JP2008239653A - インクジェット用インクの黒色着色材及びインクジェット用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、着色力及び漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、耐候性に優れているインクジェット用インクの黒色着色材及び該インクジェット用インクの黒色着色材を含有する分散性、分散安定性及び耐光性に優れたインクジェット用インクを提供するものである。
【解決手段】 黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックにシリカが内包されていることを特徴とするインクジェット用インクの黒色着色材であって、該インクジェット用インクの黒色着色材の酸量が0.3mol/kg以下であるインクジェット用インクの黒色着色材、該黒色着色材を用いたインクジェット用インクである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着色力及び漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、耐候性に優れているインクジェット用インクの黒色着色材及び該インクジェット用インクの黒色着色材を含有する分散性、分散安定性及び耐光性に優れたインクジェット用インクを提供するものである。
パソコンを始めとする各種OA機器は、業務用、家庭用を問わず急速に普及しつつあり、その記録装置の一つであるインクジェットプリンタもまた、最近の価格低下と品質の向上から、広く普及しつつある。
近年、インクジェットプリンタは、高精細、高光沢の銀塩写真並みの画質レベルが実現されつつあり、それに伴って、印刷物が多様な用途に利用されるようなり、印刷物の長期における保存性(耐候性)が重視されるようになってきた。
従来、インクジェット用インクの黒色着色材としては、ヘッド部分の目詰まり、インクの分散安定性、彩度等の点から染料が用いられているが、染料には毒性問題があり、また、近年の印刷物の耐候性向上の要求から、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることが試みられている。
しかしながら、インクジェット用インクの黒色着色材としてカーボンブラック等の黒色顔料を用いた場合は、黒色着色材として染料を用いた場合と比較して、印刷画像の濃度が高く、また、耐候性の点において優れているが、インクジェット用インクはその構成成分の8割が水であるため、一般に、疎水性表面を有するカーボンブラックや、有機物である黒色有機顔料の分散は困難であった。また、顔料は染料と違って水等の溶媒には不溶であるため、インクジェット用インクを長期間安定に保つことは困難であると共に、ヘッド部分の目詰まりを起こしやすいという問題を有している。
一方、着色材の粒子サイズが微細化することにより、ヘッド部分の目詰まりを減少させることが期待できるが、反面、インク組成中における分散が困難になると共に、耐候性が低下するという問題が生じる。
これまでに、高品位の印刷画像を得ることを目的として、顔料及びコロイダルシリカを含む水性インクジェット用記録液(特許文献1及び2)が提案されている。
また、微細且つ耐候性に優れた着色材として、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に有機顔料またはカーボンブラックが均一な付着層を形成している複合粒子粉末からなるインクジェット用インクの黒色着色材(特許文献3乃至6)が提案されている。
特開平9−227812号公報 特開2000−53901号公報 特開2003−327866号公報 特開2003−268278号公報 特開2003−327880号公報 特開2006−111875号公報
着色力及び漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、耐候性に優れているインクジェット用インクの黒色着色材は、現在最も要求されるところである。
即ち、特許文献1及び2には、顔料及びコロイダルシリカを含む水性インクジェット用記録液が記載されているが、有機顔料自体のζ電位はゼロに近いことから、ビヒクル中における静電反発効果が得られにくく、そのため、ビヒクル中における良好な分散性及び分散安定性を得ることは困難となる。また、着色に関与しないコロイダルシリカを多量に添加しているので顔料濃度を上げることができず、印刷画像の高濃度化には不利である。
また、特許文献3には、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が均一な付着層を形成している平均粒子径0.001〜0.15μmの黒色複合粒子粉末が記載されているが、後出比較例に示す通り、芯粒子としてシリカ粒子等の白色無機粒子粉末を用いているため、付着させる原料黒色顔料と同等もしくはそれ以上の高い着色力を容易に得ることは困難であった。
そこで、本発明は、着色力及び漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、優れた耐候性を有するインクジェット用インクの黒色着色材を提供することを技術課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックにシリカが内包されていることを特徴とするインクジェット用インクの黒色着色材である(本発明1)。
また、本発明は、インクジェット用インクの着色材に含まれるシリカが、インクジェット用インクの着色材に対して、Si換算で0.001〜9.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクの黒色着色材である(本発明2)。
また、本発明は、本発明1又は本発明2に記載のインクジェット用インクの黒色着色材を含有するインクジェット用インクである(本発明3)。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材は、着色力と漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、耐候性に優れていることから、インクジェット用インクの黒色着色材として好適である。
本発明に係るインクジェット用黒色インクは、前記特性を有するインクジェット用インクの黒色着色材を用いることから、分散性、分散安定性及び耐候性に優れたインクジェット用インクとして好適である。
