JP2008292619A - 表示装置、表示装置の駆動方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気光学素子の温度変化による当該電気光学素子の輝度変化をなくし、映像信号の信号電圧に応じた発光輝度での画像表示を実現できるようにする。
【解決手段】画素20の有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の両端電圧Voledの電圧変化分ΔVを検出し、例えば電源供給線32の高電位Vccpを駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsの値が変化しないようにオフセットさせることで、有機EL素子21の温度変化に伴う当該有機EL素子21の発光輝度の変化分を補正する。
【選択図】図2
【解決手段】画素20の有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の両端電圧Voledの電圧変化分ΔVを検出し、例えば電源供給線32の高電位Vccpを駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsの値が変化しないようにオフセットさせることで、有機EL素子21の温度変化に伴う当該有機EL素子21の発光輝度の変化分を補正する。
【選択図】図2
Description
本発明は、表示装置、表示装置の駆動方法および電子機器に関し、特に電気光学素子を含む画素が行列状(マトリクス状)に配置されてなる平面型(フラットパネル型)の表示装置、当該表示装置の駆動方法および当該表示装置を有する電子機器に関する。
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、発光素子を含む画素(画素回路)が行列状に配置されてなる平面型の表示装置が急速に普及している。平面型の表示装置としては、画素の発光素子として、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化するいわゆる電流駆動型の電気光学素子、例えば有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示装置が開発され、商品化が進められている。
有機EL表示装置は次のような特長を持っている。すなわち、有機EL素子が10V以下の印加電圧で駆動できるために低消費電力であり、また自発光素子であることから、液晶セルを含む画素ごとに当該液晶セルにて光源(バックライト)からの光強度を制御することによって画像を表示する液晶表示装置に比べて、画像の視認性が高く、しかも液晶表示装置には必須なバックライト等の照明部材を必要としないために軽量化および薄型化が容易である。さらに、有機EL素子の応答速度が数μsec程度と非常に高速であるために動画表示時の残像が発生しない。
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様、その駆動方式として単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式を採ることができる。ただし、単純マトリクス方式の表示装置は、構造が簡単であるものの、電気光学素子の発光期間が走査線(即ち、画素数)の増加によって減少するために、大型でかつ高精細な表示装置の実現が難しいなどの問題がある。
そのため、近年、電気光学素子に流れる電流を、当該電気光学素子と同じ画素回路内に設けた能動素子、例えば絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(一般には、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ))によって制御するアクティブマトリクス方式の表示装置の開発が盛んに行われている。アクティブマトリクス方式の表示装置は、電気光学素子が1フィールド(1フレーム)の期間に亘って発光を持続するために、大型でかつ高精細な表示装置の実現が容易である。
ところで、一般的に、有機EL素子のI−V特性(電流−電圧特性)は、時間が経過すると劣化(いわゆる、経時劣化)することが知られている。有機EL素子を電流駆動するトランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」と記述する)としてNチャネル型のTFTを用いた画素回路では、駆動トランジスタのソース側に有機EL素子が接続されることになるために、有機EL素子のI−V特性が経時劣化すると、駆動トランジスタのゲート−ソース間電圧Vgsが変化し、その結果、有機EL素子の発光輝度も変化する。
このことについてより具体的に説明する。駆動トランジスタのソース電位は、当該駆動トランジスタと有機EL素子の動作点で決まる。そして、有機EL素子のI−V特性が劣化すると、駆動トランジスタと有機EL素子の動作点が変動してしまうために、駆動トランジスタのゲートに同じ電圧を印加したとしても駆動トランジスタのソース電位が変化する。これにより、駆動トランジスタのソース−ゲート間電圧Vgsが変化するために、当該駆動トランジスタに流れる電流値が変化する。その結果、有機EL素子に流れる電流値も変化するために、有機EL素子の発光輝度が変化することになる。
また、ポリシリコンTFTを用いた画素回路では、有機EL素子のI−V特性の経時劣化に加えて、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや、駆動トランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度(以下、「駆動トランジスタの移動度」と記述する)μが経時的に変化したり、製造プロセスのばらつきによって閾値電圧Vthや移動度μが画素ごとに異なったりする(個々のトランジスタ特性にばらつきがある)。
駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが画素ごとに異なると、画素ごとに駆動トランジスタに流れる電流値にばらつきが生じるために、駆動トランジスタのゲートに画素間で同じ電圧を印加しても、有機EL素子の発光輝度に画素間でばらつきが生じ、その結果、画面の一様性(ユニフォーミティ)が損なわれる。
そこで、有機EL素子のI−V特性が経時劣化したり、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが経時変化したりしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子の発光輝度を一定に保つようにするために、有機EL素子の特性変動に対する補償機能、さらには駆動トランジスタの閾値電圧Vthの変動に対する補正(以下、「閾値補正」と記述する)や、駆動トランジスタの移動度μの変動に対する補正(以下、「移動度補正」と記述する)の各補正機能を画素回路の各々に持たせる構成を採っている(例えば、特許文献1参照)。
このように、画素回路の各々に、有機EL素子の特性変動に対する補償機能および駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μの変動に対する補正機能を持たせることで、有機EL素子のI−V特性が経時劣化したり、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが経時変化したりしたとしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子の発光輝度を一定に保つことができる。
上記従来技術に係る有機EL表示装置において、有機EL素子に温度変化があった場合について考える。図19に、有機EL素子のV/I(電圧/電流)特性の温度依存性を示す。また、図20に、駆動トランジスタのVd/Id(ドレイン電圧/ドレイン電流)特性を示す。
発光期間において、有機EL素子のアノード電位は駆動電流に応じて上昇する。有機EL素子のアノード電位の上昇は、駆動トランジスタのソース電位の上昇でもある。駆動トランジスタのソース電位が上昇すると、駆動トランジスタのゲート−ソース間に接続されている保持容量のブートストラップ動作により、駆動トランジスタのゲート電位も上昇する。このときのゲート電位の上昇量は、ソース電位の上昇量に等しくなる。
ここで、有機EL素子に温度変化が起きた場合を考える。例えば、温度から25℃から60℃に変化したとすると、有機EL素子のI−V特性が図19に破線で示すように変化する。有機EL素子に流れる電流Iが同じ値として考えた場合、25℃のときよりも60℃のときの方が有機EL素子の両端電圧Voledが小さくなる。
有機EL素子の温度変化によって有機EL素子の両端電圧Voledが小さくなると、その低下分だけ駆動トランジスタのドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなる。このとき、駆動トランジスタは飽和領域で使用されているものとする。
