JP2008520235A - インスリンを産生可能な拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団およびその作製方法 - Google Patents

インスリンを産生可能な拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団およびその作製方法 Download PDF

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Abstract

エクスビボ拡大された成体島β細胞の集団、ならびにエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団が提供される。これらの細胞の集団の産生方法も提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インスリンを生理学的な量で貯蔵すること、および、インスリンをグルコースに応答して分泌することの両方が可能である、拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団に関する。
I型糖尿病は膵臓島のインスリン産生β細胞の自己免疫破壊によって引き起こされる。インスリンの投与では、最適なインスリン投薬量を調節することが困難であるので、この疾患の長期間にわたる合併症が防止されない。損傷した細胞を調節されたインスリン産生細胞により置き換えることが、I型糖尿病のための究極的な治療法であると見なされている。膵臓移植がこれまで成功しているが、膵臓移植はドナーの不足によって非常に制限されている。新しい島単離法および免疫抑制法の開発とともに、著しい成功が、被移植者あたり2名〜3名のドナーから得られた島を使用して報告されている(Shapiro AM、Lakey JR、Ryan EA他、New Engl J Med、2000、343:230〜238)。この進歩は、ヒト膵臓ドナーに対する代替法(すなわち、移植のための培養されたヒトβ細胞の豊富な供給源)を開発することが急務であることを強調している。
最終分化している***終了した島細胞は組織培養で拡大することが困難である。11mMのグルコースを含有し、かつ、10%FBSおよび肝細胞増殖因子が補充されたRPMI培地においてHTB−9マトリックス上で成長した成体ヒト島細胞体および胎児ヒト島細胞は、最大でも10回〜15回の集団倍化にわたって増殖し、その後、細胞は老化を受けたことが示された。複製期間は、レトロウイルスにより細胞に導入されたヒトテロメラーゼ(hTERT)の触媒サブユニットの発現によって延ばすことができなかった(Halvorsen TL、Beattie GM、Lopez AD、Hayek A、Levine F、J Endocrinol、2000、166:103〜109)。大量の細胞死のために、この方法は島細胞塊の3回〜4回の拡大をもたらした。
***終了したβ細胞の強制的な拡大に対する代替法は、自然の自己拡大能を有する幹細胞/始原細胞のインスリン産生細胞への分化を誘導することである。胚性幹細胞の方向づけられた分化は、β細胞と比較して、少量のインスリンを産生するのみの細胞を生じさせており、また、移植におけるそれらの可能性のある使用は、奇形腫の危険性に関する問題だけでなく、倫理的な反対を受けている。
成体幹細胞もまたインスリン産生細胞に分化している。しかしながら、これらの細胞タイプの組織培養における拡大効率およびインスリン産生細胞へのそれらの分化割合は、移植のための著しい細胞数の作製を可能にするためには大きく改善される必要がある。
分化が決定された細胞は少なくとも部分的には、一連の発達事象を活性化する様々な優性遺伝子により再プログラム化され得ることが明らかにされている。本発明者らの米国特許出願公開第20050244966号は、胎児肝細胞を、内分泌膵臓の発達を方向づける優性な転写因子(例えば、Pdx1など)の発現によってβ様のインスリン産生細胞に再プログラム化することを教示する。ヒト胎児の肝臓細胞が、成熟型インスリンを著しい量(正常なβ細胞によって産生される量の約1/3)で産生および貯蔵し、それを生理学的なグルコースレベルに応答して分泌し、かつ、STZ糖尿病性非肥満糖尿病性重症複合免疫不全(NOD−scid)マウスにおいてβ細胞の機能を代わって補うように誘導された。改変された細胞は多数のβ細胞遺伝子を発現させた。
島細胞は上皮増殖因子および神経増殖因子の存在下においてエクスビボで拡大されている。これらの細胞は高インスリン含有量を示すが、インスリンをグルコースに応答して分泌しない(Lechner A.他、Biochem Biophys Res Commun、327:581〜588、2005)。
従って、上記の制限を有さない移植用の、生理学的濃度のインスリンを産生可能な培養されたヒトβ細胞の豊富な供給源が必要であることが広く認識されており、また、そのような供給源を有することは非常に好都合である。
数多くの因子が、β細胞の増殖および分化の両方を組織培養において促進することが示されている。成長ホルモンファミリーのいくつか(これらには、胎盤性ラクトゲン(PL)、成長ホルモン(GH)およびプロラクチン(PRL)が含まれる)は、新生児ラットの島細胞において複製を誘導する。肝細胞増殖因子(HGF)の著しい有糸***促進作用がヒトの胎児島および成体島ならびにマウス島について認められている。アクチビンAまたはニコチンアミドの存在下において、HGFは、膵臓細胞株と同様に、培養された胎児膵臓島においてβ細胞の分化を刺激することが示されている。グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびその類似体であるより安定なエキセンジン−4が、β細胞の増殖を刺激し、かつ、膵臓細胞株におけるインスリン遺伝子の発現を誘導することが示されている。上皮増殖因子(EGF)ファミリーのいくつか(これらには、EGF、TGFαおよびベータセルリンが含まれる)もまた、β細胞の増殖および分化を刺激することが示されている。ベータセルリンは、β細胞を含む数多くの細胞タイプについての強力な有糸***促進因子である。ベータセルリンは、島の新生をアロキサン処置マウスおよびSTZ処置マウスにおいて増大させ、また、島の再生を90%膵切除ラットにおいて促進させることが示された[Li L他、Endocrinology、2001、142:5379〜5385]。
数多くの齧歯類モデルにおいて、ベータセルリンは、他の因子との組合せでは、分化能を含むことが示された。従って、齧歯類の膵臓細胞株において、ベータセルリンは、インスリン産生細胞の分化を誘導することが、単独および他の因子との組合せの両方で示された。加えて、Pdx1の発現は、ベータセルリン処置と組み合わされたときには、インスリンの発現をマウスのグルカゴノーマ細胞株(アルファTC1−6)およびラットの腸細胞株(IEC−6)において誘導した。neuroDの発現は、ベータセルリンによるインビボ処置と組み合わされたときには、マウスの肝臓細胞をインスリン産生細胞に変換することを誘導した。
ベータセルリンは数多くのヒト膵臓細胞タイプの増殖を誘導することが示されている。例えば、ベータセルリンは成体ヒト膵管細胞の増殖を刺激することが示された[Rescan他、Laboratory Investigation(2005)、85、65〜74]。
他の因子との組合せにおいて、ベータセルリンはまた、インスリン産生細胞への分化を強化し得る。例えば、アクチビンAと一緒に、ベータセルリンはヒト胎児膵臓細胞のインスリン産生細胞への分化を誘導した。しかしながら、アクチビンAは分化活性を含むことが示されたが、ベータセルリンは有糸***促進活性のみを含むことが示された[Demeterco他、Journal of Clinical Endocrinology and metabolism、2000、Vol.85、No.10、3892〜3897]。
米国特許出願公開第20040132679号は、I型糖尿病の治療のために、様々な島細胞分化転写因子との併用でのベータセルリンの投与を教示する。これらの因子は、肝細胞の集団をインスリン産生細胞に分化させることを強化することが示された。しかしながら、単独で投与されたとき、ベータセルリンは、STZ誘導による糖尿病マウスの血清中グルコースに対する効果を何ら有していなかった。これは、ベータセルリンは単独では、肝細胞を分化させることができず、むしろ、肝細胞に対する有糸***促進活性を有したことを示している。さらに、治療的効力は島細胞分化促進因子のインビボ投与についてのみ示された。
まとめると、ベータセルリンはそれ自体が、ヒト膵臓細胞においてインスリン産生能を有することは今まで一度も明らかにされていない(有糸***促進能のみである)。
ニューロゲニン3(Ngn3)が重要なプロ内分泌転写因子であることが示唆されている。これは、Ngn3を有さないマウスにおける内分泌細胞の非存在によって、系統追跡分析によって、および、Ngn3の異所性発現によって明らかにされている。Ngn3は、Notch経路を介した隣接細胞間の相互のシグナル伝達によって内分泌細胞および外分泌細胞の運命の選択を制御する側面からの特定化事象に関与する。β細胞の最終分化では、Ngn3発現の停止が要求される。
ヒトβ細胞の拡大された培養物のためのインスリン細胞分化因子の特定は糖尿病の治療における細胞移植のために非常に好都合であると考えられる。
本発明によれば、島マーカーの連続した発現を示しながら、少なくとも16回の継代にわたってエクスビボ増殖可能であるエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団が提供される。
本発明の別の態様によれば、細胞のインスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%である、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、成体島β細胞を、CMRL−1066を含む培地においてインキュベーションし、それにより、成体島β細胞をエクスビボ拡大することを含む、成体島β細胞をエクスビボ拡大する方法が提供される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、成体島β細胞をエクスビボ拡大し、かつ再分化させる方法が提供され、この場合、この方法は、成体島β細胞を、CMRL−1066を含む培地においてインキュベーションし、それにより、拡大された成体島β細胞を得ること、および、拡大された成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与え、それにより、成体島β細胞を拡大し、かつ再分化させることを含む。
本発明のさらなる態様によれば、成体島β細胞におけるインスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることを含む、成体島β細胞におけるインスリン含有量をエクスビボ増大させる方法が提供される。
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象において糖尿病を治療する方法が提供され、この場合、この方法は、そのインスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%であるエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団の治療効果的な量を対象に移植し、それにより、糖尿病を治療することを含む。
本発明のなおさらにさらなる態様によれば、そのインスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%である、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団の、対象において糖尿病を治療するための使用が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、医療用規格のCMRL−1066を含む、成体島β細胞を拡大するための培地が提供される。
