JP2008274796A - 可変圧縮比エンジンのトルク推定装置 - Google Patents

可変圧縮比エンジンのトルク推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、可変圧縮比エンジンのトルク推定装置に関し、データの計測点数の増加を抑制しつつトルクを精度良く推定することを目的とする。
【解決手段】MBTにおけるWiebe関数パラメータを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBTパラメータ推定モデル52と、MBTを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBT算出モデル54と、MBTに対する点火時期遅角量に応じて、MBTにおけるWiebe関数パラメータを補正する点火遅角補正量推定モデル56とを備える。点火遅角補正量推定モデル56による補正量は、圧縮比を含まない運転条件によって定められ、圧縮比によらず同じである。
【選択図】図3

Description

本発明は、可変圧縮比エンジンのトルク推定装置に関する。
機械的な圧縮比を変化させることのできる機構を備えたエンジン、すなわち可変圧縮比エンジンが従来より知られている。
一方、特開2005−140054号公報には、断熱圧縮と仮定した所定区間における仕事と実仕事とに基づいて筒内のガスから外部への放熱量を求め、その放熱量に基づいて内燃機関のパラメータを制御する技術が開示されている。また、同公報には、筒内の状態を示すデータに基づいて筒内の実圧縮比を求め、その実圧縮比に基づいて内燃機関のパラメータを制御する技術も開示されている。
しかしながら、上記公報では、機械的な圧縮比を可変とする可変圧縮比エンジンのことについては、十分に考慮されていない。
特開2005−140054号公報
ところで、従来より、例えばWiebe関数などの熱発生モデルに基づいてエンジントルクを推定する技術が知られている。熱発生モデルに含まれる複数のモデルパラメータは、エンジン回転数、吸入空気量(負荷)、点火時期などの運転条件に応じて変化する。このため、熱発生モデルに基づいてエンジントルクを推定するには、何点かの運転条件の下で筒内圧等のデータを計測し、運転条件とモデルパラメータとの関係を示すマップを作成する必要がある。
上記のエンジントルク推定技術を可変圧縮比エンジンにそのまま適用しようとした場合、圧縮比毎に上記マップを作成することになるので、必要なデータ計測点数が膨大になるという問題がある。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、データの計測点数の増加を抑制しつつトルクを精度良く推定することのできる可変圧縮比エンジンのトルク推定装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、可変圧縮比エンジンのトルク推定装置であって、
可変圧縮比エンジンの点火時期をMBTとした場合の熱発生を模擬する熱発生モデルの複数のモデルパラメータを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBTパラメータ算出手段と、
前記可変圧縮比エンジンのMBTを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBT算出手段と、
前記MBT算出手段により算出されたMBTに対する点火時期遅角量を算出する点火時期遅角量算出手段と、
前記MBTパラメータ算出手段により算出されたモデルパラメータを前記点火時期遅角量に応じて補正するモデルパラメータ補正手段と、
前記モデルパラメータ補正手段により補正されたモデルパラメータを代入した前記熱発生モデルの計算結果に基づいて、前記可変圧縮比エンジンのトルクを算出するトルク算出手段と、
を備え、
前記モデルパラメータ補正手段による補正量は、圧縮比を含まない運転条件によって定められ、圧縮比によらず同じであることを特徴とする。
また、第2の発明は、可変圧縮比エンジンのトルクを推定する装置であって、
トルク推定の対象とする対象運転条件と比べて点火時期におけるピストン位置が同じになるようにして、基本圧縮比における熱発生波形を算出する熱発生波形算出手段と、
前記熱発生波形算出手段により算出された基本圧縮比における熱発生波形を、ピストン位置に対する熱発生波形の形状が同じになるものとして、前記対象運転条件の圧縮比における熱発生波形に変換する変換手段と、
前記変換手段により得られた、前記対象運転条件の圧縮比における熱発生波形に基づいて、前記可変圧縮比エンジンのトルクを算出するトルク算出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記可変圧縮比エンジンは、燃焼室容積一定でストロークを変化させることにより圧縮比を変化させるものであることを特徴とする。
