JP2008526713A5 - - Google Patents

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HIVの治療に有用な化合物
本発明は、プライマーレスキュー(切除)表現型を生じる逆転写酵素(RT)遺伝子中に少なくとも1の明確なクラスの突然変異を有するヒト免疫不全ウイルス(HIV)を予防または治療するための医薬組成物および方法に関する。このクラスの突然変異は、特定のチミジン類似体突然変異(TAMs)と関連し、プライマーレスキュー関連突然変異と呼ばれる。本発明の方法および医薬組成物は、ヌクレオシド2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン、またはこのヌクレオシドをin vivoで放出するプロドラッグを用いる。
プロテアーゼ阻害剤または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤のような他のHIV抗ウイルス剤と異なり、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)は、その投与形が薬理学的に不活性であり、活性なトリホスフェート代謝物を生成するために宿主細胞キナーゼによるリン酸化を必要とする。このトリホスフェート形はウイルス逆転写酵素の天然デオキシヌクレオチドトリホスフェート基質に類似し、HIV-1 RTの結合およびウイルスDNAへの組み込みと競合する。
HIV治療用に承認されたすべてのNRTI、および特許または学術文献で提案された他のすべてのNRTIの大部分が該ヌクレオシドのリボース部分に対する3'-ヒドロキシ機能を欠く。例には、ジドブジン(AZT)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、ザルシタビン(ddC)、アバカビル(ABC)、ジダノシン(ddl)、およびテノホビル(TNF)が含まれる(後者は典型的にはジソプロキシルフマレートプロドラッグとして投与される)。リン酸化されるとそのようなヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体は逆転写酵素により新生DNA鎖と共有結合するが、該ヌクレオシドまたはヌクレオチドにおける3'-ヒドロキシル機能の欠如は、さらなるヌクレオチドのさらなる結合を防ぐ。したがって、これらNRTIは、ウイルスDNA鎖の延長を停止させることにより、HIV複製の阻害をもたらす(Mitsuya et al 1990、Jacob Molina et al 1993、Reardon 1993)。
現在すべての抗レトロウイルス療法(ART)に不可欠なものはNRTIを使用することである。しかし、NRTIは、血流中のHIVの増殖を遅らせることができるだけであり、今まで患者からHIVを根絶することはできなかった。HIVはそのDNAをヒトの免疫記憶に関与する潜在的宿主細胞内に挿入することにより作用する。この感染方法は、患者に、治療終了後HIV価が元に戻るのを防ぐために生涯抗HIV剤を服用し続けることを強いる。
しかしながら、実際には、特定の患者に対する特定のHIV薬の有効投与期間は、「エスケープ(回避)突然変異体」の出現により大きく制限される。エスケープ突然変異体は、薬剤耐性をもたらし、該薬剤の存在下で増殖可能にする突然変異の分離したクラスターを含むウイルスである。エスケープ突然変異体は、患者が服用している特定の抗ウイルス剤の選択圧により患者に生じる。その結果、薬剤の有効投与期間はエスケープ突然変異体がいかに速やかに生じ、増殖するかに依存する。
HIV抗ウイルス剤が常に処方される国々では、HIVの新しい一次感染症例がしばしば野生型HIVではなく、すでに現在の抗ウイルス剤の一部または多剤に耐性であるHIV株であることがますます明らかになりつつある。つまり、感染患者のin situで生じるエスケープ突然変異体は、水平または垂直伝搬により未治療(ナイーブ)患者に広がることもできる。すなわち、このことは、未治療に分類される患者でもある者は通常の一次療法に耐性のウイルスにすでに感染していることを意味する。
総HIVプールサイズ、ウイルスゲノム複製におけるRTプロセシビティ(processivity)およびインフィデリティ(infidelity)、標的細胞のウイルス適合性および多有効性(multiple availabilities)を含む、複合因子が薬剤エスケープ突然変異体の選択に関与している。1990年代後半までに、ジドブジン(AZT)またはスタブジン(d4T)ベースの組み合わせの長期使用からの証拠が、RTにおける特定の突然変異のクラスターが常に生じることを示唆した。この突然変異クラスターは、現在チミジン類似体突然変異(TAM)として知られているプロトタイプである。TAMの存在は、さらなる突然変異の選択の可能性を増大し、明らかにチミジン類似体ファミリー内にないより進化したNRTI耐性表現型の発現をもたらした。そのような表現型は、現在ヌクレオシド類似体突然変異(NAM)および多剤耐性(MDR)HIVとして知られている。
NRTI耐性に対する仮説
AZTは、広く使われている第1抗レトロウイルス剤であり、驚くことではないが最初にエスケープ突然変異体を生じた(Larder et al.、1989)。しかしながら、典型的患者分離株におけるHIVゲノムにわたる多数の突然変異から考えると、特定のTAMを有する組換えRT酵素を用いてin vitroで耐性表現型を生成することはできない。その結果、TAMが耐性をもたらすメカニズムは直接解明されていない。TAM耐性の背後にあるメカニズムに対する種々の仮説モデルと理論的予測がピロホスフェートドナーによる求核攻撃の関与について予測してきた(Boyer et al、2002、およびMeyer et al、2002)。恐らくRT転位理論は、TAM関連耐性メカニズムを理解する上で鍵となる段階である。しかしながら、これは、RT前および後転位(pre-およびpost-translocation)中間体が一時的で寿命が短く、実験的に評価するのが容易ではないため、2002年の終わりまでほとんど理解されていなかった。
RT転位理論の現代の理解では、RT触媒DNA重合はSarafianos et al(2003)から採用した図3に示す詳細なカスケードにより生じると考えている。この工程には、
1)遊離酵素EによるDNA基質の結合をP部位(プライマー部位)の3’プライマー末端に置く。
2)N部位(dNTP部位)に近接したdNTPの結合は、「オープン」三重複合体を形成する。
3)「クローズド」三重複合体は、酵素コンフォメーション変化により形成される。
4)3'-OHプライマー末端とdNTPのアルファホスフェートの間のホスホジエステル結合の形成は、重合のN部位に前転位RT複合体を形成するためのピロホスフェート(PPi)の放出を伴う。
5)次のdNTP結合およびDNA合成の連続の必要条件である後転位複合体を形成することによりN部位からP部位にプライマー末端が転位。
DNA連鎖停止剤ヌクレオシド(NRTI)トリホスフェート(典型的にはデオキシリボース部分上に3'-ヒドロキシ機能を欠くヌクレオシド類似体)を用いる場合は、それはその天然dNTP対応物に類似し、RTと結合する。類似の化学的プロセシング後、組み込まれたNRTIは重合のN部位に前転位複合体を形成する。これは、NRTIのデオキシリボース部分上に3'-ヒドロキシルプライマーを欠くことによりさらなるDNA合成を停止させる。
反対に、TAM関連RT突然変異は、野生型RTに比べて異なるヌクレオチド組み込みメカニズムを用いる。具体的には、新規メカニズムは、プライマー末端に組み込まれたNRTIの放出(切除)をもたらし、NRTIの連鎖停止活性を無効にする。この新しいメカニズムは、(N部位の)前転位期における複合物の蓄積とATPまたはピロホスフェートドナー(これは感染部位、すなわち正常リンパ球にしばしば豊富である)の利用可能性の間の相互作用に依存する。
ATPまたはピロホスフェートは、通常はウイルスDNA重合反応に参加しないが、TAM関連耐性表現型を発現するRTの構造は、新たに組み込まれたNRTIと隣り合った部位にそれらが入るのを促す。前および後転位動態種(pre-およびpost-translocational kinetic species)間の平衡は、N部位へのプライマー末端の自由な接近を保証するメカニズムを提供し、NRTI連鎖停止剤の組み込みおよびピロホスフェートの放出後のP部位のピロホスフェートドナーATPの同時の結合をも可能にする。これが起こると、ATP(またはピロホスフェート)はDNAの末端の組み込まれたNRTIを連結するホスホジエステル結合を攻撃し、ピロリン酸分解(ピロホスホロリシス)によるNRTIの除去をもたらす。ピロホスフェートドナーがATPである時は、NRTIは ジヌクレオシド四リン酸生成物として放出される。図4はAZT末端DNA中のこの「プライマーレスキュー」を示す(ClinicCareOptions(登録商標)から適用)。
現在、2つの異なるメカニズムはNRTIに対する表現型的耐性に関与すると考えられている(Sluis-Cremer et al、2000)。「プライマーレスキュー」活性として知られる最初のものはすぐ上に記載されている。ここで、連鎖停止ヌクレオチドは、ATP依存性またはピロホスフェート依存性のピロリン酸分解を介してプライマー末端の3’末端から除去される。しかしながら、別の耐性表現型クラスターは「識別(discriminative)突然変異体」と称される。この突然変異体はNRTIと天然dNTPの識別能力が増大したRTを有する。この場合、該メカニズムは、右の基質(すなわち、天然dNTP)を選択的に選択することができるRTをもたら、これにより、NRTIによる連鎖停止を避け、ウイルスゲノムの増殖が保証される。
HIVにおける突然変異の発生
HIVのようなレトロウイルスは、急速な遺伝的多様化が起こりうる。これはエネルギー的に非効率なプロセスであるが、該有機体に明確な適応的利点をもたらす。HIVが使用する複製機構は特に変異性であり、該有機体が選択圧下にあるとき突然変異の蓄積が生じうる。
一般に、ウイルス複製により生じた突然変異の大部分は存続性の低い酵素を生じる。すなわち、第2突然変異が蓄積するはずの存続性の低い突然変異体のポピュレーションプールはより早く増殖する野生型有機体により希釈されるので、第2および特に第3の突然変異の蓄積は起こりにくい。さらにより存続性のあるウイルス突然変異体が2つの可能な経路により生じ、増殖しうる。第1は全ウイルスポピュレーションにすでに存在する高耐性変異体の急速な増殖がある時に生じる。最も頻繁には、これは選択圧に対する表現型的耐性をもたらす単独の点突然変異である。薬剤エスケープ突然変異との関連では、例には非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤ネビラピンにより急速に誘導されたK103がある。第2経路は、選択圧の存在下で連続的なウイルス複製がある時に生じる。これは、突然変異の累進的蓄積をもたらし、次いで増殖を可能にする。この場合は、突然変異の蓄積の確率は、生じるウイルスの複製量に関連する。すなわち、より高ウイルスロード(例えば>200,000コピー/ml)で二重突然変異の蓄積が起きうる。しかしながら、三重突然変異の蓄積は希であり、典型的には数種の異なる薬剤を含む複合治療計画(患者が指示を忠実に守るのが難しい)の結果としてのみ生じうる。したがって、熱心な患者でも全ての活性成分が毎日24時間すべてにわたり必要な阻害濃度以上のレベルで血中に存在する「24時間トラフレベル」を保証することはきわめて難しい。したがって、1またはそれ以上の薬剤の投与/24時間トラフレベルの無効によるいずれかの薬剤治療の選択圧の一時的除去は抑制のきかないウイルス複製をもたらし、多くの新しい突然変異体の発生および形成をもたらす。選択圧がもう一度適用(すなわち、複合薬剤療法が再開)されると、よりよい薬剤耐性をもたらす別の点突然変異が蓄積した数種の新たな突然変異体は第1経路に見られるものと同様に増殖しうる(上記参照)。
上記考察は、例えば欠失または付加突然変異と反対に点突然変異の蓄積に集中する。しかしながら、三重突然変異で記載したのと同様のシナリオが適用できる。すなわち、ほとんどの欠失/付加突然変異は最初にただ1個のヌクレオチドに影響を及ぼす。これは、その変化がコーディング領域内に生じ、トランケート(truncated)および/または不活性タンパク質を生じる場合はコードされたタンパク質の下流のアミノ酸配列を完全に変化させる作用を持つ。ある1個のアミノ酸の欠失または付加により読み取り枠(リーディングフレーム)を保存し、最終タンパク質を変化させるためには、3個のヌクレオチドを欠失/付加しなければならない。特に影響を受ける酵素がRTであれば、不活性酵素はHIV有機体(organism)のビアビリティ(viability)を低下させるので、欠失/付加はそれ自体蓄積しないが、同時に生じる必要がある。言い換えれば、三重突然変異の等価物は単事象で生じる必要があり、これは非常に希である(Boyer et al(2004)J Virol 78(18):9987-9997参照。この内容は本明細書の一部を構成する。)
三重突然変異体の蓄積/導入するためのこのプロセスの結果として、比較的最近まで、特に強力な多剤耐性を生じるRTに少なくとも3個の突然変異を有するHIVウイルスは樹立されなかった。例えば、米国では、FDAが併用(組み合わせ)薬剤療法(ddCおよびAZT)の使用を承認したのは1992年であった。さらにAZTとddCまたはddlの組み合わせがAZT単独より有効であることを臨床試験が示したのは1995年9月になってである。今日、西欧諸国で知られている特に問題のある多剤耐性HIVウイルス株が生じているのは、多剤を使用する組み合わせ療法使用の結果としてであるが、各薬剤の適切な24時間トラフレベルを有効に保証することができない用法・用量においてである。
プライマーレスキュー突然変異
最初に記載されたTAMプライマーレスキュー突然変異体は、RTのアミノ酸位M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/Eの6種の薬剤耐性表現型群内に種々の置換を含んでいた(LarderおよびKemp、1989、Schinazi et al、2000)。初期のデータは、共に未知因子により生じる多TAMプライマーレスキュー突然変異体の発現のための2つの独特な突然変異経路に言及した。第1経路はコドン210にアミノ酸置換(210W)を生じ、コドン67(67N)の置換とコドン41(41L;98%以上)および215(215Y;94%以上)の突然変異に選択的に関連した。第2経路は、コドン219(219K/E)の突然変異を生じ、コドン67(67N)および70(70R)の突然変異と選択的に関連した(Yahi et al、1999)。したがって、以下の2つの表現型パターンがあった:(1)AZTおよびd4Tに対する高レベルのウイルス耐性をもたらすL210W、M41L、T215Y/F、±D67N、および(2)AZTおよびd4Tに対する中等度のウイルス耐性をもたらすK219K/E、D67N、K70R。
Marcelin et al(2004)は、ウイルス学的不全患者におけるTAMプライマーレスキュー関連突然変異の普及率について要約した。ここで、1098RT配列を観察し、図1および図2に示す2つの遺伝子型を与えた。異なる遺伝的背景が治療前に存在しているかもしれないが、薬理学における個々の差と組み合わせて行う抗レトロウイルス療法の順序と組成は、AZTおよびd4Tだけでなく他のNRTIに対するウイルス耐性を生じた。存在する突然変異パターンに応じて、薬剤耐性にはアバカビル(ABC)、ジダノシン(ddl)、テノホビル(TNF)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)およびザルシタビン(ddC)が含まれた。すなわち、プライマーレスキュー関連TAMの出現は、しばしばより顕著な耐性HIV遺伝子型のさらなる発現に重要な役割を果たす。したがって、多ヌクレオシド耐性を防ぐ1段階は、プライマーレスキュー関連TAMの蓄積を避ける目的で新規NRTIを開発することである。
