JP2008275534A - 標的高分子の精製方法及び検出方法 - Google Patents

標的高分子の精製方法及び検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞中の標的高分子を効率よく抽出して精製するための標的高分子の精製方法、該精製方法により精製された標的高分子の検出方法、該精製方法に用いられる高分子精製キット、及び、該検出方法に用いられる高分子検出キットの提供。
【解決手段】細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を用いることを特徴とする、標的高分子の精製方法、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、細胞溶解促進用粒子と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を、添加して攪拌することを特徴とする標的高分子の精製方法、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子の検出方法、該精製方法に用いられる高分子精製キット、及び該検出方法に用いられる高分子検出キット。
【選択図】なし

Description

本発明は、細胞中から、標的高分子を効率よく抽出して精製するための標的高分子の精製方法、該精製方法により精製された標的高分子の検出方法、該精製方法に用いられる高分子精製キット、及び、該検出方法に用いられる高分子検出キットに関する。
体液、血液、外科的摘出、分泌物、スワブ、及び組織洗浄液等の、細胞を含有する生体試料の臨床検査方法には、主に、形態学的検査と成分分析的検査に分けることができる。形態学的検査とは、生体試料中に含有されている組織や細胞等の形態学的特徴から、病変の有無等の判断をする検査である。一方、成分分析的検査とは、生体試料中に含有されているタンパク質や核酸等の生体成分を、生化学的手法や免疫学的手法を用いて測定する検査である。
がんの診断や病状の経過観察においても、細胞を含有する生体試料の臨床検査は非常に有効である。例えば、形態学的検査として、喀痰を顕微鏡等で観察し、該喀痰中のがん細胞の有無を調べることにより、肺がんの発症の有無を判断することができる。また、成分分析的検査として、生体試料中の腫瘍マーカーの量を、該腫瘍マーカーに対する抗体等を用いて測定することにより、多種多様ながんの発症の有無を判断することができる。
形態学的検査は、直接病変の有無を確認することができるが、組織や細胞等の形態学的特徴の判断は、多くの場合、検査者の主観的解釈に基づいてなされるため、検査に熟練を要する。特に、視認した細胞が、正常細胞と異常細胞のいずれであるのか、あるいは、がんの進行度区分のいずれであるのか、というような、いわゆる境界部分に相当する場合には、検査者によって検査結果が異なる場合が多いという問題がある。また、検査に時間と手間がかかり、一定時間に一人の検査者が検査できる生体試料数は通常限られているため、多数の生体試料を検査することが困難であるという問題もある。
これに対して、成分分析的検査は、検査結果が具体的な測定値として得られるため、形態学的検査に比べて、検査者間の判断のバラツキが小さく、より客観的で信頼性の高い検査結果を得ることができる。また、近年の技術進歩は目覚しく、血液自動分析装置等の、成分分析的検査に用いることができる自動分析装置が多く開発されており、非常に多くの生体試料の検査を迅速かつ簡便に行うことが可能である。このため、近年、健康診断等におけるがん診断のように、初期がんの検出や多数検体の処理が要求される場合には、主に成分分析的検査が行われている。
通常、生体試料中における、がん細胞やがん細胞由来の生体成分等の含有量は、極微量であるため、がん診断のための成分分析的検査においては、特に、精度や感度が良好であることが非常に重要である。例えば、検出目的である標的生体成分が、細胞内に含有されている場合には、検出の精度や感度を向上させるために、細胞を溶解させ、標的生体成分を細胞から効率よく抽出することが必要である。
細胞を溶解し、細胞内の生体成分を効率よく抽出するために、例えば、生体試料に、カオトロピック剤や界面活性剤等の細胞溶解液を添加して、化学的に細胞を溶解させる方法がある。しかしながら、単に細胞溶解液を添加するだけでは、標的生体成分の抽出が不十分である場合が多い。さらに、検出方法によっては、細胞溶解液により検出反応が阻害されるため、検出反応開始前に、該細胞溶解液を除去する必要が生ずる場合がある。
その他、細胞を物理的に溶解させる方法として、例えば、(1)回転翼を備え、かつ直径0.5〜1.5mmのガラスビーズが80〜90%充填されたシリンダーに、単細胞藻類の藻体乾燥粉体または30mesh以下の褐藻類藻体海藻の藻体乾燥粉体が10〜40%混和された混合油を連続的に注入しつつ、7〜20m/secの回転翼で、ガラスビーズと混合油とを攪拌混合して、混合油中の藻体を破砕して成る藻体磨砕物含有食用油性懸濁液とその製造法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、(2)試料導入口が形成されていて、前記試料導入口を通じて試料、磁性ビーズ、及び固状支持体を収容する細胞溶解毛細管と、前記細胞溶解毛細管に装着されており、前記細胞溶解毛細管内で前記試料、前記磁性ビーズ、及び前記固状支持体を含む混合物を混合する振動器と、前記細胞溶解毛細管に装着されており、前記細胞溶解毛細管にレーザーを供給するレーザー発生部と、前記細胞溶解毛細管に装着されており、磁性ビーズを前記細胞溶解毛細管の壁に固定させる磁気力発生部と、前記細胞溶解毛細管に装着されており、溶解液を排出する排水チャンバと、前記細胞溶解毛細管に装着されており、核酸が結合した固状支持体から核酸を溶出させる溶出バッファーチャンバと、前記細胞溶解毛細管に装着されており、溶出された核酸溶液を中和させる中和バッファーを供給する中和バッファーチャンバとを備える細胞またはウィルスの核酸精製装置に係る発明が開示されている(例えば特許文献2参照。)。
