JP2008231226A - ポリクロロプレン系ラテックス及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来型ポリクロロプレン系ラテックス接着剤の接着性、耐水性を改良したポリクロロプレン系ラテックスを提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマー、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするポリクロロプレン系ラテックス、並びにポリクロロプレン系ラテックスの製造法。
(ポリクロロプレン系ポリマー)−S−R−X (1)
(式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ラテックス中の乳化剤が低減され、接着性、耐水性が著しく改良された、ポリクロロプレン系ラテックス及びその製造法に関するものである。
ポリクロロプレン(以下CRと略称することがある)をベースとした接着剤、プライマーは、CRの極性、凝集力、可撓性等の特徴を最大限に活かした用途であり、ゴム系接着剤の主流として建材、木工、製靴、車両製造、家庭工作等の広範な分野で重用されている。従来のCR系接着剤は、CR、粘着付与樹脂、酸化亜鉛、酸化防止剤などをトルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサンなどの有機溶剤に溶解したタイプが主流だったが、環境問題の高まりから脱溶剤化の要求が年々強まっている。この要求に応えるものとしてCRラテックスが注目されてきたが、従来のCRラテックスは接着性、耐水性が不十分であり、溶剤系CR接着剤を置き換えるには至っていない。
従来のCRラテックスは、ロジン酸石鹸、アルキル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、ポリビニルアルコールなどの乳化剤を用いてクロロプレン等を水中に乳化した後、過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を添加することによりクロロプレンを重合後、未反応モノマーをスチームストリッピング等の方法で除去する方法により製造されている。上記ラテックスには、CRに対して5wt%程度の上記乳化剤が含まれるが、これが従来型CRラテックス接着剤の接着性、耐水性の発現を妨げる主要因と考えられる。即ち、ある被着体に従来型CRラテックスをベースとした接着剤を塗布し、乾燥する過程で、CRラテックス粒子表面から脱着した乳化剤及び水中に溶解したフリーな乳化剤が、接着剤皮膜表面又は被着体界面に配向することによって、CR本来の接着性が阻害されるためと考えられる。そこでこれらの乳化剤を含まない、所謂ソープレスCRラテックスを製造する試みがなされた。例えば、水中でスチレン及びアクリル酸をラジカル共重合後、アンモニアで中和し、引き続いてクロロプレンを添加し、乳化重合してソープレスCRラテックスを得る方法(特許文献1)、アミン存在下、水中でクロロプレン及び活性塩素含有モノマーをラジカル共重合することによってソープレスCRラテックスを得る方法(特許文献2)が開示されている。
しかしながら、クロロプレンの乳化に用いる何れの親水基含有共重合体も、親水性と疎水性のバランスが悪く、また、前者の場合はCRとは異質なスチレンベースの親水基含有ポリマーを使用しているため、CR本来の接着性を損なう欠点があった。
また、カルボキシル基含有チオール化合物の存在下、メタクリル酸メチルをラジカル重合することによって、末端にカルボキシル基を有するポリメタクリル酸メチルを合成し、これを乳化剤に用いたポリメタクリレート系マイクロエマルジョンの合成法(特許文献3)が開示されている。
しかしながら、クロロプレンの乳化重合及びポリクロロプレン系ラテックスの接着性能に関する記載は一切なく、親水性溶剤の添加効果についても言及されていない。
特開昭58−89602号公報 特公昭52−32987号公報 特表平10−506428号公報
以上のように、従来型CR系ラテックス接着剤の接着性、耐水性が改良された新規なCRラテックスが切望されていた。
本発明者は、上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、適当量の親水性溶剤の共存下、末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマー(以下、末端酸性基含有CRと略称する)を用いてクロロプレン又はクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なモノマーを乳化重合することによって、従来型乳化剤の使用量が大幅に低減された、又は全く含まないCRラテックスが得られ、従来の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマー、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするポリクロロプレン系ラテックス、並びにその製造法である。
(ポリクロロプレン系ポリマー)−S−R−X (1)
(式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のCR系ラテックスは、従来のラテックスで使用されている従来型乳化剤を含まないか、その含有量が著しく低減されたものである。従来型乳化剤の含有量が著しく低減されたものとは、2wt%以下の従来型乳化剤を含有することをいう。2wt%を超えると、CR系ラテックスの接着性、耐水性低下が顕著になる。ここに、従来型乳化剤としては、従来から使用されているアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤等があげられ、例えば、アニオン性乳化剤としては、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルスルホベタイン等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリビニルアルコール等があげられ、カチオン性乳化剤としては、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等があげられる。
本発明のCR系ラテックスは、下記一般式(1)で表される末端酸性基含有CRを含有するものである。当該末端酸性基含有CRを含有することにより、従来型乳化剤を含まないか、その含有量を著しく低減できるものである。CR系ラテックスにおける当該末端酸性基含有CRの含有量は、特に限定するものではないが、ラテックスの接着強度、耐水性を損なわないために、最終的なラテックスに含まれるポリマーに対して、末端酸性基含有CR由来の酸性基の含量が10wt%以下になるような含有量であることが好ましく、5wt%以下であることがさらに好ましい。
(ポリクロロプレン系ポリマー)−S−R−X (1)
(式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
本発明の末端酸性基含有CRとは、クロロプレン又はクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なモノマーを水中に乳化させ、かつこれらのモノマーが重合して生成するラテックス粒子を水中で安定化させる能力を十分に有するポリマーである。すなわち、当該酸性基含有CRは、クロロプレンを主体としたCR骨格の末端に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩などの酸性基を導入することによって、ミセルを形成してモノマーを乳化し得るCR系ポリマーである。
末端酸性基含有CRは、下記一般式(2)で表される酸性基含有チオール化合物、下記一般式(3)で表される酸性基含有ジスルフィド化合物、又は、下記一般式(2)で表される酸性基含有チオール化合物及び下記一般式(3)で表される酸性基含有ジスルフィド化合物の存在下で、クロロプレンを主とするラジカル重合性モノマーをラジカル重合して得られるポリマーであるが、酸性基としては、重合溶媒への溶解性、コスト、入手性の面でカルボキシル基が好適である。
H−S−R−X (2)
(式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
X−R−S−S−R−X (3)