プライマーレスキュー関連TAM突然変異は、典型的には組み合わせ抗レトロウイルス療法(または、カクテル療法として知られる)から生じるエスケープ突然変異体の他のファミリーと同時に発達しうる。今日、カクテル「コンビビル」(AZT+3TC)は、最も頻繁に用いられており、未治療HIV患者の治療のための第一選択治療法として推奨されている。しかしながら、両薬剤に耐性なエスケープ突然変異体を生じる。例えば、Miller et al(1998)は、M184V突然変異を有する3TC-耐性ウイルスがAZT+3TC組み合わせ療法の開始後ちょうど4〜12週間で選択されたと報告した。やがて、さらなるAZT関連突然変異が徐々に発現し、今日治療を経験した患者に通常みられるM184V、M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/Eの特徴的遺伝子型をもたらす。H208、R211、およびL214位(Sturmer et al、2003)およびG333位(Kemp et al、1998)にRTのさらなる突然変異がAZT-3TC二重耐性に関与し、特にAZTに対する耐性能の増加をもたらすと報告されている。したがって、プライマーレスキュー関連TAMの遺伝子型の状況は、M184V、M41L、D67N、K70R、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/E、およびG333E内に置換を含むよう拡張されている。
治療を経験した患者に一般的に見られる他のタイプの突然変異はV118IおよびE44D/Aである。これら突然変異は、ddlおよびd4Tに対する以前の曝露と強く関連する。さらに、それらはしばしばM41LプラスT215Y/FまたはD67NプラスL210Wを含む特定のTAMクラスターの存在と関連する。結果は、チミジン類似体ファミリーに対するプライマーレスキュー関連TAM耐性、およびAZT+3TCに対する二重耐性における独特の役割を増加する(Montes et al、2002、Girouard et al、2003)。
薬剤エスケープ突然変異体の普及率は、治療コース中に用いるNRTI数に応じて増加し、M41L、E44D/A、D67N、K70R、V118I、M184V、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/EおよびG333E内に種々の置換を含む拡大したTAMまたはNAMパターンを形成する。このクラスターは、一般にAZTおよびd4Tを含む組み合わせ療法にも不応性(難治性)であり、NRTIの全クラスに対する交差耐性である。
チミジン類似体、特にAZT、d4TおよびTNFに対する有意な耐性は、TAMと同時にT69Gのアミノ酸置換としばしば関連するRTのフィンガー領域の67位にアミノ酸欠失(▲67)を有するエスケープ突然変異体にみいだされる(Imamichi et al 2000および2001参照)。この特定の遺伝子型と関連したRT重合活性の増大は、より効率的なピロリン酸分解依存性プライマー切除(上記)をもたらし、耐性の増加をもたらすことが提唱された。Boyer et al、(2004)は、TAMと同時の▲67はTAM単独に比べてAZTおよびTNFに対するプライマーレスキュー(切除)ウイルス耐性を促す能力の増大をもたらすことも観察した。
HIVは抗レトロウイルス療法の発達につれて同時に進化する。二重および三重ヌクレオシド類似体カクテルを特に未治療患者のHIVの臨床管理に用いると、新規突然変異表現型が出現した。1日の種々の時間に、あるものは食事と共に、あるものは食事と別に多剤を服用する必要がある複雑な治療法は患者にとって難題である。これら投与法に厳密に従うことができず、24時間トラフの失敗をもたらすことは、主にNAMまたはMDR獲得ウイルスの結果として多NRTI耐性HIVウイルスの出現を促した。例えば、多くのグループ(例えばMas et al、2000)がAZTの使用と関連した突然変異体T69S-XXウイルスの出現を観察した。この突然変異体は、アミノ酸69および70を特定する核酸間のRTのコーディング領域に6bpの挿入を持つ。得られる二重アミノ酸挿入複合体(典型的にはSS、SGまたはAG挿入)は、AZTに対するウイルス耐性だけでなく、d4T、3TC、ddl、ddCおよびABC、およびTNFを含むNRTIのほぼ全コレクションをもたらした。ピロリン酸分解依存性プライマーレスキューの増大が特にTAMの存在下、T69S+二重アミノ酸挿入でみられる。この現象は、典型的には「M41L/T215Y」または「M41L/L210W/R211K/L214F/T215Y」耐性表現型と関連し、多ヌクレオシド耐性において重要な表現型的役割を演じる(Meyer et al、2003)。
MDRの別のクラスは、コドンQ151 Mのアミノ酸置換を有する。この突然変異は、臨床的には比較的低頻度で観察され、しばしばA62V、V75I、F77LおよびF116Yの第2の突然変異と共に存在する。しかしながら、それは、NRTIのほぼ全クラスに対する有意な耐性をもたらす。さらに、それは、TAM、典型的には「M41L、L210WおよびT215Y/F」または「D67N、K70RおよびK219K/E」遺伝子型と関連して観察される。それは、AZT/ddlおよびAZT/ddCの組み合わせ療法による激しい治療を経験した患者にみられる。
L74Vは、ddl単独療法により最も頻繁に選択され(Martin et al、1993)、ABCおよび3TCに対する交差耐性を示す。ウイルスエスケープを生じるその能力は他の突然変異の存在に依存する。L74V突然変異はウイルス複製の減少効果をもたらし、多くのTAMを含むAZT耐性ウイルスを再感作すると考えられたが(St. Clair et al、1991)、耐性調査は、L74Vの頻度は、典型的には、M41L、L210WおよびT215Y/Fバックグラウンド中のTAMと有意に関連することを示唆する(Marcelin et al、2004)。HIV-1 RTにおけるL74VおよびM184V突然変異の組み合わせは、ABCおよびddlの両方に対する耐性と関連する最も頻繁なパターンである(Harrigan et al、2000およびMiller et al、2000)。
ABCに対する高レベルの耐性はK65R、L74V、Y115FおよびM184Vを含む多突然変異を必要とするが、1つの突然変異M184Vがしばしば最初に出現する。現在、薬剤エスケープ耐性の識別メカニズムにおける重要な突然変異として認識されているこの突然変異は、ABC感受性の中等度の低下をもたらす(Tisdale et al、1997)。総数562人の患者がAZTおよび3TCをABCまたはddlとともに無作為に服用したCNA3005試験は、AZTおよび3TC プラスABC治療群においてTAMを有する患者の割合の遅いが着実な増加を示した。第48週までに患者の56%以下が急速に誘導されたM184V 突然変異に加えて少なくとも1のプライマーレスキュー関連TAM(IxTAM)を有し(Melby et al、2001)、プライマーレスキュー関連耐性の出現を防ぐ重要性を示した。同様に、3TC選択圧下で67、70、215および219の遺伝子型を有するAZT耐性ウイルスのin vitroでの継代は、M184V 突然変異の選択をもたらし、ABCに対する交差耐性をもたらした(Tisdale et al、1997)。また、これは、既存のプライマーレスキュー関連TAMの処理およびプライマーレスキュー関連突然変異体の蓄積の予防が多ヌクレオシド耐性の発現を避けるための極めて重要な段階であるという概念を強調する。
K65R 突然変異がTNFまたはABCを受けている患者の非常に高い割合に急速に出現することがますます明確になってきた。Valer et al(2004)は、K65Rの発生頻度がMadrid病院で、1997-2000年の<1%から2003年の7%、および2004年の最初の4カ月で12%に増加したと報告した。K65R突然変異体の効果は、ABC、3TC、ddlおよびddCに対する感受性の低下と関連する他の突然変異の存在下で悪化する(Parikh et al、2003)。さらに、起こるのは希だが、プライマーレスキュー関連TAM遺伝子型のK65Rの同時出現は、AZTよりTNFのプライマーレスキュー(切除)に対するより顕著な効果をもたらす(Naeger et al、2001)。TNFは、TAMクラスターがM41LまたはL210W 突然変異を含まない限り、3xTAM以下を有するHIV-1に対して活性であると報告された。現在、なぜTAMがK65Rのある効果を逆転させるのか不明であり、(そうでなければ、TNFおよびABCに対する感受性に関してプライマー切除突然変異体を妨げると考えられる)。
最終的に、T69D 突然変異のddC耐性を生じるその役割が始めて確認された。それはT215Y 突然変異および他のプライマーレスキュー関連TAM遺伝子型の組み合わせを生じるときに、ddlに対する反応の減少と関連することも報告された。
長年にわたり、WHOおよびDHHS(米国保健社会福祉省)は、3TCプラスネビラピンまたはエファビレンズと組み合わせたd4TまたはAZTの投与からなる未治療患者に対する一次抗レトロウイルス療法を推奨してきた(Guidelines for the Use of Antiviural Retroviral Agents in HIV-1-Infected Adults and Adolescents、2003年7月14日および2004年3月23日)。しかしながら、かなり多くのHIV感染患者が、初期にきわめて活性な抗レトロウイルス療法(HAART)の治療の失敗を経験しており、これらの患者がすでに薬剤エスケープウイルスに感染していることを示唆する。プライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体は、薬剤耐性の発現にきわめて重大な役割を果たし続けている。すなわち、プライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体の効果を妨げる薬剤または治療方法の開発は、未治療患者を治療するための既存のNRTIの使用を強化または延長し、サルベージ療法においてプライマーレスキュー関連耐性突然変異体を有するHIVが感染したポピュレーションを治療するのに用いることもできよう。
プライマー-レスキュー突然変異体を予防/治療するための薬剤戦略
プライマーレスキューおよび識別突然変異は、大部分現在の治療戦略によりしばしば同じ突然変異体遺伝子型に一緒に出現する。M184V 突然変異は、識別突然変異体のファミリーの典型的なものである。しかしながら、それがプライマーレスキュー関連突然変異体、例えばM41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/F、およびK219Q/Eと組み合わせて生じると、AZTおよび3TCに対する二重耐性に役割を果たす(Miller et al.、1998)。
これらプライマーレスキューおよび識別耐性表現型は、RTの突然変異の異なるクラスターと関連するようである。例えば、M41L、E44D/A、D67N、K70R、V118I、M184V、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/EおよびG333E内に種々の置換を含むAZT関連突然変異、6-bp挿入を有するMDR T69S 突然変異、および▲67は、典型的にはプライマーレスキュー突然変異体活性を有する。他方、65、74、89、151、および184位の突然変異は、NRTIと各dNTP対応物を区別する能力をもたらすか、またはプライマー-テンプレート複合体の再配置に関与するかもしれない。
最近の論文「Designing anti-AIDS drugs targeting the major mechanism of HIV-1 RT resistant to nucleoside analog drugs」(IJBCB 36(2004)1706-1715、この内容は本明細書の一部を構成する)において、Sarafianos et alは、プライマーレスキュー(切除)メカニズムはN部位のRT転位前にのみ生じると結論し、さらにNRTI耐性の主要なメカニズムになっていると結論している。「Strategies for Inhibition of the Excision Reaction」の章(1711頁参照)で、彼らはそのような耐性メカニズムを無効にする3つのアプローチを提唱している:
1. おそらくATP結合部位またはその近くに結合することにより、DNA合成の順反応に影響を及ぼさずに該切除反応をブロックする、ATPの生産的結合(P部位で)と干渉する新規抗ウイルス剤の使用。
2. 現在のNRTIのボナノ-またはチオ-置換アルファホスフェート変異体のような、DNA合成をブロックすることができるが、何らかの形で切除に耐性である化合物の使用。同様に、現在のNRTIの変異体を操作し、3TCにより誘導されたM184I/V突然変異体の乏しい切除能力が示唆するように、切除不可能な方法で延長/停止したテンプレート/プライマーを再配置することができる。
3. N-およびP部位両方でビデンテート(bi-dentate)結合をもたらすジヌクレオチド四リン酸ベースの阻害剤の使用。
NRTI耐性のプライマーレスキューメカニズムを妨げるこれら3つの提唱された各アプローチは、種々の理論的欠点についての批判を受けやすい。例えば、第1アプローチにおいて、ATP結合は、正常なRT機能に必要ではない。すなわち、競合または阻害によるATPまたはピロホスフェート結合の阻害に基づく対策は、内在するウイルスの適応度がそのような薬剤により障害されないため耐性発現を予防しないであろう。つまり、耐性突然変異は進化的コスト無しに生じるであろう。正常リンパ球に存在する十分な量のATPも、このアプローチの背後にある理論的根拠を疑うものである。
第2の提唱アプローチにおいて、ボナノ-またはチオ-置換アルファホスフェート類似体は、3TCおよびFTCと共にみられ、HIV耐性突然変異体を生じるので識別耐性突然変異体を選択するようである。
第3の提唱アプローチは、標的細胞内に大きな高荷電の四リン酸ジヌクレオシド種を薬物動態学的に取り込む必要があることにより制限される。これは、厳しい医薬的および薬剤送達的課題であろう。
それ自体抗ウイルス剤ではないが常套的NRTIの同時投与を前提とするアプローチ1を含むSerafanianoの各アプローチは、NRTIの現世代の変異体に基づくことは注目に値する。すなわち、3-ヒドロキシル機能を欠き、絶対(obligate)連鎖停止剤として作用する化合物。
上記「古典的」NRTI(すなわち、3'-ヒドロキシ機能を欠くもの)とは対照的に、Ohrui et al(J Med Chem(2000)43、4516-4525、この内容は本明細書の一部を構成する。)は4'-C-エチニルHIV阻害剤:
Figure 2008526713
式I
を記載している。
この化合物は、3'-ヒドロキシ機能を保持するが、A62V、V75L、F77L、F116YおよびQ151 M 突然変異を有する典型的識別MDR株を含むHIV-1に対する活性を示す。作用メカニズムは、ヌクレオシドホスホリル化キナーゼに対する親和性を介すると仮定された。しかしながら、これら化合物は、そのネオペンチルアルコール特性および隣接cis4'-置換基の重度の立体障害(これは3'-ヒドロキシの反応性の顕著な減少を生じた)によりDNA連鎖停止剤として機能するかもしれないことも観察された。
Kodama et al(Antimicrob Agents Chemother(2001)1539-1546(この内容は本明細書の一部を構成する)は、細胞培養中、さらなるHIV耐性株でアッセイした保持された3'-ヒドロキシ機能と隣り合った4'-C-エチニル基を有する非常に似た化合物のセットを記載している。Kodama et alは、その化合物のトリホスフェートを製造しなかったため、作用機序を解明することはできなかったが、化合物が実際にNRTIとして作用することを種々の状況的観察から示唆する。Kodama et al(要約388-T、2003 9th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections(この内容は本明細書の一部を構成する))は、in vitroのその4-C-エチニルヌクレオシドの選択圧下で、RT触媒部分に位置するT165IおよびM184V 突然変異を有する耐性HIVを解明したと後に報告した。この突然変異体表現型は、明らかに識別型の突然変異であり、3TCと大きく交差耐性である。すなわち、4-C-エチニルヌクレオシドの組み込みをブロックする立体的不一致が示唆された。これは3TC阻害メカニズムで確立されており、したがってかなりの確率で識別耐性メカニズムを示す。したがって、Kodamaの化合物はプライマーレスキュー(ATPまたはピロホスフェート介在切除)を促す突然変異体を扱う手引きにならないようである。
