JP2008230993A - イネ健全苗の生育方法 - Google Patents

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Kazuo Takeda
和男 武田
Yoko Matsuura
陽子 松浦
Akira Ishikawa
亮 石川
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Abstract

【課題】イネの育苗期における土壌伝染性病害等の植物病害の発生を抑制して、イネ苗を土壌伝染性病害等の植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させる方法等を提供すること。
【解決手段】刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法、及び、当該生育方法によって、イネ苗における植物病害の発生を抑制させることを特徴とするイネ苗の植物病害からの保護方法等。
【選択図】なし

Description

本発明は、イネ健全苗の生育方法等に関する。
水稲栽培において、イネ苗を健全苗として生育させることは、本田移植後のイネ体を健全な状態で栽培し、水稲の安定生産にとって極めて重要なことである。
例えば、播種密度が高い水稲の箱育苗では、育苗期に種子伝染性病害が発生しやすく、これらの病害に対する防除を怠ると移植前のイネ苗に著しい被害が生じる。さらに、種子伝染性病害によって罹病した苗を本田に植え込むと、これが本田で伝染源となり病害の発生を増やすことが多い。このために、上記のような種子伝染性病害を防除するために、イネ種子の薬剤による消毒(種子消毒処理)が行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2004−305210 特開2005−68024
しかしながら、イネ種子を薬剤により消毒する場合には、イネの育苗期における土壌伝染性病害の発生を抑制することができない場合があった。このような場合には、移植前のイネ苗に著しい被害が生じ、そしてさらに、土壌伝染性病害によって罹病した苗を本田に植え込むと、これが本田で伝染源となり病害の発生を増やすことが多い。
また、芥子、山葵等の成分及び酢酸が抗菌活性を有することは古くから知られているが、当該成分及び酢酸は、極めて強い刺激性や植物に対して強い薬害等を発生させる性質等を有するために、その利用方法は限られており、具体的には例えば、イネ種子の種子消毒剤としての特定時期における使用方法が知られているにすぎない状況であった(例えば、特許文献1及び2参照)。
このような状況下、本発明者らは、イネ苗を健全苗として生育させる方法について種々鋭意検討した結果、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することにより、イネの育苗期における土壌伝染性病害等の植物病害の発生を抑制して、イネ苗を土壌伝染性病害等の植物病害から保護することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物(以下、両者を総じて「本有効物質」と記すこともある。)が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法(以下、本発明生育方法と記すこともある。);
2.酢酸水溶液又は酢酸粉状物の中の酢酸濃度が0.001〜20重量%であることを特徴とする前項1記載のイネ健全苗の生育方法;
3.刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法;
4.刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法;
5.刺激性辛味成分を有する植物性香辛材が、芥子由来の植物性香辛物であることを特徴とする前項1、2、3又は4記載のイネ健全苗の生育方法;
6.刺激性辛味成分を有する植物性香辛材が、山葵由来の植物性香辛物であることを特徴とする前項1、2、3又は4記載のイネ健全苗の生育方法;
7.芥子由来の植物性香辛物が、粉末状からし又はペースト状からしであることを特徴とする前項5記載のイネ健全苗の生育方法;
8.山葵由来の植物性香辛物が、粉末状わさび、ペースト状わさび又は摩り下ろしわさび汁であることを特徴とする前項6記載のイネ健全苗の生育方法;
9.イネ苗の栽培を育苗箱中で行うことを特徴とする前項1〜8のいずれかの前項記載のイネ健全苗の生育方法:
10.前項1〜9のいずれかの前項記載のイネ健全苗の生育方法によって、イネ苗における植物病害の発生を抑制させることを特徴とするイネ苗の植物病害からの保護方法(以下、本発明保護方法と記すこともある。);
11.植物病害が土壌伝染性病害であることを特徴とする前項10記載のイネ苗の植物病害からの保護方法;
等を提供するものである。
