JP2008303014A - エレベータの制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動動作時のかごへの衝撃を小さくすることができるとともに、かごの落下をより確実に阻止することができるエレベータの制動装置を得る。
【解決手段】かごに支持された支持枠11には、かごガイドレール1に対して傾斜された傾斜部18aが設けられている。かごガイドレール1と傾斜部18aとの間には、楔12が配置されている。楔12は、アクチュエータ13により、傾斜部18aに案内されながらかごガイドレール1に接離する方向へ変位される。支持枠11には、かご2の減速度を検出する加速度センサ14が設けられている。アクチュエータ13の制御は、加速度センサ14からの情報に基づいて、コントローラ16により行われる。楔12の楔角αは、かごガイドレール1と楔12との間の最大及び最小の摩擦係数μmax及びμminとの間にtanα=2μminμmax/(μmin+μmax)の関係がほぼ成立するように設定されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、かごの移動を制動するエレベータの制動装置に関するものである。
従来のエレベータには、かごの落下を阻止するために、かごのガイドレールと、かごに設けられた案内板との間に楔を噛み込ませることにより、かごに対して制動力を発生させる非常止め装置が設けられている。非常止め装置の動作によって生じるかごの減速度は、楔の噛み込み量が同じであっても、かご内の荷重の変化や、ガイドレールと楔との間の摩擦係数の変化によって変動する。従って、従来では、かごの落下をより確実に阻止するために、かご内の荷重が最大で、かつガイドレールと楔との間の摩擦係数が最小である場合(かごが最も止まりにくい場合)であってもかごが停止するように非常止め装置が構成されている。従って、かご内の荷重が小さい場合や、ガイドレールと楔との間の摩擦係数が大きい場合には、非常止め装置が動作したときのかごの減速度が大きくなりすぎて、かごへの衝撃が大きくなってしまう。
従来、かごへの衝撃を小さくするために、内部に液体が封入された圧力容器を楔に連結した非常止め装置が提案されている。圧力容器内の液体は、楔の変位に応じて加圧される。従って、楔の変位速度は、液体の減衰効果により上昇しにくくなる。これにより、ガイドレールと案内板との間に楔が急激に噛み込むことが抑制され、かごへの衝撃が小さくなる。加圧容器内の液体の種類は、かごの仕様(例えばかご自体の重量等)に応じて選択される(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、かごへの衝撃を小さくするために、カウンタシューとガイドレールとの間へのブレーキウェッジの噛み込み量をアバットメントにより制限する安全制動装置が提案されている。ブレーキウェッジの噛み込み量の制限は、ブレーキウェッジがアバットメントに当接されることにより行われる。アバットメントの位置は、かご内の荷重の大きさに応じて調整される。これにより、ブレーキウェッジの噛み込み量がかご内の荷重の大きさに応じて調整される。従って、例えば乗客の乗降等によりかご内の荷重の大きさが変動した場合であっても、安全制動装置が動作したときのかごの減速度を調整することができ、かごへの衝撃を小さくすることができる(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−2342号公報 特表2003−535791号公報
しかし、特許文献1に示された非常止め装置では、かご内の荷重の変化やガイドレールと楔との間の摩擦係数の変化と無関係に楔に対する減衰効果が発生するので、例えばかご内の荷重が大きくなった場合や、ガイドレールと楔との間の摩擦係数が小さくなった場合には、非常止め装置が動作してもかごが止まりにくくなるおそれがある。
また、特許文献2に示された安全制動装置では、ガイドレールとブレーキウェッジとの間の摩擦係数が変化しても、ブレーキウェッジの噛み込み量は変化しない。従って、例えばガイドレールとブレーキウェッジとの間の摩擦係数が小さくなった場合には、安全制動装置が動作してもかごが止まりにくくなるおそれがある。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、制動動作時のかごへの衝撃を小さくすることができるとともに、かごの落下をより確実に阻止することができるエレベータの制動装置を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの制動装置は、かごを案内するガイドレールに対して傾斜された傾斜部が設けられ、かごに設けられた支持枠、ガイドレールと傾斜部との間に配置され、傾斜部に案内されながらガイドレールに接離する方向へ変位可能な楔、傾斜部に案内される方向へ楔を変位させるアクチュエータ、かごの減速度を検出するための減速度検出器、及び減速度検出器からの情報に基づいて、アクチュエータを制御するコントローラを備え、楔には、ガイドレールに接触する楔接触面と、案内部に沿った楔傾斜面とが設けられており、楔接触面と楔傾斜面とがなす楔角αは、ガイドレールと楔との間でそれぞれ想定される最大の摩擦係数μmax及び最小の摩擦係数μminに対して、tanα=2μminμmax/(μmin+μmax)の関係がほぼ成立するように設定されている。
この発明に係るエレベータの制動装置では、楔を変位させるアクチュエータが減速度検出器からの情報に基づいてコントローラにより制御されるので、かごに発生する制動力を制動動作時に調整することができる。これにより、制動動作時のかごの減速度を調整することができ、かごの衝撃を小さくすることができる。また、かごの落下をより確実に阻止することもできる。さらに、楔の楔角αは、最小の摩擦係数μmin及び最大の摩擦係数μmaxに対してtanα=2μminμmax/(μmin+μmax)の関係が成立するように設定されているので、アクチュエータが楔を変位させるために必要な制御力を小さくすることができる。従って、アクチュエータが消費するエネルギ量を少なくすることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。図において、昇降路内には、一対のかごガイドレール1及び一対の釣合おもりガイドレール(図示せず)が設けられている。各かごガイドレール1間にはかご2が昇降可能に配置され、各釣合おもりガイドレール間には釣合おもり3が昇降可能に配置されている。