Chen et al(Biochemistry(1993)32:6000-6002、この内容は本明細書の一部を構成する)は、4’にアジド基を有する化合物の構造的に関連のあるシリーズに関する広範なメカニズム研究を行った:
Figure 2008526713
式II。
Chenは、RTは、鎖の伸張を停止させる2つの連続した4'-アジドチミジンモノホスフェートヌクレオチドを効率的に組み込むことを証明した。さらに、RTは、第1の4'-アジドチミジン モノホスフェート、次いで天然dNTP、次いで第2の4'-アジドチミジンヌクレオチドも組み込むことができ、これは連鎖停止ももたらした。これらメカニズムはいずれも停止DNAプライマー末端に4'-アジドチミジンモノホスフェートの存在をもたらし、これが現在のNRTIと非常によく似た阻害メカニズムであることに注意せよ。細胞性(すなわち、非ウイルス性)ポリメラーゼαおよびβはそれぞれ宿主DNAの新生鎖内に第2ではなく1個の4'-アジドヌクレオチドを組み込むことができることも明らかであった。次に、これら細胞性ポリメラーゼは、宿主DNA鎖をさらに天然dNTPで伸張することができ、宿主DNA遺伝子内にNRTIヌクレオチドを不可逆的に組み込んだ。細胞性酵素による非天然ヌクレオチドの間違った組み込みは発癌性の明確な示唆を有するので、これら化合物はヒトでは追求されていなかった。同様に、Kodama対応4'-C-エチニル化合物の医薬開発は、高等生物で重度の毒性があると言われているため中止された。
EP 341 911は、式:
Figure 2008526713
式III
で示される3'-C-ヒドロキシメチル ヌクレオシドの広範なファミリーについて記載し、CMVのようなヘルペスウイルスおよびレトロウイルスに対して主に使用することを提唱している。WO92/06201も同様の化合物および適用のセットを開示している。
US 5,612,319(この内容は本明細書の一部を構成する)は、カニクイザルの急性HIV感染モデルにおける野生型HIV-1IIIBおよび類人猿等価物SIV-1に対する2'-3' ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンのレトロウイルス活性を開示している。この刊行物は、特に針刺し損傷に対する曝露後予防剤としての該化合物の使用を提唱している。曝露後予防は、潜在的HIV感染シリンジでうっかり突き刺してしまった医療従事者のようなヒトに活性成分を早急に投与することを示す。当然のことながらショックを受けたヘルスケアの専門家の速やかな治療を保証するために、解毒剤を化学・生物兵器に対する解毒剤に用いるような自己投与スプリング式シリンジが好ましい投与経路である。
曝露後予防の意図は、生じた感染を治療するより感染が確立されるのを防ぐことである。それ自体は、治療は極めて高用量の化合物を用い短時間、例えば24〜48時間行うことを意図した。この刊行物は、ある者は治癒不能な疾患を予防しようとするため、分離した時間での投与による一過性の毒性は許容されると記載している。US 5,612,319に記載の曝露後予防法は、ヒトでは試みられておらず、実際に本発明者らの知るところでは、2'-3' ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは全くヒトに投与されなかった。
US 5,612,319として特許された出願が1994年に出願されたとき、今日知られている多耐性HIVはいかなる説得力のある形でも生じていなかった。今日の多耐性HIVは、多年にわたるNRTI療法の選択圧から誘導され、蓄積されたプライマーレスキュー突然変異を有する。つまり、これら特許が許された時に現存する該HIVおよび特にRTは、今日のウイルスと構造的およびメカニズム的に非常に異なっていた。
(発明の簡単な説明)
本発明は、絶対連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチドホスフェートがATP-またはピロホスフェート介在切除により新生DNA鎖から切除されるのを可能にする少なくとも1のプライマーレスキュー突然変異をHIVのRTが有する、HIV患者の治療方法を提供する。該方法は患者に有効量の2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジンまたはその塩を投与することを含む。
本発明の他の態様は、HIVプライマー/テンプレート複合体内に組み込まれた連鎖停止NRTIヌクレオチドをATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより除去することができる、HIVプライマーレスキュー突然変異体の出現または増殖を阻害する方法を提供する。該方法は、HIVに感染した個体に有効量の2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジンおよび少なくとも1の連鎖停止剤NRTI(これは、プライマーレスキュー突然変異体を誘導する)を同時または逐次投与することを含む。
本発明によれば、HIVの逆転写酵素が、絶対連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチドホスフェートがATP-またはピロホスフェート介在切除により新生DNA鎖から切除されるのを可能にする少なくとも1の突然変異を有する、HIV感染を治療するための医薬の製造における2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジンまたはその塩の使用も提供する。
HIVの逆転写酵素が、絶対連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチドホスフェートがATP-またはピロホスフェート介在切除により新生DNA鎖から切除されるのを可能にする少なくとも1の突然変異を有する、HIV感染の治療に使用する2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジンまたはその塩も提供する。
さらに、HIVに感染した個体におけるHIV突然変異体の出現または増殖を阻害するために該活性成分を同時または逐次投与するための医薬の製造における、活性成分として2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその塩とともに少なくとも1の連鎖停止剤NRTIを使用することを提供する(ここで、該突然変異体は、HIVプライマー/テンプレート複合体内に組み込まれた連鎖停止NRTIヌクレオチドを除去することができ、該除去はATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより促進される)。
HIVに感染した個体におけるHIV突然変異体の出現または増殖を阻害するために該活性成分を同時または逐次投与するために使用する、活性成分として2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその塩とともに少なくとも1の連鎖停止剤NRTIを提供する(ここで、該突然変異体は、HIVプライマー/テンプレート複合体内に組み込まれた連鎖停止NRTIヌクレオチドを除去することができ、該除去はATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより促進される)。
本発明の使用および方法において、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは、所望により2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出する、そのプロドラッグの形で用いてよい。
この提唱するメカニズムに縛られることを望まないが、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは細胞性酵素により対応する5'-トリホスフェートにホスホリル化される。特定のプライマーレスキュー関連突然変異体 RTにおいて、多耐性HIVの著しく突然変異したRTは、このトリホスフェートを5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートとして新生DNA鎖内に取り込む。
常套的NRTIは、N部位でDNA合成を停止する絶対連鎖停止剤として作用し、多耐性HIVに独特な上記ATP-またはピロホスフェート介在プライマーレスキュー(切除)メカニズムに感受性である。反対に、本明細書に記載の証拠は、5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートが絶対連鎖停止剤として作用しないが、さらなる残基が5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートの3'-ヒドロキシメチル機能に共有結合することができることを示唆する。次に、これは、RTが、次の回の重合のためにP部位内にそれ自身が転位する、必要な変換変化を受けることを促す。以下に示すテンプレートの配列に基づく予備的証拠は、この結合末端残基がさらなる5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートよりむしろ天然ヌクレオチドであることを示唆する。
重要なことは、本発明の方法を用いて得られる下記の証拠は、最後に取り込んだ非2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンヌクレオチドが、突然変異した逆転写酵素によりヌクレオチドをさらに付加するのに適していないことを示唆する。すなわち、連鎖停止は、NRTIよりむしろ本発明のNRTIを超える1塩基を生じるようである。さらに、本発明の化合物を組み込んだ後、RTは次に来るヌクレオチドを受け入れるためにP部位にうまく転位するようである。この証拠は、本発明の化合物がプライマーレスキュー関連突然変異RTとともにATP-またはピロホスフェート誘導切除に適さない連鎖停止形を達成することを示唆する。結果として、本発明の方法は、現在の薬物療法に応答しないHIV感染の有効な治療を可能にする。
すなわち、上記阻害メカニズムは、Chen et al(上記参照)の4'-置換ヌクレオシドの連鎖停止メカニズムと根本的に異なり、組み込まれた4-置換化合物後にいくつかのヌクレオシドが組み込まれることを可能にする。最初に、Chenのメカニズムは「読み合わせ(readthrough)」のリスクを著しく増大させる。すなわち、DNA ポリメラーゼは、コーディング鎖を追跡し続け、正常な終止コドンにコード残基を加え続けることにより、DNA鎖内に異常ヌクレオシドを間違って組み込む。しかしながら、ウイルスDNA鎖がウイルスポリメラーゼ(すなわち、RT)により構築されると、読み合わせ構築物はまだ実行可能で(viable)、間違って組み込まれた4'-置換ヌクレオシドを無視しうるので抗ウイルス効果は失われうる。より重要なことは、Chenが記載するように細胞性(すなわち宿主)ポリメラーゼにより4'-置換ヌクレオシドが読み合わせされると、その後得られる構築物は催奇形物質に相当し、細胞損傷や癌のリスクが劇的に増加する。
Chenの化合物は、さらに第1の間違って組み込まれた4'-置換ヌクレオチドと隣り合うか(すなわち、X-X)、または1個の天然ヌクレオチドが間にある(すなわち、X-N-X)第2の4'-置換ヌクレオチドの付加を必要とする。実際には、これはプライマー末端の最後の位置のヌクレオチドが非天然(すなわち、薬剤)ヌクレオチドであることを意味する。これは、古典的NRTI(すなわち、3-ヒドロキシ基を欠くもの)連鎖停止の場合と類似の状況である。NRTIヌクレオチドもプライマー末端の最後の位置に存在し、これは、上記のごとくATPまたはピロホスフェート介在切除に感受性である。
Chen 4'-置換ヌクレオチドの多ユニットが、それが有効なRT阻害剤として作用するために必要である。結果として、該薬剤の有効性は、読み取り鎖の配列に依存する。例えば、Chen化合物がチミジン類似体であれば、それは読み取り鎖がAAまたはA-N-A配列を持てば最もよい親和性を有するであろう。該薬剤は、DNA合成の停止において効率的で有効であろう。しかし、読み取り鎖の配列がAAまたはA-N-A配列の豊富なリサイタル(recital)を含まないならば、Chen薬剤は、所定濃度でDNA合成を停止できにくいであろう。AAダブレットまたはA-N-AトリプレットはシングレットAより該ゲノムにおいてはるかに希なので、Chen 薬剤は多ユニットを要求しない他のNRTIより遙かに効率が低いであろう。
本発明に従って治療または予防した多耐性HIVは、典型的には以下の少なくとも1を含む遺伝子型を有するRTを有するであろう:
(a)M41、±D67、L210、およびT215、
(b)D67、K70、およびK219、
(c)T69S-XX、または
(d)▲67(ここで、XXはあらゆる2つの天然アミノ酸のRT配列に対する付加を表す。また、▲67はコドン67のアミノ酸欠失を表す。)
上記4遺伝子型は、切除薬剤エスケープ表現型の本質的基礎を表すと考えられるが、本発明の使用により治療または予防される突然変異体は、典型的にはRT遺伝子中および他の場所にさらなる突然変異、しばしばRT遺伝子中に少なくとも3個の突然変異を含むようである。
一般に(しかし排他的にではなく)、クラスターM41、±D67、L210、およびT215はしばしばM41L、±D67N、L210WおよびT215Y、またはT215Fを含む。
所望により、上記クラスターは、さらに、E44、K70、V118、H208、R211K、L214、K219、またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
上記クラスターは、さらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223、またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
一般に(しかし排他的にではなく)、クラスターD67、K70およびK219は、D67N、K70RおよびK219Q、またはK219Eを含む。
所望により、クラスターD67、K70およびK219は、M41、E44、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
さらに、クラスターD67、K70、およびK219は、所望によりさらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む。
一般に(しかし排他的にではなく)、クラスターT69S-XXは、さらにM41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219、またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
所望により、クラスターT69S-XXは、さらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223、またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
一般に(しかし排他的にではなく)、クラスター▲67は、M41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
所望により、クラスター▲67は、さらにT69、T69S+XX、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含んでよい。
所望により、該逆転写酵素は、さらにK65、L74、M184またはQ151位に少なくとも1の識別突然変異、特にK65R、L74VまたはM184VまたはQ151Mを含んでよい。
典型的には、識別突然変異体のクラスターは、A62、V75、F77、Y115またはF116位の少なくとも1のさらなる突然変異と関連してよい。
