JP2008215157A - エンジンバルブ - Google Patents

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Hiroshi Sakaguchi
寛 阪口
Tadayoshi Tominaga
忠良 冨永
Norimichi Fukaya
法達 深谷
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Abstract

【課題】コストを低減しながらも、疲労強度を向上する。
【解決手段】エンジンバルブは、鉄合金製の素材を鍛造することによりバルブ軸部及びバルブ傘部が一体成形された中実構造のエンジンバルブ成形体に焼入れ処理を施す工程と、焼入れ処理後のエンジンバルブ成形体に低温焼戻し処理を施す工程と、低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施す工程と、機械加工後のエンジンバルブに低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施す工程とを備えるエンジンバルブの製造方法により製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンバルブに関するものである。
従来のエンジンバルブとしては、例えば、特許文献1に記載されたポペットバルブがある。なお、図7は特許文献1に記載されたポペットバルブを示す断面図である。
図7に示すように、特許文献1に記載されたポペットバルブ110は、ステム部材11とキャップ部材114とからなる。ステム部材11は、中空構造であって、その主体をなすステム部112と、その一端部(図7において上端部)に形成されたチップ部118と、その他端部(図7において下端部)に形成されたフレア形のフィレット部116とを有している。また、キャップ部材114は、ステム部材111のフィレット部分116に閉鎖するように取り付けられている。
特開平9−299816公報
前記特許文献1に記載されたポペットバルブ110(図7参照。)では、ステム部材111を形成する工程と、キャップ部材114を形成する工程と、ステム部材111にキャップ部材114を取付ける工程等が必要で、部品点数、製作工数が多いことから、コストアップを余儀なくされるという問題があった。また、ポペットバルブ110が中空構造であるため、ステム部112の外径(軸径ともいう。)の小径化、及び/又は、フィレット部116及びキャップ部材114によるバルブ傘部の肉厚の薄肉化を図ろうとすると、要求される疲労強度を確保することができなくなるという問題があった。
また、前記特許文献1のほか、鍛造によりバルブ軸部及びバルブ傘部が一体成形された中実構造のエンジンバルブにあっても、バルブ軸部の軸径の小径化及び/又はバルブ傘部の肉厚の薄肉化を図ろうとすると、要求される疲労強度を確保することができなくなるという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、コストを低減しながらも、疲労強度を向上することのできるエンジンバルブを提供することにある。
前記した課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とするエンジンバルブにより解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかるエンジンバルブによると、鉄合金製の素材を鍛造することによりバルブ軸部及びバルブ傘部が一体成形された中実構造のエンジンバルブ成形体に焼入れ処理を施す工程と、前記焼入れ処理後のエンジンバルブ成形体に低温焼戻し処理を施す工程とを備えるエンジンバルブの製造方法により製造されたものである。したがって、中実構造のエンジンバルブであるため、中空構造のもの(特許文献1参照。)に比べて、部品点数、製作工数を削減し、コストを低減することができる。また、鉄合金製の素材を鍛造することにより成形された中実構造のエンジンバルブ成形体に焼入れ処理及び低温焼戻し処理を施すことにより、エンジンバルブの疲労強度を向上することができる。よって、コストを低減しながらも、疲労強度を向上することのできるエンジンバルブを提供することができる。また、エンジンバルブの疲労強度の向上により、バルブ軸部の外径(軸径ともいう。)の小径化及び/又はバルブ傘部の肉厚の薄肉化を図ることができ、ひいてはエンジンの動弁系部品の軽量化が可能である。なお、エンジンバルブ成形体に対する焼入れ処理及び低温焼戻し処理は、エンジンバルブ成形体の全体に施したり、あるいは、エンジンバルブ成形体の必要な部位に部分的に施したりすることができる。
