JP2008260267A - 圧力調整機構、及び、液体噴射装置 - Google Patents

圧力調整機構、及び、液体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008260267A
JP2008260267A JP2007336834A JP2007336834A JP2008260267A JP 2008260267 A JP2008260267 A JP 2008260267A JP 2007336834 A JP2007336834 A JP 2007336834A JP 2007336834 A JP2007336834 A JP 2007336834A JP 2008260267 A JP2008260267 A JP 2008260267A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
gas
chamber
partition wall
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007336834A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Kobayashi
淳 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007336834A priority Critical patent/JP2008260267A/ja
Priority to US12/047,577 priority patent/US7950764B2/en
Publication of JP2008260267A publication Critical patent/JP2008260267A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】圧力調整室内に混入した気体を排出して、この気体混入に起因する不具合の発生を未然に防止することが可能な圧力調整機構、及び、これを備えた液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧力調整室39の圧力が所定の圧力より低下すると、受圧部材41が圧力調整室の内側へ変形し、導入口37に対して閉弁状態にある開閉弁40を押圧して後退させることにより開弁状態に変換するインク圧調整ユニット36において、圧力調整室を区画している区画壁を当該圧力調整室との間に介して減圧空部51を形成し、圧力調整室と減圧空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁52とし、減圧手段の作動により減圧空部内の圧力を、圧力調整室内の圧力に比較して低圧にし、当該圧力差により圧力調整室内の気体を透過区画壁を透過して減圧空部側に排出するようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット式プリンタ等の液体噴射装置等に適用される圧力調整機構、及び、これを備えた液体噴射装置に係り、特に、圧力調整室の圧力が所定の圧力より低下すると圧力調整室の内側へ変形する受圧部材を有する圧力調整機構、及び、これを備えた液体噴射装置に関する。
液体を吐出(噴射)可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する液体噴射装置の代表的なものとしては、例えば、吐出対象物(記録媒体)としての記録紙等に対してインク滴を吐出・着弾させて記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、或いはFED(面発光ディスプレー)等のディスプレー製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して吐出するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
そして、上記液体噴射装置には、液体供給源(インクカートリッジ)を装置本体側に配置し、当該液体供給源からのインクの圧力を一定圧力に調整するための圧力調整機構を設け、これらの液体供給源と圧力調整機構とを可撓性を有する液体供給チューブで接続し、圧力調整機構を介して液体供給源からのインクを液体噴射ヘッド内部に供給する構成(所謂オフキャリッジタイプ)のものが採用されている(特許文献1)。
圧力調整機構は、導入口および導出口を有すると共に液体を貯留する圧力調整室と、導入口を開閉する開閉弁と、開閉弁を導入口側に付勢する付勢部材と、圧力調整室の開口面を封止する状態で張設されたフィルム部材と、このフィルム部材に添設された作動レバー等を備えて構成されている。そして、圧力調整室の内圧が所定の圧力より低下するとフィルム部材が圧力調整室の内側へ弾性変形し、フィルム部材が弾性変形する際の押圧力を倍力した作動力で作動レバーが開閉弁を開弁位置側へ押圧することにより、インクが導入口を通じて圧力室内に流入するようになっている。
特開特開2005−186344号公報
ところで、上記液体噴射装置では、インクカートリッジから記録ヘッドのノズル開口までに至るインク流路(液体供給経路)がインクのみで満たされている状態が理想的であるが、構造上、気泡の浸入を完全に防止することは困難である。特に、上記の圧力調整機構を用いる構成では、外部の気体(空気)がフィルム部材を透過して圧力調整室内部のインクに溶け込むことで、気泡が発生することがある。この気泡が記録ヘッド側に移動すると吐出動作時の圧力変動を吸収して圧力損失の要因となったり、流路を塞ぐことによるインクの供給不足等の不具合を招いたりする虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧力調整室内に混入した気体を排出して、この気体混入に起因する不具合の発生を未然に防止することが可能な圧力調整機構、及び、これを備えた液体噴射装置を提供することにある。
本発明の圧力調整機構は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体供給源からの液体を導入口を通じて導入して貯留すると共に、貯留した液体を導出口を通じて液体供給対象側に導出する圧力調整室と、
前記導入口から前記圧力調整室への液体の導入を遮断する閉弁状態と、前記導入口から前記圧力調整室への液体の導入が可能な開弁状態とに変換可能に配設された開閉弁と、
前記圧力調整室の一側の開口面を封止する状態で配設された受圧部材と、を備え、
前記圧力調整室の圧力が所定の圧力より低下すると、前記受圧部材が圧力調整室の他側へ変形し、前記導入口に対して閉弁状態にある開閉弁を押圧して後退させることにより開弁状態に変換する圧力調整機構であって、
前記圧力調整室を区画している区画壁を当該圧力調整室との間に介して減圧空部を形成し、
前記圧力調整室と前記減圧空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁とし、減圧手段の作動により減圧空部内の圧力を、圧力調整室内の圧力に比較して低圧にし、当該圧力差により圧力調整室内の気体を透過区画壁を透過して減圧空部側に排出するようにしたことを特徴とする。
