JP2008267155A - ディーゼルエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストン頂部にリエントラント型のキャビティを有し、該キャビティ内にスワールが形成される直噴ディーゼルエンジンにおいて、GHNの特性を利用して燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーションを大きくし、燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化して、NOxおよびスモークを低減する。
【解決手段】燃料噴射ノズル15の各噴孔群20の2つの噴射孔21,22から噴射される燃料が、キャビティ11の壁面に互に隣接する2点(衝突点Aおよび衝突点B)に衝突し、それら衝突点AとBを結ぶ線A−Bが、鉛直線Vに対して傾斜または直交し、水平軸Hに対しスワールSの流れ方向の前側となる衝突点Aが、他の衝突点Bよりも−15度〜45度の範囲の角度(衝突点ひねり角θ)でずれた配置となるよう燃料噴射装置を構成する。
【選択図】図2
【解決手段】燃料噴射ノズル15の各噴孔群20の2つの噴射孔21,22から噴射される燃料が、キャビティ11の壁面に互に隣接する2点(衝突点Aおよび衝突点B)に衝突し、それら衝突点AとBを結ぶ線A−Bが、鉛直線Vに対して傾斜または直交し、水平軸Hに対しスワールSの流れ方向の前側となる衝突点Aが、他の衝突点Bよりも−15度〜45度の範囲の角度(衝突点ひねり角θ)でずれた配置となるよう燃料噴射装置を構成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ピストン頂部にリエントラント型のキャビティを有する直噴ディーゼルエンジンに関し、特に、リエントラント型のキャビティ内に吸入空気のスワールが形成される直噴ディーゼルエンジンの燃料噴射装置に関する。
複数の噴射孔からなる複数の噴孔群を有し、各噴孔群の複数の噴射孔から噴射される燃料がそれぞれ1つの燃料噴霧を形成するよう構成した燃料噴射ノズル(所謂、グループホールノズル、略してGHN)を備えた直噴ディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、噴孔群の噴射孔同士の距離や角度を工夫することで、燃料の微粒化を促進し、スモーク(黒煙)の発生を低減することが従来から提案されている(例えば、特許文献1参照。)。GHNは、噴射孔の径を小さくして燃料を微粒化しつつ、噴射孔の数を増やして全体としての噴射孔の流路面積を確保しようとするものであるが、1つの噴射孔で1つの燃料噴霧を形成する通常のシングルホールノズル(略してSHN)と比較して、噴孔群の複数の噴射孔同士の距離が近いために、燃料を噴射したときに噴霧同士が衝突して噴霧の液滴が大きくなってしまい、燃料微粒化によるスモークの低減という本来の目的を達成できない場合がある。そのため、噴孔群の噴射孔同士の距離や角度を工夫することで、燃料の微粒化を促進し、スモーク(黒煙)の発生を低減しようというのが上記提案の技術である。
また、ピストンの頂部にリエントラント型キャビティを有する直噴ディーゼルエンジンで、噴射ノズルがSHNタイプで、キャビティ壁面に向けての噴霧ペネトレーションを大きくして、着火遅れ期間に燃料噴霧をキャビティ壁面のリップ部に到達させ、リップ部付近に燃料蒸気を形成して、着火直後の燃焼による膨張流(燃焼膨張流)によってキャビティ内の縦渦の生成を促進することにより、ヒートスポットを低減し、また早期消滅させてNOの生成を抑制するとともに、縦渦により燃焼ガス中の煤の再燃焼を促進してスモークの発生を低減するようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献2参照。)。
ピストンの頂部にリエントラント型のキャビティを有する直噴ディーゼルエンジンから排出されるスモーク(黒煙)を低減するためには、GHN(グループホールノズル)を採用して燃料微粒化を促進することが有効であるが、さらに一層スモッグ低減の効果を高め、また、スモークとともに窒素酸化物(NOx)を十分に低減をするためには、燃料微粒化の促進とともに、キャビティ内の縦渦を強化して燃焼ガスの余剰空気との混合による再燃焼を促進することが重要である。そして、キャビティ内の縦渦を強化するためには、噴霧ペネトレーションを大きくして燃焼膨張流による縦渦を強化するのに加えて、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーションを大きくして、燃焼領域下流での燃料噴霧および既燃焼ガスの縦方向の回り込みを強化することが重要である。