特開平7−8212号公報 特開2006−149386号公報
上記(1)の方法では、植物油を媒体とし、藻体乾燥粉体とガラスビーズの摩擦作用で藻体乾燥粉体が破砕されるものである。しかしながら、生体試料を油等の媒体に混合すると、溶解した細胞から目的の標的生体成分を抽出した後、該標的生体成分の検出のために、該媒体を除去する必要がある。このため、操作が煩雑となり、また、コンタミネーションの危険性が高くなるおそれがある。一方、上記(2)の方法は、核酸の抽出を目的とした細胞の溶解方法であり、レーザーによって加熱された磁性ビーズが、溶液の温度を上げ、細胞を直接破壊する。したがって、発生した熱により、生体試料中の成分が変性するため、タンパク質のような熱に影響を受け易い高分子の検出には、該方法は用いることができない。また、抽出工程と検出工程では別の反応容器を必要とするため、反応容器間移送に手間がかかり、さらにコンタミネーションの危険性も増大する。さらに、レーザーを用いるため、大掛かりな装置を必要とし、臨床の現場に即座に適用されることは難しい。
本発明は、細胞中の標的高分子を精製する場合において、細胞を簡便に効率よく溶解させることにより、標的高分子を高精度に精製する方法、及び、該方法に用いるための精製用キットを提供することを目的とする。
また、本発明は、該精製方法により精製された標的高分子の検出方法、及び、該方法に用いるための検出用キットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を、生体試料に添加して混合すると、該磁性粒子により、該生体試料中の細胞の溶解が促進されることを見出した。該磁性粒子は、適度な硬度を有しており、さらに、受容体が結合することにより、粒子表面に適度な凹凸が生じるため、生体試料中で、該磁性粒子が細胞と衝突することにより、細胞溶解が促進されるためと推察された。さらに、検討した結果、該磁性粒子とは別の、細胞溶解促進性に特化した粒子によって、より効率よく細胞を溶解させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を用いることを特徴とする、標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、細胞溶解促進用粒子と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を、添加して攪拌することを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記細胞溶解促進用粒子の平均粒子径が0.1〜1.5mmであることを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記磁性粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであることを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記細胞溶解促進用粒子が磁性粒子であることを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子を、前記標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を用いて細胞を溶解して精製することを特徴とする、標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、(a) 細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を添加して攪拌することにより、前記標的高分子と前記磁性粒子の複合体を生成させる工程と、(b) 磁場を用いて、工程(a)により生成された複合体を回収する工程と、を有することを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記磁性粒子の平均粒子径が1〜1,000μmであることを特徴とする標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記標的高分子が、10kD以上のタンパク質、20以上のアミノ酸からなるポリペプチド、20以上の単糖類からなる多糖類、脂質、及び、それらを含有する複合体からなる群より選ばれる高分子であることを特徴とする、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記細胞が、ヒト、動物、植物、微生物、及びウィルスからなる群より選ばれる生物由来の細胞であることを特徴とする、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記細胞が、血液、骨髄液、リンパ液、尿、喀痰、腹水、滲出液、羊膜液、腸管洗浄液、肺洗浄液、気管支洗浄液、膀胱洗浄液、膵液、唾液、***、胆汁、及び大便からなる群より選ばれる生体試料由来の細胞であることを特徴とする、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子を検出することを特徴とする、標的高分子の検出方法を提供するものである。