上記構成によれば、圧力調整室を区画している区画壁を当該圧力調整室との間に介して減圧空部を形成し、圧力調整室と減圧空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁とし、減圧手段の作動により減圧空部内の圧力を、圧力調整室内の圧力に比較して低圧にし、当該圧力差により圧力調整室内の気体を透過区画壁を透過して減圧空部側に排出するようにしたので、圧力調整室内に混入した気体を外部に排出することができる。このため、圧力調整室内で気泡が成長することを抑制することができ、これにより、液体内に気泡が混入することに起因して発生する不具合を防止することができる。
この構成において、前記受圧部材が、可撓性フィルムに気体の透過を阻止する気密層を設けて構成されることが望ましい。
この構成によれば、気密層を設けることによって受圧部材から気体の侵入を抑制することができるので、圧力調整室内の気体を減圧空部へ排出する機能と相俟って、液体内の気泡の混入をより確実に防止することが可能となる。
また、上記構成において、圧力調整室の前記受圧部材を挟んで外側に、当該受圧部材との間に封止空部を形成した状態で当該受圧部材全面を覆うカバー部材を設け、
前記カバー部材には、前記封止空部と外部とを連通する大気連通路を形成する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、受圧部材全面を覆うカバー部材を設けることで、封止空部内の湿度を高めることができる。これにより、封止空部内と圧力調整室内の分圧差を抑えることが可能となり、受圧部材から気体の侵入を抑制することができる。その結果、液体内の気泡の混入防止に寄与することが可能となる。また、封止空部が大気開放されているので、受圧部材の変位に支障を来すことを抑制することができる。
上記各構成において、前記透過区画壁における気体の透過速度が、前記受圧部材を透過して圧力調整室内に流入する気体の流入速度よりも高くなるように、前記圧力調整室内と前記減圧空部内との圧力差を設定する構成を採用することが望ましい。そして、この構成において、前記圧力調整室内と前記減圧空部内との圧力差を、圧力調整室周辺の環境温度における飽和水蒸気圧以上に設定するように構成することが望ましい。
この構成によれば、透過区画壁における気体の透過速度が、受圧部材を透過して圧力調整室内に流入する気体の流入速度よりも高くなるようにすることで、圧力調整室内における気体の成長をより確実に抑制することができる。
上記各構成において、前記透過区画壁を、少なくとも前記減圧手段による圧力変化を受けても形状保持可能な剛性を有する剛性壁により構成することが望ましい。
また、この構成において、前記透過区画壁を、前記液体流路を形成する構造体の一部により構成することが望ましい。
この構成によれば、透過区画壁を剛性を有する壁としたので、減圧手段によって圧力差を生じさせた場合における透過区画壁の変形や破損、液体の滲みなどを抑制することができる。また、減圧手段による圧力変動に応じて透過区画壁が撓むことによる圧力調整室内の圧力変動を防止して圧力調整機構の誤動作を抑制することが可能となる。
なお、上記構成において、前記透過区画壁を、圧力調整機構を形成する構造体と同一の材料を用いて一体に形成すると共に、圧力調整機構を形成する構造体の区画壁のうち外気と接する部分よりも薄くする構成を採用することが可能である。
この構成によれば、前記透過区画壁を、圧力調整機構を形成する構造体と同一の材料を用いて一体に形成するので、透過区画壁を別個成形して取り付ける工程を省略でき、しかも気体の透過性を高めることが可能となる。
また、上記構成において、前記透過区画壁を含む構造体を、圧力調整機構を形成する他の構造体とは異なる材料であって、前記他の構造体よりも気体透過性の高い材料を用いて形成する構成を採用することもできる。
この構成によれば、透過区画壁については気体透過性を確保しつつ他の部分では気密性をより確実にすることができる。これにより、圧力調整室内の気体をより効率良く除去することが可能となる。
また、本発明の液体噴射装置は、上記各構成の圧力調整機構を備え、
液体供給源としての液体貯留部材内に貯留された液体を、液体供給経路を通じて前記圧力調整機構に導入し、当該圧力調整機構によって圧力を調整した後、液体噴射ヘッド側に供給し、供給された液体を液体噴射ヘッドによって吐出するように構成されたことを特徴とする
この構成によれば、圧力調整機構側から気泡がヘッドの流路内に流入する虞が少ないので、気泡に起因する圧力損失や液体の供給不足等の不具合を防止することが可能となる。
また、上記構成において、前記液体貯留部材内から前記圧力調整機構の導入口に至るまでの液体供給経路の途中に、当該液体供給経路内の気泡を捕捉する気体トラップ空部を形成し、
前記気体トラップ空部を区画形成している区画壁の一部を透過区画壁とし、
当該透過区画壁を間に介して気体トラップ空部の外側に気体回収空部を形成し、
減圧手段の作動により前記気体回収空部内の圧力を気体トラップ空部内の圧力に比較して低圧にすることで、気体トラップ空部内の気体を、透過区画壁を透過して気体回収空部側に排出する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、圧力調整機構の上流側で気泡が発生することを抑えることができるので、気泡に起因する圧力損失や液体の供給不足等の不具合をより確実に防止することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。なお、本実施形態では、液体噴射装置の一形態である画像記録装置に代表されるインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンタ内部の概略構成を示す透視斜視図、図2は、プリンタの内部構成を説明する模式図である。このプリンタ1は、筐体2、給紙トレイ3、および排紙トレイ4を備えている。筐体2は、外郭としてプリンタ1の全体を覆っている部材である。この筐体2の上部には、給紙トレイ3が設けられ、筐体2の前面下部には、排紙トレイ4が設けられている。これらの給紙トレイ3及び排紙トレイ4は、給紙トレイ3には、印刷対象(吐出対象物または噴射対象物)としての記録用紙がセットされる。そして、給紙トレイ3にセットされた記録用紙は、図示しない紙送り機構によってプリンタ1の内部のプラテン14側に送り出されるようになっている。排紙トレイ4は、プリンタ内部で印刷された記録用紙をプリンタ1の外部に案内して排出するものである。
プリンタ1の内部には、筐体2の長手方向(左右方向)に沿ってガイドロッド5が架設されている。このガイドロッド5には、記録ヘッド6と後述するインク圧調整ユニット36(本発明の圧力調整機構に相当)を搭載したキャリッジ7が移動可能に軸支されている。このキャリッジ7は、図示しない駆動モータ(パルスモータ)に駆動ベルトを介して連結されている。そして、駆動モータを回転駆動すると、その駆動力が駆動ベルトを介して伝達されてキャリッジ7がガイドロッド5に沿う方向、即ち、主走査方向に往復移動するようになっている。