また、特許請求の範囲の請求項2にかかるエンジンバルブによると、低温焼戻し処理後の硬さがビッカース硬度でHV530以上である。このため、バルブ軸部の軸径の小径化及び/又はバルブ傘部の肉厚の薄肉化を図るうえで有利である。
また、特許請求の範囲の請求項3にかかるエンジンバルブによると、前記低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施す工程と、前記機械加工後のエンジンバルブに前記低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施す工程とを備えるエンジンバルブの製造方法により製造されたものである。したがって、低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施すことにより最終形状に仕上げられ、その機械加工後のエンジンバルブに低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施すことにより、エンジンバルブの疲労強度の低下を招くことなく、エンジンバルブの表面の耐摩耗性を向上することができる。なお、表面処理は、エンジンバルブの全表面に施したり、あるいは、エンジンバルブの必要な部位に部分的に施したりすることができる。
また、特許請求の範囲の請求項4にかかるエンジンバルブによると、鉄合金として実績のあるマルテンサイト系耐熱鋼を用いることができて好都合である。
また、特許請求の範囲の請求項5にかかるエンジンバルブによると、バルブ傘部の外径に対してのバルブ軸部の外径の比率が7以上の大きいエンジンバルブを製造することができる。
また、特許請求の範囲の請求項6にかかるエンジンバルブによると、エンジンバルブのバルブ軸部の軸端部に、その軸端部の軸端面の面積よりも大きい面積の軸端面を形成する別部材が一体化されている。したがって、別部材によって、軸端部の軸端面の面積よりも大きい面積の軸端面を形成することができ、エンジンバルブの軸端面の摩耗を防止することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について実施例を参照して説明する。
本発明の一実施例にかかるエンジンバルブを説明する。なお、図2はエンジンバルブを示す側面図である。
図2に示すように、エンジンバルブ10は、鉄合金製で、中実構造をなしている。エンジンバルブ10には、丸軸状のバルブ軸部12と、そのバルブ軸部12の一端部(図2において下端部)に連続するほぼ円形傘状のバルブ傘部13とが一体形成されている。バルブ軸部12の他端部(図2において上端部)は、軸端部12aとなっている。軸端部12aの基部側(図2において下側)の外周面に、周方向に連続するコッタ溝15が形成されている。このエンジンバルブ10は、次に述べる製造方法により製造されている。
次に、前記エンジンバルブ10の製造方法を説明する。なお、図1はエンジンバルブの製造方法を示す工程図である。
図1に示すように、第1の工程P1において、鉄合金製の素材を鍛造することによりエンジンバルブ成形体が形成される。なお、図3はエンジンバルブ成形体を示す側面図である。
図3に示すように、エンジンバルブ成形体20は、中実構造であって、丸軸状のバルブ軸部22と、そのバルブ軸部22の一端部(図3において下端部)に連続するほぼ円形傘状のバルブ傘部23とが一体形成されている。また、エンジンバルブ成形体20の素材である鉄合金としては、日本工業規格(JIS)のG4311に規定されているSUH1、SUH3、SUH11等のマルテンサイト系耐熱鋼を使用することができる。また、エンジンバルブ成形体20の製造方法としては、一般的な鍛造方法を適用することができるが、同一出願人が先に提案した特開2006−88197号公報に記載された「エンジンバルブの製造方法」を適用するとよい。
次に、第2の工程P2(図1参照。)において、前記エンジンバルブ成形体20(図3参照。)に焼入れ処理が施されるとともに、その焼入れ処理後のエンジンバルブ成形体20に低温焼戻し処理が施される。ここで、温焼入れ処理についての焼入れ処理温度及び処時間は、エンジンバルブ成形体20の素材の必要とする硬度に応じて任意に選定されるものとする。なお、低温焼戻し処理は、焼入れ処理により発生した歪と脆性を除去するための処理である。また、エンジンバルブ成形体20の素材である鉄合金としてのマルテンサイト系耐熱鋼がSUH3の例では、焼戻し処理温度(℃)と硬度(HV)とは、図4に特性線Aで示すように、逆比例の関係があり、500℃〜550℃の間に変曲域Rがある。