昇降路の上部には、かご2及び釣合おもり3を昇降させる巻上機(駆動装置)4と、巻上機4に対して間隔を置いて配置されたそらせ車5とが設けられている。巻上機4は、モータを含む巻上機本体6と、巻上機本体6により回転される駆動シーブ7とを有している。
そらせ車5及び駆動シーブ7には、主索8が巻き掛けられている。かご2及び釣合おもり3は、主索8により昇降路内に吊り下げられている。かご2及び釣合おもり3は、駆動シーブ7の回転により昇降路内を昇降される。
かご2の上部及び下部には、各かごガイドレール1に案内される複数のガイド装置9がそれぞれ設けられている。また、かご2の下部には、各かごガイドレール1に対向する一対の制動装置である非常止め装置10が設けられている。各非常止め装置10は、かご2の速度が所定の過速度に達したときに制動動作を行う。各非常止め装置10の制動動作により、かご2に対する制動力が発生する。
なお、この例では、かごガイドレール1に沿った方向をZ軸方向とし、かご2の奥行き方向(各かごガイドレール1を含む平面に対して垂直な方向)をY軸方向とし、かご2の幅方向(Z軸方向及びY軸方向のいずれにも垂直な方向)をX軸方向としている。
図2は、図1の非常止め装置10を示す構成図である。図において、非常止め装置10は、支持枠11と、支持枠11に対して変位可能な楔12と、楔12を変位させるアクチュエータ13と、かご2の減速度を検出するための加速度センサ(減速度検出器)14と、楔12の支持枠11に対する変位を検出するための変位センサ(変位検出器)15と、加速度センサ14及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、アクチュエータ13を制御するコントローラ16とを有している。
支持枠11は、かご2に支持されている。また、支持枠11は、かご2に対してY軸方向へ変位可能になっている。支持枠11には、かごガイドレール1を挟むように対向して配置された受け部材17及び案内部材18が設けられている。案内部材18には、かごガイドレール1に対して傾斜された傾斜部18aが設けられている。傾斜部18aとかごガイドレール1との間隔は、下方から上方に向かって連続的に狭くなっている。
受け部材17は、支持枠11のかご2に対するY軸方向への変位により、かごガイドレール1に接離する。支持枠11とかご2との間には、受け部材17がかごガイドレール1から開離された状態になるように支持枠11を保持する保持ばね25が設けられている。保持ばね25は、受け部材17がかごガイドレール1に接触する方向への支持枠11の変位に逆らう付勢力を発生する。
楔12は、かごガイドレール1と傾斜部18aとの間に配置されている。また、楔12は、案内部材18に保持されながら傾斜部18aに沿って変位可能になっている。さらに、楔12は、傾斜部18aに沿って変位されることにより、かごガイドレール1に接離される。即ち、楔12は、傾斜部18aに案内されながらかごガイドレール1に接離する方向へ変位可能になっている。
楔12には、かごガイドレール1に接触する楔接触面12aと、傾斜部18aに沿った楔傾斜面12bとが設けられている。また、楔12は、かごガイドレール1に接触しながらかごガイドレール1と案内部材18との間に挿入されることにより、かごガイドレール1と案内部材18との間を押し広げるようになっている。支持枠11は、かごガイドレール1と案内部材18との間が楔12で押し広げられることにより、保持ばね25の付勢力に逆らって、受け部材17がかごガイドレール1に接触する方向(図2の右方向)へ変位される。楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間を押し広げながら受け部材17がかごガイドレール1に接触することにより、かごガイドレール1は楔12及び受け部材17間で把持される。かごガイドレール1の把持により、かご2に対する制動力が発生する。かご2に対する制動力は、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間を押し広げる方向(噛み込む方向、即ち上方)へ変位されることにより増大し、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間から外れる方向(噛み込みが外れる方向、即ち下方)へ変位されることにより低減する。
アクチュエータ13は、支持枠11に設けられている。また、アクチュエータ13は、Z軸方向への制御力を発生可能になっている。アクチュエータ13は、制御力を楔12に与えることにより、傾斜部18aに案内される方向へ楔12を変位させる。即ち、楔12は、アクチュエータ13からZ軸方向への制御力を受けることにより、案内部材18に保持されながら傾斜部18aに沿って変位される。
加速度センサ14は、支持枠11に設けられている。また、加速度センサ14は、かご2のZ軸方向への減速度に応じた信号を減速度信号として発生する。
変位センサ15は、支持枠11に設けられている。また、変位センサ15は、楔12と支持枠11との間に配置されている。さらに、変位センサ15は、楔12の支持枠11に対するZ軸方向についての変位に応じた信号を相対変位信号として発生する。
加速度センサ14及び変位センサ15のそれぞれからの情報は、コントローラ16へ送られる。コントローラ16は、加速度センサ14からの情報(減速度信号)に基づいて、楔12をかご2の減速度に応じて変位させる制御をアクチュエータ13について行う。また、コントローラ16は、変位センサ15からの情報(変位信号)に基づいて、かごガイドレール1と案内部材18との間に楔12が急激に引き込まれることを防止するための制御、即ち楔12の変位を安定化させる制御をアクチュエータ13について行う。