一方、キャリッジ7の下面(プラテン14と対向する面)に取り付けられた液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド6は、記録用紙に対向するようにノズル形成面(ノズル形成基板28。図3参照)を有し、このノズル形成面には、複数のノズル開口を列設してなるノズル列(図示せず)が複数列(例えば、6列)形成されている。この記録ヘッド6には、筐体2内に設けられた液体供給源又は液体貯留部材としての第1及び第2のインクカートリッジ8a,8bから、後述するように、各ノズル列にそれぞれ対応した色(本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンダの計6色)の液体としてのインクが供給されるようになっている。そして、記録ヘッド6に流入したインクは、圧電素子24(図3参照)の作動によって加圧され、記録ヘッド6のノズル開口からインク滴として吐出(噴射)されることによってドットを形成する。つまり、記録ヘッド6に形成された各ノズル列のノズル開口からは、それぞれ対応する色である、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンダが吐出されるようになっている。
プリンタ1では、キャリッジ7を往復移動させながらインクを記録用紙に着弾させて印刷するための領域を印刷領域としている。さらに、プリンタ1には、印刷領域よりも外側(図1において右手前側)の領域には、印刷休止状態にあるときにキャリッジ7を配置させるホームポジションが設けられている。このホームポジションには、キャッピング機構9が配設されている。キャッピング機構9は、キャップホルダ10(図2)を図示しない昇降機構によって上下動可能に備えている。このキャップホルダ10には封止手段としてのキャップ部材11が配置されている。キャップ部材11は、上面が開口したトレイ状の部材であり、例えば、エラストマーなどの弾性部材により作製されている。
キャップ部材11の内側にはインク等を吸収するための多孔質材料からなる吸収材が敷設されている。また、キャップ部材11の底面には、貫通穴12a,12bが開設されている。貫通穴12bにはチューブT1を介して大気開放バルブ13が接続されている。この大気開放バルブ13は、キャップ部材11とノズル形成面を密着させることによって形成される封止空間を大気開放することができるようになっている。さらに、貫通穴12aは、チューブT2を介してポンプユニット14に接続されている。ポンプユニット14は、チューブをローラなどで扱くことにより流体を送り出すチューブポンプや、駆動ギヤ及び従動ギヤを回転させることにより流体を下流側に送り出すギヤポンプなどにより構成され、キャップ部材11内のインクや気泡等を吸引して排出するようになっている。つまり、キャップ部材11によってノズル形成面を封止している際に、ポンプユニット14を駆動させることによって、ノズル形成面のノズル開口に負圧をかけて、当該ノズル開口から強制的にインクや気泡(気体)を排出するクリーニングを行うことができるようになっている。
このポンプユニット14の下流側には、チューブT3を介して調整装置15が接続され、この調整装置15には、チューブT4を介して第1のインクカートリッジ8aが接続されている。この第1のインクカートリッジ8aは、ブラックのインクを貯留するインクパックB、及びインクを吸収するインク吸収体17を収容している。このインクパックBは、チューブT5を介してキャリッジ7側に接続されている。また、インク吸収体17は、例えば、スポンジ等の吸水性を有する多孔質材料で構成されている。
このように構成することによって、第1のインクカートリッジ8aには、ポンプユニット14によってキャップ部材11から吸引された廃インクや気体が流入するようになっている。このとき、第1のインクカートリッジ8a内に流入した廃インクは、インク吸収体17によって吸収されるようになっている。また、第1のインクカートリッジ8aに流入する廃インク及び気体の量とこれらの流速は、調整装置15によって調整されるようになっている。
第1のインクカートリッジ8aには、チューブT6を介して第2のインクカートリッジ8bが接続され互いに連通している。この第2のインクカートリッジ8bは、シアン、マゼンダ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンダのインクをそれぞれ貯留するインクパックC,M,Y,LC,LMを備えている。この各インクパックC,M,Y,LC,LMは、それぞれチューブT7〜T11を介して、キャリッジ7側に接続されている。また、この第2のインクカートリッジ8bには、チューブT12を介して第2のインクカートリッジ8b内を大気開放するための大気開放装置18が接続されている。
そして、ポンプユニット14を駆動すると、キャップ部材11から廃インク及び気体が吸引され、この廃インク及び気体は、キャップ部材11、チューブT2、ポンプユニット14、チューブT3、調整装置15、及び、チューブT4を順に流動した後、インクカートリッジ8a内に流入する。このとき、第1のインクカートリッジ8a内に流入する廃インクは、上述したインク吸収体17によって吸収されるので、第1のインクカートリッジ8a内には、流入した気体(加圧空気)だけ流動する。そして、この加圧空気は、第1のインクカートリッジ8a内からチューブT6を介して第2のインクカートリッジ8bに流入した後、チューブT12に接続された大気開放装置18側に移動するようになっている。
即ち、ポンプユニット14が作動すると、第1及び第2のインクカートリッジ8a,8bの内圧は、上述した加圧空気によって加圧されて、それぞれのインクパックB,C,M,Y,LC,LMが加圧されるようになっている。これによって、各インクパックB,C,M,Y,LC,LMに貯留されたインクが、それぞれキャリッジ7の記録ヘッド6側に圧送されるようになっている。
つまり、本実施形態のプリンタ1では、ポンプユニット14が、キャップ部材11の封止空部に負圧をかけるクリーニング用のポンプと、各インクパックB,C,M,Y,LC,LMを加圧する加圧用のポンプとを兼ねている。そして、ポンプユニット14を駆動すると、キャップ部材11に負圧をかけて廃インク及び空気を吸引するとともに、各インクパックB,C,M,Y,LC,LMを加圧し、記録ヘッド6側に各インクを圧送するようになっている。
次に、プリンタ7に搭載される記録ヘッド6について説明する。図3は記録ヘッド6の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド6は、ヘッドケース20、振動子ユニット21、流路ユニット22等を備えて概略構成されている。
ヘッドケース20は、中空箱体状の部材であり、その先端面(下面)には流路ユニット22を固定し、内部に形成された収容空部23内には振動子ユニット21を収容している。また、このヘッドケース20には、ケース高さ方向を貫通するケース流路31が形成されている。このケース流路31の上流端は、後述するインク圧調整ユニット36の下流側連通口34と連通し、ケース流路31の下流端は、流路ユニット21の共通インク室30と連通している。
