JP2008213132A - 生産システム用汎用セル及び該汎用セルを用いた生産システム - Google Patents

生産システム用汎用セル及び該汎用セルを用いた生産システム Download PDF

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Abstract

【課題】生産システムを構成する汎用セルとしての高い汎用性によってラインレイアウトの自由度を高く維持し、ひいてはライン構成の変更等に際しての時間的、コスト的なロスをより好適に削減する。
【解決手段】生産システムを構成する汎用セルとして、被加工物(ワーク)の加工に最低限必要とされる要素、すなわちロボット60が支持されたベースユニット10、ロボット60に対してワークの部品を供給する部品供給ユニット20、そしてベースユニット10の上に設けられる加工エリア30をセットとして1つの汎用セル100を構成する。ベースユニット10は、平面形状が正六角形からなって、少なくともワークの搬送に用いられるロボット60をこの正六角形からなる平面領域上を移動可能に支持する。そして、このロボット60の動作範囲を、加工エリア30を含むかたちで、ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いてラインレイアウトされる生産システムに関するものである。
近年、小型の電機製品や電子製品等は、多品種少量生産化や製品サイクルの短期間化が進んでおり、これら電機製品や電子製品等を生産する生産ラインも、生産対象となる製品にあわせて、ライン構成の組み替えが頻繁に行われる傾向にある。こうした生産ラインは、他の製品の生産に移行する際のライン変更に時間やコストがかかることから、人手によるセル生産で対応している場合も多いものの、このような場合にあっても製品の品質や生産安定性の面からは生産ラインを自動化することが望まれている。
そこで従来は、例えば特許文献1に見られるように、被加工物(ワーク)をその保持媒体であるパレットに載置した状態でこれを搬送するコンベアと共々、生産システムを複数の組立セルとしてセル化することによって、ライン構成にかかるこうした時間的な、そしてコスト的なロスの削減を狙ったシステムなども提案されている。すなわちこのシステムでは、それら分割した各セルに対し、別途に設けられた複数の部品供給装置からの選択的な部品の供給を可能とし、またそれらセル自体に多品種にわたる被加工物に対応してこれを加工する機能を持たせることによって、上記時間的、並びにコスト的なロスの削減を図るとともに、自動化の促進を図るようにしている。
また従来は、例えば特許文献2に記載のシステムのように、作業台を介して隣接されるセル(ロボット部)の基台上に設置されたロボットを備え、このロボットの組立ツールと被加工物の部品とを共に該当するセルに搬送して、ロボット自身にその組立ツールの着脱及び被加工物の加工を行わせるようにしたシステムも提案されている。このように各セルのロボットに必要とされる組立ツールを被加工物の部品と併せて搬入し、また、使用後の組立ツールについては、当該ロボットによって加工された被加工物と併せて搬出する搬送手段を備えることで、上記自動化のさらなる促進が図られるようになる。
また一方、これも従来の例えば特許文献3に記載のシステムのように、上記ロボットが基台上に設置されることの不都合に鑑み、組立作業台とは別途の支持部材を通じてロボットを天吊り状に支持するとともに、それらロボットの可動範囲内に対して部品供給を行う部品供給ユニットをそれらロボットに対向して配置するようにしたものもある。ロボットをこうして天吊り状に支持することで、組立作業台(基台)上のスペースを広く確保することができ、ひいては組立作業台上での組立動作にかかる自由度もより高く維持することができるようになる。
特許第3336068号公報 特許第3673117号公報 特開2006−43844号公報
このように、生産システムとしてのライン構成の変更にかかる時間的、並びにコスト的なロスの削減、さらには自動化の促進を図るべく、従来より種々のシステムが提案されてはいるものの、上記セルとしての汎用性、あるいはラインレイアウトの自由度等といった観点からすると、いまだ改良の余地を残すものとなっている。
例えば、上記特許文献1に記載のセルあるいはシステムの場合、まずは生産対象となる複数種の被加工物(製品)の別に上記被加工物を保持するためのパレットを用意する必要があることから、同システムの実用に際しては多量のパレットが必要となり、その設計や製作にかかる時間、並びにコストが無視できない。しかも、それらパレットがコンベアによって搬送されるシステムであることから、該コンベア自体の搬送能力によってラインとしての生産量、生産能力が制限されてしまう不都合もある。
また、特許文献2に記載のシステムにあっては、上記コンベア等は不要であるものの、上述のようにセルを構成する基台上にロボットが設置される構造であることから、ロボット自身による組立ツールの着脱はもとより、被加工物の加工等にかかる作業領域の制限、さらには上記搬送手段によって搬送されるトレーサイズの制限が無視できない。また、同システムにあって、これら作業領域やトレーサイズを大きく確保しようとすれば、セルをはじめとする生産システム全体としての大型化も避けられない。
そして、上記特許文献3に記載のシステムにしろ、組立作業台上のスペースを広く確保することができるとはいえ、部品供給ユニットがそれら組立作業台に対向配置される構造であることから、ラインレイアウト上の自由度も自ずと制限されることとなり、結局は、ライン構成の変更にかかる時間的、並びにコスト的なロスの削減も難しい。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルとしての高い汎用性によってラインレイアウトの自由度を高く維持することができ、ひいてはライン構成の変更等に際しての時間的、コスト的なロスをより好適に削減することのできる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムを提供することにある。
本発明の生産システム用汎用セルでは、受け入れた被加工物を加工して送り出す生産システムにあって同被加工物の加工、搬送に汎用的に用いられる生産システム用汎用セルとして、平面形状が五角形以上の多角形からなって、少なくとも前記被加工物の搬送に用いられるロボットがこの多角形からなる平面領域上を移動可能に支持されてなるベースユニットと、該ベースユニットに支持されたロボットに対して前記被加工物の部品を供給する部品供給ユニットと、前記ベースユニットの内側に設けられた加工エリアとを備え、前記ベースユニットに支持されたロボットの動作範囲が、前記加工エリアを含めて、同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されるようにしている。
