JP2008296833A - 車体前部骨格構造 - Google Patents

Abstract

【課題】車体前方からの衝撃荷重の吸収特性を確保しつつ、車両走行時でのサスペンションからの突き上げ荷重に対抗できるような車体前部骨格構造とする。
【解決手段】車体前部の車幅方向両側部に位置するフードリッジ３の車幅方向内側に、フロントサスペンションによる下方からの突き上げ荷重を受けつつ支持するストラットタワー１１が配置されている。フードリッジ３はフードリッジアウタ１３とフードリッジインナ１４とを備えて閉断面構造とし、フードリッジアウタ１３の上面にはフードリッジエクステンション１５を設ける。ストラットタワー１１に近接する位置のフードリッジアウタ１３の下面に凹部１３ｃを設ける。
【選択図】図１

Description

本発明は、車体前部の車幅方向側部に側部構成部材となるフードリッジを設けるとともに、このフードリッジの車幅方向内側にサスペンションによる下方からの突き上げ荷重を受けつつサスペンションを支持するサスペンション支持部を設けた車体前部骨格構造に関する。

従来の車体前部骨格構造として、例えば下記特許文献１には、車幅方向側部の側部構成部材となるフロントサイドメンバ（エプロン）に、Ｙ字を横に寝かせた形状の補強部材を設けたものが記載されている。また、上記したフロントサイドメンバの車幅方向内側にはフロントサスペンション受け部が設けられている。

上記した補強部材は、車体前方からの衝撃荷重を前端部にて受けたときに、後方の上下に向けて二股状に分岐した一対の分岐部によって、上部のフロントピラーおよび下部サイドシルへ荷重を伝達するようにしている。
特開平４−３４９０７７号公報

しかしながら、上記した従来の車体前部骨格構造では、後方に向けて二股状に分岐した補強部材を設けることで、車体前方からの衝撃荷重を後方の上下二方に分散して伝達するようにしているが、車両走行時でのフロントサスペンションから突き上げ荷重については考慮しておらず、この突き上げ荷重に対抗する部材を別途設けた場合には、前方から衝撃荷重に対する吸収特性が悪化することとなる。

そこで、本発明は、車体前方からの衝撃荷重の吸収特性を確保しつつ、車両走行時でのサスペンションからの突き上げ荷重に対抗できるような車体前部骨格構造とすることを目的としている。

本発明は、車体前部の車幅方向側部に側部構成部材となるフードリッジを設けるとともに、このフードリッジの車幅方向内側にサスペンション支持部を設けた車体前部骨格構造であって、前記サスペンション支持部に近接する位置の前記フードリッジの下面に凹部を設けたことを最も主要な特徴とする。

本発明によれば、サスペンションによる突き上げ荷重は、サスペンション支持部からフードリッジに伝達され、このときサスペンション支持部に近接する位置のフードリッジの下面には凹部を設けているので、荷重伝達される部位の下面が平坦な場合に比較して、突き上げ荷重に対する歪を小さく抑えることができ、強度確保に寄与することができる。また、前方からの衝撃荷重に対しては、フードリッジは凹部付近を基点として前端部が下方に屈曲して衝撃を吸収することができ、上記した突き上げ荷重に対抗するための部材を別途設ける必要がない。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。

図１は、本発明の一実施形態に係わる車体前部骨格構造を示す斜視図である。なお、図中で矢印ＦＲ方向が車体前方、同ＵＰ方向が車体上方、同ＬＨ方向が車体左方向をそれぞれ示す。

車幅方向両端の下部には、車体前後方向に延びるサイドメンバ１を設け、サイドメンバ１の車体前方の上部に車体の側部構成部材となるフードリッジ３を設けている。フードリッジ３の車体後方側にはダッシュサイド５を立設してあり、ダッシュサイド５の上端にはフロントピラー７が連続している。左右のダッシュサイド５相互間にはダッシュパネル８を設けて車体後方の車室と該車室よりも車体前方側の領域とを隔てている。また、ダッシュパネル８の下端前部には、左右のサイドメンバ１相互を連結するクロスメンバ９を設けている。

上記したフードリッジ３の車幅方向内側には、サスペンション支持部としてのストラットタワー１１を設けてあり、ストラットタワー１１の下部は前記したサイドメンバ１に連結している。

また、フードリッジ３は、車体外側に位置するフードリッジアウタ１３と車体内側に位置するフードリッジインナ１４とを備えて閉断面構造としてあり、車体前部側が、上記したフロントピラー７の傾斜に連続するように傾斜する傾斜面３ａを備えている。

