JP2008262173A - 画像形成方法および静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像剤が、エポキシ基とOH基の比率を0.990〜1.010とするポリオール系樹脂を含むトナーとキャリアとからなり、前記現像剤を攪拌帯電しながら搬送する攪拌/搬送手段の回転数α、ピッチβ、搬送行路長γの関係が1.0×106≦α×β×γ≦16.0×106であり、トナー母体粒子の帯電性能が、1.5<[QB/M3600]/[QB/M180]<2.5であり、前記外添剤を含む前記トナーの帯電性能が0.7<[QT/M3600]/[QT/M180]<1.3であり、前記外添剤は、少なくとも2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を含み、抵抗値の小さい外添剤の粒度分布Yと添加量Xが、0.1≦X≦2.0かつY≦2.6×10−3X+0.0048である。
【選択図】なし
Description
1.少なくとも、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程および定着工程を有する画像形成方法において、前記現像工程に用いられる現像剤は、少なくとも、エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHが0.990〜1.010の分子鎖中に複数のOH基を有するポリオール系樹脂をバインダー樹脂として含むトナーと、キャリアとからなる2成分現像剤であって、前記現像工程は、少なくとも前記現像剤を攪拌帯電しながら搬送する攪拌/搬送工程を有し、前記攪拌/搬送工程は、少なくとも前記現像剤を攪拌および搬送する攪拌/搬送手段(現像手段は除く)の回転数α(回転/min)、ピッチβ(mm)、搬送行路長γ(mm)の関係が1.0×106≦α×β×γ≦16.0×106であって、前記トナーは、トナー母体粒子と外添剤とから構成され、前記トナー母体粒子は、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QB/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QB/M3600(−μC/g)の比率として、(式I)であって、
(式I) 1.5<[QB/M3600]/[QB/M180]<2.5
前記外添剤を含む前記トナーは、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QT/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QT/M3600(−μC/g)の比率として、(式II)であって、
(式II) 0.7<[QT/M3600]/[QT/M180]<1.3
前記外添剤は、少なくとも2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を含み、抵抗値の小さい一方の外添剤の粒度分布Yと添加量X(ただしトナー母体粒子100重量部に対する部数)が、以下の(式III)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
(式III) 0.1≦X≦2.0
Y≦2.6×10−3X+0.0048
2.前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子の(式IV)で表される付着率が、65%〜95%であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
(式IV) (M1/M0)×100(%)
M1:前記外添剤を含むトナーを界面活性剤水溶液に分散し、共振周波数25KHzの条件で1分間超音波処理した後にトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量、
M0:超音波処理を行う前のトナー母体表面に付着している無機微粒子重量
3.前記トナー母体粒子の平均円形度が0.910〜0.970であることを特徴とする前記1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
4.前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤である無機微粒子のメタノール疎水化度が、55%〜95%であることを特徴とする前記1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
5.前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子が、疎水化処理された酸化チタンであることを特徴とする前記1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
6.少なくとも、エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHが0.990〜1.010の分子鎖中に複数のOH基を有するポリオール系樹脂をバインダー樹脂として含むトナーと、キャリアとからなる2成分現像剤に用いられる静電荷像現像用トナーであって、前記トナーは、トナー母体粒子と外添剤とから構成され、前記トナー母体粒子は、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QB/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QB/M3600(−μC/g)の比率として、(式I)であって、
(式I) 1.5<[QB/M3600]/[QB/M180]<2.5
前記外添剤を含む前記トナーは、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QT/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QT/M3600(−μC/g)の比率として、(式II)であって、
(式II) 0.7<QT/M3600/QT/M180<1.3
前記外添剤は、少なくとも2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を含み、抵抗値の小さい一方の外添剤の粒度分布Yと添加量X(ただしトナー母体粒子100重量部に対する部数)が、以下の(式III)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(式III) 0.1≦X≦2.0
