JP5267759B2 - 有色微小複合粒子粉末及び該有色微小複合粒子粉末を含有する分散体、並びに有色微小複合粒子粉末の製造法 - Google Patents

有色微小複合粒子粉末及び該有色微小複合粒子粉末を含有する分散体、並びに有色微小複合粒子粉末の製造法 Download PDF

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本発明は、一次粒子径が微小であるとともに、高い着色力と優れた分散性を有し、且つ、耐光性に優れている有色微小複合粒子粉末及び該有色複合粒子粉末を含有する分散性に優れた分散体を提供するものである。
有機顔料は、塗料、樹脂、印刷インキ、インクジェット用インキ、トナー及びカラーフィルター等の着色材として幅広く用いられている。これらの用途に対しては、一般に、高い着色力が要求されており、このためには、顔料をより微細化することが効果的であることが知られている。
しかしながら、有機顔料は化学反応等で分子状態の顔料から20nm〜100nm程度の微細な一次粒子を形成させるが、この状態では、粒子の表面エネルギーが非常に高いために凝集を起こしやすく、通常、非常に粒子サイズの大きく、かつ凝集力の強い二次粒子を形成すことが知られており、顔料を微細化する技術が要求されている。
現在、有機顔料を微細化する方法としては、ソルベントソルトミリング法や、乾式粉砕法が一般的に知られており、広く用いられている。
ソルベントソルトミリング法は、粗製顔料を食塩などの磨砕剤を用いてポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤とともに顔料粒子を機械的に微粉化して微粒子化する方法であり、乾式粉砕法は、粗大な顔料粒子をボールミル、アトライター、振動ミル等の粉砕機を用いて乾式で粉砕することにより微細な顔料粒子を得る方法であるが、いずれの方法においても、顔料の微粒子化が進むほど顔料粒子同士の凝集力も強くなり、一次粒子の形状を維持することは極めて困難であるため、結果的に顔料粒子はアグリゲートの状態で凝集された二次凝集体として存在する。
また、これら有機顔料を用いた塗料や印刷物は、屋外等でも使用され、直接日光や風雨に曝される場合があるため、耐光性に優れていることが要求されている。しかしながら、微細化が進むことにより耐光性も劣る傾向が強くなることから、顔料の微細化と優れた耐光性を両立する特性を得ることは困難であった。
これまでに、平均粒子径が100nmより大きい粗製キノフタロン顔料またはイソインドリン顔料を、結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕することで微粒子化する製造方法(特許文献1)が提案されている。
また、微細且つ耐光性に優れた着色材として、白色無機粒子の粒子表面にアルコキシシラン等の糊剤を介して有機顔料を付着させた有機無機複合顔料(特許文献2)が提案されている。
また、微細且つ透明性に優れた着色材として、白色無機粒子表面にアルコキシシラン等の糊材を介して有機顔料を付着させた複合粒子に対して、芯粒子である白色無機粒子を全量溶解できる理論値等量以上の酸又はアルカリを用いて芯粒子を完全に溶解除去させた有色微細粒子粉末(特許文献3)が提案されている。
特開2005−36150号公報 特開2002−356625号公報 特開2003−246941号公報
一次粒子径が微小であり、高い着色力を有するとともに、耐光性に優れた微細な着色材は、現在のところ最も要求されるところである。しかしながら、高い着色力を得るためには、顔料を微細化する必要があるが、顔料の粒子径が小さくなると耐光性は低下する傾向にあることから、これら相反する特性を満足する着色材は、未だ得られていない。
即ち、特許文献1には、平均粒子径が100nmより大きい粗製キノフタロン顔料またはイソインドリン顔料を、結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕することで微粒子化する方法が記載されているが、後出比較例に示す通り、有機顔料を単に微細化しているだけであり、得られた有機顔料のζ電位はゼロに近いことから、ビヒクル中における静電反発効果が得られにくく、そのため、ビヒクル中における良好な分散性及び分散安定性を得ることは困難となる。
また、特許文献2には、白色無機粒子の粒子表面にアルコキシシラン等の糊剤を介して有機顔料を付着させる方法が記載されているが、後出比較例に示す通り、芯粒子としてシリカ粒子等の白色無機粒子粉末を用いているため、付着させる原料有機顔料と同等もしくはそれ以上の高い着色力を容易に得ることは困難であった。
また、特許文献3には、白色無機粒子表面にアルコキシシラン等の糊材を介して有機顔料を付着させた複合粒子に対して、芯粒子である白色無機粒子を全量溶解できる理論値等量以上の酸又はアルカリを用いて芯粒子を完全に溶解除去し、有機顔料を残存させる方法が記載されているが、後出比較例に示す通り、酸又はアルカリを理論値等量以上用いるため有機顔料へのダメージが大きくなり、耐光性の良い着色材を得ることは困難である。また、シリカを完全に溶解除去しているため、ζ電位はゼロに近く、ビヒクル中における静電反発効果が得られにくいため、ビヒクル中における良好な分散性及び分散安定性を得ることが困難となる。