(式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
上記酸性基含有チオール化合物としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸等が挙げられ、酸性基含有ジスルフィド化合物としては、2,2’−ジチオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸、6,6’−ジチオジニコチン酸等が挙げられる。即ち、本発明の特徴の1つは、クロロプレン及び酸性官能基含有モノマーとの共重合工程を必要としない点にある。
従来の一般的な乳化剤の代わりに使用する末端酸性基含有CRの主成分はクロロプレンであるが、CRの特性及び乳化剤としての作用を損なわない範囲でクロロプレンと共重合可能なモノマーを共重合しても良い。クロロプレンと共重合可能なモノマーとしては、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの1,3−ブタジエン類、スチレン、α-メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−シアノスチレン、p−アセトキシスチレン、塩化p−スチレンスルホニル、エチルp−スチレンスルホニル、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネートなどのスチレン類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(イソシアナート)エチル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、アクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのアクリル酸エステル類、その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸、無水シトラコン酸、ビニル酢酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、メタクリル酸、アクリル酸、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトンメタクリレート等があげられる。中でも、クロロプレンとのラジカル共重合性が比較的高い点で、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、α−シアノエチルアクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸が好ましい。クロロプレンとの共重合性が最も高い2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが更に好適である。
上記末端酸性基含有CR中の酸性基は、使用するチオール化合物又はジスルフィド化合物の種類に応じて、ポリマー末端に1個乃至2個存在する。また、末端酸性基含有CRのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量は特に限定するものではないが、ミセル形成能を維持したり、ラテックス粘度の上昇を防ぐためには、500〜30000が好ましい。
上記末端酸性基含有CRの製造法は、従来の伝統的なラジカル重合法によるものである。即ち、適当な溶媒中又は無溶媒で、過酸化物、アゾ化合物等のラジカル開始剤、チオール化合物、ジスルフィド化合物等の分子量調節剤(連鎖移動剤)の存在下で、クロロプレン等をラジカル重合するものである。この際、酸性基含有チオール化合物,酸性基含有ジスルフィド化合物を使用すれば、これらへのクロロプレンラジカルの連鎖移動反応により、末端酸性基含有CRが生成する。上記化合物への連鎖移動反応を利用して、末端官能性(酸性基も含まれる)ポリマーを合成する方法は、成長ラジカルや開始剤ラジカルが官能基含有チオール化合物,官能基含有ジスルフィド化合物に連鎖移動することにより生成した官能基含有イオウラジカルによりモノマーの重合が再開始されることにより、ポリマー末端にチオール化合物由来の官能基がポリマー末端に導入されるものである。この方法は、先端高分子材料シリーズ1 高性能液状ポリマー材料(丸善株式会社 1990年発行、13頁、32頁)に記載されている。
ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などのパーオキサイド化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等のアゾ化合物等を用いることができるが、末端酸性基含有CRの末端官能性(酸性官能基の導入率)を高める目的で、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、シクロヘキサンパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド等の酸性基含有開始剤の使用が好ましい。
上記末端酸性基含有CRを合成する際の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族類、ジクロロメタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メトキシエタノール等のアルコール類、酢酸エチル又は水を、上記チオール化合物、ジスルフィド化合物の溶解性に応じて選択できる。クロロプレン類にこれらの化合物が溶解すれば、無溶媒でも良い。しかし、末端酸性基含有CRを重合系から単離することなく、連続で乳化重合工程に用いるためには、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシエタノール、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、エタノール等の親水性溶剤を用いるのが好ましい。
本発明のCR系ラテックスは、クロロプレン又はクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なモノマーを乳化重合してCR系ラテックスを製造する際に、末端酸性基含有CRを用いることに特徴がある。上述のように、本発明の特徴の1つは、クロロプレン及び酸性官能基含有モノマーとの共重合工程が不要であり、末端酸性基含有CRを合成後、そのまま連続で乳化重合工程へ進めることができる点(所謂in Situ)にある。ここで重要なことは、乳化重合の際に、適当量の親水性溶剤を共存させることにより、ミセル形成が促進され、重合速度及びラテックス安定性が大幅に向上することを見出した点である。即ち、適当量の親水性溶剤がないと、微細ミセル形成が不十分で、重合速度が遅く、重合中のスケール発生量も多くなる。
乳化重合における上記酸性基含有CRの使用量は、モノマーを十分乳化でき、かつ生成したラテックスの十分な安定性を維持できれば特に限定するものではないが、ラテックスの粘度上昇及び生成ラテックスポリマーの平均分子量を考慮すると全仕込モノマーの30wt%以下であることが好ましく、ラテックスの接着強度、耐水性を考慮すると20wt%以下であることがさらに好ましい。
本発明のCR系ラテックスの製造におけるクロロプレン又はクロロプレン及びこれと共重合可能なモノマーを乳化重合する方法は、末端酸性基含有CR及び親水性溶剤を用いる他は、従来の乳化重合と同様である。
当該末端酸性基含有CRの製造から、当該末端酸性基含有CRを用いたCR系ラテックスの製造までの例を以下に説明する。
まず、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロエタン、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メトキシエタノール、水などの溶媒中又は無溶媒中で、上記した酸性基含有チオール化合物,酸性基含有ジスルフィド化合物存在下、クロロプレン等をラジカル重合することによって、末端酸性基含有CRのポリマー溶液を合成する。このポリマー溶液に、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソパノールアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物を添加して中和したものに水を添加し、攪拌してミセルを形成させた後(又は塩基性化合物を添加して中和したものを、攪拌下、水中に投入してミセルを形成させた後)、クロロプレン及び必要に応じてクロロプレンと共重合可能なモノマー、並びに分子量調節剤を添加してモノマー乳化液を調製する。又は上記ポリマー溶液及びモノマー混合物に塩基性化合物を添加後、水を添加することによってモノマー乳化液を調製する。又は水に末端酸性基含有CR、塩基性化合物、分子量調節剤及びモノマー混合物を添加しても良い。上記乳化重合において、適当量の親水性溶剤を共存させることが、重合速度及びラテックス安定性の面で好ましい。