ディーゼルエンジンの燃焼室に噴射された燃料の噴霧は、適度な噴霧ペネトレーションの設定により、着火遅れ期間にキャビティ壁面に衝突し、壁面に沿って広がる。そして、その燃料噴霧は壁面近傍で一番良く燃え、燃焼ガス(既燃ガス)が、燃料噴霧とともに燃焼膨張流による縦渦の流れに乗り、キャビティ壁面に沿って縦方向に回り込む。そして、その回り込んだ燃料噴霧と既燃ガスが、キャビティの中央付近まで素早く達すると、その辺りには燃焼に使われていない酸素を多量に含んだ低温の余剰空気があるため、高温の既焼ガスが低温の余剰空気と混じることによって急激に冷やされて、NOxの生成が低減され、また、既焼ガスに含まれている煤が酸素と触れ合って再燃焼することで、スモークが低減される。
そこで、燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化することにより、既燃ガスを余剰空気と素早く混合させ、それより、NOxを低減することができるとともに、煤を再燃焼させてスモークを低減することが可能である。
そして、その燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化するためには、適度な噴霧ペネトレーションに加えて、壁面衝突後の燃料噴霧のペネトレーションを縦方向の回り込み強化に寄与する方向に大きくすることが重要である。そして、その壁面衝突後のペネトレーションは、GHNの壁面衝突後の噴霧形状の特性を利用して強化することが可能である。つまり、燃料噴射弁の噴射ノズルをGHNとし、各噴孔群の噴射孔を例えば2つにすると、壁面衝突後の燃料噴霧の広がりは楕円状となり、一方向(長軸方向)へのペネトレーションが大きくなる。この特性を利用して、燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化することが可能である。
しかし、GHNは、各噴孔群の噴射孔の並び方等によっては、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーション強化が縦方向の回り込みに必ずしも寄与しない場合がある。特に、燃焼室(キャビティ)内に吸入空気のスワールが形成されるディーゼルエンジンの場合、スワールの影響があって、噴射孔の並び方や噴射方向によっては、壁面衝突後のペネトレーション特性が既燃ガスの回り込みに寄与しないばかりか、マイナスに作用することにもなりかねない。
従来の技術は、こうした燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーション特性を燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込み強化に寄与する方向に作用させることを考慮したものではなく、特に、リエントラント型キャビティを有し、燃焼室内に吸入空気のスワールが形成されるディーゼルエンジンにおいて、GHNの壁面衝突後の燃料噴霧のペネトレーション特性に対するスワールの影響を考慮したものではない。
本発明は、ピストンの頂部にリエントラント型のキャビティを有し、該キャビティ内に吸入空気のスワールが形成される直噴ディーゼルエンジンにおいて、それぞれが複数の噴射孔からなる噴孔群を有する燃料噴射弁を用いて、燃料の微粒化を図るとともに、キャビティ内のスワールの流れを考慮しつつ、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーションを大きくして燃料噴霧および既燃ガスのキャビティ下部底面に沿った回り込みを強化し、排出されるNOxおよびスモークを低減することを目的とする。
本発明のディーゼルエンジンの燃料噴射装置は、各気筒内のピストンの頂部にピストン動作方向を軸線方向として凹入し開口端側で径が小さくなったリエントラント型のキャビティを有し、該キャビティ内に吸入空気のスワールが形成されるディーゼルエンジンの燃焼室内に、前記キャビティの壁面に向けてキャビティ軸線方向の上方から直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置であって、前記燃料噴射弁は、それぞれが2つの噴射孔からなる複数の噴孔群を有し、前記噴孔群の各2つの噴射孔は、それら2つの噴射孔から噴射される燃料が1つの燃料噴霧を形成するとともに、それら2つの噴射孔から噴射される燃料の噴射方向が、キャビティ軸線方向から視て前記キャビティの壁面に、互に隣接する2点でそれぞれ略直交し、且つ、それら隣接する2点が、キャビティ軸線方向に直交する方向から視て間隔を空けて並び、その2点を結ぶ線が、キャビティ軸線方向に対し傾斜または直交し、キャビティ軸線方向に直交する方向に対し前記スワールの流れ方向の前側となる1点が、他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側に所定角度ずれた位置を中心とする所定角度範囲の配置となるよう形成されていることを特徴とする。