そこで、本発明は、一次粒子径が微小であるとともに、高い着色力と優れた分散性を有し、且つ、耐光性に優れた有色微小粒子粉末を提供することを技術課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、有機顔料にシリカが内包されている微小複合粒子であることを特徴とした有色微小複合粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、微小複合粒子に含まれるシリカが、有色微小複合粒子粉末に対して、Si換算で0.001〜9重量%であることを特徴とする本発明1に記載の有色微小複合粒子粉末である。(本発明2)。
また、本発明は、本発明1又は本発明2に記載の有色微小複合粒子粉末を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散体である(本発明3)。
また、本発明は、本発明3記載の溶媒が水及び/又は水溶性有機溶剤であることを特徴とする水系分散体である(本発明4)。
また、本発明は、本発明3記載の溶媒が有機溶剤であることを特徴とする溶剤系分散体である(本発明5)
また、本発明は、シリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、有機顔料を添加し、混合攪拌して、前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることを特徴とする本発明1又は本発明2記載の有色微小複合粒子粉末の製造法である(本発明6)。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、着色力が高く、且つ分散性及び耐光性に優れていることから、様々な用途の着色材として好適である。
本発明に係る分散体は、前記特性を有する有色微小複合粒子粉末を着色材として用いることから、各種用途への分散体として好適である。
以下に、本発明に係る有色微小複合粒子粉末について述べる。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、有機顔料にシリカが内包されている微小複合粒子からなる。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末に含まれるシリカ量は、Si換算で、有色微小複合粒子粉末に対して0.001〜9.0重量%であり、より好ましくは0.005〜7.0重量%であり、最も好ましくは0.01〜5.0重量%である。シリカ量がSi換算で有色微小複合粒子に対して0.001重量%未満の場合には、有色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量が少なすぎるため、有色微小複合粒子粉末のζ電位がほぼゼロとなり、静電反発効果が得られないため、ビヒクル中における分散性が悪くなる。また、シリカがほとんど存在しないために、十分な耐光性を得ることが困難である。一方、9.0重量%を超える場合には、有色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量が多すぎるため、十分な着色力を得ることが困難となる。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末の平均一次粒子径は、好ましくは1〜50nmであり、より好ましくは1〜40nm、最も好ましくは1〜30nmである。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末の個数換算平均粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは1〜150nm、更に好ましくは1〜100nm、最も好ましくは1〜50nmである。有色微小複合粒子粉末の個数換算平均粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、好ましくない。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末の体積換算平均粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは1〜150nmであり、最も好ましくは1〜100nmである。有色微小複合粒子粉末の体積換算平均粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、好ましくない。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末のBET比表面積値は、20〜500m/gが好ましく、より好ましくは25〜400m/g、更により好ましくは30〜300m/gである。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末の着色力は、後述する評価方法により102%以上が好ましく、より好ましくは103%以上であり、更により好ましくは104%以上である。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下であり、更に好ましくは4.0以下である。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末のζ電位は、水系で測定した場合−5mV以下であることが好ましく、より好ましくは−8mV以下であり、更に好ましくは−10mV以下である。水系で測定した場合のζ電位が−5mVよりゼロに近くなると、静電反発効果による良好な分散性及び分散安定性を得ることは困難である。