振動子ユニット21は、櫛歯状に列設された複数の圧電素子24(圧力発生手段の一種)と、この圧電素子24に駆動信号を供給するための配線部材(図示せず)と、圧電素子24を固定する固定基板25等から構成される。圧電素子24は、流路ユニット22における圧力室26を区画するダイヤフラム部(振動板)に接合されている。そして、この圧電素子24は、駆動信号の供給により伸縮駆動して圧力室26の容積を膨張又は収縮させることで、圧力室26内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動の制御によりノズル開口27からインク滴を吐出させることができる。
流路ユニット22は、ノズル開口27を列設したノズル列を有するノズル形成基板28や、インク流路を形成する流路形成基板29等の構成部材を積層した状態で接着剤で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室30(共通液体室)からインク供給口及び圧力室26を通りノズル開口27に至るまでの一連のインク流路を形成するユニット部材である。流路ユニット22における圧力室26は、ノズル開口27毎に形成されており、キャリッジ7のインク圧調整ユニット36側から共通インク室30を介してインクが供給されるように構成されている。
そして、上記プリンタ1は、記録用紙を副走査方向に沿って搬送すると共に、主走査方向に沿ってキャリッジ7を往復移動させながら、印刷データに基づいて生成された画像信号(ドットパターンデータ)により圧電素子24を駆動して記録ヘッド6からインク(インク滴)を吐出させる。これにより、プリンタ1は、記録用紙上に画像やテキストなどの記録を行う。
次に、キャリッジ7に搭載されたインク圧調整ユニット36について説明する。
図4は、本実施形態におけるインク圧調整ユニット36の断面図、図5は、インク圧力調整ユニット36の平面図である。このインク圧調整ユニット36は、インクカートリッジ8から送られてくるインクを上流側連通口33および導入口37を通じて導入して貯留すると共に、貯留した液体を導出口38および下流側連通口34を通じて記録ヘッド6(本発明における液体供給対象に相当)側に導出する圧力調整室39と、導入口37から圧力調整室39へのインクの導入を遮断する閉弁状態および導入口37から圧力調整室39へのインクの導入を許容する開弁状態とに変換可能に配設された開閉弁40と、圧力調整室39の一側の開口面を封止する状態で配設された受圧部材41とからなる圧力調整部45をユニット本体43に備えて構成されている。この圧力調整部45は各色のインクに対応して設けられており、本実施形態では、図5に示すように、合計6つの圧力調整部45a〜45eが横並びでユニット本体43に形成されている。このユニット本体43は、合成樹脂によって作製されている。
圧力調整室39は、圧力調整部45の列設方向に直交する方向に長尺な矩形の窪みによって構成されており、本実施形態では、この窪みの深さはユニット本体43の厚みに対して1/3程度となっている。また、圧力調整室39の長手方向の一端側(図4において左側)の底部には導入口37が開設され、他端側(同図において右側)の底部には導出口38が開設されている。
受圧部材41は、圧力調整室39の内圧が所定の圧力より低くなると(所定の負圧になると)、圧力調整室39の内側(図1において下方)へ弾性変形する可撓性のフィルム部材42と、このフィルム部材42の内側(圧力調整室側)に添設された作動レバー44とにより構成されている。フィルム部材42は、例えば、ポリエチレンテレフタラートフィルムとポリプロピレンフィルムをラミネートしてなる可撓性フィルムの表面に、気密層としてシリカ(SiO)を蒸着した構成となっている。即ち、この気密層を設けることによって、気体がフィルム部材42を透過することを気密層で抑制するようになっている。このフィルム部材42は、圧力調整室39となる窪みの開口部(即ち、圧力調整室39の一側の開口面)を密封するようにユニット本体43の表面に接着又は溶着されている。したがってフィルム部材42は圧力調整室39の一部を区画している。
作動レバー44は、圧力調整室39内にあって一端部44a側をユニット本体43に支持された所謂片持ち梁状態に設けられている。そして、上記の開閉弁40は、作動レバー44の重心より一端側に寄った位置で作動レバー44から作動力を受けるように配置されている。なお、この作動レバー44は、例えばステンレス鋼などの金属製の板材で構成されている。
開閉弁40は、圧力調整室39へのインクの導入を許容する開弁状態と、圧力調整室39へのインクの導入を遮断する閉弁状態(図1に示す状態)との間で変換可能に構成されており、異形コイルバネから成る付勢部材46によって閉弁位置側へ付勢された状態で、導入口37の上流側に形成された収容室47内に配設されている。開閉弁40は、円柱状の軸部48と、この軸部48の長手方向の途中から側方に延出した略円盤状の鍔部49と、鍔部49の上面側(圧力調整室39側)に配置されたパッキン50とにより構成されている。軸部48の先端部(鍔部49よりも先端側)は、その外径が導入口37の内径よりも小さくなるように形成され、導入口37を通じて圧力調整室39内に挿入されている。そして、この軸部48と導入口37の内周面との間の隙間を介して、上流側連通口33側からのインクが圧力調整室39内に導入されるようになっている。パッキン50は、例えば、エラストマーなどの弾性部材によって、所謂Oリング状に形成されている。
付勢部材46は、開閉弁40の鍔部49に当接して開閉弁40を圧力調整室39側に付勢し、圧力調整室39が所定圧力に減圧されるまで閉成状態を保持するようになっている。即ち、付勢部材46によって収容室47の天井面側に付勢される開閉弁40は、付勢部材46の弾性力に抗する応力を受けない限り、パッキン50が導入口37の開口周縁部に密着する閉弁位置に保持される。そして、この閉弁位置では、開閉弁40は、圧力調整室39へのインクの流入を遮断する。
開閉弁40によって圧力調整室39へのインクの流入が遮断されると、圧力調整室39の内圧が、記録ヘッド6によるインクの消費によって徐々に低下する。圧力調整室39内が所定圧力(記録ヘッド6がインクの吐出に支障を来す虞の無い最小圧力)まで減圧されると、受圧部材41が圧力調整室39の内側(他側)へ弾性変形し、作動レバー44を下方へ押圧する。これにより、作動レバー44は、受圧部材41が弾性変形する際の押圧力を倍力した作動力により、閉弁位置にある開閉弁40の軸部48の先端部を押圧し、付勢部材46の弾性力に抗しながら開閉弁40を開方向に移動させる。これにより、パッキン50が導入口37の開口周縁部から離間して密着状態が解除された位置(開弁位置)まで開閉弁40が変位する。この開弁位置では、導入口37を通じて圧力調整室39内へのインク流入が許容される。圧力調整室39内にインクが導入されると、この圧力調整室39の内圧は、上記最小圧力から昇圧される。圧力調整室39の内圧が昇圧されると、フィルム部材42が、圧力調整室39の上側(一側)に向かって変位する。これにより、開閉弁40が付勢部材46の弾性力によって戻り移動し、再び閉弁位置に変位して圧力調整室39へのインクの流入を遮断する。