本発明生育方法により、イネの育苗期における土壌伝染性病害等の植物病害の発生を抑制して、イネ苗を土壌伝染性病害等の植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となる。そして、本田移植後のイネ体を健全な状態で栽培可能とし、水稲の安定生産に寄与する。
本発明生育方法は、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とする。
本発明生育方法において用いられる(刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する)「酢酸水溶液」は、酢酸を含有する液であればよく、例えば、氷酢酸の水溶液、食酢(合成酢、醸造酢)の水希釈液等があげられる。当該酢酸水溶液の酢酸濃度は、通常、0.001〜0.2重量%、好ましくは0.005〜0.15重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%の範囲である。
本発明生育方法において用いられる(刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する)「酢酸粉状物」は、酢酸又はその塩を含有する粉末であればよく、例えば、粉末酢酸(「二酢酸ナトリウム」(酢酸と酢酸ナトリウムとからなる粉状組成物))、酢酸ナトリウム等の粉末があげられる。当該粉状物の酢酸含有量は、通常、0.001〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%の範囲である。
本発明生育方法において用いられる「刺激性辛味成分を有する植物性香辛材」(以下、本植物性香辛材と記すこともなる。)としては、例えば、芥子、山葵等由来の植物性香辛物をあげることができる。芥子の種類としては、和からし(Brassica juncea)、黒からし(Brassica nigra)、洋からし(Sinapis alba)等があげられる。また山葵の種類としては、本わさび(Wasabia japonica)、西洋わさび(Armoracia rusticana)等があげられる。
芥子、山葵等由来の植物性香辛物は、例えば、粉末状のものやペースト状のものを用いることができ、これらを水に均一に懸濁又は溶解して使用するとよい。粉末状のものとしては、例えば、凍結乾燥物、市販の粉わさびまたは粉からし等の乾燥物をあげることができる。ペースト状のものとしては、摩り下ろしたものや粉末状のものを水で練った後に加工したもの等をあげることができる。さらに、山葵については、根わさびを摩り下ろした後に得られる摩り下ろし汁を刺激性辛味成分を有する植物性香辛材として使用してもよい。
刺激性辛味成分を有する植物性香辛材は、上記のような植物性香辛物を少なくとも1種類を含むものであればよいが、複数種類を混合したものでもよい。
本発明生育方法に用いられる刺激性辛味成分を有する植物性香辛材には、必要に応じて、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤を適量含有させていてもよい。
本発明生育方法において用いられる刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液は、通常、酢酸水溶液に植物性香辛材を、酢酸水溶液の量に対して、例えば、0.01〜4重量%の割合で含有させることがよい。粉末状のものを用いる場合には、通常、酢酸水溶液に植物性香辛材を、例えば、0.02〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%の割合で含有させることがよい。ペースト状のものを用いる場合には、通常、酢酸水溶液に植物性香辛材を、酢酸水溶液の量に対して、例えば、0.04〜4重量%、好ましくは0.05〜1重量%の割合で含有させることがよい。根わさびの摩り下ろし汁を用いる場合には、酢酸水溶液に植物性香辛材を、酢酸水溶液の量に対して0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%の割合で含有させることがよい。
本発明生育方法において用いられる刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液の調製方法としては、例えば、所定濃度の酢酸水溶液に植物性香辛材を、前記のような所定濃度になるように加え、よく混合する方法があげられるが、一旦、高濃度の混合物を調製した後、水で希釈することにより再調製する方法もあげられる。
本発明生育方法において用いられる刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物は、通常、酢酸粉状物に植物性香辛材を、酢酸粉状物の量に対して、例えば、0.1〜60重量%の割合で含有させることがよい。粉末状のものを用いる場合には、通常、酢酸粉末物に植物性香辛材を、例えば、5〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の割合で含有させることがよい。ペースト状のものを用いる場合には、通常、酢酸粉末物に植物性香辛材を、酢酸粉末物の量に対して、例えば、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の割合で含有させることがよい。根わさびの摩り下ろし汁を用いる場合には、酢酸粉末物に植物性香辛材を、酢酸粉末物の量に対して1〜20重量%、好ましくは5〜20重量%の割合で含有させることがよい。