また、第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記可変圧縮比エンジンは、圧縮比にかかわらず、吸気弁閉じ時期におけるピストン位置を固定とするものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、可変圧縮比エンジンの様々な圧縮比でのトルクを熱発生モデルを用いて推定する上で、MBTパラメータ算出手段と、MBT算出手段とを各圧縮比に対応させればよく、点火時期遅角量算出手段については、ある一つの圧縮比でのものを流用することができる。つまり、第1の発明によれば、ある一つの圧縮比で点火遅角時の計測を行っておけばよく、他の圧縮比についてはMBT状態での計測のみで、点火遅角時のトルクも精度良く推定することができる。よって、熱発生モデルを構築するためのデータ計測点数(適合点数)を大幅に削減することができ、開発期間および開発コストの低減が図れる。
第2の発明によれば、可変圧縮比エンジンの様々な圧縮比でのトルクを熱発生モデルを用いて推定する上で、一つの圧縮比(基本圧縮比)における熱発生波形から、任意の圧縮比における熱発生波形を求めることができる。よって、一つの基本圧縮比でのみ熱発生モデルを構築するだけで、すべての圧縮比でのトルクを精度良く推定することが可能となる。このため、データ計測点数(適合点数)を大幅に削減することができ、開発期間および開発コストの低減が図れる。
第3の発明によれば、燃焼室容積一定でストロークを変化させることにより圧縮比を変化させる可変圧縮比エンジンにおいて、トルクを精度良く推定することができる。
第4の発明によれば、圧縮比にかかわらず、吸気弁閉じ時期におけるピストン位置を固定とするので、実圧縮比を一定とすることができる。このため、可変圧縮比エンジンのトルクをより高い精度で推定することができる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、可変圧縮比エンジン10を備えている。可変圧縮比エンジン10は、クランクケース12に対してシリンダブロック14をシリンダ長手方向に移動させる圧縮比可変機構16を備えている。これにより、可変圧縮比エンジン10では、機械的な圧縮比(以下、単に「圧縮比」という)を連続的に変化させることができる。
なお、本実施形態において、圧縮比可変機構は、図1に示す機構に限定されるものではなく、例えば、クランク軸とコンロッドとの間にリンクを設ける機構など、他の如何なる機構であってもよい。
本実施形態のシステムは、更に、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。図示を省略するが、ECU50には、圧縮比可変機構16のほか、吸入空気量を調節するスロットル弁、燃料インジェクタ、点火装置などの各種アクチュエータや、クランク角センサ、エアフローメータなどの各種センサが電気的に接続されているものとする。ECU50は、各センサからの信号に基づいて各アクチュエータの動作を制御することにより可変圧縮比エンジン10を制御するほか、可変圧縮比エンジン10のトルク推定装置としても機能する。
図2は、本発明の実施の形態1で用いるトルク推定モデルの構成を示す図である。図2に示すように、本トルク推定モデルは、可変圧縮比エンジン10の各部の特性を物理モデル化した複数のモデルで構成されている。具体的には、本トルク推定モデルは、スロットルモデルと、インテークマニホールドモデルと、吸気弁モデルと、熱発生モデルと、排気弁モデルと、エキゾーストマニホールドモデルと、ターボモデルとを備えている。これらのモデルによれば、各行程の筒内圧をクランク角度毎に算出することができる。本トルク推定モデルは、その筒内圧を積分することにより、図示トルクを算出することができる。また、本トルク推定モデルは、可変圧縮比エンジン10の機械損失トルクを算出するフリクションモデルを更に備えている。本トルク推定モデルは、上記図示トルクから上記機械損失トルクを差し引くことにより、可変圧縮比エンジン10の推定トルクを算出することができる。
なお、上記各モデルのうち、熱発生モデルについては、以下に説明する。また、その他のモデルについては、公知であり、本発明の特徴点ではないため、その説明を省略する。
本実施形態では、熱発生モデルとして、下記(1)式で表されるWiebe関数を使用する。ただし、本発明で使用可能な熱発生モデルは、Wiebe関数に限定されるものではない。
Figure 2008274796
上記(1)式中、Qは燃料の燃焼により筒内で発生する熱量、θはクランク角度、aは所定の定数(例えば6.9)、Qfは筒内に供給された燃料が有する熱量、kは燃料の熱量Qfが実際に熱に変換される効率を表す効率パラメータ、θbは熱発生が開始するクランク角度、θpは燃焼期間、mは形状パラメータである。