本発明により処理されるHIV株は、連鎖停止NRTIヌクレオチドのATP-またはピロホスフェート介在プライマーレスキュー(切除)を促進し、以下からから選ばれる少なくとも1の抗ウイルス剤により以前にHIV治療を受けた結果として患者内に生じる突然変異をそのRTが有する、多耐性HIVである:ズドブジン(AZT、ZDV)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddl)、アバカビル、(ABC)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)、アデホビル(ADV)、エンタカビル(BMS 200475)アロブジン(FLT)、テノホビルジソプロキシルフマレート(TNF)、アムドキサビル(DAPD)、D-d4FC(DPC-817)、-dOTC(SPD754)、SPD-756、ラシビル、D-FDOCまたはGS7340。あるいはまた、該HIV株は、上記NRTI抗ウイルス剤の少なくとも1の抗ウイルス剤による持続的治療により耐性または多耐性HIV株がそれ自身に誘導された別の個体から直接または間接的にそのような耐性または多耐性HIV株を受け取った患者にみいだされるものである。しばしば、多耐性HIV株は、野生型に比べて該ウイルスRT中に少なくとも3個の突然変異を含む。
すなわち、本発明の方法および組成物を、現在の抗レトロウイルス療法、例えばHAARTの追加物として、またはある場合にはレスキューまたはサルベージ療法として用いてよいことは明らかであろう。これは、典型的には多耐性HIVが該患者のより初期の抗レトロウイルス薬剤治療歴により実際の患者に誘導された場合であろう。あるいはまた、本発明の方法および組成物は、典型的にはすでに突然変異した多耐性株により一次HIV感染が生じた患者において一次療法を構成しうる。以下の抗ウイルス剤は、しばしば連鎖停止NRTIヌクレオチドのATP-またはピロホスフェート介在切除を促進するRTプライマーレスキュー突然変異を有するそのような多耐性HIV株を誘導する:ズドブジン、ラミブジンまたは組み合わせ剤形コンビビルまたはトリビビル;ラミブジン、アバカビルまたは組み合わせ剤形エプジコム;テノホビル、エムトリシタビンまたは組み合わせ剤形トルバダ。これら薬剤はしばしばそのような多耐性HIV株を誘導するが、この薬剤リストは排他的ではない。
したがって、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンを連鎖停止NRTIヌクレオシドのATP-またはピロホスフェート介在切除を促進するRTプライマーレスキュー突然変異を有する1またはそれ以上の多耐性HIV株の出現を予防するために投与することは明らかである。この予防は、そのような突然変異を誘導するNTRI剤を同時投与するときにも生じる。
本発明の第3の局面は、NRTIと持続投与すると、組み込まれたNRTI モノホスフェートの、該プライマー/テンプレート複合体の3’-末端からのATP依存性またはピロホスフェート依存性切除を促進するHIV RTプライマーレスキュー突然変異を誘導し、DNA合成の続行を可能にする、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンおよび少なくとも1の連鎖停止剤NRTIを含む単位剤形または同時投与剤形(co-dosage form)を提供する。
本発明の医薬組成物および本発明の方法の好ましい態様には、NRTIが、ズドブジン(AZT、ZDV)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddl)、アバカビル、(ABC)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)、アデホビル(ADV)、エンタカビル(BMS 200475)、アロブジン(FLT)、テノホビルジソプロキシルフマレート(TNF)、アムドキサビル(DAPD)、D-d4FC(DPC-817)、-dOTC(SPD754)、SPD-756、ラシビル、D-FDOCまたはGS7340、およびその組み合わせから選ばれるものが含まれる。
特に好ましい態様には、NRTIが、ジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エムトリシタビンまたはその組み合わせから選ばれるものが含まれる。
US 5,612,319に記載の方法とは対照的に、本発明の2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは持続的で長期の抗レトロウイルス治療を期待して比較的低用量で患者に投与される。この明確な投与治療法は、一過性の毒性が許容される曝露後予防治療と異なり、明確な薬剤レベルを保証し、毒性を避ける。US 5,612,319は、ヒトの曝露後予防治療で約10-25mg/kg/日およびサルの実験において30 mg/kg/日の2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの用量を示唆する。
しかしながら、本発明では、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは、1mg/kg/日以下、好ましくは0.05〜0.5 mg/kg/日、最も好ましくは0.1 mg/kg/日以下で投与される。適切な用量は、適応症および患者に依存し、常套的動物の薬物代謝および薬物動態(DMPK)または臨床試験、およびin silico予測ソフトウエアにより容易に決定される。
本発明の単位剤形または同時投与医薬組成物は、典型的には60kgまたは75kgの成人について見積もった2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの対応量を有し、所望によりQD、BIDまたはTID投与法では1回、2回、または3回に分割される。用量は、プロドラッグを余分な量のプロドラッグを計上するために用いる時は上方に見積もられ、バイオアベイラビリティの観点から下方に見積もられる。治療用量が0.05〜0.5mg/kg/日の範囲である場合は、臨床QD用量/ヒト/日は、60kg成人につき3mg〜30mg、または75kg成人につき3.75〜37.5mgであろう。本発明の組み合わせ用量単位医薬組成物の局面においてさらなる常套的NRTIの用量および治療法の制限は、QD、BIDまたはTID投与を必要とするかもしれない。
同時投与剤形には、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはそのプロドラッグおよび上記のさらなるNRTIのブリスターパックを含む一包装が含まれる。ブリスターパックは、1ブリスターシート(典型的には、それぞれの適切な数の錠剤/カプセル剤(例えば1薬剤の2錠剤および他の1錠)の正しい投与を促す指示書(indicia)を有する)上に両成分のブリスターを含んでよい。あるいはまた、同時投与剤形は、各薬剤がそれ自身のブリスターシートを持つ複数の同封されたブリスターシートを有する包装である。
ピロホスホリル的触媒経路による連鎖停止剤切除を可能にするために突然変異するHIV RTとの関連で2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンが連鎖停止ヌクレオシドとは異なる作用メカニズムにより操作されるという新たな高く評価されている原理は、親化合物2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの投与、または2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンをin vivoで放出するプロドラッグの投与により実施することができよう。
2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンのプロドラッグの一群は、Mauldon et al Biorg Med Chem 6(1998)577-585に記載のような塩基修飾を用いる。典型的な塩基修飾プロドラッグは、式:
Figure 2008526713
を有する
[式中、Rconは、独立してHまたは常套的な医薬的に許容されるエステルである;
R5は、-C(=O)R7またはアミド結合L-アミノ酸残基であり;
R6はHであるか;または
R5とR6が一緒にイミン=CR8R8'を表す;
R7は、C1-C6アルキル、C0-C3アルキルサイクリル(cycyl)である;
R8およびR8'は独立してH、C1-C6アルキル、C0-C3アルキルサイクリル(cycyl)であるか;または
R8はHであり、R8'は-NR9R9'である;
R9およびR9'は独立してH、C1-C6アルキル、C0-C3アルキルサイクリル(cycyl)であるか;または
R9とR9'がそれらと結合するN原子と一緒になって飽和5または6員環を表す;
nは1、2または3である。]。
常套的な医薬的に許容されるエステルには、アルキルエステル、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、パルミチル、ステアリルなど、およびアリールエステル、例えばベンゾイルが含まれる。他の常套的な医薬的に許容されるエステルには、アミノ酸エステル、例えばL-バリル、L-イソロイシンまたはL-フェニルアラニンが含まれる。
Mauldon中の2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルの塩基修飾プロドラッグの例にはイミン:
-N=CHNR
[式中、NRはN(CH3)2、N(iPr)2、N(Pr)2、N(CH2)4、N(CH2)5、N(CH2)6、N(CH2CH2)2Oである。]
がある。
さらなるMauldon塩基修飾プロドラッグには、シトシン窒素のアミドが含まれる:
Figure 2008526713
[式中、Rconは、Hまたは常套的な医薬的に許容されるエステルであり、
Raは、NH(Boc-Lバリル)、NH-Boc L-Phe、L-バリル、L-Pheであるか、または
Raは、C(=O)CH3、COPh、COC(CH3)3などである。]。
塩基修飾プロドラッグ、例えばMauldinは、細胞性および生理的シトシンデアミナーゼに対する感受性が減少する利点を有することがあるが、ヒト細胞に生じる多くのトランスグリコシル化反応の観点から、該修飾塩基が天然リボシド上でトランスグリコシル化されず、発癌性のまたはタウトジェニックな結果をもたらすヒトDNAに組み込まれないことを保証する慎重さが必要である。
本発明に有用な2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンのプロドラッグの好ましい群には、式:
Figure 2008526713
[式中、RおよびR'の1つは部分構造:
Figure 2008526713
を有するプロドラッグ部分である;
R1はHまたはC1-C18直鎖または分岐鎖アルキルである;
R2はHまたはNHR3である;
R3はHまたはL-バリルまたはL-イソロイシルエステルである;
RおよびR'の他の1つは、Hまたは同じプロドラッグ部分である。]
の3'および/または5'-エステルプロドラッグまたはその医薬的に許容される塩がある。
これらエステルプロドラッグまたは2,'3'-ジデオキシ-3-'C'ヒドロキシメチルシチジンの多くは、新規化合物であり、本発明のさらなる局面を形成する。
本発明のエステルプロドラッグのある態様には、R1がC1-C18直鎖または分岐鎖アルキルであり、R2がHである式Vの化合物が含まれる。典型的アルキル部分には、エステルオクタノイル(C8、ケトンCを含む)、デカノイル(C10)、ラウリル(C12)、ミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)、ステアロイル(C18)、またはエイコサノイル(C20)を表すものが含まれる。好ましいアルキル部分には、メチル(すなわちアセチル)エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル(すなわちピボラロイル)、n-ペンチル、1-メチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-メチルペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシルなどが含まれる。該プロドラッグは、R(すなわち、5'-0 エステル)またはR'(すなわち3'-O-エステル)または両方(ビス3',5'-O-エステル)にエステルを有してよい。合成および分析を容易にするため、3'および5'上のエステルが同じプロドラッグ部分であるものが好ましいが、必須(obligatory)である。
本発明のエステルプロドラッグのさらなる態様には、R1が低級アルキル、特にメチルであり、R2がNHRb(ここで、Rbは、アラニン、バリン、ロイシン、t-ロイシン、イソロイシンおよびノルロイシンから選ばれるL-脂肪族アミノ酸の残基である。)であり、特にR2がNH-L-バリルまたはNH-L-イソロイシルであるものが含まれる。この態様において、R1は、L-乳酸に対応する立体化学を有する。該プロドラッグは、R(すなわち5'-O-エステル)またはR'(すなわち3'-O-エステル)または両方(ビス3',5'-O-エステル)にこのエステルプロドラッグ部分を有してよい。合成および分析を容易にするため、3'および5'のエステルが同じプロドラッグ部分であることが好ましいが、必須である。
本発明に用いるさらなるエステルプロドラッグには、R1が分岐鎖C3-C4アルキルであり、R2がNH2であるものが含まれる。R1側鎖は、好ましくはL-アミノ酸、例えばL-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、またはL-t-ロイシンの立体化学を有する。該プロドラッグは、R(すなわち5'-O-エステル)またはR'(すなわち、3'-O-エステル)または両方(ビス3',5'-O-エステル)にエステルを有してよい。合成および分析を容易にするため、3'および5'上のエステルが同じプロドラッグ部分であることが好ましいが、必須である。
好ましいプロドラッグには以下のものが含まれる:
5'-O-L-バリル-2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン;
5'-O-L-イソロイシル-2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン;
5'-O-アセチル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン
5'-O-プロピオニル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン;
5'-O-ブチリル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン;
5'-O-ピバロイル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン;
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(アセチル-オキシメチル)シチジン;
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(プロピオニル-オキシメチル)シチジン
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(ブチリル-オキシメチル)シチジン;
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(ピバロイル-オキシメチル)シチジン;
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(L-バリル-オキシメチル)シチジン;
2'-3'-ジデオキシ-3-C-(L-イソロイシル-オキシメチル)シチジン;
5'-O-L-バリル-2',3'-ジデオキシ-3'-C-L-バリルオキシメチルシチジン
5'-O-L-イソロイシル-2',3'-ジデオキシ-3'-C-L-イソロイシルオキシメチルシチジン;
5'-O-アセチル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-アセチルオキシメチルシチジン;
5'-O-プロピオニル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-プロピオニオキシメチルシチジン;
5'-O-ブチリル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ブチリルオキシメチルシチジン;
5'-O-ピバロイル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ピバロイルオキシメチルシチジン
およびその医薬的に許容される塩。
特に好ましいプロドラッグには以下のものが含まれる:
5'-O-[2-S-(L-バリルオキシ)-プロピオニル]-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン
2',3'-ジデオキシ-3'-C-[2-S-(L-バリルオキシ)-プロピオニル]-オキシメチルシチジン
5'-O-ペンタノイル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン
2',3'-ジデオキシ-3'-C-ペンタノイル-オキシメチルシチジン;または
5'-O-ペンタノイル-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ペンタノイル-オキシメチルシチジン
またはその医薬的に許容される塩。
理論に縛られることを望まないが、他のヌクレオシド類似体のような2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは、細胞性キナーゼにより細胞内で5'-モノホスフェートにホスホリル化され、次いでさらにジホスフェートおよびトリホスフェートにホスホリル化されると考えられる。ジおよびトリ-ホスホリル化キナーゼは、特にある細胞種において最初のモノホスホリル化キナーゼより活性な傾向がある。言い換えれば、モノホスホリル化は、理論的に律速段階であり得る。したがって、ある環境において、トリホスフェートに対する急速な前方へのホスホリル化を保証するためにすでにモノホスホリル化形の親化合物を投与するのが好都合かもしれない。しかしながら、細胞膜を介してヌクレオシドモノホスフェートのような高極性薬剤を得ることは容易ではない。しかしながら、in situでモノホスフェートに加水分解されるプロドラッグの細胞内侵入を可能にすると考えられるプロドラッグハンドルがある。あるそのようなアプローチの例には、ジドブジンのホスフェート エステルと結合した脂質チオエーテルを用いる、II相ジドブジン プロドラッグホジブジンチドキシルがある。例えば、Girard、JAIDS 23 227-235中、および特許US 5 756,711、US 5 563 257、およびEP 545 966参照。2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの5'-モノホスフェートに適用される類似の構造は、
Figure 2008526713
[式中、アルキルは典型的にはC8-C15であり、nは0(メルカプト)1(スルフィニル)または2(スルホニル)である。好ましい値は、デシルエーテルと結合したドデシルメルカプトを含む。]
である。
本発明に照らして、2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンのプロドラッグには、細胞内で2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン-5-'O-ホスフェートを放出する5'-モノホスフェートのプロドラッグも含まれる。
本発明は、医薬的に許容される塩、例えば有機酸、特にカルボン酸の塩を含み、限定されるものではないが以下のものが含まれる:酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、パントテン酸塩、イセチオン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタネート、グルコヘプタネート、グリセロリン酸塩、シュウ酸塩、ヘプタノエート、ヘキサノエート、フマル酸塩、ニコチン酸塩、パルモネート、ペクチネート、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロプリオネート、酒石酸塩、ラクトビオン酸塩、ピボレート、カンホレート、ウンデカノエート、およびコハク酸塩。有機スルホン酸の塩、例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-クロロ-ベンゼンスルホン酸塩、およびp-トルエンスルホン酸塩も含まれる。許容される塩は、無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ヘミ硫酸塩、チオシアネート、過硫酸塩、リン酸塩、およびスルホン酸塩も含む。
本発明は、水和物、溶媒和物、複合体、および2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンをin vivoで放出する他の物理的形状である活性薬剤に及ぶ。
活性物質を単独で投与することも可能であるが、それが医薬製剤の部分として存在することが好ましい。そのような製剤は2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン活性物質を1またはそれ以上の許容される担体/賦形剤および所望により他の治療成分と共に含むことができる。担体は、製剤の他の生物と適合性であり、レシピエントに対して有害でないという意味において許容されなければならない。
製剤には、直腸、鼻内、局所(バッカルおよび舌下を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)投与に適した製剤が含まれる。好ましくは該製剤は経口投与製剤である。該製剤は好都合には単位剤形、例えば錠剤および持続放出カプセルで存在してよく、製薬の分野でよく知られたあらゆる方法により製造してよい。
そのようなよく知られた方法には、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン活性物質を担体と結合させる工程を含む。一般的に、該製剤は、該活性物質を液体担体または微粉固体担体、またはその両方と均質および密接に結合させることにより製造し、次いで必要であれば生成物を成形する。本発明は、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの化合物またはその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される担体またはビークルとコンジュゲーションまたは結合させることを含む医薬組成物を製造する方法に及ぶ。医薬製剤の製造が医薬的賦形剤の完全な混合を含み、活性成分が塩の形である場合は、天然の非塩基性、すなわち酸性または中性の賦形剤を用いることが好ましいことが多い。
本発明の経口投与用製剤は、それぞれ予め決定された量の活性成分を含むカプセル剤、カシェー剤、または錠剤のような分離した単位として存在してよい。あるいはまた、該製剤は粉末または顆粒として、水性液または非水性液中の活性成分の溶液またはサスペンジョンとして、または水中油液体エマルジョンまたは油中水液体エマルジョンとして、ボーラスなどとして存在しうる。
経口投与用組成物(例えば、錠剤およびカプセル剤)に関して、用語「適切な担体」にはビークル、例えば普通の賦形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ショ糖およびデンプン;充填剤および担体、例えば、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ラクトース、ショ糖、微晶質セルロース、カオリン、マンニトール、第2リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸;および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、および他の金属ステアレート、グリセロールステアレート ステアリン酸、シリコン溶液、タルク、ワックス、油、およびコロイド状シリカが含まれる。香味料、例えばペパーミント、ウインターグリーン油、またはサクランボ香味料などを用いることもできる。剤形を容易に確認できるようにする着色剤を加えることが望ましいことがある。錠剤を当該分野でよく知られた方法によりコートしてもよい。
錠剤は、所望により1またはそれ以上の補助成分とともに圧縮または成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような遊離流動形の活性物質を、所望により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤、または分散剤と混合し、適切な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。錠剤は所望によりコートまたは分割してよく、また活性成分の徐放または制御放出をもたらすよう処方してよい。
経口投与に適した他の製剤には、香味基剤、通常、ショ糖およびアカシアまたはトラガカント中の活性成分を含むローゼンジー剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアのような不活性基剤中の活性物質を含むトローチ(pastille);および適切な液体担体中の活性物質を含むうがい薬が含まれる。
2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンは、例えばUS 5,612,319、US 5,473,063、Svansson L. et al. J. org. Chem(1991)Vol 56:2993-2997、およびBjoersne M. et al. Tetrahedron、Vol 49:8637-8644(1993)に記載の常套的ヌクレオシド化学により合成される。
塩基修飾プロドラッグおよびある種の常套的3'および5'エステルの合成はMauldin et al Biiorg Med Chem 6(1998)577-585に開示されている。3'および5' エステルの合成は、常套的カップリング試薬またはこのエステルの活性誘導体、例えば酸ハリド、例えば酸クロリド、および活性化エステル(限定されるものではないが、ギ酸および酢酸由来無水物、アルコキシカルボニルハリド由来無水物、例えばイソブチルオキシカルボニルクロリドなど、N-ヒドロキシスクシンイミド由来エステル、N-ヒドロキシフタリミド由来エステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール由来エステル、N-ヒドロキシ-5-ノルボメン-2,3-ジカルボキサミド由来エステル、2,4,5-トリクロロフェニル由来エステルなどを含む)を用い、典型的には該ヌクレオシド(必要により常套的N保護基でN保護された塩基を有する)と該プロドラッグ部分:
Figure 2008526713
の酸との反応により行われる。
1個のプロドラッグ部分を含む該化合物の3'または5'位の部位選択(regioselection)は、例えばWO97/30051に記載の大きな保護基を用いるか、またはSanghvi et al. Synthesis 1994、1163、Sanghvi et al Tett Lett vol35 p4697(1994)およびHaly & Sanghvi Nucleosides & Nucleotides Vol 15 1383(1996)に記載のヒドロキシル保護基の別個に選択可能なペアを用いて達成される。
別個に選択可能なヒドロキシル保護基の多くのペアが知られている(例えば、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、New York(1981)に開示のO-保護基)。
すなわち、ヒドロキシ保護基は、エーテル、例えばメチルエーテルまたは置換メチルエーテル、例えば、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、t-ブトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、テロヒドロピラニル(THP)、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロ-ピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル S,S ジオキシド、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチオフラニルを含む。エチルエーテルは、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-(イソプロポキシ)エチル、2,2,2-トリクロロエチルおよび2-(フェニルセレニル)エチルを含む。他のエーテルは、t-ブチル、アリル、シンナミル、p-クロロフェニルおよびベンジル エーテル、例えば非置換ベンジル、p-メトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジルおよびp-シアノベンジルを含む。他のエーテルは、3-メチル-2-ピコリルN-オキシド、ジフェニルメチル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシ-フェニルジフェニルメチル、p(p'-ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル(トリチロン)およびベンズイソチアゾリル S,S ジオキソドを含む。シリルエーテルは、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ-t-ブチルシリル、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリイソプロピルシリルおよびトリフェニルシリルを含む。別のヒドロキシル保護基は、エステル、例えばホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、p-(P)-フェニルアセテート、3-フェニルプロピオネート、3-ベンゾイルプロピオネート、イソブチレート、モノスクシネート、4-オキソペナタノエート(レビヌレート)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4-メトキシクロトネート、(E)-2-メチル-2-ブテノエート(チグロエート)およびベンゾエート、例えば非置換またはo-(ジブロモメチル)-、o-(メトキシカルボニル)-、p-フェニル-、2,4,6-トリメチル-(メシテート)またはp-(P)-ベンゾエート,またはα-ナフトエートを含む。カーボネートヒドロキシル保護基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、イソブチル、ビニル、アリル、シンナミル、p-ニトロフェニル、ベンジル、例えば非置換のp-メトキシ-、3,4-ジメトキシ-、o-ニトロ-またはp-ニトロベンジル、またはS-ベンジルチオカーボネートを含む。種々の(Miscellaneous)ヒドロキシル保護基は、N-フェニルカーバメート、N-イミダゾリルカーバメート、ボレート、ニトレート、N,N,N,N-テトラメチルホスホロジアミデート、および2,4-ジニトロフェニルスルフェネートを含む。Greeneは、特異な保護基の相補ペアの選択を促進する広範な反応チャートを提供する。
典型的ヒドロキシル保護基は、実施例に記載のもの、およびエーテル、例えばt-ブチルおよび他の低級アルキルエーテル、例えばイソプロピル、エチルおよび特にメチル、ベンジルおよびトリフェニルメチル;テトラヒドロピラニル エーテル;置換エチルエーテル、例えば、2,2,2-トリクロロエチル;シリルエーテル、例えば、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリルおよびt-ブチルジフェニルシリル;およびヒドロキシル基とカルボン酸との反応により製造されるエステル(例えば、アセテート、プロピオネート、ベンゾエートなど)を含む。
NHまたはヌクレオシド塩基のようなプロドラッグ部分中の必要な官能基は、例えば、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、New York、1981)(この内容は本明細書の一部を構成する。)に記載の常套的操作法を用いて保護および脱保護される。N保護基は、アシル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイルなど;スルホニル基、例えばベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなど、カーバメート形成基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アルキル基、例えばベンジル、トリフェニル メチル、ベンジルオキシメチルなど;およびシリル基、例えばトリメチルシリルなどを含む。好ましいN保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブトキシカルボニル(BOC)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)を含む。