生産システム用汎用セルとしてのこのような構成によれば、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、いわば生産システム用のセルとして被加工物の加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの汎用セルが構成される。このため、当該セルに対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が自ずと高められることとなり、同セルの羅列のみで生産システムに求められる各種生産機能の実現が可能となる。すなわち、生産システムを構成する際のラインレイアウトの自由度が高く維持されるようになる。またこの汎用セルでは、上記加工エリアがベースユニットの内側に設けられるとともに、ベースユニットに設けられたロボットの動作範囲が、この加工エリアを含めて、同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されていることから、こうした加工エリアとしての用途も自ずと広がり、例えば
(イ)ロボットにより搬送される被加工物に対して所要の加工を行う専用の加工機を設置するためのエリアとしての利用。
(ロ)ロボット自身が被加工物に対して所要の加工を行うためのエリアとしての利用。
等々、同加工エリアを種々の用途で利用することができるようになる。そしてこの場合であれ、被加工物の加工に必要とされる部品はセル毎に上記部品供給ユニットを通じて供給されることから、当該セルを単位として割り当てられる作業もしくは生産機能も、同セル
毎に完結されるようになる。しかも、上記ベースユニット自体、その平面形状が五角形以上の多角形からなることで、互いにロボットの動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持されるとともに、上記ロボットがこの多角形からなる平面領域を移動可能にベースユニットに対して支持されることで、ベースユニットを構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セルとしての不要な大型化を招くこともなくなる。
また、この生産システム用汎用セルにおいて、前記被加工物の当該セルに対する供給、及び同被加工物の当該セルからの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリアが前記ロボットの動作範囲に収まる態様にて前記ベースユニットの外側にさらに延設される構成を採用するようにしてもよい。
このような生産システム用汎用セルによれば、例えばセル間での被加工物の搬送も、ロボットの動作範囲内におかれる上記給材、除材エリアを通じて行うことができるようになり、いわゆるバケット・ブリゲード(バケツ・リレー)方式による被加工物の当該セルへの供給や、同被加工物の当該セルからの排除も容易となる。
また、こうした生産システム用汎用セルにおいては、前記ベースユニットの上方に支柱を介して支持された天井部を設けるとともに、前記ロボットはこの天井部から吊り下げられる態様にて前記ベースユニットに支持されるロボットの支持態様が有効である。
この生産システム用汎用セルによるように、ロボットが上記多角形からなる平面領域を移動可能にベースユニットに対して支持される支持形態の一例として、ベースユニット内で、ロボットがこうして天井部から吊り下げられる態様にて支持されるようにすることで、同ロボットの動作範囲も、その下方の全領域を含む広い範囲をカバーすることが可能となり、上記加工エリアも含めて、特にベースユニットを構成する領域のさらなる有効利用が図られるようになる。
そして、このような生産システム用汎用セルでは、前記ロボットとして、互いに円形もしくは円弧状の動作領域をもつ第1及び第2のアームを有するとともに、前記第2のアームは、前記第1のアームと重なる位置を通過することが可能なスカラ型ロボットを採用することが特に望ましい。
この生産システム用汎用セルによれば、ロボットは、それぞれ動作範囲が円形もしくは円弧状を基本として、相互に重なり合う位置を通過できる第1及び第2のアームを備える。このことから、同ロボット全体としての動作範囲も、それら第1及び第2のアームの協働により、円形もしくは円弧状を基本として、それら円形もしくは円弧状の内部、すなわちベースユニットの内側から外側に至るように設定されているロボットの動作範囲において、その必要領域を効率よくカバーすることができるようになる。
また、こうした生産システム用汎用セルでは、前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーを前記加工ステージの下方に搬送するトレーフィーダを有する構成とすることが望ましい。
この生産システム用汎用セルによれば、部品供給ユニットから部品トレーに載置されて供給される部品が、上記トレーフィーダにより加工エリア下方に搬送可能となる。これにより、ベースユニット近傍での部品供給や、ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等が円滑になされるとともに、ベースユニット上に加工ステージとして設けられる加工エリア全体の有
効利用が併せて図られるようになる。
また、こうした生産システム用汎用セルでは、前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記ベースユニット内にあって前記加工ステージの周辺に前記被加工物の部品を供給する構造を採用することもできる。
この生産システム用汎用セルによれば、ベースユニット上に加工ステージとして設けられる加工エリアの周辺に対し、ベースユニット内に設けられた部品供給ユニットから直接上記被加工物の部品が供給されることから、ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等の円滑な実行や、加工エリア全体の有効利用が図られることはもとより、当該汎用セルとしての平面的な体格の小型化も併せて期待できるようになる。
一方、こうした生産システム用汎用セルにおいては、前記ベースユニットに同ベースユニットから直立する側壁を前記加工エリアから離間して設けるとともに、前記ロボットはこの側壁から突出する態様にて前記ベースユニットに支持されるロボットの支持態様も有効である。