燃料の熱量Qfは、燃料噴射量あるいは空燃比A/F等に基づいて算出することができる。よって、上記Wiebe関数において決定すべきモデルパラメータ(以下「Wiebe関数パラメータ」と称する)は、効率パラメータk、形状パラメータm、熱発生開始クランク角度θbおよび燃焼期間θpの4つとなる。
下記(2)式は、熱力学第1法則から導かれる式である。なお、この式中、κは比熱比であり、既知の値である。また、筒内容積Vおよび筒内容積変化率dV/dθは、それぞれ、クランク角度θの関数である。
Figure 2008274796
Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpを決定した後は、上記(1)式および(2)式を連立することにより、筒内圧Pを算出することができる。以下、本実施形態において、Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpを決定する方法について説明する。
図3は、トルク推定の対象とする運転条件(以下「対象運転条件」と称する)に基づいてWiebe関数パラメータを算出する場合のECU50の機能ブロック図である。図4は、対象運転条件における推定トルクを算出するためにECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、対象運転状態とは、例えば現在のトルクを推定する場合であれば、現在の運転条件である。
図3に示すように、本実施形態において、ECU50は、空燃比A/F、エンジン回転数NE、空気負荷(空気量)KL、圧縮比ε、および点火時期SAの5つの運転条件に基づいて、Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpを算出する。そして、ECU50は、MBT(Minimum advance for the Best Torque)におけるWiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpを算出するMBTパラメータ推定モデル52と、MBTを算出するMBT算出モデル54と、点火遅角補正量推定モデル56とを有している。
図4に示すルーチンによれば、まず、MBTパラメータ推定モデル52により、MBTにおける各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpが算出される(ステップ100)。本実施形態では、点火時期をMBTとした場合の各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpと、空燃比A/F、エンジン回転数NE、空気負荷KLおよび圧縮比εとの関係は、予め実験等により調べられており、その関係がMBTパラメータ推定モデル52にマップとして記憶されているものとする。このステップ100では、そのマップに基づいて、点火時期をMBTとし、その他の運転条件を対象運転条件に等しいとした場合の各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpが算出される。
次いで、MBT算出モデル54により、MBTが算出される(ステップ102)。本実施形態では、MBTと、空燃比A/F、エンジン回転数NE、空気負荷KLおよび圧縮比εとの関係は、予め実験等により調べられており、その関係がMBT算出モデル54にマップとして記憶されているものとする。このステップ102では、そのマップに基づいて、点火時期以外の運転条件を対象運転条件に等しいとした場合のMBTが算出される。
次いで、対象運転条件の点火時期SAから、上記MBT算出モデル54により算出されたMBTを引くことにより、MBTに対する点火時期遅角量dSAが算出される(ステップ104)。
続いて、点火遅角補正量推定モデル56により、点火時期遅角量dSAに応じた補正量が各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθp毎に算出される(ステップ106)。本実施形態では、点火時期遅角量dSAに応じた各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθp毎の補正量と、空燃比A/F、エンジン回転数NEおよび空気負荷KLとの関係が予め実験等により調べられており、その関係が点火遅角補正量推定モデル56にマップとして記憶されているものとする。
そして、各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθp毎に、上記ステップ100で算出されたMBTでの値に、上記ステップ106で算出された点火時期遅角量dSAに応じた補正量を加えることにより、対象運転条件におけるWiebe関数パラメータが算出される(ステップ108)。すなわち、本実施形態で算出されるWiebe関数パラメータは、次式で表される。
