(登録商標))ミコフェノール酸モフェチル、H2受容体遮断薬またはプロトンポンプ阻害剤(潜在性潰瘍誘発免疫抑制療法を使う間)、レボチロキシン、シクロスポリンA(例えばSANDIMMUNE(登録商標))、ソマタスタチン(somatastatin)類似体、サイトカイン、サイトカインまたはサイトカイン受容体抗体またはアンタゴニスト、代謝拮抗物質、復帰手術または結腸切除、放射性ヨウ素、甲状腺摘出術、BAFFアンタゴニスト(例えばBAFFまたはBR3抗体またはイムノアドヘシン)、抗CD40受容体または抗CD40リガンド(CD154)、抗IL-6受容体アンタゴニストまたは抗体、抗IL-2抗体(例えばdaclizumab)、他のB細胞表面アンタゴニストまたは抗体(例えば、リツキシマブによるヒト化2H7または他のヒト化またはヒトCD20抗体)、経口コルチコステロイド(例えばCD20抗体またはアンタゴニストによる最初の治療から2年以内で)、プレドニゾン(例えば、少なくとも2週間持続の20mg/日のプレドニゾン等価量)、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ(adalimumab)、アミノサリチル酸(例えば3週間以上の安定服用)、経口コルチコステロイド(例えば2週間以上の安定服用)、6−MP(例えば3ヵ月の治療中の、4週間以上の安定服用)、アザチオプリン(例えば3ヵ月の治療中の、4週間以上の安定服用)、カルシニュリン抑制剤、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、局在直腸製剤、非生物学性細胞減少療法、(例えばADACOLUMN登録商標、抗生物質、止瀉薬)、胆汁酸バインダ(例えばコレスチラミン)、経口および/または局所用5-ASA、経口および/または局所用ステロイド、MLN-02、メサラミン、コーチゾン・クリーム、ヒドロコルチゾン浣腸、スルファサラジン、alsalazine、バルサラジド、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ACTH、静注コルチコステロイド、GELTEX(登録商標)(ジェンザイム)、抗CD3抗体(例えばvisilizumab(NUVION登録商標))、OPC-6535、CBP1011、サリドマイド、ISIS 2302、BXT-51072、増殖因子、例えばケラチン生成細胞増殖因子-2(KGF-2;REPIFERMIN登録商標)、RPD-58、antegren、FK-506、その他。
好適な第2医薬は、以下の1つ、2つ、3つ、または4つを含む:アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6-メルカプトプリン(6−MP)およびアザチオプリン。
「併用療法」のある好適な方法において、本願明細書において、本発明は、活動期IBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法に関する、CD20抗体の有効量を患者に投与することを含んでなり、そして、アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6-メルカプトプリン(6−MP)およびアザチオプリンからなる群から選択した第2医薬の有効量を患者に投与することを更に含んでなる方法に関する。
上記すべての第2医薬は、第1医薬とお互いに併用して又はそれ自体が第1医薬ととも使われることができるので、「第2医薬」なる表現は本願明細書において、それぞれ、それが第1医薬のほか、唯一の薬剤であることを意味しない。このように、第2医薬は、1つの薬剤である必要はなく、1つの該薬剤より多くのものから構成するか含んで成ってもよい。
「併用療法」のある好適な方法において、本願明細書において、本発明は、活動期IBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法に関する、CD20抗体の有効量を患者に投与することを含んでなり、そして、アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6-メルカプトプリン(6−MP)およびアザチオプリンからなる群から選択した第2医薬の有効量を患者に投与することを更に含んでなる方法に関する。
上記すべての第2医薬は、第1医薬とお互いに併用して又はそれ自体が第1医薬ととも使われることができるので、「第2医薬」なる表現は本願明細書において、それぞれ、それが第1医薬のほか、唯一の薬剤であることを意味しない。このように、第2医薬は、1つの薬剤である必要はなく、1つの該薬剤より多くのものから構成するか含んで成ってもよい。
本願明細書の上記第2医薬は、これまで使用された、またはこれまでに使用された投薬量の1から99%までについて、同一用量または同一投与経路が使用できる。該第2医薬が少しでも使われる場合、任意に、特に第1医薬の最初投与を過ぎた次の投与において、第1医薬が存在していない時よりも少ない用量で使われ、このことにより引き起こされる副作用を排除しまたは減らす。例えば、本願明細書においてCD20抗体を用いる治療により、ステロイドの投与を漸減または中止をが可能である。
本願明細書において併用投与は、別々の製剤または単一の製薬製剤を使用する同時投与、およびいずれかの順番での連続的投与を含む。好ましくは、両方の(または全て)活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間がある。
本願明細書において併用投与は、別々の製剤または単一の製薬製剤を使用する同時投与、およびいずれかの順番での連続的投与を含む。好ましくは、両方の(または全て)活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間がある。
本願明細書において再治療の方法は、第2医薬は有効量を抗体のセットで投与されるものであり、それはいくつかのセットの投与によって、例えば、1セットの投与だけにより、または複数セットの服用により投与されることができる。ある実施態様において、第2医薬は投与の初回セットで与えられる。他の実施態様では、第2医薬は、投与の最初と2回目のセットで与えられる。なお更なる実施態様において、第2医薬は、投与の全てのセットで与えられる。
第2医薬の併用投与は、別々の製剤または単一の製薬製剤を使用、同時投与(並列の投与)および連続投与を含む。そこにおいて、好ましくは、両方の(または全て)活性薬剤(医薬)が同時にそれらの生物学的活性を発揮する期間がある。
本願明細書において、抗体またはアンタゴニストはいかなる適切な手段にもよって投与され、非経口、局在、皮下の、腹膜内、肺内、鼻腔内、および/または、病巣内投与を含む。非経口注入は、筋肉内、静脈内(i.v.)、動脈内、腹膜内、皮下の投与を含む。髄膜下の投与もまた、考慮される(参照、US2002/0009444, Grillo-Lopez, A concerning intrathecal delivery of a CD20antibodyなど)。加えて、抗体またはアンタゴニストは、最適に、例えばアンタゴニストまたは抗体の漸減的用量を、パルス注入によって投与されてもよい。好ましくは、投与は静脈内にまたは皮下に与えられ、そしてより好ましくは静注である。
抗体投与の複数セットが提供される場合、服用の各々のセットは同一または異なる投与手段を使用して提供されることができる。ある実施態様において、投与の各々の一セットは、静脈内投与による。他の実施態様では、投与の各々の一セットは、皮下の投与によって与えられる。さらに別の実施態様では、投与のセットは静脈内でまたは皮下の投与によって与えられ、そして、抗体は同一でも異なってもよい。
該アンタゴニストおよび抗体を生産する、修飾する、調整する方法に関する議論は、後述する。
該アンタゴニストおよび抗体を生産する、修飾する、調整する方法に関する議論は、後述する。
III. アンタゴニストおよび抗体の生産
本発明の製造の方法および物品は、B細胞表面マーカーと結合するアンタゴニストまたは抗体を使用し、または組み込む。したがって、該アンタゴニストまたは抗体を生成する方法を、ここに記載する。
B細胞表面マーカーは製造のために、スクリーニングのために、使用され、アンタゴニストまたは抗体は、例えば、抗原または所望のエピトープを含むそれの部分の可溶形態であってもよい。あるいは、または加えて、B細胞表面マーカーを発現している細胞は、それらの細胞表面がアンタゴニストまたは抗体の製造またはスクリーンニングに使用できる。アンタゴニストまたは抗体の生成に役立つB細胞表面マーカーの他形態は、当業者にとって明らかである。好ましくは、B細胞表面マーカーはCD20抗原である。
本発明の製造の方法および物品は、B細胞表面マーカーと結合するアンタゴニストまたは抗体を使用し、または組み込む。したがって、該アンタゴニストまたは抗体を生成する方法を、ここに記載する。
B細胞表面マーカーは製造のために、スクリーニングのために、使用され、アンタゴニストまたは抗体は、例えば、抗原または所望のエピトープを含むそれの部分の可溶形態であってもよい。あるいは、または加えて、B細胞表面マーカーを発現している細胞は、それらの細胞表面がアンタゴニストまたは抗体の製造またはスクリーンニングに使用できる。アンタゴニストまたは抗体の生成に役立つB細胞表面マーカーの他形態は、当業者にとって明らかである。好ましくは、B細胞表面マーカーはCD20抗原である。
好適なアンタゴニストが抗体である一方で、抗体以外のアンタゴニストは本願明細書において考察される。例えば、アンタゴニストは、細胞傷害活性剤(例えば本願明細書において記載されているもの)に任意に結合し、または結合した小分子アンタゴニストを含んでもよい。小分子のライブラリは、その抗原と結合する小さい分子を識別するために、本願明細書において興味があるB細胞表面マーカーに対して選別することができる。小分子は、更にその拮抗特性のために選別されること、および/または細胞傷害活性剤と接合されることができる。
アンタゴニストは、また、合理的な設計によってまたはファージ表示によって生成されるペプチドであってもよい(1998年8月13日発行のWO98/35036参照)。ある実施形態において、分子の選択は、抗体のCDRに基づいて設計される「CDR模倣体」または抗体の類似体であってもよい。該ペプチドそれ自身が拮抗剤となる一方で、ペプチドの拮抗特性を付加するかまたは促進するために細胞傷害性剤に任意に融合することができる。
説明は、本発明によって使用する抗体の生産の具体的技術に関してはあとに述べる。
説明は、本発明によって使用する抗体の生産の具体的技術に関してはあとに述べる。
(i) ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、適切な抗原および補助剤の多数の皮下(sc)または腹膜内(ip)注射によって、動物において生じる。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質に適切な抗原を接合することは、役立つであろう。例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、または二官能性または誘導体化している薬品を使用している大豆トリプシン抑制剤、例えば、マレイミドベンゼル スルホスシニミド(maleimidobenzoyl sulfosuccinimide)エステル(システイン残基による融合)、N-ハイドロキシスシニミド(hydroxysuccinimide)(リジン残基で)、グルタルアルデヒド、コハク無水物、SOCl2またはR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NR。
ポリクローナル抗体は、好ましくは、適切な抗原および補助剤の多数の皮下(sc)または腹膜内(ip)注射によって、動物において生じる。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質に適切な抗原を接合することは、役立つであろう。例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、または二官能性または誘導体化している薬品を使用している大豆トリプシン抑制剤、例えば、マレイミドベンゼル スルホスシニミド(maleimidobenzoyl sulfosuccinimide)エステル(システイン残基による融合)、N-ハイドロキシスシニミド(hydroxysuccinimide)(リジン残基で)、グルタルアルデヒド、コハク無水物、SOCl2またはR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NR。
動物は、以下の組合せによって、抗原、免疫原性結合体または誘導剤に対して予防接種をされる、例えば、100μgまたは5μgのタンパク質または複合体(それぞれ、ウサギまたはマウスに)を3ボリュームのフロイントの完全補助剤とともに、多部位で皮内に該溶液を注入する。1ヵ月後に、動物は、ペプチドまたは補助剤の当初量の1/5〜1/10を、多部位の皮下注射によって、追加免疫される。7〜14日後に、動物は採血されて、そして、血清は抗体価を評価される。動物は、抗体価がプラトーに達するまで追加免疫される。好ましくは、動物は同じ抗原の共役によって追加免疫されるが、異なるタンパク質におよび/または異なるクロスリンク試薬で結合されてもよい。共役も、タンパク質融合として組換え細胞培養物において作られることができる。また、硫酸アルミニウムのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
(ii) モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、たとえば、少量存在しているかもしれない自然に生じた突然変異体を除いて集団に含まれる個々の抗体は均一である。このように、「モノクローナル」なる修飾語は、別々の抗体の混成でない抗体の特徴を示す。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler等(Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されているハイブリドーマ法を使用して作られることができるかまたは組み換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)によって作られることができる。
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、たとえば、少量存在しているかもしれない自然に生じた突然変異体を除いて集団に含まれる個々の抗体は均一である。このように、「モノクローナル」なる修飾語は、別々の抗体の混成でない抗体の特徴を示す。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler等(Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されているハイブリドーマ法を使用して作られることができるかまたは組み換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)によって作られることができる。