本発明生育方法において用いられる刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物の調製方法としては、例えば、所定含量の酢酸粉末物に植物性香辛材を、前記のような所定含量になるように加え、よく混合する方法があげられるが、一旦、高含量の混合物を調製した後、増量剤で希釈することにより再調製する方法もあげられる。
本発明において、「刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物(即ち、本有効物質)が施用されて得られうる培土又は土壌」とは、結果的として本有効物質が施用(例えば、散布処理、灌注処理、混和処理)された状態と同等な状態に至っている培土又は土壌を意味するものであり、例えば、
(1)予め、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液を調製し、これを培土又は土壌に施用することにより調製されたものでもよく、
(2)刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する水溶液と、酢酸水溶液とを別々に調製し、両者を同時に若しくは別々に培土又は土壌に施用することにより調製されたものでもよく、
(3)予め、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物を調製し、これを培土又は土壌に施用することにより調製されたものでもよく、
(4)刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する水溶液若しくは粉末等と、酢酸粉状物とを別々に調製し、両者を同時に若しくは別々に培土又は土壌に施用することにより調製されたものでもよい。
ここで用いられる「培土又は土壌」としては、イネ苗を生育させるために適するものであれば如何なるものでもよいが、例えば、市販のイネ苗栽培用培土又は土壌をあげることができる。尚、当該培土又は土壌は、本発明生育方法において床土として用いてもよいし、覆土として用いてもよし、その両者として用いてもよい。
本発明において、本有効物質が施用されて得られうる培土又は土壌における本有効物質の施用量としては、例えば、
(1)刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物を培土又は土壌に混和処理する場合には、当該粉状物の量は、通常、培土又は土壌の重量に対して約0.001〜3重量%である。
(2)刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液を培土又は土壌に混和処理する場合には、当該水溶液の量は、通常、培土又は土壌の重量に対して約0.01〜30重量%である。
本発明生育方法により、例えば、まず、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物(即ち、本有効物質)が施用されて得られうる培土又は土壌は、床土として育苗箱に詰められ、その表面にイネ種子が直ぐに播種される。播種は、通常、30cm×60cmの育苗箱に対して、乾燥した籾量で80g〜250gの範囲内のイネ種子の量で実施すればよい。次いで、当該イネ種子が隠れる程度に、刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物(即ち、本有効物質)が施用されて得られうる培土又は土壌を用いて覆土する。このようにして、イネ苗を栽培すればよい。
播種されたイネ種子は、約30℃で2〜3日間多湿度条件下に放置すると出芽する。この育苗箱を約20〜30℃の条件で2週間〜4週間程度生育させることにより移植可能な苗に生育させる。尚、移植時のイネ苗の生育ステージは地域により大きく異なるが、乳苗移植では1.5葉期程度、中苗移植では2.5葉期程度、成苗移植では3.5葉期程度である。尚、出芽から移植可能時期までの期間が育苗期と呼ばれる期間である。
本発明生育方法により、イネの育苗期における土壌伝染性病害等の植物病害の発生を抑制して、イネ苗を土壌伝染性病害等の植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となる。そして、本田移植後のイネ体を健全な状態で栽培可能とし、水稲の安定生産に寄与する。ここで「土壌伝染性病害」としては、具体的には例えば、フザリウム菌、ピシウム菌、リゾクトニア菌、リゾプス菌等による苗立枯病等を挙げることができる。
以下、試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