マルテンサイト系耐熱鋼において、変曲域Rは材料により多少変動するが、ここでは、変曲域Rの最高温度Thより低温度側で焼戻し処理を行なうことを「低温焼戻し処理」と定義する。また、材料硬度と疲労強度は比例するため、低温焼戻し処理を行なうほど、疲労強度が高くなる。しかし、低温焼戻し処理温度があまり低いと、材料の脆性が低下する。このため、低温焼戻し処理温度としては、450℃〜550℃が適する。さらに、疲労強度を高くするため、低温焼戻し処理温度は、530℃以下がより好ましく、500℃が最適である。また、低温焼戻し処理にかかる処理時間は、低温焼戻し処理温度と疲労強度との兼ね合いから任意に選定されるものとする。なお、従来の一般的な焼戻し処理温度は、約650℃であった。
このように、従来の一般的な焼戻し処理温度である約650℃に対して、エンジンバルブ成形体20に焼入れ処理、及び、約500℃の低温焼戻し処理を施すことにより、エンジンバルブ10(図2参照。)の硬度(図4参照。)を1.5倍(ビッカース硬度で約HV360から約HV530)に向上することができ、また、素材硬度と疲労強度とは比例の関係があるため、疲労強度を1.5倍に向上させることが可能である。
また、本実施例において、第2の工程P2を終えたエンジンバルブ10の硬さは、ビッカース硬度でHV530(ロックウェル硬さでHRC51)以上としている。また、エンジンバルブ成形体20に対する焼入れ処理及び低温焼戻し処理は、本実施例では、エンジンバルブ成形体20の全体に施しているが、必要な部分に部分的に施すこともできる。
次に、第3の工程P3(図1参照。)において、前記した焼入れ処理及び低温焼戻し処理が施されたエンジンバルブに機械加工が施されることにより、最終形状のエンジンバルブ10(図2参照。)に仕上げられる。ここで、機械加工としては、エンジンバルブ10(図2参照。)のバルブ傘部13の外周面の研削加工、バルブ軸部12の外周面及び軸端面12bの研削加工、コッタ溝15の研削加工等が相当する。
次に、第4の工程P4(図1参照。)において、前記機械加工を施したエンジンバルブ10に前記低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理が施されるため、エンジンバルブ10の硬度低下が発生しない。この表面処理としては、窒化処理が好適である。また、窒化処理の温度は、前記低温焼戻し処理温度以下の温度、すなわち300℃〜450℃が適する。さらに、窒化処理温度は、450℃以下がより好ましく、400℃が最適である。このため、本明細書でいう「窒化処理」は、「低温表面硬化処理」ということができる。また、窒化処理にかかる処理時間は、エンジンバルブ10の必要とする硬度に応じて任意に選定されるものとする。なお、窒化処理としては、例えば特開平3−44457号公報に記載された「鋼の窒化方法」を適用することができる。
このように、エンジンバルブ10の必要とする硬度に応じて表面処理いわゆる表面硬化処理を施すことにより、エンジンバルブ10の表面に硬質層いわゆる窒化層が形成されるため、エンジンバルブ10の耐摩耗性を向上することができる。なお、エンジンバルブ10に対する表面処理は、本実施例では、エンジンバルブ10の全表面に施しているが、必要な表面部分に部分的に施すこともできる。また、表面処理としては、窒化処理のほか、塩浴窒化処理、ガス軟窒化、イオン窒化、Crメッキ、CrNコーティング、DLC、浸炭、高周波焼入れ、放電硬化等の処理を適用することができる。
上記した製造方法(図1参照。)により製造されたエンジンバルブ10(図2参照。)を使用するエンジンの動弁機構の一例について説明する。ここでは、エンジンの動弁機構として、OHC(オーバヘッドカムシャフト)機構を例示する。なお、図5はエンジンの動弁機構を示す断面図である。
図5に示すように、エンジンの動弁機構において、吸気バルブもしくは排気バルブとしてのエンジンバルブ10のバルブ軸部12は、エンジン30のシリンダヘッド31に固定されたバルブガイド32内に軸方向(図5において上下方向)に摺動可能に挿通されている。エンジンバルブ10の軸端部12aには、コッタ溝15に係合されたコッタ34を介してスプリングリテーナ35が取付けられている。また、シリンダヘッド31の上面側には、バルブガイド32を取り囲むスプリングシート部31aが設けられている。スプリングシート部31aとスプリングリテーナ35との間には、コイルスプリングからなるバルブスプリング36が圧縮状態で介装されている。また、シリンダヘッド31のシリンダヘッド31の吸気ポートもしくは排気ポートとしてのポート38の燃焼室側の開口部には、バルブシート39が固定されている。バルブスプリング36の弾性により上方へ付勢されたエンジンバルブ10のバルブ傘部13がバルブシート39に当接することによりポート38が閉鎖されている。