ここで、駆動トランジスタのドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなると、駆動トランジスタの飽和領域においてはアーリー効果によってドレイン−ソース間電流Idsが増加する。電流増加が起きると、有機EL素子の発光輝度が上昇する。すなわち、有機EL素子の温度変化によって発光輝度の変化が起きてしまう。これにより、映像信号の信号電圧に応じた発光輝度での画像表示を実現できなくなる。
そこで、本発明は、電気光学素子の温度変化による当該電気光学素子の輝度変化をなくし、映像信号の信号電圧に応じた発光輝度での画像表示を実現できる表示装置、当該表示装置の駆動方法および当該表示装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、電気光学素子と、映像信号を書き込む書き込みトランジスタと、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記映像信号を保持する保持容量と、前記保持容量に保持された前記映像信号に基づいて前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタとを含む画素が行列状に配置されてなる表示装置において、前記電気光学素子の温度変化に伴って当該電気光学素子の発光輝度が変化するとき、その輝度変化分を補正する、より具体的には、電気光学素子の温度変化を検出し、その検出結果に応じて前記駆動トランジスタまたは前記電気光学素子に与える電源電位を制御することによって、または、前記駆動トランジスタに対して直列に接続された電圧降下素子にて、前記電気光学素子に流れる電流に応じた電圧降下を生じさせることによって前記電気光学素子の輝度変化分を補正する構成を採っている。
上記構成の表示装置および当該表示装置を有する電子機器において、電気光学素子の温度が変化し、その温度変化に伴って電気光学素子の発光輝度が変化したとしても、その輝度変化分を補正することで、電気光学素子の温度変化による当該電気光学素子の輝度変化を抑制できる。
本発明によれば、電気光学素子の温度変化による当該電気光学素子の輝度変化を抑制できるため、映像信号の信号電圧に応じた発光輝度での画像表示を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。ここでは、一例として、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子を画素(画素回路)の発光素子として用いたアクティブマトリクス型有機EL表示装置の場合を例に挙げて説明するものとする。
図1に示すように、本実施形態に係る有機EL表示装置10は、画素(PXLC)20が行列状(マトリクス状)に2次元配置されてなる画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置され、各画素20を駆動する駆動部とを有する構成となっている。画素20を駆動する駆動部としては、例えば、書き込み走査回路40、電源供給走査回路50および水平駆動回路60が設けられている。
画素アレイ部30には、m行n列の画素配列に対して、画素行ごとに走査線31−1〜31−mと電源供給線32−1〜32−mとが配線され、画素列ごとに信号線33−1〜33−nが配線されている。
画素アレイ部30は、通常、ガラス基板などの透明絶縁基板上に形成され、平面型(フラット型)のパネル構造となっている。画素アレイ部30の各画素20は、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)または低温ポリシリコンTFTを用いて形成することができる。低温ポリシリコンTFTを用いる場合には、走査回路40、電源供給走査回路50および水平駆動回路60についても、画素アレイ部30を形成する表示パネル(基板)70上に実装することができる。
書き込み走査回路40は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフト(転送)するシフトレジスタ等によって構成され、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の書き込みに際して、走査線31−1〜31−mに順次走査信号WS1〜WSmを供給して画素20を行単位で順番に走査(線順次走査)する。
電源供給走査回路50は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ等によって構成され、書き込み走査回路40による線順次走査に同期して、第1電位Vccpと当該第1電位Vccpよりも低い第2電位Viniで切り替わる電源供給線電位DS1〜DSmを電源供給線32−1〜32−mに供給することにより、後述する駆動トランジスタ22(図2参照)の導通(オン)/非導通(オフ)の制御を行なう。
水平駆動回路60は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigとオフセット電圧Vofsのいずれか一方を適宜選択し、信号線33−1〜33−nを介して画素アレイ部30の各画素20に対して例えば行単位で一斉に書き込む。すなわち、水平駆動回路60は、映像信号の信号電圧Vsigを行(ライン)単位で一斉に書き込む線順次書き込みの駆動形態を採っている。
ここで、オフセット電圧Vofsは、映像信号の信号電圧(以下、「入力信号電圧」、または単に「信号電圧」と記述する場合もある)Vsigの基準となる電圧(例えば、黒レベルに相当)である。また、第2電位Viniは、オフセット電圧Vofsよりも十分に低い電位、例えば、駆動トランジスタ22の閾値電圧をVthとするとき、Vofs−Vth>Viniに設定される。
(画素回路)
図2は、画素(画素回路)20の具体的な構成例を示す回路図である。図2に示すように、画素20は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子21を発光素子として有し、当該有機EL素子21に加えて、駆動トランジスタ22、書き込みトランジスタ23および保持容量24を有する、即ち2つのトランジスタ(Tr)と1つの容量素子(C)からなる2Tr/1Cの画素構成となっている。
図2は、画素(画素回路)20の具体的な構成例を示す回路図である。図2に示すように、画素20は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子21を発光素子として有し、当該有機EL素子21に加えて、駆動トランジスタ22、書き込みトランジスタ23および保持容量24を有する、即ち2つのトランジスタ(Tr)と1つの容量素子(C)からなる2Tr/1Cの画素構成となっている。
ここでは、駆動トランジスタ22および書き込みトランジスタ23としてNチャネル型のTFTを用いている。ただし、ここでの駆動トランジスタ22および書き込みトランジスタ23の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
有機EL素子21は、全ての画素20に対して共通に配線された共通電源供給線34にカソード電極が接続されている。駆動トランジスタ22は、ソース電極が有機EL素子21のアノード電極に接続され、ドレイン電極が電源供給線32(32−1〜32−m)に接続されている。
書き込みトランジスタ23は、ゲート電極が走査線31(31−1〜31−m)に接続され、一方の電極(ソース電極/ドレイン電極)が信号線33(33−1〜33−n)に接続され、他方の電極(ドレイン電極/ソース電極)が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続されている。
保持容量24は、一端が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続され、他端が駆動トランジスタ22のソース電極(有機EL素子21のアノード電極)に接続されている。この保持容量24に対して並列に補助容量を接続して保持容量24の容量不足分を補う構成を採ることも可能である。
かかる構成の画素20において、書き込みトランジスタ23は、書き込み走査回路40から走査線31を通してゲート電極に印加される走査信号WSに応答して導通状態となることにより、信号線33を通して水平駆動回路60から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigまたはオフセット電圧Vofsをサンプリングして画素20内に書き込む。この書き込まれた信号電圧Vsigまたはオフセット電圧Vofsは保持容量24に保持される。
駆動トランジスタ22は、電源供給線32(32−1〜32−m)の電位DSが第1電位Vccpにあるときに、電源供給線32から電流の供給を受けて、保持容量24に保持された信号電圧Vsigの電圧値に応じた電流値の駆動電流を有機EL素子21に供給することによって当該有機EL素子21を電流駆動する。
(画素構造)