このようにして、インク圧調整ユニット36は、開閉弁40の閉弁位置と開弁位置との間の往復移動によって記録ヘッド6に供給するインクの圧力を一定の圧力に調整して、インクの吐出不良を来たす過剰な昇圧を回避する。
ところで、上記構成のインク圧調整ユニット36では、外部の気体(空気)がフィルム部材42を透過して圧力調整室39内部のインクに混入することで、気泡が発生することがある。この気泡が記録ヘッド6側に移動すると、吐出動作時の圧力変動を吸収して圧力損失の要因となったり、インク流路を塞ぐことによるインクの供給不足等の不具合を招いたりする虞がある。このため、上記インク圧調整ユニット36は、圧力調整室39の受圧部材41を挟んで外側に、各圧力調整部45の受圧部材全面を覆うカバー部材53が取り付けられている。
図6は、カバー部材53を開口面側から観た平面図である。このカバー部材53は、インク圧調整ユニット36の平面形状に合わせて平面視矩形状に形成され、受圧部材41に対向する側の面が開口したトレイ状の部材である。本実施形態においては、図4に示すように、本体部53aと封止部材53bとを積層した二重構造となっており、封止部材53に形成された溝状の流路を封止部材53bによって封止することにより、大気連通路55を内部に形成している。そして、カバー部材53は、受圧部材41との間に封止空部54を形成した状態で、ユニット本体43に接合されている。
封止空部54は、受圧部材41側が圧力調整室39より遠ざかる方向に最大限に変位した際に当該受圧部材41にカバー部材が53が干渉しない程度の大きさに設定された空間であり、大気連通路55を介して大気と連通している。この大気連通路55は、封止空部54側に開口した内側開口56とカバー部材53の外側表面に開口した外側開口57との間を連通する流路であり、図6において破線で示すようにジグザグに蛇行するように形成することで、通路全長が可及的に長くなるように構成されている。このように大気連通路55の全長を可及的に長く設定することで、封止空部54を大気開放して受圧部材41の変位を許容しつつ、封止空部54内の水蒸気が大気連通路55を通じて外部に逃れることを抑制することができる。
そして、インク圧調整ユニット36に上記構成のカバー部材53を設けることにより、封止空部54内の湿度を可及的に高める(水蒸気飽和に近い状態にする)ことができる。これにより、封止空部54内と圧力調整室39内の分圧差を抑えることが可能となり、受圧部材41から気体の侵入を抑制することができる。その結果、インク内への気泡の混入防止に寄与することが可能となる。
また、インク圧調整ユニット36では、図4,5に示すように、圧力調整室39の底部に近接させて減圧空部51を形成し、この減圧空部51内を、後述する減圧手段(圧力差付与手段)によって圧力調整室39内の圧力に比較して低圧にし、この圧力差により圧力調整室39内の気体(気泡)を、減圧空部51と圧力調整室39との間の区画壁を透過して減圧空部51側に排出するようにしている。
上記減圧空部51は、圧力調整部45の列設方向に長尺な直方体形状の空部であり、図5において破線で示すように、各圧力調整部45a〜45eを跨って形成されている。そして、この減圧空部51は、圧力調整室39との間に当該圧力調整室39を区画している区画壁を間に介して形成されている。この減圧空部51と圧力調整室39との間の区画壁は、圧力調整室39を区画している他の区画壁よりも肉薄になっており、気体が透過可能な透過区画壁52として機能する。即ち、透過区画壁52は、インク圧調整ユニット36を形成する構造体であるユニット本体43の一部により構成されており、ユニット本体43と同一の材料を用いて一体に形成すると共に、ユニット本体43の区画壁のうち外気と接する部分よりも薄くなっている。これにより、透過区画壁52をユニット本体43とは別個に成形して取り付ける工程を省略でき、しかも他の区画壁よりも気体の透過性を高めることができる。
この透過区画壁52は、少なくとも圧力調整室39における圧力変化を受けてもその形状を保持可能な剛性を確保しつつ、圧力調整室39と減圧空部51との間での圧力差によってガス交換、即ち、気体の透過が可能な程度の厚さの剛性壁とすることが望ましい。例えば、透過区画壁52を含むユニット本体43の材質をPOM(ポリアセタール)、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、又はPP(ポリプロピレン)等のプラスチックまたはこれらのアロイとし、透過区画壁52の厚さを、他の部分の平均肉厚の10%から50%程度で、一般的には0.5mm前後に設定すると好適である。
そして、上記の減圧空部51を減圧手段によって圧力調整室39内の圧力に比較して低圧にし、この圧力差により圧力調整室39内の気体(気泡)を、透過区画壁52を透過して減圧空部51側に排出するようにしている。図7は、減圧手段によって減圧空部51を減圧する構成を説明する模式図である。同図に示すように、本実施形態における減圧手段としては、クリーニング用のポンプユニット14を用いる。具体的には、減圧空部51に通じる吸引経路59を、キャップ部材11内を減圧するためのチューブT2と並列に(図2参照)ポンプユニット14に接続し、このポンプユニット14の作動によって減圧空部51内を減圧する構成を採用している。なお、吸引経路59は、減圧空部51からポンプユニット14への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁60を介して減圧空部51の排出口61に接続されている。
上記構成においてポンプユニット14を作動させると、吸引経路59を介して減圧空部51内を減圧することができる。これにより、減圧空部51内の圧力を圧力調整室39内の圧力に比較して低圧にすることができる。この圧力差により、圧力調整室39内の気体(気泡)を、透過区画壁52を介して減圧空部51側に排出することができる。これにより、受圧部材41を通じて圧力調整室39内のインクに気体が混入したとしても、この気体を外部に排出することができる。このため、圧力調整室39内で気泡が成長することを抑制することができ、記録ヘッド6側に気泡が混入することに起因して発生する不具合を防止することができる。ひいては、気泡排出のためのクリーニング動作の実行頻度を従来よりも減らすことができるので、クリーニング動作に伴うインクの消費を少なくすることができる。
また、上記の構成においては、逆止弁60を開弁させる圧力の閾値の設定やポンプユニット14の吸引時間の設定等により減圧空部51内に付与する負圧の大きさを容易に調整することが可能である。つまり、プリンタ1の制御部(図示せず)は、減圧空部51内の圧力を調整することで、減圧空部51内と圧力調整室39内の圧力差を適宜設定することが可能である。そして、透過区画壁52における気体の透過速度が、受圧部材41を透過して圧力調整室39内に流入する気体の流入速度よりも高くなるように圧力差を設定することが望ましい。本実施形態においては、この圧力差を圧力調整室39の周辺の環境温度における飽和水蒸気圧以上に設定することが望ましい。具体的には、例えば、常温(25℃)において圧力差を5kPa以上、30kPa以下に設定すると好適である。このように圧力差を設定することで、圧力調整室39内における気体の成長を効果的に抑制することができる。なお、圧力差を5kPa以下としても、長時間その状態にしておけば同様な作用効果を得ることができるので、圧力差が0kPaより大きければよい。