また、本発明は、細胞中の標的高分子を検出する方法であって、(a’) 細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、細胞溶解促進用粒子と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を添加して攪拌することにより、前記標的高分子と前記磁性粒子の複合体を生成させる工程と、(b) 磁場を用いて、工程(a’)により生成された複合体を回収する工程と、(c) 工程(b)により回収された複合体と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体を混合して、前記磁性粒子と前記標的高分子と前記標識受容体からなる複合体を生成する工程と、(d) 磁場を用いて、工程(c)により生成された複合体を回収する工程と、(e) 工程(d)により回収された複合体を、前記標識受容体の標識を用いて検出する工程と、を有することを特徴とする標的高分子の検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を有することを特徴とする高分子精製キットを提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を有することを特徴とする高分子精製キットを提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子の検出に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、前記標識受容体の標識を検出するための検出用物質を有することを特徴とする高分子検出キットを提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子の検出に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、前記標識受容体の標識を検出するための検出用物質を有することを特徴とする高分子検出キットを提供するものである。
本発明の標的高分子の精製方法を用いることにより、細胞を簡便かつ効果的に溶解させることができるため、細胞中から、効率よく標的高分子を精製することができる。該標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した粒子は、磁性粒子であるため、磁場を利用することにより、該磁性粒子、及び該磁性粒子と結合する標的高分子等以外の物質を、反応容器内から簡便に除去することができ、精度よく標的高分子を精製することができる。
また、本発明の標的高分子の検出方法、すなわち、該精製方法を用いて精製された標的高分子を検出する方法では、精製度の高い標的高分子に対して検出反応を行うため、該標的高分子を非常に高感度に検出することができる。また、精製反応に用いた反応容器と同一の反応容器内において、検出反応を行うことができるため、検出時間が短縮され、コンタミネーションの危険性も低減することができる。また、一般的に臨床検査等で使用されている既存の分析装置で、標的高分子の精製から検出までの一連の操作を自動化し、多数の生体試料を処理することができる。大掛かりな装置を導入する必要もないため、経済的にも好ましい。該標的高分子の検出結果は、客観的な測定値として得られるため、検査者間によるバラツキが抑えられ、的確な診断が期待できる。
さらに、本発明の高分子精製キット及び高分子検出キットを用いることにより、簡便に効率よく、生体試料から標的高分子を精製し、検出することができる。
本発明における標的高分子とは、検出及び定量の標的である高分子を意味する。本発明において高分子とは、細胞内に含有されている生体高分子であれば、特に限定されるものではない。該高分子として、例えば、タンパク質、ポリペプチド、糖、脂質、核酸等がある。また、該高分子は、単一の分子であってもよく、複合体であってもよい。10kD以上のタンパク質、20以上のアミノ酸からなるポリペプチド、20以上の単糖類からなる多糖類、脂質、及び、それらを含有する複合体からなる群より選ばれる高分子であることが好ましい。本発明の精製方法では、生体試料に過剰な熱が発生し難いため、熱の影響を受け易い高分子の精製により適しているためである。なお、該10kD以上のタンパク質は、アミノ酸のみからなるタンパク質であってもよく、糖や脂質と結合したタンパク質であってもよい。
本発明における細胞、すなわち、本発明において用いられる標的高分子を含む細胞は、いずれの生物種由来の細胞であってもよく、ウィルスも含まれる。該生物種として、例えば、ヒト、動物、植物、微生物、及びウィルス等がある。また、生体から直接採取された細胞であってもよく、培養細胞であってもよい。
本発明における細胞を含有する試料は、生体試料であってもよく、培養細胞を調製した試料であってもよい。特に、ヒトの疾患に関連する高分子が標的高分子である場合には、生体試料であることが好ましい。該生体試料として、例えば、血液、骨髄液、リンパ液、尿、喀痰、腹水、滲出液、羊膜液、腸管洗浄液、肺洗浄液、気管支洗浄液、膀胱洗浄液、膵液、唾液、***、胆汁、又は大便等がある。また、該生体試料は、生物から採取された状態の試料であってもよく、調製した試料であってもよい。該調製の方法は、該生体試料中に含有されている細胞を損なわない方法であれば、特に限定されるものではなく、通常、生体試料に対してなされている調製方法を行うことができる。該調製方法として、例えば、粘液等の洗浄除去や、生理食塩水等を用いた希釈、細胞性構成要素の分離又は濃縮等がある。腹水や腸管洗浄液等のように、生体試料中に含有されている細胞が少量である場合には、予め、該生体試料を適当な孔径のフィルターを用いて濾過処理等をすることにより、細胞が濃縮された調製試料を得ることが好ましい。標的高分子の精製効率や検出感度を向上させることができるためである。
本発明における標的高分子と特異的に結合する受容体は、標的高分子と特異的に結合する物質を意味する。但し、本発明において、特異的に結合するとは、標的高分子の検出や精製等に通常用いることができる程度に特異的に結合し得ることを意味し、他の物質等と交差するものであってもよい。該受容体として、例えば、該標的高分子の抗体や該標的高分子に親和性の高い化合物等がある。該標的高分子の抗体は、血清等の未精製の抗体や、ポリクローナル抗体であってもよいが、該標的高分子の精製及び検出の精度の点から、精製したモノクローナル抗体であることが好ましい。該抗体として、例えば、HBs抗体、カンジダ抗体、抗アルブミン抗体、抗HCG抗体、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、抗IgE抗体、抗IgD抗体、抗AFP抗体、抗DNT抗体、抗プロスタグランジン抗体 抗アルブミン抗体、抗HCG抗体、抗IgG抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体、抗IgE抗体,抗IgD抗体、抗AFP抗体、抗DNT抗体、抗プロスタグランジン抗体、抗ヒト凝固ファクター抗体、抗CRP抗体、抗HBs抗体、抗ヒト成長ホルモン抗体、抗ステロイドホルモン抗体等がある。