図3は、画素20の断面構造の一例を示す断面図である。図3に示すように、画素20は、駆動トランジスタ22、書き込みトランジスタ23等の画素回路が形成されたガラス基板201上に絶縁膜202、絶縁平坦化膜203およびウインド絶縁膜204が順に形成され、当該ウインド絶縁膜204の凹部204Aに有機EL素子21が設けられた構成となっている。
図3は、画素20の断面構造の一例を示す断面図である。図3に示すように、画素20は、駆動トランジスタ22、書き込みトランジスタ23等の画素回路が形成されたガラス基板201上に絶縁膜202、絶縁平坦化膜203およびウインド絶縁膜204が順に形成され、当該ウインド絶縁膜204の凹部204Aに有機EL素子21が設けられた構成となっている。
有機EL素子21は、上記ウインド絶縁膜204の凹部204Aの底部に形成された金属等からなるアノード電極205と、当該アノード電極205上に形成された有機層(電子輸送層、発光層、ホール輸送層/ホール注入層)206と、当該有機層206上に全画素共通に形成された透明導電膜等からなるカソード電極207とから構成されている。
この有機EL素子21において、有機層206は、アノード電極205上にホール輸送層/ホール注入層2061、発光層2062、電子輸送層2063および電子注入層(図示せず)が順次堆積されることによって形成される。そして、図2の駆動トランジスタ22による電流駆動の下に、駆動トランジスタ22からアノード電極205を通して有機層206に電流が流れることで、当該有機層206内の発光層2062において電子と正孔が再結合する際に発光するようになっている。
図3に示すように、画素回路が形成されたガラス基板201上に、絶縁膜202、絶縁平坦化膜203およびウインド絶縁膜204を介して有機EL素子21が画素単位で形成された後は、パッシベーション膜208を介して封止基板209が接着剤210によって接合され、当該封止基板209によって有機EL素子21が封止されることにより、表示パネル70が形成される。
(閾値補正機能)
ここで、電源供給走査回路50は、書き込みトランジスタ23が導通した後で、水平駆動回路60が信号線33(33−1〜33−n)にオフセット電圧Vofsを供給している間に、電源供給線33の電位DSを第2電位Viniから第1電位Vccpに切り替える。この電源供給線32の電位DSの切り替えにより、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持容量24に保持される。
ここで、電源供給走査回路50は、書き込みトランジスタ23が導通した後で、水平駆動回路60が信号線33(33−1〜33−n)にオフセット電圧Vofsを供給している間に、電源供給線33の電位DSを第2電位Viniから第1電位Vccpに切り替える。この電源供給線32の電位DSの切り替えにより、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持容量24に保持される。
駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量24に保持するのは次の理由による。
駆動トランジスタ22の製造プロセスのばらつきや経時変化により、各画素ごとに駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthや移動度μなどのトランジスタ特性が変動する。このトランジスタ特性の変動により、駆動トランジスタ22に画素間で同一のゲート電位を与えても、画素ごとにドレイン・ソース間電流(駆動電流)Idsが変動し、有機EL素子21の発光輝度のばらつきとなって現れる。この閾値電圧Vthの画素ごとのばらつきの影響をキャンセル(補正)するために、閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量24に保持するのである。
駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの補正は次のようにして行われる。すなわち、保持容量24にあらかじめ閾値電圧Vthを保持しておくことで、映像信号の信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが保持容量24に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧と相殺される、換言すれば、閾値電圧Vthの補正が行われる。
これが閾値補正機能である。この閾値補正機能により、画素ごとに閾値電圧Vthにばらつきや経時変化があったとしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子21の発光輝度を一定に保つことができることになる。閾値補正の原理については後で詳細に説明する。
(移動度補正機能)
図2に示した画素20は、上述した閾値補正機能に加えて、移動度補正機能を備えている。具体的には、水平駆動回路60が映像信号の信号電圧Vsigを信号線33(33−1〜33−n)に供給している期間で、かつ、書き込み走査回路40から出力される走査信号WS(WS1〜WSm)に応答して書き込みトランジスタ23が導通する期間、即ち移動度補正期間において、保持容量24に信号電圧Vsigを保持する際に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消す移動度補正が行われる。この移動度補正の具体的な原理および動作については後述する。
図2に示した画素20は、上述した閾値補正機能に加えて、移動度補正機能を備えている。具体的には、水平駆動回路60が映像信号の信号電圧Vsigを信号線33(33−1〜33−n)に供給している期間で、かつ、書き込み走査回路40から出力される走査信号WS(WS1〜WSm)に応答して書き込みトランジスタ23が導通する期間、即ち移動度補正期間において、保持容量24に信号電圧Vsigを保持する際に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消す移動度補正が行われる。この移動度補正の具体的な原理および動作については後述する。
(ブートストラップ機能)
図2に示した画素20はさらにブートストラップ機能も備えている。具体的には、書き込み走査回路40は、保持容量24に映像信号の信号電圧Vsigが保持された段階で走査線31(31−1〜31−m)に対する走査信号WS(WS1〜WSm)の供給を解除し、書き込みトランジスタ23を非導通状態にして駆動トランジスタ22のゲート電極を信号線33(33−1〜33−n)から電気的に切り離してフローティング状態にする。
図2に示した画素20はさらにブートストラップ機能も備えている。具体的には、書き込み走査回路40は、保持容量24に映像信号の信号電圧Vsigが保持された段階で走査線31(31−1〜31−m)に対する走査信号WS(WS1〜WSm)の供給を解除し、書き込みトランジスタ23を非導通状態にして駆動トランジスタ22のゲート電極を信号線33(33−1〜33−n)から電気的に切り離してフローティング状態にする。
駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態になると、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間に保持容量24が接続されていることにより、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが変動すると、当該ソース電位Vsの変動に連動して(追従して)駆動トランジスタ22のゲート電位Vgも変動するために、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが一定に維持される。
このように、保持容量24の作用により、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgをソース電位Vsに追従させ、ゲート−ソース間電圧Vgsを一定に維持する動作がブートストラップ動作である。このブートストラップ動作により、有機EL素子21のI−V特性が経時変化しても、当該有機EL素子21の発光輝度を一定に保つことができる。
すなわち、有機EL素子21のI−V特性が経時変化し、これに伴って駆動トランジスタ22のソース電位Vsが変化したとしても、ブートストラップ動作により駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電位Vgsが一定に維持されるために、有機EL素子21に流れる電流は変化せず、したがって有機EL素子21の発光輝度も一定に保たれる。その結果、有機EL素子21のI−V特性が経時変化しても、それに伴う輝度劣化のない画像表示を実現できる。
(有機EL表示装置の基本的な回路動作)
次に、本実施形態に係る有機EL表示装置10の基本的な回路動作について、図4のタイミング波形図を基に、図5および図6の動作説明図を用いて説明する。なお、図5および図6の動作説明図では、図面の簡略化のために、書き込みトランジスタ23をスイッチのシンボルで図示している。また、有機EL素子21は寄生容量Celを持っていることから、当該寄生容量Celについても図示している。