ここで、単に減圧空部51と圧力調整室39との間で圧力差を付与するだけでは、減圧空部51として確保できる空間の容積等の制限や減圧手段の減圧能力によっては、気泡の成長を確実に抑制することが難しい場合がある。しかしながら、本実施形態においては、上記のカバー部材53を用いて封止空部54内(受圧部材41の外側)の湿度を可及的に高める構成を採用しているので、受圧部材41を通じて圧力調整室39内に気体が侵入することを抑制することができる。同様に、本実施形態においては、受圧部材41に気密層を設け、この気密層によって気体がフィルム部材42を透過することを抑制するようにしている。このため、上記のような制限がある場合においても、これらの相乗効果によって気泡成長の抑制効果を一層高めることができる。
そして、透過区画壁52を剛性壁とし、シリコンなどの気体透過性膜を透過区画壁として使用する構成と比較して剛性を高くしたので、減圧手段などの圧力差付与手段によって圧力差を生じさせた場合における透過区画壁の変形や破損、透過区画壁におけるインクの滲み等を抑制することができる。また、圧力差付与手段による圧力変動に応じて透過区画壁52が撓むことによる圧力調整室39内の圧力変動を防止してインク圧調整ユニット36の誤動作を抑制することが可能となる。
ところで、上記の構成は、主に受圧部材41を介して侵入する気体の成長を抑制するためのものであるので、この気泡抑制効果をより確実にするためには、インク圧調整ユニット36よりも上流側での気泡の発生を可及的に食い止めることが重要となる。そこで、上記プリンタ1では、インクカートリッジ8から供給チューブを通じてインク圧調整ユニット36の導入口37に至るまでの液体供給経路の途中に、液体供給経路内の気泡を捕捉することが可能な気体トラップ空部64を形成し、この気体トラップ空部64を区画形成している区画壁の一部を透過区画壁65とし、この透過区画壁65を間に介して気体トラップ空部64の外側に気体回収空部67を形成し、減圧手段の作動により気体回収空部67内の圧力を気体トラップ空部64内の圧力に比較して低圧にすることで、気体トラップ空部64内の気体を、透過区画壁65を透過して気体回収空部側に排出するようにしている。
本実施形態では、図7に示すように、インク圧調整ユニット36に近接させて、トラップ部66を設けている。このトラップ部66は、インク圧調整ユニット36とは別体で構成しても良いし、インク圧調整ユニット36(ユニット本体43)と一体に構成しても良い。このトラップ部66の内部には、各インクカートリッジに通じるチューブとインク圧調整ユニット36の上流側連通口33とを連通する連通流路68が形成されており、この連通流路68の途中に気体トラップ空部64が形成されている。この気体トラップ空部64は、連通流路68の他の部分よりも拡径しており、この内部には、フィルタ69が配設されている。
フィルタ69は、連通流路68(液体供給経路)内のインクを濾過するための部材であり、例えば、金属をメッシュ状に細かく編みこむなどして形成されている。本実施形態におけるフィルタ69は、液体供給経路内に混入した気泡を通過させ難くして、気体トラップ空部64内に捕捉する機能も有する。本実施形態の気体トラップ空部64は、上述したように連通流路68の内径を拡大して形成されているので、内径が小さい部分よりもインクの流速が穏やかである。このため、流入してきた気泡をフィルタ69の下流側に移動させ難くすることができ、これにより、上流側から流入した気泡をフィルタ69の上部に捕捉することが可能となる。
そして、気体トラップ空部64を区画形成している区画壁のうちの一部を他の区画壁(外気と接する部分)よりも肉薄にし、この薄い部分を透過区画壁65とし、この透過区画壁65を間に介して気体回収空部67を気体トラップ空部64の外周に形成している。この透過区画壁65は、トラップ部66を形成する構造体の一部からなり、少なくとも減圧手段(ポンプユニット14)による圧力変化を受けても形状保持可能な剛性を有する剛性壁に構成されている。そして、この透過区画壁65は、気体トラップ空部64に捕捉された気体を外部(気体回収空部67側)に逃すために設けられている。また、気体回収空部67は、逆止弁71を介して接続された吸引経路70を通じて上記のポンプユニット14に連通するように構成されている。そして、減圧手段による気体トラップ空部64内と気体回収空部67内の圧力差によって気体トラップ空部64に捕捉された気体(気泡)を透過区画壁65を透過させて気体回収空部67に排出するようにしている。これにより、液体供給経路で発生した気泡をトラップして排出することができる。
なお、気体トラップ空部64内と気体回収空部67内の圧力差を付与する方法としては、減圧には限らず、加圧による方法を採用することも可能である。この場合、連通流路68における気体トラップ空部64の下流側にこの連通流路68を開閉するための開閉弁を設けることが望ましい。
このように、インクカートリッジから供給チューブを通じてインク圧調整ユニット36の導入口37に至るまでの液体供給経路の途中に気体トラップ空部64を形成し、インク圧調整ユニット36よりも上流側での気泡の発生を抑制することで、インク圧調整ユニット36での気泡抑制効果をより確実にすることが可能となり、気泡に起因する不具合をさらに確実に防止することが可能となる。
そして、プリンタ1では、上記構成のインク圧調整ユニット36を備えているため、インク圧調整ユニット36側から気泡が記録ヘッド6の流路内に流入する虞が少ないので、気泡に起因する圧力損失やインクの供給不足等の不具合を防止することが可能となる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
上記実施形態においては、透過区画壁52を、インク圧調整ユニット36を形成する構造体であるユニット本体43と同一の材料を用いて一体に形成した例を示したが、これには限られない。例えば、図8に示す第2の実施形態のように、透過区画壁52を含む構造体を、ユニット本体43を形成する他の構造体とは別体にし、当該他の構造体よりも気体透過性の高い材料を用いて構成することも可能である。
この第2実施形態では、ユニット本体43を、第1構造体43a、第2構造体43b、第3構造体43cを積層した3層構造としている。そして、透過区画壁52を含む第2構造体43bの材料を、他の構造体43a,43cの材質よりも気体透過性の高い材料を用いて形成している。具体的には、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、又はPP(ポリプロピレン)等のプラスチックまたはこれらのアロイを採用することができる。一方、他の構造体43a,43cは、気体透過性が低い材質、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、m-PPE/PPSアロイ(変性ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドのアロイ)、液晶ポリマー、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)を用いることが望ましい。これにより、透過区画壁52については気体透過性を確保しつつ他の部分では気密性をより確実にすることができる。その結果、圧力調整室39内の気体をより効率良く除去することが可能となる。