フードリッジアウタ１３は、図１のＹ−Ｙ断面図である図２に示すように、上記の傾斜面３ａに対応する上面部１３ａと、上面部１３ａの下方に位置する下面部１３ｂと、上面部１３ａおよび下面部１３ｂのそれぞれの車幅方向外側端部相互を上下方向に接続する外側面部１３ｊと、下面部１３ｂの内側端部から下方に延びる下部外側接合フランジ１３ｋとをそれぞれ備えている。

一方フードリッジインナ１４は、フードリッジアウタ１３の外側面部１３ｊに対向する内側面部１４ａと、内側面部１４ａの上端から外側に屈曲してフードリッジアウタ１３の上面部１３ａの下側に接合される上部接合フランジ部１４ｂと、内側面部１４ａの下端から外側に屈曲するストラット受け面１４ｃと、ストラット受け面１４ｃの外側端部から下方に延びて前記した下部外側接合フランジ１３ｋに接合する下部内側接合フランジ１４ｄとをそれぞれ備えている
上記した下部内側接合フランジ１４ｄは下部外側接合フランジ１３ｋよりも上方に僅かに突出させて、この突出させた角部の内側に、前記ストラットタワー１１の外側角部を整合させて接合固定する。すなわち、前記フードリッジインナ１４のストラット受け面１４ｃの下面にストラットタワー１１の外側の一部上面１１ａを接合するとともに、この一部上面１１ａの外側端部から下方に向けて屈曲する外側屈曲部１１ｂを下部内側接合フランジ１４ｄに接合する。

そして、フードリッジアウタ１３は、図３に側面図として示すように、下面部１３ｂにおける車体前後方向ほぼ中央部のストラットタワー１１に近接する位置に、凹部１３ｃを備えている。凹部１３ｃは、フードリッジアウタ１３の前端部１３ｄから後方に向かうに従って上方に延びる上方傾斜面１３ｅと、上方傾斜面１３ｅの上端に一方の端部が連続する凹曲面１３ｆと、凹曲面１３ｆの他方の端部から後方に向かうに従って下方に延びる下方傾斜面１３ｇとを大略備えている。

そして、このフードリッジアウタ１３は、下方傾斜面１３ｇのさらに後方に位置する後方端部１３ｈと、前記した上面部１３ａの上端部１３ｉとが連続する構成とし、下部に前記した凹部１３ｃを備えるものの、側面視で大略三角形状を呈している。したがって、上記したフードリッジアウタ１３は、凹部１３ｃ付近から車体後方に向けて上下方向寸法が拡大していることになる。

また、フードリッジ３の傾斜面３ａ（フードリッジアウタ１３の上面部１３ａ）上における、前記凹部１３ｃのほぼ上方位置に対応する部位には、補強部材としてのフードリッジエクステンション１５を設けている。フードリッジエクステンション１５は、傾斜面３ａに沿って結合される結合傾斜部１５ａと、結合傾斜部１５ａの下端からほぼ鉛直方向上方に延びる荷重受け部としての荷重受け面１５ｂと、荷重受け面１５ｂの上端から車体後方に向けて延び、結合傾斜部１５ａの上端部に接続する部品取付面１５ｃとを備えている。

部品取付面１５ｃは、傾斜面３ａよりも水平面に近く傾斜が緩やかであり、この部品取付面１５ｃ上には、その車体前方側に、図示しないフロントフェンダの上部を固定するフェンダブラケット１７を、車体後方側に、図示しないフードを開閉する際に回転可能に支持するフード支持部材としてのフードヒンジ１９を、それぞれ取り付けている。

すなわち、上記したフェンダブラケット１７およびフードヒンジ１９は他の車体構成部品であり、これら車体構成部品を取り付けているフードリッジエクステンション１５は、部品取付部材を構成していることになる。

上記した車体前部骨格構造において、車両走行時に発生する、図示しないフロントサスペンションによる下方から上方に向かう突き上げ荷重は、ストラットタワー１１が受け、ストラットタワー１１からフードリッジ３に伝達される。

より具体的には、上記した突き上げ荷重は、ストラットタワー１１の一部上面１１ａからフードリッジインナ１４のストラット受け面１４ｃを経てフードリッジ３全体に伝達され、この際、フードリッジアウタ１３はストラットタワー１１に近接する位置にて凹部１３ｃを備えているので、この凹部１３ｃにより、荷重伝達される部位の下面（下面部１３ｂ）が平坦な場合に比較して、突き上げ荷重に対しての歪を小さく抑えることができ、強度確保に寄与することができる。

すなわち、図４（ａ）の作用説明図で示すように、フロントサスペンションからの突き上げ荷重Ｆがフードリッジアウタ１３に作用すると、凹部１３ｃにおいて上方，下方の各傾斜面１３ｅ，１３ｇに沿った引張応力ｆ１，ｆ２がそれぞれ発生して突き上げ荷重Ｆに対抗し、この部位周辺のフードリッジ３などの車体部品の変形を抑えることになる。