次に、本実施形態に係る有機EL表示装置10の基本的な回路動作について、図4のタイミング波形図を基に、図5および図6の動作説明図を用いて説明する。なお、図5および図6の動作説明図では、図面の簡略化のために、書き込みトランジスタ23をスイッチのシンボルで図示している。また、有機EL素子21は寄生容量Celを持っていることから、当該寄生容量Celについても図示している。
図4のタイミング波形図では、時間軸を共通にして、1H(Hは水平走査期間)における走査線31(31−1〜31−m)の電位(走査信号)WSの変化、電源供給線32(32−1〜32−m)の電位DSの変化、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgおよびソース電位Vsの変化を表している。
<発光期間>
図4のタイミングチャートにおいて、時刻t1以前は有機EL素子21が発光状態にある(発光期間)。この発光期間では、電源供給線32の電位DSが高電位Vccp(第1電位)にあり、また、書き込みトランジスタ23が非導通状態にある。このとき、駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設定されているために、図5(A)に示すように、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して当該駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じた駆動電流(ドレイン−ソース間電流)Idsが有機EL素子21に供給される。よって、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
図4のタイミングチャートにおいて、時刻t1以前は有機EL素子21が発光状態にある(発光期間)。この発光期間では、電源供給線32の電位DSが高電位Vccp(第1電位)にあり、また、書き込みトランジスタ23が非導通状態にある。このとき、駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設定されているために、図5(A)に示すように、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して当該駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じた駆動電流(ドレイン−ソース間電流)Idsが有機EL素子21に供給される。よって、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
<閾値補正準備期間>
そして、時刻t1になると、線順次走査の新しいフィールドに入り、図5(B)に示すように、電源供給線32の電位DSが高電位Vccpから信号線33のオフセット電圧Vofsよりも十分に低い電位Vini(第2電位)に切り替わる。ここで、有機EL素子21の閾値電圧をVel、共通電源供給線34の電位をVcathとするとき、低電位ViniをVini<Vel+Vcathとすると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが低電位Viniにほぼ等しくなるために、有機EL素子21は逆バイアス状態となって消光する。
そして、時刻t1になると、線順次走査の新しいフィールドに入り、図5(B)に示すように、電源供給線32の電位DSが高電位Vccpから信号線33のオフセット電圧Vofsよりも十分に低い電位Vini(第2電位)に切り替わる。ここで、有機EL素子21の閾値電圧をVel、共通電源供給線34の電位をVcathとするとき、低電位ViniをVini<Vel+Vcathとすると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが低電位Viniにほぼ等しくなるために、有機EL素子21は逆バイアス状態となって消光する。
次に、時刻t2で走査線31の電位WSが低電位側から高電位側に遷移することで、図5(C)に示すように、書き込みトランジスタ23が導通状態となる。このとき、水平駆動回路60から信号線33に対してオフセット電圧Vofsが供給されているために、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgがオフセット電圧Vofsになる。また、駆動トランジスタ22のソース電位Vsは、オフセット電圧Vofsよりも十分に低い電位Viniにある。
このとき、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsはVofs−Viniとなる。ここで、Vofs−Viniが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthよりも大きくないと、先述した閾値補正動作を行うことができないために、Vofs−Vini>Vthと設定する必要がある。このように、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgをオフセット電圧Vofsに、ソース電位Vsを低電位Viniにそれぞれ固定して(確定させて)初期化する動作が閾値補正準備の動作である。
<閾値補正期間>
次に、時刻t3で、図5(D)に示すように、電源供給線32の電位DSが低電位Viniから高電位Vccpに切り替わると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇を開始する。やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthになり、当該閾値電圧Vthに相当する電圧が保持容量24に書き込まれる。
次に、時刻t3で、図5(D)に示すように、電源供給線32の電位DSが低電位Viniから高電位Vccpに切り替わると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇を開始する。やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthになり、当該閾値電圧Vthに相当する電圧が保持容量24に書き込まれる。
ここでは、便宜上、閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量24に書き込む期間を閾値補正期間と呼んでいる。なお、この閾値補正期間において、電流が専ら保持容量24側に流れ、有機EL素子21側には流れないようにするために、有機EL素子21がカットオフ状態となるように共通電源供給線34の電位Vcathを設定しておくこととする。
次に、時刻t4で走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図6(A)に示すように、書き込みトランジスタ23が非導通状態となる。このとき、駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態になるが、ゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに等しいために、当該駆動トランジスタ22はカットオフ状態にある。したがって、駆動トランジスタ22にドレイン−ソース間電流Idsは流れない。
<書き込み期間/移動度補正期間>
次に、時刻t5で、図6(B)に示すように、信号線33の電位がオフセット電圧Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。続いて、時刻t6で、走査線31の電位WSが高電位側に遷移することで、図6(C)に示すように、書き込みトランジスタ23が導通状態になって映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素20内に書き込む。
次に、時刻t5で、図6(B)に示すように、信号線33の電位がオフセット電圧Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。続いて、時刻t6で、走査線31の電位WSが高電位側に遷移することで、図6(C)に示すように、書き込みトランジスタ23が導通状態になって映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素20内に書き込む。
この書き込みトランジスタ23による信号電圧Vsigの書き込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが信号電圧Vsigとなる。そして、映像信号の信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが保持容量24に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧と相殺されることによって閾値補正が行われる。閾値補正の原理については後述する。