本発明のさらにさらなる態様によれば、インスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%である、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団を有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、成体島β細胞はトリプシン処理される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、成体島β細胞におけるインスリン含有量をエクスビボ増大させる方法はさらに、成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を提供することを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、島マーカーはβ細胞マーカーを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、β細胞マーカーはPC1/3およびPC2を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、島マーカーは、Isl−1、ソマトスタチンおよび膵臓ポリペプチドからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、エクスビボ拡大された成体島β細胞は7日の複製速度によって特徴づけられる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞はグルコース応答性である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地は血清を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、血清はウシ胎児血清を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地はさらにグルコースを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、グルコースの濃度は5.6mMである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地は抗生物質を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与えることは、成体島β細胞において少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を発現させることを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与えることは、成体島β細胞を、少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を含む培地においてインキュベーションすることを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、成体島β細胞に、インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることは、成体島β細胞においてベータセルリンを発現させることを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、成体島β細胞に、インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることは、成体島β細胞を、ベータセルリンを含む培地においてインキュベーションすることを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンは、0.5nM〜8nMの間の範囲から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地はCMRL−1066である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地はさらにグルコースを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、培地はさらに抗生物質を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団は、医薬用作用因を発現するように遺伝子改変される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、医薬用作用因は免疫媒介拒絶を軽減する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、インスリン含有量は、正常な成体島β細胞におけるインスリン含有量と等しい。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、少なくとも1つのβ細胞分化促進剤は転写因子である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、転写因子は、NeuroD、Ngn3、Pax6、Pax4、Nkx2.2、Nkx6.1、Pdx−1およびIsl−1からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、転写因子はNgn3である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、少なくとも1つのβ細胞分化促進剤はベータセルリンである。
本発明は、成体島β細胞を拡大するための条件、ならびにそれらの再分化のための方法を提供することによって、現在知られている構成の欠点に成功裏に取り組んでいる。別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。本明細書中に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照として援用される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1A〜図1Hは、「拡大培地」における最初の2週間中の指示された日数にわたってインキュベーションされている細胞の共焦点蛍光顕微鏡画像である。すべての核がDAPIにより青く染色される。棒=50μm(Dを除く。Dでは棒=20μmである)。図1Aは無傷の島の位相差画像である。図1Bは島細胞単層の位相差画像である。図1Cは、抗体標識されたインスリンおよびki67を強調する、拡大培地で3日後における島細胞単層の位相差画像である。図1Dは、抗体標識されたインスリンおよびki67を強調する、拡大培地で7日後における島細胞単層の位相差画像である。図1Eは、抗体標識されたPC1/3およびBrdUを強調する、拡大培地で10日後における島細胞単層の位相差画像である。図1Fは、抗体標識されたPC2およびBrdUを強調する、拡大培地で10日後における島細胞単層の位相差画像である。図1Gは、抗体標識されたPC1/3を強調する、拡大培地でのCOS1細胞の位相差画像である。図1Hは、抗体標識されたPC2を強調する、拡大培地でのCOS1細胞の位相差画像である。
図2A〜図2Bは、培養で1週間後における増殖中のヒト島由来(PHID)細胞の光学顕微鏡画像(図2A)および蛍光顕微鏡画像(図2B)である。図2AはBrdU取り込みについての染色を示す。図2Bは、より高倍率でのBrdU抗体(赤色)およびインスリン抗体(緑色)による二重標識化を示す。
図3A〜図3Bは、培養での示された継代数の後におけるRT−PCR分析によって明らかにされたときのPHID細胞の脱分化を示す写真である。転写物を、陰性コントロール(−、テンプレートなし)および陽性コントロール(+、ヒト島RNA)との比較で、示されたプライマーを用いて分析した。GAPDH遺伝子を、mRNAおよびcDNAの品質および負荷量をモニターするために使用した。
図4A〜図4Fは、培養での5回の継代の後(図4A〜図4C)および7回の継代の後(図4D〜図4F)におけるPHID細胞の免疫染色を示す共焦点蛍光顕微鏡画像である。図4Aは、DAPI染色(青色)に重ねられている抗体標識されたPC1/3(赤色)を強調するPHID細胞の位相差画像である。図4Bは、DAPI染色(青色)に重ねられている抗体標識されたPC2(赤色)を強調するPHID細胞の位相差画像である。図4Cは、DAPI染色(青色)に重ねられている抗体標識されたPP(赤色)を強調するPHID細胞の位相差画像である。図4Dは、DAPI染色(青色)に重ねられている抗体標識されたPP(赤色)を強調するPHID細胞の位相差画像である。図4Eは、抗体標識されたPC1/3(赤色)を強調するPHID細胞の位相差画像である。図4Fは、DAPIにより染色された、図4Eで示される同一のPHID細胞の位相差画像である。棒=50μm。
図5A〜図5Fは、培養されたマウスMIP−GFP島におけるGFP蛍光の減少を例示する光学顕微鏡画像(図5A、図5Cおよび図5E)および蛍光顕微鏡画像(図5B、図5Dおよび図5F)である。
図6A〜図6Dは、PHID細胞の再分化に対するベータセルリン(BTC)の影響を例示する写真および棒グラフである。図6Aは、エキセンジン−4(レーン1)、BTC(レーン2)、アクチビンA(レーン3)、血清非含有培地(レーン4)および拡大培地(レーン5)で6日間処理されたPHID細胞(継代数:5)のRT−PCR分析の写真である。図5Bは、BTCで6日間処理されたPHID細胞(継代数:5)のRT−PCR分析の写真である。図5Cは、血清非含有培地において示された濃度でのBTCで6日間処理されたPHID細胞(継代数:6)のRT−PCR分析の写真である(血清を伴う完全培地が使用された星印のレーンを除く)。転写物を、陰性コントロール(−、テンプレートなし)および陽性コントロール(+、ヒト島RNA)との比較で、示されたプライマーを用いて分析した。図6Bにおいて、ヒト島RNAの量は、PHID細胞のRNAと比較して1/5であった。図6Dは、完全培地において示された濃度でのベータセルリンで6日間処理された継代数6のPHID細胞におけるインスリン含有量を示す棒グラフである。値は平均±SD(n=3)である。
図7A〜図7Gは、PHID細胞におけるインスリン発現に対するBTCの影響を示す蛍光顕微鏡画像である。図7Aは、弱いインスリン染色を可視化するためにCy3について高露光で写真撮影された、BTCの非存在下でのドナー#7由来の細胞(継代数:5)の免疫蛍光分析画像である。図7Bは、弱いインスリン染色を可視化するためにCy3について高露光で写真撮影された、BTC処理後のドナー#7由来の細胞(継代数:5)の免疫蛍光分析画像である。図7Cは、強く染色された細胞を伴うフィールドを可視化するためにCy3について低露光で写真撮影された、BTCの非存在下でのドナー#7由来の細胞(継代数:5)の免疫蛍光分析画像である。図7Dは、強く染色された細胞を伴うフィールドを可視化するためにCy3について低露光で写真撮影された、BTC処理後のドナー#7由来の細胞(継代数:5)の免疫蛍光分析画像である。図7A〜図7Dについて、棒=50μm。図7Eおよび図7Fは、ベータセルリン処理の非存在下での継代数5に由来する細胞の免疫蛍光分析画像である。図7Eはインスリン染色を単独で示し、図7FはDAPI染色を単独で示す。図7Gは、DAPIおよびインスリンについての二重染色を示す、血清非含有培地におけるベータセルリン処理の後での継代数5に由来する細胞の免疫蛍光分析画像である。
図8は、継代数5でのPHID細胞におけるグルコース誘導によるインスリン分泌に対するBTCの影響を例示する棒グラフである。値は平均±SD(n=3)である。
図9A〜図9Dは、PHID細胞(継代数:5)の再分化に対するNgn3の影響を示す写真および構築物の例示である。図9Aはtet−Ngn3構築物の例示である。Ngn3のcDNAを、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo)およびウッドチャック肝炎ウイルス転写後修飾エレメント(WHV)もまた含むpIRESベクターの最小プロモーター配列およびtet−オペレーター配列(tet−op)の制御下で、かつ、IRES(内部リボソーム進入部位)エレメントの上流側に設置した。図9BはCMV−rtTA構築物の例示である(ブラスチシジン耐性遺伝子をSV40プロモーター(SV40)の制御下に含有し、かつ、リバーステトラサイクリントランス活性化因子(rtTA)をCMBプロモーター(CMV)の制御下に含有するPcDNA6/TR(Invitrogen))。図9Cは、誘導可能なtet−on NGN3遺伝子の安定的なトランスフェクションおよびドキシサイクリン(dox)の非存在下または存在下での3週間にわたるインキュベーションの後でのRT−PCR分析の写真である。図9Dは、誘導可能なtet−on NGN3遺伝子の安定的なトランスフェクションおよびドキシサイクリン(dox)の非存在下または存在下での3週間にわたるインキュベーションの後でのインスリン抗体を用いた免疫蛍光分析の写真である。その後、それらをRT−PCRおよび免疫蛍光によって遺伝子発現について分析した。