(Wiebe関数パラメータ)=(MBTにおけるWiebe関数パラメータ)
+(点火時期遅角量dSAに応じた補正量) ・・・(3)
上記ステップ108によって対象運転条件における各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpが求められたら、それらを代入した上記(1)式のWiebe関数を用いて、前述したトルク推定モデルにより、対象運転条件の推定トルクが算出される(ステップ110)。
以上説明したように、本実施形態では、MBTパラメータ推定モデル52およびMBT算出モデル54では、圧縮比εを含む運転条件に基づいて計算を行っているが、点火遅角補正量推定モデル56では、圧縮比εを含まない運転条件に基づいて計算を行っている。この理由は、以下のようなものである。
一般に、各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpは、運転条件(空燃比A/F、エンジン回転数NE、空気負荷KL、点火時期SAなど)と、シリンダ諸元(ボア、ストローク、圧縮比など)と、燃料噴射方式などとの影響を受け、それぞれの関係は複雑である。
しかしながら、点火時期遅角量dSAとそれに応じた補正量との関係については、燃料噴射方式(燃焼形態)が同じであれば、シリンダ諸元の異なる複数のエンジン間で共通になることを本発明者は見出した。したがって、このことは、可変圧縮比エンジン10にも適用可能である。つまり、可変圧縮比エンジン10において圧縮比εを変化させた場合であっても、それにかかわらず、点火遅角補正量推定モデル56は共通のものを使用することができる。
すなわち、本実施形態によれば、可変圧縮比エンジン10の様々な圧縮比εでのトルクを推定する上で、MBTパラメータ推定モデル52およびMBT算出モデル54を各圧縮比εに対応させればよく、点火遅角補正推定モデル56については、ある一つの圧縮比εでのモデルを流用すればよい。
通常、点火遅角時のトルクを推定するためには、同一の空燃比A/F、エンジン回転数NEおよび空気負荷KLについて3点〜5点程度の計測点が必要となる。このため、可変圧縮比エンジン10の場合には、更に各圧縮比ε毎にそれらの計測が必要となり、計測点が膨大となる。
これに対し、本実施形態によれば、ある一つの圧縮比εで点火遅角時の計測を行っておけばよく、他の圧縮比εについてはMBT状態での計測のみで、点火遅角時のトルクも精度良く推定することができる。
このようなことから、本実施形態によれば、熱発生モデル(Wiebe関数モデル)を構築するためのデータ計測点数(適合点数)を大幅に削減することができる。よって、トルク推定モデルの開発期間および開発コストの低減が図れる。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ100の処理を実行することにより前記第1の発明における「MBTパラメータ算出手段」が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「MBT算出手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「点火時期遅角量算出手段」が、上記ステップ106および108の処理を実行することにより前記第1の発明における「モデルパラメータ補正手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「トルク算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
図5は、本実施形態の可変圧縮比エンジンの概要を示す図である。図5に示すように、本実施形態の可変圧縮比エンジン20は、シリンダ長の変化と、シリンダ長変化に応じたストローク(ストローク長)の変化により、燃焼室容積V0を一定として、機械的な圧縮比εが変化するように構成されている。
更に、本実施形態の可変圧縮比エンジン20では、圧縮比ε(ストローク)が変化しても、吸気弁閉じ時期(IVC)におけるピストン位置が一定となるように、吸気弁が駆動されるものとする。実質的な圧縮行程は、吸気弁閉じ時期から開始される。このため、吸気弁閉じ時期のピストン位置が固定されていると、機械的な圧縮比εの変化によらず、実質的な圧縮比(以下「実圧縮比」と称する)は一定となる。
図6は、本実施形態の可変圧縮比エンジン20における異なる二つの圧縮比での状態を示す図である。なお、図6の横軸は、ピストン位置[mm]を示す。本実施形態において、ピストン位置は、上死点(TDC)でのピストンヘッド位置からの距離で表されるものとする。