また、上記各実施形態では、減圧手段として、クリーニング用のポンプユニット14を用いた構成を例示したが、これには限られない。即ち、減圧空部51を減圧するための専用のポンプなどを設けることも可能である。また、減圧空部51と圧力調整室39との間に圧力差を付与することができるものであれば、減圧手段として種々の構成のものを用いることができる。
また、本発明は、上記プリンタ1に限らず、液体貯留部材に貯留された液体を液体供給経路を介して液体噴射ヘッド内部に導入する構成であれば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置、マイクロピペット等の液体噴射装置にも適用することができる。
プリンタの内部構成を示す透視斜視図である。 プリンタの内部構成を示す模式図である。。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 インク圧調整ユニットの構成を説明する断面図である。 インク圧調整ユニットの構成を説明する平面図である。 カバー部材の構成を説明する平面図である。 減圧手段によって減圧空部を減圧する構成を説明する模式図である。 第2実施形態におけるインク圧調整ユニットの構成を説明する断面図である。
符号の説明
1…プリンタ,6…記録ヘッド,7…キャリッジ,8…インクカートリッジ,14…ポンプユニット,33…上流側連通口,34…下流側連通口,36…インク圧調整ユニット,37…導入口,38…導出口,39…圧力調整室,40…開閉弁,41…受圧部材,42…フィルム部材,43…ユニット本体,44…作動レバー,45…圧力調整部,51…減圧空部,52…透過区画壁,53…カバー部材,59…吸引経路

Claims (11)

  1. 液体供給源からの液体を導入口を通じて導入して貯留すると共に、貯留した液体を導出口を通じて液体供給対象側に導出する圧力調整室と、
    前記導入口から前記圧力調整室への液体の導入を遮断する閉弁状態と、前記導入口から前記圧力調整室への液体の導入が可能な開弁状態とに変換可能に配設された開閉弁と、
    前記圧力調整室の一側の開口面を封止する状態で配設された受圧部材と、を備え、
    前記圧力調整室の圧力が所定の圧力より低下すると、前記受圧部材が圧力調整室の他側へ変形し、前記導入口に対して閉弁状態にある開閉弁を押圧して後退させることにより開弁状態に変換する圧力調整機構であって、
    前記圧力調整室を区画している区画壁を当該圧力調整室との間に介して減圧空部を形成し、
    前記圧力調整室と前記減圧空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁とし、減圧手段の作動により減圧空部内の圧力を、圧力調整室内の圧力に比較して低圧にし、当該圧力差により圧力調整室内の気体を透過区画壁を透過して減圧空部側に排出するようにしたことを特徴とする圧力調整機構。
  2. 前記受圧部材は、可撓性フィルムに気体の透過を阻止する気密層を設けて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧力調整機構。
  3. 前記圧力調整室の前記受圧部材を挟んで外側に、当該受圧部材との間に封止空部を形成した状態で当該受圧部材全面を覆うカバー部材を設け、
    前記カバー部材には、前記封止空部と外部とを連通する大気連通路を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力調整機構。
  4. 前記透過区画壁における気体の透過速度が、前記受圧部材を透過して圧力調整室内に流入する気体の流入速度よりも高くなるように、前記圧力調整室内と前記減圧空部内との圧力差を設定したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の圧力調整機構。
  5. 前記圧力調整室内と前記減圧空部内との圧力差を、圧力調整室周辺の環境温度における飽和水蒸気圧以上に設定したことを特徴とする請求項4に記載の圧力調整機構。
  6. 前記透過区画壁を、少なくとも前記減圧手段による圧力変化を受けても形状保持可能な剛性を有する剛性壁により構成したことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記透過区画壁を、圧力調整機構を形成する構造体の一部により構成したことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
  8. 前記透過区画壁を、圧力調整機構を形成する構造体と同一の材料を用いて一体に形成すると共に、圧力調整機構を形成する構造体の区画壁のうち外気と接する部分よりも薄くしたことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
  9. 前記透過区画壁を含む構造体を、圧力調整機構を形成する他の構造体とは異なる材料であって、前記他の構造体よりも気体透過性の高い材料を用いて形成したことを特徴とする請求項請求項7に記載の液体噴射装置。
  10. 請求項1から請求項9の何れか一項に記載の圧力調整機構を備え、
    液体供給源としての液体貯留部材内に貯留された液体を、液体供給経路を通じて前記圧力調整機構に導入し、当該圧力調整機構によって圧力を調整した後、液体噴射ヘッド側に供給し、供給された液体を液体噴射ヘッドによって吐出するように構成されたことを特徴とする液体噴射装置。
  11. 前記液体貯留部材内から前記圧力調整機構の導入口に至るまでの液体供給経路の途中に、当該液体供給経路内の気泡を捕捉する気体トラップ空部を形成し、
    前記気体トラップ空部を区画形成している区画壁の一部を透過区画壁とし、
    当該透過区画壁を間に介して気体トラップ空部の外側に気体回収空部を形成し、
    減圧手段の作動により前記気体回収空部内の圧力を気体トラップ空部内の圧力に比較して低圧にすることで、気体トラップ空部内の気体を、透過区画壁を透過して気体回収空部側に排出するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の液体噴射装置。
JP2007336834A 2007-03-16 2007-12-27 圧力調整機構、及び、液体噴射装置 Withdrawn JP2008260267A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007336834A JP2008260267A (ja) 2007-03-16 2007-12-27 圧力調整機構、及び、液体噴射装置