その他、該標的高分子に親和性の高い化合物として、例えば、該標的高分子が多糖類である場合にはレクチン等の糖結合性タンパク質、該標的高分子がビオチンである場合にはストレプトアビジンやアビジン、該標的高分子が6以上のヒスチジンからなるポリペプチドや該ポリペプチドを含有するタンパク質である場合には、ニッケル等がある。
該受容体を磁性粒子へ結合させる方法は、特に限定されるものではなく、物理的に吸着させてもよく、粒子表面の官能基に化学的に結合させてもよい。化学的に結合させる場合には、各官能基に適した方法により受容体を結合させることができる。例えば、水溶性カルボジイミドでカルボン酸とアミノ基を結合させるEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル) −カルボジイミド塩酸塩)法、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)とを予め混合してカルボン酸とアミノ基とを結合させる方法、双極性を有するリンカーを用いてアミノ基同士を架橋する方法、活性化したアルデヒド基やトシル基と受容体中の官能基を結合する方法等がある。粒子表面に官能基を有さない磁性粒子の場合には、粒子表面を官能基で被覆してもよい。
本発明における磁性粒子は、磁性を帯びている粒子であれば、特に限定されるものではない。該磁性粒子として、例えば、四三酸化鉄(Fe3 4 )、三二酸化鉄(γ−Fe2 3 )、各種フェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム等の金属からなる粒子や、あるいはコバルト、ニッケル、マンガン等を含む合金からなる粒子等がある。また、該磁性粒子は、磁性体のみからなる粒子であってもよく、非磁性体粒子の内部に磁性体の微粒子を含有させた粒子であってもよい。該非磁性体粒子として、例えば、疎水性重合体からなるラテックス粒子や、架橋した親水性重合体からなるラテックス粒子等がある。2〜4種類程度のモノマーの共重合体からなるラテックス粒子であってもよい。該疎水性重合体として、例えば、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカプラミド、ポリエチレンテレフタレート等がある。また、該架橋した親水性重合体として、例えば、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(2−オキシエチルアクリレート)、ポリ(2−オキシエチルメタクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルアクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルメタクリレート)、ポリエチレングリコールメタクリレート等がある。その他、ラテックス粒子等の非磁性体粒子の表面に磁性体の微粒子を固定させた粒子であってもよい。該磁性粒子は、適度な硬度を有しており、また、受容体が結合することにより、粒子表面に適度な凹凸が生じている。
本発明の標的高分子の精製方法は、細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を用いる方法である。細胞溶解促進用粒子を用いて、細胞の溶解を促進することにより、細胞内に含有される標的高分子をより効率よく精製し得る。具体的には、反応容器に、細胞を含有する試料、細胞溶解液、細胞溶解促進用粒子、及び標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子(以降、受容体結合磁性粒子という。)を、添加して攪拌する。従来、細胞溶解液のみでは、細胞の溶解が不十分であり、標的高分子を十分に回収することはできなかった。細胞溶解促進用粒子を添加して攪拌することにより、試料溶液中で、該細胞溶解促進用粒子が細胞と衝突し、その衝撃で細胞の溶解が促進される。このため、非常に効率よく、標的高分子を精製することが可能となる。なお、該反応容器への添加の順番は特に限定されるものではなく、2種以上を混合した状態で添加してもよい。例えば、予め、細胞を含有する試料と細胞溶解液を混合した状態で添加してもよい。
細胞の溶解により、細胞内から試料溶液中に放出された標的高分子は、該標的高分子と特異的に結合する受容体を介して、該受容体結合磁性粒子と複合体を形成する。その後、磁場を用いて該複合体を回収することにより、標的高分子を精製することができる。例えば、該反応容器に磁石を接近させ、該反応容器の該磁石に最も近接する面に、該複合体を収束させた後、残りの試料溶液を除去することにより、該複合体のみを該反応容器中に回収することができる。
本発明における細胞溶解促進用粒子は、細胞と衝突することにより、細胞を溶解させることができる硬度や比重を有する粒子であれば、特に限定されるものではなく、磁性粒子であってもよく、非磁性粒子であってもよい。また、該細胞溶解促進用粒子は、1種類の材質からなる粒子であってもよく、2種類以上の材質からなる粒子であってもよい。非磁性粒子として、例えば、ガラス、セラミックス、プラスチック、ラテックス等からなる粒子がある。その他、アルミニウム、ニッケル、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の磁性を帯びていない金属粒子であってもよい。
該細胞溶解促進用粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではなく、該細胞溶解促進用粒子の材質や、該細胞溶解促進用粒子を添加した後の攪拌速度、溶解する細胞の性質等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、該平均粒子径は0.1〜1.5mmであることが好ましい。細胞溶解促進作用が充分に発揮できることに加え、細胞溶解液中における混合効率も良好であるためである。