親水性溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソプロパノール、エタノール、メトキシエタノール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸エチル等が使用できる。これら親水性溶剤の添加量は、特に限定するものではないが、ミセル形成を促進させる効果を維持しつつ、ラテックス粒子の凝集を防ぐため、末端酸性基含有CR及びクロロプレンなどのモノマーの総和に対して5〜50wt%であることが好ましく、5〜20wt%であることがさらに好ましい。
塩基性化合物としては、ミセルの形成、CRラテックスの接着性、耐水性を考慮するとアルキルアミン、アルカノールアミン、アンモニアが特に好ましい。上記モノマー乳化液にラジカル開始剤及び必要に応じて還元剤を添加して重合を行う。CR中の1,2−及び3,4−結合の生成を抑制することによってCRの安定性を維持するため、重合温度は70℃以下であることが好ましい。CRの安定性をより確保するためには、60℃以下が好ましい。目標とするモノマー転化率に到達したところで、重合禁止剤を添加し、重合を停止する。その後、未反応モノマー及び親水性溶剤を減圧留去することにより、CR系ラテックスが得られる。また、重合中又は重合後、ラテックスの安定性向上、粘度低減、表面張力低減などを目的として、一般的な乳化剤、分散剤を添加しても良い。但し、これらの乳化剤、分散剤の添加量はCR系ポリマーに対して2wt%以下である。2wt%を超えるとCRラテックスの接着性、耐水性低下が顕著になる。乳化剤、分散剤による接着阻害、耐水性低下を抑制するため、ラテックスに含まれる乳化剤、分散剤は1wt%以下がより好ましい。
上記分子量調節剤としては、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等のメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド等のスルフィド類、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、イオウ等を用いることができる。上記ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどのパーオキサイド化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等のアゾ化合物を用いることができる。過酸化物の分解を促進させるための還元剤としては、ハイドロサルファイト、ロンガリット、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸、アニリン等を用いることができる。上記重合禁止剤としては、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−フェニル−1−ナフチルアミン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ハイドロキノン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。
本発明のCR系ラテックスは、ロジン酸エステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂などの粘着付与樹脂、アルキルフェノール樹脂、酸性官能基含有樹脂の塩、シリカ、クレー、アルミペースト、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、カーボンなどの無機充填材、疎水化セルロース、ポリカルボン酸塩、会合型ノニオン界面活性剤、ポリアルキレンオキサイド、クレーなどの増粘剤、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ヒドラジン誘導体、シラン化合物などの硬化剤、酸化亜鉛、ハイドロタルサイド、エポキシ樹脂等の受酸剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸などのpH調整剤、可塑剤、濡れ剤、凍結防止剤、造膜助剤等を配合して、接着剤、プライマー、シーリング剤、バインダー、コーティング剤として使用することができる。
本発明で得られるCR系ラテックスは、従来のCRラテックスに含有された多量の乳化剤が著しく低減されるため、接着性、耐水性が著しく改良されたCRラテックス系接着剤、プライマー、コーティング剤、シーラントの他、手袋、糸ゴム等の浸漬用途、気球、ゴムボート等のゴム引き布用途、繊維処理用途、キャパシター及び二次電池電極用バインダー、インク、トナー、磁性塗料等のバインダーの製造を可能にする。
本発明をより具体的に説明するため以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明の重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnは、東ソー(株)製GPC8220により次の条件で測定した(溶離液=テトラヒドロフラン、流速=1.0ml/min、カラム温度=40℃、ピーク検出=示差屈折計、充填カラム=TSK−gel(登録商標、以下同じ)G7000Hxl/GMHxl/GMHxl/G3000Hxl/ガードカラムH−L、分子量計算=ポリスチレン換算)。重合中のモノマー転化率は、島津製作所ガスクロマトグラフGC−17A(GLサイエンス社製キャピラリーカラムNEUTRABOND−5、水素炎イオン化検出器)を用い、ベンゼンを標準物質として算出した。
CR系ラテックスの粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計LA−920((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
CR系ラテックスの機械的安定性は、マーロン試験法によるゴム析出率から評価した。
CR系ラテックスの接着剤としての性能評価は、以下の方法で行った。2枚の9号綿帆布にCR系ラテックスを刷毛で塗布し、オーブン中80℃で5分乾燥(以上の塗布−乾燥の操作を3回繰返した)後、常温でオープンタイム(一定時間放置)を取った後、ハンドローラーで圧着した。常温で3日養生後、25mm幅に裁断し、引っ張り速度100mm/minの条件でテンシロン型引っ張り試験機を用いて180°T型剥離試験を行った。接着性は、オープンタイムによる剥離強度及び剥離状態の変化から評価した。即ち、接着性が十分な場合、長いオープンタイムを取っても剥離強度の低下は小さいが、不十分な場合には接着剤界面での剥離(所謂糊分かれ)が顕著になり剥離強度の低下が増大する。耐水性は、オープンタイム3時間で圧着後、常温で3日間養生した試験片を、純水中に常温で3日間浸漬後、濡れた状態で上記と同様、180°T型剥離試験を行い評価した。
実施例1