本発明は、インスリンを生理学的な量で貯蔵すること、および、インスリンをグルコースに応答して分泌することの両方が可能である、成体β細胞の拡大され、かつ再分化した集団に関する。本発明はインスリン依存性糖尿病の治療における細胞置換治療において使用することができる。
本発明による拡大され、かつ再分化した単離された生体β細胞の集団の原理および作用を、図面および付随する説明を参照してより十分に理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。
I型糖尿病は膵臓島のインスリン産生β細胞の自己免疫破壊によって引き起こされる。インスリンの投与では、最適なインスリン投薬量を調節することが困難であるので、この疾患の長期間にわたる合併症が防止されない。損傷した細胞を調節されたインスリン産生細胞により置き換えることが、I型糖尿病のための究極的な治療法であると見なされている。膵臓移植がこれまで成功しているが、膵臓移植はドナーの不足によって非常に制限されている。新しい島単離法および免疫抑制法の開発とともに、著しい成功が、被移植者あたり2名〜3名のドナーから得られた島を使用して報告されている(Shapiro AM、Lakey JR、Ryan EA他、New Engl J Med、2000、343:230〜238)。この進歩は、ヒト膵臓ドナーに対する代替法(すなわち、移植のための培養されたヒトβ細胞の豊富な供給源)を開発することが急務であることを強調している。
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、島マーカーの発現を依然として維持しながら、単離された成体島β細胞をエクスビボ拡大するための新規な方法を発見している。本発明者らはまた、本発明の教示に従って増殖させた細胞におけるインスリン含有量を増大させる(すなわち、本発明の教示に従って増殖させた細胞を再分化させる)ための新規な条件を発見している。本発明は、糖尿病患者に移植するための機能するβ細胞の実用的な供給源を提供するためにこれらの発見を利用している。
本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者は、単離された成体島β細胞が、細胞複製速度における顕著な変化を伴うことなく、また、検出可能なアポトーシスを伴うことなく(これにより、65000倍を超える拡大を表す)、少なくとも16回の継代にわたってCMRL−1066において増殖し得ることを発見している。増殖期間中、(完全ではないが、拡大された細胞は1組の島マーカーを依然として発現するので)、単離されたβ細胞は脱分化を受ける。脱分化は、図4A〜図4Fに例示されるように、正常な休止β細胞において発現される重要な遺伝子の転写における低下によって判定することができる。本発明者はまた、本発明の拡大された細胞集団がベータセルリンおよび/またはNgn−3の添加によって再分化し得ることを発見している。実施例2において例示されるように、再分化した細胞は、生理学的濃度のインスリンを貯蔵し、かつ、治療的量のインスリンをグルコースに応答して分泌することができる。
本発明は様々な態様で先行技術の制限を克服している。先行技術の教示に従って培養されたエクスビボ成体ヒト島細胞および胎児ヒト島細胞は、最大でも10回〜15回の集団倍化にわたって増殖し、その後、細胞は老化を受けることが示されている(Halvorsen TL他、J Endocrinol、2000、166:103〜109)。本発明の拡大された成体島β細胞は少なくとも16回の継代にわたって増殖可能である。
分化が決定された細胞および分化が決定されていない細胞はともに、インスリン産生細胞に分化することが示されている。本発明とは際立って対照的に、これらの細胞は治療濃度のインスリンをグルコースに応答して分泌することができない。
米国特許出願公開第20040132679号は、I型糖尿病の治療のために、様々な島細胞分化転写因子との併用でのベータセルリンの投与を教示する。本発明とは際立って対照的に、米国特許出願公開第20040132679号は成体島β細胞の拡大された集団の分化を教示していない。さらに、単独で投与されたとき、ベータセルリンは、STZ誘導による糖尿病マウスの血清中グルコースに対する効果を全く有していなかった。これは、ベータセルリンは単独では肝細胞を完全に分化させることができなかったことを示している。
従って、本発明の1つの態様によれば、単離された成体島β細胞を、CMRL−1066を含む培地においてインキュベーションし、それにより、成体島β細胞をエクスビボ拡大することを含む、成体島β細胞をエクスビボ拡大する方法が提供される。
本明細書中で使用される表現「エクスビボ」は、生きている生物から取り出され、生物の体外(例えば、試験管)で培養される細胞を示す。
本明細書中で使用される表現「成体島β細胞」は、上昇したグルコース濃度に応答してインスリンを分泌することができ、かつ、典型的なβ細胞マーカーを発現する出生後(例えば、非胚性)の膵臓島内分泌細胞を示す。β細胞マーカーの例には、インスリン、pdx、Hnf3β、PC1/3、Beta2、Nkx2.2、GLUT2およびPC2が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のこの態様の単離された成体島β細胞は均一または不均一であり得る。
従って、例えば、本発明のこの態様の成体島β細胞は、単離された膵臓島に含まれ得る。島細胞は下記から構成され得る:1)インスリンを産生するβ細胞;2)グルカゴンを産生するα細胞;3)ソマトスタチンを産生するδ細胞(またはD細胞)、および/または、膵臓ポリペプチドを産生するF細胞。これらの細胞の内部におけるポリペプチドホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンおよび膵臓ポリペプチド)は分泌顆粒の形態で分泌小胞に貯蔵される。
島を単離する様々な方法が当該分野では広く知られている。例えば、島を、コラゲナーゼおよびフィコール勾配を使用して膵臓組織から単離することができる。例示的な方法が本明細書中下記において実施例1に記載される。
好ましくは、本発明の成体島β細胞は、例えば、トリプシンの添加によって、または粉砕によって単一細胞懸濁物に分散される。
成体島β細胞は、例えば、FACs分取によって、そのインビボ環境において存在する他の物質(例えば、他の細胞、タンパク質、核酸など)を実質的に含まないようにさらに単離することができる。
成体島β細胞は任意の自己または非自己(すなわち、同種または異種)の哺乳動物ドナーから得ることができる。例えば、細胞をヒト死体から単離することができる。
本明細書中で使用される用語「拡大する」は、肥大により単に大きくなることではなく、むしろ、細胞***のプロセスによって本発明の成体島β細胞の数および全体的な量を増大させることを示す。本明細書中下記において実施例1に記載されるように、成体島β細胞は、細胞を7日毎に継代培養し、かつ、1週間に2回の再度の養分補給を行うによって拡大することができる。本発明の教示によれば、成体島β細胞は、検出可能なアポトーシスを何ら伴うことなく、65000倍に拡大することができる。
本明細書中で使用される用語「CMRL1066」は、L細胞の培養のためにConnaught Medical Research Laboratoriesによって最初に開発された血清非含有培地を示し、これには、CMRLの基本的機能が保持されるならば、その任意の他の派生培地が含まれる。CMRL−1060培地が、Gibco BRL(Grand Island、NY;カタログ番号:11530−037)、Cell and Molecular Technologies(Phillipsburg、New Jersey)、Biofluids Inc.(Rockville、Maryland)、Bioreclamation Inc.(East Meadow、New York)、United States Biological(Swampscott、Massachusetts)、Sigma Chemical Company(St.Louis、Missouri)、Cellgro/Mediatech(Herndon、VA)およびLife technologies(Rockville、MD)をはじめとする様々な企業から液体形態または粉末形態のどちらでも市販されている。
好ましくは、CMRLは医療用規格の純度を有する。従って、医療用規格の純度を有する成体島β細胞を拡大するための培地が提供される。本明細書中で使用される表現「医療用規格の純度」は、CMRLの構成成分および最終的な製造物の両方が医療用規格の純度を有すること(すなわち、投与のために安全であること)を示す。本発明のCMRL培地はさらに、成体島β細胞の成長および/または生存性を改善可能な様々な補助的成分を含むことができる。これらには、増殖因子(例えば、肝細胞増殖因子、神経増殖因子および/または上皮増殖因子)、血清(例えば、ウシ胎児血清)、グルコース(例えば、5.6mM)および抗生物質が含まれるが、これらに限定されない。例示的な抗生物質およびその濃度が本明細書中下記において実施例の節に記載される。
好ましくは、成体島β細胞は、固体基体に付着することによって足場依存性細胞(すなわち、単層タイプの細胞成長物)として増殖する。好ましい実施形態によれば、成体島β細胞は5%COとともに37℃でCMRL1066培地において増殖させることができる。
上記の教示に従って作製された成体島β細胞は、島マーカーの連続した発現を示しながら、少なくとも16回の継代にわたってエクスビボ増殖可能である。
本発明のこの態様によれば、用語「島マーカーの連続した発現」は、島マーカーのmRNA/タンパク質発現が毎回の細胞***の全期間を通して検出可能であることを示す。mRNA/タンパク質発現を検出する様々な方法が当該分野では広く知られており、これらには、ノーザン分析、RT−PCR分析、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、ウエスタン分析、RIA分析、Elisa分析、FACS分析および免疫組織学的分析が含まれるが、これらに限定されない。
表現「島マーカー」は、膵臓島において特異的に発現される少なくとも1つのmRNAおよび/またはタンパク質を示す。好ましくは、島マーカーの少なくとも1つはβ細胞マーカーである。下記の実施例の節において示されるように、本発明の教示に従って拡大された成体島β細胞は、2つのβ細胞マーカー(PC1/3およびPC2)を発現することが示された。加えて、拡大された成体島β細胞は、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチドおよびIsl−1を発現した。
本発明のこの態様の拡大された成体島β細胞はすべての典型的なβ細胞マーカーを発現するわけではない。従って、図3A〜図3Bに例示されるように、拡大後において、成体島β細胞は、インスリン、pd−x、neuroDおよびNkx2.2を発現せず、脱分化の状態にあるとして示され得る。
本明細書中上記で述べられたように、本発明を実施にさらに移しているとき、本発明者は、本発明の拡大された成体島β細胞を再分化させる方法を発見した。この方法は、少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与えることによって行われる。