前記所定角度範囲は、キャビティ軸線方向に直交する方向に対して前記スワールの流れ方向の前側となる1点が他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、−15度〜45度であるのがよい。
このように燃料噴射装置を構成することで、燃料微粒化を促進するとともに、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーションをスワールの流れ方向に沿って強化することができ、それにより燃焼領域下流の燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化することができる。その結果、既燃ガスを余剰空気と素早く混合させることができて、既燃ガスを急激に冷やしてNOxの生成を抑制することができるとともに、既焼ガス中の煤の再燃焼を促進することができ、排出されるNOxおよびスモークを低減することができる。
燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みは、スワールに流されながら斜め下方(キャビティ軸線方向の斜め下方)に進行する。本発明のように、2つの噴射孔から噴射される燃料の噴射方向が、キャビティ軸線方向から視てキャビティの壁面に、互に隣接する2点でそれぞれ略直交し、且つ、それら隣接する2点が、キャビティ軸線方向に直交する方向から視て間隔を空けて並び、その2点を結ぶ線が、キャビティ軸線方向に対し傾斜または直交し、キャビティ軸線方向に直交する方向に対し、スワールの流れ方向の前側となる1点が他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる角度を中心とする所定角度範囲の角度となるよう燃料噴射弁を構成することで、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーション強化の方向が、スワールに流されならが進行する上記斜め下方の方向に沿うものとなり、それにより、燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みが強化される。そして、この回り込み強化の効果は、上記角度が、キャビティ軸線方向に直交する方向に対してスワールの流れ方向の前側となる1点が他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、−15度〜45度である場合に大きくなる。
このように、本発明によれば、燃料微粒化を促進するとともに、燃料噴霧の壁面衝突後のペネトレーションをスワールの流れ方向に沿って強化し、燃焼領域下流の燃料噴霧および既燃ガスの縦方向の回り込みを強化して、排出されるNOxおよびスモークを低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の実施形態を示している。図1は実施形態に係るディーゼルエンジンの燃焼室近傍の断面図、図2は燃焼室におけるスワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を説明するもので、(a)はピストン頂部斜め上方からの斜視図で示す説明図、(b)はピストン軸線を含み燃料噴射方向に平行な縦断面で示す説明図、図3は燃焼室におけるスワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を説明するもので、(a)はピストン軸線を含み燃料噴射方向と平面視にて直交する縦断面で示す説明図、(b)は平面図で示す説明図、図4は燃焼室における壁面衝突後のペネトレーションを説明する説明図、図5は燃料噴射装置における噴射孔の配置に関する角度と壁面衝突後のペネトレーションとの関係を示すとともに他の例と比較するグラフである。