この生産システム用汎用セルによるように、ロボットが上記多角形からなる平面領域を移動可能にベースユニットに対して支持される支持形態の他の例として、ベースユニット内で、ロボットがこうして設けられた側壁から突出する態様にて支持される形態を採用することもできる。そしてこの場合も、加工エリアを含めたベースユニットとしての必要領域を確保することは容易である。
そして、このような生産システム用汎用セルでは、前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーにより前記側壁の裏面側から前記加工エリアの近傍に部品を供給するような構成とすることが望ましい。
この生産システム用汎用セルによれば、部品供給ユニットから部品トレーに載置されて供給される部品が、加工エリアの近傍に搬送される。すなわち、この部品供給ユニットによる部品の搬送後、同部品が載置されている部品トレーは加工ステージの近傍におかれるようになる。これにより、ベースユニット上の側壁から突出する態様で設けられるロボットであっても、同ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品のロボットによる加工エリアへの搬送動作等が円滑になされるとともに、ベースユニット上に加工ステージとして設けられる加工エリア全体を有効に利用することができるようになる。
また、こうした生産システム用汎用セルでも、前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられるとともに、前記部品供給ユニットは、前記ベースユニット内にあって前記加工ステージの周辺に前記被加工物の部品を供給する構造とすることができる。
この生産システム用汎用セルによっても、ベースユニット上に加工ステージとして設けられる加工エリアの周辺に対し、ベースユニット内に設けられた部品供給ユニットから直接上記被加工物の部品が供給されることから、ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等の円滑な実行や、加工エリア全体の有効利用が図られることはもとより、当該汎用セルとしての平面的な体格の小型化も併せて期待できるようになる。
また一方、この生産システム用汎用セルにおいては、前記ベースユニットに設けられた前記部品供給ユニット及び前記加工エリアを含むセル自体の平面形状が五角形以上の多角形からなる構造を採用することも有効である。
この生産システム用汎用セルによれば、部品供給ユニットや加工エリアを含むセル自体の平面形状がベースユニットと同様の多角形をなすことで、生産システムとしてのラインレイアウト設計もより容易となる。そして特に、ベースユニット上に加工ステージとして設けられる加工エリアの周辺に対し、ベースユニット内に設けられた部品供給ユニットから直接上記被加工物の部品が供給される構成を採る場合には、「ベースユニットの平面形状=セル自体の平面形状」といった関係が成立するようになることから、同汎用セル自体の平面的な体格の小型化が促進されることともなり、生産ラインを組む上でのラインレイアウトの自由度のさらなる向上が図られるようになる。
さらに、この生産システム用汎用セルにおいては、前記五角形以上の多角形からなる平面形状が正六角形である構造を採用するとさらに有効である。
この生産システム用汎用セルによるように、ベースユニット、あるいは汎用セル自体の平面形状を正六角形とすることで、より自由度が高く、しかもより高密度のセル配列が可能となる。そして特に、当該汎用セル自体の平面形状が正六角形とされる場合には、いわゆる「ハニカム構造」に見られるような最も効率がよく、しかも最も自由度の高いラインレイアウトが可能ともなる。
他方、この生産システム用汎用セルにおいて、前記加工エリアに前記被加工物の加工を行う専用の加工機が設置されるとき、前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.前記加工機を通じて加工された被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うことができる。
この生産システム用汎用セルは、前記(イ)として例示した加工エリアの利用態様についてこれを具現したものである。すなわちここでは、加工エリアに設置された加工機を通じて被加工物の加工が専用に行われることから、当該セルの羅列によって生産システムが構成される場合であれ、ベースユニットに設けられたロボットは、上記a.〜d.の操作のみを繰り返し実行することで済むこととなる。これにより、こうした汎用セルとしての標準化が促進されるとともに、その汎用性も極めて高く維持されるようになる。
また、この生産システム用汎用セルにおいて、前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.この部品を組み込んだ被加工物の前記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
この生産システム用汎用セルは、前記(ロ)として例示した加工エリアの利用態様についてこれを具現したものである。ここでは、ベースユニットに設けられたロボットを通じて上記a.〜e.の操作、すなわち当該セルとして行うべき全ての操作が行われる。このため、同セルの羅列によって生産システムを構成する場合、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要はあるものの、それら設定内容さえ予め記憶装置
等に登録しておけば、例えばライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となり、この場合も必要とされる汎用性は維持される。
またさらに、この生産システム用汎用セルにおいて、前記加工エリアに前記ロボットが自らのハンドを自動付け替えするオートツールチェンジャが設置されるとき、前記ロボットは、
a.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
c.この部品を組み込んだ被加工物の加工、及び
d.この加工した被加工物の送り出し、及び
e.前記オートツールチェンジャを通じた前記a.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