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適当な宿主動物(例えばハムスター)はリンパ球を引き出すために上記されているように免疫化され、リンパ球は特に免疫化のために使用するタンパク質と結合する抗体を生産または生じることができるものである。あるいは、リンパ球は、生体外で免疫化されてもよい。リンパ球は、それから、適切な融合剤(例えばポリエチレングリコール)を使用してミエローマ細胞と融和し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59-103(Academic Press,1986))。
ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、非融合の、親のミエローマの成長または残存を阻害する一つ以上の物質を含む適切な培地に、まかれて成長する。例えば、親のミエローマが酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含有する。好適なミエローマ細胞は、能率的に融合するものであって、選択された抗体生成細胞による抗体の安定した高水準生産をサポートするものであり、および培地(例えばHAT培地)に感受性である。これらの中で、好適なミエローマ細胞系は、ソーク研究所Cell Distributionセンター(サンディエゴ,カリフォルニア、米国)から入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍およびアメリカのType Culture Collection(マナサス, ヴァージニア、米国)から入手可能なSP−2または X63−Ag8−653細胞である。ヒトミエローマおよびマウス-ヒト・ヘテロミエローマ細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の製造のために記載されていた(Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeur等、Monoclonal Antibody Production Techniquesand Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker,Inc.,New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が成長する培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の生産のためにアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によってできるモノクローナル抗体の結合性特性は、免疫沈降によってまたは生体外結合実験(例えば標識免疫検定法(RIA)または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA))によって測定される。
モノクローナル抗体の結合アフィニティは、例えば、Munson 等(Anal. Biochem.,107:220 (1980))のスキャッチャード分析で測定されることができる。
モノクローナル抗体の結合アフィニティは、例えば、Munson 等(Anal. Biochem.,107:220 (1980))のスキャッチャード分析で測定されることができる。
所望の特性、親和性および/または活性の抗体を生産するハイブリドーマ細胞が識別されたあと、クローンは限界希釈方法によってサブクローン化されて、標準の方法によって成長させてもよい(Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁、アカデミック出版, 1986年)。適切な培養培地は、この目的のために、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫瘍として生体内で成長させることができる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン浄化手順、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析または親和性クロマトグラフィによって、培養培地、腹水液、または血清から適切に分離される。
モノクローナル抗体が、また、組換えによっても生成することができる。モノクローナル抗体をコードしているDNAは、直ちに分離されて、例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特に結合するオリゴヌクレオチドのプローブを用いた通常の手順を使用して配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、該DNAの好適な供給源として役立つ。一旦分離されると、DNAは発現ベクターに入れることができる。そして、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得ために、宿主細胞、例えば大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリン・タンパク質を生産しないミエローマ細胞に移入される。抗体をコードしているDNAのバクテリアのリコンビナント発現に関する総説は、Skerra等(Curr.Opinion in Immunol., 5:256-262 (1993))およびPluckthun(Immunol. Revs., 130:151-188(1992))がある。
さらなる実施形態において、抗体または抗体断片は、McCafferty等(Nature,348:552-554 (1990))に記載されている技術を使用して生成する抗体ファージライブラリから分離されることができる:Clackson等(Nature,352:624-628(1991))およびMarks 等(J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991) )はそれぞれ、ファージライブラリを使用したマウスおよびヒト抗体の単離について記載する。続く刊行物は、チェーンシャッフルによる高親和性(nM値域)ヒト抗体の製造を(Marks 等、Bio/Technology、10:779-783 (1992))記載し、同様に非常に大きなファージライブラリを構築するための戦略として組合せ感染および生体内組換え(Waterhouse等Nuc.Acid.Res.21:2265-2266(1993))を記載する。このように、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離の従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する現実的代案である。
DNAも修飾することができる。たとえば、対応するのマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列と置換することによって(米国特許第4,816,567号;Morrison等(Proc.Natl Acad.Sci. USA,81:6851(1984))、または免疫グロブリン・コード配列、または非免疫グロブリン・ポリペプチドのコード配列の一部または全部または共有結合によって連結することによってである。
概して、この種の非免疫グロブリン・ポリペプチドは抗体の定常ドメインと置換される、または、それらはある抗原に対し抗原特異性を有する抗原結合性サイトと異なる抗原に特異性を持つ別の抗原結合性サイトを含んでなる、キメラ二価抗体を作るための抗体のある抗原結合性サイトの可変ドメインと置換される。
(iii) ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は、従来技術に記載されていた。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトのソース由来のそれに導入された一つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「輸入」残基とよばれ、それは「輸入」可変ドメインから典型的に取り出される。ヒト化は、高頻度可変領域配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、Winterおよび同僚の方法で、基本的に実行することができる(Jones 等、 Nature,321:522-525 (1986); Riechmann 等 Nature,332:323-327 (1988); Verhoeyen 等Science,239:1534-1536(1988))。したがって、該「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、非ヒト種由来の対応する配列によって置換された完全なヒト可変ドメインより少ない。実際には、ヒト化抗体は、通常は高頻度可変領域残基およびおそらく数FR残基が齧歯目抗体の相似サイト由来残基によって置換されるヒト抗体である。
非ヒト抗体をヒト化する方法は、従来技術に記載されていた。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトのソース由来のそれに導入された一つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「輸入」残基とよばれ、それは「輸入」可変ドメインから典型的に取り出される。ヒト化は、高頻度可変領域配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、Winterおよび同僚の方法で、基本的に実行することができる(Jones 等、 Nature,321:522-525 (1986); Riechmann 等 Nature,332:323-327 (1988); Verhoeyen 等Science,239:1534-1536(1988))。したがって、該「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、非ヒト種由来の対応する配列によって置換された完全なヒト可変ドメインより少ない。実際には、ヒト化抗体は、通常は高頻度可変領域残基およびおそらく数FR残基が齧歯目抗体の相似サイト由来残基によって置換されるヒト抗体である。
ヒト化抗体を作る際に使われるヒト可変ドメイン(軽鎖と重鎖の両方)の選択は、抗原性を減らすために、非常に重要である。いわゆる「最適な」方法では、周知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリに相当する、齧歯目の抗体の可変ドメイン配列が調べられる。齧歯目の配列に最も近いヒト配列は、それによってヒト化抗体のためのヒト・フレームワーク領域(FR)として認められる(Sims等、J.Immunol.、151:2296(1993);Chothia等J.Mol.Biol.,196:901(1987))。他の方法は、軽鎖または重鎖の特定サブグループの全ヒト抗体共通配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体のために用いられることができる(Carter 等、 Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992); Presta 等J.Immunol.,151:2623(1993))。
抗原に対する高親和性の保持および他の有利な生物学的特性のためにヒト化は更に重要である。この目的を達成するために、好適な方法によれば、ヒト化抗体は、親配列とヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列とさまざまな概念上のヒト化産物の解析過程によって準備される。三次元免疫グロブリン・モデルは、一般に利用できて、当業者になじみがある。コンピュータプログラムは、選択された候補免疫グロブリン配列の推定三次元配置構造を図解し表示するものが利用できる。これらのディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能において残基の役割の可能性(すなわちその抗原を結合するように候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基の分析)を解析することができる。このような方法で、FR残基は選ばれ、受取側と組み合わさって、配列を輸入することで、所望の抗体特徴(例えば標的抗原のために増加した親和性)が成し遂げられる。一般に、高頻度可変領域残基は、抗原結合性に影響することに直接的にそして最も実質的に関係している。
(iv) ヒト抗体
ヒト化に代わるものとして、ヒト抗体は生成することができる。例えば、現在,内因性のイムノグロブリン生産がない場合、免疫処置によって、ヒト抗体の完全なレパートリを産生する能力があるトランスジェニック動物(例えばマウス)を産生することは可能である。例えば、キメラのおよび生殖細胞系変異体マウスの抗体重鎖J領域(JH)遺伝子の同型接合での欠失が内生抗体産生の完全な抑制に結果としてなることは、記載されている。該生殖細胞系変異体マウスのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子配列の転送は結果として、抗原チャレンジに応じてヒト抗体の生産となる。参照Jakobovits等Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits等、Nature, 362:255-258(1993);Bruggermann等YearinImmuno., 7:33(1993);及び、米国特許第5,591,669号、5,589,369および5,545,807。
ヒト化に代わるものとして、ヒト抗体は生成することができる。例えば、現在,内因性のイムノグロブリン生産がない場合、免疫処置によって、ヒト抗体の完全なレパートリを産生する能力があるトランスジェニック動物(例えばマウス)を産生することは可能である。例えば、キメラのおよび生殖細胞系変異体マウスの抗体重鎖J領域(JH)遺伝子の同型接合での欠失が内生抗体産生の完全な抑制に結果としてなることは、記載されている。該生殖細胞系変異体マウスのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子配列の転送は結果として、抗原チャレンジに応じてヒト抗体の生産となる。参照Jakobovits等Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits等、Nature, 362:255-258(1993);Bruggermann等YearinImmuno., 7:33(1993);及び、米国特許第5,591,669号、5,589,369および5,545,807。
