JP2008247318A - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本実施の形態のハイブリッド車両は、バッテリを満充電後、全放電するまでモータで駆動し、その後はエンジンで駆動するが、高駆動力が必要とされる区間が予測される場合、その区間をモータとエンジンを併用して走行するように走行計画を立案する。一方、交通事情などにより必ずしも走行計画通りに走行できるとは限らないため、このような場合、エネルギーマネジメントによりかえって燃費が悪化する可能性もある。そこで、走行計画を阻害する要因を点数化したペナルティという概念を導入し、ペナルティが検出される度にエネルギーマネジメントの制御を弱め、通常走行に近づけていく。
【選択図】図1
Description
ハイブリッド車両は、例えば、発進時などのエンジン効率が悪い領域ではモータで駆動し、高速走行などのエンジン効率がよい領域では、エンジンで駆動すると共に発電機を駆動して蓄電を行うなど、モータとエンジンを相補的に協働させることにより燃費の向上を図っている。
プラグイン型ハイブリッド車両は、安価な商用電力をバッテリに充電し、なるべくこの電力で走行しようというものである。標準的な運用方法は、次の通りである。
そして、バッテリが全放電するまでバッテリの電力だけで走行し、バッテリが全放電した後はエンジンによって走行する。
なお、バッテリには、劣化を防ぐために充電量の上限値と下限値が決められているが、上限値程度まで充電することを満充電と記し、下限値程度まで放電すること全放電と記すことにする。
この技術は、これから走行を予定している走行経路を予め推測し、最も効率がよくなるようにエンジンとモータの駆動配分を計画するものである。
このようにエネルギーマネジメントを行う記述としては、次の特許文献1の「ハイブリッド車両の駆動制御システム」がある。
(2)請求項2に記載の発明では、前記計画手段は、前記目的地に達した際にバッテリの充電量が所定の下限値まで放電しているように、前記バッテリの放電を計画することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、走行に必要とされる駆動力を前記走行経路に沿って予測する予測手段を具備し、前記計画手段は、前記走行経路のうち、所定値よりも大きい駆動力を必要とする区間を基準として前記併用区間を計画することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のハイブリッド車両を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記変更手段は、前記所定値よりも大きい駆動力を必要とする区間を基準として、前記併用区間のうちモータ区間に変更する区間を決定することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記事象は、走行経路からの離脱、渋滞の発生、急加減速のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のハイブリッド車両を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、外部電源に接続する接続手段と、前記接続した外部電源から前記バッテリに充電する充電手段と、を具備したことを特徴とする請求項1から請求項5までのうちの何れか1の請求項に記載のハイブリッド車両を提供する。
本実施の形態のハイブリッド車両は、バッテリを満充電後、全放電するまでモータで駆動し、その後はエンジンで駆動するが、例えば、上り坂など、高駆動力が必要とされる区間が予測される場合、その区間をモータとエンジンを併用して走行するように走行計画を立案する。これによって高駆動力区間でのバッテリの消耗を抑制し、燃費を向上させることができる。
そこで、例えば、経路外れや渋滞などの走行計画を阻害する要因を点数化したペナルティという概念を導入し、ペナルティが検出される度にエネルギーマネジメントの制御を弱め、通常走行に近づけていく。このため、最悪でもプラグイン型ハイブリッド車両としての通常走行の燃費を確保することが可能となる。
本実施の形態では、プラグイン型ハイブリッド車両を対象とする。現在、プラグイン型ハイブリッド車両に対して、エネルギーマネジメントを行う技術が研究されているが、まず、これについて説明する。
以下、モータで走行する区間をモータ区間と呼び、エンジンで走行する区間をエンジン区間と記す。
なお、モータ区間とエンジン区間は、モータを主として使用する区間とエンジンを主として使用する区間を示す概念的なものであり、例えば、エンジン区間であっても発進の場合はモータでエンジンを補助するなど、両者を併用する場合もある。