図1〜図5は本発明の実施形態を示している。図1は実施形態に係るディーゼルエンジンの燃焼室近傍の断面図、図2は燃焼室におけるスワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を説明するもので、(a)はピストン頂部斜め上方からの斜視図で示す説明図、(b)はピストン軸線を含み燃料噴射方向に平行な縦断面で示す説明図、図3は燃焼室におけるスワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を説明するもので、(a)はピストン軸線を含み燃料噴射方向と平面視にて直交する縦断面で示す説明図、(b)は平面図で示す説明図、図4は燃焼室における壁面衝突後のペネトレーションを説明する説明図、図5は燃料噴射装置における噴射孔の配置に関する角度と壁面衝突後のペネトレーションとの関係を示すとともに他の例と比較するグラフである。
この実施形態のディーゼルエンジンは、直列多気筒エンジンで、図1に示すように、シリンダブロック1の上部にシリンダヘッド2が配置され、シリンダブロック1に形成された各気筒のシリンダボア3内に、上下作動自在にピストン4が配置され、シリンダヘッド2とシリンダボア3とピストン4とで燃焼室5が区画形成されている。そして、シリンダヘッド2には、気筒毎に、スワール生成式の吸気ポート(ヘリカルポート)6と、排気ボート7が設けられ、吸気ポート6および排気ポート7をそれぞれ開閉するよう吸気弁8および排気弁9が配設されている。また、シリンダヘッド2には、各気筒の燃焼室5の略中央に臨む位置に燃料噴射弁10が取り付けられている。シリンダヘッド2はフラット型であり、吸気弁8および排気弁9は直立型である。
ピストン4の頂部には、ピストン動作方向(図1において上下の方向)を軸線方向として凹入し開口端側で径が小さくなったリエントラント型のキャビティ11が形成されている。
キャビティ11は、燃焼室5を構成するもので、ピストン4の頂面に近い開口縁部がピストン径方向の内方へ突出する環状のリップ部12を形成し、リップ部12に続いてピストン径方向の外方に凹入した環状凹入部13を形成し、また、ピストン径方向の中央に位置するキャビティ11の底部中央部分が、該キャビティ11の開口端側に向かって***した凸部14を形成している。
燃焼室5内には吸入行程で吸入空気のスワールが生成され、それにより、圧縮上死点近傍でキャビティ11内にスワールSが形成される。
燃料噴射弁10は、先端部が噴射ノズル15を構成し、その噴射ノズル15が、ピストン4頂部のキャビティ11に燃料を直接噴射するべく燃焼室5内に若干突出している。
そして、その燃料噴射ノズル15には、それぞれが2つの噴射孔21,22からなる複数の噴孔群20(図3参照)が、略等間隔で周方向に並ぶ配置で設けられている。噴孔群20の数は、5〜12個である。
各噴射群20の噴射孔21,22からは、ピストン4頂部のキャビティ11のリップ部12壁面に向けて、キャビティ軸線方向(ピストン軸線方向)の上方から斜め下向きに燃料が噴射される。各噴射群20は、2つの噴射孔21,22から噴射される燃料が1つ(一塊)の燃料噴霧31を形成する。それら燃料噴霧31同士の中心線のなす角度は、通常、145〜160度である。
そして、それぞれの噴孔群20の各2つの噴射孔21,22は、図2(a)に示すように、2つの噴射孔21,22から噴射される燃料の噴射方向が、キャビティ軸線方向から視てキャビティ11の壁面に、互に隣接する2点(衝突点Aおよび衝突点B)でそれぞれ略直交し、且つ、それら隣接する2点(衝突点Aおよび衝突点B)が、キャビティ軸線方向に直交する方向から視て間隔を空けて並び、その2点(衝突点Aおよび衝突点B)を結ぶ線A−Bが、キャビティ軸線方向(鉛直線Vの方向)に対して傾斜または直交し(図示の例では傾斜している)、キャビティ軸線方向に直交する方向(水平軸Hの方向)に対しスワールSの流れ方向(矢印の方向)の前側となる1点(衝突点A)が、他の一点(衝突点B)よりもキャビティ軸線方向の上方側に所定角度(略15度)ずれた位置を中心として所定角度範囲の角度(衝突点ひねり角θ)ずれる配置となるよう形成されている(θ=0の場合もある)。
上記所定角度範囲は、キャビティ軸線方向に直交する方向(水平軸Hの方向)に対してスワールSの流れ方向の前側となる衝突点Aが衝突点Bよりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、θ=−15度〜45度の範囲であるのがよい。特に、θ=15度付近がベストである。
上記衝突点ひねり角θがプラス側の角度である場合、1つの噴孔群20を形成する2つの噴射孔21,22は、上下にずれるとともに、上方の噴射孔21に対し下方の噴射孔22がスワールの流れ方向の後側にずれた配置となる。