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty等、Nature 348:552-553 (1990))は、非免疫化提供者からの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリから、インビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを生成するために用いることができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージ(例えばM13またはfd)のメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子のどちらかにクローン化したインフレームであって、ファージ粒子の表面に機能的な抗体フラグメントとして提示される。糸状の分子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選別は結果として、それらの特性を呈している抗体をコード化している遺伝子の選択となる。このように、ファージは、B細胞のいくつかの特性に擬態する。ファージディスプレイは、種々のフォーマットにおいて実行されることができる;それらの総説は以下を参照、Johnson,Kevin S. 及び Chiswell, David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)。V遺伝子セグメントのいくつかの源が、ファージディスプレイのために使われることができる。Clackson等(Nature,352:624-628(1991))は、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを、免疫マウスの脾臓に由来するV遺伝子のランダムな組合せの小ライブラリから単離した。非免疫化ヒト提供者からのV遺伝子のレパートリが構築でき、そして、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体は、Marks 等(J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991))または Griffith 等( EMBO J. 12:725-734 (1993))に記載されている技術によって、基本的に分離されることができる。また、米国特許第5,565,332号および5,573,905を参照。
ヒト抗体は、また、インビトロで活性型B細胞(米国特許第5,567,610号および5,229,275を参照)によって産生することができる。
ヒト抗体は、また、インビトロで活性型B細胞(米国特許第5,567,610号および5,229,275を参照)によって産生することができる。
(v) 抗体フラグメント
さまざまな技術が、抗体フラグメントの産生のために開発されている。伝統的に、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化により作られていた(参照,Morimoto等、Journal of Biochemical andBiophysical Methods 24:107-117 (1992) およびBrennan 等、Science,229:81(1985)等)。しかしながら、これらの断片は、現在組換え宿主細胞によって直接産生されることができる。例えば、抗体フラグメントは、上述の抗体ファージライブラリから分離されることができる。あるいは、Fab’−SH断片は、大腸菌から直接回収され、化学的にF(ab’)2断片に連結させることができる(Carter 等、Bio/Technology 10:163-167 (1992))。他の方法によれば、F(ab’)2 断片は、組換え宿主細胞培養株から直接に分離されることができる。抗体フラグメント産生の他技術は、熟練した当業者にとっては明白である。他の実施態様において、選択される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。以下を参照、WO 93/16185;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号。抗体フラグメントは、また、例えば、米国特許第5,641,870号にて説明したように、「直鎖抗体」であってもよい。この種の直鎖抗体フラグメントは、単一特異性でも、二重特異性でもよい。
さまざまな技術が、抗体フラグメントの産生のために開発されている。伝統的に、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化により作られていた(参照,Morimoto等、Journal of Biochemical andBiophysical Methods 24:107-117 (1992) およびBrennan 等、Science,229:81(1985)等)。しかしながら、これらの断片は、現在組換え宿主細胞によって直接産生されることができる。例えば、抗体フラグメントは、上述の抗体ファージライブラリから分離されることができる。あるいは、Fab’−SH断片は、大腸菌から直接回収され、化学的にF(ab’)2断片に連結させることができる(Carter 等、Bio/Technology 10:163-167 (1992))。他の方法によれば、F(ab’)2 断片は、組換え宿主細胞培養株から直接に分離されることができる。抗体フラグメント産生の他技術は、熟練した当業者にとっては明白である。他の実施態様において、選択される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。以下を参照、WO 93/16185;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号。抗体フラグメントは、また、例えば、米国特許第5,641,870号にて説明したように、「直鎖抗体」であってもよい。この種の直鎖抗体フラグメントは、単一特異性でも、二重特異性でもよい。
(vi) 二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに結合特異性を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープと結合することができる。該抗体は第1のB細胞マーカーを結合して、更に第2のB細胞表面マーカーを結合する。あるいは、抗B細胞マーカーの結合アームは、B細胞に対する細胞性防御機構に集中するために、T細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)あるいはIgGのFc受容体(FcγR)(例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16))のような白血球上の引き金となる分子に結合するアームと結合する。二重特異性抗体は、また、B細胞に細胞傷害性剤を局所化するために用いてもよい。これらの抗体は、B細胞マーカー結合性アームと細胞傷害性剤(例えばサポリン、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位元素ハプテン)を結合するアームを所有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として準備されることができる。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに結合特異性を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープと結合することができる。該抗体は第1のB細胞マーカーを結合して、更に第2のB細胞表面マーカーを結合する。あるいは、抗B細胞マーカーの結合アームは、B細胞に対する細胞性防御機構に集中するために、T細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)あるいはIgGのFc受容体(FcγR)(例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16))のような白血球上の引き金となる分子に結合するアームと結合する。二重特異性抗体は、また、B細胞に細胞傷害性剤を局所化するために用いてもよい。これらの抗体は、B細胞マーカー結合性アームと細胞傷害性剤(例えばサポリン、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位元素ハプテン)を結合するアームを所有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として準備されることができる。
二重特異性抗体を作る方法は、公知技術である。完全長二重特異性抗体の従来の生産は2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づく。ここで、2つのチェーンは異なる特異性を有する(Millstein 等、Nature, 305:537-539 (1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10の異なる抗体分子の混成を産生する可能性がある。そして、その中で1だけが正しい二重特異性の構造を有する。正しい分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィ工程によってされるが、煩雑で、製品収率は低い。類似した手順は、WO 93/08829およびTraunecker等(EMBO J.10:3655-3659(1991))において開示される。
異なる方法によれば、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、イムノグロブリン定常ドメイン配列に連結させられる。連結は好ましくは、少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部から成る免疫グロブリン重鎖定常ドメインにおいてである。軽鎖結合性のために必要なサイトを含んでいる第1の重鎖定常部(CH1)を有し、連結のうちの少なくとも1つに存在するするのことが好しい。免疫グロブリン重鎖連結および、必要に応じて、免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAsは、別々の発現ベクトルに入れられて、適切な宿主生物に共同トランスフェクションさせる。上記構築に使用する3つのポリペプチド鎖の不等な比率が最適収率を提供するときに、実施態様において3つのポリペプチド断片の相互比率を調整する際の大きな柔軟性を提供する。しかしながら、2つまたは全3つのポリペプチド鎖のコード配列をある1つの発現ベクターに挿入すること、等しい比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が結果として高収率になる時、または、比率が特別な意味がないときに、可能である。
この方法の好ましい実施態様において、二重特異性抗体は、一方のアームに第一結合特異性をもつハイブリッド免疫グロブリン重鎖抗体および他のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖ー軽鎖の対(第2結合特異性を提供する)を含んでなる。二重特異性分子の片側半分だけに免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の容易な方法を提供する。この非対称の構造が不必要なイムノグロブリン鎖状結合から所望の二重特異性合成物の分離を容易にすることが判明した。この方法は、WO 94/04690において開示される。二重特異性抗体を生成することの詳細は、Suresh等 (Methods in Enzymology,121:210(1986).121:210(1986))を参照。
米国特許第5,731,168号に記載されている他の方法によれば、一対の抗体分子間のインタフェースは、組換え細胞培養株から回収されるヘテロダイマのパーセンテージを最大にするために設計されることができる。好適なインタフェースは、少なくとも抗体定常ドメインのCH3ドメインの一部を含んでいる。この方法では、第1の抗体分子のインタフェースからの一つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)と交換される。大きい側鎖に対する同一であるか類似したサイズの代わりの「あな(cavity)」は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えばアラニンまたはスレオニン)と交換することによって、第2の抗体分子のインタフェースにつくられる。これは、他の不必要な最終生産物(例えばホモダイマ)に対するヘテロダイマの収率を増やすための機構を提供する。
二重特異性抗体は、架橋結合した、又は「ヘテロに結合した」抗体を含む。例えば、該ヘテロ結合において抗体のうちの1つは、アビジンに、他方はビオチンに連結することができる。該抗体は、例えば、不必要な細胞(米国特許第4,676,980号)に、そして、HIV感染症(WO 91/00360、WO 92/200373およびEP 03089)の治療のために免疫系細胞を目標とするために提案された。ヘテロ結合した抗体は、いかなる便利な架橋結合の方法も使用して作られることができる。多くの架橋結合の技術に加えて、適切な架橋結合剤は、公知技術で、米国特許第4,676,980号において開示される。
抗体フラグメントからの二重特異性抗体を生成する技術は、また、文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して準備されることができる。Brennan等(Science,229:81(1985))は、F(ab’)2を生成するために完全な抗体が蛋白質加水分解で切断されることを含む手順を記載する。これらの断片は、ジチオール錯化剤の存在下で、亜ヒ酸ナトリウムを還元し近接のジチオールを安定させて、分子間ジスルフィド形成を予防する。それから、生成されたFab’断片は、チオ・ニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変わる。Fab’−TNB誘導体のうちの1つは、それからメルカプトエチルアミンによる還元によってFab’−チオールに復帰して、二重特異性抗体を形成するために、他のFab’−TNB誘導体の等モル量を混ぜ合わせられる。産生された二重特異性抗体が、酵素の選択的な固定化のための作用剤として使われることができる。
最近の発展は大腸菌からFab'-SH断片の直接の回収を容易にした。そして、それは二重特異性抗体に化学的に連結することができる。Shalaby等(J.Exp.Med.,175:217-225(1992))は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の生産を記載する。各々のFab'断片は、別に大腸菌から分泌されて、二重特異性抗体を形成するために、インビトロで誘導された化学結合を受けた。このように形成される二重特異性抗体はErbB2受容体を過剰発現させている細胞、および正常ヒトT細胞と結合することが可能だった。同様にヒト胸部腫瘍標的に対してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を起動させることが可能だった。