以下に、本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材について述べる。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材は、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックにシリカが内包されている黒色複合粒子からなるからなる。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の酸量は、0.3mol/kg以下である。酸量が0.30mol/kgを超える場合、粒子表面に存在するシラノール基が多量であり、反応性が高くなるため好ましくない。好ましくは0.25mol/kg以下であり、より好ましくは0.20mol/kg以下である。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材に含まれるシリカ量は、Si換算で、インクジェット用インクの黒色着色材に対して0.001〜9.0重量%であり、より好ましくは0.005〜7.0重量%であり、最も好ましくは0.01〜5.0重量%である。シリカ量がSi換算でインクジェット用インクの黒色着色材に対して0.001重量%未満の場合には、インクジェット用インクの黒色着色材に内包されるシリカ量が少なすぎるため、インクジェット用インクの黒色着色材のζ電位がほぼゼロとなり、静電反発効果が得られないため、ビヒクル中における分散性が悪くなる。また、シリカがほとんど存在しないために、十分な耐候性を得ることが困難である。一方、9.0重量%を超える場合には、インクジェット用インクの黒色着色材に内包されるシリカ量が多すぎるため、十分な着色力を得ることが困難となる。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の平均一次粒子径は、好ましくは1〜50nmであり、より好ましくは1〜40nm、最も好ましくは1〜30nmである。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の一次粒子の粒子径の粒度分布は、一次粒子の粒子径の幾何標準偏差値として2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.5以下である。2.0を超える場合には、黒色複合顔料の粒度分布が広く、インクジェット用インク中における分散性及び分散安定性が低下するため好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の個数換算平均粒子径は、150nm以下が好ましく、より好ましくは1〜100nm、更に好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜40nmである。インクジェット用インクの黒色着色材の個数換算平均粒子径が150nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎ、これを用いて得られたインクジェット用インクは、インクジェット記録装置のヘッド部分への目詰まりを抑制することが困難となるため好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の体積換算平均粒子径は、1〜150nmが好ましく、より好ましくは1〜125nmであり、更により好ましくは1〜100nmである。インクジェット用インクの黒色着色材の体積換算平均粒子径が150nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎ、これを用いて得られたインクジェット用インクは、インクジェット記録装置のヘッド部分への目詰まりを抑制することが困難となるため好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材のBET比表面積値は、20〜500m/gが好ましく、より好ましくは25〜400m/g、更により好ましくは30〜300m/gである。BET比表面積値が20m/g未満の場合には、粒子が粗大であり、着色力が低下する。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の黒色度は、後述する評価方法において、黒色度比ΔL 値で100.0以上であることが好ましく、より好ましくは101.0以上であり、更により好ましくは102.0以上である。ΔL 値が100未満の場合、原料である黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックに比べ漆黒性が低下するため好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の着色力は、後述する評価方法により103%以上が好ましく、より好ましくは104%以上であり、更により好ましくは105%以上である。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下であり、更に好ましくは4.0以下である。ΔE値が5.0を超える場合には、これを着色材として用いたインクジェット用インクによって印刷された印刷物は、十分な耐候性を有さない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材のζ電位は、−5mV以下であることが好ましく、より好ましくは−8mV以下であり、更に好ましくは−10mV以下である。ζ電位が−5mVよりゼロに近くなると、静電反発効果による良好な分散性及び分散安定性を得ることは困難である。
次に、本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材を含有するインクジェット用インクについて述べる。
本発明に係るインクジェット用インクは、前記インクジェット用インクの黒色着色材、分散剤及び水からなり、必要に応じて、水溶性樹脂、浸透剤、保湿剤、水溶性溶剤、pH調整剤、防腐剤等を含有してもよい。
インクジェット用インク中における黒色着色材の割合は、インク構成溶液に対して1〜20重量%が好ましい。
インクジェット用インク中における分散剤の割合は、インクジェット用インクの黒色着色材に対して5〜200重量%が好ましく、より好ましくは7.5〜150重量%、最も好ましくは10〜100重量%である。
分散剤としては、界面活性剤及び/又は高分子分散剤等を用いることができる。インクジェット用インク中における黒色着色材の分散性及び分散安定性を考慮すれば、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が好ましく、高分子分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体等の水溶性樹脂が好ましい。
具体的には、アニオン系界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を用いることができ、より好ましくは硫酸エステル塩及びスルホン酸塩である。
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等を用いることができ、より好ましくはポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤である。