Y≦2.6×10−3X+0.0048
7.前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子の(式IV)で表される付着率が、65%〜95%であることを特徴とする前記6に記載の静電荷像現像用トナー。
(式IV) (M1/M0)×100(%)
M1:前記外添剤を含むトナーを界面活性剤水溶液に分散し、共振周波数25KHzの条件で1分間超音波処理した後にトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量、
M0:超音波処理を行う前のトナー母体表面に付着している無機微粒子重量
8.前記トナー母体粒子の平均円形度が0.910〜0.970であることを特徴とする前記6から7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
9.前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤である無機微粒子のメタノール疎水化度が、55%〜95%であることを特徴とする前記6から8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
10.前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子が、疎水化処理された酸化チタンであることを特徴とする前記6から9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
本発明者らは、一つの見地において、トナー母体粒子表面に無機微粒子を添加するトナーについて2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を用い、抵抗値の小さい無機微粒子の粒度分布と添加量のバランスを調整することで、超高速の画像形成装置における2成分現像剤のように、現像器内でのトナーとキャリアとの連続接触頻度が中低速の画像形成装置よりも桁外れに大きいメカ・プロセス条件で使用された場合でも、長期間に渡って安定した画像を提供できることを見出した。さらに、抵抗値の小さい無機微粒子のトナー母体粒子表面での付着状態を強くすることで、さらに長期間に渡って安定した画像を提供できることを見出した。
トナー母体粒子表面に付着した2種の無機微粒子のうち抵抗値が大きい無機微粒子はキャリア等と摩擦することによりトナー帯電量を増加させ、一方抵抗値の小さい無機微粒子はキャリア等と摩擦することによりトナー帯電量をリークさせる。トナーとキャリアとの連続接触頻度が中低速の画像形成装置よりも桁外れに大きい超高速の画像形成装置の現像剤では、チャージアップが頻繁に起こるため、このチャージアップ分をリークさせることが必要である。本発明者らは帯電のリーク成分である、抵抗値が小さい無機微粒子の、粒度分布と添加量とのバランスを調整することで上記問題が解消されることを見出した。
0.1≦X≦2.0
Y≦2.6×10−3X+0.0048
の関係、好ましくは0.5≦X≦1.5となるように無機微粒子をトナー母体粒子表面に外添する。添加量Xが0.1より小さい場合、どんなに粒径が小さくかつ粒度分布がシャープな無機微粒子をトナー母体粒子に付着させたとしてもチャージアップ分をリークするには不十分である。また、添加量Xが0.1より小さい場合、トナーの流動性が確保できなくなり、高画像面積の連続出力時にトナー補給が追いつかなくなり異常画像が発生する。一方、添加量Xが2.0より大きい場合、長期間の使用によりキャリア表面に無機微粒子が融着し(スペント)、キャリアの帯電能力を下げ、十分なトナー帯電を得られなくなり、地肌汚れ,トナー飛散等の異常画像が発生する。
またY>2.6×10−3X+0.0048の範囲ではいくら粒度分布がシャープな無機微粒子を用いたとしてもトナー母体粒子表面での絶対量が足りないためにチャージアップ分を十分リークできない。
(式IV) (M1/M0)×100(%)
式中、M1は前記外添剤を含むトナーを界面活性剤水溶液に分散し、共振周波数25KHzの条件で1分間超音波処理した後にトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量であり、M0は超音波処理を行う前のトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量である。
ここで、回転数αとは、一般的に用いられている公知の画像形成装置の現像手段における、現像ローラに現像剤を供給する前段階で現像剤収容部内で現像剤を攪拌搬送する、例えばスクリュの回転数であり、ピッチβとは該スクリュのピッチであり、搬送行路長γとはトナーカートリッジより補給されたトナーが現像ローラに到達するまでの移動距離である。
特に、カップリング剤の一例であるシランカップリング剤は、疎水化度、流動性の向上を目的として使用される。具体的には、シランカップリング剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等を使用することができ、中でも、アルコキシシランが好ましい。アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することができる。また、シリコーンオイルとしてはフッ素を含有するシロキサン等を用いてもよい。
また、フッ素化合物としては、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物が好ましく、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸などが挙げられる。また、高級脂肪酸としては、これらの金属塩を用いることができ、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等が挙げられる。
本発明では、抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子が、疎水化処理された酸化チタンであることが好ましい。