組換え細胞培養物から直接に二重特異性抗体断片を作って、分離することのさまざまな技術も、記載されていた。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生された。Kostelny等(J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992))。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパー・ペプチドは、遺伝子融合により、2つの異なる抗体のFab'部分に結合された。抗体ホモダイマをヒンジ領域で還元してモノマを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマを形成する。この方法は、また、抗体作成ホモダイマのために利用されることができる。Hollinger等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993))によって記載されている「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作るための代わりの機構を提供した。断片は、リンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続している重鎖可変ドメイン(VH)を含んで成り、そのリンカーは同じ鎖上の2ドメイン間の組合せるにはあまりに短い。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインは相補的なVLおよび他の断片のVH領域と組合せることが強制的にされ、それによって、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマの使用によって二重特異性抗体断片を作るための他の戦略も、報告された。Gruber 等(J. Immunol., 152:5368(1994))を参照。
2つ以上の結合価を有する抗体は、意図される。例えば、三重特異性抗体は、準備されることができるTutt等(J.Immunol. 147: 60 (1991))。
2つ以上の結合価を有する抗体は、意図される。例えば、三重特異性抗体は、準備されることができるTutt等(J.Immunol. 147: 60 (1991))。
IV. アンタゴニストまたは抗体の結合物および他の変更態様
方法で使われるアンタゴニストまたは抗体は、または本願明細書において製造の物品に含まれるアンタゴニストまたは抗体は、他の作用剤に任意に結合する。例えば、細胞傷害性剤またはサイトカイン(例えば、IL2;、参照,WO2005/016969)。
結合は通常共有結合で達成される。そして、それの正確な性質は、標的分子およびCD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチド上の結合サイトで決定される。概して、非ペプチド性剤は、化学修飾によってCD20アンタゴニストまたは抗体上に導かれるそのアミノ酸側鎖、糖鎖、または反応基を介して、CD20アンタゴニストまたは抗体に結合することを許すリンカーの追加によって修正される。例えば、薬剤は、リジン残基のε-アミノ基を介して、フリーのα-アミノ基を介して、システイン残基に対するジスルフィド交換によって、又は過ヨウ素酸を有する糖鎖の1,2-ジオールの酸化によって取り付けることができ、シッフ塩基結合によるさまざまな求核剤を含んでいる薬剤の付加を許すことになる。米国特許第4,256,833号参照。タンパク質修飾剤は、アミン反応試薬(例えば、反応性エステル、イソチオシアンテテス(isothiocyantates)、アルデヒドおよびスルホニル・ハライド)、チオール反応試薬(例えば、ハロ・アセチル誘導体およびマレイミド)およびカルボン酸反応試薬とアルデヒド反応試薬を含む。CD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチドは、二機能性架橋試薬の使用によってペプチド剤に共有結合する。ヘテロ二価性試薬はより一般的に使われており、2つの異なる反応部分の使用による2つの異なるタンパク質の制御された結合ができるようにする(例えば、チオール、ヨードアセトアミドまたはマレイミドを付加したアミン反応)。この種の連結剤の使用は、公知技術である。Brinkley(上掲)および米国特許第4,671,958号を参照。ペプチドのリンカーは、また、使用されることができる。択一的に、CD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチドは、融合ポリペプチドの処理によってペプチド部分に連鎖するさせることができる。
方法で使われるアンタゴニストまたは抗体は、または本願明細書において製造の物品に含まれるアンタゴニストまたは抗体は、他の作用剤に任意に結合する。例えば、細胞傷害性剤またはサイトカイン(例えば、IL2;、参照,WO2005/016969)。
結合は通常共有結合で達成される。そして、それの正確な性質は、標的分子およびCD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチド上の結合サイトで決定される。概して、非ペプチド性剤は、化学修飾によってCD20アンタゴニストまたは抗体上に導かれるそのアミノ酸側鎖、糖鎖、または反応基を介して、CD20アンタゴニストまたは抗体に結合することを許すリンカーの追加によって修正される。例えば、薬剤は、リジン残基のε-アミノ基を介して、フリーのα-アミノ基を介して、システイン残基に対するジスルフィド交換によって、又は過ヨウ素酸を有する糖鎖の1,2-ジオールの酸化によって取り付けることができ、シッフ塩基結合によるさまざまな求核剤を含んでいる薬剤の付加を許すことになる。米国特許第4,256,833号参照。タンパク質修飾剤は、アミン反応試薬(例えば、反応性エステル、イソチオシアンテテス(isothiocyantates)、アルデヒドおよびスルホニル・ハライド)、チオール反応試薬(例えば、ハロ・アセチル誘導体およびマレイミド)およびカルボン酸反応試薬とアルデヒド反応試薬を含む。CD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチドは、二機能性架橋試薬の使用によってペプチド剤に共有結合する。ヘテロ二価性試薬はより一般的に使われており、2つの異なる反応部分の使用による2つの異なるタンパク質の制御された結合ができるようにする(例えば、チオール、ヨードアセトアミドまたはマレイミドを付加したアミン反応)。この種の連結剤の使用は、公知技術である。Brinkley(上掲)および米国特許第4,671,958号を参照。ペプチドのリンカーは、また、使用されることができる。択一的に、CD20アンタゴニストまたは抗体ポリペプチドは、融合ポリペプチドの処理によってペプチド部分に連鎖するさせることができる。
更なる二機能性タンパク質カップリング剤の例は、N-スクシンイミジル-3(2-pyridyldithiol)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4(N-maleimidomethyl)シクロヘキサン-1-カルボン酸エステル、イミノチオラン(IT)、イミドエステル(例えば、アジピイミド酸ジメチルHCL)の二機能性誘導体、活性型エステル(例えばジ・サクシニミジル・スベリン酸塩)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス・アジド合成物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えばトリエン2,6-ジイソシアナート)、そして、ビス-活性型フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を含む。
あるいは、アンタゴニストまたは抗体および作用剤から成る融合タンパク質は、例えばリコンビナント技術またはペプチド合成によって作られてもよい。
アンタゴニストまたは抗体の他の変更態様は、本願明細書において意図される。例えば、アンタゴニストまたは抗体は、種々の非タンパク性ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー)のうちの1つに連結されてもよい。
アンタゴニストまたは抗体の他の変更態様は、本願明細書において意図される。例えば、アンタゴニストまたは抗体は、種々の非タンパク性ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー)のうちの1つに連結されてもよい。
本願明細書において開示されるアンタゴニストまたは抗体は、また、リポソームとして調整されることができる。アンタゴニストまたは抗体を含んでいるリポソームは、以下に記載されているような公知技術の方法によって準備される;Epstein 等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688 (1985));Hwang等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980));米国特許第4,485,045号および4,544,545;及び、1997年10月23日発行のWO97/38731。循環時間を強化したリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。
特に役立つリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化したホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)から成る脂質組成によって逆相蒸発方法によって生成することができる。リポソームは、所望の直径を有するリポソームを産生するために設定された孔径のフィルタによって押し出される。本発明の抗体のFab’断片は、Martin 等(J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982))に記載されるようにジスルフィド変換反応を介してリポソームに接合されることができる。化学療法薬は、該リポソームの範囲に選択的に含まれる。参照、Gabizon等(J.National Cancer Inst. 81(19): 1484 (1989))。
タンパク質またはペプチド・アンタゴニストまたは抗体のアミノ酸配列順の改変は本願明細書において意図される。例えば、アンタゴニストまたは抗体の結合アフィニティおよび/または他の生物学的性質を改良することは、望ましい。アンタゴニストまたは抗体のアミノ酸配列の変異体は、アンタゴニストまたは抗体核酸に好ましいヌクレオチド変化を導入することによって、またはプチド合成によって、調整される。該変更態様は、例えば、欠失型、および/またはアンタゴニストまたは抗体のアミノ酸配列の範囲内残基への挿入および/または残基の置換を含む。欠失、挿入および置換のいかなる組合せが、最終的なコンストラクトに到達するために実行されて、最終的なコンストラクトが所望の特徴を備えている。アミノ酸改変は、例えば、グリコシル化サイトの数または位置を変えている、アンタゴニストまたは抗体の翻訳後処理を変えることができる。
突然変異生成の好適な場所である、アンタゴニストまたは抗体の特定の残基または領域の識別のための役立つ方法は、Cunningham と Wells(Science,244:1081-1085(1989))によって記載されているに「アラニンスキャニング突然変異生成」とよばれる。本願明細書において、標的残基の残基またはグループは、識別され(例えば、arg,asp,his,lys,およびgluのような荷電残基)、そして、抗体のアミノ酸の相互作用に影響を及ぼすために、中性であるか負に荷電するアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によって交換する。それから、置換への機能的な感度を示しているそれらのアミノ酸場所は、置換のサイトにさらなる変異または別の変異を導入することによって、細かく区別をする。このように、アミノ酸配列変化を導入するサイトが前もって決定されるのに対し、突然変異それ自体の性質は前もって決定される必要はない。例えば、特定のサイトで突然変異のパフォーマンスを分析するために、ala(アラニン)スキャンまたはランダムな突然変異生成を標的コドンまたは領域で行い、そして、発現したアンタゴニストまたは抗体変異体は、所望の活性を調べられる。
アミノ酸配列挿入は、1つの残基から、単一または多数のアミノ酸残基の配列内挿入と同様に、一残基から100以上の残基を含んでいるポリペプチドまでの長さの範囲でアミノおよび/またはカルボキシル末端融合を含む。末端挿入の例は、N末端基メチオニル残基を有するアンタゴニストまたは抗体、または、細胞傷害性ポリペプチドを融合したアンタゴニストまたは抗体を含む。アンタゴニストまたは抗体分子の他の挿入変異体は、酵素のアンタゴニストまたは抗体のN末端またはC末端に対する融合またはアンタゴニストまたは抗体の血清半減期を増加するポリペプチドを含む。
他の種類の変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、異なる残基と交換されたアンタゴニストまたは抗体分子に少なくとも一つのアミノ酸残基を有する。抗体アンタゴニストの置換による突然変異生成にとって最大に重要なサイトは高頻度可変領域を含むが、FR変更も意図される。保存的置換は、表4の「好ましい置換」の項目の欄に示される。該置換が生物学的活性の変化に結果としてなる場合、表4で「例示的置換」と名づけたより本質的な変化は、または、アミノ酸クラスに関しての下記の記載に従って導入され、生産物は調べられる。
アンタゴニストまたは抗体の生物的性質の相当な変更態様は、(a)例えば、シートまたはヘリカル構造として、置換部分におけるポリペプチド背骨となる構造、(b)標的サイトの分子の荷電または疎水性、または(c)側鎖の大半を維持することに対する置換の効果において、有意に異なる置換を選ぶことによって完成される。自然にある残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられる:
(1) 疎水性:met,ala, val, leu,ile ;
(2) 中性親水性:cys,ser, thr;
(3) 酸性:cys,ser, thr;
(4)塩基性:asn,gln, his, lys, arg;
(5) 鎖配向に影響する残基:gly,pro;及び,
(6)芳香族:trp, tyr, phe
非保存的置換は、これらのクラスのうち1メンバーを他のクラスと交換することを意味する。
(1) 疎水性:met,ala, val, leu,ile ;
(2) 中性親水性:cys,ser, thr;
(3) 酸性:cys,ser, thr;