この生産システム用汎用セルは、加工エリアの利用態様についてのさらに異なる態様についてこれを具現したものであるが、この場合も基本的にはベースユニットに設けられたロボットを通じて上記a.〜e.の操作、すなわち当該セルとして行うべき全ての操作が行われる。しかもここでは上記e.の操作として、加工エリアに設置されたオートツールチェンジャを通じての必要に応じたロボットハンド(ツール)の自動付け替えも併せて行われることから、より多くの種類の作業に対応することが可能となる。もっともこの場合であれ、同セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要があるものの、ここでもそれら設定内容さえ予め記憶装置等に登録しておくことで、それら設定内容の更新を通じた、当該セルとしての必要とされる汎用性は好適に維持される。
そして、本発明の汎用セルを用いた生産システムでは、このような生産システム用汎用セルの複数が、互いに隣接するセル同士で前記ロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列される構成を採る。
ここで用いられる生産システム用汎用セル自体が、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、生産システム用のセルとして被加工物の加工に最低限必要とされる各要素のセットからなり、それらセルに対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が大きく高められていることは上述した。このため、こうした汎用セルの複数が互いに隣接するセル同士でそのロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列されてなる本発明の生産システムによれば、被加工物を搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、ラインレイアウトそのものの自由度が高く維持されており、上記多角形形状に応じて、例えば2方向に被加工物を送り出したり、2方向から被加工物を受入れたりするライン構成、あるいは途中で分岐したり、合流したりする「Y字」状のライン構成、さらにはこれら分岐及び合流を組み合わせて並列化したライン構成、またさらには円弧状(閉ループも含む)や千鳥状のライン構成等々、当該生産システムを設置するスペース等に応じた極めて自由なラインレイアウトが、しかも低コストにて実現可能となる。
また、こうした生産システムでは、前記ロボットの動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボットの動作範囲内での被加工物の授受を可能とすべく同被加工物を自動搬送する被加工物自動搬送ユニットをさらに備える構成が有効である。
このような生産システムによれば、上述の態様でのラインレイアウトに加えて、上記被加工物自動搬送ユニットを通じてラインの一部あるいは全部を並列化する等のより多彩なラインレイアウトが可能となり、各セル間での被加工物の加工内容等に応じたライン速度の調整や搬送タイミングの調整なども容易となる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムを具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、この第1の実施形態にかかる生産システム用汎用セルについてその全体の斜視構造を示したものである。
図1に示されるように、汎用セル100は、ロボット60を支持するベースユニット10に対し、図中に付記した三次元座標中、X軸方向に連なるかたちで、部品供給ユニット20を備えるとともに、同ベースユニット10の内部に加工エリア30を備える構成となっている。そして、本実施形態において、汎用セル100を構成するこれらベースユニット10、部品供給ユニット20及び加工エリア30の各部分は、いずれも剛性のある金属などからなって互いが適宜に連結されており、その下面40に設けられているキャスター41及びフットジャッキ42を通じて、セル単位での移動や設置が可能となっている。すなわちこの汎用セル100は、その下面40に設けられているキャスター41によって床面上を任意の方向に移動可能であるとともに、同じくその下面40に設けられているフットジャッキ42を通じて所望の設置位置への固定が可能となっている。なお、本実施形態においては、ベースユニット10の平面形状が正六角形をなしており、こうした汎用セル100を複数用いて生産システムを構成する際のラインレイアウト設計を容易としている。またこの汎用セル100において、ベースユニット10の下方となる部分にはキャビネット43が設けられており、このキャビネット43の中に、当該汎用セル100の上記ロボット60をはじめとする各部を統括制御する制御装置などが収容されている。
ここで、まずは上記ベースユニット10についてその具体的な構成を説明する。
同図1に示されるように、このベースユニット10には、支柱11pによって支持された天井部11rが設けられており、上記ロボット(ここでの例ではスカラ型ロボット)60は、この天井部11rから吊り下げられる態様にて当該ベースユニット10に支持されている。すなわちこのロボット60は、ベースユニット10の上面にあたる平面形状六角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10、正確には天井部11rによって支持されている。そして、本実施形態にあっては、被加工物(ワーク)の当該セル100に対する供給部及び排除部となる給材、除材エリア52a〜52eが、ロボット60の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の側辺に設けられた各側板13a〜13d、あるいは加工エリア30の図中X方向先端部からベースユニット10の側方にかけて延設されている。図2(a)及び(c)は、こうしたロボット60の底面構造を、図2(b)及び(d)はこうしたロボット60の側面構造を示したものであり、また図3(a)〜(c)は、同ロボット60の下方から見た動作態様、並びに動作範囲をそれぞれ示したものである。以下、この図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)を併せ参照して、ロボット60の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