溶剤系でζ電位を測定した場合、−2mV以下であることが好ましく、より好ましくは−3mV以下であり、更に好ましくは−5mV以下である。溶剤系で測定した場合のζ電位が−2mVよりゼロに近くなると、静電反発効果による良好な分散性を得ることは困難である。
次に、本発明に係る有色微小複合粒子粉末を含有する分散体ついて述べる。
本発明に係る分散体は、水及び/又は水溶性有機溶剤を主な溶媒とする水系分散体と有機溶剤を主な溶媒とする溶剤系分散体のいずれをも含むものであり、溶媒中に本発明に係る有色微小複合粒子粉末を分散させることにより得ることができる。
本発明に係る分散体は、本発明に係る有色微小複合粒子粉末を分散体構成基材100重量部に対して3〜300重量部含有し、好ましくは4〜150重量部、より好ましくは5〜100重量部、更により好ましくは5〜75重量部、最も好ましくは5〜50重量部含有している。分散体の構成基材としては、水、水溶性有機溶剤、有機溶剤等の溶媒であり、必要に応じて樹脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
水系分散体用の溶媒としては、水と水系塗料等に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
溶剤系分散体用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類;乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸プロピルエステル等の乳酸エステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類等を用いることができる。殊に、アルコール類、エーテルアルコール類、エーテルアセテート類に代表される、極性の高い有機溶剤を使用することで、静電反発効果を効果的に得ることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係る分散体の個数換算分散平均粒子径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは1〜150nm、更により好ましくは1〜100nm、最も好ましくは1〜50nmである。個数換算分散粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きくなるため、好ましくない。
本発明に係る分散体の体積換算分散平均粒子径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは1〜150nmであり、更により好ましくは1〜100nmである。体積換算分散粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きくなるため、好ましくない。
本発明に係る分散体の分散安定性は、後述する評価方法のうち、粒子粉末の沈降程度を目視で評価した場合、3、4又は5であることが好ましく、より好ましくは4又は5である。また、粘度の変化率は20%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。粒子粉末の沈降程度を目視で評価した場合に1又は2になるか、粘度の変化率が20%より大きくなると、安定した分散状態で長期貯蔵することが困難となる。
本発明に係る分散体の着色力を表わす比吸光係数ε(重量基準)は、後述する評価方法で、1.20以上であることが好ましく、より好ましくは1.40〜5.00であり、更に好ましくは1.50〜5.00である。
次に、本発明に係る有色微小複合粒子粉末の製造法について述べる。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、芯粒子としてのシリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、有機顔料を添加し、混合攪拌して前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることにより得ることができる。
本発明におけるシリカ粒子の平均一次粒子径は、1〜100nmが好ましく、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜30nmである。
本発明におけるシリカ粒子のBET比表面積値は10〜1000m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜500m/gである。
本発明における表面改質剤としては、シリカ粒子の粒子表面へ有機顔料を付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。より好ましくは、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物である。
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
表面改質剤の被覆量は、芯粒子であるシリカ粒子に対してC換算で0.05〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜12.0重量%、更により好ましくは0.15〜10.0重量%である。0.05〜15重量%とすることで、シリカ粒子100重量部に対して、有機顔料を10〜500重量部付着させることができる。