支持枠11には、コントローラ16への給電を行うバッテリ26が停電時のバックアップとして設けられている。従って、コントローラ16は、停電時であっても、バッテリ26からの給電を受けることによりアクチュエータ13の制御が可能となる。
図3は、図2のコントローラ16の処理を説明するための機能ブロック図である。図において、コントローラ16は、第1減算器19、基準力算出器20、補償力算出器21及び第2減算器22を有している。エレベータ23では、かご2の減速度が加速度センサ14により検出されるとともに、楔12の支持枠11に対する変位が変位センサ15により検出される。これにより、減速度信号aが加速度センサ14から第1減算器19へ送られ、相対変位信号bが変位センサ15から補償力算出器21へ送られる。
第1減算器19は、加速度センサ14からの減速度信号aと、目標減速度信号rとの差を減速度偏差信号として求め、求めた減速度偏差信号を基準力算出器20へ送る。
基準力算出器20は、第1減算器19からの情報(減速度偏差信号)に基づいて、減速度偏差信号が小さくなる方向へ楔12を変位させる基準力を求め、求めた基準力の信号を第2減算器22へ送る。
補償力算出器21は、変位センサ15からの相対変位信号bに基づいて、楔12の変位を安定化するための補償力を求め、求めた補償力の信号を第2減算器22へ送る。
第2減算器22は、基準力算出器20からの基準力の信号と、補償力算出器21からの補償力の信号との差を制御力として求め、求めた制御力の信号をアクチュエータ13へ送る。アクチュエータ13は、第2減算器22からの情報(制御力の信号)に応じた制御力を発生することにより、エレベータ23における楔12を変位させる。
図4は、図3のコントローラ16の制御によるシミュレーション結果の一例を示すグラフであり、図4(a)はかご2の速度と時間との関係を示すグラフ、図4(b)はかご2の加速度と時間との関係を示すグラフである。この例では、かご2を自由落下させ、かご2の速度が1[m/s]に達したときに非常止め装置10の制動動作を開始する場合のシミュレーションを行っている。また、この例では、目標減速度を−2[m/s]としている。
図に示すように、かご2の速度Vは、非常止め装置10の制動動作により減速されることが分かる。また、かご2が減速されているときの減速度A(図4(b)の実線)は、目標減速度Aになった後、かご2が停止されるまで目標減速度A(図4(b)の破線)に維持されることが分かる。即ち、かご2の減速度が急激に大きくなることが防止されることが分かる。なお、かごガイドレール1と案内部材18との間に楔12を単に噛み込ませた場合には、かご2の減速度がこの実施の形態1の目標減速度に比べて数十倍にも達することが同様のシミュレーションにより確認されている。
次に、楔12の楔接触面12aと楔傾斜面12bとがなす楔角αの設定方法について説明する。図5は、図3の楔12がかごガイドレール1に接触しているときの楔12に加えられる力の釣り合いを示す模式図である。図において、Fは楔12がアクチュエータ13から受ける制御力、Fは楔12が案内部材18から受ける垂直抗力、Fは楔12がかごガイドレール1から受ける垂直抗力、Fはかごガイドレール1と楔12との間の摩擦力である。
このとき、Y軸方向についての力の釣り合いは式(1)により表され、Z軸方向についての力の釣り合いは式(2)により表される。
=Fcosα…(1)
+F=Fsinα…(2)
また、かごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数をμとすると、F=μFであるので、式(1)及び式(2)により、摩擦力Fと制御力Fとの比は式(3)で表される。
/F=μ/(tanα−μ)…(3)
従って、tanαと摩擦係数μとをほぼ等しくすることにより、制御力Fを小さくすることができるとともに、摩擦力Fを大きくすることができる。しかし、かごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数μは、一般に、かごガイドレール1が大気中に曝されることにより経時的に大きく変化する。このことから、エレベータの設置当初におけるかごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数μに基づいて楔角αを設定したとしても、摩擦係数μの経時的な変化によって、所望の摩擦力Fを発生させるために必要な制御力Fが大きく変化することとなる。
図6は、図5のかごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数μが最小の摩擦係数μminである場合、及び最大の摩擦係数μmaxである場合のそれぞれについて、必要な制御力Fと楔角αとの関係を示すグラフである。図において、線24は、摩擦係数μが想定される最小の摩擦係数μminになっているときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。また、線25は、摩擦係数μが想定される最大の摩擦係数μmaxであるときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。摩擦係数μが最小の摩擦係数μminになっているときの制御力Fは、線24により、tanα=μminであるときに0となる。摩擦係数μが最大の摩擦係数μmaxになっているときの制御力Fは、線25により、tanα=μmaxであるときに0となる。
楔角αは、摩擦係数μが最小の摩擦係数μmin及び最大の摩擦係数μmaxのそれぞれであるときの制御力Fの絶対値のうち、大きいほうの値に合わせて設定される。従って、最小の摩擦係数μminであるときの制御力Fの絶対値と、最大の摩擦係数μmaxであるときの制御力Fの絶対値とが同一となるように楔角αを設定することにより、必要な制御力Fの大きさを小さくすることができることが分かる。即ち、図6において、横軸(楔角αの軸)から線24及び線25のそれぞれへの距離が互いに同一になるときの楔角αの値Pが最適な楔角αとなることが分かる。