本発明に用いられるトナーは、例えばバインダー樹脂、着色剤および帯電制御剤を含むトナー組成物を機械的混合工程と、溶融混練工程と、粉砕工程と、分級工程とを順次経て製造される。また本発明に用いられるトナーは上記機械的混合工程において、粉砕工程および/または分級工程で得られる所定外粒径成分をトナー組成物として再度機械的に混合しても良い。もちろん所定外粒径成分を加えないで製造しても良い。所定外粒径成分をトナー組成物として再度機械的に混合して製造する場合、所定外粒径成分の使用量は、所定外粒径成分を除くトナー組成物100重量部に対し、5〜40重量部の比率であることが好ましく、より好ましくは10〜35重量部である。所定外粒径成分は混練を2度繰り返すと比較的脆弱になるためこれを利用して粉砕性を向上させることができる。そのため5重量部より少ないとこの効果が弱くなってしまう。逆に40重量部より多いと保存性や耐久性に問題が出てくる。
本発明に用いられるトナーの製造方法においては、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤および所定外粒径成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽根による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
以上の混合工程が終了した後、次いで混合物を混練機に仕込み溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続式混練機やロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖を切断しないような適正な条件で行う事が重要である。具体的には、40℃〜65℃の範囲で溶融混練することが好ましい。溶融混練温度が40℃より低いと切断が激しく、65℃より高いと分散が進まない。
以上の溶融混練工程が終了した後、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する方式、機械的に回転する回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式、などが好ましく用いられる。
以上の粉砕工程が終了した後に、遠心力などにより粉砕物を気流中で分級し、所定の粒径、例えば重量平均粒径が5〜12μm、のトナー母体粒子を製造する。この際、重量平均粒径が5〜9μmで、更に4μm以下の粒径を有するトナー粒子が10個数%以下存在するような小粒径で、粒径分布がシャープなものが特に好ましい。なお、粉砕工程および/または分級工程で得られる所定外粒径成分は再利用分として混合工程に戻して使用する。
以上の工程を経て得られるトナー母体粒子に対し、さらに、先に挙げた疎水性シリカや疎水性酸化チタン等の無機微粒子を添加混合する。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるが、混合機にはジャケット等を装備して、内部の温度を調節することが好ましい。外添剤のトナー母体粒子表面における付着率(付着強度)を変えるには、途中または漸次、添加剤を加えていけば良い。もちろん混合機の回転数、時間、温度などを変化させても良い。例えば初めに強い負荷を、次いで比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。使用できる混合機の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲイミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
外添剤の誘電体損を測定する装置としては、TR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)を使用することができる。まず、外添剤5.0〜5.1gを秤量し、6t/cm2の荷重を1分間かけて、直径40mm、厚さ2.2〜2.5mmの円盤状に成型し測定試料とする。この試料を治具に固定し、常温(25℃)にて測定する。周波数を1KHz、ratioを1×10−9とする。測定により得られるコンダクタンス(R)からLog(R)を求めて、これを外添剤の抵抗値とすることができる。
なお本発明に用いられる2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子において、これら無機微粒子の抵抗値の差は、1.0×103〜1.0×106(logΩ×cm)が好ましい。
外添剤の粒度分布を測定する装置として、レーザー回折式粒度分布測定システムLA−920(堀場製作所製)を使用することができる。電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。これに、更に外添剤を0.1〜0.3mg加える。外添剤を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により頻度分布を算出し、以下の算出式から分布の広がり具合を示す算術分散Yを求めることができる。
算術分散Y=Σ[(X(J)−Mean)2×q(J)/100](μm2)
J ;粒子径分割番号
q(J) ;頻度分布値(%)
X(J) ;J番目の粒子径範囲の代表値(μm)
Mean ;算術平均径(μm)
外添剤のトナー母体粒子表面への付着率測定は以下のように行う。外添剤が付着した状態のトナー5gを界面活性剤(富士フィルム社製界面活性剤(商品名;ドライウェル)濃度;33wt%)0.2重量%水溶液100mlに濡れさせ浸した後、超音波式ホモジナイザー(UH−30 超音波工業社製)を用いて、その分散液中に超音波振動子を浸し、共振周波数25KHzで1分間超音波振動させることにより、トナー母体粒子表面から無機微粒子を離脱させる。その後、分散液を洗浄、吸引ろ過し、乾燥させる。乾燥後のトナーを3.0〜3.1g秤量し、6t/cm2の荷重を1分間かけて、直径40mm、厚さ2.2〜2.5mmの円盤状に成型し蛍光X線分析法によりトナー粒子表面に残存する無機微粒子を定量する。この定量値をM1とする。上記超音波処理を行わないトナーを同様に成型し蛍光X線分析法によりトナー粒子表面に存在する無機微粒子を定量し、この値をM0とする。以下の算出式から外添剤の付着率を求めることができる。
外添剤の付着率=(M1/M0)×100(%)
外添剤のメタノール疎水化度は以下のように行う。200mlビーカーに外添剤0.1gを秤量し、食用青色1号で染色したイオン交換水50mlを加え、マグネチックスターラーで攪拌する。ビュレットによりメタノールを10秒間に約2mlずつ滴下し、液面上に浮いた外添剤が完全に濡れた状態を終点とし、以下の式からメタノール疎水化度を求めることができる。
外添剤のメタノール疎水化度=滴定量/(滴定量+50)×100(%)
トナー母体粒子の平均円形度は、画像分析法により測定される平均円形度であり、好ましくはシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定される値である。