なお、上方，下方の各傾斜面１３ｅ，１３ｇの特に凹曲面１３ｆ近傍部位を直線形状とすることで、上記した引張応力ｆ１，ｆ２の発生による突き上げ荷重Ｆに対抗する効果がより高まるものとなる。

一方、フードリッジ３が、車両の前面衝突時などで、車体前方から衝撃荷重Ｐを受けるときには、フードリッジアウタ１３が前端部１３ｄから荷重を受け、その後この前端部１３ｄ付近が、凹部１３ｃの凹曲面１３ｆ付近を基点として、図４（ｂ）中の矢印Ａで示すように下方に向けて回転するように屈曲変形しつつ潰れて衝撃を吸収する。

このとき、上面部１３ａに設けてあるフードリッジエクステンション１５が、上記の前端部１３ｄ付近の下方への過大な屈曲変形を抑制すると同時に、屈曲変形後に荷重受け面１５ｂが荷重を直接受けて車体後方上部の矢印Ｂ方向に伝達させて吸収する。すなわち、補強部材であるフードリッジエクステンション１５は、フードリッジ３が車体前方から衝撃荷重を受けたときの凹部１３ｃに起因するフードリッジ前端部１３ｄの下方への変位に対抗するものである。

ここで、荷重受け面１５ｂを、衝撃荷重Ｐを受ける方向に対抗するように設定することで、衝撃荷重Ｐの後方への伝達が効率よくなされるものとなる。

また、このときフードリッジエクステンション１５は、凹部１３ｃ付近から車体後方に向けて上下方向寸法が拡大しているので、衝撃荷重Ｐは、上記のＢ方向のほか、車体後方の矢印Ｃ方向や車体後方下部の矢印Ｄ方向など全域に分散されて後方上部のフロントピラーや後方下部のサイドシルなどに伝達され、極めて効率的に衝撃吸収することができる。

また、上記したフードリッジエクステンション１５は、他の車体構成部品であるフェンダブラケット１７やフードヒンジ１９を取り付けるための部品取付部材を兼用しているので、別途専用の補強部材を設ける場合に比較して、部品点数が減少して構造の簡素化を図ることができる。

本発明の一実施形態に係わる車体前部骨格構造を示す斜視図である。 図１のＹ−Ｙ断面図である。 図１の車体前部骨格構造の側面図である。 （ａ）は、フロントサスペンションからの突き上げ荷重がフードリッジに作用したときの作用説明図、（ｂ）は、車体前方からの衝撃荷重がフードリッジに作用したときの作用説明図である。

符号の説明

３ フードリッジ（側部構成部材）
１１ ストラットタワー（サスペンション支持部）
１３ｃ フードリッジアウタの凹部
１５ フードリッジエクステンション（部品取付部材，補強部材）
１５ｂ 荷重受け面（荷重受け部）
１７ フェンダブラケット（他の車体構成部品）
１９ フードヒンジ（フード支持部材，他の車体構成部品）

Claims (9)

1. 車体前部の車幅方向側部に側部構成部材となるフードリッジを設けるとともに、このフードリッジの車幅方向内側にサスペンション支持部を設けた車体前部骨格構造であって、前記サスペンション支持部に近接する位置の前記フードリッジの下面に凹部を設けたことを特徴とする車体前部骨格構造。
2. 前記凹部のほぼ上方位置に対応する前記フードリッジの上部に補強部材を設けたことを特徴とする請求項１に記載の車体前部骨格構造。
3. 前記補強部材は、前記フードリッジが車体前方から衝撃荷重を受けたときの前記凹部に起因するフードリッジ前端部の下方への変位に対抗するものであることを特徴とする請求項２に記載の車体前部骨格構造。
4. 前記補強部材の車体前方側に、車体前方からの衝撃荷重を受ける荷重受け部を設けたことを特徴とする請求項２または３に記載の車体前部骨格構造。
5. 前記荷重受け部は、前記衝撃荷重を受ける方向に対向する荷重受け面を備えていることを特徴とする請求項４に記載の車体前部骨格構造。
6. 前記補強部材は、他の車体構成部品が取り付けられる部品取付部材で構成されていることを特徴とする請求項２ないし５のいずれか１項に記載の車体前部骨格構造。
7. 前記他の車体構成部品は、フロントフェンダの上部を取り付けるフェンダブラケットであることを特徴とする請求項６に記載の車体前部骨格構造。
8. 前記他の車体構成部品は、フードを開閉可能に支持するフード支持部材であることを特徴とする請求項６に記載の車体前部骨格構造。
9. 前記フードリッジは、前記凹部付近から車体後方に向けて上下方向寸法が拡大していることを特徴とする請求項１ないし８のいずれか１項に記載の車体前部骨格構造。

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