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオグリコール酸10.00g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)3.00g、ベンゼン1.20g及びテトラヒドロフラン50.00gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.50gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオグリコール酸)のテトラヒドロフラン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は78.2%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2100、重量平均分子量Mwは5200であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオグリコール酸)のテトラヒドロフラン溶液20.20g、n−ドデシルメルカプタン0.13g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.72g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.25gを添加し、混合した後、クロロプレン45.29g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端カルボキシル基含有CRの添加量は約18.5wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は89%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Aを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Aのマーロン試験析出率は0.010wt%、平均粒径は112nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.24wt%)。
得られたCR系ラテックス−Aを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
Figure 2008231226
実施例2
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、2−メルカプトプロピオン酸13.30g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.60g、ベンゼン1.95g及びアセトン89.5gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.50gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−2−メルカプトプロピオン酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は80.3%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2200、重量平均分子量Mwは4900であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−2−メルカプトプロピオン酸)のアセトン溶液23.00g、n−ドデシルメルカプタン0.13g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.76g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.25gを添加し、混合した後、クロロプレン45.00g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約17.8wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は89%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Bを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Bのマーロン試験析出率は0.0092wt%、平均粒径は106nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.24wt%)。
得られたCR系ラテックス−Bを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例3
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸6.50g、ジ(4−カルボキシブチル)ジスルフィド7.50g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.60g、ベンゼン1.96g及びアセトン89.2gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.50gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は79.6%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2800、重量平均分子量Mwは5800であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液18.50g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.65g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.20gを添加し、混合した後、クロロプレン39.50g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約16.4wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は93.3%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Cを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Cのマーロン試験析出率は0.0064wt%、平均粒径は105nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.35wt%)。
得られたCR系ラテックス−Cを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例4
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.65g、ベンゼン1.97g及びアセトン89.45gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.86gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は74.1%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2700、重量平均分子量Mwは5500であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液19.32g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.63g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.18gを添加し、混合した後、クロロプレン39.29g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約16.4wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は90.20%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Dを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Dのマーロン試験析出率は0.0052wt%、平均粒径は97nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.38wt%)。
得られたCR系ラテックス−Dを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例5