本発明における有機顔料としては、一般に、塗料、樹脂、印刷インキ、インクジェット用インキ、トナー及びカラーフィルター等の着色材として用いられている赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、橙色系有機顔料、褐色系有機顔料、紫色系有機顔料及び黒色系有機顔料等の各種有機顔料粒子粉末を使用することができる。但し、アルカリブルー、イソインドリン系有機顔料等、耐アルカリ性の弱い有機顔料は、後述する処法によりシリカ粒子をアルカリ溶解する際に、複合粒子に含まれる有機顔料が溶解してしまうために本発明に係る有色微小複合粒子粉末を製造するのに用いるのは好ましくない。
各種有機顔料の中で、赤色系有機顔料としては、ブリリアントカーミン、パーマネントレッド、縮合アゾレッド等のアゾ系顔料及びジアミノアントラキノニルレッド、キナクリドンレッド、チオインジゴレッド、ペリレンレッド、ペリノンレッド、ジケトピロロピロールレッド等の縮合多環系顔料を用いることができる。青色系有機顔料としては、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料、インダンスロンブルー、インジゴブルー等の縮合多環系顔料を用いることができる。黄色系有機顔料としては、ハンザエロー、ベンジジンエロー、パーマネントエロー、縮合アゾイエロー等のアゾ系顔料及びイソインドリノンイエロー、アントラピリミジンイエロー、キノフタロンイエロー等の縮合多環系顔料を用いることができる。緑色系有機顔料としては、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料を用いることができる。橙色系有機顔料としては、パーマネントオレンジ、リソールファストオレンジ、ピラゾロンオレンジ、バルカンファストオレンジ等のアゾ系顔料及びキナクリドン、ペリノンオレンジ、ジケトピロロピロールオレンジ等の縮合多環系顔料を用いることができる。褐色系有機顔料としては、パーマネントブラウン、パラブラウン、ベンズイミダゾロンブラウン等のアゾ系顔料及びチオインジゴブラウン等の縮合多環系顔料を用いることができる。紫色系有機顔料としては、ファストバイオレット等のアゾ系顔料及び無置換キナクリドン、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット等の縮合多環系顔料を用いることができる。黒色系有機顔料としては、ペリレンブラック等の縮合多環系顔料及びアニリンブラックを用いることができる。発明に用いられる有機顔料としては、以上に例示した顔料に限られるものではない。
有機顔料の添加量は、芯粒子であるシリカ粒子100重量部に対して10〜500重量部であり、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
本発明における複合粒子は、シリカ粒子と表面改質剤とを混合し、シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで、表面改質剤によって被覆されたシリカと有機顔料を混合することによって得ることができる。添加した表面改質剤は、ほぼ全量がシリカ表面に被覆される。
シリカ粒子と表面改質剤の混合攪拌、有機顔料と粒子表面に表面改質剤が被覆されているシリカ粒子とを混合攪拌するための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混錬機、ボール型混錬機、ブレード型混錬機、ロール型混錬を用いることができ、ホイール型混錬機がより効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、このましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラー、であり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤で被覆した後、有機顔料を添加し、混合攪拌して有機顔料を表面改質剤被覆シリカ粒子の粒子表面に付着させる。有機顔料は少量ずつを、5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度の時間をかけながら添加するか、若しくは、シリカ粒子100重量部に対して5〜25重量部の有機顔料を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
表面改質剤被覆シリカ粒子表面に有機顔料を付着させた後、必要により更に乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常、40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常、40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
得られた複合粒子の一次粒子の平均粒子径は1〜100nmであり、より好ましくは1〜50nm、更により好ましくは1〜30nmである。
複合粒子のBET比表面積値は、10〜500m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜400m/g、更により好ましくは20〜300m/gである。