まず、本有効物質の製造を下記の製造例に示す。
製造例1
1gの食酢及び0.25gの粉末状わさびを容器に計り取った後、これらに水を加えて全体で100mlにする。その後十分に撹拌混合し、0.25%の山葵及び1%食酢を含有する本有効物質(酢酸濃度としては約0.04%)を得る。
製造例2
1gの食酢及び0.25gの粉末状からしを容器に計り取った後、これらに水を加えて全体で100mlにする。その後十分に撹拌混合し、0.25%の芥子及び1%食酢を含有する本有効物質(酢酸濃度としては約0.04%)を得る。
製造例3
1gの食酢及び0.25gのペースト状わさびを容器に計り取った後、これらに水を加えて全体で100mlにする。その後十分に撹拌混合し、0.25%の山葵及び1%食酢を含有する本有効物質(酢酸濃度としては約0.04%)を得る。
製造例4
1gの食酢及び0.25gのペースト状からしを容器に計り取った後、これらに水を加えて全体で100mlにする。その後十分に撹拌混合し、0.25%の芥子及び1%食酢を含有する本有効物質(酢酸濃度としては約0.04%)を得る。
製造例5
100gの根わさびを摩り下ろした後にガーゼでろ過して、絞り汁を摩り下ろしわさび汁として得る。1gの食酢及び0.25mlの摩り下ろし汁を容器に計り取った後、これらに水を加えて全体で100mlにする。その後十分に撹拌混合し、0.25%食酢を含有するの本有効物質(酢酸濃度としては約0.04%)を得る。
製造例6
粉末状わさび25重量部、粉末酢酸(酢酸41%含有)10重量部、ソルポール5060 4重量部、エマール10パウダー 2重量部、勝光山SPクレー 59重量部を混合し、水和剤を得る。
次に、本有効物質が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培する試験例を示す。
試験例1
イネ(コシヒカリ)種子7gを、イネ種子の重量(g)の2倍量相当の水(水温15℃)に3日間浸漬した(浸種処理)。次いで、当該イネ種子を、30℃で24時間浸漬し催芽させた(催芽期処理)。催芽したイネ種子を、本有効物質が施用されて得られうる培土(しなの培養土1号)が床土、覆土又はその両者として用いられる育苗箱に播種した後、27℃で3日間放置することにより出芽させ、5℃で4日間栽培して低温処理をおこない、さらに約15〜25℃のガラス温室内で20日間生育させることにより苗に生育させた。
接種するためのフザリウム菌の培養では、土壌とフスマとを重量比で8:2に混合し、手のひらで握って離したとき形が崩れない程度に水を加えたものを三角フラスコに入れて滅菌したものを培地として用いた。当該培地にフザリウム菌の糸片を接種し、25℃で1ヶ月間培養したものを、培土1kgあたり 100gの割合で培土に混合してフザリウム菌汚染培土を調製した。フザリウム菌接種群では、床土として前記のフザリウム菌汚染培土を用いた。
調査の際には、生育したイネ苗を観察し、以下の基準より発病指数を調査し、下記の式により発病度を求め、防除価を算出した。発病指数0:無発病、1:草丈が健全苗の1/2以上、2:草丈が健全苗の1/2以下、3:枯死。
[数式1]
発病度=100×{3×(発病指数3の苗数)+2×(発病指数2の苗数)+1×(発病指数1の苗数)}/[3×{(発病指数3の苗数)+(発病指数2の苗数)+(発病指数1の苗数)+(発病指数0の苗数)}]
[数式2]
防除価=100×[1-{(処理区の発病度)/(無処理区の発病度)})
結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明生育方法は、フザリウム菌による苗立枯れ病に対して防除効果を有しており、イネ苗を当該植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となることが確認された。
Figure 2008230993
*無処理における防除価の欄にあるカッコ内の数値は、発病度を示した。
**酢酸濃度として
試験例2
イネ(コシヒカリ)種子7gを、イネ種子の重量(g)の2倍量相当の水(水温15℃)に3日間浸漬した(浸種処理)。次いで、当該イネ種子を、30℃で24時間浸漬し催芽させた(催芽期処理)。催芽したイネ種子を、本有効物質が施用されて得られうる培土(しなの培養土1号)が床土、覆土又はその両者として用いられる育苗箱に播種した後、27℃で3日間放置することにより出芽させ、3.5℃で3日間栽培して低温処理をおこない、さらに約20〜30℃のガラス温室内で20日間生育させることにより苗に生育させた。
接種するためのピシウム菌の培養では、ポテトスクロース液体培地にピシウム菌の糸片を接種し、25℃で 10日間培養したものをミキサーで磨砕し、得られた磨砕物を培土1kgあたり0.3gの割合で培土に混合してピシウム菌汚染培土を調製した。ピシウム菌接種群では、床土として前記のピシウム菌汚染培土を用いた。
調査の際には、生育したイネ苗を観察し、以下の基準より発病指数を調査し、試験例1に記載された算出式により発病度を求め、防除価を算出した。発病指数0:無発病、1:草丈が健全苗の1/2以上、2:草丈が健全苗の1/2以下、3:枯死。