このことから、最適な楔角αであるときには、式(3)より、式(4)の関係が導出される。
(tanα−μmax)/μmax=−F(tanα−μmin)/μmin…(4)
式(4)を整理すると、式(5)となる。
α=arctan(2μmaxμmin/(μmax+μmin))…(5)
即ち、楔角αが式(5)の関係を満たすように設定されることにより、必要な制御力Fが小さくなる。従って、このようにすれば、アクチュエータ13の負担が小さくなり、アクチュエータ13で消費される電力量が小さくなる。
なお図6から分かるように、この楔角αの制御力Fに対する関係は式(5)が成立する点において急激に変化するわけではない。従って、式(5)の関係が厳密に成り立たなくても、例えば±10%程度の誤差があっても十分効果は得ることができる。従って、楔角αに対して過度な加工精度が要求されることはない。
なお、式(3)及び式(5)は図5に示すような静的な釣り合いの関係から導出された式であるが、動的にも、上記の式により求めた値とほぼ近い値が制御力になることがシミュレーションにより確認されている。また、制御力により楔12を変位させてかごガイドレール1と案内部材18との間に噛み込ませる方式によれば、かごガイドレール1にブレーキパッドを制御力で押し付ける方式と比較して、必要な制御力の大きさが数十分の一でよいことが確認されている。
次に、動作について説明する。かご2が下降しているときに何らかの原因でかご2の速度が異常になると、コントローラ16の制御によりアクチュエータ13の制御力が発生する。これにより、楔12は、傾斜部18aに案内されながら上方へ変位され、かごガイドレール1に接触する。かご2が下降しているので、楔12がかごガイドレール1に接触すると、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間にさらに引き込まれる。これにより、支持枠11がかご2に対して水平に変位され、受け部材17がかごガイドレール1に接触する。これにより、かごガイドレール1が把持され、かご2が減速される。
このとき、アクチュエータ13が発生する制御力の大きさは、加速度センサ14及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、コントローラ16により制御される。これにより、楔12がかご2の減速度に応じて変位されるとともに、かごガイドレール1と案内部材18との間への楔12の急激な引き込みが防止される。これにより、かご2は、所定の減速度で減速されて停止される。
このようなエレベータの非常止め装置10では、楔12を変位させるアクチュエータ13が加速度センサ14からの情報に基づいてコントローラ16により制御されるので、かご2に発生する制動力を制動動作時に調整することができる。これにより、制動動作時のかご2の減速度を調整することができ、かご2の衝撃を小さくすることができる。また、かご2の落下をより確実に阻止することもできる。さらに、楔12の楔角αは、最小の摩擦係数μmin及び最大の摩擦係数μmaxとの間に上記の式(5)の関係が成立するように設定されているので、アクチュエータ13が楔12を変位させるために必要な制御力を小さくすることができる。従って、アクチュエータ13が消費する電力量(エネルギ量)を少なくすることができる。
また、コントローラ16は、加速度センサ14からの情報とともに、変位センサ15からの情報に基づいて、アクチュエータ13を制御するので、非常止め装置10の制動動作時に楔12の微小な変位を調整することができ、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間に引き込まれることを防止することができる。これにより、かご2への急激な制動力の発生を防止することができ、かご2の衝撃を小さくすることができる。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2によるエレベータの非常止め装置を示す構成図である。図において、楔12と支持枠11との間には、楔12がかごガイドレール1に接触する方向へ楔12を付勢する押圧ばね(付勢体)31が設けられている。押圧ばね31は、支持枠11に対して水平方向へ楔12を付勢する。
アクチュエータ13は、コントローラ16からの給電を受けることにより、押圧ばね31の付勢力に逆らう制御力を発生する。また、アクチュエータ13の制御力の発生は、アクチュエータ13への給電が停止されることにより停止する。
楔12は、アクチュエータ13の制御力の調整により、傾斜部18aに案内されながら、かごガイドレール1に接触する方向及びかごガイドレール1から離れる方向のいずれかへ選択的に変位可能になっている。アクチュエータ13が発生する制御力の大きさは、加速度センサ14及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、コントローラ16により制御される。
通常時には、アクチュエータ13への給電が行われることにより、楔12がかごガイドレール1から開離されている。かご2が下降しているときにかご2の速度の異常が発生すると、コントローラ16の制御により、アクチュエータ13の制御力が低下する。アクチュエータ13の制御力が低下すると、楔12は押圧ばね31の付勢力により傾斜部18aに案内されながら変位され、楔12がかごガイドレール1に接触する。この後、かご2の下方への移動により、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間を押し広げ、受け部材17がかごガイドレール1に接触する。このとき、アクチュエータ13の制御力がコントローラ16の制御により調整され、かごガイドレール1と案内部材18との間への楔12の急激な引き込みが防止される。この後、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間に噛み込むことにより、かごガイドレール1が楔12と受け部材17との間で把持される。これにより、かご2に制動力が発生する。