(4)塩基性:asn,gln, his, lys, arg;
(5) 鎖配向に影響する残基:gly,pro;及び,
(6)芳香族:trp, tyr, phe
非保存的置換は、これらのクラスのうち1メンバーを他のクラスと交換することを意味する。
アンタゴニストまたは抗体の適正なコンフォメーションを維持することに関係しないいかなるシステイン残基は、分子の酸化安定度を改良して異常な架橋を予防するために、一般にセリンで置換される。反対に、システイン結合は、アンタゴニストまたは抗体に加えられることができて、その安定性を改善する(特にアンタゴニストまたは抗体がFv断片のような抗体フラグメントである場合)。
置換性変異体の特に好適タイプは、親抗体の一つ以上の高頻度可変領域残基置換を含む。通常、更なる発現のために選ばれた結果の変異体は、その生成の由来する親抗体に関係する改良された生物的性質をもつ。該置換性変異体を生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟である。簡潔には、いくつかの高頻度可変領域サイト(例えば6−7サイト)は、各々のサイトで全てのありうるアミンの置換を生成するために変異させられる。このように生成された抗体変異体は、各々の分子内に入れられたM13のジーンIII製品の融合物として、糸状ファージ分子から一価型で提示される。本願明細書において開示されるように、ファージディスプレイされた変異体はそれから、それらの生物学的活性(例えば結合アフィニティ)を調べられる。改変のための候補高頻度可変領域サイトを識別するために、アラニンスキャニング突然変異生成は、抗原結合性に有意に関与している高頻度可変領域残基を識別が実行されることができる。あるいは、または加えて、抗体および抗原の間の接触点を識別するために抗原抗体複合体の結晶構造を分析することは有益であろう。該接触残基および隣接した残基は、本願明細書において詳しく述べる技術による置換の候補である。一旦該変異体が生成されると、本願明細書において記載されているように、変異体のパネルは解析を受ける、そして、一つ以上の適切な分析によって優れた特性を有する抗体は更なる発現のために選ばれることができる。
置換性変異体の特に好適タイプは、親抗体の一つ以上の高頻度可変領域残基置換を含む。通常、更なる発現のために選ばれた結果の変異体は、その生成の由来する親抗体に関係する改良された生物的性質をもつ。該置換性変異体を生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟である。簡潔には、いくつかの高頻度可変領域サイト(例えば6−7サイト)は、各々のサイトで全てのありうるアミンの置換を生成するために変異させられる。このように生成された抗体変異体は、各々の分子内に入れられたM13のジーンIII製品の融合物として、糸状ファージ分子から一価型で提示される。本願明細書において開示されるように、ファージディスプレイされた変異体はそれから、それらの生物学的活性(例えば結合アフィニティ)を調べられる。改変のための候補高頻度可変領域サイトを識別するために、アラニンスキャニング突然変異生成は、抗原結合性に有意に関与している高頻度可変領域残基を識別が実行されることができる。あるいは、または加えて、抗体および抗原の間の接触点を識別するために抗原抗体複合体の結晶構造を分析することは有益であろう。該接触残基および隣接した残基は、本願明細書において詳しく述べる技術による置換の候補である。一旦該変異体が生成されると、本願明細書において記載されているように、変異体のパネルは解析を受ける、そして、一つ以上の適切な分析によって優れた特性を有する抗体は更なる発現のために選ばれることができる。
アンタゴニストまたは抗体の他種類のアミノ酸変異体は、アンタゴニストまたは抗体の本来の糖鎖形成パターンを変える。変わることによってとは、アンタゴニストまたは抗体で見つかる一つ以上の糖鎖部分を削除して、および/またはアンタゴニストまたは抗体に存在しない一つ以上のグリコシル化サイトを付加することを、意味する。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にN−結合型か、O−結合型のどちらかである。N−結合型はアスパラギン残基の側鎖に対する炭化水素部分の付加に関連する。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(ここでXがプロリン以外のいかなるアミノ酸)は、アスパラギン側鎖に対する炭化水素部分の酵素的付加のための認識配列である。このように、ポリペプチドのこれらのトリペプチド配列どちらか存在は、潜在的糖鎖形成サイトをつくる。O-結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用しうるが、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースから一つの糖が、ヒドロキシアミノ酸に、最も一般的にはセリン又はスレオニンに付加することを意味する。
アンタゴニストまたは抗体へのグリコシル化サイトの付加は、それが上記のトリペプチド配列(N−結合型グリコシル化サイトのために)の一つ以上を含むように、アミノ酸配列を変えることによって便利に達成される。変更は、また、最初のアンタゴニストまたは抗体の配列に(O−結合型グルコシル化サイトのために)、一つ以上のセリンまたはトレオニン残基を付加、または置換することによって達成できる。
Fc 領域を含むアンタゴニストまたは抗体は、それに対して取り付けられる糖鎖は変えられることができる。例えば、抗体のFc領域に取り付けられるフコースを欠いている成熟した糖鎖構造を有する抗体は、米国特許出願番号US2003/0157108A1(Presta,L.)に記載されている。また、US2004/0093621A1(協和発酵工業社)を参照。抗体のFc領域に取り付けられる糖鎖の二分岐型Nアセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体は、WO03/011878(Jean-Mairet等)および米国特許第6,602,684号(Umana等)において参照される。抗体のFc領域に取り付けられるオリゴ糖の少なくとも一つのガラクトース残基を有する抗体は、WO97/30087(Patel等)において報告されている。参照、WO98/58964(Raju,S.)およびWO99/22764(Raju,S.)はそれのFc領域に付属した改変された糖鎖に関する。
本願明細書において好適なグルコシル化変異体はFc領域を含んで成る。そこにおいて、Fc領域に取り付けられる糖鎖構造はフコースを欠いている。該変異体は、改良されたADCC機能を持つ。任意には、Fc領域は、更にADCCを改良する一つ以上のアミノ酸置換を更に含んでなる(例えばFc領域の位置298、333および/または334の置換(Euの番号付けによる))。「フコシル除去化(defucosylated)」または「フコース欠如の」抗体に関連した刊行物の例は、以下から成る:米国特許出願番号US 2003/0157108A1(Presta, L);WO00/61739A1;WO01/29246A1;US2003/0115614A1;US2002/0164328A1;US2004/0093621A1;US2004/0132140A1;US2004/0110704A1;US2004/0110282A1;US2004/0109865A1;WO03/085119A1;WO03/084570A1;Okazaki 等(J.Mol. Biol.336:1239-1249 (2004));Yamane-Ohnuki等(Biotech.Bioeng.87:614(2004))。フコシル除去化抗体を生産している細胞株の例は、タンパク質にフコシル化を欠いたLec13CHO細胞((Ripka 等Arch. Biochem.Biophys. 249:533-545 (1986); 米国特許出願番号 US 2003/0157108A1(Presta,L);およびWO 2004/056312 A1(Adams 等), 特に実施例11)、そして、α-1,6-フコシル基転移酵素遺伝子FUT8をノックアウトしたCHO細胞(Yamane-Ohnuki等、Biotech.Bioeng.87:614(2004))ノックアウト細胞系を含む。
アンタゴニストまたは抗体のアミノ酸配列変異体をコードしている核酸分子は、公知技術の種々の方法によって調整される。これらの方法は、自然の源(自然に起こったアミノ酸配列変異体の場合)からの単離または、以前の用意された変異体または、アンタゴニストまたは抗体の非変異体バージョンの、オリゴヌクレオチドによって媒介される(または部位特異的)突然変異生成、PCR突然変異生成およびカセット突然変異生成による調整を含むが、これに制限されない。
例えばアンタゴニストまたは抗体の抗原依存性細胞介在細胞傷害活性(ADCC)および/または補体依存性細胞障害活性(CDC)を強化するために、エフェクター機能に関して本発明のアンタゴニストまたは抗体を改変することは、望ましいであろう。これは、抗体アンタゴニストまたは抗体のFc領域の一つ以上のアミノ酸置換を導くことによって達成されることができる。あるいは、または加えて、システイン残基はFc領域において導入されてもよく、それによって、この領域の鎖間のジスルフィド結合形成を許す。このように生成するホモダイマ抗体は、内部移行する能力を高めることができて、および/または補体媒介性細胞死および抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)が増強された。参照、Caron等(J.Exp Med. 176: 1191-1195 (1992))およびShopes B.(B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)。強化された抗腫瘍活性を有するホモダイマ抗体は、また、ウルフ等(Cancer Research 53:2560-2565(1993))にて説明されたように、ヘテロ二機能性架橋剤を使用して準備されることができる。あるいは、抗体は二重のFc領域を持つように改変されることができ、およびこのことにより補体細胞溶解およびADCC能力を強化される。Stevenson等(Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)。
WO00/42072(Presta, L.)はヒトエフェクター細胞の存在下で、改良されたADCC機能を有する抗体を記載する。ここで、抗体はアミノ酸置換をそれのFc領域に含んで成る。望ましくは、改良されたADCCを有する抗体は、Fc領域(残基のEu番号付けで)の位置298、333および/または334における置換を含んで成る。好ましくは、変えられたFc領域は、これらの位置のうち1つ、2つまたは3つの置換から成る又は含んでなるヒトIgG1Fc領域である。該置換は、C1q結合性および/またはCDCを増強する置換と任意に結合される。
変えられたC1q結合性および/または補体依存性細胞傷害活性(CDC)を有する抗体は、WO99/51642、米国特許第6,194,551B1、米国特許第6,242,195B1、米国特許第6,528,624B1および米国特許第6,538,124(Idusogie等)に記載されている。抗体は、そのFc領域の一つ以上のアミノ酸位置270、322、326、327、329、313、333および/または334(残基のEu番号付け)におけるアミノ酸置換を含んで成る。位置326、327、333および/または334の一つ以上の残基の置換は、C1q結合性および/またはCDC機能を高めることができる。
抗体の血清半減期を増やすために、例えば、一つはサルベージ受容体結合性エピトープを、米国特許第5,739,277号に記載されるように、抗体(特に抗体フラグメント)に組み込むことができる。本願明細書で使用しているように、「サルベージ受容体結合性エピトープ」なる用語は、ガンマG分子の生体内での血清半減期を増やす役割を果たすガンマG分子(例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
新生児のFc受容体(FcRn)および増加した半減期に対する改良された結合性を有する抗体は、WO00/42072(Presta, L.)およびUS2005/0014934A1(Hinton等)に記載されている。これらの抗体は、FcRnに対するFc領域の結合性を改良する一つ以上の置換を有するFc領域から成る。例えば、Fc領域は、位置238、250、256、265、272、286、303、305、307、311、312、314、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、428または434(残基のEu番号付け)の一つ以上の位置で置換を有することができる。改良されたFcRn結合性を有する好適なFc領域から成っている抗体変異体は、それのFc領域の位置307、380および434(残基のEu番号付け)のうちの1つ、2つまたは3つにおけるアミノ酸置換を含んで成る。
3つ以上の(好ましくは4)機能的な抗原結合サイトを有する改変抗体は、また、意図される(米国出願番号第US2002/0004587A1、Miller等)。
3つ以上の(好ましくは4)機能的な抗原結合サイトを有する改変抗体は、また、意図される(米国出願番号第US2002/0004587A1、Miller等)。
V. 医薬品の製剤形態
本発明によって使用するアンタゴニストまたは抗体の医薬品の製剤形態は、所望の程度の純度をもつアンタゴニストまたは抗体と、任意の薬学的に受け入れられる担体、賦形剤または安定剤を混ぜ合わせることによって(レミントンのPharmaceutical Sciences、第16版、Osol、A.編集 (1980))、凍結乾燥製剤または水溶液の形で、保管の為に調整される。
本発明によって使用するアンタゴニストまたは抗体の医薬品の製剤形態は、所望の程度の純度をもつアンタゴニストまたは抗体と、任意の薬学的に受け入れられる担体、賦形剤または安定剤を混ぜ合わせることによって(レミントンのPharmaceutical Sciences、第16版、Osol、A.編集 (1980))、凍結乾燥製剤または水溶液の形で、保管の為に調整される。