そこで、これから走行するモータ区間に、高駆動力を要する区間があることが予め分かっている場合は、その区間でエンジンとモータの両方を駆動し、エンジンを高効率の領域で回転させると共に、駆動力の不足分をモータで補うなどして、トータルでの燃料消費量を低減することが可能である。
このように、モータとエンジンの両方を駆動する区間をハイブリッド区間と呼ぶことにする。
この走行計画は、プラグイン型ハイブリッド車両が目的地に到着した時点でバッテリを全放電しているように設定され、回生によるバッテリの充電は行うが、エンジンによる充電は行わない。
このように、エネルギーマネジメントにより予めバッテリの使用を走行経路に沿って計画すると、エネルギーマネジメントを行わない場合よりも燃料の消費量を少なくすることができる。
最悪の場合は、エネルギーマネジメントをしない場合よりも燃費が低下することも考えられる。
そこで、本実施の形態は、プラグイン型ハイブリッド車両のエネルギーマネジメント方法を更に進展させるために、ペナルティという概念を導入し、初期の走行計画を走行状態に応じて変更する方法も提案する。
事象と点数の定義は、システムの設計者がシミュレーション結果などを基に行うが、実際の走行から学習するように構成してもよい。
ペナルティの点数は、事象が生じる度に加算され、加算値に従ってエネルギーマネジメントの制御が弱められるようになっている。
そして、ペナルティが予め設定した最大値に達した場合は、エネルギーマネジメントによる制御が停止され、エネルギーマネジメントを行わない制御となる。
図1は、本実施の形態のプラグイン型ハイブリッド車両に搭載するECU(Engine Control Unit)の構成を模式的に示したブロック図である。
なお、以下では、プラグイン型ハイブリッド車両を単にハイブリッド車両と記すことにする。
そして、ECU1には、周辺機器として、通信部2、バッテリセンサ3、燃料センサ4、地図DB9などが接続している。
また、図示しないが、ハイブリッド車両は、ECU1の周辺装置として、家庭用コンセントなどの外部電源に接続する接続手段と、これによってバッテリを充電する充電手段も備えている。
バッテリの充電量は、モータが駆動すると低下し、回生電力によって増加する。
燃料センサ4は、燃料タンクの燃料の容積を検知する燃料メータであって、検知した燃料の量をエネルギー情報取得部5に送信する。
地図DB9は、ノードやリンクで構成されたルート検索用の地図や、ユーザに表示するための地図などが格納されている。
ECU1は、地図DB9の地図データを用いてエネルギーマネジメントによるスケジューリング走行を行うことができる。
また、エネルギー情報取得部5は、バッテリセンサ3や燃料センサ4の出力値がアナログ信号であった場合に、これをデジタル信号に変換することも行う。
出発地と目的地、及び走行経路の設定は、エネルギーマネジメントを行うのに必要な設定であり、ユーザが手動で行ってもよいし、あるいは、学習によってナビゲーションシステム8が推測するように構成することもできる。
そして、ユーザが走行パターンに一致する操作を行った場合は、過去の走行パターンから走行経路と目的地を推測する。
上の例では、例えば、ユーザが火曜日の午前8時に発車する場合、ナビゲーションシステム8は、会社を目的地に設定し、いつもの走行経路を予定走行経路に設定する。
エネルギーマネジメントシステム7は、通常モードでは、まず、バッテリの電力を使い切るまでモータ走行し、その後エンジン走行に切り替える。
また、ペナルティ検知部11でペナルティが検出されると、エネルギーマネジメントシステム7は、点数に応じて走行計画を変更し、エネルギーマネジメントの制御を弱める。
より詳細には、ペナルティ検知部11は、経路外れ、渋滞、急発進・急減速などのペナルティとなる事象と、その点数を対応づけて記憶している。
そして、ペナルティ検知部11は、ハイブリッド車両が節約モードで走行している間、ナビゲーションシステム8から走行データを逐次受信し、これを解析して、ペナルティが発生したか否かを判断する。
ペナルティ検知部11は、ペナルティの点数を記憶する点数記憶部を備えており、ペナルティが発生する度に点数記憶部に点数を加算して、エネルギーマネジメントシステム7に通知する。
エンジン制御部10は、エネルギーマネジメントシステム7から指定された要求駆動力をエンジンに発生させるように、燃料の供給などを制御する。
なお、以下では各種グラフを用いて説明するが、変化を見やすくするために目盛は必ずしも比例配分されていない。
図2(a)は、通常モードで走行路を走行した場合の燃料消費量の経時変化を示したグラフである。
図2(a)の例では、エネルギーマネジメントシステム7は、走行を開始してから500(秒)経過するまではモータ走行を行い(モータ区間)、その後800(秒)で目的地に至るまではエンジン走行を行っている(エンジン区間)。
これは、走行開始後500(秒)でバッテリが全放電したため、エネルギーマネジメントシステム7は、500(秒)においてエンジンを始動したためである。