また、停電が発生したときには、アクチュエータ13の制御力の発生が停止する。これにより、楔12が押圧ばね31の付勢力により変位されてかごガイドレール1に接触し、かご2の下方への移動により、楔12がかごガイドレール1と案内部材18との間に引き込まれる。このとき、アクチュエータ13の制御力が調整されることはない。この後、受け部材17がかごガイドレール1に接触し、かごガイドレール1が楔12と受け部材17との間で把持される。これにより、かご2に制動力が発生する。
図8は、図7の楔12がかごガイドレール1に接触しているときの楔12に加えられる力の釣り合いを示す模式図である。図において、楔12は、アクチュエータ13からの制御力F、案内部材18からの垂直抗力F、かごガイドレール1からの垂直抗力F、かごガイドレール1からの摩擦力Fに加えて、押圧ばね31からの付勢力Fを受けている。このとき、Y軸方向についての力の釣り合いは式(6)により表される。なお、Z軸方向についての力の釣り合いは式(2)と同様である。
=F+Fcosα…(6)
停電時には、アクチュエータ13の制御力Fが0となるので、停電時の付勢力Fと摩擦力Fとの関係は、F=μF、式(6)及び式(2)により、式(7)で表される。
=F(1/μ−1/tanα)…(7)
ここで、非常止め装置の制動動作によりかご2に発生する制動力は、想定される全ての摩擦係数μに対して、かご2を最低限の減速度(所定の減速度)で減速させて停止させる目標最小減速力Fbmin以上の大きさを有している必要がある。このためには、付勢力Fは、目標最小減速力Fbminとの間で、式(8)の関係を満たす必要がある。なお、目標最小減速力Fbminは、かご2内の最大荷重や目標最小減速度等により決まる。
≧Fbmin(1/μmin−1/tanα)…(8)
一般に付勢力Fが大きすぎると、かご2内の荷重が軽い場合や、かごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数μが大きい場合には、かご2に大きな減速度が発生するので、付勢力Fは、おおよそ式(9)を満たすようにするのが望ましい。
=Fbmin(1/μmin−1/tanα)…(9)
従って、tanα≒μminとなるように楔角αを設定することにより、付勢力Fを小さくすることができることが分かる。なお、付勢力Fは、楔12をかごガイドレール1に押圧する方向へ発生することが必要であるので、正の値である。
また、非常止め装置では、通常時に、かごガイドレール1から開離された状態(開放状態)に楔12を保持させておく必要がある。即ち、通常時には、アクチュエータ13の制御力Fにより、押圧ばね31の付勢力Fに逆らって、楔12をかごガイドレール1から開離させておく必要がある。通常運転時には常に開放状態とする必要があるので、開放状態に保持するための制御力Fは可能な限り小さいのが望ましい。
開放状態に保持するために必要な制御力Fmopenは、押圧ばね31のばね剛性をK、開放状態での楔12とかごガイドレール1との間のY軸方向についてのギャップをyとすると、式(10)で表される。
mopen=−(F+2Ky)tanα…(10)
ここで、押圧ばね31の付勢力Fは、楔12がかごガイドレール1に接触しているときの押圧ばね31の縮み量をdとすると、F=Kdで表される。従って、制御力Fmopenは、F=Kd、式(9)及び式(10)より、式(11)で表される。
mopen=−Fbmin(tanα/μmin−1)(1+2y/d)…(11)
このように、開放状態の保持力を小さくする観点からも、tanα≒μminとなるように楔角αを設定するのがよい。
次に、かご2が減速しているときの制御力Fの制御について説明する。摩擦力Fと制御力Fとの関係は、F=μF、式(2)、式(6)より、式(12)で表される。
=(tanα−μ)F/μ−Ftanα…(12)
図9は、図8のかごガイドレール1と楔12との間の摩擦係数μが最小の摩擦係数μminになっているとき、最大の摩擦係数μmaxになっているとき、楔12が開放状態に保持されるときのそれぞれにおける制御力Fと楔角αとの関係をまとめて示すグラフである。図において、破線32は、摩擦係数μが最小の摩擦係数μminになっているときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。即ち、破線32は、式(9)を式(12)に代入するとともに摩擦係数μを最小の摩擦係数μminとしたときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。また、破線33は、摩擦係数μが最大の摩擦係数μmaxになっているときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。即ち、破線33は、式(9)を式(12)に代入するとともに摩擦係数μを最大の摩擦係数μmaxとしたときの制御力Fと楔角αとの関係を示す線である。なお、破線32及び破線33のそれぞれがtanα≒μminの関係を満たす点で折れ線となっているのは、付勢力Fが正の値でなければならないという条件によるものである。
一点鎖線34は、開放状態に保持するために必要な制御力Fmopenと楔角αとの関係を示す線である。即ち、一点鎖線34は、式(11)による制御力Fmopenと楔角αとの関係を示す線である。
破線32、破線33及び一点鎖線34の比較により、アクチュエータ13に必要な制御力Fと楔角αとの関係は、実線35として導かれる。実線35では、アクチュエータ13の制御力Fの絶対値は、tanα=μminの関係を満たす点で最小になっている。従って、アクチュエータ13の制御力Fが最小となる最適な楔角αは、式(13)で表される。
α=arctan(μmin)…(13)
また図9から分かるように、この楔角αの制御力Fに対する関係は式(13)が成立する点において急激に変化するわけではない。従って、式(13)の関係が厳密に成り立たなくても、例えば±10%程度の誤差があっても十分効果は得ることができる点は実施例1の場合と同様である。従って、楔角αに対して過度な加工精度が要求されることはない。