該受容体結合磁性粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.1〜100μmであることが好ましい。該平均粒子径が0.1μm未満である場合には、試料溶液中における混合効率が低下するおそれや、磁場による回収効率が低下するおそれがある。また、該平均粒子径が100μm超である場合には、該受容体結合磁性粒子の比表面積が充分ではなく、標的高分子との複合体の形成効率が低下するおそれがある。
試料溶液中で細胞溶解促進用粒子を攪拌する場合の該攪拌の方法は、該細胞溶解促進用粒子を細胞と衝突させることができる攪拌方法であれば、特に限定されるものではない。該攪拌方法として、例えば、ボルテックスミキサー等の市販の振動攪拌機を用いて攪拌する方法等がある。また、該細胞溶解促進用粒子が磁性粒子である場合には、特開2006−247535号公報に記載されているような回転磁場等を利用した攪拌方法を用いることができる。その他、磁場を利用した攪拌方法として、例えば、反応容器の左右に電磁石を配置し、磁場の発生と解消を繰り返すことにより、該細胞溶解促進用粒子を磁場に添って移動させて、攪拌することができる。
受容体結合磁性粒子は、磁性粒子であり、適度な硬度を有しており、かつ、受容体が結合しているため、粒子表面に適度な凹凸がある。このため、適当な平均粒子径を有する受容体結合磁性粒子と衝突した細胞と衝突することにより、該細胞を効率的に溶解させることができる。つまり、受容体結合磁性粒子の平均粒子径を適宜調整することにより、細胞溶解促進用粒子が果たす細胞溶解促進作用を、該受容体結合磁性粒子に担わせることができる。具体的には、細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、適当な平均粒子径の受容体結合磁性粒子を添加して攪拌することにより、衝突した細胞を効率的に溶解させて、標的高分子と該受容体結合磁性粒子の複合体を生成させた後、磁場を用いて、該複合体を回収することにより、標的高分子を精製することができる。
受容体結合磁性粒子に細胞溶解促進作用を持たせる場合には、該受容体結合磁性粒子の平均粒子径は、1〜1,000μmであることが好ましい。該平均粒子径が1μm未満である場合には、細胞溶解促進作用が不十分となるおそれがある。また、該平均粒子径が1,000μm超である場合には、標的高分子との複合体の形成効率が低下するおそれがある。
細胞を含有する試料に添加する細胞溶解促進用粒子や受容体結合磁性粒子の量は、該試料の量や、該試料中に含有される細胞の量等を考慮して、適宜決定することができる。また、該受容体結合磁性粒子を回収するための磁場の強度等は、該受容体結合磁性粒子の量を考慮して、適宜決定することができる。なお、細胞溶解促進用粒子として磁性粒子を用いた場合には、該細胞溶解促進用粒子も該受容体結合磁性粒子と共に回収されるため、該細胞溶解促進用粒子の量も考慮して、磁場の強度を決定すべきである。
本発明において細胞溶解液は、細胞、特に細胞膜や細胞小器官を可溶化するために通常用いられる溶液であれば、特に限定されるものではない。該細胞溶解液の種類は、標的高分子の性質や、該標的高分子が含まれている細胞の種類等を考慮して、適宜決定することができる。該細胞溶解液として、例えば、カオトロピック剤、陰イオン洗浄剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びアルカリ水酸化物溶液等がある。該細胞溶解液は、1種類の溶液であってもよく、2種類以上の混合溶液として用いてもよい。該カオトロピック剤として、例えば、尿素、チオシアン酸グアニジン、ホルムアミド等がある。該陰イオン洗浄剤として、例えば、SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)、N−ラウリル・サルコシン、デオキシコール酸ナトリウム、アルキル・アリール・スルホン酸塩、長鎖(脂肪)アルコール硫酸塩、オレフィン硫酸塩及びスルホン酸塩、アルファ・オレフィン硫酸塩及びスルホン酸塩、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エーテル、スルホコハク酸塩、アルカン・スルホン酸塩、リン酸塩エステル、アルキル・イセチオン酸塩、並びにショ糖エステル等がある。該陽イオン性界面活性剤として、例えば、セチル・トリメチルアンモニウム塩等がある。該非イオン性界面活性剤として、例えば、Tween 20、Nonidet P−40、Triton X−100、NP−40、Igepal CA−630、N−オクチル・グルコシド等がある。該両性界面活性剤として、例えば、CHAPS、3−ドデシル−ジメチルアンモニオ−プロパン−1−スルホネート、ラウリルジメチルアミン・オキシド等がある。該アルカリ水酸化物溶液として、例えば、水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液等がある。また、細胞を含有する試料に添加する細胞溶解液の量は、該試料の量や、該試料中に含有される細胞の量等を考慮して、適宜決定することができる。
本発明の精製方法により精製された標的高分子は、通常高分子を検出する方法を用いて、検出することができる。例えば、該標的高分子と特異的に結合する標識受容体を用いることにより、該標的高分子を検出することができる。具体的には、本発明の精製方法により精製された標的高分子と受容体結合磁性粒子とからなる複合体と、該標的高分子と特異的に結合する標識受容体を混合して、該受容体結合磁性粒子と該標的高分子と該標識受容体からなる複合体を生成させた後、磁場を用いて、該複合体を回収する。その後、回収された複合体を、該標識受容体の標識を用いて検出することにより、該標的高分子を検出することができる。