カチオン系界面活性剤としては、具体的には、アミン塩型カチオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤等を用いることができ、より好ましくは第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤である。
高分子分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸誘導体等のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
本発明に係るインクジェット用インクは、溶媒として水と、必要に応じて水溶性有機溶剤を用いることができる。インクジェット用インク中における水溶性有機溶剤の割合は、インク構成溶液に対して1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜40重量%、最も好ましくは1〜30重量%である。
水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル等を単独で用いても、混合して用いてもよい。
本発明に係るインクジェット用インクの個数換算分散平均粒子径は、1〜150nmが好ましく、より好ましくは1〜100nm、更により好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜40nmである。個数換算分散粒子径が150nmを超える場合には、ヘッド部分の目詰まりを起こしやすくなると共に、インクジェット用インク中の着色材の分散安定性が低下する。
本発明に係るインクジェット用インクの体積換算分散平均粒子径は、1〜150nmが好ましく、より好ましくは1〜125nmであり、更により好ましくは1〜100nmである。体積換算分散粒子径が150nmを超える場合には、ヘッド部分の目詰まりを起こしやすくなると共に、インクジェット用インク中の着色材の分散安定性が低下する。
本発明に係るインクジェット用インクの分散安定性は、後出評価方法における目視観察において、5又は4が好ましく、より好ましくは5である。また、個数換算分散粒子径の変化率は10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下である。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色度は、後述する評価方法において、黒色度比ΔL 値で100.0以上であることが好ましく、より好ましくは101.0以上であり、更により好ましくは102.0以上である。ΔL 値が100未満の場合、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラック単独に比べ漆黒性が低下するため好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの着色力を表わす比吸光係数ε(重量基準)は、後述する評価方法で、1.10以上であることが好ましく、より好ましくは1.20〜5.00であり、更に好ましくは1.30〜5.00である。
本発明に係るインクジェット用インクを用いて得られた印刷画像の耐候性は、ΔE値で3.0以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、最も好ましくは2.0以下である。
本発明に係るインクジェット用インクのヘッド部分の耐目詰まり性は、後出評価方法における目視観察において、5又は4が好ましく、より好ましくは5である。
次に、本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材の製造法について述べる。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材は、芯粒子としてのシリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックを添加し、混合攪拌して前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面に黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックが付着している黒色複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該黒色複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることにより得ることができる。
本発明におけるシリカ粒子の平均一次粒子径は、1〜100nmが好ましく、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜30nmである。
本発明におけるシリカ粒子のBET比表面積値は10〜1000m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜500m/gである。
本発明における表面改質剤としては、シリカ粒子の粒子表面へ有機顔料を付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。より好ましくは、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物である。
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
表面改質剤の被覆量は、芯粒子であるシリカ粒子に対してC換算で0.05〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜12.0重量%、更により好ましくは0.15〜10.0重量%である。0.05〜15重量%とすることで、シリカ粒子100重量部に対して、有機顔料を10〜500重量部付着させることができる。
本発明における黒色有機顔料としては、ペリレンブラック、アニリンブラック等を、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
なお、黒色をより鮮明にするために他の有機顔料を補色として併用してもよい。例えば、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料からなる青色系有機顔料を使用することができる。但し、アルカリブルーのような耐アルカリ性の弱い顔料を用いることは好ましくない。
黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの添加量は、芯粒子であるシリカ粒子100重量部に対して10〜500重量部であり、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
本発明における黒色複合粒子は、シリカ粒子と表面改質剤とを混合し、シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで、表面改質剤によって被覆されたシリカと黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックを混合することによって得ることができる。添加した表面改質剤は、ほぼ全量がシリカ表面に被覆される。