この例では、楔角αがtanα=μminの関係を満たすように設定されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このようなエレベータの非常止め装置では、かごガイドレール1に接触する方向へ楔12が押圧ばね31により付勢されているので、停電等によりコントローラ16やアクチュエータ13への給電が停止した場合であっても、押圧ばね31の付勢力により、かご2に制動力を発生させることができる。従って、かご2の落下をさらに確実に阻止することができる。
また、アクチュエータ13の制御力の大きさの制御は、加速度センサ14からの情報に基づいてコントローラ16により行われるので、非常止め装置の制動動作時にかご2を所定の減速度で減速させることができる。従って、制動動作によって発生するかご2の衝撃を小さくすることができる。
また、楔12の楔角αは、想定される最小の摩擦係数μminに対してtanα=μminの関係が成立するように設定されているので、かご2の減速度を調整するときや楔12を開放状態に保持するときに必要なアクチュエータ13の制御力Fを小さくすることができる。従って、アクチュエータ13が消費する電力量(エネルギ量)を少なくすることができる。特に、非常止め装置では異常時以外は常に開放状態に保持されるので、開放状態に保持するときの電力量を少なくすることにより、エレベータで消費される電力量を大幅に低減させることができる。なお、この例においても、かご2が所定の減速度(目標減速度)で減速されることが実施の形態1と同様のシミュレーションにより確認されている。
なお、上記実施の形態1及び2では、楔12がかご2の下降によりかごガイドレール1と案内部材18との間に引き込まれる非常止め装置(下降用の非常止め装置)がかご2に設けられているが、非常止め装置を上下逆にして、楔12がかご2の上昇によりかごガイドレール1と案内部材18との間に引き込まれる非常止め装置(上昇用の非常止め装置)をかご2に設けてもよい。
また、上記実施の形態1及び2では、楔12の上部にのみ楔角αが形成されているが、楔の上部及び下部のそれぞれに楔角αを形成してもよい。この場合、楔が上下のいずれの方向へ変位されても楔がかごガイドレール1と案内部材との間に引き込まれるように構成される。このようにすれば、かご2が下降する場合及びかご2が上昇する場合のいずれの場合に対しても、非常止め装置の制動動作により制動力を発生することができるとともに、非常止め装置の小形化を図ることができる。
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3によるエレベータの制動装置を示す構成図である。図において、制動装置41は、巻上機4に設けられている。また、制動装置41は、駆動シーブ7と一体に回転されるブレーキディスク(回転体)42と、巻上機本体6に支持され、ブレーキディスク42を囲む支持枠43と、支持枠43に対して変位可能な楔12と、楔12を変位させるアクチュエータ13と、ブレーキディスク42の回転の減速度を検出するためのエンコーダ(減速度検出器)44と、楔12の支持枠43に対する変位を検出するための変位センサ(変位検出器)15と、エンコーダ44及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、アクチュエータ13を制御するコントローラ16とを有している。楔12、アクチュエータ13、変位センサ15及びコントローラ16の構成は実施の形態1と同様である。
ブレーキディスク42は、駆動シーブ7と巻上機本体6との間に配置されている。ブレーキディスク42は、駆動シーブ7の回転軸に垂直に固定された円板である。即ち、ブレーキディスク42は、かご2の移動に応じて回転される回転体である。
支持枠43は、駆動シーブ7の回転軸に沿った方向へ巻上機本体6に対して変位可能になっている。支持枠43には、ブレーキディスク42を挟んで対向する受け部材17及び案内部材18が設けられている。案内部材18には、ブレーキディスク42に対して傾斜された傾斜部18aが設けられている。傾斜部18aとブレーキディスク42との間隔は、かご2が下降するときのブレーキディスク42の回転方向(図10の矢印の方向)に向かって連続的に狭くなっている。
受け部材17は、支持枠43の巻上機本体6に対する変位により、ブレーキディスク42に接離する。支持枠43と巻上機本体6との間には、受け部材17がブレーキディスク42から開離された状態になるように支持枠43を保持する保持ばね45が設けられている。保持ばね45は、受け部材17がブレーキディスク42に接触する方向への支持枠43の変位に逆らう付勢力を発生する。
エンコーダ44は、駆動シーブ7に設けられている。また、エンコーダ44は、駆動シーブ7及びブレーキディスク42の回転に応じた信号を発生する。ブレーキディスク42の回転の減速度の算出は、エンコーダ44からの情報に基づいて、コントローラ16により行われる。また、コントローラ16への給電は、巻上機本体6に設けられたバッテリ26により行われる。他の構成は実施の形態1と同様である。
次に、動作について説明する。かご2が下降しているときにかご2の速度の異常が発生すると、コントローラ16の制御によりアクチュエータ13の制御力が楔12に与えられる。これにより、楔12は、傾斜部18aに案内されながらブレーキディスク42の回転方向(図10の矢印の方向)へ変位され、ブレーキディスク42に接触する。かご2が下降する方向へブレーキディスク42が回転しているので、楔12がブレーキディスク42に接触すると、楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間に引き込まれる。これにより、ブレーキディスク42と案内部材18との間が楔12により押し広げられ、支持枠43が駆動シーブ7の回転軸に沿った方向へ変位される。これにより、受け部材17がブレーキディスク42に接触し、ブレーキディスク42が受け部材17と楔12との間で把持される。これにより、かご2に制動力が発生し、かご2が減速される。