そのため、発車後500(秒)までは、燃料の消費量が0となっており、500(秒)以降は、800(秒)に至るまで燃料を消費している。図の例では、目的地到達までにa(g)の燃料が消費されている。
通常モードでは、必要とされる駆動力に関わらず、モータ区間の後にエンジン区間が設定される。
エネルギーマネジメントシステム7は、ナビゲーションシステム8が推測した出発地、目的地、及び走行経路を取得すると共に、走行経路上の各地点の標高など、必要とされる駆動力を計算する情報を取得する。
なお、必要とされる駆動力は、標高による計算ではなく、過去に当該走行経路を走行した際に出力した駆動力を記憶しておき、学習によって取得してもよい。
図2(b)の例では、エネルギーマネジメントシステム7は、走行区間を第1モータ区間(0〜200(秒)の区間)、ハイブリッド区間(200〜400(秒)の区間)、第2モータ区間(400〜800(秒)の区間)に、分割区分して走行計画を設定している。
エネルギーマネジメントシステム7は、この走行計画に従ってモータとエンジンを駆動することになる。
また、ハイブリッド区間では、エネルギーマネジメントシステム7は、エンジンとモータの両方を駆動させるため、燃料が消費されている。
ハイブリッド区間では、バッテリの消耗が抑制されるため、図2(b)の例では、ハイブリッド区間で温存されたバッテリ余力によって目的地までモータ走行している。そのため、第2モータ区間では、燃料消費量が0となっている。
図2(b)の例では、燃料消費量がb(g)となっており、通常モードよりも(a−b)(g)少なくなっている。
図3(a)は、図2(a)に対応する図であって、通常モードでのSOC(State of Charge)の経時変化を示した図である。
なお、本実施の形態では、SOCは、d%で満充電、h%で全放電となっている。
図3(a)に示したように、発車時はSOCが満充電のd%であり、モータ区間の終了時では全放電のh%となっている。途中の200(秒)から400(秒)の高駆動力区間では、エンジンを用いずにモータだけで高い駆動力を出力するためにSOCがe%からf%まで、即ち、(e−f)%低下している。
図3(b)に示したように、節約モードでは、200秒から400秒までの高駆動力区間をハイブリッド区間としてエンジンによる駆動力も用いるため、SOCはe%からg%まで、即ち、(e−g)%の低下で、図3(a)の(e−f)%よりも低下量が少なくなっている。
そして、ハイブリッド車両は、第2モータ区間をモータで走行し、目的地に到着する際にバッテリが全放電する。
なお、本実施の形態では、ペナルティに該当する事象を、経路外れ、渋滞、急発進・急停車としたが、これは一例であって、このうちの少なくとも1つ、あるいは、急旋回などの他の事象をペナルティとすることができる。
図4では、エネルギーマネジメントシステム7が発車前に計画した最初のハイブリッド区間を初期設定ハイブリッド区間、変更後のハイブリッド区間を変更後ハイブリッド区間と記してある。
エネルギーマネジメントシステム7は、ペナルティ検知部11からペナルティの点数を受信すると、その点数に応じてハイブリッド区間を短縮し、短縮された区間をモータ区間とする。
このように、エネルギーマネジメントシステム7は、ペナルティの点数に応じてハイブリッド区間の一部(点数が所定の閾値以上となる場合は全部)をモータ区間に変更することにより、エネルギーマネジメントによる制御を通常の制御に近づけていく。
この後、ペナルティが検知されると、更に、ハイブリッド区間がモータ区間に変更される。
図に示した例では、変更後の節約モードでは目的地に至る前にバッテリが全放電し、エンジン走行するため、初期の節約モードよりは燃料消費量が増えるが、節約モードで走行する区間もあるため、通常モードでの消費量よりは少なくなっている。
図5は、走行経路に沿ってエネルギーマネジメントシステム7がモータとエンジンに出力させる駆動力(パワー)を示している。
エネルギーマネジメントシステム7は、走行計画を立案する際に、標高や過去の学習などにより、走行に要する駆動力を出発地から目的地に至るまで推測する。
そして、初期閾値以上となる区間を特定し、この区間を基準としてハイブリッドに設定する。
図5の例では、200(秒)から400(秒)までの区間が初期閾値以上となっており、この区間を初期設定のハイブリッド区間としている。
例えば、単純に所定閾値以上となる区間をハイブリッド区間とすることもできるし、あるいは、短時間所定閾値を下回る区間があっても、この下回る区間を含めてハイブリッド区間とすることもできるし、あるいは、駆動力の移動平均値(ある時点の平均値を過去の一定区間に渡って平均した値とするもの)が所定閾値以上となる区間としてもよい。
このようにして、エネルギーマネジメントシステム7は、エネルギーマネジメントの制御をペナルティに応じて弱め、節約モードから通常モードに段階的に移行させる。