シリカ粒子と表面改質剤の混合攪拌、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックと粒子表面に表面改質剤が被覆されているシリカ粒子とを混合攪拌するための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混錬機、ボール型混錬機、ブレード型混錬機、ロール型混錬を用いることができ、ホイール型混錬機がより効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、このましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラー、であり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤で被覆した後、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラック、必要により補色の有機顔料を添加し、混合攪拌して黒色有機顔料及び/又はカーボンブラック、補色の有機顔料を表面改質剤被覆シリカ粒子の粒子表面に付着させる。このとき、必要に応じて乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。黒色有機顔料及び/又はカーボンブラック、補色の有機顔料は少量ずつを、5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度の時間をかけながら添加するか、若しくは、シリカ粒子100重量部に対して5〜25重量部の黒色有機顔料及び/又はカーボンブラック、補色の有機顔料を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常、40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
得られた黒色複合粒子の一次粒子の平均粒子径は1〜100nmであり、より好ましくは1〜75nm、更により好ましくは1〜50nmである。
黒色複合粒子のBET比表面積値は、10〜1000m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜800m/g、更により好ましくは20〜500m/gである。
黒色複合粒子の黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの脱離の程度は、後出評価方法における目視観察において、4又は3が好ましく、より好ましくは4である。黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの脱離の程度が2以下の場合には、脱離した黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックが再結晶化又は凝集等を起こすことにより粗大化したまま、最終生成物であるインクジェット用インクの黒色着色材に混在するため、好ましくない。
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材は、上記黒色複合粒子をアルカリで処理して一部のシリカ成分が残存するように、シリカ又はシリカ及び表面改質剤を溶解することで得られる。
溶解に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア等を使用することができる。
溶解処理を行う際の溶解液中の黒色複合粒子濃度は、水100mlに対して1.0〜30.0重量部が好ましく、より好ましくは2.5〜25.0重量部、更に好ましくは5.0〜20.0重量部である。
黒色複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際の溶解液のアルカリ量は、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を全量溶解させるために必要なアルカリ量の0.01〜0.95倍が好ましく、より好ましくは0.02〜0.90倍、更に好ましくは0.05〜0.85倍である。0.95倍を超えるアルカリ量で処理した場合、残存Si量が少なくなりすぎるため、分散性及び分散安定性に必要なζ電位を得ることができない。アルカリ量が0.01倍より少ない場合、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、インクジェット用インクの黒色着色材に対して9重量%以下まで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
黒色複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際のpHは10.0〜13.8が好ましく、より好ましくは11.0〜13.6であり、更に好ましくは11.5〜13.4である。pHが13.8を超えると、アルカリによる黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックへのダメージが大きくなり、優れた漆黒性を有するインクジェット用インクの黒色着色材を得ることが困難である。pHが10.0未満の場合、黒色複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、インクジェット用インクの黒色着色材に対して9重量%以下まで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
溶解処理を行う際の処理温度は、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜90℃、更により好ましくは50〜80℃である。40℃未満の場合にはシリカの溶解に50時間を超えるような長時間を要するため、工業的に不利となる。100℃を超える場合には、黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックへのダメージにより優れた耐候性を有するインクジェット用インクの黒色着色材を得ることが困難であるとともに、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的にも好ましくない。
溶解処理を行う際の処理時間は、5分〜50時間が好ましく、より好ましくは10分〜30時間、更により好ましくは20分〜10時間である。処理時間が50時間より長い場合、長時間の溶解処理となるため工業的に好ましくない。
溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、洗浄後、通常の乾燥又は凍結乾燥させる方法を用いて取り出すことができる。本発明で得られたインクジェット用インクの黒色着色材は、通常の乾燥を行った場合においてもシリカ又はシリカ及び表面改質剤による静電反発効果により分散が容易である。