このとき、アクチュエータ13が発生する制御力の大きさは、エンコーダ44及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、コントローラ16により制御される。これにより、楔12がブレーキディスク42の回転の減速度に応じて変位され、ブレーキディスク42と案内部材18との間への楔12の急激な引き込みが防止される。これにより、かご2は、所定の減速度で減速され、停止される。
このようなエレベータの制動装置41では、駆動シーブ7と一体に回転されるブレーキディスク42に対して楔12を接触させることにより、かご2に制動力を発生させるようになっているので、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、ブレーキディスク42と楔12との間の摩擦係数の管理を容易にすることができる。これにより、摩擦係数のばらつきを小さくすることができ、アクチュエータ13が消費する電力量をさらに少なくすることができる。
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4によるエレベータの制動装置を示す構成図である。図において、楔12と支持枠43との間には、楔12がかごガイドレール1に接触する方向へ楔12を付勢する押圧ばね(付勢体)51が設けられている。押圧ばね51は、駆動シーブ7の回転軸に沿った方向へ楔12を付勢する。
アクチュエータ13は、コントローラ16からの給電を受けることにより、押圧ばね51の付勢力に逆らう制御力を発生する。また、アクチュエータ13の制御力の発生は、アクチュエータ13への給電が停止されることにより停止する。
楔12は、アクチュエータ13の制御力の調整により、傾斜部18aに案内されながら、ブレーキディスク42に接触する方向及びブレーキディスク42から離れる方向のいずれかへ選択的に変位可能になっている。アクチュエータ13が発生する制御力の大きさは、加速度センサ14及び変位センサ15のそれぞれからの情報に基づいて、コントローラ16により制御される。
通常時には、アクチュエータ13への給電が行われ、楔12がブレーキディスク42から開離されている。かご2の下降しているときにかご2の速度の異常が発生すると、コントローラ16の制御により、アクチュエータ13の制御力が低下する。アクチュエータ13の制御力が低下すると、楔12は押圧ばね51の付勢力により傾斜部18aに案内されながら変位され、楔12がブレーキディスク42に接触する。この後、かご2が下降する方向へのブレーキディスク42の回転により、楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間を押し広げ、受け部材17がブレーキディスク42に接触する。このとき、アクチュエータ13の制御力がコントローラ16の制御により調整され、ブレーキディスク42と案内部材18との間への楔12の急激な引き込みが防止される。この後、楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間に噛み込むことにより、ブレーキディスク42が楔12と受け部材17との間で把持される。これにより、かご2に制動力が発生する。
また、停電が発生したときには、アクチュエータ13の制御力の発生が停止する。これにより、楔12が押圧ばね51の付勢力により変位されてブレーキディスク42に接触し、かご2が下降する方向へのブレーキディスク42の回転により、楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間に引き込まれる。このとき、アクチュエータ13の制御力が調整されることはない。この後、受け部材17がブレーキディスク42に接触し、ブレーキディスク42が楔12と受け部材17との間で把持される。これにより、かご2に制動力が発生する。なお、楔角αの設定方法は実施の形態2と同様である。また、他の構成は実施の形態3と同様である。
このようなエレベータの制動装置では、ブレーキディスク42に接触する方向へ楔12が押圧ばね51により付勢されているので、実施の形態3と同様の効果を得ることができるとともに、停電等によりコントローラ16やアクチュエータ13への給電が停止した場合であっても、押圧ばね51の付勢力により、かご2に制動力を発生させることができる。従って、かご2の落下をさらに確実に阻止することができる。
なお、上記実施の形態3及び4では、かご2が下降する方向へのブレーキディスク42の回転により楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間に引き込まれる制動装置41(下降用の制動装置)が巻上機4に設けられているが、楔12が引き込まれる方向を逆にして、かご2が上昇する方向へのブレーキディスク42の回転により楔12がブレーキディスク42と案内部材18との間に引き込まれる制動装置(上昇用の制動装置)を巻上機4に設けてもよい。
また、上記実施の形態3及び4では、楔12の一端部にのみ楔角αが形成されているが、楔の一端部及び他端部のそれぞれに楔角αを形成してもよい。この場合、かご2の上昇及び下降のいずれの方向へブレーキディスク42が回転されても、楔がブレーキディスク42と案内部材との間に引き込まれるように構成される。このようにすれば、かご2が下降する場合及びかご2が上昇する場合のいずれの場合に対しても、制動装置の制動動作により制動力を発生することができるとともに、制動装置の小形化を図ることができる。
また、上記実施の形態3及び4では、ブレーキディスク42の回転がエンコーダ44によって検出されるようになっているが、これに限定されず、例えばレゾルバ等によってブレーキディスク42の回転を検出するようにしてもよい。
また、各上記実施の形態では、加速度センサ14によってかご2の減速度が検出されるが、速度センサや変位センサによって検出されたかご2の速度やかご2の変位を微分することにより、かご2の減速度を検出するようにしてもよい。