前記分析装置「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出した後、円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに各粒子を振り分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度を算出する算出法(分割法)を用いている。この算出法で算出される平均円形度の値と、各粒子の円形度の総和を用いた算出法(総和法)により算出される平均円形度の誤差は非常に少なく、実質的には無視できる程度である。本発明におけるトナー母体粒子の平均円形度の算出においては、総和法を用いてもよいが、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータ取り扱い上の理由から、分割法を用いてもよい。さらに本発明のトナー母体粒子の平均円形度の測定に用いられ得る「FPIA−2100」は、トナーの形状を算出するために従来から用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μm)および処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)することにより、トナーの形状測定の精度が上がっているため、微粒子をより確実に捕捉することができる。従って、トナー母体粒子の平均円形度の算出においては、より正確に形状及び粒度分布に関する情報が得られる「FPIA−2100」を使用することが好ましい。具体的な測定法としては、23℃、60%RHの環境下で、前記分析装置により分析を行い、円相当径0.60μm〜400μmの範囲内の粒子の粒子投影像を分析してその周囲長Lを測定する。測定された周囲長から、粒子の円形度を下記式により求める。さらに、3μm〜400μmの範囲の円相当系を有する粒子について、該粒子の円形度の総和、および該粒子の個数を求める。そして、円形度の総和を、粒子の個数で除して得られる値を平均円形度とする。
円形度=L0/L
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512 の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理したときの粒子投影像の周囲長を示す。〕
詳細な測定手順を以下に述べる。あらかじめ不純物を除去した容器中の水(200〜300ml)中に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)(0.1〜0.5ml)を加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液を超音波発振器で2分間分散させ、分散液濃度を0.2〜1.0万個/μlとする。超音波発振器としては例えば以下の装置を使用し、以下の分散条件を用いる。
UH−150(株式会社エス・エム・テー社製)
OUTPUT レベル:5
コンスタントモード
上記で得られる分散液の粒子の円形度分布を測定する。測定の概略を以下に説明する。
試料分散液を、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液がフローセルを流れている間に、ストロボ光が1/30秒間隔で照射され、試料分散液に分散している粒子の画像を得る。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から、上記の円形度算出式を用いて、各粒子の円形度を算出する。算出された円形度から、前述のようにして平均円形度を求めることができる。
トナー母体粒子およびトナー粒子の帯電量は以下のように測定する。トナー母体粒子またはトナー粒子とキャリアを調製した現像剤3gを、直径2.5cm、高さ3.0cmの円柱状のステンレス容器に入れ、ボールミルで250rpmの速度で3分間攪拌する。このときの現像剤中のトナー濃度(TC)は3〜7重量%とする。この現像剤中のトナー帯電量を、横ブロー測定器を用いて測定する。得られた帯電量をQB/M180またはQT/M180とする。同様に60分間攪拌して得られた帯電量をQB/M3600またはQT/M3600とする。
合成例1
撹拌装置、温度計、N2導入口及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約1000)1000g、テレフタル酸50g、安息香酸10g、キシレン300gを加えた。N2雰囲気下で70〜100℃まで昇温して、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点108℃、Tg61℃のポリオール樹脂約1kgを得た(以下「樹脂1」という)。エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHは0.995であった。
合成例1の装置を用いて、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約1000)500g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約50000)404g、ビスフェノールA103g、p−クミルフェノール59g、キシレン300gをセパラブルフラスコに仕込んだ。N2雰囲気下で70〜100℃まで昇温して、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温して減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂1000gを得た(以下「樹脂2」という)。エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHは1.000であった。
合成例1の装置を用いて、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)302g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約3000)100g、ビスフェノールA型エチレンオキサイド付加物のジグリシジル化物〔前記一般式(3)においてn+m:約5.9〕336.0g、ビスフェノールA210g、p−クミルフェノール100g、キシレン300gをセパラブルフラスコに仕込んだ。N2雰囲気下で70〜100℃まで昇温して、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温して減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂約1kgを得た(以下「樹脂3」という)。エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHは1.005であった。