複合粒子の有機顔料の脱離の程度は、後出評価方法における目視観察において、4又は3が好ましく、より好ましくは4である。有機顔料の脱離の程度が2以下の場合には、脱離した有機顔料が再結晶化又は凝集等を起こすことにより粗大化したまま、最終生成物である有色微小複合粒子粉末に混在するため、好ましくない。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、上記複合粒子をアルカリで処理して一部のシリカ成分が残存するように、シリカ又はシリカ及び表面改質剤を溶解することで得られる。
溶解に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア等を使用することができる。
溶解処理を行う際の溶解液中の複合粒子濃度は、水100mlに対して1.0〜30.0重量部が好ましく、より好ましくは2.5〜25.0重量部、更に好ましくは5.0〜20.0重量部である。
複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際の溶解液のアルカリ量は、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を全量溶解させるために必要なアルカリ量の0.01〜0.95倍が好ましく、より好ましくは0.02〜0.90倍、更に好ましくは0.05〜0.85倍である。0.95倍を超えるアルカリ量で処理した場合、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤が完全に溶解してしまうために、本発明の目的とする有色微小複合粒子粉末を得ることができない。アルカリ量が0.01倍より少ない場合、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、有色微小複合粒子粉末に対して9重量%以下まで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際のpHは10.0〜13.8が好ましく、より好ましくは11.0〜13.6であり、更に好ましくは11.5〜13.4である。pHが13.8を超えると、アルカリによる有機顔料へのダメージが大きくなり、良好な耐光性を有する有色微小複合粒子粉末を得ることが困難である。pHが10.0未満の場合、複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、有色微小複合粒子粉末に対して9重量%以下まで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
溶解処理を行う際の処理温度は、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜90℃、更により好ましくは50〜80℃である。40℃未満の場合にはシリカの溶解に50時間を超えるような長時間を要するため、工業的に不利となる。100℃を超える場合には、有機顔料へのダメージにより良好な耐光性を有する有色微小複合粒子粉末を得ることが困難であるとともに、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的にも好ましくない。
溶解処理を行う際の処理時間は、5分〜50時間が好ましく、より好ましくは10分〜30時間、更により好ましくは20分〜10時間である。処理時間が50時間より長い場合、長時間の溶解処理となるため工業的に好ましくない。
溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、洗浄後、通常の乾燥又は凍結乾燥させる方法を用いて取り出すことができる。本発明で得られた有色微小複合粒子粉末は、通常の乾燥を行った場合においてもシリカ又はシリカ及び表面改質剤による静電反発効果により分散が容易である。
次に、本発明に係る分散体の製造方法について述べる。
本発明に係る分散体のうち、水系分散体は、得られた微小複合粒子粉末を水又は水及び水溶性有機溶剤中に再分散させるか、あるいは、溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、水洗した後、乾燥させずに取り出した固形分を水又は水溶性有機溶剤中に分散させることにより得ることができる。必要により、添加剤として、樹脂、分散剤、消泡剤、界面活性剤等を添加することもできる。
本発明に係る分散体のうち、溶剤系分散体は、得られた微小複合粒子粉末を有機溶剤又は油性ビヒクル中に再分散させるか、あるいは、溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、水洗した固形分を有機溶剤又は油性ビヒクルでフラッシングした後、有機溶剤又は油性ビヒクル中に分散させることにより得ることができる。必要により、添加剤として、樹脂、分散剤、消泡剤、界面活性剤等を添加することもできる。