この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。 図1の非常止め装置を示す構成図である。 図2のコントローラの処理を説明するための機能ブロック図である。 図3のコントローラの制御によるシミュレーション結果の一例を示すグラフである。 図3の楔がかごガイドレールに接触しているときの楔に加えられる力の釣り合いを示す模式図である。 図5のかごガイドレールと楔との間の摩擦係数が最小の摩擦係数である場合、及び最大の摩擦係数である場合のそれぞれについて、必要な制御力と楔角との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態2によるエレベータの非常止め装置を示す構成図である。 図7の楔がかごガイドレールに接触しているときの楔に加えられる力の釣り合いを示す模式図である。 図8のかごガイドレールと楔との間の摩擦係数が最小の摩擦係数になっているとき、最大の摩擦係数になっているとき、楔が開放状態に保持されるときのそれぞれにおける制御力と楔角との関係をまとめて示すグラフである。 この発明の実施の形態3によるエレベータの制動装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるエレベータの制動装置を示す構成図である。
符号の説明
1 かごガイドレール、2 かご、11,43 支持枠、12 楔、13 アクチュエータ、14 加速度センサ(減速度検出器)、15 変位センサ(変位検出器)、16 コントローラ、18 案内部材、18a 傾斜部、31,51 押圧ばね(付勢体)、42 ブレーキディスク(回転体)、44 エンコーダ(減速度検出器)。

Claims (5)

  1. かごを案内するガイドレールに対して傾斜された傾斜部が設けられ、上記かごに設けられた支持枠、
    上記ガイドレールと上記傾斜部との間に配置され、上記傾斜部に案内されながら上記ガイドレールに接離する方向へ変位可能な楔、
    上記傾斜部に案内される方向へ上記楔を変位させるアクチュエータ、
    上記かごの減速度を検出するための減速度検出器、及び
    上記減速度検出器からの情報に基づいて、上記アクチュエータを制御するコントローラ
    を備え、
    上記楔には、上記ガイドレールに接触する楔接触面と、上記案内部に沿った楔傾斜面とが設けられており、
    上記楔接触面と上記楔傾斜面とがなす楔角αは、上記ガイドレールと上記楔との間でそれぞれ想定される最大の摩擦係数μmax及び最小の摩擦係数μminに対して、
    tanα=2μminμmax/(μmin+μmax
    の関係がほぼ成立するように設定されていることを特徴とするエレベータの制動装置。
  2. かごを案内するガイドレールに対して傾斜された傾斜部が設けられ、上記かごに設けられた支持枠、
    上記ガイドレールと上記傾斜部との間に配置され、上記傾斜部に案内されながら上記ガイドレールに接離する方向へ変位可能な楔、
    上記楔が上記ガイドレールに接触する方向へ上記楔を付勢する付勢体、
    上記付勢体の付勢力に逆らう制御力を発生可能なアクチュエータ、
    上記かごの減速度を検出するための減速度検出器、及び
    上記減速度検出器からの情報に基づいて、上記アクチュエータの上記制御力を制御するコントローラ
    を備え、
    上記楔には、上記ガイドレールに接触する楔接触面と、上記傾斜部に沿った楔傾斜面とが設けられており、
    上記楔接触面と上記楔傾斜面とがなす楔角αは、上記ガイドレールと上記楔との間で想定される最小の摩擦係数μminに対して、
    tanα=μmin
    の関係がほぼ成立するように設定されていることを特徴とするエレベータの制動装置。
  3. かごの移動に応じて回転される回転体、
    上記回転体に対して傾斜された傾斜部が設けられた支持枠、
    上記回転体と上記傾斜部との間に配置され、上記傾斜部に案内されながら上記回転体に接離する方向へ変位可能な楔、
    上記傾斜部に案内される方向へ上記楔を変位させるアクチュエータ、
    上記回転体の回転の減速度を検出するための減速度検出器、及び
    上記減速度検出器からの情報に基づいて、上記アクチュエータを制御するコントローラ
    を備え、
    上記楔には、上記回転体に接触する楔接触面と、上記傾斜部に沿った楔傾斜面とが設けられており、
    上記楔接触面と上記楔傾斜面とがなす楔角αは、上記回転体と上記楔との間でそれぞれ想定される最大の摩擦係数μmax及び最小の摩擦係数μminに対して、
    tanα=2μminμmax/(μmin+μmax
    の関係がほぼ成立するように設定されていることを特徴とするエレベータの制動装置。
  4. かごの移動に応じて回転される回転体、
    上記回転体に対して傾斜された傾斜部が設けられた支持枠、
    上記回転体と上記傾斜部との間に配置され、上記傾斜部に案内されながら上記回転体に接離する方向へ変位可能な楔、
    上記楔が上記ガイドレールに接触する方向へ上記楔を付勢する付勢体、
    上記付勢体の付勢力に逆らう制御力を発生可能なアクチュエータ、
    上記回転体の回転の減速度を検出するための減速度検出器、及び
    上記減速度検出器からの情報に基づいて、上記アクチュエータの上記制御力を制御するコントローラ
    を備え、
    上記楔には、上記回転体に接触する楔接触面と、上記傾斜部に沿った楔傾斜面とが設けられており、
    上記楔接触面と上記楔傾斜面とがなす楔角αは、上記回転体と上記楔との間で想定される最小の摩擦係数μminに対して、
    tanα=μmin
    の関係がほぼ成立するように設定されていることを特徴とするエレベータの制動装置。
  5. 上記楔の上記支持枠に対する変位を検出するための変位検出器をさらに備え、
    上記コントローラは、上記減速度検出器のからの情報とともに、上記変位検出器からの情報に基づいて、上記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のエレベータの制動装置。
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