図2および図3は、燃焼室5(キャビティ11)内のスワールSの流れ方向がキャビティ軸線方向(鉛直線Vの方向)の上方から視て時計回りで、1つの噴孔群20を形成する2つの噴射孔21,22が、上下にずれるとともに、上方の噴射孔21に対し下方の噴射孔22がスワールの流れ方向の後側にずれた配置で、2つの噴射孔21,22から噴射された燃料がキャビティ11の壁面に衝突する際の衝突点A,Bを結んだ直線A−Bが、キャビティ軸線に直交する軸(水平軸H)に対して角度θ(衝突点ひねり角)をなし、その衝突点ひねり角θが、スワールの流れ方向の前側となる衝突点Aが後側となる衝突点Bよりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、30度となる場合を示している。
燃焼室5に噴射された燃料の噴霧(燃料噴霧31)は、着火遅れ期間にキャビティ11壁面に衝突し、混合気32とともにキャビティ11の壁面に沿って広がる。そして、その燃料噴霧31は、衝突する壁面の近傍で燃え、壁面衝突後の燃料噴霧31Aと既燃ガス(燃焼ガス)33が、燃焼膨張流による縦渦の流れに乗って、キャビティ11の壁面および下部底面に沿って縦方向に回り込む。その際、燃料噴霧31Aと既燃ガス33は、スワールSに流されながら矢印Tの方向に回り込む。そして、その回り込みが縦方向に強いと、燃料噴霧31Aと既燃ガス33がキャビティ11の中央まで素早く到達する。
キャビティ11の中央付近には、燃焼に使われていない酸素を多量に含んだ低温の余剰空気34が存在する。そして、図5のグラフに実線で示すように、上記衝突点ひねり角θが−15度〜45度である場合、壁面衝突後の燃料噴霧31Aおよび既燃ガス32のペネトレーションがスワールの流れ方向に沿う方向に強化され、それにより、燃焼領域35下流の燃料噴霧31Aおよび既燃ガス32の縦方向の回り込みを強化することができる。その結果、既燃ガス32を余剰空気34と素早く混合させることができて、既燃ガス32を急激に冷やしてNOxの生成を抑制することができるとともに、既焼ガス32中の煤の再燃焼を促進することができ、排出されるNOxおよびスモークを低減することができる。
図5のグラフは、横軸が衝突点ひねり角θ、縦軸が壁面衝突後のペネトレーションで、実線がGHN(グループホールノズル)でスワール有り(正方向強スワール)の場合の特性、一点鎖線がGHNでスワール無しの場合の特性を示している。このグラフに示されるように、GHNでスワールが有る場合は、衝突ひねり角θが−15度〜45度位の範囲であると、SHN(シングルホールノズル)で噴孔面積がGHNの2つの噴射孔の噴孔面積を合わせたものと等しい場合のペネトレーションを超える大きなペネトレーションが得られ、特に、衝突ひねり角θが15度付近を中心に、5度〜25度位範囲でペネトレーション強化の効果が大きい。衝突ひねり角θが45度を越えてプラス側に大きくなると、SHNよりもかえってペネトレーションが悪くなる。また、衝突ひねり角θが−15度を越えてマイナス側に大きくなると、やはりSHNよりもかえってペネトレーションが悪くなる。
燃焼室5内のスワールSの流れ方向が反時計回りの場合、1つの噴孔群20の2つの噴射孔21,22の適切な位置関係(上記所定角度範囲)は、噴射孔21,22だけを見ればスワールSの流れ方向が時計回りの場合と逆になるが、スワールSの流れ方向との関係でいえば、やはり、上記所定角度範囲は、キャビティ軸線方向に直交する方向(水平軸Hの方向)に対してスワールSの流れ方向の前側となる衝突点Aが衝突点Bよりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、θ=−15度〜45度が好ましく、特に、15度付近がベストで、上記衝突点ひねり角θがプラス側の角度である場合、1つの噴孔群20を形成する2つの噴射孔21,22は、上下にずれるとともに、上方の噴射孔21に対し下方の噴射孔22がスワールの流れ方向の後側にずれた配置となる。
図6は上記実施形態のディーゼルエンジンの燃料噴射装置の壁面衝突後のペネトレーションに関連して、噴射孔が1つの場合と、2つの場合の、燃料を壁面に噴射した際の壁面衝突後の噴霧形状を計測した結果を示すもので、(a)および(b)は噴射孔が1つの場合の計測結果説明図、(c)および(d)は噴射孔が2つの場合の計測結果説明図である。図6に示す計測結果から、普通に1つの噴射孔23から噴射した燃料の噴霧31を壁面に衝突させると、衝突後の噴霧31Aは同心円状に広がるが、上記実施形態のように、2つの噴射孔21,22を隣接させて適度の距離をもって配置し、それら2個の噴射孔21,22から噴射した燃料の噴霧31は、1つの噴霧31となってキャビティ11の壁面に衝突し、その衝突後の噴霧31Aの広がりは、2つの噴射孔21,22を結ぶ線に直交する方向に増幅されて、楕円状に広がることが判る。この特性を利用することで、壁面衝突後のペネトレーションをスワールSの流れ方向に合わせて強化することができ、それにより、壁面衝突後の燃料噴霧31Aおよび既燃ガス32の縦方向の回り込みを強化することができる。