次に、本発明に係るインクジェット用インクの製造方法について述べる。
本発明に係るインクジェット用インクは、所定量の本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材、分散剤及び水、必要により、浸透剤、保湿剤、水溶性溶剤、pH調整剤、防腐剤等の添加剤とを分散機により混合分散して、一次分散液を作製した後、更に水、水溶性溶剤及びその他添加剤を添加して混合分散し、次いで、メンブランフィルターを用いて濾過することによって得られる。
前記分散機としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ビーズミル、コロイドミル、2本又は3本ロールミル、超音波ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ等を使用することができる。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
各粒子粉末の平均一次粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
各粒子粉末の一次粒子の粒子径の粒度分布は、下記の方法により求めた幾何標準偏差値で示した。
即ち、上記電子顕微鏡写真に示される粒子の粒子径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の粒子径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、一次粒子の粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
各粒子粉末の個数換算平均粒子径及び体積換算平均粒子径は、被測定粒子粉末と水を混合した水溶液を、超音波分散機を用いて1分間分散させた後、動的光散乱法「濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
シリカ粒子の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び黒色複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
ブラックマトリックス用着色材に内包されるシリカ量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K 0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
インクジェット用インクの黒色着色材のζ電位は、イオン交換水を用いてインクジェット用インクの黒色着色材が0.5g/lの濃度になるように調製し、超音波分散機を用いて3分間分散させた後、「Model501」(PEN KEN社製)を用い、電気泳動法により測定した。
各粒子粉末の酸量は、試料2gと、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の10−2Nメチルイソブチルケトン(MIBK)溶液30mlを三角フラスコにとり密栓した後、槽温度を20℃に制御した超音波洗浄器中で1時間、超音波分散を行い、この分散液から、試料を遠心分離して得た上澄み液10mlを、MIBK100mlで希釈した後、10−2Nの過塩素酸MIBK溶液で逆滴定することにより、試料表面の酸によって消費されたTBAHの量を求め、試料単位重量あたりの酸量を決定した。
各粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数Lを測定し、L 値として示した。なお、各黒色複合粒子粉末及びインクジェット用インクの黒色着色材作製に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックについては、L 値と示した。
黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材の黒色度比ΔL 値は、黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材の黒色度L 値と黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材を作製する際に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの黒色度L 値の差として、下記数1に従って算出した。
<数1>
ΔL 値=L 値/L 値×100
ΔL 値:黒色度差
:各黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材を作製する際に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの黒色度
:各黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材の黒色度
黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
次いで、インクジェット用インクの黒色着色材の標準試料として、インクジェット用インクの黒色着色材を作製する際に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックを用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
得られたインクジェット用インクの黒色着色材のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
<数2>
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して、3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)80gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
各粒子粉末の耐候性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、下記数3に従って算出したΔE値によって示した。
<数3>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
黒色複合粒子に付着している黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの脱離の程度は、下記の方法により4段階で評価した。4が複合粒子の粒子表面からの黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