本明細書中で使用される用語「再分化させる」は、細胞が、機能があまり明確にされていない細胞から、機能がより明確にされた細胞(これはまた、より分化したとして示されることがある)に変わるように細胞を変化させることを示す。例えば、成体β細胞の明確にされた機能には、インスリンを貯蔵し、かつ、インスリンをグルコースに応答して分泌することが含まれる。本発明の拡大された成体島β細胞の再分化では、β細胞のインスリン含有量を増大させること、グルコースに対する感受性を増大させること、および/または、分泌装置を増大させることのようなプロセスを含むことができる。β細胞のインスリン含有量を増大させる方法では、インスリンの転写および/または転写後の制御を増大させること、ならびに/あるいは、翻訳および/または翻訳後の制御を増大させることを含むことができる。β細胞のインスリン含有量を増大させる方法ではまた、インスリンの貯蔵を高めること、および/または、インスリンの分解を遅らせることを含むことができる。グルコースに対する感受性を増大させる方法では、グルコース輸送体の発現を増大させることを含むことができる。
本明細書中で使用される「β細胞分化促進剤」は、本発明の拡大された成体島β細胞を、本明細書中上記で述べられた機構のいずれかを使用して再分化させることが、単独または他のβ細胞分化促進剤との組合せのどちらでもできる分子(例えば、タンパク質性分子または核酸分子)を示す。
β細胞分化促進剤の例には、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形態形成タンパク質(BMP−2)、骨形態形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−ax)、コレシストキニン(CCK8−アミド体)コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化体)、コレラトキシンBサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディフェラニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンジン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞増殖因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、Leu−エンケファリン、白血病阻害因子(LIF)、Met−エンケファリン、n−酪酸、神経増殖因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PthII RP)、PDGF、AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤性GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射の細胞培養物、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、ダイズトリプシン阻害剤、サブスタンスP、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β、sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロクス、血管作用性腸ポリペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンAおよびビタミンEが含まれるが、これらに限定されない。
β細胞分化促進剤はまた転写因子であり得る。本明細書中で使用される用語「β細胞分化転写因子」は、転写因子として機能することによってβ細胞の分化に関与する任意の分子(これは、ポリペプチドまたはポリペプチドを発現する核酸のどちらでもよい)として定義される。転写因子はまた、発達または代謝などに向けられたさらなる機構にも関係し得る。β細胞分化転写因子の例には、NeuroD(GenBankアクセション番号AAA93480)、Pax6(GenBankアクセション番号AAK95849)、Pax4(GenBankアクセション番号AAD02289)、Nkx2.2(GenBankアクセション番号AAC83132)、Nkx6.1(GenBankアクセション番号AAD11962)、Isl−1(GenBankアクセション番号NP002193)、Pd−x(GenBankアクセション番号AAA88820)またはNgn3(GenBankアクセション番号AAK15022)およびそれらのホモログまたはオルソログが含まれるが、これらに限定されない。
本発明のこの態様の好ましい実施形態によれば、β細胞分化促進剤はベータセルリン(GenBankアクセション番号P172810)またはその機能的部分、例えば、EGF結合ドメイン[Riese D.J.他、Oncogene、1996(Jan 18)、12(2):345〜53]である。この用語は、ベータセルリン活性を含み、すなわち、EGF(上皮増殖因子)受容体タンパク質に対するリガンドとして機能し、かつ、膵臓における島細胞の成長機構および分化機構に関係する任意のポリペプチドを包含するために使用され得る。本発明に従って使用可能なベータセルリンの機能的部分の決定は、当業者が熟知しているアッセイを使用して達成することができる。1つの実施形態において、ベータセルリンポリペプチドは、例えば、AAA40511、Q05928およびP35070に示されるようなアミノ酸配列などでのように、タンパク質分解的に切断されていない全長タンパク質(すなわち、プレタンパク質またはベータセルリン前駆体)である。ベータセルリンホモログ遺伝子配列の例には、GenBankアクセション番号AAA40511;同NP071592;同AAM21214;同XP124577;同NP031594;同NP001720;同BAA96731;同AAF15401;同AAB25452;同AAA40511が含まれる。
本発明のβ細胞分化促進剤は、当業者に知られている任意の技術を使用して合成することができ、そのような技術には、標準的な分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現、天然供給源からのポリペプチドの単離、あるいは、ポリペプチドの化学的合成が含まれる。
例えば、β細胞分化促進剤を、当該分野では広く知られており、また、さらには、John Morrow StewartおよびJanis Dillaha Young[Solid Phase Peptide Syntheses(第2版、Pierce Chemical Company、1984)]によって記載される固相ペプチド合成法を使用して合成することができる。合成ペプチドは調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製することができ[Creighton T.(1983)、Proteins,structures and molecular principles、WH Freeman and Co.N.Y.]、また、その組成をアミノ酸配列決定によって確認することができる。
多量のペプチドが所望される場合には、多量のペプチドを、組換え技術を使用して作製することができ、そのような組換え技術は、例えば、Bitter他(1987)、Methods in Enzymol.、153:516〜544;Studier他(1990)、Methods in Enzymol.、185:60〜89;Brisson他(1984)、Nature、310:511〜514;Takamatsu他(1987)、EMBO J.、6:307〜311;Coruzzi他(1984)、EMBO J.、3:1671〜1680;およびBrogli他(1984)、Science、224:838〜843;Gurley他(1986)、Mol.Cell.Biol.、6:559〜565;およびWeissbach&Weissbach、1988、Methods for Plant Molecular Biology、Academic Press、NY、Section VIII、421頁〜463頁などによって記載される。
β細胞分化促進剤は融合タンパク質として合成することができる。このようなタンパク質は典型的には、第2のポリペプチドの全体または一部分にN末端またはC末端において連結される。本発明においては、融合タンパク質はβ細胞分化転写因子配列および/またはベータセルリン配列を連結成分またはレポーター(検出可能)分子と一緒に含むことができる。融合体は、β細胞分化促進剤を安定化させること、または、β細胞分化促進剤の折り畳みを支援することを助けることができる。他の例において、融合タンパク質では、他の種に由来するリーダー配列が、異種の宿主におけるタンパク質の組換え発現を可能にするために用いられる。別の有用な融合体では、融合タンパク質の精製を容易にするための免疫学的に活性なドメイン(例えば、抗体エピトープなど)の付加が含まれる。切断部位を融合接合部またはその近くに含むことにより、精製後における外因性ポリペプチドの除去が容易になる。他の有用な融合体では、機能的ドメイン(例えば、ヒドロラーゼなどの酵素に由来する活性部位など)、グリコシル化ドメイン、細胞標的化シグナルまたは膜貫通領域を連結することが含まれる。
あるいは、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの様々な商業的調製物が当業者には知られている。例えば、ベータセルリンが、BTC、R&D Systems(Minneapolis、MN)から市販されている。
本発明のβ細胞分化促進剤は、例えば、分画化によって、精製することができる。精製後、β細胞促進剤は典型的には、精製されたタンパク質がその活性を保持しているかどうかを明らかにするために(例えば、タンパク質アッセイによって)アッセイされる。
β細胞の分化を促進させるためのポリペプチド作用因はそれ自体で成体島β細胞に与えることができる。あるいは、それをコードするポリヌクレオチドを成体島β細胞に投与することができる。この場合、ポリヌクレオチド作用因は、成体島β細胞におけるβ細胞分化促進剤の発現を構成的または誘導可能な様式で行わせることができるシス作用の調節エレメント(例えば、プロモーター)の制御下で核酸構築物において連結される。
核酸構築物は、適切な遺伝子送達ビヒクル/方法(トランスフェクション、形質導入など)および適切な発現システムを使用して、本発明の拡大された細胞に導入することができる。好適な構築物の例には、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、PzeoSV2(+/−)、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto(これらのそれぞれがInvitrogen Co.(www.invitrogen.com)から市販されている)が含まれるが、これらに限定されない。脂質に基づくシステムを、これらの構築物を本発明の拡大された成体島β細胞に送達するために使用することができる。遺伝子の脂質媒介移入のための有用な脂質が、例えば、DOTMA、DOPEおよびDC−Cholである[Tonkinson他、Cancer Investigation、14(1):54〜65(1996)]。近年、キトサンが、核酸を腸細胞に送達するために使用できることが示されている(Chen J.(2004)、World J Gastroenterol、10(1):112〜116)。本発明のこの態様に従って使用可能な他の非脂質型ベクターには、ポリリシンおよびデンドリマーが含まれるが、これらに限定されない。
発現構築物はまたウイルスであり得る。ウイルス構築物の例には、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポリオーマウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ラブドウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよびヘルペスウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。