前記有色微小複合粒子粉末と前記溶媒との混合・分散は、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、エッジランナー、超音波分散機、2本又は3本ロールミル、エクストルーダー及び高速衝撃ミル等を用いることができる。ボールミルやビーズミル等の磨砕型ミルに用いられる磨砕媒体としては、ミルの材質に応じて、スチールビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ等が使用でき、その大きさは0.01〜10mmの範囲が好ましく、0.03〜3mmの範囲がより好ましい。磨砕温度は特に限定されず、室温から用いる溶媒の沸点以下の範囲にあればよい。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、一般的に使用されている塗料、印刷インキ等、水系又は溶剤系を問わず様々な用途の着色材として使用することができる。
<作用>
本発明において、最も重要な点は、本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、一次粒子が微小であるとともに、高い着色力と優れた分散性を有し、且つ、耐光性にも優れているという事実である。
本発明に係る有色微小複合粒子粉末が高い着色力と優れた分散性を有する理由について、一般に、単に微細化しただけの有機顔料は粒子の表面エネルギーが非常に高いため凝集を起こしやすく、ビヒクル中において微細な粒子状態を維持することが困難であるが、本発明に係る有色微小複合粒子粉末は、有機顔料にシリカを内包するためにζ電位の絶対値が大きくなり、ビヒクル中で静電反発効果が得られ、ビヒクル中においても微細な状態で分散することができ、高い着色力を得ることができたものと、本発明者は推定している。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
各粒子粉末の一次粒子の平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
各粒子粉末の個数換算平均粒子径及び体積換算平均粒子径は、被測定粒子粉末と水を混合した水溶液を、超音波分散機を用いて1分間分散させた後、動的光散乱法「濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
シリカ粒子の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び複合粒子粉末に付着している有機顔料の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
有色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K 0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
有色微小複合粒子粉末のζ電位は、水系の場合イオン交換水を、溶剤系の場合PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を用いて有色微小複合粒子粉末が0.5g/lの濃度になるように調製し、超音波分散機を用いて3分間分散させた後、「Model501」(PEN KEN社製)を用い、電気泳動法により測定した。
各粒子粉末の色相は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。なお、C値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
<数1>
値=((a値)+(b値)1/2
各粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
次いで、有色微小複合粒子粉末の標準試料として、有色微小複合粒子粉末を作製する際に用いた有機顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
得られた有色微小複合粒子粉末のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
<数2>
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して、3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)80gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
各粒子粉末の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、下記数3に従って算出したΔE値によって示した。
<数3>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
複合粒子に付着している有機顔料の脱離の程度は、下記の方法により4段階で評価した。4が複合粒子の粒子表面からの有機顔料の脱離量が少ないことを示す。
被測定粒子粉末2gとエタノール20mlを50mlの三角フラスコに入れ、60分間超音波分散を行った後、回転数10,000rpmで15分間遠心分離を行い、被測定粒子粉末と溶剤部分とを分離した。得られた被測定粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、電子顕微鏡写真に示される視野の中に存在する、脱離して再凝集した有機顔料の個数を目視で観察し、4段階で評価した。
1:複合粒子100個当たりに30個以上。
2:複合粒子100個当たりに10個以上30個未満。
3:複合粒子100個当たりに5個以上10個未満。
4:複合粒子100個当たりに5個未満。