被測定粒子粉末2gとエタノール20mlを50mlの三角フラスコに入れ、60分間超音波分散を行った後、回転数10,000rpmで15分間遠心分離を行い、被測定粒子粉末と溶剤部分とを分離した。得られた被測定粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、電子顕微鏡写真に示される視野の中に存在する、脱離して再凝集した黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの個数を目視で観察し、4段階で評価した。
1:複合粒子100個当たりに30個以上。
2:複合粒子100個当たりに10個以上30個未満。
3:複合粒子100個当たりに5個以上10個未満。
4:複合粒子100個当たりに5個未満。
インクジェット用インクの着色力は、インクジェット用インクの黒色着色材の濃度を0.08重量%に調整した水溶液を石英セルに入れ、波長550nmにおける吸光係数を、「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いてそれぞれ測定し、下記数4に従って算出した比吸光係数εによって示した。比吸光係数の値が大きいほど、インクジェット用インクの黒色着色材を含む分散体の着色力が高いことを示す。
<数4>
ε=ε/ε
ε:比吸光係数
ε:各インクジェット用インクの黒色着色材の単位重量当たりの吸光係数
ε:各インクジェット用インクの黒色着色材の原料として用いている黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックの単位重量当たりの吸光係数
インクジェット用インク中の分散平均粒子径Dd50、分散粒子径Dd84及び分散最大粒子径Dd99は、動的光散乱法「濃厚系粒子径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。なお、幾何標準偏差値(Dd84/Dd50)は、積算フルイ下84.13%における粒子径(Dd84)/積算フルイ下50%における粒子径(Dd50)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値(Dd84/Dd50)が1に近いほど、インクジェット用インク中における挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
インクジェット用インクの分散安定性は、インク25mlを50mlの比色管に入れ、60℃で1ヶ月間静置した後、インクジェット用インクの黒色着色材の沈降程度を目視で評価し、下記の5段階で評価を行った。
1:非着色部分が10cm以上。
2:非着色部分が5cm以上、10cm未満。
3:非着色部分が1cm以上、5cm未満。
4:非着色部分が1cm未満。
5:非着色部分が認められず。
インクジェット用インクの体積換算分散粒子径の変化率は、インクを60℃で1ヶ月間静置した後、前記動的光散乱法「濃厚系粒子径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社製)を用いて測定し、静置前後の体積換算分散粒子径の変化量を静置前の値で除した値を変化率として百分率で示した。
インクジェット用インクの黒色度は、普通紙「KB」(コクヨ株式会社製)に記録した印刷画像の色相を「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数Lを測定し、L 値として示した。なお、各黒色複合粒子粉末及びインクジェット用インクの黒色着色材作製に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックのインクジェット用インクについては、L 値とした。
インクジェット用インクの黒色度比ΔL 値は、黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材を用いたインクジェット用インクの黒色度L 値と黒色複合粒子及びインクジェット用インクの黒色着色材を作製する際に用いた黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックのインクジェット用インクの黒色度L 値との差として、上記数1に従って算出した。
インクジェット用インクの耐候性は、普通紙「KB」(コクヨ株式会社製)に記録した記録紙の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、紫外線が照射された部分と、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分との色相(L値、a値、b値)を「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いてそれぞれ測定し、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、上記数3に従って算出したΔE値によって耐光性を示した。
インクジェット用インクの耐目詰まり性は、インクをインクジェットプリンター「Deskjet 970Cxi」(HEWLETT PACKARD社製)のカートリッジに入れて、普通紙「KB」(コクヨ株式会社製)に室温で印字を行い、印字の乱れ、欠け又は不吐出の程度を目視で評価し、下記の5段階で評価を行った。
1:1枚目から印字の乱れ、欠け又は不吐出が有り。
2:5枚目まで印字の乱れ、欠け又は不吐出が無し。
3:10枚目まで印字の乱れ、欠け又は不吐出が無し。
4:20枚目まで印字の乱れ、欠け又は不吐出が無し。
5:25枚目まで印字の乱れ、欠け又は不吐出が無し。
<黒色複合粒子1:黒色複合粒子粉末の製造>
シリカ1(平均一次粒子径:16nm、BET比表面積値:204.3m/g、耐光性ΔE値:5.36)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
次に、黒色顔料C−1(種類:カーボンブラック、平均一次粒子径:22nm、個数換算平均粒子径:134nm、体積換算平均粒子径:464nm、幾何標準偏差値:2.46、BET比表面積値:103.0m/g、L 値:23.12、耐光性ΔE値:6.42、酸量:0.09mol/kg、ζ電位:−4.1mV)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に392N/cmの線荷重で100分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に黒色顔料C−1を付着させ、黒色複合粒子1を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
得られた黒色複合粒子1は、平均一次粒子径が18nmであり、BET比表面積値は115.4m/g、黒色顔料C−1の脱離の程度は4であった。黒色複合粒子1の黒色度L 値は23.47、黒色複合粒子1の黒色度比ΔL 値は98.5、着色力は94%、耐光性ΔE値は2.39、酸量は0.26mol/kg、ζ電位は−23.8mVであった。また、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.54重量%であった。付着している黒色顔料C−1はC換算で49.94重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して100重量部に相当する)であった。