ウイルス構築物(例えば、レトロウイルス構築物など)は、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサーまたは遺伝子座規定エレメント、あるいは、他の手段(例えば、メッセンジャーの選択的スプライシング、核RNA輸出または転写後修飾など)によって遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。そのようなベクター構築物はまた、使用されたウイルスに適切なパッケージングシグナル、長末端反復(LTR)またはその一部、ならびに、プラス鎖プライマー結合部位およびマイナス鎖プライマー結合部位を、それらがウイルス構築物に既に存在しない限り含む。加えて、そのような構築物は典型的には、ポリペプチドを、構築物が置かれている宿主細胞から分泌させるためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物のシグナル配列、または、本発明のペプチド変化体のシグナル配列である。場合により、構築物はまた、ポリアデニル化を行わせるシグナル、ならびに、1つ以上の制限部位、および、翻訳終結配列を含むことができる。例として、そのようなベクターは典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および、3’LTRまたはその一部を含む。
好ましくは、感染のためのウイルス用量は、少なくとも10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015以上のpfuまたはウイルス粒子である。
本発明の拡大された細胞における2つ以上のβ細胞分化促進剤の発現が所望され得ることが理解される。様々な構築物スキームを、2つ以上のβ細胞分化促進剤を1つの核酸構築物から発現させるために利用することができる。
例えば、2つの組換えタンパク質を、核酸構築物の1つのみのプロモーター配列からポリシストロン性メッセージとして同時に転写させることができる。
1つのポリシストロン性メッセージからの両方のβ細胞分化促進剤の同時翻訳を可能にするために、第1および第2のポリヌクレオチドセグメントを、IRES配列の下流側のポリヌクレオチドセグメントの翻訳を可能にする内部リボソーム進入部位(IRES)配列を含むリンカー配列を介して転写的に融合することができる。この場合、第1の増殖因子および第2の増殖因子の両方のコード配列を含む転写されたポリシストロン性RNA分子が、ポリシストロン性RNA分子のキャップ化された5’末端および内部のIRES配列の両方から翻訳され、それにより、両方のβ細胞分化促進剤を産生させる。
あるいは、第1および第2のポリヌクレオチドセグメントを、核酸構築物により形質転換される細胞によって発現されるプロテアーゼにより切断可能なプロテアーゼ認識部位を介して翻訳的に融合することができる。この場合、翻訳されたキメラなポリペプチドは、細胞が発現するプロテアーゼによって切断され、それにより、両方のβ細胞分化促進剤を生じさせる。
さらにあるいは、本発明の核酸構築物は、それぞれが両方のβ細胞分化促進剤を別々に発現させる2つのプロモーター配列を含むことができる。同一または異なり得るこれら2つのプロモーターは、1つ以上の細胞タイプにおいて機能的な構成的プロモーター、組織特異的プロモーターまたは調節可能(例えば、誘導可能な)プロモーターであり得る。
β細胞分化促進剤は、単独または組合せでのいずれであっても、インキュベーション培地への添加によって、エクスビボ拡大された成体島β細胞に与えることができる。1つの実施形態によれば、ベータセルリンが、成体島β細胞におけるインスリン含有量を増大させるために十分である量で単独で与えられる。表現「インスリン含有量」は、成体β細胞の内部における成熟型インスリンの量を示す。インスリン含有量の測定は当該分野では広く知られている。1つの例示的な方法が、下記の実施例の節において記載されるように、3M酢酸を用いた細胞インスリンの抽出である。成体島β細胞から抽出された成熟型インスリンの量は、Mercodia(Uppsala、スウェーデン)から市販されているELISAキットを使用して測定することができる。
典型的には、インスリン含有量を増大させるために十分であるベータセルリンの濃度範囲は0.5nM〜8nMの間である。好ましくは、エクスビボ培養された成体島β細胞は、少なくとも6日間、ベータセルリンにより分化する。
任意の培地を、拡大された成体島β細胞をβ細胞分化促進剤の存在下でインキュベーションするために使用することができる。1つの実施形態によれば、培地はCMRL−1066である。培地はまた、他の薬剤(例えば、グルコース、血清および抗生物質など)を含むことができる。
本発明の拡大された成体島β細胞のエクスビボ再分化の後、そのインスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%である成体島β細胞の集団が生じる。
本明細書中で使用される表現「グルコース刺激」は、16mMの濃度での30分間にわたるグルコースの添加を示す。これにより、島β細胞はその貯蔵インスリンのある割合を解放する。
総細胞タンパク質を測定する様々な方法が当該分野では広く知られている(例えば、Bradfordアッセイ)。
インスリン含有量を測定する方法が、本明細書中上記において、また、下記の実施例の節において提供される。
好ましくは、成体島β細胞におけるインスリンの量は総細胞タンパク質の5%を超える。好ましくは、成体島β細胞におけるインスリンの量は総細胞タンパク質の10%を超え、さらに一層より好ましくは15%を超え、さらに一層より好ましくは20%を超える。総細胞タンパク質の20%のインスリン含有量の復帰は、正常なβ細胞のインスリン含有量の範囲におけるレベルを表す。本明細書中で使用される「正常なβ細胞」は、インビボで機能しているβ細胞を示す。正常なβ細胞におけるインスリンの量は、ヒト膵臓が1グラム〜15グラムのインスリンを含み、約10個の島細胞を含有するという仮定を使用して計算することができる。
本発明の再分化した成体島β細胞はグルコース応答性である。本発明のこの態様によれば、表現「グルコース応答性」は、本発明の再分化した成体島β細胞がインスリンをグルコースに応答して分泌可能なことを示す。好ましくは、成体島β細胞は、0mMのグルコースで分泌するときの少なくとも2倍の量のインスリンを、16mMのグルコースに応答して分泌する。
本発明の成体島β細胞の集団はさらに、医薬用作用因(例えば、治療剤、テロメラーゼ遺伝子、免疫媒介による拒絶を軽減する作用因、またはマーカー遺伝子など)を発現するように改変(例えば、遺伝子改変)することができる。治療剤、例えば、代謝拮抗剤(例えば、プリン類似体、ピリミジン類似体)、酵素阻害剤およびペプチドミメティクスなどが本発明において一般に有用であり得ることが意図される。免疫媒介による拒絶を軽減可能な遺伝子の一例がウテログロビン遺伝子である。ウテログロビンは、免疫学的寛容性を与え、かつ、炎症性反応を防止する妊娠期間中に発現されるタンパク質である。本発明の成体島β細胞を遺伝子改変する様々な方法が本明細書中上記に記載される。
本発明の成体島膵臓細胞はインスリンを貯蔵および分泌するので、インスリン欠乏に関連する疾患(例えば、糖尿病など)を治療するために使用することができる。
従って、本発明の別の態様によれば、対象において糖尿病を治療する方法が提供され、この場合、この方法は、本発明のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の治療効果的な量を対象に移植し、それにより、糖尿病を治療することを含む。
本明細書中で使用される「糖尿病」は、インスリンの生合成または産生における欠陥に起因するインスリンの絶対的な不足から生じる疾患(I型糖尿病)、あるいは、生物においてインスリン抵抗性の存在下でのインスリンの相対的な不足(すなわち、損なわれたインスリン作用)から生じる疾患(II型糖尿病)を示す。従って、糖尿病患者は絶対的または相対的なインスリン不足を有しており、また、他の症状および徴候の中でも、上昇した血中グルコース濃度、尿におけるグルコースの存在、および、尿の過度な***を示す。
表現「治療する」は、疾患、障害もしくは状態の発達を阻害または停止すること、および/あるいは、疾患、障害もしくは状態に苦しむ個体において、または、疾患、障害もしくは状態と診断された個体において疾患、障害もしくは状態の軽減、寛解または退行を生じさせることを示す。当業者は、疾患、障害もしくは状態の発達を評価するために使用可能な様々な方法論およびアッセイ、ならびに、同様に、疾患、障害もしくは状態の軽減、寛解または退行を評価するために使用可能な様々な方法論およびアッセイを承知している。
本明細書中で使用される「移植する」は、本発明の再分化した成体島β細胞を、任意の好適な経路を使用して与えることを示す。典型的には、β細胞治療は、カテーテルを使用して肝臓の門脈に注入することによって行われる。だが、他の様々な投与方法が想定される。
本明細書中上記で述べられたように、本発明の成体島β細胞は自己の供給源または同種の供給源(例えば、ヒト死体またはドナーなど)のどちらにも由来し得る。非自己の細胞は、身体に投与されたときには免疫応答を誘導する可能性があるので、いくつかの方法が、非自己細胞の拒絶の可能性を軽減するために開発されている。これらには、被移植者の免疫系を抑制すること、または、免疫隔離する半透過性膜で移植前に非自己細胞をカプセル化することのどちらも含まれる。
カプセル化技術は一般には、小さい球状ビヒクルを伴うマイクロカプセル化、ならびに、より大きな平坦シートおよび中空膜を伴うマクロカプセル化として分類される(Uludag,H.他、哺乳動物細胞のカプセル化の技術、Adv Drug Deliv Rev、2000、42:29〜64)。
マイクロカプセルを調製する様々な方法が当該分野では知られており、これらには、例えば、Lu MZ他、アルギン酸塩およびα−フェノキシシンナミリデン−アセチル化ポリ(アリルアミン)を用いた細胞のカプセル化、Biotechnol Bioeng、2000、70:479〜83;Chang TMおよびPrakash S、酵素、細胞および遺伝子操作微生物のマイクロカプセル化のための方法、Mol Biotechnol、2001、17:249〜60;Lu MZ他、光感受性ポリ(アリルアミンα−シアノシンナミリデンアセタート)を使用する新規な細胞カプセル化方法、J Microencapsul、2000、17:245〜51によって開示される方法が含まれる。
例えば、マイクロカプセルが、修飾されたコラーゲンを、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸(MAA)およびメタクリル酸メチル(MMA)の三元ポリマー外皮により複合体化し、2μm〜5μmのカプセル厚さを生じさせることによって調製される。そのようなマイクロカプセルはさらに、負荷電の平滑な表面を与え、かつ、血漿タンパク質の吸収を最小限に抑えるために、さらなる2μm〜5μmの三元ポリマー外皮によりカプセル化することができる(Chia,S.M.他、細胞カプセル化のための多層マイクロカプセル、Biomaterials、2002、23:849〜56)。
他のマイクロカプセルはアルギン酸塩(海洋多糖類)(Sambanis,A、糖尿病治療におけるカプセル化島、Diabetes Thechnol.Ther.、2003、5:665〜8)またはその誘導体に基づく。例えば、マイクロカプセルを、塩化カルシウムの存在下における、ポリアニオンのアルギン酸ナトリウムおよびセルロース硫酸ナトリウムと、ポリカチオンのポリ(メチレン−co−グアニジン)塩酸塩との間での多電解質複合体化によって調製することができる。
細胞のカプセル化は、より小さいカプセルが使用されるときには改善されることが理解される。従って、カプセル化された細胞の品質管理、機械的安定性、拡散特性およびインビトロ活性が、カプセルサイズを1mmから400μmに減少させたときには改善した(Canaple L.他、サイズ制御による細胞カプセル化の改善、J Biomater Sci Polym Ed、2002、13:783〜96)。そのうえ、7nmもの小さい十分に制御された細孔サイズ、目的に合わせて調節された表面化学、および、精密な微細構造を有するナノ多孔性バイオカプセルは、細胞のための微小環境を問題なく免疫隔離することが見出された(Williams D.、小さいことは美しい:医療デバイスにおけるマイクロ粒子技術およびナノ粒子技術、Med Device Technol、1999、10:6〜9;Desai,T.A.、膵臓細胞カプセル化のための微細製造技術、Expert Opin Biol Ther、2002、2:633〜46)。