図7および図8は、噴射孔が1つの場合のスワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を示している。燃焼室5(キャビティ11)内のスワールの流れ方向は時計回りで、1つの噴射孔23から噴射された燃料のはキャビティ11壁面に一点(衝突点)を中心として衝突する。この場合、壁面衝突後の燃料噴霧31Aの広がりは同心円状で、スワールSの流れ方向に沿ったペネトレーションは小さく、壁面衝突後の燃料噴霧31Aおよび既燃ガス32の縦方向の回り込みは弱い。
図9および図10は、スワールの流れ方向に対する2つの噴射孔の配置が本発明の上記実施形態とは逆の場合、すなわち、燃焼室5(キャビティ11)内のスワールSの流れ方向が時計回りで、2つの噴射孔21,22の位置関係を図2とは逆に、上方の噴射孔21に対し下方の噴射孔22がスワールSの流れ方向の前側にずれた配置とし、衝突点ひねり角θを、スワールSの流れ方向の前側となる衝突点Aが後側となる衝突点Bよりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、−30度とした場合の、スワールの流れ方向とシュミレーションによる燃料噴霧および燃焼ガスの挙動を示している。この場合、壁面衝突後の燃料噴霧31Aの広がりは、GHNの特性がスワールの流れに対向するものとなり、ペネトレーションが小さくなる。そのため、壁面衝突後の燃料噴霧31Aおよび既燃ガス32の縦方向の回り込みはSHNの場合より更に弱くなる。
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
3 シリンダボア
4 ピストン
5 燃焼室
10 燃料噴射弁
11 キャビティ
15 噴射ノズル
20 噴孔群
21、22 噴射孔
31、31A 燃料噴霧
32 混合気
33 既燃ガス(燃焼ガス)
34 余剰空気
35 燃焼領域
A、B 衝突点
θ 衝突点ひねり角
S スワール
2 シリンダヘッド
3 シリンダボア
4 ピストン
5 燃焼室
10 燃料噴射弁
11 キャビティ
15 噴射ノズル
20 噴孔群
21、22 噴射孔
31、31A 燃料噴霧
32 混合気
33 既燃ガス(燃焼ガス)
34 余剰空気
35 燃焼領域
A、B 衝突点
θ 衝突点ひねり角
S スワール
Claims (2)
- 各気筒内のピストンの頂部にピストン動作方向を軸線方向として凹入し開口端側で径が小さくなったリエントラント型のキャビティを有し、該キャビティ内に吸入空気のスワールが形成されるディーゼルエンジンの燃焼室内に、前記キャビティの壁面に向けてキャビティ軸線方向の上方から直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置であって、
前記燃料噴射弁は、それぞれが2つの噴射孔からなる複数の噴孔群を有し、
前記噴孔群の各2つの噴射孔は、それら2つの噴射孔から噴射される燃料が1つの燃料噴霧を形成するとともに、それら2つの噴射孔から噴射される燃料の噴射方向が、キャビティ軸線方向から視て前記キャビティの壁面に、互に隣接する2点でそれぞれ略直交し、且つ、それら隣接する2点が、キャビティ軸線方向に直交する方向から視て間隔を空けて並び、その2点を結ぶ線が、キャビティ軸線方向に対し傾斜または直交し、キャビティ軸線方向に直交する方向に対し前記スワールの流れ方向の前側となる1点が、他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側に所定角度ずれた位置を中心とする所定角度範囲の配置となるよう形成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。 - 前記所定角度範囲は、キャビティ軸線方向に直交する方向に対して前記スワールの流れ方向の前側となる1点が他の一点よりもキャビティ軸線方向の上方側にずれる方向の角度をプラス側として、−15度〜45度である請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
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- 2007-04-16 JP JP2007107164A patent/JP2008267155A/ja active Pending
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