受け入れられる担体、賦形剤または安定剤は、使用する投薬量と濃度では受容者に無毒性であり、そしてバッファ(例えばリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸);アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(たとえばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩など);塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム(塩化ベンゼトニウム);フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えばメチルまたはプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;そして、m-クレゾール);低分子量の(約10未満の残基)ポリペプチド;タンパク質(例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性のポリマー(例えばポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシン);ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む単糖、二糖類および他の糖類;キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸);糖(例えばショ糖、マンニット、トレハロースまたはグルシトール);塩形成対イオン(例えばナトリウム);金属複合物(例えば亜鉛-タンパク質複合体);および/または非イオン界面活性剤(例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG))を含む。
例示的な抗CD20抗体製剤は、WO1998/56418に記載されている。この発行物は、2-8℃で2年保管の最小貯蔵期間を有する、pH 5.0で、40mg/mLのリツキシマブ、25mMの酢酸塩、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20を含んで成る液体マルチ用量製剤を記載する。興味がある他の抗CD20製剤は、10mg/mLのリツキシマブを、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム二水化物、0.7mg/mLのポリソルベート80および注入用滅菌水(pH 6.5)に含む。
皮下投与に適応する凍結乾燥された製剤は、米国特許第6,267,958号(Andya等)に記載されている。該凍結乾燥された製剤は高タンパク濃度に適切な希釈剤によって溶かすことができる、そして、溶かされた製剤は本願明細書において治療される患者に皮下に投与されることができる。
本願明細書において製剤は、また、必要に応じて複数の活性な化合物(上記の第2医薬)を含むことができ、好ましくは互いに悪影響を与えない、補完的な活性をもつものである。該医薬のタイプおよび有効量は、例えば、製剤に存在するアンタゴニストまたは抗体の量および治療されている患者の臨床パラメータに依存する。好適な該医薬は、上記されている。
活性成分は、また、例えば、それぞれ、コアセルベーション技術によってまたは界面重合(例えばヒドロキシ・メチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタシレイト)マイクロカプセル)によって準備されるマイクロカプセルにおいて、コロイド薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミン・マイクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノパーティクルおよびナノ・カプセル)において、またはマクロ・エマルジョン類において、閉じ込めることができる。該技術は、レミントンのPharmaceutical Sciences、第16版、(Osol、A.編集 (1980))に開示されている。徐放型製剤は、調整されることができる。徐放型製剤の適切な実施例は、アンタゴニストまたは抗体を含んでいる固体の疎水性ポリマーの半透性基質であり、基質が例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態の造形物であるものを含む。
徐放性基質の実施例は、ポリエステル類、ハイドロゲル(例えばポリ酢酸ビニル(2-メタクリル酸ヒドロキシエチル)またはポリ酢酸ビニル(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびγエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマ、非分解性エチレン-ビニルアセテート、ルプロンデポTJ(登録商標)(注入可能なマイクロスフェアで、乳酸グリコール酸コポリマおよび酢酸ロイプロリドを含んで成る)のような分解可能な乳酸グリコール酸コポリマ)、そして、poly-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含んで成る。
生体内で投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、濾過滅菌膜による濾過によって、容易に達成される。
徐放性基質の実施例は、ポリエステル類、ハイドロゲル(例えばポリ酢酸ビニル(2-メタクリル酸ヒドロキシエチル)またはポリ酢酸ビニル(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびγエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマ、非分解性エチレン-ビニルアセテート、ルプロンデポTJ(登録商標)(注入可能なマイクロスフェアで、乳酸グリコール酸コポリマおよび酢酸ロイプロリドを含んで成る)のような分解可能な乳酸グリコール酸コポリマ)、そして、poly-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含んで成る。
生体内で投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、濾過滅菌膜による濾過によって、容易に達成される。
VI. 製品
本発明の他の実施例において、上に記載されているIBDの治療に役立つ材料を含んでいる製品が、提供される。一つの方法では、製品は、(a)B細胞表面マーカー(例えばCD20)と結合するアンタゴニスト(例えば抗体)を含んで成る容器、任意に薬学的に受け入れられる担体または希釈液を含んでなり;そして、(b)ヒト患者のIBDを治療するための指示を有するパッケージ内の挿入物。
本発明の他の実施例において、上に記載されているIBDの治療に役立つ材料を含んでいる製品が、提供される。一つの方法では、製品は、(a)B細胞表面マーカー(例えばCD20)と結合するアンタゴニスト(例えば抗体)を含んで成る容器、任意に薬学的に受け入れられる担体または希釈液を含んでなり;そして、(b)ヒト患者のIBDを治療するための指示を有するパッケージ内の挿入物。
これらの態様の全てにおいて、パッケージ内の挿入物は、容器上にまたは付随する。適切な容器は、例えば、瓶、バイアル、注射器などを含む。容器はガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。容器は、IBDを治療するために効果的で、無菌の接続部(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって穴をあけることができる、ストッパーを有するバイアルであってもよい)を有することができる構成を持つか又は含んでなる。構成の少なくとも一つの活性薬剤は、アンタゴニストまたは抗体である。ラベルまたはパッケージ内の挿入物は、構成物が,例えば、治療に好適なヒト患者を治療するために用いられること(例えば、IBDを有するまたは傾向がある者(中程度から重度のIBDまたはUCを含む))を示し、アンタゴニストまたは抗体および提供され他のいかなる医薬の投与の用量と間隔に関する特異的な手引きについても示す。製品は、薬学的に受け入れられる希釈液バッファ(例えば静菌の注射用蒸留水(BWFI)、リン酸塩緩衝食塩水、リンガー液および/またはブドウ糖溶液)を含んで成る、付加的な容器から更に成ることができる。製品はコマーシャルおよびユーザ見地から望ましい他の材料を更に含むことができ、そして、他のバッファ、希釈液、フィルタ、針および注射器を含む。
本願明細書において製品は、任意に、第2医薬(抗体が第1医薬である)から成る容器から更に成る、そしてその製品は、更に、患者を第2医薬によって有効量で治療するためのパッケージ内の挿入物を含んで成る。第2医薬は、上に記載されるいずれかであってもよく、典型的な第2医薬は、アミノ・サリチラート、経口的なコルチコステロイド、6‐メルカプトプリン(6−MP)およびアザチオプリンである。
本発明の更なる詳細は、以下の非制限実施例で例示される。明細書の全引用の開示は、本願明細書に参照文献として組み込まれる。
本発明の更なる詳細は、以下の非制限実施例で例示される。明細書の全引用の開示は、本願明細書に参照文献として組み込まれる。
実施例1
IBDの治療
これは、包含基準において定義した活動期UCのヒト患者のリツキシマブの評価である。遺伝子マイクロアレイデータは、B細胞遺伝子およびCD20発現がヒトUCにおいて上方制御されることを示した。この実施例は、UC患者の治療のプロトコルを提供する。
このプロトコルのための研究概要を図4に図解する。
本願明細書中の治療は、約2週のスクリーニング期間、約24週の研究期間及び24週の追跡期間を含む。安全性の厳密な評価は、研究の全体にわたって実行される。マイナス14日からゼロ日のスクリーニング期間は、病歴、理学的検査、検査室評価、日記データの収集、および活動期の疾患を確認して、疾患活性インデックス(DAI)スコアの基準値を決定するための生体組織検査用の可動S字結腸鏡検査を含む。DAIスコアは、該研究に登録するための潜在的患者を識別して、リツキシマブの臨床活性を評価するために用いる。
IBDの治療
これは、包含基準において定義した活動期UCのヒト患者のリツキシマブの評価である。遺伝子マイクロアレイデータは、B細胞遺伝子およびCD20発現がヒトUCにおいて上方制御されることを示した。この実施例は、UC患者の治療のプロトコルを提供する。
このプロトコルのための研究概要を図4に図解する。
本願明細書中の治療は、約2週のスクリーニング期間、約24週の研究期間及び24週の追跡期間を含む。安全性の厳密な評価は、研究の全体にわたって実行される。マイナス14日からゼロ日のスクリーニング期間は、病歴、理学的検査、検査室評価、日記データの収集、および活動期の疾患を確認して、疾患活性インデックス(DAI)スコアの基準値を決定するための生体組織検査用の可動S字結腸鏡検査を含む。DAIスコアは、該研究に登録するための潜在的患者を識別して、リツキシマブの臨床活性を評価するために用いる。
患者は、第1日と第15日にリツキシマブ(またはプラセボ)の1グラムの静脈内(IV)注入を受ける。全ての患者に、少なくとも第8週までの間、以下の一つ以上の安定投与を続ける:アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6−MPおよび/またはアザチオプリン。定期的な検査室検査評価および理学的検査評価を伴う安全モニタリングは、全ての研究用通院で実行される。第1日および第15日の通院後、患者は、第24週まで4週ごとに、その後第48週まで3ヶ月ごとの通院予定を有する。加えて、患者は、第2日と第16日に薬物動態(PK)サンプルだけのために通院する。再度の生体組織検査用のS字結腸鏡検査は第8週に、組織学、疾患評価、および粘膜B細胞減少の評価のために行う。追加の生体組織検査用の可動S字結腸鏡検査は、疾患状況および結腸粘液のB細胞減少の回復を評価するために、第24週に実行される。生体組織検査用標本において炎症の組織学的評価は、標準化されたスケール(Geboes等、Gut 47:404-409 (2000))に従って記録される。
DAIスコアは、疾患緩解を達成している患者の比率を決定するために、第24週に算出される。DAIスコアは、また、第8週の通院でも算出される。臨床評価は、可動S字結腸鏡検査が実行されない通院時(すなわち、第1および15日、および第4、12、16、20、36、および48週)に実行される。第48週又はB細胞回復のどちらか長い期間まで、患者は調査者および治験依頼者による追跡を受ける。B細胞回復は、基準値(第1日)に又は正常値の下限に戻ったB細胞レベルとして定義される。
この実施例は、活動期のUCである成人患者のリツキシマブの安全性及び耐容性の評価を提供する。第一安全性予後基準は、プロトコルに定義したUC増悪(疾患の悪化)の対象となる事象の頻度である。
B細胞評価は、第48週またはB細胞回復のどちらか長い期間まで続く。
この実施例は、活動期のUCである成人患者のリツキシマブの安全性及び耐容性の評価を提供する。第一安全性予後基準は、プロトコルに定義したUC増悪(疾患の悪化)の対象となる事象の頻度である。
B細胞評価は、第48週またはB細胞回復のどちらか長い期間まで続く。
後に定義するように、この実施例もDAIスコアリングシステムを使用して、UCのリツキシマブの治療的な臨床活性を評価する。UC活性の評価のためのDAIスコアリングシステムは、重要な臨床試験において用いられた(Schroeder 等,N Engl J Med 317:1625-1629 (1987))。直腸出血の停止及びもろい粘膜の治癒に現れるような活動期の疾患の徴候および症状の緩解を、臨床活性のための第2終了点として選択した。また、緩解の持続期間も、測定する。第24週の可動S字結腸鏡検査結果及びDAIスコア、そして、第48週までの臨床追跡調査は治療効果の持続期間の評価を可能にする。
予後判断基準
第一安全性予後判断基準
第一安全性予後判断基準は、研究期間(第1日から第24週)の間に起こる、プロトコルに定義したUC増悪の対象とする有害事象の頻度である。
プロトコルに定義したUC増悪は、以下の基準の一つ以上を満たさなければならない:
・ DAIスコアが3ポイント以上の増加
・中毒性巨大結腸症が疑わしいか又は差し迫っている
・ UCの増悪のために入院が必要である
・ 調査者の臨床判断において、医学的に有意に疾患が悪化した
第一安全性予後判断基準
第一安全性予後判断基準は、研究期間(第1日から第24週)の間に起こる、プロトコルに定義したUC増悪の対象とする有害事象の頻度である。
プロトコルに定義したUC増悪は、以下の基準の一つ以上を満たさなければならない:
・ DAIスコアが3ポイント以上の増加
・中毒性巨大結腸症が疑わしいか又は差し迫っている
・ UCの増悪のために入院が必要である
・ 調査者の臨床判断において、医学的に有意に疾患が悪化した
第二安全性予後判断基準
第二安全性予後判断基準は、以下の通りである:
・ 他の安全性予後判断基準
・ 入院または静注抗生物質を必要とする感染症と定義される重度感染症の発病率
・ 国立癌研究所の有害事象の共通毒性基準(NCI−CTCAE)(バージョン3.0)に従って等級分けされるすべての有害事象(重度および非重度)の発生率
・ 臨床検査異常の発生率
・ 第8週に疾患緩解を成し遂げた患者の比率
・ 疾患緩解は、S字結腸鏡検査スコアが0または1(脆砕性でない)および直腸出血スコアが0と定義される。
・ 第8週に臨床効果を成し遂げている患者の比率
・臨床効果は、DAIスコアの3ポイント以上の減少によって定義される
・ 疾患緩解までの時間
・ 調査者が調査した疾患緩解の持続期間
・ 炎症性腸疾患アンケート(IBDQ)の結果の研究期間における基準値からの変化
いくつかの薬力学マーカーに対するリツキシマブ効果は、基準値および治療の間の血液、血清および組織サンプルを比較することによって調べられる。これらの評価は、以下の通りである:
・ B細胞数カウント(CD19+および他のB細胞表現型サブセット)による血液リンパ細胞パネル
・血清免疫グロブリンレベル(IgA, IgG, IgM、及び総数)
・ UC(p−ANCA)に対する抗体特異性
・ 免疫組織化学(IHC)で測定されるような結腸生検におけるB細胞減少
第二安全性予後判断基準は、以下の通りである:
・ 他の安全性予後判断基準
・ 入院または静注抗生物質を必要とする感染症と定義される重度感染症の発病率
・ 国立癌研究所の有害事象の共通毒性基準(NCI−CTCAE)(バージョン3.0)に従って等級分けされるすべての有害事象(重度および非重度)の発生率
・ 臨床検査異常の発生率
・ 第8週に疾患緩解を成し遂げた患者の比率
・ 疾患緩解は、S字結腸鏡検査スコアが0または1(脆砕性でない)および直腸出血スコアが0と定義される。
・ 第8週に臨床効果を成し遂げている患者の比率
・臨床効果は、DAIスコアの3ポイント以上の減少によって定義される
・ 疾患緩解までの時間
・ 調査者が調査した疾患緩解の持続期間
・ 炎症性腸疾患アンケート(IBDQ)の結果の研究期間における基準値からの変化
いくつかの薬力学マーカーに対するリツキシマブ効果は、基準値および治療の間の血液、血清および組織サンプルを比較することによって調べられる。これらの評価は、以下の通りである:
・ B細胞数カウント(CD19+および他のB細胞表現型サブセット)による血液リンパ細胞パネル
・血清免疫グロブリンレベル(IgA, IgG, IgM、及び総数)
・ UC(p−ANCA)に対する抗体特異性
・ 免疫組織化学(IHC)で測定されるような結腸生検におけるB細胞減少
患者
包含基準
患者は、研究登録の資格を有するために以下の基準を満たさなければならない:
・ インフォームドコンセント書類を書く
・ 18歳から75歳で、研究手順を理解することができる
・スクリーニング時に6ヵ月以上UCの診断を受けている
・ スクリーニングのS字結腸鏡検査時に20cm以上の活動期疾患がある
・ 活動期疾患は、スクリーニング時に直腸出血スコアが2以上、可動S字結腸鏡検査スコアが2以上で、且つDAIスコアが6以上11以下と定義される
・スクリーニング前の2年以内にUCのための経口コルチコステロイドによる治療を受けている
・ 治療強度は、少なくとも2週の継続期間に20mg/日のプレドニゾン等価量以上の投与であった。
・ 疾患の範囲とポリープ除去のための過去2年以内の結腸鏡検査
・ 10年より長くUCにかかっている場合に、スクリーニング前1年以内に異形成を除外するための適正な生検用の結腸鏡検査
・生殖能(男性および女性)のある患者のために、研究治療の間および研究薬の最後の投与後1年間は、信頼性が高い避妊手段(例えばホルモンによる避妊、パッチ、膣リング、子宮内避妊器具、物的障壁)を使用する
・無作為化より前の少なくとも15週間は、前研究の生物学治療(例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ(adalimumab)、リツキシマブ)をすべて中止
・基準値(第1日)より前の指定期間の安定投与に関して、以下の治療の一つ以上による現在の治療:
アミノサリチル酸、3週以上の安定投与
経口コルチコステロイド、2週以上の安定投与
4週以上の安定投与を含む、3ヵ月間の6−MP治療
4週以上の安定投与を含む、3ヵ月間のアザチオプリン治療、
・ 上記の治療を以前は使用していたが第1日においては使用していない場合は、患者は2週間以上アミノサリチル酸をやめていた必要があり、基準値の前4週間以上アザチオプリン治療、6−MP治療または経口コルチコステロイドをやめていた必要がある。
包含基準
患者は、研究登録の資格を有するために以下の基準を満たさなければならない:
・ インフォームドコンセント書類を書く
・ 18歳から75歳で、研究手順を理解することができる
・スクリーニング時に6ヵ月以上UCの診断を受けている
・ スクリーニングのS字結腸鏡検査時に20cm以上の活動期疾患がある
・ 活動期疾患は、スクリーニング時に直腸出血スコアが2以上、可動S字結腸鏡検査スコアが2以上で、且つDAIスコアが6以上11以下と定義される
・スクリーニング前の2年以内にUCのための経口コルチコステロイドによる治療を受けている
・ 治療強度は、少なくとも2週の継続期間に20mg/日のプレドニゾン等価量以上の投与であった。
・ 疾患の範囲とポリープ除去のための過去2年以内の結腸鏡検査
・ 10年より長くUCにかかっている場合に、スクリーニング前1年以内に異形成を除外するための適正な生検用の結腸鏡検査
・生殖能(男性および女性)のある患者のために、研究治療の間および研究薬の最後の投与後1年間は、信頼性が高い避妊手段(例えばホルモンによる避妊、パッチ、膣リング、子宮内避妊器具、物的障壁)を使用する
・無作為化より前の少なくとも15週間は、前研究の生物学治療(例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ(adalimumab)、リツキシマブ)をすべて中止
・基準値(第1日)より前の指定期間の安定投与に関して、以下の治療の一つ以上による現在の治療:
アミノサリチル酸、3週以上の安定投与
経口コルチコステロイド、2週以上の安定投与
4週以上の安定投与を含む、3ヵ月間の6−MP治療
4週以上の安定投与を含む、3ヵ月間のアザチオプリン治療、
・ 上記の治療を以前は使用していたが第1日においては使用していない場合は、患者は2週間以上アミノサリチル酸をやめていた必要があり、基準値の前4週間以上アザチオプリン治療、6−MP治療または経口コルチコステロイドをやめていた必要がある。
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究登録から除外される:
・ 患者が基準値(第1日)の12週中に結腸切除術またはカルシニューリン阻害剤の実施を必要としそうであると調査者判断によって示された重度の大腸炎
・ 結腸穿孔または中毒性巨大結腸症の臨床での疑いまたはレントゲン写真の証拠
・ 原発性硬化性胆管炎の病歴
・ 結腸形態異常および/または結腸の腺腫様ポリープの病歴
・スクリーニング前の8週以内のシクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキセートまたはミコフェノール酸モフェチルを用いた治療
・スクリーニング前2週以内の直腸の局在的処理による治療
・ 基準値前の4週以内の低用量アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用
・スクリーニング時の寄生虫または卵の大便検査陽性、病原体の大便検査陽性、クロストリジウム ディフィシル(Clostridium difficile)の毒素分析の大便検査陽性
・無作為化前の4週以内のいかなる生ワクチンによる治療
・ いかなる非生物学的な、細胞を減少させるような治療(例えばアダコルム(ADACOLUMN(登録商標)))による以前の治療
・ 結腸または小腸の閉塞または切除の病歴
・ スクリーニング期間の止痢薬の利用
・ B型またはC型肝炎の病歴
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究登録から除外される:
・ 患者が基準値(第1日)の12週中に結腸切除術またはカルシニューリン阻害剤の実施を必要としそうであると調査者判断によって示された重度の大腸炎
・ 結腸穿孔または中毒性巨大結腸症の臨床での疑いまたはレントゲン写真の証拠
・ 原発性硬化性胆管炎の病歴
・ 結腸形態異常および/または結腸の腺腫様ポリープの病歴
・スクリーニング前の8週以内のシクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキセートまたはミコフェノール酸モフェチルを用いた治療
・スクリーニング前2週以内の直腸の局在的処理による治療
・ 基準値前の4週以内の低用量アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用
・スクリーニング時の寄生虫または卵の大便検査陽性、病原体の大便検査陽性、クロストリジウム ディフィシル(Clostridium difficile)の毒素分析の大便検査陽性
・無作為化前の4週以内のいかなる生ワクチンによる治療
・ いかなる非生物学的な、細胞を減少させるような治療(例えばアダコルム(ADACOLUMN(登録商標)))による以前の治療
・ 結腸または小腸の閉塞または切除の病歴
・ スクリーニング期間の止痢薬の利用
・ B型またはC型肝炎の病歴
一般的安全性についての除外
・ヒト化、キメラ、又は完全ヒト抗体またはマウスモノクローナル抗体に対する重度のアレルギー又はアナフィラキシー性の反応の病歴
・重大な心疾患又は肺疾患(閉塞性肺疾患を含む)
・ 循環器系疾患または神経系障害、肺不全、腎臓病、肝臓病、内分泌障害、胃腸管系障害のような重大な非管理の付随的疾患の所見
・既知の進行中の細菌性、ウィルス性、菌類による、マイコバクテリア性の感染症、又は他の感染症(結核または非定型抗酸菌症を含むが、爪床の真菌感染を除外する)または、入院、スクリーニングの4週以内の抗生物質静注治療、またはスクリーニングの2周以内に経口の抗生物質治療を必要としたあらゆる重大な発症
・ 再発性の重大な感染症または再発性細菌性感染の病歴
・HIVを含む原発性または二次性の免疫不全(病歴があるかまたは現在発症している)
・ 固形腫瘍および血液学的悪性病変(切除されて治癒した皮膚の基底細胞および有棘細胞癌を除く)を含む癌の病歴
・妊婦または授乳期(母乳栄養)の母親
・ スクリーニング前の6ヵ月以内のアルコール、麻薬または薬物乱用の病歴
・末梢静脈アクセスの不足
・ヒト化、キメラ、又は完全ヒト抗体またはマウスモノクローナル抗体に対する重度のアレルギー又はアナフィラキシー性の反応の病歴
・重大な心疾患又は肺疾患(閉塞性肺疾患を含む)
・ 循環器系疾患または神経系障害、肺不全、腎臓病、肝臓病、内分泌障害、胃腸管系障害のような重大な非管理の付随的疾患の所見
・既知の進行中の細菌性、ウィルス性、菌類による、マイコバクテリア性の感染症、又は他の感染症(結核または非定型抗酸菌症を含むが、爪床の真菌感染を除外する)または、入院、スクリーニングの4週以内の抗生物質静注治療、またはスクリーニングの2周以内に経口の抗生物質治療を必要としたあらゆる重大な発症
・ 再発性の重大な感染症または再発性細菌性感染の病歴
・HIVを含む原発性または二次性の免疫不全(病歴があるかまたは現在発症している)
・ 固形腫瘍および血液学的悪性病変(切除されて治癒した皮膚の基底細胞および有棘細胞癌を除く)を含む癌の病歴
・妊婦または授乳期(母乳栄養)の母親
・ スクリーニング前の6ヵ月以内のアルコール、麻薬または薬物乱用の病歴
・末梢静脈アクセスの不足
検査除外基準(スクリーニング時)
・ 血清クレアチニン >1.4mg/dlの女性、又は>1.6mg/dlの男性
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常上限値の2.5倍より大きい
・ 血小板数 <100,000/μL
・ ヘモグロビン <8.5g/dl
・ 好中球 <1500/μL
・ リンパ細胞数 <100/μL
・ B型またはC型肝炎陽性血清
・ IgG <5.65mg/ml
・ IgM <0.55mg/ml
・ B細胞数 1.1%以下
・ この研究への参加によって患者の健康を危うくする可能性があると主任研究員が判断した、重大な心臓異常を示す心電図(ECG)
・ 血清クレアチニン >1.4mg/dlの女性、又は>1.6mg/dlの男性
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常上限値の2.5倍より大きい
・ 血小板数 <100,000/μL
・ ヘモグロビン <8.5g/dl
・ 好中球 <1500/μL
・ リンパ細胞数 <100/μL
・ B型またはC型肝炎陽性血清
・ IgG <5.65mg/ml
・ IgM <0.55mg/ml
・ B細胞数 1.1%以下
・ この研究への参加によって患者の健康を危うくする可能性があると主任研究員が判断した、重大な心臓異常を示す心電図(ECG)
研究治療
製剤
リツキシマブは9.0mg/mLの塩化ナトリウム、0.7mg/mLのポリソルベート80、および7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム無水和物、および注入用滅菌水(pH 6.5)において無菌製剤として静注投与のために調剤される。抗体は、10.0mg/mLの濃度で、10mLおよび50mLバイアルで市販使用に供給される。10mLバイアルには、100mgの抗体が含まれる。50mLバイアルには、500mgの抗体が含まれる。バイアルは一回使用のために設計されるので、防腐剤が用いられない。研究の場では、500mgリツキシマブの50mLバイアルおよび対応するプラセボの50mLバイアルを供給される。
製剤
リツキシマブは9.0mg/mLの塩化ナトリウム、0.7mg/mLのポリソルベート80、および7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム無水和物、および注入用滅菌水(pH 6.5)において無菌製剤として静注投与のために調剤される。抗体は、10.0mg/mLの濃度で、10mLおよび50mLバイアルで市販使用に供給される。10mLバイアルには、100mgの抗体が含まれる。50mLバイアルには、500mgの抗体が含まれる。バイアルは一回使用のために設計されるので、防腐剤が用いられない。研究の場では、500mgリツキシマブの50mLバイアルおよび対応するプラセボの50mLバイアルを供給される。
投薬量、管理および貯蔵
研究治療は、第1日と第15日に静注投与する1グラムのリツキシマブ、またはプラセボを含む。患者は、各々の該点滴開始前30-60分に、経口で、アセトアミノフェン(1g)およびジフェンヒドラミン塩酸(50mg)、またはそれらの等価物を用いた予防的療法を受ける。患者は、調査者の裁量で、特にそれらの初回注入の場合、観察のために入院することができる。リツキシマブは近監督下で投与されなければならない、そして、完全な蘇生設備が直ちに利用できなければならない。プロトコルで定義されるUC憎悪が2回目の注入の前に起こる場合、2回目の注入は留保される。
注入用のリツキシマブ溶液は、2℃−8℃(36゜F−46゜F)で24時間、そして、さらに24時間の常温で安定している。カートン箱に印字される使用期限を越えて使用されない。リツキシマブと塩化ビニルまたはポリエチレン・バッグとの間の不適合性は、観察されなかった。
研究治療は、第1日と第15日に静注投与する1グラムのリツキシマブ、またはプラセボを含む。患者は、各々の該点滴開始前30-60分に、経口で、アセトアミノフェン(1g)およびジフェンヒドラミン塩酸(50mg)、またはそれらの等価物を用いた予防的療法を受ける。患者は、調査者の裁量で、特にそれらの初回注入の場合、観察のために入院することができる。リツキシマブは近監督下で投与されなければならない、そして、完全な蘇生設備が直ちに利用できなければならない。プロトコルで定義されるUC憎悪が2回目の注入の前に起こる場合、2回目の注入は留保される。