このとき、有機EL素子21は始めカットオフ状態(ハイインピーダンス状態)にあるために、映像信号の信号電圧Vsigに応じて電源供給線32から駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)は有機EL素子21の寄生容量Celに流れ込み、よって当該寄生容量Celの充電が開始される。
この寄生容量Celの充電により、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが時間の経過と共に上昇していく。このとき既に、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthのばらつきは補正されており、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsは当該駆動トランジスタ22の移動度μに依存したものとなる。
やがて、駆動トランジスタ22のソース電位VsがVofs−Vth+ΔVの電位まで上昇すると、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVとなる。すなわち、ソース電位Vsの上昇分ΔVは、保持容量24に保持された電圧(Vsig−Vofs+Vth)から差し引かれるように、換言すれば、保持容量24の充電電荷を放電するように作用し、負帰還がかけられたことになる。したがって、ソース電位Vsの上昇分ΔVは負帰還の帰還量となる。
このように、駆動トランジスタ22に流れるドレイン−ソース間電流Idsを当該駆動トランジスタ22のゲート入力に、即ちゲート‐ソース間電圧Vgsに負帰還することにより、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消す、即ち移動度μの画素ごとのばらつきを補正する移動度補正が行われる。
より具体的には、映像信号の信号電圧Vsigが高いほどドレイン−ソース間電流Idsが大きくなるために、負帰還の帰還量(補正量)ΔVの絶対値も大きくなる。したがって、発光輝度レベルに応じた移動度補正が行われる。また、映像信号の信号電圧Vsigを一定とした場合、駆動トランジスタ22の移動度μが大きいほど負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなるために、画素ごとの移動度μのばらつきを取り除くことができる。移動度補正の原理については後述する。
<発光期間>
次に、時刻t7で走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図6(D)に示すように、書き込みトランジスタ23が非導通状態となる。これにより、駆動トランジスタ22のゲート電極は信号線33から切り離される。これと同時に、ドレイン−ソース間電流Idsが有機EL素子21に流れ始めることにより、有機EL素子21のアノード電位はドレイン−ソース間電流Idsに応じて上昇する。
次に、時刻t7で走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図6(D)に示すように、書き込みトランジスタ23が非導通状態となる。これにより、駆動トランジスタ22のゲート電極は信号線33から切り離される。これと同時に、ドレイン−ソース間電流Idsが有機EL素子21に流れ始めることにより、有機EL素子21のアノード電位はドレイン−ソース間電流Idsに応じて上昇する。
有機EL素子21のアノード電位の上昇は、即ち駆動トランジスタ22のソース電位Vsの上昇に他ならない。駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇すると、保持容量24のブートストラップ動作により、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgも連動して上昇する。このとき、ゲート電位Vgの上昇量はソース電位Vsの上昇量に等しくなる。故に、発光期間中駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVで一定に保持される。そして、時刻t8で信号線33の電位が映像信号の信号電圧Vsigからオフセット電圧Vofsに切り替わる。
(閾値補正の原理)
ここで、駆動トランジスタ22の閾値補正の原理について説明する。駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されているために定電流源として動作する。これにより、有機EL素子21には駆動トランジスタ22から、次式(1)で与えられる一定のドレイン−ソース間電流(駆動電流)Idsが供給される。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2 ……(1)
ここで、Wは駆動トランジスタ22のチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量である。
ここで、駆動トランジスタ22の閾値補正の原理について説明する。駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されているために定電流源として動作する。これにより、有機EL素子21には駆動トランジスタ22から、次式(1)で与えられる一定のドレイン−ソース間電流(駆動電流)Idsが供給される。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2 ……(1)
ここで、Wは駆動トランジスタ22のチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量である。
図7に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Ids対ゲート−ソース間電圧Vgsの特性を示す。この特性図に示すように、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthのばらつきに対する補正を行わないと、閾値電圧VthがVth1のとき、ゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds1になるのに対し、閾値電圧VthがVth2(Vth2>Vth1)のとき、同じゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds2(Ids2<Ids)になる。すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが変動すると、ゲート−ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン−ソース間電流Idsが変動する。
これに対して、上記構成の画素(画素回路)20では、先述したように、発光時の駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsがVsig−Vofs+Vth−ΔVであるために、これを式(1)に代入すると、ドレイン−ソース間電流Idsは、
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vsig−Vofs−ΔV)2
……(2)
で表される。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vsig−Vofs−ΔV)2
……(2)
で表される。
すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、駆動トランジスタ22から有機EL素子21に供給されるドレイン−ソース間電流Idsは、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに依存しない。その結果、駆動トランジスタ22の製造プロセスのばらつきや経時変化により、各画素ごとに駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが変動しても、ドレイン−ソース間電流Idsが変動しないために、有機EL素子21の発光輝度も変動しない。
(移動度補正の原理)
次に、駆動トランジスタ22の移動度補正の原理について説明する。図8に、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に大きい画素Aと、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に小さい画素Bとを比較した状態で特性カーブを示す。駆動トランジスタ22をポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素Aや画素Bのように、画素間で移動度μがばらつくことは避けられない。