図2(a)〜(d)に示されるように、このロボット60は、上記天井部11rに貫通して設けられて、同天井部11rから垂直方向に延出された第1の軸61によって支持されるとともに、該第1の軸61及び第2の軸63を介してそれぞれ水平方向に各別に回動可能な第1及び第2のアーム62,64を有して構成されている。このうち、第2のアーム64の先端部には、上記第1及び第2の軸61,63と同一方向(垂直方向)に延びる第3の軸65がさらに設けられており、この第3の軸65中、上記第2のアーム64の下方に位置する部分には、これも水平方向において第2のアーム64の回動とは独立して回転可能なヘッドユニット66が設けられている。このヘッドユニット66は、その先端にツール取付具67を有しており、該ツール取付具67に任意のツールが取り付けられた状態で、上記第3の軸65内に収納された位置(最短位置)から図2(b)及び(d)中に
破線にて示す距離L1だけ伸長した位置(最長位置)の間で自在に伸縮可能となっている。なお、上記第1の軸61は、その内部に設けられた第1モータM1を通じてその中心線C1を中心に左右に回転することにより、同軸61に先端が連結されている上記第1のアーム62を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第1のアーム62の回動角度が同じく第1の軸61内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる。また、上記第2の軸63は、その内部に設けられた第2モータM2を通じてその中心線C2を中心に左右に回転することにより、同軸63に先端が連結されている上記第2のアーム64を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第2のアーム64の回動角度が同じく第2の軸63内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる。また、上記第3の軸65内で回転、伸縮する上記ヘッドユニット66は、第2のアーム64内に設けられた第3モータM3を通じてその中心線C3を中心に左右に回転し、その回転角度が同じく第2のアーム64内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる。他方、同ヘッドユニット66の伸縮は、これも第2のアーム64内に設けられた昇降モータM4を通じてその伸縮度合いが制御され、その制御された伸縮度合いが同じく第2のアーム64内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる。なお、これらモータやエンコーダの制御信号あるいはモニタ信号の各信号線は上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
そして、図3(a)〜(c)に示されるように、同ロボット60において、上記第1及び第2のアーム62,64は、共にその動作領域が円形を基本として相互に重なり合う位置を通過できる同一長に設定されており、それら各アームの協働によって、図3(a)に動作範囲Ra1として示す円形領域の全領域での動作がカバーされるようにしている。すなわち図3(a)は、上記第1及び第2のアーム62,64が「コの字」状に重なり合ったいわゆる原点姿勢にあるロボット60を下方から見た状態を示したものである。そして本実施形態にあっては、この状態において、上記第2のアーム64がポイントP1を中心に時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ回動可能となっており、また同様に、上記第1のアーム62も、同図3(a)の中心点を中心にポイントP1を時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ振るかたちで独立に回動可能となっている。ちなみに図3(b)は、それら第1及び第2のアーム62,64の回動軌跡すなわち動作範囲Ra2を示しており、第1のアーム62が第2のアーム64を時計回りに225°だけ振ったとすると、第2のアーム64は、ポイントP1からポイントP2にかけてそれらポイントを中心とした時計回り及び反時計回りへの225°の回動が可能となる。同じく図3(c)は、共に同第1及び第2のアーム62,64の回動軌跡すなわち動作範囲Ra3を示しており、第1のアーム62が第2のアーム64を反時計回りに225°だけ振ったとすると、第2のアーム64は、ポイントP1からポイントP3にかけてそれらポイントを中心とした時計回り及び反時計回りへの225°の回動が可能となる。そして、これら回動軌跡を合成して示したものが図3(a)であり、結局は上述のように、それら第1及び第2のアーム62,64の協働によって、動作範囲Ra1として示す円形領域の全領域での動作がカバーされるようになる。なお本実施形態にあっては、上記ヘッドユニット66も、第2のアーム64とは独立して、時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ回動可能となっている。
ロボット60としてのこうした動作により、少なくとも上記ベースユニット10内での死角は全て解消されるようになる。このため、図1に示した汎用セル100としても、ワークの搬送や、部品供給ユニット20のトレーフィーダ21を通じて搬送される部品トレー(図示略)に載置されている部品のピックアップ等が円滑に実行されるようになる。
なお、同図1に示した汎用セル100において、ベースユニット10の天井部11rには、その上部にキーボードやモニタ用の表示装置等(いずれも図示略)を有する操作盤OPが設けられおり、この操作盤OPを通じて、セル毎に必要とされる各種設定が可能とな
っている。また、同操作盤OP上に設けられた状態表示器PLは、当該汎用セル100のその都度の稼働状況等をそれぞれ異なる色の発光器を通じて作業員等に知らしめる装置である。
図4は、図1では便宜上図示を割愛した部品トレーTrも含めて、当該汎用セル100の平面構造を示したものであり、この汎用セル100では、こうしたロボット60の動作範囲を同図4に動作範囲Ra1(二点鎖線)として示す範囲、すなわち加工エリア30を含むかたちで、上記ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定している。これにより、以下に説明する部品供給ユニット20を通じて供給される部品トレーTrからの部品のピックアップをはじめ、上記給材、除材エリア52a〜52e及び加工エリア30間でのワークの搬送(移動)なども、高い汎用性をもって、容易に実現されるようになる。
図5も、図4と同様、当該汎用セル100の平面構造を示したものであるが、ここでは特に、上記部品供給ユニット20の平面構造を中心に図示しており、次にこの図5を併せ参照して、部品供給ユニット20の構成、並びに機能について、加工エリア30との関係も含めて詳述する。