合成例1の装置を用いて、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約680)390g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約6500)403g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加物と無水フタル酸縮合の2価の酸199g、ビスフェノールA50g、p−クミルフェノール51g、キシレン300gをセパラブルフラスコに仕込んだ。N2雰囲気下で70〜100℃まで昇温して、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温して減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点112℃、Tg59℃のポリオール樹脂約1kgを得た(以下「樹脂4」という)。エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHは1.015であった。
製造例1
原料組成
バインダー樹脂:樹脂1・・・100部
着色剤:シアン顔料(銅フタロシアニン)・・・5部
帯電制御剤:ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)・・・2部
上記トナー材料をヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用いて混合した後、ロール表面を60℃に設定した2本ロールにより30分間混練を行った。その後、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)を行い、トナー母体粒子を得た。(以下「母体1」という)キャリアとの摩擦帯電量[QB/M3600]/[QB/M180]は2.3、平均円形度は0.925であった。
製造例1においてバインダー樹脂を合成例2〜4の「樹脂2」〜「樹脂4」に変更した以外は、製造例1と同一の処方、同一の方法でトナー母体粒子を得た。(以下「母体2〜母体4」という)キャリアとの摩擦帯電量[QB/M3600]/[QB/M180]は「母体2」が1.9、「母体3」が1.6、「母体4」が1.2であった。平均円形度は「母体2」が0.932、「母体3」が0.928、「母体4」が0.936であった。
製造例1においてバインダー樹脂をポリエステル樹脂に変更した以外は、製造例1と同一の処方、同一方法でトナー母体粒子を得た(以下「母体5」という)。前記ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、テレフタル酸、フマル酸を60:40:25:75のモル比で縮重合させて得た樹脂で、軟化点107℃、Tg59℃である。キャリアとの摩擦帯電量[QB/M3600]/[QB/M180]は2.1、平均円形度は0.941あった。
「母体1」100部に対し、外添剤として疎水性シリカ(HDK2000H:クラリアントジャパン社製、メタノール疎水化度;70%)を1.2部、酸化チタン(JMT−150IB:テイカ社製、粒度分布Y;0.005、メタノール疎水化度;65%)を0.9部添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナー粒子を得た。(以下「トナー1」という)キャリアとの摩擦帯電量[QT/M3600]/[QT/M180]は1.0、酸化チタンの付着率は80%であった。得られたトナーについて以下評価を行った。
実施例1において、処方については表1に示すトナー母体粒子、添加剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー2〜トナー13を作製した。ただし実施例6においてはヘンシェルミキサーでの混合時に攪拌羽根の周速を実施例1の時に周速の1.2倍、比較例2においては0.8倍とした。
なお、添加剤としては以下のものを用いた。以上より得られたトナーについて以下評価を行った。
・疎水性シリカ(HDK2000H:クラリアントジャパン社製、メタノール疎水化度;70%、抵抗値1.0×1012)
・酸化チタン(JMT−150IB:テイカ社製、粒度分布Y;0.005、メタノール疎水化度;65%、抵抗値1.0×108)
・酸化チタン(MT−150AI:テイカ社製、粒度分布Y;0.010、メタノール疎水化度;65%、抵抗値1.2×108)
実施例、比較例で得られたトナーとシリコーン樹脂により0.3μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径50μmのフェライトキャリアとをトナー5部、キャリア100部の比率で、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作製した。この現像剤を(株)リコー製デジタルフルカラー複合機『Imagio Neo C600』改造機を用いてコピーテストを実施し、以下の項目について評価を行った。コピーテストは、10万枚フルカラーモードで実施した。得られた画像の画質は、地肌汚れ、画像濃度を評価した。なお、株)リコー製デジタルフルカラー複合機『Imagio Neo C600』改造機の、本発明で規定する回転数α(回転/min)は600、ピッチβ(mm)は10、搬送行路長γ(mm)は700であり、α×β×γは、4.2×106であった。
いずれの項目も3%画像面積の画像チャートを10万枚まで連続でランニングした後、以下に述べる評価を行った。
(1)地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定した。
(2)画像濃度
3%画像面積の画像チャートの左右、中央のパッチ部の画像IDを938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定し、平均値を求めた。
評価環境を高温高湿(温度30℃/相対湿度90%)、低温低湿環境(温度10℃/相対湿度15%)にする以外は上述の室温環境と同様な評価を行った。なお、評価機を予め上記環境下で24時間放置した後に評価を行った。