免疫抑制剤の例には、メトトレキサート、シクロホスファミド、シクロスポリン、シクロスポリンA、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン(スルファサラゾピリン)、金塩、D−ペニシラミン、レフルノミド、アザチオプリン、アナキンラ、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、エタネルセプ、TNF−α遮断剤、炎症性サイトカインを標的化する生物学的薬剤、および、非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)が含まれるが、これらに限定されない。NSAIDの例には、アセチルサリチル酸、コリンマグネシウムサリチラート、ジフルニサール、サリチル酸マグネシウム、サルサラート、サリチル酸ナトリウム、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナマート、ナプロキセン、ナブメトン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、Cox−2阻害剤およびトラマドールが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の成体島β細胞は、それ自体で、あるいは、本発明の成体島β細胞が好適なキャリアまたは賦形剤と混合される医薬組成物でヒト対象に移植することができる。
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
本明細書中において、用語「有効成分」は、生物学的効果の要因となる本発明の成体島β細胞を示す。
以降、表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的に許容され得るキャリア」は交換可能に使用することができ、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。補助剤はこれらの表現下に含まれる。
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖および様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
本発明に従って使用するための医薬組成物は有効成分を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む一つ以上の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。
本発明の文脈における使用のために好適な医薬組成物には、有効成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果がある量は、処置されている対象の障害(例えば、糖尿病)の症状を予防、軽減または改善するために、あるいは、処置されている対象の生存を延ばすために効果的な有効成分(インスリン産生細胞)の量を意味する。
治療効果がある量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の範囲内である。
本発明の方法において使用されるいかなる調製物についても、治療的に有効な量または用量は、所望の濃度または滴定量を達するために、動物モデル(例えば、STZ糖尿病マウス)から推測されることができる。かかる情報はヒトに有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、実験動物における標準的な薬学的手法によって明らかにすることができる。これらの動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第1章、1頁を参照のこと)。
投薬の量および間隔は、正常血糖を誘導するために十分な細胞数(最小有効濃度、MEC)を提供するために個々に調節されることができる。MECは、各調製物について異なるが、インビトロのデータから推測可能である。MECを達成するのに必要な投薬量は、個人の特性および投薬経路に依存する。検出アッセイは、血漿濃度を決定するために使用される。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、治療されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
本発明の組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する一つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む組成物はまた、上で詳述されるように、調整され、適切な容器に入れられ、指示される状態の処置について表示される。
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになるだろう。さらに、本明細書中上記に描かれるような、また、添付の特許請求の範囲の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
一般に、本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子学、生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば、以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」、Sambrookら(1989年);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻、Ausubel,R.M.編(1994年);Ausubelら著、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989年);Perbal著、「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988年);Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編、「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998年);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻、Cellis,J.E.編(1994年);「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」、Freshney,Wiley−Liss著、N.Y.(1994年)、第三版;「Current Protocols in Immunology」I〜III巻、Coligan,J.E.編(1994年);Stitesら編、「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994年);MishellとShiigi編、「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H.Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980年);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.編(1984年);「Nucleic Acid Hybridization」、Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985年);「Transcription and Translation」、Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984年);「Animal Cell Culture」、Freshney, R.I.編(1986年);「Immobilized Cells and Enzymes」、IRL Press(1986年);「A Practical Guide to Molecular Cloning」、Perbal,B.著(1984年)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990年);Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996年);なおこれらの文献の全ては、あたかも本明細書中に完全に記載されているように援用される。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。その文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。文献中に含まれるすべての情報は本明細書中に参照として援用される。
下記実施例の目的は、死体ドナーからの成人島の著しい拡大を可能にする培養条件、ならびに、拡大後のその分化を回復させるための治療を開発することであった。
(実施例1)
培養された成体ヒト島の複製および脱分化
材料および方法
島の単離および組織培養での拡大(ヒト、マウス):フィコール勾配により精製された成体ヒト島を記載されたようにKevan Herold博士(コロンビア大学糖尿病センター)から得た(Shapiro AM他、New Engl J Med、343:230〜238、2000)。簡単に記載すると、島を、6.1±2.9時間の低温虚血時間の後の臓器ドナーから得られた膵臓から単離した。膵管を、Liberase HI(Roche、Indianapolis、IN)を含有する冷たい酵素混合物により灌流した。その後、組織をRicordiチャンバーに移し、37℃での穏やかに機械的撹拌および酵素消化によって分離した。島をアフェレーシスシステム(モデル2991、Cobe Laboratories、Lakewood、CO)でのフィコール−ジアトリゾ酸の不連続勾配の使用によって精製した(Lakey JR他、Cell Transplant、8:285〜292、1999)。不連続フィコール勾配では、分離工程の前に互いに層にされた、1.108g/ml、1.096g/mlおよび1.037g/mlの溶液密度を使用した。遠心分離期間中に、島が、1.037g/mlと1.096g/mlとの境界、および、1.096g/mlと1.108g/mlとの境界に移動した(Lake S.P.他、Diabetes、38 Suppl 1:143〜145、1989)。これら2つの境界の間の細胞物質をプールし、これは71.5±26.2%の最終的な純度および85.2±6.7%の生存性を有していた。刺激指数(16.7/1.67mMのグルコースに応答して分泌されたインスリン)は3.27±1.78であった。島を、使用前の1日間〜7日間、5%COとともに37℃でCMRL1066培地において維持した。
マウス島をマウスインスリンプロモーター−緑色蛍光タンパク質(MIP−GFP)マウス(Hara M.他、Am J Physiol Endocrinol Metab、2003、284:E177〜E183)から記載されるように精製した(Gotoh M.他、Transplantation、1985、40:437〜438)。
島を37℃での5分間のトリプシンにおけるインキュベーションによって解離させた。トリプシン処理の細胞を、5.6mMのグルコースを含有し、かつ、10%のFCS、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび5μg/mlのアンホテリシンBが補充されたCMRL1066培地からなる拡大培地で培養した。培養物には、1週間に2回、栄養分が与えられ、培養物を、1週間に1回、1:2で分割した。