結果を表2に示す。表2から明らかなように、本発明生育方法は、ピシウム菌による苗立枯れ病に対して防除効果を有しており、イネ苗を当該植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となることが確認された。
Figure 2008230993
*無処理における防除価の欄にあるカッコ内の数値は、発病度を示した。
**酢酸濃度として
試験例3
イネ(コシヒカリ)種子7gを、イネ種子の重量(g)の2倍量相当の水(水温15℃)に6日間浸漬した(浸種処理)。次いで、当該イネ種子を、30℃で24時間浸漬し催芽させた(催芽期処理)。催芽したイネ種子を、本有効物質が施用されて得られうる培土(しなの培養土1号)が床土、覆土又はその両者として用いられる育苗箱に播種した後、35℃で3日間放置することにより出芽させ、さらに約18〜30℃のガラス温室内で20日間生育させることにより苗に生育させた。
接種するためのリゾプス菌の培養では、土壌とフスマとを重量比で5:5に混合し、手のひらで握って離したとき形が崩れない程度に水を加えたものを三角フラスコに入れて滅菌したものを培地として用いた。当該培地にリゾプス菌の糸片を接種し、25℃で1ヶ月間培養したものを、培土1kgあたり 100gの割合で培土に混合してリゾプス菌汚染培土を調製した。リゾプス菌接種群では、床土として前記のリゾプス菌汚染培土を用いた。
調査の際には、生育したイネ苗を観察し、50本の苗について根部を水洗いして、根部肥大の数から以下の基準で発病指数を調査し、試験例1に記載された算出式により発病度を求め、防除価を算出した。
発病指数0:無発病、1:根部の肥大が1−2個、2:根部の肥大が3−4個、3:根部の肥大が5個以上。
結果を表3に示す。表3から明らかなように、本発明生育方法は、リゾプス菌による苗立枯れ病に対して防除効果を有しており、イネ苗を当該植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となることが確認された。
Figure 2008230993
*無処理における防除価の欄にあるカッコ内の数値は、発病度を示した。
**酢酸濃度として
本発明生育方法により、イネの育苗期における土壌伝染性病害等の植物病害の発生を抑制して、イネ苗を土壌伝染性病害等の植物病害から保護することにより、イネ苗を健全苗として生育させることが可能となる。そして、本田移植後のイネ体を健全な状態で栽培可能とし、水稲の安定生産に寄与する。

Claims (11)

  1. 刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液又は酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法。
  2. 酢酸水溶液又は酢酸粉状物の中の酢酸濃度が0.001〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載のイネ健全苗の生育方法。
  3. 刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸水溶液が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法。
  4. 刺激性辛味成分を有する植物性香辛材を含有する酢酸粉状物が施用されて得られうる培土又は土壌を用いてイネ苗を栽培することを特徴とするイネ健全苗の生育方法。
  5. 刺激性辛味成分を有する植物性香辛材が、芥子由来の植物性香辛物であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のイネ健全苗の生育方法。
  6. 刺激性辛味成分を有する植物性香辛材が、山葵由来の植物性香辛物であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のイネ健全苗の生育方法。
  7. 芥子由来の植物性香辛物が、粉末状からし又はペースト状からしであることを特徴とする請求項5記載のイネ健全苗の生育方法。
  8. 山葵由来の植物性香辛物が、粉末状わさび、ペースト状わさび又は摩り下ろしわさび汁であることを特徴とする請求項6記載のイネ健全苗の生育方法。
  9. イネ苗の栽培を育苗箱中で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかの請求項記載のイネ健全苗の生育方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかの請求項記載のイネ健全苗の生育方法によって、イネ苗における植物病害の発生を抑制させることを特徴とするイネ苗の植物病害からの保護方法。
  11. 植物病害が土壌伝染性病害であることを特徴とする請求項10記載のイネ苗の植物病害からの保護方法。
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