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.65g、ベンゼン1.97g及びアセトン89.45gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.86gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は74.1%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2700、重量平均分子量Mwは5500であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液19.48g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、20.42wt%KOH水溶液4.56g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水35.32gを添加し、混合した後、クロロプレン42.16g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約15.5wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は89.60%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Eを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Eのマーロン試験析出率は0.0084wt%、平均粒径は112nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.32wt%)。
得られたCR系ラテックス−Eを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例6
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.65g、ベンゼン1.97g及びアセトン89.45gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.86gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は74.1%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2700、重量平均分子量Mwは5500であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液14.00g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.18g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)、25wt%ロジン酸カリウム水溶液1.00g及び純水39.80gを添加し、混合した後、クロロプレン39.29g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約12.41wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は80.80%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Fを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Fのマーロン試験析出率は0.0052wt%、平均粒径は105nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.05wt%、従来型乳化剤の量は約0.6wt%)。
得られたCR系ラテックス−Fを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例7
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.61g、ベンゼン1.97g及びアセトン89.02gを仕込んで溶解後、クロロプレン100.03g及び2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン20.21gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレン及び2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンの重合転化率は各々78.5%、87.9%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは3100、重量平均分子量Mwは6200であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液18.80g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、N,N−ジエチルエタノールアミン2.29g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.5当量)及び純水40.20gを添加し、混合した後、クロロプレン30.02g、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン9.06g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約17.1wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレン及び2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンの重合転化率は各々88.1%、94.0%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Gを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Gのマーロン試験析出率は0.0062wt%、平均粒径は97nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.35wt%)。
得られたCR系ラテックス−Gを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例8
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.65g、ベンゼン1.97g及びメチルエチルケトン89.45gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.86gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のメチルエチルケトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は76.2%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2700、重量平均分子量Mwは5600であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のメチルエチルケトン溶液19.51g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、トリエチルアミン1.58g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.32gを添加し、混合した後、クロロプレン39.63g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約16.8wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は92.2%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Hを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Hのマーロン試験析出率は0.0110wt%、平均粒径は112nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.35wt%)。
得られたCR系ラテックス−Hを用いて接着性能を評価した結果を表1に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例9