なお、本発明において標識受容体とは、検出用標識物質を結合した受容体を意味する。該検出用標識物質は、通常、高分子を検出する場合に用いられる標識物質であれば、特に限定されるものではない。該検出用標識物質として、例えば、アルカリフォスファターゼやペルオキシダーゼ等の酵素、蛍光発色物質、化学発光物質、アイソトープ等がある。例えば、該検出用標識物質が酵素の場合には、酵素活性の測定により、該標的高分子を検出することができる。該検出用標識物質が蛍光発色物質の場合には、蛍光光度法により検出することができ、化学発光物質の場合には酵素を用いた化学発光法により検出することができる。また、アイソトープの場合には放射線測定装置を用いることにより検出することができる。具体的には、該検出用標識物質がアルカリフォスファターゼである場合にはp−ニトロフェニルホスフェートを、該検出用標識物質がペルオキシダーゼである場合には2’−アジノ−ビ−3’−エチルベンジルチアゾリンスルホン酸を、それぞれ基質として、回収された複合体に添加し、一定時間反応させた後、生成された生成物の吸収波長の吸光度を測定することにより、該標的高分子を検出することができる。
図1は、本発明の標的高分子の検出方法の概略図である。まず、工程(a’)において、反応容器1に、細胞を含有する試料、細胞溶解液、細胞溶解促進用粒子、及び受容体結合磁性粒子を添加して攪拌し、標的高分子と該受容体結合磁性粒子の複合体2を生成する。その後、工程(b)において、磁石3を反応容器1に近接させて、磁場により複合体2を収束させた後、残りの試料溶液を全て反応容器1から除去して、該複合体2を回収する。該細胞溶解促進用粒子が非磁性粒子である場合には、該工程(b)において、該細胞溶解促進用粒子も除去することができる。さらに、工程(c)において、磁石3を反応容器1から離した後、反応容器1に、該標的高分子と特異的に結合する標識受容体を添加して、該受容体結合磁性粒子と該標的高分子と該標識受容体からなる複合体4を生成し、工程(d)において、再び磁石2を反応容器1に近接させて、磁場により該複合体4を収束させた後、残りの試料溶液を全て反応容器1から除去する。工程(e)において、磁石2を反応容器1から離した後、反応容器1内において、該標識受容体の標識を用いた検出反応を行う。
図1に示すように、本発明の検出方法においては、磁石3等の磁場を用いることにより、標的高分子の精製から検出までの全工程を、同一の反応容器で行うことができる。このため、迅速に、効率よく、かつコンタミネーションを防止しつつ、標的高分子を精製し検出することができる。また、本発明の検出方法は、現在の臨床検査で広く用いられている血液分析装置のように、反応工程ラインに沿って移動する反応容器中に、試薬等の分注や試料溶液の除去等を行うことができる構造の装置に対して、磁石3等の磁場発生装置を追加するだけで、簡便に適用することができるため、導入コストを抑えることも可能である。
本発明の標的高分子の精製方法や検出方法は、感度と精度に優れているため、腫瘍マーカーを標的高分子とし、特にがん診断等に用いられることが好ましい。ここで、腫瘍マーカーとは、がんの発症の指標となる物質を意味し、がんの発生により新たに生じた物質や増加した物質、がん遺伝子等がある。また、直接がん細胞により産生される物質以外の物質であっても、炎症により増加した物質等の、がんの診断や経過観察に役立つ物質も含まれる。該腫瘍マーカーとして、例えば、PSA(前立腺特異抗原、prostate specific antigen)は、前立腺から分泌される***中に含まれている生体物質であり、前立腺癌のとき血清中の含有量が上昇するため、腫瘍マーカーとして用いられる。その他、AFP(αフェトプロテイン)、CEA(carcinoembryonic antigen)、CA125(carbohydrate antigen125)、及びCA19−9(carbohydrate antigen19−9)等がある。
細胞溶解液と、受容体結合磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を有することを特徴とする高分子精製キットを用いることにより、細胞を含有する試料に、該高分子精製キットに添付の粒子等を適宜添加して攪拌して、簡便に標的高分子を精製することができる。また、該高分子精製キットに、さらに該標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、該標識受容体の標識を検出するための検出用物質を加えた高分子検出キットを用いることにより、簡便に標的高分子を検出することができる。
さらに、キットに添付の受容体結合磁性粒子の平均粒子径を適宜調整することにより、細胞溶解促進用粒子を有さないキット、すなわち、細胞溶解液と、受容体結合磁性粒子を有することを特徴とする高分子精製キットや、細胞溶解液と、受容体結合磁性粒子と、該標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、該標識受容体の標識を検出するための検出用物質を有することを特徴とする高分子検出キットを用いることによっても、簡便に標的高分子を精製し検出することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ヒト肝がん細胞由来の培養細胞であるHep G2細胞中に含有されているAFPタンパク質を精製し、検出した。なお、AFPは肝がんの患者で高い値を示す物質であり、肝がんの腫瘍マーカーである。さらに、本実施例で使用しているHep G2細胞においても、AFPタンパク質は高発現している。
細胞溶解促進用粒子として、平均粒子径がそれぞれ、10、100、500、1,000、1,500、及び2,000μmである6種類の磁性粒子を、受容体結合磁性粒子として、平均粒子径が1μmである抗AFP抗体が結合した磁性粒子(抗AFP抗体結合磁性粒子)を、それぞれ用いた。なお、Hep G2細胞は常法にしたがって培養した。