以上の評価結果を表2に示す。
Claims (10)
- 少なくとも、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程および定着工程を有する画像形成方法において、前記現像工程に用いられる現像剤は、少なくとも、エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHが0.990〜1.010の分子鎖中に複数のOH基を有するポリオール系樹脂をバインダー樹脂として含むトナーと、キャリアとからなる2成分現像剤であって、前記現像工程は、少なくとも前記現像剤を攪拌帯電しながら搬送する攪拌/搬送工程を有し、前記攪拌/搬送工程は、少なくとも前記現像剤を攪拌および搬送する攪拌/搬送手段(現像手段は除く)の回転数α(回転/min)、ピッチβ(mm)、搬送行路長γ(mm)の関係が1.0×106≦α×β×γ≦16.0×106であって、前記トナーは、トナー母体粒子と外添剤とから構成され、前記トナー母体粒子は、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QB/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QB/M3600(−μC/g)の比率として、(式I)であって、
(式I) 1.5<[QB/M3600]/[QB/M180]<2.5
前記外添剤を含む前記トナーは、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QT/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QT/M3600(−μC/g)の比率として、(式II)であって、
(式II) 0.7<[QT/M3600]/[QT/M180]<1.3
前記外添剤は、少なくとも2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を含み、抵抗値の小さい一方の外添剤の粒度分布Yと添加量X(ただしトナー母体粒子100重量部に対する部数)が、以下の(式III)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
(式III) 0.1≦X≦2.0
Y≦2.6×10−3X+0.0048 - 前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子の(式IV)で表される付着率が、65%〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
(式IV) (M1/M0)×100(%)
M1:前記外添剤を含むトナーを界面活性剤水溶液に分散し、共振周波数25KHzの条件で1分間超音波処理した後にトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量、
M0:超音波処理を行う前のトナー母体表面に付着している無機微粒子重量 - 前記トナー母体粒子の平均円形度が0.910〜0.970であることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤である無機微粒子のメタノール疎水化度が、55%〜95%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子が、疎水化処理された酸化チタンであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 少なくとも、エポキシ基(EX)とOH基(OH)の比率EX/OHが0.990〜1.010の分子鎖中に複数のOH基を有するポリオール系樹脂をバインダー樹脂として含むトナーと、キャリアとからなる2成分現像剤に用いられる静電荷像現像用トナーであって、前記トナーは、トナー母体粒子と外添剤とから構成され、前記トナー母体粒子は、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QB/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QB/M3600(−μC/g)の比率として、(式I)であって、
(式I) 1.5<[QB/M3600]/[QB/M180]<2.5
前記外添剤を含む前記トナーは、前記キャリアとの攪拌による帯電性能が、3分間連続攪拌した時の帯電量QT/M180(−μC/g)と、60分間連続攪拌した時の帯電量QT/M3600(−μC/g)の比率として、(式II)であって、
(式II) 0.7<[QT/M3600]/[QT/M180]<1.3
前記外添剤は、少なくとも2種の異なる抵抗値を有する無機微粒子を含み、抵抗値の小さい一方の外添剤の粒度分布Yと添加量X(ただしトナー母体粒子100重量部に対する部数)が、以下の(式III)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(式III) 0.1≦X≦2.0
Y≦2.6×10−3X+0.0048 - 前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子の(式IV)で表される付着率が、65%〜95%であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
(式IV) (M1/M0)×100(%)
M1:前記外添剤を含むトナーを界面活性剤水溶液に分散し、共振周波数25KHzの条
件で1分間超音波処理した後にトナー母体粒子表面に付着している無機微粒子重量、
M0:超音波処理を行う前のトナー母体表面に付着している無機微粒子重量 - 前記トナー母体粒子の平均円形度が0.910〜0.970であることを特徴とする請求項6から7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤である無機微粒子のメタノール疎水化度が、55%〜95%であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記抵抗値の小さい一方の外添剤である無機微粒子が、疎水化処理された酸化チタンであることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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