三方コックを備えた200ml褐色ガラスフラスコに、3,3‘−ジチオジプロピオン酸6.00g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.70g、ベンゼン0.54g及びアセトン36.0gを仕込んで溶解後、クロロプレン31.04gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−3,3‘−ジチオジプロピオン酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は77.3%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは4200、重量平均分子量Mwは7900であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−3,3‘−ジチオジプロピオン酸)のアセトン溶液10.01g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、N,N−ジエチルエタノールアミン1.96g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の2.0当量)及び純水40.00gを添加し、混合した後、クロロプレン38.00及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約10wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は86.3%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Iを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Iのマーロン試験析出率は0.0102wt%、平均粒径は120nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約1.0wt%)。
得られたCR系ラテックス−Iを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
Figure 2008231226
実施例10
三方コックを備えた200ml褐色ガラスフラスコに、2,2‘−ジチオビス安息香酸6.5g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.70g、ベンゼン0.55g及びテトラヒドロフラン36.0gを仕込んで溶解後、クロロプレン31.10gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−2,2‘−ジチオビス安息香酸)のテトラヒドロフラン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は79.0%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは4100、重量平均分子量Mwは7900であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−2,2‘−ジチオビス安息香酸酸)のテトラヒドロフラン溶液10.00g、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.30g、N,N−ジエチルエタノールアミン1.48g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の2.0当量)及び純水40.00gを添加し、混合した後、クロロプレン38.00及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約11wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は84.0%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、テトラヒドロフラン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Jを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Jのマーロン試験析出率は0.0110wt%、平均粒径は120nmであり、安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.8wt%)。
得られたCR系ラテックス−Jを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例11
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオリンゴ酸4.00g、3,3‘−ジチオジプロピオン酸0.20g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)1.05g、ベンゼン0.80g及びアセトン35.60gを仕込んで溶解後、クロロプレン48.80gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸/3,3‘−ジチオジプロピオン酸)のアセトン溶液を得た。77時間後のクロロプレンの重合転化率は76.0%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2800、重量平均分子量Mwは5300であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸/3,3‘−ジチオジプロピオン酸)のアセトン溶液9.51g、n−ドデシルメルカプタン0.13g、ベンゼン0.15g、N,N−ジエチルエタノールアミン1.54g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の2.0当量)及び純水34.20gを添加し、混合した後、クロロプレン35.22及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約8wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は86.0%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Kを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Kのマーロン試験析出率は0.0065wt%、平均粒径は97nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.87wt%)。
得られたCR系ラテックス−Kを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
実施例12
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオリンゴ酸4.00g、2,2‘−ジチオビス安息香酸0.20g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)1.06g、ベンゼン0.78g及びアセトン35.57gを仕込んで溶解後、クロロプレン48.67gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸/2,2‘−ジチオビス安息香酸)のアセトン溶液を得た。77時間後のクロロプレンの重合転化率は79.0%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは3000、重量平均分子量Mwは5500であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸/3,3‘−ジチオビス安息香酸酸)のアセトン溶液9.51g、n−ドデシルメルカプタン0.13g、ベンゼン0.15g、N,N−ジエチルエタノールアミン1.53g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の2.0当量)及び純水34.50gを添加し、混合した後、クロロプレン35.50及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約8wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は86.0%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、CR系ラテックス−Lを得た(固形分48wt%)。