まず、各反応容器に、1mLの細胞溶解液(50mM Tris−HCl、pH8、150mM NaCl、1%IGEPAL CA−630(sigma−aldrich社製)、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS)、1×10cellのHep G2細胞、細胞溶解促進用粒子、及び抗AFP抗体結合磁性粒子を添加した。該反応容器の左右に電磁石を配置し、ON−OFFを1秒ごとに10分間繰り返すことにより、磁場を用いて攪拌しながら、37℃でインキュベートした。該攪拌により、Hep G2細胞を溶解させ、抗AFP抗体結合磁性粒子とAFPの複合体を形成した。その後、磁石を該反応容器に接近させ、該磁石により該複合体を回収し、回収されなかった残りの溶液を除去した後、該複合体を、洗浄液(0.05%Tween20)を用いて3回洗浄した。
洗浄後、該反応容器にアルカリフォスファターゼ標識抗AFP抗体を添加した後、ボルテックスミキサーを用いて該反応容器内の溶液を攪拌した後、50分間、37℃でインキュベートした。該インキュベートにより、抗AFP抗体結合磁性粒子とAFPとアルカリフォスファターゼ標識抗AFP抗体の複合体を形成した。さらに、磁石を該反応容器に接近させ、該磁石により該複合体を回収し、回収されなかった残りの溶液を除去した後、該複合体を、該洗浄液を用いて3回洗浄した。
さらに、該反応容器にアルカリフォスファターゼの基質としてAMPPD(3−(2'−spiro−adamantane)−4−methoxy−4−(3” −phosphoryloxy)phenyl−1,2−dioxetane)を添加した後、ボルテックスミキサーを用いて該反応容器内の溶液を攪拌した後、30分間、37℃でインキュベートした。さらに、ルミノメータにより発光輝度を測定することにより、AFPタンパク質を検出した。
各平均粒子径の細胞溶解促進用粒子につき、独立した3回の測定を行った。図2は、縦軸を発光輝度、横軸を細胞溶解促進用粒子の平均粒子径として、各平均粒子径の細胞溶解促進用粒子を用いた場合の、発光輝度の測定結果を表した図である。図2より明らかであるように、細胞溶解促進用粒子を用いることにより、感度よくAFPタンパク質を検出することができる。特に、平均粒子径100μm〜1,500μmの細胞溶解促進用粒子を用いた場合に、AFPタンパク質は効率よく検出された。すなわち、細胞溶解促進用粒子は平均粒子径が100μm〜1,500μmであることが好ましい。但し、攪拌時の回転磁場の強度を調整することにより、平均粒子径が100μm未満や1,500μm超の細胞溶解促進用粒子を用いた場合であっても、AFPタンパク質を良好に検出し得ると考えられる。
(試験例1)
ヒト前立腺がん細胞由来の培養細胞であるLNCap細胞及びヒト白血病細胞由来の培養細胞であるK562細胞の、それぞれの細胞中に含有されているPSAタンパク質を精製し、検出した。なお、PSAは、高い分化型の前立腺がん細胞であるLNCap細胞では高発現するが、K562細胞では発現が見られないことがわかっている。
受容体結合磁性粒子として、平均粒子径が1μmである抗PSA抗体が結合した磁性粒子(抗PSA抗体結合磁性粒子)を用いた。なお、LNCap細胞及びK562細胞は、常法にしたがって培養した。
まず、各反応容器に、1mLの細胞溶解液(50mM Tris−HCl、pH8、150mM NaCl、1%IGEPAL CA−630(sigma−aldrich社製)、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS)、1×10cellのLNCap細胞又はK562細胞、及び抗PSA抗体結合磁性粒子を添加した。ボルテックスミキサーを用いて該反応容器内の溶液を攪拌した後、10分間、37℃でインキュベートした。該攪拌により、各細胞を溶解させ、抗PSA抗体結合磁性粒子とPSAの複合体を形成した。その後、磁石を該反応容器に接近させ、該磁石により該複合体を回収し、回収されなかった残りの溶液を除去した後、該複合体を、洗浄液(0.05%Tween20)を用いて3回洗浄した。
洗浄後、該反応容器にアルカリフォスファターゼ標識抗PSA抗体を添加した後、ボルテックスミキサーを用いて該反応容器内の溶液を攪拌した後、50分間、37℃でインキュベートした。該インキュベートにより、抗PSA抗体結合磁性粒子とPSAとアルカリフォスファターゼ標識抗PSA抗体の複合体を形成した。さらに、磁石を該反応容器に接近させ、該磁石により該複合体を回収し、回収されなかった残りの溶液を除去した後、該複合体を、該洗浄液を用いて3回洗浄した。
さらに、該反応容器にアルカリフォスファターゼの基質としてAMPPD(3−(2'−spiro−adamantane)−4−methoxy−4−(3” −phosphoryloxy)phenyl−1,2−dioxetane)を添加した後、ボルテックスミキサーを用いて該反応容器内の溶液を攪拌した後、30分間、37℃でインキュベートした。さらに、ルミノメータにより発光輝度を測定することにより、PSAタンパク質を検出した。
各細胞につき、独立した3回の測定を行った。図3は、各細胞を用いてPSAタンパク質検出を行った場合の、発光輝度の測定結果を表したものである。図3より明らかであるように、LNCap細胞からはPSAタンパク質が検出されたが、K562細胞からはPSAタンパク質は検出されなかった。すなわち、本発明の標的高分子の検出方法を用いることにより、感度よくPSAタンパク質を検出できる。
本発明の標的高分子の精製方法及び検出方法を用いることにより、細胞内の標的高分子を、非常に簡便に、高精度かつ迅速に精製して検出することができるため、極めて高い正確性を要求される臨床検査等の分野で利用が可能である。
本発明の標的高分子の検出方法の概略図である。 実施例1において、各平均粒子径の細胞溶解促進用粒子を用いてAFP検出を行った場合の、発光輝度の測定結果を表した図である。縦軸は発光輝度、横軸は細胞溶解促進用粒子の平均粒子径である。 試験例1において、各細胞を用いてPSA検出を行った場合の、発光輝度の測定結果を表したものである。