図6に示すように、ε1<ε2なる二つの圧縮比の状態を比べると、両者の上死点TDCの位置は同じである。一方、圧縮比ε2のときの下死点BDC2は、圧縮比ε1のときの下死点BDC1よりも上死点TDCから遠い位置にある。
圧縮比ε1の場合と圧縮比ε2の場合とで、上述したように、吸気弁閉じ時期のピストン位置が同じであるので、実圧縮比が同じである。更に、図6に示すように、圧縮比ε1の場合と圧縮比ε2の場合とで、点火時期SAにおけるピストン位置(以下「点火時ピストン位置」と称する)を同じにしたとする。この場合、ピストンが膨張行程で下死点BDC1の位置に来るまでの間の筒内の挙動は両者とも同じとみなすことができる。
一方、クランク角度θは、圧縮比ε1の場合には上死点TDCから下死点BDC1までの間が180°となり、圧縮比ε2の場合には上死点TDCから下死点BDC2までの間が180°となる。このため、圧縮比ε1の場合と圧縮比ε2の場合とで、両者のピストン位置が同じであっても、両者のクランク角度θは異なる。
このようなことから、本実施形態では、可変圧縮比エンジン20のトルクを推定するに際し、圧縮比εが異なっても、点火時ピストン位置を含む圧縮比以外の運転条件が同じであるならば、燃焼が開始するときのピストン位置および燃焼が終了するときのピストン位置が等しくなるものと仮定する。図7は、この仮定を表した図である。この仮定は、上述した理由により、精度良く成立すると考えられる。そして、この仮定から、点火時ピストン位置を含む圧縮比以外の運転条件が同じであれば、圧縮比εが異なっても、ピストン位置に対する熱発生波形の形状(燃焼形状)は同じになると考えることができる。
以上のようなことから、本実施形態では、以下に説明する手順にしたがってトルクを推定することとした。図8は、本実施形態において、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンによれば、前述したように、吸気弁閉じ時期におけるピストン位置は、圧縮比εにかかわらず固定される(ステップ120)。
続いて、トルクを推定する対象とする対象運転条件の点火時期SA[°BTDC]が、点火時ピストン位置[mm]に換算される(ステップ122)。本実施形態では、ECU50には、クランク角度とピストン位置とを相互に換算するマップが各圧縮比ε毎に記憶されているものとする。このマップを以下「クランク角度−ピストン位置マップ」と称する。このステップ122では、対象運転条件の圧縮比εでのクランク角度−ピストン位置マップに基づいて、点火時期SAが点火時ピストン位置に換算される。
続いて、上記ステップ122で算出された点火時ピストン位置に基づいて、各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpが読み込まれる(ステップ124)。本実施形態では、所定の基本圧縮比ε0における各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpと、点火時ピストン位置、空燃比A/F、エンジン回転数NEおよび空気負荷KLとの関係が予め実験等により調べられており、その関係がECU50にマップとして記憶されているものとする。このステップ124では、そのマップに基づいて、各Wiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpが算出される。
続いて、上記ステップ124で算出されたWiebe関数パラメータk、m、θbおよびθpを代入した上記(1)式のWiebe関数に基づいて、クランク角度θに対する熱発生率dQ/dθの波形が算出される(ステップ126)。図9(a)は、その算出された波形を示す図である。
上記ステップ126で算出された熱発生率dQ/dθの波形は、圧縮比を基本圧縮比ε0とし、その他の運転条件(点火時ピストン位置、空燃比A/F、エンジン回転数NEおよび空気負荷KL)を対象運転条件に等しいとした場合の波形に相当する。この熱発生率dQ/dθの波形と、求めるべき対象運転条件での熱発生率dQ/dθの波形とは、前述した理由から、対象運転条件の圧縮比εにかかわらず、ピストン位置との関係においては同じになると考えることができる。よって、上記ステップ126で算出された熱発生率dQ/dθの波形を、対象運転条件の圧縮比εでのクランク角度θに対しての波形に変換すれば、求めるべき熱発生率dQ/dθの波形が得られる。
そこで、以下のような処理が実行される。まず、上記ステップ126で算出された熱発生率dQ/dθの波形における各クランク角度θを、基本圧縮比ε0でのクランク角度−ピストン位置マップに基づいてピストン位置Lに換算することにより、ピストン位置Lに対する熱発生率dQ/dθの波形に変換する(ステップ128)。図9(b)は、その変換後の波形を示す図である。この波形は、上述したように、圧縮比εにかかわらず同じである。