US12/047,577 US7950764B2 (en) 2007-03-16 2008-03-13 Pressure regulating mechanism and liquid ejecting apparatus

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007068335 2007-03-16
JP2007336834A JP2008260267A (ja) 2007-03-16 2007-12-27 圧力調整機構、及び、液体噴射装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008260267A true JP2008260267A (ja) 2008-10-30

Family

ID=39983116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007336834A Withdrawn JP2008260267A (ja) 2007-03-16 2007-12-27 圧力調整機構、及び、液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008260267A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010076416A (ja) * 2007-12-18 2010-04-08 Seiko Epson Corp 液体供給装置及び液体噴射装置
JP2010228294A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Seiko Epson Corp 液体噴射装置
JP2011031178A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Casio Computer Co Ltd 吐出ノズル、及び吐出装置
CN102653170A (zh) * 2011-03-04 2012-09-05 精工爱普生株式会社 液体喷出装置及其控制方法
JP2020100074A (ja) * 2018-12-21 2020-07-02 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 液体供給装置及び液体噴射装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010076416A (ja) * 2007-12-18 2010-04-08 Seiko Epson Corp 液体供給装置及び液体噴射装置
JP2010228294A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Seiko Epson Corp 液体噴射装置
JP2011031178A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Casio Computer Co Ltd 吐出ノズル、及び吐出装置
CN102653170A (zh) * 2011-03-04 2012-09-05 精工爱普生株式会社 液体喷出装置及其控制方法
JP2020100074A (ja) * 2018-12-21 2020-07-02 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 液体供給装置及び液体噴射装置
JP7223254B2 (ja) 2018-12-21 2023-02-16 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 液体供給装置及び液体噴射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7950764B2 (en) Pressure regulating mechanism and liquid ejecting apparatus
JP5909317B2 (ja) 液体噴射装置
US8033659B2 (en) Liquid ejecting apparatus
JP5332407B2 (ja) 液体噴射装置
JP5967351B2 (ja) 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JP2010023500A (ja) 記録ヘッド及び記録装置
JP2008260267A (ja) 圧力調整機構、及び、液体噴射装置
JP5365170B2 (ja) 液体供給装置及び液体噴射装置
JP5073596B2 (ja) 画像形成装置
JP2007245561A (ja) 液体供給装置及び液体噴射装置
JP2013052636A (ja) 液体噴射装置
JP2008173961A (ja) 液体噴射装置
JP2009023108A (ja) 液体収納容器、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP2008173789A (ja) 液体噴射装置
US10029471B2 (en) Liquid ejecting apparatus and method for controlling liquid ejecting apparatus
JP2009126098A (ja) 液体供給装置及びその制御方法
US10870283B2 (en) Flow path members, liquid ejecting heads, and liquid ejecting apparatuses
JP2010208186A (ja) 脱泡機構及び液体噴射装置
JP5359208B2 (ja) 液体噴射装置及び液体収容装置
JP2010155467A (ja) 廃液回収方法、液体噴射装置及びカートリッジセット
JP2008296476A (ja) 液滴噴射装置
US8016397B2 (en) Liquid supply device and liquid ejecting apparatus
JP2008213314A (ja) 液体噴射装置
JP2013001064A (ja) インク供給系およびこれを搭載可能な記録装置
JP5621832B2 (ja) 液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100830

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100831

A621 Written request for application examination

Effective date: 20100907

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20120314

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120326

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007