符号の説明
1…反応容器、2…標的高分子と受容体結合磁性粒子の複合体、3…磁石、4…受容体結合磁性粒子と標的高分子と標識受容体からなる複合体

Claims (17)

  1. 細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を用いることを特徴とする、標的高分子の精製方法。
  2. 細胞中の標的高分子を精製する方法であって、細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、細胞溶解促進用粒子と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を、添加して攪拌することを特徴とする標的高分子の精製方法。
  3. 前記細胞溶解促進用粒子の平均粒子径が0.1〜1.5mmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の標的高分子の精製方法。
  4. 前記磁性粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか記載の標的高分子の精製方法。
  5. 前記細胞溶解促進用粒子が磁性粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載の標的高分子の精製方法。
  6. 細胞中の標的高分子を精製する方法であって、標的高分子を、前記標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を用いて細胞を溶解して精製することを特徴とする、標的高分子の精製方法。
  7. 細胞中の標的高分子を精製する方法であって、
    (a) 細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を添加して攪拌することにより、前記標的高分子と前記磁性粒子の複合体を生成させる工程と、
    (b) 磁場を用いて、工程(a)により生成された複合体を回収する工程と、
    を有することを特徴とする標的高分子の精製方法。
  8. 前記磁性粒子の平均粒子径が1〜1,000μmであることを特徴とする、請求項6又は7記載の標的高分子の精製方法。
  9. 前記標的高分子が、10kD以上のタンパク質、20以上のアミノ酸からなるポリペプチド、20以上の単糖類からなる多糖類、脂質、及び、それらを含有する複合体からなる群より選ばれる高分子であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか記載の標的高分子の精製方法。
  10. 前記細胞が、ヒト、動物、植物、微生物、及びウィルスからなる群より選ばれる生物由来の細胞であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか記載の標的高分子の精製方法。
  11. 前記細胞が、血液、骨髄液、リンパ液、尿、喀痰、腹水、滲出液、羊膜液、腸管洗浄液、肺洗浄液、気管支洗浄液、膀胱洗浄液、膵液、唾液、***、胆汁、及び大便からなる群より選ばれる生体試料由来の細胞であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか記載の標的高分子の精製方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子を検出することを特徴とする、標的高分子の検出方法。
  13. 細胞中の標的高分子を検出する方法であって、
    (a’) 細胞を含有する試料に、細胞溶解液と、細胞溶解促進用粒子と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を添加して攪拌することにより、前記標的高分子と前記磁性粒子の複合体を生成させる工程と、
    (b) 磁場を用いて、工程(a’)により生成された複合体を回収する工程と、
    (c) 工程(b)により回収された複合体と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体を混合して、前記磁性粒子と前記標的高分子と前記標識受容体からなる複合体を生成する工程と、
    (d) 磁場を用いて、工程(c)により生成された複合体を回収する工程と、
    (e) 工程(d)により回収された複合体を、前記標識受容体の標識を用いて検出する工程と、
    を有することを特徴とする標的高分子の検出方法。
  14. 請求項1〜5のいずれか記載の標的高分子の精製方法に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子を有することを特徴とする高分子精製キット。
  15. 請求項6〜8のいずれか記載の標的高分子の精製方法に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子を有することを特徴とする高分子精製キット。
  16. 請求項1〜5のいずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子の検出に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、細胞溶解促進用粒子と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、前記標識受容体の標識を検出するための検出用物質を有することを特徴とする高分子検出キット。
  17. 請求項6〜8のいずれか記載の標的高分子の精製方法を用いて精製された標的高分子の検出に用いるためのキットであって、細胞溶解液と、標的高分子と特異的に結合する受容体が結合した磁性粒子と、前記標的高分子と特異的に結合する標識受容体と、前記標識受容体の標識を検出するための検出用物質を有することを特徴とする高分子検出キット。
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