次に、駆動トランジスタ22の移動度補正の原理について説明する。図8に、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に大きい画素Aと、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に小さい画素Bとを比較した状態で特性カーブを示す。駆動トランジスタ22をポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素Aや画素Bのように、画素間で移動度μがばらつくことは避けられない。
画素Aと画素Bで移動度μにばらつきがある状態で、例えば両画素A,Bに同レベルの入力信号電圧Vsigを書き込んだ場合に、何ら移動度μの補正を行わないと、移動度μの大きい画素Aに流れるドレイン−ソース間電流Ids1′と移動度μの小さい画素Bに流れるドレイン−ソース間電流Ids2′との間には大きな差が生じてしまう。このように、移動度μのばらつきに起因してドレイン−ソース間電流Idsに画素間で大きな差が生じると、画面のユニフォーミティが損なわれることになる。
ここで、先述した式(1)のトランジスタ特性式から明らかなように、移動度μが大きいとドレイン−ソース間電流Idsが大きくなる。したがって、負帰還における帰還量ΔVは移動度μが大きくなるほど大きくなる。図8に示すように、移動度μの大きな画素Aの帰還量ΔV1は、移動度の小さな画素Vの帰還量ΔV2に比べて大きい。そこで、移動度補正動作によって駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsを入力信号電圧Vsig側に負帰還させることで、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかることになるために、移動度μのばらつきを抑制することができる。
具体的には、移動度μの大きな画素Aで帰還量ΔV1の補正をかけると、ドレイン−ソース間電流IdsはIds1′からIds1まで大きく下降する。一方、移動度μの小さな画素Bの帰還量ΔV2は小さいために、ドレイン−ソース間電流IdsはIds2′からIds2までの下降となり、それ程大きく下降しない。結果的に、画素Aのドレイン−ソース間電流Ids1と画素Bのドレイン−ソース間電流Ids2とはほぼ等しくなるために、移動度μのばらつきが補正される。
以上をまとめると、移動度μの異なる画素Aと画素Bがあった場合、移動度μの大きい画素Aの帰還量ΔV1は移動度μの小さい画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きくなる。つまり、移動度μが大きい画素ほど帰還量ΔVが大きく、ドレイン−ソース間電流Idsの減少量が大きくなる。したがって、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsを入力信号電圧Vsig側に負帰還させることで、移動度μの異なる画素のドレイン−ソース間電流Idsの電流値が均一化され、その結果、移動度μのばらつきを補正することができる。
上述したように、有機EL素子21に加えて、駆動トランジスタ22、書き込みトランジスタ23および保持容量24を有する2Tr/1Cの画素20が行列状に配置されてなる有機EL表示装置10において、駆動トランジスタ22に供給する電源電位(電源供給線32の電位)DSを高電位(第1電位)Vccpと低電位(第2電位)Viniに切り替え可能とし、当該電源電位の切り替えによって有機EL素子21の発光期間/非発光期間を制御する機能を駆動トランジスタ22に持たせた構成を採ることにより、画素1つにつき少なくとも、発光期間/非発光期間を制御する1つのトランジスタおよび当該トランジスタを制御する1本の制御線の配線等を省略することができるために、画素サイズの微細化、ひいては表示装置の高精細化に寄与できる。
また、本実施形態に係る有機EL表示装置10においては、保持容量24によるブートストラップ動作により、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが発光期間中一定に保たれるために、有機EL素子21に流れる電流は変化しない。したがって、有機EL素子21のI−V特性が劣化したとしても、一定のドレイン−ソース間電流Idsが有機EL素子21に流れ続けるために、有機EL素子21の発光輝度が変化することはない(有機EL素子21の特性変動に対する補償機能)。
さらに、本実施形態に係る有機EL表示装置10においては、閾値補正機能により、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthのばらつきや経時変化の影響を受けない一定のドレイン−ソース間電流Idsを有機EL素子21に流すことができるとともに、移動度補正機能により、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消し、信号電圧Vsigのみに依存するドレイン−ソース間電流Idsを有機EL素子21に流すことができるために、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthや移動度μのばらつきや経時変化に起因するスジや輝度ムラのない均一な画質の表示画像を得ることができる。
(温度変化による輝度変化)
ところで、発明が解決しようとする課題の項でも述べたように、有機EL素子21のV/I特性は温度依存性を示し(図19参照)、有機EL素子21に温度変化が起きると、それに起因して有機EL素子21の発光輝度が変化する。より具体的には、有機EL素子21の温度が上昇すると、有機EL素子21の両端電圧Voledが小さくなり、それに伴って駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなるために、駆動トランジスタ21の飽和領域ではアーリー効果によってドレイン−ソース間電流Idsが増加し(図20参照)、有機EL素子21の発光輝度が上昇する。
ところで、発明が解決しようとする課題の項でも述べたように、有機EL素子21のV/I特性は温度依存性を示し(図19参照)、有機EL素子21に温度変化が起きると、それに起因して有機EL素子21の発光輝度が変化する。より具体的には、有機EL素子21の温度が上昇すると、有機EL素子21の両端電圧Voledが小さくなり、それに伴って駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなるために、駆動トランジスタ21の飽和領域ではアーリー効果によってドレイン−ソース間電流Idsが増加し(図20参照)、有機EL素子21の発光輝度が上昇する。
[本実施形態の特徴部分]
そこで、本実施形態に係る有機EL表示装置10は、有機EL素子21の温度変化に応じて有機EL素子21の両端電圧Voledが変動し、それに伴って有機EL素子21の発光輝度が変化するときに、その輝度変化分を補正することによって有機EL素子21の温度変化による輝度変化をなくすようにしたことを特徴としている。
そこで、本実施形態に係る有機EL表示装置10は、有機EL素子21の温度変化に応じて有機EL素子21の両端電圧Voledが変動し、それに伴って有機EL素子21の発光輝度が変化するときに、その輝度変化分を補正することによって有機EL素子21の温度変化による輝度変化をなくすようにしたことを特徴としている。
以下に、有機EL素子21の温度変化に伴って当該有機EL素子21の発光輝度が変化するとき、その輝度変化分を補正する作用をなす輝度補正手段(以下、「輝度補正回路」と記述する)の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図10は、実施例1に係る輝度補正回路を搭載した有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
図10は、実施例1に係る輝度補正回路を搭載した有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
本実施例1に係る輝度補正回路80Aは、ダミー画素81、温度検出部82および制御部83によって構成され、画素アレイ部30、書き込み走査回路40、電源供給走査回路50および水平駆動回路60と同じ表示パネル70に搭載されている。
図11に、ダミー画素81および温度検出部82の具体的な構成の一例を示す。図11に示すように、ダミー画素81は、画素20の有機EL素子21と同じ構成の有機EL素子811を有し、有機EL素子811が発光してもその光が外部に漏れないようにして、表示パネル70の発光輝度に影響を与えないようにするために、ブラックマトリクス等の遮光手段によって光学的に遮蔽されている。ダミー画素81は、画素アレイ部30の近傍に配置される。
有機EL素子811は、画素20の有機EL素子21と同じ構成を採ることで、有機EL素子811のV/I特性は、有機EL素子21のV/I特性とほぼ同じ温度依存性を示す。また、ダミー画素81が画素アレイ部30の近傍に配置されていることで、ダミー画素81の温度は画素20の有機EL素子21とほぼ同じ温度となる。すなわち、画素20の有機EL素子21に温度変化が起こると、有機EL素子811でも有機EL素子21とほぼ同じように温度変化が起こる。