同図5に示されるように、この部品供給ユニット20は、ベースユニット10の上面にあたる上記平面形状六角形からなる領域12上に敷設された一対のレール22a,22bを有し、このレール22a,22bを通じて、部品載置用のポケットPが設けられた部品トレーTrを図中のX方向に自動搬送するトレーフィーダ21を備えて構成されている。ここで、上記一対のレール22a,22bには、各々その内部に、ボールネジ(図示略)が同レールの全長に渡って配されるとともに、上記部品トレーTrの前後にはこのボールネジに螺合するように係合される爪23a,23b及び24a,24bが設けられている。すなわちこのトレーフィーダ21では、一対のレール22a,22bの内部に対して各々配されている上記ボールネジの回転を通じて、これに螺合するように係合されている上記爪23a,23b及び24a,24bと共々、部品トレーTrを図中のX方向に随時自動搬送する。なおこのトレーフィーダ21において、こうしたボールネジの回転駆動は、同トレーフィーダ21の基端部に設けられている第1及び第2シャトルモータMSa,MSbを通じて行われる。その第1及び第2シャトルモータMSa,MSbの回転量すなわち部品トレーTrの移動量は、同じくトレーフィーダ21の基端部に設けられている第1及び第2シャトルエンコーダESa,ESbを通じてモニタされる。そして、これらシャトルモータやシャトルエンコーダの信号線も、上記ロボット60の各モータや各エンコーダの信号線と同様、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
また、先の図1に示されるように、上記一対のレール22a,22bは、上記ベースユニット10の領域12の上方に設けられた加工エリア30の下方に至るように敷設されている。そして、図5に二点鎖線にて付記する位置で所要とされる部品が載置された部品トレーTrは、上記トレーフィーダ21を通じて、同図5に矢印F1にて示される態様で所望とされる位置まで随時自動搬送されることとなる。このように、部品トレーTrが上記加工エリア30よりも低い位置に搬送可能となることで、ロボット60による部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット60による加工エリア30への搬送動作等が円滑になされるようになる。またこれにより、上記加工エリア30全体を常に有効に利用しつつ、ロボット60としての限られた動作範囲を補うべく上記部品トレーTrの搬送位置(トレーフィーダ21でのフィード位置)を順次調整することができるようにもなる。
一方、加工エリア30は、先の図1に示されるように、上記ベースユニット10、正確
にはベースユニット10の上面にあたる上記平面形状六角形からなる領域12よりも高い位置に段差をもって、同ベースユニット10に対して直立する支柱11pの途中の位置に水平に設けられている。ちなみにこの加工エリア30は、ステージ31の四隅がそれぞれ支柱11pに支持される構造となっており、特に本実施形態にあっては、このステージ31上に、ワークに対してセル毎に割り当てられた専用の加工を行う加工機70を設置するようにしている。同加工機70自体、専用のロボットを採用するなど、その構成は任意であるが、少なくともこのような加工機70を加工エリア30のステージ31上に設置することで、当該汎用セル100としても基本的に上記ロボット60を通じてワークの搬送やその部品のピックアップのみを行えばよいことになり、その標準化が促進されることとなる。なお、図4に示されるように、同加工機70には、搬送されたワークを保持するためのワーク保持エリア71が設けられている。そして、このワーク保持エリア71には、ワークを保持するためのチャック(図示略)が設けられており、このチャックがワーク保持エリア71内に設けられている切換バルブBL1の駆動を通じて開閉される。また、このチャックを通じてワークが保持されているか否かが、同ワーク保持エリア71内に設けられているセンサーU1を通じてモニタされる。なお、これらバルブやセンサーの信号線も、上記ロボット60の各モータや各エンコーダの信号線、さらには上記トレーフィーダ21のシャトルモータやシャトルエンコーダの信号線等と同様、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
ここで、図6を併せ参照して、上記制御装置を中心とする当該汎用セル100の電気的な構成について説明する。
同図6に示されるように、上記キャビネット43に収容されている制御装置は基本的に、コンピュータからなって上記各部を統括制御する制御部110、並びに該制御部110に対してバス接続された各種ドライバ回路やインターフェース回路を含む装置として構成されている。
このうち、制御部110は、上述した各種モニタ信号を取り込みつつ、CPU111を通じてROM112に格納されているプログラムを実行することによって、各々該当するアクチュエータに対する制御信号を生成出力する部分である。なお、データメモリであるRAM113には、上記取り込まれたモニタ信号や上記制御信号を生成する際の演算結果等が一時的に記憶される。また、通信IF(インターフェース)114は、生産システムとして当該汎用セル100を複数配列して所望とされるラインレイアウトを組む際に、主制御装置となる中央制御部や他の汎用セルとの間での通信を行う部分である。このような通信IF114を通じて授受される情報に基づき、他の各汎用セルとの間でのタイミング的な調整等が図られるようになる。そして、このような通信に際しての便宜を図るため、各汎用セルには、それらセル毎に、その制御部110に対して、システム内でユニークな識別子(ID)が付与されている。
一方、こうした制御部110に対してバス接続されている各種ドライバ回路やインターフェース回路は、それぞれ次のような回路である。
まず、第1モータドライバ101は、制御部110からの制御指令CM1に基づいて生成される駆動信号DM1によって上記ロボット60の第1の軸61内に設けられている第1モータM1を駆動する回路である。また、この第1モータドライバ101では、同じく第1の軸61内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる信号、すなわち第1モータM1の駆動量に対応した第1のアーム62の回転角度を示す信号S1を取り込み、この取り込んだモニタ信号S1を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第2モータドライバ102は、制御部110からの制御指令CM2に基づいて生成される駆動信号DM2によって上記ロボット60の第2の軸63内に設けられている第