組織学的分析。細胞を、滅菌されたカバースリップにおける24ウエルプレートに入れ、4%パラホルムアルデヒドにおいて固定処理した。Ki67染色のために、細胞を0.25%NP40により10分間にわたって透過処理した。細胞を、1%ウシ血清アルブミン、10%FBSおよび0.2%サポニンにおいて室温で10分間ブロッキング処理し、ブロッキング溶液に希釈された下記の一次抗体と4℃で一晩インキュベーションした:マウス抗インスリン(1:1000)(Sigma、St.Louis、MI);モルモット抗インスリン(1:200;Linco);ウサギ抗Ki67(1:50)(ZYMED Laboratories Inc.、South San Francisco、CA);ウサギ抗PC1/3(1:500または1:200);ウサギ抗PC2(1:1000)(ともにD.Steinerからの譲渡);およびウサギ抗PP(1:200)(DakoCytomation、デンマーク)またはウサギ抗PP(1:500;Linco)。結合した抗体をZeiss共焦点顕微鏡で下記の蛍光性二次抗体により可視化した:Cy3−ヤギ抗マウスおよびCy3−ヤギ抗ウサギ(1:200)(Biomede、Foster City、CA);ローダミン−ヤギ抗モルモット(1:200;Santa Cruz);およびAlexa Fluor488−ヤギ抗ウサギ(1:200)(Molecular Probes Europe BV、Leiden、オランダ)。インスリンおよびBrdUの二重免疫蛍光のために、一次の抗BrdU抗体をテキサスレッド−ヤギ抗マウス(1:200;Santa Cruz)により可視化し、また、一次の抗インスリン抗体をCy2−ロバ抗モルモット(1:400;Santa Cruz)により可視化した。核酸を室温での5分間の1μg/mlのDAPI(Roche)による染色により可視化した。BrdU染色を以前に記載されたように行った(Efrat S.他、Proc Natl Acad Sci USA、1995、92:3576〜3580)。核の面積を、5つ以上の無作為なフィールドにおいて細胞を計数することによってImageJソフトウエア(NIH、バージョン1.33u)により定量化した。
RT−PCR:総RNAを、High Pure RNA単離キット(Roche Molecular Biochemicals、Mannhein、ドイツ)を使用して培養細胞およびヒト膵臓島から抽出した。特異的な転写物を、製造者の説明書に従ってSuperScript III RT−PCRキット(Invitrogen)を用いて分析した。RNAサンプルにおけるDNA混入の非存在を、イントロンに隣接するPCRプライマーを用いて確認した。cDNAを、本明細書中下記の表1に示されるプライマー対を使用して30サイクル〜40サイクル(94℃で45秒間;本明細書中下記の表1に示される条件でのアニーリングを45秒間;72℃で40秒間)にわたって増幅した。PCR生成物を1.5%〜2.5%のアガロースゲルでの電気泳動によって分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した。
リアルタイムcDNA定量を、製造者の説明書に従って、Assays−on−DemandキットおよびABI Prism7000 Sequence Detector(ともにApplied Biosystems(Foster City、CA)から得られる)を使用して行った。すべての反応を三連で行った。結果をヒトのラージリボソームタンパク質P0cDNAに対して正規化した。
Figure 2008520235
結果
検出可能な管シートを有さない島調製物(図1A)をトリプシン処理し、5.6mMのグルコースを含有し、かつ、10%のFBSが補充されたCMRL1066培地で培養した。これらの条件のもとで、大多数の細胞がプレートに接着し、上皮の形態学を有する細胞の単層を形成した。初代培養物における細胞サイズは、核の面積の測定によって評価されたとき、約10倍変化した。島細胞の60%までが、本明細書中下記の表2に示されるようなBrdU取り込みによって評価されたとき、培養の最初の10日以内に複製することが誘導された。
Figure 2008520235
従って、培養での3日後、細胞の11.4%が複製中であった。その2日後、複製中の細胞の割合は41.5%に増大し、培養での10日(最初の継代の後の3日)までに、割合は59.5%に上昇した。正常な膵臓の切片において、約80%の島細胞がインスリンについて染色される。しかしながら、単離されたヒト島では、インスリン細胞の割合はそれよりも低く、これは急速な脱分化を反映している。解離させた島の培養物では、強いインスリン染色が細胞の15.4%において培養での3日後〜6日後に認められた。インスリン染色は非常に小さい細胞(核の面積、57±26μm)に限定されていた。これらの細胞のほとんどは増殖中の細胞の2つのマーカー(BrdUおよびKi67)により標識されなかった。それにもかかわらず、弱いインスリン染色を示す偶発的なKi67細胞を観測することができた(図1C〜図1D)。同様に、弱いインスリン染色を示すBrdU細胞を観測することができ(図2A〜図2B)、これは、たとえ、BrdU染色がより大きな(核の面積、142±59μm)インスリン陰性細胞の大部分において見られた場合であってもであった。培養での5日後、平均細胞サイズは60%増大し(核の面積、143±67)、インスリン細胞の割合は9.4%に低下した。培養での10日後、平均細胞サイズは変化せず、インスリン細胞の割合はわずかに5.6%にすぎなかった。それにもかかわらず、複製中の細胞のほとんどがβ細胞マーカーのプロホルモン変換酵素(PC)1/3およびPC2について染色された(図1Eおよび図1F)。
この細胞集団の倍加時間は7日であった。アポトーシスアッセイによって評価されたとき、著しい細胞死亡率は観測されなかった。これらの細胞はPHID細胞(増殖しているヒト島由来細胞)と呼ばれ、細胞複製速度における顕著な変化を伴うことなく、また、検出可能なアポトーシスを伴うことなく、16回の継代にわたって連続して増殖した。この継代数は、65000倍を超える拡大を表す。増殖細胞の割合は培養での5週間後も引き続き安定していたが、インスリン細胞の割合が0.5%に減少した(表2)。平均核面積は、3日間の培養の核面積と比較した場合、そのときまでに2.5倍増大した(表2)。4ヶ月の連続した複製の後では、著しい細胞老化が、大きく低下した複製速度(2週間で約1回)によって示されるように発生した。これらの結果は、多数のドナー(27歳〜73歳の男性および女性の両方)から得られた島に関して再現性があった。
細胞複製には、正常な休止β細胞において発現される重要な遺伝子の転写における低下が伴っていた。従って、インスリンのmRNAレベルが3回の継代までにかなり低下し、その後はかろうじて検出可能であった(図3Aおよび図3B)。同様に、β細胞転写因子(Pdx1、Beta2およびNkx2.2)ならびにグルコース輸送体GLUT2の発現もまたダウンレギュレーションされた。対照的に、転写因子Isl1ならびにPC1/3およびグルコキナーゼ(GK)をコードする転写物の低下したレベルが増殖中の細胞において持続していた。インスリンと同様に、グルカゴンの発現ならびにα細胞転写因子Pax6の発現もまた、継代数2〜5の間で低下していた。対照的に、島ホルモンの膵臓ポリペプチド(PP)およびソマトスタチンをコードする遺伝子の発現はその後の継代まで持続していた。PC1/3およびPC2の免疫染色が継代数5での細胞の大部分において検出可能であった(図4A〜図4C)。これは、増殖中の集団がβ細胞に由来し、かつ、β細胞マーカーを発現し続けたことを示している。加えて、PP染色がこれらの細胞の大きな割合で観測された(図4C)。これは島前駆体段階への脱分化の可能性を示唆している。これらの知見は、本明細書中下記の表3において認められるようにリアルタイムRT−PCR定量によって確認された。RNAレベルが、新しく単離されたヒト島におけるRNAレベルの比として表される。値は平均±SD(n=3)である。
Figure 2008520235
類似する脱分化プロセスが、GFP蛍光の消失によって評価されるように、インスリンプロモーター下のGFP(MIP−GFP)を発現する培養されたトランスジェニックマウスの島において認められた(図5A〜図5F)。
(実施例2)
PHID細胞における分化の回復
材料および方法
細胞の処置:PHID細胞を上記の血清非含有培地または拡大培地のいずれかにおいて下記の因子と6日間インキュベーションした:アクチビンA(Cytolab/PreproTech Asia、Rehovot、イスラエル;10nM)、ベータセルリン(BTC;R&D Systems、Minneapolis、MN;示された濃度で)およびエキセンジン−4(Sigma−Aldrich;10mM)。
血清非含有培地でのインキュベーションのために、細胞を、10μg/mlのインスリン、5.5μg/mlのトラスフェリンおよび5ng/mlのセレン(ITS、Sigma−Aldrich、Steinheim、ドイツ)の存在下、抗生物質を含有するCMRL1066培地に置床した。
インスリンおよびヒトC−ペプチドの分泌および細胞含有量:インスリン分泌を、以前に記載されたように静的インキュベーションによって測定した(Fleischer N他、Diabetes、47:1419〜1425、1998)。細胞を24ウエルプレートに5X10細胞/ウエルで置床した。細胞をKrebs−Ringer緩衝液(KRB)で1時間プレインキュベーションし、続いて、0.5mMの1−イソブチル−3−メチルキサンチン(IBMX)および示された濃度でのグルコースを含有するKRBで30分間インキュベーションした。その後、細胞を酢酸において抽出し、緩衝液および細胞抽出物におけるインスリンの量を、成熟型インスリンのみを認識するELISAキット(Mercodia、Uppsala、スウェーデン)を使用して測定した。緩衝液および細胞抽出物におけるヒトC−ペプチドを、製造者の説明書に従ってELISAキット(Mercodia、Uppsala、スウェーデン)を使用して測定した。
結果
再分化を誘導するために、脱分化したPHID細胞を、β細胞の分化および増殖に影響を及ぼすことが報告されている数多くの因子により処理した。図6Aにおいて認められるように、4nMのベータセルリン(BTC)による処理はインスリンmRNAの発現の回復をもたらし、一方、エキセンジン−4は、試験された濃度ではごく小さい影響を有したのみであった。対照的に、細胞を血清非含有培地に6日間にわたって移すこと、または、アクチビンAの使用では、インスリンの発現は回復しなかった。BTCの影響をさらに評価した。BTCのどの濃度が最も効果的であるかを評価するために、BTCの増大する濃度をPHID細胞とインキュベーションし、β細胞の遺伝子発現(図6C)およびインスリン含有量(図6D)の両方を測定した。インスリンのELISAアッセイでは、インスリン含有量が1nMのBTCにより総細胞タンパク質の20%(これは、正常なβ細胞のインスリン含有量に類似するレベルである)に回復したことが明らかにされた。1nMのBTCによる6日間の処理は、インスリン、転写因子(Pdx1、NeuroD、Nkx2.2およびNkx6.1)、グルコース検知に関与する遺伝子(GLUT2)、および、β細胞マーカーの島アミロイドポリペプチド(IAPP)を含む多数のβ細胞遺伝子の発現を回復させた(図6B)。加えて、Pax6およびグルカゴンの発現もまた増大した。インスリンの強い免疫蛍光が、BTCによる処理の後、10.9%の細胞において見られた(22倍の増大)(図7Cおよび図7E〜図7G、表2)。インスリンの強い染色は、BrdUまたはKi67により標識されなかった非常に小さい細胞に限定されていた(図7C、表2)。類似する割合の細胞がヒトC−ペプチドについて強い染色を示した(図7D)。インスリンの強い染色に加えて、インスリンについての弱い染色がBTCによる処理の後で多くの複製中の細胞において見られた(図7B)。複製中の細胞の割合がBTC処置の後では53.5%から25.1%に減少した(表2)。
インスリンmRNAの再出現および免疫染色と一致して、インスリン含有量が、下記の表4(PHID細胞、継代数:5)および表5(PHID細胞、継代数:4〜6)において認められるように、6日間にわたってBTCで処理された細胞では増大した。
Figure 2008520235
Figure 2008520235
顕著な違いが、回復された最大インスリン含有量に関して調べられた9個のドナーの間で観測された(表5)。変動性もまた、BTCの最大有効濃度に関して認められた。例えば、ドナー#5では、1nMでのBTCはインスリン含有量において396倍の増大を誘導し、一方、ドナー#7では、19倍の最大増大が6nMのBTCにより得られた。ドナー#5における回復したインスリン含有量は総細胞タンパク質の20%に相当し、この値は正常なβ細胞のインスリン含有量の範囲内のレベルである。ドナー#7由来の細胞におけるインスリン含有量は、細胞の10.9%のみがインスリンの強い免疫染色を示したという発見と一致している(図7A〜図7Dおよび表2)。全体的には、BTCは、調べた9個のドナーのうちの6個において誘導的効果を示し、そのうちの4個において、BTCは顕著な効果を有し(RNAレベルのみで調べられた1個における場合を含む;図6Aおよび図6B)、一方、2つの他のドナーでは2倍のみの効果を有するだけであった。