注入用のリツキシマブ溶液は、2℃−8℃(36゜F−46゜F)で24時間、そして、さらに24時間の常温で安定している。カートン箱に印字される使用期限を越えて使用されない。リツキシマブと塩化ビニルまたはポリエチレン・バッグとの間の不適合性は、観察されなかった。
付随する治療と除外された治療
基準値(第1日)の前に、全ての患者は、基準値の前の様々な期間の間、アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6−MPおよび/またはアザチオプリンが安定投与される。研究および追跡期間の全体にわたって、患者は、アミノサリチル酸、6−MPおよび/またはアザチオプリンのそれらの恒常的な投与を維持しなければならない。医学的に受け入れられるならば、経口コルチコステロイドの用量は第8週の後まで安定を維持しなければならない。第8週後に医学的に示される場合、漸減投与が設けられなければならない。
下に述べる場合を除いて、UC以外の疾患病状の治療は継続してもよい。生きているウィルスまたはバクテリア・ワクチンの使用は、研究期間開始前28日から研究期間の終わりまで禁止される。これらのワクチンには、はしか、おたふく風邪、風疹、ポリオ、BCG、黄熱およびTY21a腸チフスが含まれるが、これに限定しない。生の生物(例えばインフルエンザ、ニューモバックス(登録商標)、破傷風)を含まないワクチンは禁止されないが、効果があってはならない。患者の予防接種記録と必要条件が調査できることが推奨される、そして、必要に応じて、必要な予防接種/効果促進剤が研究薬物療法の開始の少なくとも28日前に与えられることを必要とした。
基準値(第1日)の前に、全ての患者は、基準値の前の様々な期間の間、アミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6−MPおよび/またはアザチオプリンが安定投与される。研究および追跡期間の全体にわたって、患者は、アミノサリチル酸、6−MPおよび/またはアザチオプリンのそれらの恒常的な投与を維持しなければならない。医学的に受け入れられるならば、経口コルチコステロイドの用量は第8週の後まで安定を維持しなければならない。第8週後に医学的に示される場合、漸減投与が設けられなければならない。
下に述べる場合を除いて、UC以外の疾患病状の治療は継続してもよい。生きているウィルスまたはバクテリア・ワクチンの使用は、研究期間開始前28日から研究期間の終わりまで禁止される。これらのワクチンには、はしか、おたふく風邪、風疹、ポリオ、BCG、黄熱およびTY21a腸チフスが含まれるが、これに限定しない。生の生物(例えばインフルエンザ、ニューモバックス(登録商標)、破傷風)を含まないワクチンは禁止されないが、効果があってはならない。患者の予防接種記録と必要条件が調査できることが推奨される、そして、必要に応じて、必要な予防接種/効果促進剤が研究薬物療法の開始の少なくとも28日前に与えられることを必要とした。
シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキセートまたはミコフェノール酸モフェチルを用いた治療は、8週のスクリーニングの間および研究の間禁止される。いかなる製剤のシクロスポリンが、プロトコルで定義されるのUC憎悪のための救出薬物として、調査者の裁量で使われることができる。救出薬物が第8週の前に必要な場合、患者は免疫不応答と考えられるが、予定された研究通院を続けなければならない。
研究期間に除外された他の薬物は、以下の通りである:
・ UCを治療する抗生物質
抗生物質は、UCの治療ではなくても医学的に指示されたとき、感染症を治療するために用いてもよい。
・ 非ステロイド性抗炎症薬(心血管予防のための低用量アスピリンを除く)
・ UCのための直腸の局所治療
・ 止痢
・ 瀉下薬
・ 胆汁酸結合剤(例えばコレスチラミン)
・ 治験薬または治験治療は禁止する
研究期間に除外された他の薬物は、以下の通りである:
・ UCを治療する抗生物質
抗生物質は、UCの治療ではなくても医学的に指示されたとき、感染症を治療するために用いてもよい。
・ 非ステロイド性抗炎症薬(心血管予防のための低用量アスピリンを除く)
・ UCのための直腸の局所治療
・ 止痢
・ 瀉下薬
・ 胆汁酸結合剤(例えばコレスチラミン)
・ 治験薬または治験治療は禁止する
分析方法
血清サンプルは、評価スケジュールに従った時点でPK及びHACA分析のために入手する。
リツキシマブPK酸素結合免疫吸着検査法(ELISA)は、ヒト血清サンプルのリツキシマブ・レベルを測定するために用いる。
リツキシマブHACA ELISAは架橋分析であり、それはリツキシマブを捕獲試薬として、ビオチン化されたリツキシマブとストレプトアビジン-西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)を検出のために使用する。分析は、リツキシマブに対するアフィニテイー精製されたポリクローン性のヤギ抗体によって作成したキャリブレータ・カーブを使用する;従って、この分析からの結果は、相対的な単位についてこのポリクローン性抗体と比較して報告される。
全てのp−ANCA分析は、中央研究所によって実行される。間接免疫蛍光法は、ANCAの存在を決定するために用いる。加えて、ELISA分析は、ミエロペルオキシダーゼのためのANCAの特異性または中央研究所によって決定する他の関連抗原の特異性を決定するために用いてもよい。
血清サンプルは、評価スケジュールに従った時点でPK及びHACA分析のために入手する。
リツキシマブPK酸素結合免疫吸着検査法(ELISA)は、ヒト血清サンプルのリツキシマブ・レベルを測定するために用いる。
リツキシマブHACA ELISAは架橋分析であり、それはリツキシマブを捕獲試薬として、ビオチン化されたリツキシマブとストレプトアビジン-西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)を検出のために使用する。分析は、リツキシマブに対するアフィニテイー精製されたポリクローン性のヤギ抗体によって作成したキャリブレータ・カーブを使用する;従って、この分析からの結果は、相対的な単位についてこのポリクローン性抗体と比較して報告される。
全てのp−ANCA分析は、中央研究所によって実行される。間接免疫蛍光法は、ANCAの存在を決定するために用いる。加えて、ELISA分析は、ミエロペルオキシダーゼのためのANCAの特異性または中央研究所によって決定する他の関連抗原の特異性を決定するために用いてもよい。
臨床活性解析
UCのリツキシマブの臨床活性は評価される。疾患緩解を経験した患者の比率および第8週で臨床効果のあった患者の比率が推定される、対応する95%信頼区間は各々の治療アームについて計算される。治療差および95%の信頼区間が、提供される。
疾患緩解の持続期間は、治療アームによってまとめられる。疾患緩解反応までの時間の中央値は、各々の治療アームごとにまとめ、図形描写の目的のためだけにカプラン-マイヤー方法を使用した。
上記のリツキシマブ抗体を用いて治療された活動期のUC患者は、UCの徴候および症状の改善を経験する。これは、(第8週までに達成した)疾患緩解および/または臨床効果、S字結腸鏡検査スコア0または1および直腸出血スコア0の達成、DAIスコアの減少(3ポイント以上)、結腸粘液のB細胞の減少および/またはp−ANCA抗体レベルの減少を含む。
UCのリツキシマブの臨床活性は評価される。疾患緩解を経験した患者の比率および第8週で臨床効果のあった患者の比率が推定される、対応する95%信頼区間は各々の治療アームについて計算される。治療差および95%の信頼区間が、提供される。
疾患緩解の持続期間は、治療アームによってまとめられる。疾患緩解反応までの時間の中央値は、各々の治療アームごとにまとめ、図形描写の目的のためだけにカプラン-マイヤー方法を使用した。
上記のリツキシマブ抗体を用いて治療された活動期のUC患者は、UCの徴候および症状の改善を経験する。これは、(第8週までに達成した)疾患緩解および/または臨床効果、S字結腸鏡検査スコア0または1および直腸出血スコア0の達成、DAIスコアの減少(3ポイント以上)、結腸粘液のB細胞の減少および/またはp−ANCA抗体レベルの減少を含む。
以上のことから、本発明の特定の実施態様が説明のために本願明細書に記載されているが、本発明の精神と範囲から逸脱せずに様々な変更がなされることは理解されるであろう。したがって、本発明は添付の請求の範囲以外では制限されない。
Claims (42)
- ヒト患者の中程度から重度の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、該抗体の投与により、臨床効果または疾患緩解を生じる方法。
- 上記IBDが潰瘍性大腸炎(UC)である請求項1に記載の方法。
- 上記IBDがクローン病である請求項1に記載の方法。
- 該患者が活動期のIBDを有する請求項1ないし3のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体の投与により疾患緩解が生じる請求項1ないし4のいずれか一に記載の方法。
- 上記緩解が約第8週に成し遂げられる請求項5に記載の方法。
- 上記抗体の投与によりS字結腸鏡検査スコア0または1、および直腸出血スコア0に結果としてなる請求項5または請求項6に記載の方法。
- 上記抗体の投与により臨床効果が生じる請求項1ないし7のいずれか一に記載の方法。
- 上記臨床効果が約第8週に成し遂げられる請求項8に記載の方法。
- 上記抗体の投与により疾患活性インデックス(DAI)スコアを減らす請求項8または請求項9に記載の方法。
- 本願明細書の表2のスコアリングシステムを使用して記録された上記DAIスコアが3ポイント以上減少する請求項10に記載の方法。
- 上記抗体の投与が結腸粘膜のB細胞を減少させる請求項1ないし11のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体がキメラ、ヒト、またはヒト化抗体である請求項1ないし12のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体がリツキシマブを含んで成る請求項1ないし13のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体がヒト化2H7を含んで成る請求項1ないし13のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体が2F2(huMax−CD20)を含んで成る請求項1ないし13のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体がネイキッド抗体である請求項1ないし16のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体が他分子と結合している請求項1ないし16のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体が、1回の投与が約200mgから2000mgの範囲として、約1ヵ月の期間内に約1回から4回の頻度で投与される請求項1ないし18のいずれか一に記載の方法。
- 上記投与が約500mgから1500mgの範囲である請求項19に記載の方法。
- 上記投与が約750mgから1200mgの範囲である請求項19または20に記載の方法。
- 上記抗体が1または2回投与される請求項19ないし21のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体が約2から3週の期間内に投与される請求項19ないし22のいずれか一に記載の方法。
- 上記期間が約2週間である請求項23に記載の方法。
- 上記抗体が静脈内投与される請求項1ないし24のいずれか一に記載の方法。
- 上記抗体が皮下に投与される請求項1ないし25のいずれか一に記載の方法。
- 第2医薬が有効量で投与され、上記CD20抗体は第1医薬である請求項1ないし26のいずれか一に記載の方法。
- 上記第2医薬が複数の医薬である請求項27に記載の方法。
- 第2医薬がアミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6‐メルカプトプリン(6‐MP)およびアザチオプリンからなる群から選択される請求項27または請求項28に記載の方法。
- 上記第2医薬で治療される患者に上記CD20抗体が投与されない場合に使われるよりも低い用量で第2医薬が投与される請求項27から29のいずれか一に記載の方法。
- 上記患者が以前にCD20抗体によって治療されていない請求項1ないし30のいずれか一に記載の方法。
- 上記患者がB細胞悪性腫瘍にかかっていない請求項1から31のいずれか一に記載の方法。
- 上記患者がIBD以外の自己免疫疾患にかかっていない請求項1から32のいずれか一に記載の方法。
- 活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、該患者にCD20抗体を1または2回だけ投与することを含んで成り、そこにおいて疾患緩解または臨床効果は該CD20抗体の該1または2回の投与に応じて成し遂げられる方法。
- 上記1または2回の投与が静脈内(IV)投与される請求項34に記載の方法。
- 上記1または2回の投与が皮下(SQ)に投与される請求項34に記載の方法。
- 上記2回の静脈内投与が行われる、該2回の用量の各々は約200mgから約2000mgの範囲である請求項34に記載の方法。
- 活動期のIBDを有するヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、CD20抗体の有効量を該患者に投与することを含んで成り、さらにアミノサリチル酸、経口コルチコステロイド、6‐メルカプトプリン(6‐MP)及びアザチオプリンからなる群から選択される第2医薬の有効量が該患者に投与されることを含んで成る方法。
- 活動期の潰瘍性大腸炎(UC)を有するヒト患者の疾患活性インデックス(DAI)スコアを減少する方法であって、DAIスコアを減らすための有効量のCD20抗体を該患者に投与することを含んで成る方法。
- 本願明細書の表2のスコアリングシステムを使用して記録される上記DAIが3ポイント以上減少する請求項39に記載の方法。
- 上記患者が非定型レベルの核周辺型抗好中球細胞質抗体(p−ANCA)または抗ヒト・トロポミオシン・アイソフォーム5(hTM5)自己抗体を有する請求項1ないし40のいずれか一に記載の方法。
- 以下を含んでなる製造品:
i. CD20抗体を含んで成る容器;及び、
ii. ヒト患者の炎症性腸疾患(IBD)を治療するための指示が書かれたパッケージ内の挿入物であって、該指示が該CD20抗体の有効量が該ヒト患者に投与されることを示すパッケージ内の挿入物。
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