続いて、上記ステップ128で算出された熱発生率dQ/dθの波形における各ピストン位置Lを、対象運転条件の圧縮比εでのクランク角度−ピストン位置マップに基づいてクランク角度θに換算することにより、クランク角度θに対する熱発生率dQ/dθの波形に変換する(ステップ130)。図9(c)は、その変換後の波形を示す図である。このステップ130で算出された熱発生率dQ/dθの波形が、求めるべき対象運転条件における波形である。よって、このステップ130で算出された熱発生率dQ/dθを使用すれば、以降は実施の形態1と同様の手順を実行することにより、可変圧縮比エンジン20の推定トルクを算出することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、一つの圧縮比(基本圧縮比ε0)における熱発生率dQ/dθの波形から、任意の圧縮比εにおける熱発生率dQ/dθの波形を求めることができる。よって、可変圧縮比エンジン20においても、一つの基本圧縮比ε0でのみWiebe関数モデル(熱発生モデル)を構築するだけで、全圧縮比に適用可能となる。このため、トルク推定モデルを構築する上でのデータ計測点数(適合点数)を大幅に削減することができ、開発期間および開発コストの低減が図れる。
なお、上述した実施の形態2においては、ECU50が、上記ステップ122〜126の処理を実行することにより前記第2の発明における「熱発生波形算出手段」が、上記ステップ128および130の処理を実行することにより前記第2の発明における「変換手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いるトルク推定モデルの構成を示す図である。 Wiebe関数パラメータを算出する場合のECUの機能ブロック図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2の可変圧縮比エンジンの概要を示す図である。 本発明の実施の形態2の可変圧縮比エンジンでの異なる二つの圧縮比での状態を示す図である。 本発明の実施の形態2の可変圧縮比エンジンでの異なる二つの圧縮比での状態を示す図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 図8に示すルーチンにおいて算出される熱発生波形を示す図である。
符号の説明
10,20 可変圧縮比エンジン
12 クランクケース
14 シリンダブロック
16 圧縮比可変機構
50 ECU

Claims (4)

  1. 可変圧縮比エンジンの点火時期をMBTとした場合の熱発生を模擬する熱発生モデルの複数のモデルパラメータを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBTパラメータ算出手段と、
    前記可変圧縮比エンジンのMBTを、圧縮比を含む運転条件に基づいて算出するMBT算出手段と、
    前記MBT算出手段により算出されたMBTに対する点火時期遅角量を算出する点火時期遅角量算出手段と、
    前記MBTパラメータ算出手段により算出されたモデルパラメータを前記点火時期遅角量に応じて補正するモデルパラメータ補正手段と、
    前記モデルパラメータ補正手段により補正されたモデルパラメータを代入した前記熱発生モデルの計算結果に基づいて、前記可変圧縮比エンジンのトルクを算出するトルク算出手段と、
    を備え、
    前記モデルパラメータ補正手段による補正量は、圧縮比を含まない運転条件によって定められ、圧縮比によらず同じであることを特徴とする可変圧縮比エンジンのトルク推定装置。
  2. 可変圧縮比エンジンのトルクを推定する装置であって、
    トルク推定の対象とする対象運転条件と比べて点火時期におけるピストン位置が同じになるようにして、基本圧縮比における熱発生波形を算出する熱発生波形算出手段と、
    前記熱発生波形算出手段により算出された基本圧縮比における熱発生波形を、ピストン位置に対する熱発生波形の形状が同じになるものとして、前記対象運転条件の圧縮比における熱発生波形に変換する変換手段と、
    前記変換手段により得られた、前記対象運転条件の圧縮比における熱発生波形に基づいて、前記可変圧縮比エンジンのトルクを算出するトルク算出手段と、
    を備えることを特徴とする可変圧縮比エンジンのトルク推定装置。
  3. 前記可変圧縮比エンジンは、燃焼室容積一定でストロークを変化させることにより圧縮比を変化させるものであることを特徴とする請求項2記載の可変圧縮比エンジンのトルク推定装置。
  4. 前記可変圧縮比エンジンは、圧縮比にかかわらず、吸気弁閉じ時期におけるピストン位置を固定とするものであることを特徴とする請求項2または3記載の可変圧縮比エンジンのトルク推定装置。
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