2モータM2を駆動する回路である。また、この第2モータドライバ102では、同じく第2の軸63内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる信号、すなわち第2モータM2の駆動量に対応した第2のアーム64の回転角度を示す信号S2を取り込み、この取り込んだモニタ信号S2を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第3モータドライバ103は、制御部110からの制御指令CM3に基づいて生成される駆動信号DM3によって上記ロボット60の同じく第2のアーム64内に設けられている第3モータM3を駆動する回路である。また、この第3モータドライバ103では、同第2のアーム64内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる信号、すなわち第3モータM3の駆動量に対応したヘッドユニット66の回転角度を示す信号S3を取り込み、この取り込んだモニタ信号S3を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、昇降モータドライバ104は、制御部110からの制御指令CM4に基づいて生成される駆動信号DM4によって上記ロボット60の同じく第2のアーム64内に設けられている昇降モータM4を駆動する回路である。また、この昇降モータドライバ104では、同第2のアーム64内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる信号、すなわち昇降モータM4の駆動量に対応したヘッドユニット66の伸縮度合いを示す信号S4を取り込み、この取り込んだモニタ信号S4を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第1シャトルモータドライバ105は、制御部110からの制御指令CMSaに基づいて生成される駆動信号DMSaによって上記トレーフィーダ21に設けられている第1シャトルモータMSaを駆動する回路である。また、この第1シャトルモータドライバ105では、同じくトレーフィーダ21に設けられている第1シャトルエンコーダESaを通じてモニタされる信号、すなわち第1シャトルモータMSaの駆動量に対応した部品トレーTrの移動量を示す信号SSaを取り込み、この取り込んだモニタ信号SSaを制御部110に返信する動作を併せて実行する。
また、第2シャトルモータドライバ106は、制御部110からの制御指令CMSbに基づいて生成される駆動信号DMSbによって上記トレーフィーダ21に設けられている第2シャトルモータMSbを駆動する回路である。また、この第2シャトルモータドライバ106では、同じくトレーフィーダ21に設けられている第2シャトルエンコーダESbを通じてモニタされる信号、すなわち第2シャトルモータMSbの駆動量に対応した部品トレーTrの移動量を示す信号SSbを取り込み、この取り込んだモニタ信号SSbを制御部110に返信する動作を併せて実行する。
また、バルブドライバ107は、制御部110からの制御指令CMBcに基づいて上記加工機70のワーク保持エリア71内に設けられている切換バルブBL1を駆動する回路である。なお本実施形態において、上記ワーク保持エリア71においてワークを保持するチャックとしては、圧縮空気の供給の有無に基づいて開閉するタイプのチャックを想定しており、上記切換バルブBL1は、その駆動に基づいてこうした圧縮空気の供給の有無を切換制御するバルブとして構成されている。
また、外部入出力IF(インターフェース)108は、基本的にはティーチングペンダントやパーソナルコンピュータ等の周辺装置と接続されて、それら周辺装置と上記制御部110との間で授受される各種情報の仲介を行う回路である。ただし、本実施形態では、上記ワーク保持エリア71内に設けられているセンサーU1を通じてモニタされる情報、すなわち上記チャックを通じてワークが保持されているか否かを示す情報SBcを取り込
み、この取り込んだモニタ情報SBcを制御部110に対して出力する動作も、この外部入出力IF108を通じて行われる。さらに本実施形態においては、上述した加工機70も、周辺装置の1つとしてその制御部がこの外部入出力IF108に接続され、上記制御部110と加工機70との間の動作上の同期調整等もこの外部入出力IF108を介して行われるものとする。
図7は、このように構成された汎用セル100のセル単体としての動作例を示したものであり、次に、この図7を併せ参照して、当該汎用セル100を通じて実行される動作の一例について説明する。
本実施形態では上述のように、加工エリア30のステージ31上に専用の加工機70を設置するようにしたことで、当該汎用セル100としても基本的にロボット60を通じてワークの搬送やその部品のピックアップのみを行えばよく、その標準化が促進されている。なお、このような汎用セル100としての以下の動作は、全て制御装置による上述した制御との協働のもとに実行されることとなる。
すなわちいま、図7(a)に示されるように、上記給材、除材エリア52aに被加工物であるワークWが供給されたとすると、同汎用セル100では、上記ロボット60を同給材、除材エリア52aに移動させ、同ロボット60に取り付けられているワーク搬送用の適宜のツールを通じてこの供給されたワークWを把持する。
こうしてロボット60によりワークWを把持した汎用セル100は次に、同ワークWを把持した状態でこれを加工エリア30内に搬送し、図7(b)に示す態様にてこの搬送したワークWを加工機70の上記ワーク保持エリア71にセットする。
こうしてワーク保持エリア71に対するワークWのセットを終えると、汎用セル100は次に、図7(c)に示す態様にて、部品トレーTrのポケットPに載置されている部品Tをロボット60によりピックアップする。なお、ワークWの加工に用いられる部品Tが載置された部品トレーTrは、上記トレーフィーダ21(図5)を通じて、図7(a)に示した工程以前に既に所定の位置に搬送されている。また、ロボット60によりこうしてピックアップされた部品Tの、上記ワーク保持エリア71にセットされているワークWへの組み込みも、同ロボット60を通じてこの時点で併せて行われる。