有色微小複合粒子粉末を含む分散体の個数換算分散平均粒子径及び体積換算分散平均粒子径は、動的光散乱法「濃厚系粒子径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。
分散体の分散安定性は、分散体25mlを50mlの比色管に入れ、60℃で1週間静置した後、粒子粉末の沈降程度を目視で評価し、下記の5段階で評価を行った。
1:非着色部分が10cm以上。
2:非着色部分が5cm以上、10cm未満。
3:非着色部分が1cm以上、5cm未満。
4:非着色部分が1cm未満。
5:非着色部分が認められず。
有色微小複合粒子粉末を含む分散体の粘度変化率は、得られた分散体を60℃で1週間静置した後、「E型粘度計EMD−R」(株式会社東京計器製)を用いて、25℃でずり速度D=383sec−1における粘度値を測定し、静置前後の粘度の変化量を静置前の値で除した値を変化率として百分率で示した。
有色微小複合粒子粉末を含む分散体の着色力は、水系分散体の場合、有色微小複合粒子粉末の濃度を0.08重量%に調整した水溶液を、溶剤系分散体の場合、有色微小複合粒子粉末の濃度を0.08重量%に調整したPGMEA溶液を、石英セルに入れ、最も光吸収の大きな波長における吸光係数を、「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いてそれぞれ測定し、下記数4に従って算出した比吸光係数εによって示した。比吸光係数の値が大きいほど、有色微小複合粒子粉末を含む分散体の着色力が高いことを示す。
<数4>
ε=ε/ε
ε:比吸光係数
ε:各有色微小複合粒子粉末の単位重量当たりの吸光係数
ε:各有色微小複合粒子粉末の原料として用いている有機顔料の単位重量当たりの吸光係数
<複合粒子1:複合粒子粉末の製造>
シリカ1(平均一次粒子径:16nm、BET比表面積値:204.3m/g、耐光性ΔE:5.36)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
次に、有機顔料G(種類:フタロシアニン系顔料、平均粒子径:100nm、BET比表面積値:67.3m/g、L値:29.77、a値:−15.30、b値:−1.12、C値:15.34、耐光性ΔE:8.06、水系のζ電位:−3.6mV、溶剤系のζ電位:−1.5mV)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で100分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に有機顔料Gを付着させた。次いで、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合粒子1を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
得られた複合粒子1は、平均一次粒子径が20nmであり、BET比表面積値は78.6m/g、L値は30.22、a値は−14.92、b値は−1.10、C値は14.96、有機顔料の脱離の程度は4であった。着色力は93%、耐光性ΔEは2.12、水系におけるζ電位は−22.7mV、溶剤系におけるζ電位は−6.6mVであった。また、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.53重量%であった。付着している有機顔料GはC換算で18.15重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して100重量部に相当する)であった。
得られた複合粒子の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した有機顔料Gの粒子がほとんど認められないことから、有機顔料Gのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
<実施例1−1:有色微小複合粒子粉末の製造>
3lのビーカーに、上記で得られた複合粒子粉末200gと0.65mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2l(芯粒子であるシリカ粒子及び表面改質剤を溶解できる理論量の0.2倍)を入れ、pHを13.1とし、60℃で30分間攪拌した。これを濾過、水洗後、乾燥させて有色微小複合粒子粉末を得た。
得られた有色微小複合粒子粉末は、平均一次粒子径が15nm、個数換算平均粒子径が22nm、体積換算平均粒子径が78nm、BET比表面積値が83.6m/gであった。有色微小複合粒子粉末が内包するシリカ量は、Si換算で1.06重量%、色相のうちL値は31.33、a値は−14.29、b値は−1.10、C値は14.33、着色力は105%であり、耐光性ΔEは3.56、水系におけるζ電位は−13.8mV、溶剤系におけるζ電位は−6.4mVであった。
<実施例2−1:水系分散体の製造>
140mlガラス瓶に、前記有色微小複合粒子粉末15重量部、水100重量部を0.35mmφガラスビーズ100gとともに添加し、ペイントシェーカーで2時間分散させて、水系分散体を得た。
得られた、有色微小複合粒子粉末を含む水系分散体の個数換算分散粒子径は19nmであり、体積換算分散粒子径は42nm、分散安定性は5、粘度の変化率は4.8%、比吸光係数εは2.46であった。
<実施例3−1:溶剤系分散体の製造>