CR系ラテックス−Lのマーロン試験析出率は0.0066wt%、平均粒径は97nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.85wt%)。
得られたCR系ラテックス−Lを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。比較例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が少なく、従来ラテックスに比べて接着性、耐水性が著しく向上していることが明らかである。
比較例1
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.00g、純水40.18を添加して溶解後、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31g、クロロプレン46.97g及び3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は92.6%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマーを留去し、CR系ラテックス−Mを得た(固形分47wt%)。
CR系ラテックス−Mのマーロン試験析出率は0.0120wt%、平均粒径は105nmであり、極めて安定性の高いラテックスであった(ラテックス中のポリマーに対する従来型乳化剤量は4.4wt%)。
得られたCR系ラテックス−Mを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。実施例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が大きいことが明らかである。
比較例2
三方コックを備えた500ml褐色ガラスフラスコに、チオリンゴ酸10.34g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.65g、ベンゼン1.97g及びアセトン89.45gを仕込んで溶解後、クロロプレン120.86gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱し、末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液を得た。65時間後のクロロプレンの重合転化率は74.1%だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは2700、重量平均分子量Mwは5500であった。
続いて、200mlナス型フラスコに、上記で合成した末端酸性基含有CR(CR系ポリマー−チオリンゴ酸)のアセトン溶液19.32g、トリエチルアミン1.63g(上記重合溶液に含まれるカルボキシル基の1.2当量)及び純水40.18gを計り取り、混合した後、ロータリーエバポレーターでアセトンを留去した。内容物を三方コック付き200mlガラスフラスコに移し替え、n−ドデシルメルカプタン0.14g、ベンゼン0.31gを添加し、攪拌しながらクロロプレン46.97gを添加した後、3.40wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する末端酸性基含有CRの添加量は約16.35wt%)。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら9時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は82.6%とやや低く、塊状のスケールが認められた。ロータリーエバポレーターで未反応モノマーを留去し、CR系ラテックス−Nを得た(固形分39wt%)。
CR系ラテックス−Nの平均粒径は135nm、粒子径数千nmの大粒子も存在し、ラテックス安定性は実施例よりも大きく劣った。ラテックス安定性が悪かったため、接着試験をするのに値しなかった。
比較例3
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、ペレックスSSH(花王製、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)5.00g、純水46.00、n−ドデシルメルカプタン0.15g、ベンゼン0.30g及びクロロプレン55.23gを仕込み、モノマー乳化液を調製した。ここに開始剤水溶液0.2ml(過硫酸カリウム3.40wt%及びアントラキノンスルホン酸ナトリウム0.10wt%含有)を添加した。1L/分の流量で窒素を30分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、40℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記開始剤水溶液を0.2ml添加しながら8時間重合後、フェノチアジン50mgを添加して重合を停止した。クロロプレンの重合転化率は95%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー及び水分を留去しCR系ラテックス−Oを得た(固形分47wt%)
得られたCR系ラテックス−Oを用いて接着性能を評価した結果を表2に示す。実施例のCR系ラテックスと比較して、オープンタイムによる剥離強度低下及び水浸漬後の剥離強度低下が大きいことが明らかである。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマー、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするポリクロロプレン系ラテックス。
    (ポリクロロプレン系ポリマー)−S−R−X (1)
    (式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
  2. 末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される酸性官能基含有チオール化合物、下記一般式(3)で表される酸性官能基含有ジスルフィド化合物、又は、下記一般式(2)で表される酸性官能基含有チオール化合物及び下記一般式(3)で表される酸性官能基含有ジスルフィド化合物の存在下で、クロロプレン又はクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なラジカル重合性モノマーをラジカル重合して得られたポリクロロプレン系ポリマーであることを特徴とする請求項1記載のポリクロロプレン系ラテックス。
    H−S−R−X (2)
    (式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
    X−R−S−S−R−X (3)
    (式中、Xはカルボキシル基又はその塩、Rはアルキル基、アリール基、置換アルキル基又は置換アリール基を表す。)
  3. 末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた数平均分子量が500〜30000であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリクロロプレン系ラテックス。
  4. 親水性溶剤の存在下、下記一般式(1)で表される末端に酸性官能基を有するポリクロロプレン系ポリマーを用いてクロロプレンを水中に乳化させ、ラジカル開始剤を加えて乳化重合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のポリクロロプレン系ラテックスの製造法。
    (ポリクロロプレン系ポリマー)−S−R−X (1)
  5. 親水性溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシエタノール、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、エタノールから選択される少なくとも1種以上の溶剤であることを特徴とする請求項4に記載のポリクロロプレン系ラテックスの製造法。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のポリクロロプレン系ラテックスを含むことを特徴とする接着剤、プライマー、シーリング剤、バインダー、コーティング剤。
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