なお、図5では、ペナルティによる閾値よりも駆動力が低い部分もハイブリッド区間となっているが、これは、ハイブリッド区間を短縮する場合、区間内での駆動力の落ち込みを無視するようになっているためであり、駆動力がペナルティありの閾値よりも落ち込む区間を除いてハイブリッド区間を設定するように構成することもできる。
ユーザがハイブリッド車両を始動すると、ナビゲーションシステム8が起動し、通常モードと節約モードの何れかを選択する。
この選択は、例えば、過去の走行パターンの学習により、又は、ユーザの設定により、行われる。
また、ペナルティ検知部11が点数記憶部に記憶する点数の初期値は0となっている。
このように、ハイブリッド車両は、ペナルティの監視により走行中に走行計画を阻害する事象の発生を検知する検知手段を備えている。
を検知した場合(ステップ15;Y)、ルート外れに設定されているペナルティの点数を点数記憶部に加算する(ステップ20)。
ステップ20で点数を加算した後、又はルート外れを検知しなかった場合(ステップ15;N)、ペナルティ検知部11は、走行データによって渋滞の発生を確認し、渋滞を検知した場合(ステップ25;Y)、渋滞に設定されているペナルティの点数を点数記憶部に加算する(ステップ30)。
ステップ40で点数を加算した後、又は急発進・急停車を検知しなかった場合(ステップ35;N)、ペナルティ検知部11は、点数記憶部に記憶している点数をエネルギーマネジメントシステム7の制御部に出力する(ステップ45)。
このように、ハイブリッド車両は、検知手段(ペナルティ検知部11)で走行計画を阻害する事象を検知した場合に、併用区間(ハイブリッド区間)の少なくとも一部をモータ区間に変更する変更手段を備えている。
ペナルティ検知部11は、以上のステップ15〜45の処理を走行中に繰り返し継続して行う。
(1)プラグイン型ハイブリッド車両において、エネルギーマネジメントを行うことができる。
(2)ペナルティという概念を導入することにより、エネルギーマネジメントで予定した走行計画からのずれを数値化することができる。
(3)ペナルティに応じて、エネルギーマネジメントの制御をこれを行わない制御に近づけることができる。
(4)走行途中でペナルティに応じて走行計画を変更し、これによって燃料消費量を節約することができる。
2 通信部
3 バッテリセンサ
4 燃料センサ
5 エネルギー情報取得部
6 モータ制御部
7 エネルギーマネジメントシステム
8 ナビゲーションシステム
9 地図データベース
10 エンジン制御部
11 ペナルティ検知部
Claims (6)
- エンジンとモータによって駆動力を発生するハイブリッド車両であって、
出発地から目的地までの走行経路を取得する走行経路取得手段と、
前記取得した走行経路を、前記モータを駆動するモータ区間と、前記エンジンを駆動するエンジン区間と、前記モータと前記エンジンを駆動する併用区間と、に区分することにより、前記走行経路に沿って走行を計画する計画手段と、
走行中に前記計画を阻害する事象の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段で前記事象を検知した場合に、前記併用区間の少なくとも一部をモータ区間に変更する変更手段と、
を具備したことを特徴とするハイブリッド車両。
- 前記計画手段は、前記目的地に達した際にバッテリの充電量が所定の下限値まで放電しているように、前記バッテリの放電を計画することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
- 走行に必要とされる駆動力を前記走行経路に沿って予測する予測手段を具備し、前記計画手段は、前記走行経路のうち、所定値よりも大きい駆動力を必要とする区間を基準として前記併用区間を計画することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のハイブリッド車両。
- 前記変更手段は、前記所定値よりも大きい駆動力を必要とする区間を基準として、前記併用区間のうちモータ区間に変更する区間を決定することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両。
- 前記事象は、走行経路からの離脱、渋滞の発生、急加減速のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のハイブリッド車両。
- 外部電源に接続する接続手段と、
前記接続した外部電源から前記バッテリに充電する充電手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1から請求項5までのうちの何れか1の請求項に記載のハイブリッド車両。
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