前記シリンダヘッド31には、クランクシャフト(図示しない。)により回転駆動されるカムシャフト40、ロッカシャフト42が並設されている。ロッカシャフト42に支持されたロッカアーム43のカムフォロワ部43aは、カムシャフト40が有するカム面40aに摺動可能に当接されている。また、ロッカアーム43のバルブ当接部43bは、エンジンバルブ10の軸端部12aの軸端面12bに摺動可能に当接されている。
カムシャフト40の回転に基づいてロッカアーム43が揺動される。そして、ロッカアーム43のバルブ当接部43bが下降するときに、エンジンバルブ10がバルブスプリング36の弾性に抗して押し下げられる。これにより、バルブ傘部13がバルブシート39から離れ、ポート38が開口される。また、ロッカアーム43のバルブ当接部43bが上昇するときに、エンジンバルブ10がバルブスプリング36の弾性復元力により上昇される。これにより、再びポート38が閉鎖される。なお、エンジンバルブ10のほか、コッタ34、スプリングリテーナ35、バルブスプリング36、ロッカアーム43は、本明細書でいう「動弁系部品」に相当する。
上記したエンジンバルブ10によると、鉄合金製の素材を鍛造することによりバルブ軸部22及びバルブ傘部13が一体成形された中実構造のエンジンバルブ成形体20(図3参照。)に焼入れ処理を施す工程と、前記焼入れ処理後のエンジンバルブ成形体20に低温焼戻し処理を施す工程とを備えるエンジンバルブの製造方法により製造されたものである(図1参照。)。したがって、中実構造のエンジンバルブ10(図2参照。)であるため、中空構造のもの(特許文献1参照。)に比べて、部品点数、製作工数を削減し、コストを低減することができる。また、鉄合金製の素材を鍛造することにより成形された中実構造のエンジンバルブ成形体20(図3参照。)に焼入れ処理及び低温焼戻し処理を施すことにより、エンジンバルブ10の疲労強度を向上することができる。よって、コストを低減しながらも、疲労強度を向上することのできるエンジンバルブ10を提供することができる。
また、エンジンバルブ10の疲労強度の向上により、バルブ軸部12の軸径12d(図2参照。)の小径化及び/又はバルブ傘部13の肉厚(図2において上下方向の厚さ)の薄肉化を図ることができ、エンジンバルブ10を軽量化することができる。また、バルブ軸部12の軸径12dの小径化にともない、エンジン30(図5参照。)の動弁系部品であるコッタ34、スプリングリテーナ35、バルブスプリング36の小径化を図ることができ、それらを軽量化することができる。これにともない、ロッカアーム43の小型化を図ることができ、ロッカアーム43を軽量化することができる。このようにして、エンジン30の動弁系部品(エンジンバルブ10、コッタ34、スプリングリテーナ35、バルブスプリング36、ロッカアーム43)の軽量化が可能である。
また、本実施例によるエンジンバルブ10(図2参照。)の応力解析を行なったところ、従来の鉄合金製で中実構造のエンジンバルブと比較し、バルブ軸部12の小径化に起因する応力増加に対して、低温焼戻し処理により疲労強度を向上させることで、従来のエンジンバルブと同等の安全率にでき、同等の信頼性の確保が図れる。すなわち、本実施例によるエンジンバルブ10(図2参照。)によれば、バルブ軸部12の軸径12dを約20%程度小径化による応力増加が約40%あるのに対して、低温焼戻し処理による疲労強度向上が約40%あり、そのため、従来の鉄合金製で中実構造のエンジンバルブと同等の安全率にでき、同等の信頼性の確保が図れる。
その結果、バルブ軸部12の軸径12dを約20%程度小径化することができ、エンジンバルブ10単体で約20%程度軽量化し、動弁系部品(エンジンバルブ10、コッタ34、スプリングリテーナ35、バルブスプリング36、ロッカアーム43)の慣性質量で約16%程度軽量化することが確認できた。ちなみに、安全率Sは、材料の疲労強度をσとし、材料に発生する応力σとしたとき、
S=σ/σ
の数式により求められる。
また、エンジンバルブ10(図2参照。)のバルブ軸部12の軸径12dを小径化することにより、バルブ傘部13の外径(「傘径」という。)13dに対してのバルブ軸部12の軸径12dの比率(「傘/軸比」という。)の大きいエンジンバルブ10を製造することができる。
なお、表1に、実施例1〜4及び従来例1,2のエンジンバルブにかかる傘径13d、軸径12d、傘/軸比、焼戻し処理温度、材料硬度との関係を具体的に示す。
Figure 2008215157