得られた黒色複合粒子1の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した黒色顔料C−1の粒子がほとんど認められないことから、黒色顔料C−1のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
<実施例1−1:インクジェット用インクの黒色着色材の製造>
3lのビーカーに、上記で得られた黒色複合粒子200gと0.65mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2l(芯粒子であるシリカ粒子及び表面改質剤を溶解できる理論量の0.2倍)を入れ、pHを13.1とし、60℃で30分間攪拌した。これを濾過、水洗後、乾燥させてインクジェット用インクの黒色着色材を得た。
得られたインクジェット用インクの黒色着色材は、平均一次粒子径が14nm、個数換算平均粒子径が19nm、体積換算平均粒子径が69nm、BET比表面積値が120.3m/gであった。インクジェット用インクの黒色着色材が内包するシリカ量は、Si換算で1.14重量%、インクジェット用インクの黒色着色材の黒色度L 値は22.35、インクジェット用インクの黒色着色材の黒色度比ΔL 値は103.4、着色力は105%、耐光性ΔE値は3.53、酸量は0.10mol/kgであり、ζ電位は−14.3mVであった。
<実施例2−1:インクジェット用インクの製造>
イオン交換水67.7重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル1.3重量部を入れて混合した後、該混合溶液に、黒色着色材5.0重量部、ジエチレングリコール10重量部、グリセリン10重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部、トリエタノールアミン0.8重量部及び消泡剤(シリコン系消泡剤)0.2重量部を添加してビーズミルを用いて4時間混合分散させた後、0.5μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより、インクジェット用インクを得た。
得られたインクジェット用インクは、インク中の個数換算分散平均粒子径が、16nm、体積換算分散平均粒子径が41nm、分散安定性のうち目視評価が5、個数換算分散粒子径の変化率が6.4%、インクジェット用インクの黒色度L 値が22.29、インクジェット用インクの黒色度比ΔL 値が103.7、耐候性ΔE値が1.54、耐目詰まり性が5であった。
前記黒色複合粒子1、実施例1−1及び実施例2−1に従って、黒色複合粒子粉末、インクジェット用インクの黒色着色材及びインクジェット用インクを作製した。各製造条件及び得られた黒色複合粒子粉末、インクジェット用インクの黒色着色材及びインクジェット用インクの諸特性を表1〜表8に示す。
シリカ1及び2:
芯粒子として、表1に示す特性を有するシリカ粒子粉末1及び2を用意した。
Figure 2008239653
黒色顔料及び補色の有機顔料:
黒色顔料として、表2に示す特性を有する黒色顔料C−1〜C−3を、また補色としての有機顔料B−1を用意した。
Figure 2008239653
<黒色複合粒子粉末の製造>
黒色複合粒子粉末2〜5:
芯粒子の種類、表面改質剤の種類及び添加量、表面改質剤の被覆工程におけるエッジランナー処理の線荷重及び時間、黒色顔料の付着工程における黒色顔料の種類及び添加量、補色としての有機顔料の添加の有無及び添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記黒色複合粒子1と同様にして黒色複合粒子粉末を得た。
このときの製造条件を表3に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
なお、黒色複合粒子1のシリカ含有量はSi換算で50.78重量%であり、個数換算平均粒子径が20nm、体積換算平均粒子径が64nmであった。
Figure 2008239653
Figure 2008239653
<インクジェット用インクの黒色着色材の製造>
実施例1−2〜1−8、比較例1−1〜1−3:
黒色複合粒子の種類、アルカリ溶解時における溶解液のpH及び添加するアルカリの理論量対比量、処理温度及び処理時間を種々変化させた以外は前記実施例1−1と同様にしてインクジェット用インクの黒色着色材を得た。なお、黒色複合粒子粉末の濃度(g/100ml)は、溶解液100mlに対する黒色複合粒子粉末の重量(g)である。なお、実施例1−2は、乾燥工程として、凍結乾燥を行ったものである。
このときの製造条件を表5に、得られたインクジェット用インクの黒色着色材の諸特性を表6に示す。
Figure 2008239653
Figure 2008239653
<インクジェット用インク>
実施例2−2〜2−8、比較例2−1〜2−7:
インクジェット用インクの黒色着色材の種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にしてインクジェット用インクを得た。
このときの製造条件を表7に、得られたインクジェット用インクの諸特性を、表8に示す。
Figure 2008239653
Figure 2008239653
本発明に係るインクジェット用インクの黒色着色材は、着色力及び漆黒性が高いとともに、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ、耐候性に優れているので、インクジェット用インクの着色材として好適である。
また、本発明に係るインクジェット用インクは、分散性、分散安定性及び耐候性に優れているので、インクジェット用インクとして好適である。

Claims (3)

  1. 黒色有機顔料及び/又はカーボンブラックにシリカが内包されていることを特徴とするインクジェット用インクの黒色着色材であって、該インクジェット用インクの黒色着色材の酸量が0.3mol/kg以下であることを特徴とするインクジェット用インクの黒色着色材。
  2. インクジェット用インクの着色材に含まれるシリカが、インクジェット用インクの着色材に対して、Si換算で0.001〜9.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクの黒色着色材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インクの黒色着色材を含有するインクジェット用インク。
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