2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルのモノホスフェートのプロドラッグの合成は、3' ヒドロキシメチル機能を適切に保護し、US 5 756,711、US 5 563 257、EP 545 966およびWO95/32984と同様に進行する。そのような化合物の製剤はWO97/26867に記載されている。
(図面の簡単な説明)
図1は、ウイルス障害患者由来の1086RT配列のM41L/L210W/T215Yバックグラウンドにおけるプライマーレスキュー表現型を有するTAMの普及率(prevalence)を示すグラフである。
図2は、ウイルス障害患者由来の1098配列のD67N/K70R/L210Wバックグラウンドにおけるプライマーレスキュー表現型を有するTAMの普及率を示すグラフである。
図3は、RT触媒DNA重合の概略図である。
図4は、AZT停止プライマー末端上のATP介在プライマーレスキュー活性の模式図である。
図5は、常套的NRTIの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンによるプライマーレスキュー表現型を有する典型的TAM株の阻害を示す。
図6は、常套的NRTIに対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンによるプライマーレスキュー表現型を有するM184V+TAMの阻害を示す。
図7は、常套的NRTIの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンによるT69S+XX+TAMの阻害を示す。
図8は、ジドブジンおよびラミブジンの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンによるTAM株の阻害を示す。
図9は、2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンモノホスフェートの組み込みを反映する、時間に応じたDNA合成を示すグラフである。
図10は、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの組み込みが限られたさらなるDNA合成を可能にすることを示す残存3'-OHプライマーを示すグラフである。
図11は、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンモノホスフェート誘導連鎖停止がddC モノホスフェート誘導連鎖停止DNAと異なることを示すゲルのオートラジオグラフである。ddC モノホスフェート誘導連鎖停止DNA断片は、本発明化合物を用いて製造した断片よりゲル中でより低いようである。
(発明の詳細な説明)
本発明の種々の態様および局面を、添付の実施例と図面を参照して例示としてのみ記載する。
実施例1
PhenoSense HIVアッセイにおけるTAMプライマーレスキュー関連耐性HIVに対する2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンの活性
典型的TAMプライマーレスキュー突然変異体耐性遺伝子型を有する患者血漿試料からのHIV-1分離株に対する2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチル-シチジンの感受性を、市販のPhenoSense HIVアッセイ(Petropoulos、C J et al.、(2000)Antimicrob. Agents Chemother. 44:920-928に記載の、ViroLogics、Incにより実施)により測定する。該アッセイは、患者血漿からのHIV pol遺伝子のプロテアーゼ(PR)-RT断片を増幅し、増幅産物をNL4-3分子クローン由来の修飾HIV-1ベクターに挿入することにより行う。
293細胞培養を耐性ウイルスDNAベクター、および両種性ネズミ白血病ウイルスエンベロープタンパク質を産生する発現ベクターで同時トランスフェクションすることによりウイルスストックを製造する。偽形ウイルス粒子をトランスフェクション細胞培養から回収し、これを用いて新鮮293細胞培養を感染させる。組換え耐性ウイルスDNAは、HIV env遺伝子領域内にルシフェラーゼ遺伝子カセットを含み、標的細胞におけるルシフェラーゼの産生は1回のウイルス複製の完結に依存する。薬剤感受性は、該細胞に連続濃度の本発明化合物および参照化合物を加えることにより測定する。ウイルス複製を阻害する薬剤は、用量依存性にルシフェラーゼシグナルを減少させ、薬剤感受性の定量測定をもたらす。
実施例1a
表1は、実験に用いたプライマーレスキュー関連TAM突然変異体の主なクラスターがHIVに耐性であり、AZT関連抗レトロウイルス療法中に典型的に出現する特徴的TAM遺伝子型を有することを要約する。
Figure 2008526713
結果を図5に示す。野生型HIVウイルスを参照物として用いる。患者分離株20および21の阻害は、参照物の並列操作と比較した治療薬剤に対する感受性の減少の倍数変化(hold change)で表す。以下の抗ウイルス剤を試験した:AZT、3TC、TNF、ABC、d4T、FTCおよび本発明化合物。本発明の2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンがTAM保持株に対する活性を保持することを明確に示す。結果は分離株20の感受性の低下が1.0倍のみであり、分離株21の感受性の低下が1.0倍以下であることを示す。これは、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンが、野生型HIV RTに対するその効力と同様の効力レベルで、患者のプライマーレスキュー関連突然変異体HIV RTに対する活性を保持したことを意味する。反対に、他の薬剤、特にAZT(感受性が451倍減少)や3TC、TFN、ABC、d4TおよびFTCは、野生型と比べてこれら患者由来のウイルスに対する効力を消失した。つまり、これら患者由来のウイルスは耐性、すなわち、図5に示すようにこれら薬剤に対する感受性の大きな低下を示した。
2種の患者分離株はコドン215の異なるアミノ酸転位(分離株20ではTがFに、分離株21ではTがYに)を有することに注目することが重要である。これはプライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体の典型的特質である。
実施例1b
表2は、極めて普通に用いられる抗レトロウイルス療法 AZT+3TC(コンビビル)により典型的に選択される、遺伝子背景M184V(識別突然変異体)を有するプライマーレスキュー関連突然変異体を示す。
Figure 2008526713
図6に示すように、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは、再度、この耐性ウイルスに対する活性を保持し、野生型HIVに比べて感受性の差が1.78倍のみであることを示す。3TCおよびAZTは共に活性を失い、耐性ウイルスに対する効力の低下(すなわち、ウイルス感受性の顕著な低下)を示した(図6)。
実施例1c
抗レトロウイルス剤による患者の連続チャレンジはMDRの出現をもたらす。RTのフィンガー領域中のアミノ酸68と70の間への6-bp挿入によるT69S突然変異は、しばしば種々の形のTAMと組み合わせてみられ、プライマーレスキュー活性の増加に寄与する。表3に示すように、TAMと組み合わせたMDR(異なる形のアミノ酸挿入を含む)のクラスターを選んだ。
Figure 2008526713
図7に示すように、本発明化合物はこれら患者分離株を阻害し、常套的抗レトロウイルス療法において現在用いられる6種の参照抗ウイルス剤に比べて薬剤感受性の変化が最も小さかった。
AZTに対する感受性の顕著な(500〜1000倍)低下が患者分離株32および35で観察されたが、本発明化合物はそれぞれ2.79および4.29倍の変化を示したことに注目せよ。これは、本発明化合物が常套的NRTIにより示される絶対DNA連鎖停止剤に比べて異なる阻害メカニズムを示すことと一致する。
実施例1d
分離株4は、R211SおよびK219Eの突然変異からなる非必須TAM背景にK65R+M184V遺伝子型を有するさらなる識別突然変異体を示す。この分離株は、アバカビル、3TC、および新たに承認されたヌクレオシドFTCと典型的交差耐性を生じるが、チミジン類似体、例えばAZTおよびd4Tに対する感受性は保持する。この分離株は、典型的プライマーレスキュー突然変異を持たず、FC値3.88が示すように、本発明化合物は依然このウイルス表現型を阻害する。この値は、チミジン類似体、AZT(FC=1.11)およびd4T(FC=O.71)と同程度であるが、有意な耐性が、3TC(FC>200)、FTC(FC>40)およびある程度ABC(FC>9.0)にみられた。この実験データは、本発明化合物が「プライマーレスキュー」突然変異体に対するユニークな特性を持つだけでなく、識別ファミリーからのHIV突然変異体を阻害することもできることを示す。したがって、このことは、3TCおよびFTCにより用いられる阻害メカニズムや、M184Vが、触媒領域のコドンT165Rに1個のさらなるアミノ酸変化とともに、4-C-エチニルヌクレオシドに対する交差耐性に寄与する上記Kodama 4'-C-エチニル化合物の適当なメカニズム(Kodama 2002)と対照的である。
実施例2
PBMCにおけるプライマーレスキュー関連耐性HIVに対する2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シチジンの活性
さらなるTAMプライマーレスキュー関連耐性HIV分離株に対する本発明化合物の抗ウイルス能をPBMC培養においてアッセイした。HIV-1分離株を作成し、感染患者PBMCとPHA刺激ドナーPBMCを同時培養して高力価に増殖させた(Virology Manual for ACTG HIV Laboratories)。無細胞上清を回収し、薬剤感受性アッセイまで-70℃で部分標本で保存した。
in vitro薬剤感受性アッセイは、変法ACTG/DODコンセンサス法を用いて行った(Virology Manual for ACTG HIV laboratories)。PBMCは、4時間インキュベーションした後、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で4時間ウイルスストックで前感染させた。感染細胞を培地で2回洗浄し、8連続希釈の薬剤を含むマイクロタイタープレートにピペットで入れた。100,000個の前感染PBMCおよび全ての薬剤希釈を含む各ウェルを細胞培養液を用いて作成した。各単一薬剤の50%阻害濃度(IC50)に及ぶ薬剤希釈を選択した。細胞およびウイルスを含む対照ウェルを各プレートで同時にインキュベーションした。5%CO2の加湿雰囲気下37℃で7日間インキュベーションした後、ウイルス増殖を上清のp24抗原アッセイ(Abbott Laboratories、Chicago、USA)を用いて測定した。薬剤を含まない対照ウェルと比べたウイルス増殖阻害パーセントを計算し、対照ウェルと比べた倍数変化(化合物感受性の低下)として表現した。参照化合物AZTを本発明化合物と平行して操作した。
プライマーレスキュー関連TAM 耐性RT 突然変異の本質的特徴を有するプライマーレスキュー関連突然変異体ウイルスの代表的クラスターを選択した。表4に示す、識別突然変異体M184Vを含むかまたは含まない種々の組み合わせにおけるM41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/E位に突然変異を有する株を用いた。
表4.9種の患者分離株のTAMプライマーレスキュー関連遺伝子型
Figure 2008526713
これらの選択したプライマーレスキュー突然変異体のほとんどは、FC値が数百倍低下する、AZT感受性に対する顕著な耐性をもたらした。例外は、T215Vアミノ酸突然変異を有する分離株7086(FC = 3.0)であった。FC値の完全な報告を図8に示す。2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンは全8分離株を阻害し、最高FC値はわずか2.7であった。
実施例3
2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンはDNA合成を支持する能力を維持する。
本発明化合物における3'-ヒドロキシメチル基の存在は、原則として、HIV-1 RTにより触媒されるウイルス核酸中への組み込みと伸長を支持するはずである。プライマー-テンプレート(INNOVAGENにより別注合成された、5'-TAACCTTGCGGCCGT-3'(配列番号1)の配列を有するオリゴ-DNAプライマーとアニールさせた16Sおよび23SリボソームRNA)の律速量を用いた。これを、100μM(IC50の55倍)2'-3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン-トリホスフェート、6.0μM ddC-トリホスフェート(IC50 ddCTPの54倍)、20μM デオキシシトシン-トリホスフェート(Km dCTPの20倍)、または対照(H2O)とプレインキュベーションした。示した時点(0、10、30、60、および120分)で、DNA重合プロセスを初回のDNA重合中に温度70℃で2分間不活化して止めた(図9)。残った量のプライマー-テンプレートは、初回の反応後に存在する遊離3'-OHプライマー末端の利用可能性を直接反映する。これを測定するために、初回のDNA重合から残った残存2'-3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンTPおよびddCTPからのあらゆる阻害効果と競合するのに十分な150μM(Kmの160倍)dCTPおよびトリチウム標識dCTPの存在下で新鮮RTを付加することにより新たな重合を開始した。さらなるDNA重合を支持する残存量のプライマー-テンプレート中のプライマー末端の遊離3'-OHの利用可能性を測定し、プレインキュベーション時間に応じて表した(図10)。
図9および10に関して、ddCTPおよび2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンTPは、同じ阻害レベルをもたらすよう設定したが、2回目のHIV RT触媒DNA重合を支持するそれらの各能力に明確な違いがあった。絶対連鎖停止剤、例えばddCTPとのプレインキュベーションは、連鎖停止をもたらし、本発明化合物のトリホスフェートに比べて遊離3-OHプライマー末端の有意な減少をもたらす。10および30分のプレインキュベーション時点で、同程度の量のTP化合物を初回のDNA重合に用いたにもかかわらず、ddCTPが存在するとき、本発明化合物のトリホスフェートに比べて半量以下の残存3-OHプライマー末端が残りさらなるDNA伸長を支持した。これは、新生核酸への本発明化合物のTPの組み込みは、さらなるDNA合成に対する持続的な機会を提供することを明確に示す。DNA重合は、該酵素のテンプレートとの結合、適切なdNTPとの複合、ホスホ-ジエステル形成、ピロホスフェートの解放、および次回の重合が起きるためのN部位からP部位への該酵素の転位(translocation)を含まなくてはならない。したがって、本発明化合物は該酵素により次の位置に組み込まれ、転位することができ、次いでさらに伸長を停止することが明らかである。
実施例4
2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンモノホスフェートの組み込みは、ddCに比べて異なる連鎖停止パターンをもたらす。