温度検出部82は、ダミー画素81の有機EL素子811に一定電流を流す定電流源821と、有機EL素子811の両端電圧を検出する電圧検出部822からなり、画素20内の有機EL素子21の温度変化を有機EL素子811の両端電圧の変化として検出する構成となっている。
この温度検出部82において、定電流源821から有機EL素子811に一定電流を流しておくことで、図19のV/I特性からわかるように、画素20の有機EL素子21に温度変化が起こり、それに伴って有機EL素子21の両端電圧VoledがΔVだけ変動したとき、有機EL素子811の両端電圧もΔVだけ変動する。この電圧変動分ΔVを電圧検出部822が、有機EL素子21の温度変化分として検出する。
再び図10において、制御部83は、温度検出部82の検出結果、即ち電圧検出部822によって検出された有機EL素子811の電圧変動分ΔVを受け、当該電圧変動分ΔVに応じて、例えば、電源供給走査回路50から出力される高電位Vccpの電圧値を制御する。
具体的には、画素20の有機EL素子21の温度上昇によって有機EL素子21の両端電圧VoledがΔVだけ小さくなったときに、制御部83は温度検出部82の検出結果を受けて、有機EL素子21の両端電圧Voledが小さくなっても、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsの値が変化しないように、電源供給線32の高電位Vccpを電圧変動分ΔVだけ電圧値が低下する方向にオフセットさせる。
<電源供給走査回路の出力回路>
図12は、電源供給走査回路50の出力回路の構成の一例を示す回路図である。図12に示すように、電源供給走査回路50の出力回路51は、縦続接続された2段のバッファ511,512を有する構成となっている。
図12は、電源供給走査回路50の出力回路の構成の一例を示す回路図である。図12に示すように、電源供給走査回路50の出力回路51は、縦続接続された2段のバッファ511,512を有する構成となっている。
1段目のバッファ511は、ゲート電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ共通に接続されたPチャネルMOSトランジスタP11およびNチャネルMOSトランジスタN11からなるCMOSインバータ構成となっている。
同様に、2段目のバッファ512は、ゲート電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ共通に接続されたPチャネルMOSトランジスタP12およびNチャネルMOSトランジスタN12からなるCMOSインバータ構成となっている。
そして、MOSトランジスタP11,P12の各ソース電極が高電位(第1電位)Vccpに接続され、またMOSトランジスタN11,N12の各ソース電極が低電位(第2電位)Viniに接続されている。高電位Vccpは第1電源部52から供給され、低電位Viniは第2電源部53から供給される。
上記構成の出力回路51を有する電源供給走査回路50において、先述した制御部83は、第1電源部52から電源供給線32に対して出力される高電位Vccpを電圧変動分ΔVだけ電圧値が低下する方向にオフセットさせることで、有機EL素子21の温度変化による輝度変化をなくす補正を行うことができる。
上述したように、画素20の有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の両端電圧Voledの電圧変化分ΔVを検出し、例えば電源供給線32の高電位Vccpを駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電圧Vdsの値が変化しないようにオフセットさせることにより、有機EL素子21に温度変化が起きても、当該有機EL素子21に流れる電流の変化を抑えることができるために、有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の輝度変化を抑制できる。これにより、映像信号の信号電圧Vsigに応じた発光輝度での画像表示を実現できる。
なお、上記実施例1では、画素アレイ部30の近傍に配置したダミー画素81と温度検出部82の組み合わせによって有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の電圧変動分ΔVを検出するとしたが、周知の温度センサを画素アレイ部30の近傍に配置して、当該温度センサによって温度変化による有機EL素子21の電圧変動分ΔVを検出するようにしてもよい。
ただし、有機EL素子811を含むダミー画素81を用いた電圧変動分ΔVを検出するようにした方が、有機EL素子811のV/I特性が画素20内の有機EL素子21のV/I特性とほぼ同じ温度依存性を示し、有機EL素子21の温度が変化したとき有機EL素子811もほぼ同じ温度になるために、温度変化による電圧変動分ΔVをより確実に検出できる利点がある。
また、上記実施例1では、画素アレイ部30の近傍の1箇所にダミー画素81を配置するとしたが、複数個所にダミー画素81を配置し、それらの電圧変動分の平均値を最終的な電圧変動分ΔVとすることも可能である。さらに、画素20ごとに発光面と反対側に温度センサを形成して各画素20の有機EL素子21の温度変化を直接検出し、その検出結果の画素行ごとの平均値によって画素行ごとに高電位Vccpをオフセットさせる構成を採ることも可能である。
また、上記実施例1では、電源供給線32の高電位Vccpをオフセットさせるとしたが、画素20に対して共通に与えられる共通電源供給線34(図2参照)の電位、即ち有機EL素子21のカソード電位Vcathをオフセットさせるようにしても、高電位Vccpをオフセットさせる場合と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例2)
図13は、実施例2に係る輝度補正回路を有する画素(画素回路)の回路構成を示す回路図であり、図中、図2と同等部分には同一符号を付して示している。
図13は、実施例2に係る輝度補正回路を有する画素(画素回路)の回路構成を示す回路図であり、図中、図2と同等部分には同一符号を付して示している。
本実施例2に係る輝度補正回路80Bは、駆動トランジスタ22に対して直列に接続され、有機EL素子21に流れる電流に応じた電圧降下を生じさせる電圧降下素子、例えば抵抗素子84によって構成されている。この抵抗素子84は、駆動トランジスタ22の例えばドレイン側、即ち電源供給線32と駆動トランジスタ22のドレイン電極の間に接続されている。
抵抗素子84は、有機EL素子21の温度が上昇し、それに伴って有機EL素子21の両端電圧Voledが小さくなり、アーリー効果によって駆動トランジスタ22に流れる電流(即ち、ドレイン−ソース間電流Ids)が増加したとき、その電流に応じた電圧降下が生じることによってアーリー効果を緩和する作用をなす。
抵抗素子84による電圧降下によってアーリー効果が緩和されることで、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの増加が抑えられるために、有機EL素子21の温度上昇に伴う当該有機EL素子21の発光輝度の上昇が抑制される。
ここで、有機EL素子21の温度変化とは、有機EL素子21の表示駆動状態における温度の変化であることから、一般的には、温度が上昇する場合の温度変化をいう。したがって、輝度補正回路80Bとして電圧降下素子を用いたとしても、有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の発光輝度の変化を抑制することができる。
電圧降下素子として抵抗素子84を用いたとき、当該抵抗素子84の抵抗値Rは次の条件を満足するように設定される。
有機EL素子21が最大輝度のときの電流をImaxとするとき、当該電流Imaxを流したときの抵抗素子84での電圧降下はR×Imaxとなる。そして、Vds−(R×Imax)が線形にならない条件で抵抗素子84の抵抗値Rが設定される。すなわち、トランジスタの飽和条件はVds−Vgs−Vthであることから、抵抗素子84の抵抗値Rは、次式(3)を満足するように設定される。
Vds−(R×Imax)≧Vds−Vgs−Vth ……(3)
Vds−(R×Imax)≧Vds−Vgs−Vth ……(3)
上述したように、駆動トランジスタ22に対して電圧降下素子(本例では、抵抗素子84)を直列に接続することにより、当該電圧降下素子による電圧降下によってアーリー効果を緩和し、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの増加を抑えることができるために、有機EL素子21の温度変化による当該有機EL素子21の輝度変化を抑制できる。これにより、映像信号の信号電圧Vsigに応じた発光輝度での画像表示を実現できる。
[変形例]