140mlガラス瓶に、前記有色微小複合粒子粉末15重量部、PGMEA100重量部を0.35mmφガラスビーズ100gとともに添加し、ペイントシェーカーで2時間混合分散させて溶剤系分散体を得た。
得られた有色微小複合粒子粉末を含む溶剤系分散体の個数換算分散粒子径は19nmであり、体積換算分散粒子径は48nm、分散安定性は5、粘度の変化率は4.7%、比吸光係数εは2.44であった。
前記複合粒子1及び実施例1−1〜3−1に従って、複合粒子粉末、有色微小複合粒子粉末、水系分散体、溶剤系分散体を作製した。各製造条件及び得られた複合粒子粉末、有色微小複合粒子粉末、水系分散体及び溶剤系分散体の諸特性を示す。
シリカ1〜4:
芯粒子として、表1に示す特性を有するシリカ粒子粉末1〜4を用意した。
Figure 0005267759
有機顔料G、B、R、Y、Bk:
有機顔料として、表2に示す特性を有する有機顔料を用意した。
Figure 0005267759
<複合粒子粉末の製造>
複合粒子2〜5:
芯粒子の種類、表面改質剤の種類及び添加量、表面改質剤の被覆工程におけるエッジランナー処理の線荷重及び時間、有機顔料の付着工程における有機顔料の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記複合粒子1と同様にして複合粒子粉末を得た。
このときの製造条件を表3に、得られた複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
Figure 0005267759
Figure 0005267759
<有色微小複合粒子粉末の製造>
実施例1−2〜1−8、比較例1−1〜1−3:
複合粒子の種類、アルカリ溶解時における溶解液のpH及び添加するアルカリの理論量対比量、処理温度及び処理時間を種々変化させた以外は前記実施例1−1と同様にして有色微小複合粒子粉末を得た。なお、複合粒子粉末の濃度(g/100ml)は、溶解液100mlに対する複合粒子粉末の重量(g)である。なお、実施例1−2は、乾燥工程として、凍結乾燥を行ったものである。
このときの製造条件を表5に、得られた有色微小複合粒子粉末の諸特性を表6に示す。
比較例1−4(特開2005−36150号公報 実施例1 追試実験)
有機顔料Y(種類:キノフタロン系顔料、平均一次粒子径:252nm、BET比表面積値:27.9m/g、L値:84.21、a値:3.00、b値:91.31、C値:91.36、耐光性ΔE:7.22、水系のζ電位:−3.1mV、溶剤系のζ電位:−1.4mV)80g、キシレン6g、径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター中に仕込み、回転数300rpmで80℃、2時間運転して、キノフタロン顔料を得た。
得られたキノフタロン顔料の諸特性を表6に示す。
Figure 0005267759
Figure 0005267759
<水系分散体>
実施例2−2〜2−8、比較例2−1〜2−10:
有色微小複合粒子粉末の種類及び配合量を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして水系分散体を得た。
このときの製造条件及び得られた水系分散体の諸特性を表7に示す。
実施例2−9:
有色微小複合粒子粉末100重量部と水100重量部を混合し、50℃の加熱条件下で3本ロールミルを用いて混練分散させることにより、水系分散体を得た。
このときの製造条件及び得られた水系分散体の諸特性を表7に示す。
Figure 0005267759
<溶剤系分散体>
実施例3−2〜3−8、比較例3−1〜3−10:
有色微小複合粒子粉末の種類及び配合量を種々変化させた以外は、前記実施例3−1と同様にして溶剤系分散体を得た。
このときの製造条件及び得られた溶剤系分散体の諸特性を表8に示す。
実施例3−9:
有色微小複合粒子粉末100重量部とPGMEA100重量部を混合し、50℃の加熱条件下で3本ロールミルを用いて混練分散させることにより、溶剤系分散体を得た。
このときの製造条件及び得られた溶剤系分散体の諸特性を表8に示す。
Figure 0005267759
本発明に係る有色微小複合粒子粉末及び分散体は、一般的に使用されている塗料、印刷インキ等、水系又は溶剤系を問わず様々な用途の着色材として使用することができる。

Claims (5)

  1. 有機顔料にシリカが内包されている微小複合粒子からなる有色微小複合粒子粉末であって、前記微小複合粒子に含まれるシリカが、有色微小複合粒子粉末に対して、Si換算で0.001〜7.0重量%であることを特徴とする有色微小複合粒子粉末。
  2. 請求項記載の有色微小複合粒子粉末を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散体。
  3. 溶媒が水及び/又は水溶性有機溶剤であることを特徴とする請求項記載の水系分散体。
  4. 溶媒が有機溶剤であることを特徴とする請求項記載の溶剤系分散体。
  5. シリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、有機顔料を添加し、混合攪拌して、前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることを特徴とする請求項記載の有色微小複合粒子粉末の製造法。
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