表1を参照して説明する。例えば、従来例1であるエンジンバルブのバルブ傘部13の傘径13dがΦ32mm、バルブ軸部12の軸径12dがΦ5.5mmの場合、「傘/軸比」は5.8であるが、傘径13dがΦ32mmで軸径12dのΦ5.5mmをΦ4.5mmに小径化すると、「傘/軸比」は約7.1に大きくなる(実施例1参照。)。その場合、軸径12dがΦ4.5mmでは、Φ5.5mmに対して軸の断面積は約66%になり、応力が約1.5倍になるのに対して、約550℃の低温焼戻し処理により材料硬度が約1.5倍(SUH3の例で、ビッカース硬度が約HV360から約HV530に向上。)になり、疲労強度が約1.5倍に向上するため、同等の安全率にでき、同等の信頼性確保が図れる。
また、従来例2であるエンジンバルブのバルブ傘部13の傘径13dがΦ38mm、バルブ軸部12の軸径12dのΦ5.5mmをΦ4.2mmに小径化すると、「傘/軸比」は約9に大きくなる(実施例4参照。)。その場合、軸径12dがΦ4.2mmでは、Φ5.5mmに対して軸の断面積は約58%になり、応力が約1.7倍になるのに対して、約400℃の低温焼戻し処理により材料硬度が約1.7倍(SUH3の例でビッカース硬度が約HV360から約HV620に向上。)になり、疲労強度が約1.7倍に向上し、そのため同等の安全率にでき、同等の信頼性確保が図れる。
その結果、エンジンバルブ10の傘/軸比を、従来限界であった6.9を超える値すなわち8.5に大きくすることができ、さらには約9.0という値にまで大きく設定することが可能である。なお、バルブ傘部13の傘径13dの拡大は、エンジンの吸排気効率の向上に有効である。また、バルブ軸部12の軸径12dの小径化による軽量化は、エンジンの高速応答性の向上に有効である。
また、低温焼戻し処理後のエンジンバルブ10の硬さがビッカース硬度でHV530以上である。このため、バルブ軸部の軸径の小径化及び/又はバルブ傘部の肉厚の薄肉化を図るうえで有利である。
また、前記低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施す工程と、前記機械加工後のエンジンバルブ10に前記低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施す工程とを備えたものである。したがって、低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施すことにより最終形状に仕上げられ、その機械加工後のエンジンバルブ10に低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施すことにより、エンジンバルブ10の疲労強度の低下を招くことなく、エンジンバルブ10の表面の耐摩耗性を向上することができる。
また、エンジンバルブ成形体20の鉄合金として実績のあるマルテンサイト系耐熱鋼を用いることができて好都合である。
また、バルブ傘部13の傘径13dに対してのバルブ軸部12の軸径12dの比率が、7以上の大きいエンジンバルブ10を製造することができる。
また、前記した焼入れ処理、低温焼戻し処理、表面処理の各工程には、現状の設備を流用することが可能であることから、一層の低コスト化を図ることが可能である。
また、前記したように、エンジンバルブ10のバルブ軸部12の軸径12dを小径化すると、ロッカアーム43のバルブ当接部43b(図5参照。)が当接しかつ摺動する軸端部12aの軸端面12bの当接面積が減少し、面圧が増大することにより、軸端面12bの摩耗の増加が懸念される場合がある。このような場合の対策が図6に示されている。なお、図6はエンジンバルブの軸端部の別部材を示す断面図である。
図6に示すように、エンジンバルブ10のバルブ軸部12の軸端部12aに、キャップ状の別部材17を取付けて一体化したものである。バルブ軸部12の軸端部12aの外周面には、おねじ部12cが形成されている。また、別部材17は、有底円筒状に形成されており、円板状の端板部18と、円筒状の筒状部19とを有している。端板部18の外径18dは、バルブ軸部12の軸径12dよりも大きい。このため、端板部18による端面すなわち軸端面18aは、バルブ軸部12の軸端面12bの面積よりも大きい面積を有している。
また、前記筒状部19の内周面には、めねじ部19aが形成されている。めねじ部19aは、バルブ軸部12の軸端部12aのおねじ部12cに螺合可能に形成されている。また、前記別部材17は、例えば、鉄合金製で、焼入れ処理が施されている。