2つのデオキシシトシン類似体、3'-ヒドロキシル基機能を欠く常套的NRTI ddCおよび本発明化合物をDNA連鎖停止アッセイにかけた。このアッセイでは、DNA伸長は、オリゴ-DNAプライマーをプレアニールしたM13mp18一本鎖DNAテンプレートを用いて行った(5'-GTTTTCCCAGTCACGACGTTGTA-3'(配列番号2)のホワードプライマー配列はAmersham UKから購入した)。M13mp18一本鎖RNAをこのオリゴ-DNAプライマーとアニールさせ、10mM Tris-HCl、pH 7.9および100mM NaClを含む緩衝液中で最終濃度1mg/mlとし、部分標本にわけて-20℃で保存した。DNA重合は、このアニールしたテンプレート/プライマー、HIV-1 RT、および天然dNTPを用いて行い、37℃で25分間インキュベーションして反応させた。95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05% ブロモフェノールブルー、および0.05%キシレンシアノールFFを含む停止溶液(USB、United States Biochemical via Amersham UKから購入)を加えて反応を止めた。DNA生成物を変性させた後、伸長したDNA断片を8.0 %ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、オートラジオグラフを用いて可視化した。
該アッセイは陰性対照(天然dNTP)、二重陽性ddCTP対照(ddCTP、8uMはSigma Chemical、St. Louis、Miss.、USAから、USB配列キットのddCTPはUnited States Biochemical via Amersham UKから得た)。種々の分子比の本発明化合物のトリホスフェートと天然dNTPを用いた。反応を上記のごとく行い、次いで各個々の反応から得た変性DNA断片を以下の順で8.0 %ポリアクリルアミドゲル上にロードした:
1-陰性対照
2-第1陽性対照 8μM ddCTP(Sigmaから購入)
3-200μM dNTP中20μM 本発明TP
4-300μM dNTP中30μM 本発明TP
5-400μM dNTP中40μM 本発明TP
6-500μM dNTP中50μM 本発明TP
7-80μM dNTP中20μM 本発明TP
8-80μM dNTP中40μM 本発明TP
9-空きスペース(ローディングなし)
10-第2陽性対照 ddCTP(USB配列キットから)
ポリアクリルアミドゲルに関連するエッジ効果のようなアッセイ結果の解釈に影響し得るあらゆる他の因子を避けるために、デュプリケートの試料セットをゲルの中央にロードした。図11は、ゲルの中心部分から得たオートラジオグラフィの結果を示すデジタル写真である:
1. 陰性対照(dNTP):DNA重合の停止はみられなかった。
2. 第1陽性対照 8μM ddC-TP:予測2'3'-デオキシデオキシシトシン部位で連鎖停止を生じた。
3. 2Oμ本発明TP/200μMdNTP:2'3'-デオキシデオキシシトシン部位後/背後の部位で連鎖停止を生じた。
4. 3OμM本発明TP/300μMdNTP:ddC-TPに比べて2'3'-デオキシデオキシシトシン部位後の部位で連鎖停止を生じた。
5. 40μM本発明TP/400μMdNTP:ddC-TPに比べて2'3'-デオキシデオキシシトシン部位後の部位で連鎖停止を生じた。
6. 50μM本発明TP/500μMdNTP:特異的停止(連鎖停止パターン)はみられなかったが、実験誤差内と考えられる。
7. 20μM本発明TP/80μMdNTP:ddC-TPおよび上記(6)本発明実験試料に比べて2'3'-デオキシデオキシシトシン部位後の部位により顕著な連鎖停止を生じた。
8. 40μM本発明TP/80μMdNTP:ddC-TPおよび上記(7)本発明実験試料に比べて2'3'-デオキシデオキシシトシン部位後の部位により顕著な連鎖停止を生じた。
9. 空きスペース(試料ロードせず)
10. 第2陽性対照ddC-TP:予測2'3'-デオキシデオキシシトシン部位で連鎖停止を生じた。
本発明化合物は、500μM dNTP中に50μM本発明TPを含む試料no.6を除き、全ての試料でDNA連鎖停止を誘導した。この例外の理由は不明であるが、実験誤差内のようである。興味深いことに、2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンモノホスフェートの組み込みから生じたDNA断片は、2つの陽性対照ddCTP停止DNA断片から生じるものより遅く移動する(図11)。デュプリケートの反応は、本発明化合物が新たに合成されたDNA鎖内に組み込まれ、次回のヌクレオチド組み込みにおいてさらなる3',5'-ホスホジエステル結合の形成をもたらすことを示唆する一致したパターンを示す。1塩基だけ長い断片が観察されたが、用いたテンプレートの配列が役割を果たし得ることは排除できない。
実施例3は、本発明化合物により前停止した3'-OHプライマー末端が、リボソームRNAテンプレートを用いるとき、ddCTP前停止3'-OHプライマー末端以上にさらなるヌクレオチドの組み込みを支持することを明確に示す。この特徴は、遅い電気泳動移動度をもたらし、RTが次回の重合を開始する転位を受けたことを示唆する。
このメカニズムに縛られることを望まないが、したがって本発明化合物は、プライマー 切除突然変異体の阻害における新たな戦略を示す。すなわち、該化合物は、次回のDNA合成を準備するための必要な形質転換変化をRT分子が受けるのを可能にする能力を同時に保持しながら、増殖するウイルスゲノム内に組み込まれる。実施例3および4は、本発明化合物がそのような特性を有し、実施例1および2に示すようなプライマーレスキュー耐性メカニズムを無効化/抑制することを明らかに示した。Sarafinano et al.(2002および2003)は、プライマーレスキュー反応がRTが次の位置内に転位する前にのみ生じうるという結論を支持する説得力のある実験データを示す。すなわち、プレ転位複合体は、プライマーレスキュー突然変異体が有効であるための必要条件である。実施例に示す証拠は、本発明の化合物および方法には当てはまらないことを示唆する。
実施例5
2',3'-ジデオキシ-3-'C-ヒドロキシメチルシチジンを放出するエステルプロドラッグの製造
反応式1
Figure 2008526713
化合物1の製造
3'-MMTR/5'-TMBDSが別個に保護された化合物1は、以下に記載のごとく対応するウリジンとして製造される:Sanghvi et al:Synthesis(1994)p1163 & Tetrahedron Lett v35(1994)p4697 & Nucleosides & Nucleotides v15(1996)1383。UからCへの変換は、Kozlov et al Nucleosides & Nucleotides、v17(1998)2249に記載されている。
化合物2の製造
化合物1(5.0g、6.7 mmol)を80%酢酸(30 ml)に溶解し、室温で24時間撹拌した。混合物を蒸発させ、生成物をCH2Cl2中の5〜10% MeOHを溶離剤に用いるフラッシュクロマトグラフィで精製した。収量2.1g(64%)。
化合物3の製造
THF(150 ml.)中の化合物1(2.3g、3.06mmol)を室温で1時間テトラブチルアンモニウムフロリド(1M、THF中、3.0ml)で処理した。重炭酸ナトリウム(飽和100ml)を加え、混合物をジクロロメタン(3 x 50 ml)で抽出した。有機層を乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製し、1.3g(82%)の化合物3を得た。
反応式2
Figure 2008526713
化合物4の製造
トリエチルアミン(0.455g、4.5mmol)およびエチルクロロホルメート(0.26g、2.4mmol)を0℃のTHF(15ml)中Boc-バリン(0.49g、2.25mmol)の溶液に加えた。反応混合物を同じ温度で3時間撹拌し、次いでろ過してTHF(15ml)中の化合物2(0.72g、1.5mmol)およびDMAP(0.55g、4.5mmol)の溶液を得た。反応混合物を室温で一夜撹拌した。EtOAcを混合物に加え、2%クエン酸で3回、飽和NaHCO3で1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、次いで蒸発させた。残渣をCH2Cl2中2〜5% MeOHを溶離剤に用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製し、0.35g(34%)の化合物4を得た。
化合物5の製造
化合物4(30mg、0.066mmol)を室温で濃HCl(1ml)に溶解し、5分間撹拌した。アセトンを該溶液に加え、それを蒸発させた。再度アセトンを加え、該溶液を蒸発させ、減圧乾燥し、18mg(69%)の化合物5を得た。
化合物6の製造
化合物4(0.35g、0.5mmol)をTHF(20ml)に溶解し、次いでTHF(0.5ml、0.5mmol)中の1.0M テトラブチルアンモニウムフロリドを加えた。反応混合物を室温で2日間撹拌した。混合物を蒸発させ、生成物をCH2Cl2中5〜10% MeOHを溶離剤に用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製し、0.225g(98%)の化合物6を得た。
化合物7の製造
化合物6を出発物質として化合物4と同様にして合成を行った。
化合物8の製造
化合物7(75mg、0.114mmol)を3mlのMeOHに溶解し、次いで濃HCl(0.5ml)を0℃で加えた。混合物を0℃で5分間、次いで室温で3分間撹拌し、次いで蒸発させた。残渣にアセトンを加え、それを蒸発させた。CH2Cl2を加え、残渣を蒸発させ、次いで減圧乾燥して58mg(96%)の化合物8を得た。
化合物9の製造
エチルクロロホルメート(110mg、1.0mmol)を0℃でTHF(30ml)中のBoc-バリン(220mg、1.0mmol)およびトリチルアミン(200mg、2.0mmol)の溶液に加え、次いで混合物を3時間撹拌した。温度が室温になるまでそのままにし、次いで混合物をろ過した。ろ液をTHF(20ml)中の化合物3(350mg、0.68mmol)およびDMAP(244mg、2.0mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で一夜撹拌し、エチルアセテート(100ml)を混合物に加え、それをクエン酸(10%、2 x 30ml)および重炭酸ナトリウム(飽和、30ml)で洗浄した。溶媒を除去し、生成物をシリカゲルカラムで分離して化合物9(220mg、45%)を得た。
化合物10の製造
化合物9(200mg、0.28mmol)を3mlの濃HClに溶解し、室温で3分間撹拌した。混合物を蒸発させ、アセトン、アセトニトリル、およびジエチルエーテルで洗浄し、次いで減圧乾燥して85mg(77%)の化合物10を得た。
化合物11の製造
エチルクロロホルメート(110mg、1.0mmol)を0℃のTHF(30ml)中のBoc-バリル-乳酸(290mg、1.0mmol)およびトリエチルアミン(200mg、2.0mmolの溶液に加え、混合物を0℃で3時間撹拌した。温度が室温になるまで放置した。混合物をろ過し、次いでろ液をTHF(20ml)中の化合物3(300mg、0.58mmol)およびDMAP(244mg、2.0mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で一夜撹拌し、次いでエチルアセテート(100ml)を混合物に加え、次いでそれをクエン酸(10%、2 x 30ml)および重炭酸ナトリウム(飽和、30ml)で洗浄した。溶媒を除去し、生成物をシリカゲルカラムで分離して化合物11(250mg、38%)を得た。
化合物12の製造
該化合物を化合物8と同じ方法で化合物11から製造した。
化合物13の製造
該化合物を、Boc-バリンの代わりにBoc-バリル-乳酸を出発物質に用い化合物4と同じ方法で化合物2から製造した。
化合物14の製造
化合物10と同様にして化合物13から合成した。
化合物15の製造
化合物1(1g、1.33mmol)を14mlの濃HClに溶解し、混合物を室温で8分間撹拌し、次いで蒸発させた。残渣をアセトンで洗浄し、次いでろ過し334mg(90%)の化合物15を得た。
化合物16の製造
トリエチルアミン(0.487g、4.82mmol)およびエチルクロロホルメート(0.30g、2.77mmol)を0℃のTHF(30ml)中のBoc-バリン-乳酸(0.77g、2.65mmol)の溶液に加えた。反応混合物を同じ温度で3時間撹拌し、次いでろ過してTHF(30ml)およびDMF(30ml)中の化合物15(0.334g、1.20mmol)およびDMAP(0.74g、6.0mmol)の溶液を得た。混合物を室温で一夜撹拌した。EtOAcを混合物に加え、それを2%クエン酸で3回、飽和NaHCO3で1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、次いで蒸発させた。粗生成物をCH2Cl2中の2〜5%MeOHを溶離剤に用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製し、わずか65mg(8%)の化合物16を得た。
反応式3
Figure 2008526713
化合物17の製造
化合物8と同様にして化合物16から合成した。
化合物18の製造
バレリルクロリド(460mg、3.8mmol)を、0℃のTHF(50ml)中の吉草酸(390mg、3.8mmol)およびトリエチルアミン(770mg、7.6mmol)の溶液に加え、混合物を3時間撹拌し、次いでろ過した。ろ液を、THF(50ml)中の化合物3(1.3g、2.53mmol)およびDMAP(930mg、7.6mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で一夜撹拌した。クエン酸(10%、50ml)を混合物に加え、それを酢酸エチル(2 x 50ml)で抽出した。混合有機層をクエン酸(10%、30ml)、次いで炭酸ナトリウム(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。乾燥後、有機溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムで分離して化合物18(850mg、56%)を得た。
化合物19の製造
化合物18(850mg、1.42mmol)をメタノール(10ml)に溶解し、次いで0℃の該溶液に濃HCl(1.5ml)を加えた。反応混合物を0.5時間撹拌した。炭酸ナトリウム(50ml)を混合物に加え、それをジクロロメタン(3 x 50ml)で抽出した。溶媒を除去し、生成物をシリカゲルカラムで分離して化合物19(230mg、50%)を得た。
化合物20の製造
化合物9と同様にして化合物19から合成した。
化合物21の製造
化合物8と同様にして化合物20から合成した。
化合物22の製造
化合物18と同様にして化合物19から合成した。
反応式4
Figure 2008526713
化合物23の製造
化合物2(1.02g、2.1mmol)およびDMAP(1.05g、8.61mmol)をTHF(35ml)に溶解し、-78℃に冷却した。バレリルクロリド(6 x 42μl、2.14mmol)を15分間かけて加えた。混合物を冷温中で2時間、次いで冷浴なしで1時間撹拌した。反応混合物を5%クエン酸に注ぎ、次いでEtOAcで抽出した。混合有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、次いで蒸発させて白色固体を得、これをCH2Cl2中の0〜6%MeOHを溶離剤に用いるシリカゲルカラムで精製して0.31g(25%)の化合物23を得た。
化合物24の製造
化合物23(0.35g、0.58mmol)をTHF(20ml)に溶解し、THF(0.58ml、0.58mmol)中の1M TBAFを加え、次いで混合物を室温で90分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、次いで残渣をCH2Cl2中の0〜10%MeOHを溶離剤に用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製し、166mg(92%)の化合物24を得た。
化合物25の製造
化合物4と同様にして化合物24から合成した。
化合物26の製造
化合物8と同様にして化合物25から合成した。
実施例6
プロドラッグからの2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロメチルシチジンの放出
本発明のプロドラッグを活性2'3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロメチルシチジン親化合物に完全に変換する確認は、5uMのプロドラッグで急増する、37℃のプールヒト血漿中の親化合物の出現をモニターすることにより評価することができる:
Figure 2008526713
実施例7
プロドラッグのバイオアベイラビリティ
プロドラッグを、典型的にはMQグレードの水と混合し(3mg/ml)、デュプリケートでラットに挿管により経口投与する。適切な用量は5mg/kgである。血漿試料を適切な時点、例えば、0、15、および30分;1、2、4、および6時間に得る。血漿中の回収量(代謝物 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチル-β-D-エリスロペントフラノシルシトシン)を、質量分析により測定し、ナトリウム付加化合物m/z 264(M+Na)+として検出する。
結果を時間に対する血漿濃度としてプロットし、一般的に3〜5uMのオーダーのCmaxを示す。絶対バイオアベイラビリティ%Fは、常套的方法、すなわち、WO97/30051に記載の親のin vitro用量のクリアランスを基準にして計算する。
ラットはHIVに感染させることができないので、そのような経口製剤の抗レトロウイルス活性は直接測定することができないが、代謝物 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチル-β-D-エリスロペントフラノシルシトシンに対するED50は、典型的にはヒトH9細胞で約0.01uMである。すなわち、これは、これらプロドラッグを用いてみられるオーダーのピーク血漿濃度がED50より数百倍であることを意味する。他の医薬的パラメーター、例えばAUCおよびクリアランスは、典型的にはQDまたはBID投与のED50より十分高い24時間トラフレベルを達成するのと一致する。
本明細書に記載の各特許および科学文献を以下に記載するが、これらの内容は本明細書の一部を構成する。
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本明細書および下記特許請求の範囲を通して、文脈が他に要求しない限り、用語「含む(comprise)」および変形、例えば「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、記載した整数、工程、整数群、または工程群を含むが、あらゆる他の整数、工程、整数分、または工程群を排除しないことを意味すると理解される。
ウイルス障害患者由来の1086RT配列のM41L/L210W/T215Yバックグラウンドにおけるプライマーレスキュー表現型を有するTAMの普及率(prevalence)を示すグラフである。 ウイルス障害患者由来の1098配列のD67N/K70R/L210Wバックグラウンドにおけるプライマーレスキュー表現型を有するTAMの普及率を示すグラフである。 RT触媒DNA重合の概略図である。 AZT停止プライマー末端上のATP介在プライマーレスキュー活性の模式図である。 常套的NRTIの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シトシンによるプライマーレスキュー表現型を有する典型的TAM株の阻害を示す。 常套的NRTIに対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シトシンによるプライマーレスキュー表現型を有するM184V+TAMの阻害を示す。 常套的NRTIの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シトシンによるT69S+XX+TAMの阻害を示す。 ジドブジンおよびラミブジンの阻害に対する、2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチル-シトシンによるTAM株の阻害を示す。 2'3'-ジデオキシ-3'-C ヒドロキシメチル シトシンモノホスフェートの組み込みを反映する、時間に応じたDNA合成を示すグラフである。 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンの組み込みが限られたさらなるDNA合成を可能にすることを示す残存3'-OHプライマーを示すグラフである。 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンモノホスフェート誘導連鎖停止がddC モノホスフェート誘導連鎖停止DNAと異なることを示すゲルのオートラジオグラフである。

Claims (31)

  1. HIVの逆転写酵素が、絶対(obligate)連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチド-ホスフェートが新生DNA鎖からATP-またはピロホスフェート介在切除により切除されるのを可能にする少なくとも1の突然変異を有する、HIV感染を治療するための医薬の製造における2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出する2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはそのプロドラッグ、またはその塩の使用。
  2. 逆転写酵素が以下の遺伝子型パターンの少なくとも1を有する請求項1記載の使用:
    (a)M41、±D67、L210およびT215;
    (b)D67、K70およびK219;
    (C)T69S-XX;または
    (d)▲67(67位が欠失)。
  3. 遺伝子型M41、±D67、L210、およびT215がM41L、±D67N、L210W、およびT215Y/Fを含む請求項2記載の使用。
  4. 遺伝子型が、さらにE44、K70、V118、H208、R211K、L214、K219、またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2または3記載の使用。
  5. 該遺伝子型がさらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223、またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2または3記載の使用。
  6. 該遺伝子型D67、K70およびK219がD67N、K70RおよびK219Q/Eを含む請求項2記載の使用。
  7. 遺伝子型D67、K70およびK219がさらにM41、E44、V118、H208、R211K、L214、T215、K219またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2または6記載の使用。
  8. 該遺伝子型D67、K70およびK219がさらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2または6記載の使用。
  9. 該遺伝子型T69S-XXがさらにM41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2記載の使用。
  10. 遺伝子型T69S-XXがさらに▲67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2記載の使用。
  11. 遺伝子型▲67がさらにM41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219またはG333位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2記載の使用。
  12. 該遺伝子型▲67がさらにT69、T69S+XX、E203、L210、D218、H221、D223、またはL228位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項2記載の使用。
  13. 逆転写酵素がさらにK65またはL74またはM184またはQ151位に少なくとも1の識別突然変異(discriminant mutation)を含む請求項2、3または6のいずれかに記載の使用。
  14. 識別突然変異がK65RまたはL74VまたはM184VまたはQ151Mである請求項13記載の使用。
  15. 識別突然変異がさらにA62、V75、F77、Y115またはF116位に少なくとも1のさらなる突然変異を含む請求項13または14記載の使用。
  16. 5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートが新生DNA鎖に組み込まれ、天然ヌクレオチド、ヌクレオシド類似体モノホスフェート(5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートを含む)およびヌクレオチド類似体ホスフェートから選ばれる1残基が組み込まれた5'-(2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン)モノホスフェートと共有結合し、連鎖停止を誘導する請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
  17. 医薬中の化合物が2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその医薬的に許容される塩である請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
  18. 該医薬中の処方された化合物が式:
    Figure 2008526713
    で示されるプロドラッグまたはその医薬的に許容される塩である請求項1〜16のいずれかに記載の使用
    [式中、RおよびR'の1つが部分構造:
    Figure 2008526713
    を有するプロドラッグ部分である;
    R1はHまたはC1-C18直鎖または分岐鎖アルキルである;
    R2はHまたはNHR3である;
    R3はHまたはL-バリルまたはL-イソロイシルエステルである;
    RおよびR'の他の1つがHまたは同じプロドラッグ部分である。]。
  19. R1がC1-C18直鎖または分岐鎖アルキルであり、R2がHである;
    R1がメチルであり、R2がNH-L-バリルまたはNH-L-イソロイシルである;
    R1が分岐鎖C3-C4アルキルであり、R2がNH2である;または
    その医薬的に許容される塩である
    請求項18記載の使用。
  20. RおよびR'の1または両方がL-バリル-L-ラクチル-、L-バリル-、またはC1-C6アルカノイル-である請求項19記載の使用。
  21. 該化合物が、
    5'-O-[2-S-(L-バリルオキシ)-プロピオニル]-2'-3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン
    2',3'-ジデオキシ-3'-C-[2-S-(L-バリルオキシ)-プロピオニル]-オキシメチルシチジン
    5'-O-ペンタノイル-2',3'-ジデオキシ-3-C-ヒドロキシメチルシチジン;
    2',3'-ジデオキシ-3'-C-ペンタノイル-オキシメチルシチジン;または
    5'-O-ペンタノイル-2',3'-ジデオキシ-3-C-ペンタノイル-オキシメチルシチジン;またはその医薬的に許容される塩である請求項20記載の使用。
  22. 該医薬がさらに少なくとも1の連鎖停止剤NRTIを含み、
    該2'3'-ジデオキシ-3'-Cヒドロキシメチルシチジンまたはその塩またはプロドラッグおよび該連鎖停止剤の同時または逐次投与はHIVに感染した個体におけるHIV突然変異体の出現または増殖の阻害を意図し、
    該突然変異体が、HIVプライマー/テンプレート複合体中に組み込まれた該連鎖停止NRTIヌクレオチドを除去することができる(ここで、該除去はATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより促進される)
    先の請求項のいずれかに記載の使用。
  23. 該連鎖停止NRTIがズドブジン(AZT、ZDV)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddl)、アバカビル、(ABC)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)、アデホビル(ADV)、エンタカビル(BMS 200475)アロブジン(FLT)、テノホビルジソプロキシルフマレート(TNF)、アムドキサビル(DAPD)、D-d4FC(DPC-817)、-dOTC(SPD754)、SPD-756、ラシビル、D-FDOC、およびGS7340からなる群から選ばれる請求項22記載の使用。
  24. 該連鎖停止NRTIがジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エムトリシタビンおよびその組み合わせからなる群から選ばれる請求項23記載の使用。
  25. 該連鎖停止NRTIがズドブジン、ラミブジンまたは複合剤形コンビビルまたはトリビビル;ラミブジン、アバカビルまたは複合剤形エプジコム;テノホビル、エムトリシタビンまたは複合剤形トルバダである請求庫23記載の使用。
  26. 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンが0.05-0.5mg/kg/日の範囲で投与される先の請求項のいずれかに記載の使用。
  27. 2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンが0.1mg/kg/日以下で投与される請求項26記載の使用。
  28. HIVの逆転写酵素が、絶対(obligate)連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチド-ホスフェートがATP-またはピロホスフェート介在切除により新生DNA鎖から切除されるのを可能にする少なくとも1のプライマーレスキュー突然変異を有するHIV患者の治療方法であって、有効量の2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジンまたは2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出するそのプロドラッグ;またはその塩を患者に投与することを含む方法。
  29. HIVプライマー/テンプレート複合体内に組み込まれた連鎖停止NRTIヌクレオチドを、ATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより除去することができるHIVプライマーレスキュー突然変異体の出現または増殖を阻害する方法であって、
    HIVに感染した個体に有効量の2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジン、または2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出するそのプロドラッグ;またはその塩、およびプライマーレスキュー突然変異体を誘導する少なくとも1の連鎖停止剤NRTIを同時または逐次投与することを含む方法。
  30. HIVの逆転写酵素が、絶対連鎖停止ヌクレオシド-またはヌクレオチド-ホスフェートが新生DNA鎖からATP-またはピロホスフェート介在切除により切除されるのを可能にする少なくとも1の突然変異を有する、HIV感染の治療に使用するための2',3'-ジデオキシ-3'-ヒドロキシメチルシチジン、または2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出するそのプロドラッグ;またはその塩。
  31. HIVに感染した個体におけるHIV突然変異体の出現または増殖を阻害するための活性成分の同時または逐次投与に使用するための活性成分としての少なくとも1の連鎖停止剤NRTIならびに2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジン、または2',3'-ジデオキシ-3'-C-ヒドロキシメチルシチジンまたはその5'-モノホスフェートをin vivoで放出するそのプロドラッグ;またはその塩(ここで、該突然変異体は、HIVプライマー/テンプレート複合体に組み込まれた連鎖停止NRTIヌクレオチドを除去することができ、該除去はATP依存性またはピロホスフェート依存性切除メカニズムにより促進される。)。
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