上記実施形態では、有機EL素子21を駆動する駆動トランジスタ22と、映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素内に書き込む書き込みトランジスタ23と、駆動トランジスタ22のゲート電極とソース電極の間に接続され、書き込みトランジスタ23によって書き込まれた信号電圧Vsigを保持する保持容量24と含む2Tr1Cの画素構成の画素20を有する有機EL表示装置10に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限られるものではない。
上記実施形態では、有機EL素子21を駆動する駆動トランジスタ22と、映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素内に書き込む書き込みトランジスタ23と、駆動トランジスタ22のゲート電極とソース電極の間に接続され、書き込みトランジスタ23によって書き込まれた信号電圧Vsigを保持する保持容量24と含む2Tr1Cの画素構成の画素20を有する有機EL表示装置10に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限られるものではない。
すなわち、駆動トランジスタ22と電源配線との間に接続され、当該電源配線から駆動トランジスタ22に対して選択的に駆動電流を供給するための動作をなすスイッチングトランジスタを有する構成の画素や、適宜導通状態になることにより、有機EL素子21の電流駆動に先立って駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを検知し、この検知した閾値電圧Vthを保持容量24に保持するための動作をなすスイッチングトランジスタをさらに有する画素などを有する有機EL表示装置全般に対して適用可能である。
さらに、上記実施形態では、画素20の電気光学素子として、有機EL素子を用いた有機EL表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限られるものではなく、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子を用いた表示装置全般に対して適用可能である。
[適用例]
以上説明した本発明による表示装置は、一例として、図14〜図18に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
以上説明した本発明による表示装置は、一例として、図14〜図18に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
このように、あらゆる分野の電子機器の表示装置として本発明による表示装置を用いることにより、先述した実施形態の説明から明らかなように、本発明による表示装置は、より少ない素子数にて電気光学素子の特性変動やばらつきに起因するスジや輝度ムラのない均一な画質の表示画像を得ることができるために、各種の電子機器において、表示装置の高精細化を図ることができるとともに、良質な画像表示を行うことができる。
なお、本発明による表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。例えば、画素アレイ部30に透明なガラス等の対向部に貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。この透明な対向部には、カラーフィルタ、保護膜等、更には、上記した遮光膜が設けられてもよい。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
以下に、本発明が適用される電子機器の具体例について説明する。
図14は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明による表示装置を用いることにより作成される。
図15は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
図16は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
図17は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
図18は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す斜視図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
10…有機EL表示装置、20…画素(画素回路)、21…有機EL素子、22…駆動トランジスタ、23…書き込みトランジスタ、24…保持容量、30…画素アレイ部、31(31−1〜31−m)…走査線、32(32−1〜32−m)…電源供給線、33(33−1〜33−n)…信号線、34…共通電源供給線、40…書き込み走査回路、50…電源供給走査回路、60…水平駆動回路、70…表示パネル、80A,80B…輝度補正回路、81…ダミー画素、82…温度検出部、83…制御部、84…抵抗素子
Claims (8)
- 電気光学素子と、映像信号を書き込む書き込みトランジスタと、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記映像信号を保持する保持容量と、前記保持容量に保持された前記映像信号に基づいて前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタとを含む画素が行列状に配置されてなる画素アレイ部と、
前記電気光学素子の温度変化に伴って当該電気光学素子の発光輝度が変化するとき、その輝度変化分を補正する輝度補正手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記輝度補正手段は、前記電気光学素子の温度変化を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出出力に応じて前記駆動トランジスタまたは前記電気光学素子に与える電源電位を制御する制御手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記温度検出手段は、前記画素アレイ部の近傍に配置され、前記画素の電気光学素子と同じ構成の電気光学素子を有するダミー画素を有し、前記ダミー画素の電気光学素子の両端電圧に基づいて前記画素の電気光学素子の温度変化を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の表示装置。 - 前記輝度補正手段は、前記駆動トランジスタに対して直列に接続され、前記電気光学素子に流れる電流に応じた電圧降下を生じさせる電圧降下素子からなる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 電気光学素子と、映像信号を書き込む書き込みトランジスタと、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記映像信号を保持する保持容量と、前記保持容量に保持された前記映像信号に基づいて前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタとを含む画素が行列状に配置されてなる表示装置の駆動方法であって、
前記電気光学素子の温度変化に伴って当該電気光学素子の発光輝度が変化するとき、その輝度変化分を補正する
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 前記電気光学素子の温度変化を検出し、その検出結果に応じて前記駆動トランジスタまたは前記電気光学素子に与える電源電位を制御することによって前記電気光学素子の輝度変化分を補正する
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置の駆動方法。 - 前記駆動トランジスタに対して直列に接続された電圧降下素子にて、前記電気光学素子に流れる電流に応じた電圧降下を生じさせることによって前記電気光学素子の輝度変化分を補正する
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置の駆動方法。 - 電気光学素子と、映像信号を書き込む書き込みトランジスタと、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記映像信号を保持する保持容量と、前記保持容量に保持された前記映像信号に基づいて前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタとを含む画素が行列状に配置されてなる画素アレイ部と、
前記電気光学素子の温度変化に伴って当該電気光学素子の発光輝度が変化するとき、その輝度変化分を補正する輝度補正手段と
を備えた表示装置を有することを特徴とする電子機器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2007
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