前記別部材17は、バルブ軸部12の軸端部12aに対して、その軸端部12aのおねじ部12cにめねじ部19aをねじ付けることによって、キャップ状に一体化されている。そして、別部材17の端板部18の軸端面18aに、前記ロッカアーム43のバルブ当接部43b(図5参照。)が当接される。なお、前記バルブガイド32(図5参照。)にその下方からバルブ軸部12が挿通された状態で、そのバルブ軸部12の軸端部12aに別部材17が取付けられて一体化される。
したがって、別部材17によって、バルブ軸部12の軸端部12aの軸端面12bの面積よりも大きい面積の軸端面18aを形成することができ、エンジンバルブ10の軸端面12bの摩耗を防止することができる。なお、別部材17は、少なくとも軸端面18aが耐摩耗性に優れていればよく、材質、表面処理、形状等については限定されない。また、別部材17は、バルブ軸部12の軸端部12aに対して、ねじ付けのほか、圧入、接着、ろう付け等の取付手段によっても一体化することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、ここに記載された発明の実施例には請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような技術的事項を有するものであることを付記しておく。
(1)請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンバルブであって、
前記バルブ傘部の傘径がΦ32mm〜Φ38mmで、前記バルブ軸部の軸径がΦ4.2mm〜Φ4.5mmにおいて、バルブ傘部の傘径に対してのバルブ軸部の軸径の比率が、7.1以上で9以下であることを特徴とするエンジンバルブ。
このように構成すると、バルブ傘部の傘径を従来(表1の従来例1,2参照。)と同等にしながらも、バルブ傘部の傘径に対してのバルブ軸部の軸径の比率が7.1以上で9以下のエンジンバルブを得ることができる。
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明のエンジンバルブ10は、OHC機構等の間接駆動式に限らず、カムシャフト40により直接的に駆動される直接駆動式の動弁機構にも適用することができる。また、エンジンバルブ10の製造工程中、第3の工程P3及び/又は第4の工程P4は必要に応じて行なえばよい。
本発明の一実施例にかかるエンジンバルブの製造方法を示す工程図である。 エンジンバルブを示す側面図である。 エンジンバルブ成形体を示す側面図である。 SUH3の焼戻し処理温度と硬度との関係を示すグラフである。 エンジンの動弁機構を示す断面図である。 エンジンバルブの軸端部の別部材を示す断面図である。 従来の技術にかかるポペットバルブを示す断面図である。
符号の説明
10 エンジンバルブ
12 バルブ軸部
12a 軸端部
12b 軸端面
13 バルブ傘部
17 別部材
20 エンジンバルブ成形体

Claims (6)

  1. 鉄合金製の素材を鍛造することによりバルブ軸部及びバルブ傘部が一体成形された中実構造のエンジンバルブ成形体に焼入れ処理を施す工程と、
    前記焼入れ処理後のエンジンバルブ成形体に低温焼戻し処理を施す工程と
    を備えるエンジンバルブの製造方法により製造されたことを特徴とするエンジンバルブ。
  2. 請求項1に記載のエンジンバルブであって、
    低温焼戻し処理後の硬さがビッカース硬度でHV530以上であることを特徴とするエンジンバルブ。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンバルブであって、
    前記低温焼戻し処理後のエンジンバルブに機械加工を施す工程と、
    前記機械加工後のエンジンバルブに前記低温焼戻し処理温度以下の温度で表面処理を施す工程と
    を備えるエンジンバルブの製造方法により製造されたことを特徴とするエンジンバルブ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンバルブであって、
    前記鉄合金がマルテンサイト系耐熱鋼であることを特徴とするエンジンバルブ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンバルブであって、
    前記バルブ傘部の外径に対しての前記バルブ軸部の外径の比率が、7以上であることを特徴とするエンジンバルブ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンバルブであって、
    前記バルブ軸部の軸端部に、その軸端部の軸端面の面積よりも大きい面積の軸端面を形成する別部材が一体化されていることを特徴とするエンジンバルブ。
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