再分化した細胞からのインスリン分泌はグルコース応答性であり、0mMのグルコースと16mMのグルコースとの間で3倍の増大を示した。しかしながら、基底レベルは、正常な島と比較して高かった(図8)。30分の期間中に16mMのグルコースで分泌されたインスリン含有量の割合は0.7%であった。これは正常なヒト島の割合と類似している。16mMのグルコースに対する応答におけるこれらの細胞からのC−ペプチド分泌は82±21ng/10細胞/30分であった。
BTCの連続した存在に対する再分化させた表現型の依存性を、BTCを有さない通常の成長培地に細胞を切り換えることによって評価した。この結果は、7日間の培養の後でのインスリン含有量の38%の減少であった。
(実施例3)
NGN3の発現によるPHID細胞における分化の回復
材料および方法
NGN3の誘導可能な発現:tet−Ngn3プラスミドを、図9Aに示されるように、Ngn3のcDNAを、最小プロモーター配列およびtet−オペレーター配列(tet−op)の制御下で、かつ、IRES(内部リボソーム進入部位)エレメント、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo)およびウッドチャック肝炎ウイルス転写後修飾エレメント(WHV)の上流側に設置することによって作製した。図9Bに示されるtet−onトランス活性化因子プラスミドPcDNA6/TR(Invitrogen)を、拡大培地における継代数4での脱分化したPHID細胞に、Fugene6リポソーム試薬(Roche)を使用してtet−Ngn3プラスミドとともに同時トランスフェクションした。ブラスチシジン選抜を2μg/mlで4日間行った。NGN3発現の誘導を4μg/mlのドキシサイクリンにおけるインキュベーションによって行った。
結果
このプロトコルを使用するtet−Ngn3プラスミドおよびPcDNA6/TRプラスミドのトランスフェクション効率は約20%であった。ブラスチシジン選抜後、細胞を、NGN3の発現を誘導するために、±ドキシサイクリン(dox)とともにインキュベーションした。図9Cにおいて認められるように、doxの非存在下では、Ngn3のmRNAのレベルはかろうじて検出可能であった。doxによる誘導はNgn3発現における大きな増大をもたらした。誘導可能なNgn3発現は、インスリンのmRNAおよびタンパク質の再発現(図9D)、ならびに、グルコース検知に関与するβ細胞遺伝子(GLUT2、グルコキナーゼ)、転写因子Nkx2.2およびβ細胞島アミロイドポリペプチド(IAPP)の再発現をもたらした。
結論
これらのデータは、成体ヒト島細胞の著しい増殖を誘導可能な特異的な組織培養条件、ならびに、拡大された細胞の再分化を誘導可能な特異的な組織培養条件を提供している。BTCに対するドナー間の変動性は、BTCにより、PHID細胞を移植に適するために、十分なインスリン含有量を回復させることができる、PHID細胞の供給源を見出すための数多くのドナーのスクリーニングを必要とする。免疫拒絶を防止するための適切な手段と組み合わせられた場合、これらの方法は、多数の被移植者への移植のための、1体のみの死体ドナーに由来する機能的な島細胞の拡大を可能にする。
明確にするために別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることが理解されるだろう。逆に、簡潔にするために単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許出願は全て、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
「拡大培地」における最初の2週間の期間中の示された日数にわたってインキュベーションされている細胞の共焦点蛍光顕微鏡画像である。 培養で1週間後における増殖中のヒト島由来(PHID)細胞の光学顕微鏡画像(図2A)および蛍光顕微鏡画像(図2B)である。 培養での示された継代数の後におけるRT−PCR分析によって明らかにされたときのPHID細胞の脱分化を示す写真である。 培養での5回の継代の後(図4A〜図4C)および7回の継代の後(図4D〜図4F)におけるPHID細胞の免疫染色を示す共焦点蛍光顕微鏡画像である。 培養されたマウスMIP−GFP島におけるGFP蛍光の減少を例示する光学顕微鏡画像(図5A、図5Cおよび図5E)および蛍光顕微鏡画像(図5B、図5Dおよび図5F)である。 PHID細胞の再分化に対するベータセルリン(BTC)の影響を例示する写真および棒グラフである。 PHID細胞におけるインスリン発現に対するBTCの影響を示す蛍光顕微鏡画像である。 継代数5でのPHID細胞におけるグルコース誘導によるインスリン分泌に対するBTCの影響を例示する棒グラフである。 PHID細胞(継代数:5)の再分化に対するNgn3の影響を示す写真および構築物の例示である。
配列番号1〜40は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。

Claims (36)

  1. 島マーカーの連続した発現を示しながら、少なくとも16回の継代にわたってエクスビボ増殖可能であるエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団。
  2. 拡大され、かつ再分化した細胞のインスリン含有量がグルコース刺激後の総細胞タンパク質の少なくとも5%である、エクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団。
  3. 成体島β細胞を、CMRL−1066を含む培地においてインキュベーションし、それにより、成体島β細胞をエクスビボ拡大することを含む、成体島β細胞をエクスビボ拡大する方法。
  4. (a)成体島β細胞を、CMRL−1066を含む培地においてインキュベーションし、それにより、拡大された成体島β細胞を得ること、および、
    (b)前記拡大された成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与え、それにより、成体島β細胞を拡大し、かつ再分化させること
    を含む、成体島β細胞をエクスビボ拡大し、かつ再分化させる方法。
  5. 成体島β細胞におけるインスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることを含む、成体島β細胞におけるインスリン含有量をエクスビボ増大させる方法。
  6. 前記成体島β細胞はトリプシン処理される、請求項3、4および5のいずれかに記載の方法。
  7. 成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を提供することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  8. 請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団の治療効果的な量を対象に移植し、それにより、糖尿病を治療することを含む、対象において糖尿病を治療する方法。
  9. 請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団の、対象において糖尿病を治療するための使用。
  10. 前記島マーカーはβ細胞マーカーを含む、請求項1に記載のエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団。
  11. 前記β細胞マーカーはPC1/3およびPC2を含む、請求項10に記載のエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団。
  12. 前記島マーカーは、Isl−1、ソマトスタチンおよび膵臓ポリペプチドからなる群から選択される、請求項1に記載のエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団。
  13. 7日の複製速度によって特徴づけられる、請求項1に記載のエクスビボ拡大された成体島β細胞の集団。
  14. グルコース応答性である、請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団。
  15. 前記培地は血清を含む、請求項3または4に記載の方法。
  16. 前記血清はウシ胎児血清を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記培地はグルコースをさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
  18. 前記グルコースの濃度は5.6mMである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記培地は抗生物質を含む、請求項3または4に記載の方法。
  20. 前記成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与えることは、前記成体島β細胞において前記少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を発現させることを含む、請求項4または7に記載の方法。
  21. 前記成体島β細胞に少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を与えることは、前記成体島β細胞を、前記少なくとも1つのβ細胞分化促進剤を含む培地においてインキュベーションすることを含む、請求項4または7に記載の方法。
  22. 前記成体島β細胞に、インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることは、前記成体島β細胞においてベータセルリンを発現させることを含む、請求項5に記載の方法。
  23. 前記成体島β細胞に、インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンを与えることは、前記成体島β細胞を、ベータセルリンを含む培地においてインキュベーションすることを含む、請求項5に記載の方法。
  24. インスリン含有量を増大させるために十分な量のベータセルリンは、0.5nM〜8nMの間の範囲から選択される、請求項5に記載の方法。
  25. 前記培地はCMRL−1066である、請求項21または23に記載の方法。
  26. 前記培地はグルコースをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記培地は抗生物質をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  28. 医薬用作用因を発現するように遺伝子改変される、請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団。
  29. 前記医薬用作用因は免疫媒介拒絶を軽減する、請求項28に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団。
  30. 前記インスリン含有量は、正常な成体島β細胞におけるインスリン含有量と等しい、請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団。
  31. 前記少なくとも1つのβ細胞分化促進剤は転写因子である、請求項4または7に記載の方法。
  32. 前記転写因子は、NeuroD、Ngn3、Pax6、Pax4、Nkx2.2、Nkx6.1、Pdx−1およびIsl−1からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記転写因子はNgn3である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記少なくとも1つのβ細胞分化促進剤はベータセルリンである、請求項4に記載の方法。
  35. 医療用規格のCMRL−1066を含む、成体島β細胞を拡大するための培地。
  36. 請求項2に記載のエクスビボ拡大され、かつ再分化した成体島β細胞の集団を有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
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