ワークWに対し、こうして部品Tが組み込まれると、当該汎用セル100の上記制御部110からの指示により、以降は上記加工機70による専用の加工が行われる。そして、加工機70による加工の終了に伴い、同加工機70を通じてその旨の情報が制御部110に送られると、当該汎用セル100では、これによって加工機70による加工が終了した旨を判断し、ワークWの保持(セット)を解除する。
こうして加工機70による加工が終了した旨を判断した汎用セル100は、ワーク保持エリア71にある加工済みのワークWをロボット60により再び把持するとともに、これを図7(d)に示す態様にて給材、除材エリア52bに搬送して、一連の動作を終了する。
なお、こうした動作が繰り返し実行される中で、上記部品トレーTrに載置されている部品Tの上記ロボット60によるピックアップが同トレーTrの先頭から1列分ずつ終了する毎に、上記トレーフィーダ21(図5)を通じて部品Tの載置間隔に見合った分だけこの部品トレーTrの位置が順次先方(加工エリア30方向)にシフトされる。また、同部品トレーTrに載置されている部品Tの全ての組み込みが終了した旨が判断される場合には、先の図5に二点鎖線にて示した基端位置までトレーフィーダ21による部品トレー
Trのリターンフィードが行われ、同トレーTrへの部品Tの補給が促される。
図8は、このような汎用セル100を複数(ここでの例では汎用セル100A〜100Dの4台)用いて構成される生産システムについてその一例を示したものであり、以下では、こうした生産システムとしての構成例、並びにその可能性について説明する。
同図8に示されるように、この生産システムでは、上記汎用セル100(100A〜100D)が図中に一列に配列されるラインレイアウトを採用している。すなわちこの場合、それら複数のセル100A〜100Dは、その互いに隣接するセル同士で上記ロボット60(60A〜60D)の動作範囲の一部を共有する態様にて配列されることとなる。そして、それら互いに隣接するセル同士でロボット60の動作範囲を共有する部分として上記給材、除材エリア52a,52cとなる部分のいずれか一方が用いられる。具体的には、例えば汎用セル100Aと汎用セル100Bとの間では、それらセル間に介在する給材、除材エリア52a,52cが、セル100Aにとっては除材エリアとして用いられ、同時にセル100Bにとっては給材エリアとして用いられる。
また図9は、こうして汎用セル100を複数用いて生産システム(生産ライン)を構成する場合の電気的な構成を模式的に示したものである。この図9に示されるように、実際には図8において図示を割愛している中央制御部120との通信を通じて、それら複数の汎用セル100(100A〜100n(n:自然数))間での動作タイミング等の同期が図られるようになる。
ちなみに、この図9に示す中央制御部120において、ホストコンピュータ121は、当該生産システム全体を統括制御する部分であり、また、データベース122は、例えば各種生産対象別の生産管理情報や生産ラインの変更時等に必要とされる各汎用セル100の制御データや制御プログラム等が格納されている部分である。また、入出力装置123は、主にキーボードや表示装置、印字装置等からなる部分であり、これらキーボードや表示装置、印字装置を通じて上記ホストコンピュータ121に対する制御情報の入力やシステム全体の稼働状況の表示、印字等が行われる。そして、通信IF(インターフェース)124は、同中央制御部120と上記各汎用セル100との間での通信に際してその仲介を行う部分であり、バスラインを介して先の図6に示した各汎用セル100の制御部110に設けられている通信IF114に接続されている。
図8に例示した生産システムが、電気的にはこのような態様で通信可能に接続されることで、上記中央制御部120による統括制御のもと、ロボット60A〜60D間の干渉を避けつつ、具体的には、以下のような態様でワークに対する加工や搬送が行われるようになる。
すなわちいま、先頭の汎用セル100Aの給材、除材エリア52aに対するワークの搬入が開始されたとすると、同汎用セル100Aでは上述のように、ロボット60Aによってこの搬入されたワークをステージ(加工ステージ)31、正確にはその上に設置された加工機(図示略)のワーク保持エリアに搬送する。そして、これも上述の態様にてワークに対する部品の組み込み、並びに加工機による加工が行われた後、この加工されたワークをロボット60Aによって給材、除材エリア52c(セル100Bにとっての給材、除材エリア52a)に搬送する。なお、給材、除材エリア52cへのワークの搬送を終えた汎用セル100Aの給材、除材エリア52aに対するワークの搬入、そして同汎用セル100Aによるこうしたワークの搬送、加工等にかかる処理は、所定数のワークの投入が終了するまで繰り返し実行される。
一方、こうして給材、除材エリア52aにワークが搬入(供給)された汎用セル100
Bでは、これも上述のように、ロボット60Bによってこの搬入されたワークをステージ31に搬送し、専用の加工機による加工が行われる。そして加工機による加工の後、この加工されたワークをロボット60Bによって給材、除材エリア52c(セル100Cにとっての給材、除材エリア52a)に搬送する。そして、当該セル100Bによるこうした処理も、その給材、除材エリア52aに対するワークの搬入が終了するまで繰り返し実行される。
以下、同様の処理が汎用セル100C及び100Dにおいても実行され、特に終段のセル100Dから給材、除材エリア52cに対して搬出されたワークは完成品、もしくは半完成品として図示しない収容棚等へ順次収容されるようになる。
このように、本実施形態にかかる汎用セルを用いた生産システムにあっては、ワークを搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、互いに隣接するセル間に共通のエリアとして介在する給材、除材エリア52a,52cの配設態様等に応じてラインレイアウトそのものの自由度が高く維持されるようになる。図10〜図12に、当該生産システムとしてのこうしたラインレイアウトの自由度の高さとともに高密度化を可能とすることを裏付ける他の生産ラインの例を示す。
図10は、複数の汎用セル100(ここでの例では汎用セル100A〜100Iの9台)の配列を、それら汎用セル100のベースユニット10の形状、本実施形態では特に平面形状正六角形に応じてラインレイアウトした一例である。このラインレイアウトにおいては、各汎用セル100A〜100Eによって千鳥状にされた配列例を示すとともに、汎用セル100Aから汎用セル100Dを経て汎用セル100Eの方向及び汎用セル100Gの方向の2方向に分岐する「Y字」状にされた配列例を示している。すなわちここでは、汎用セル100は、平面形状正六角形のベースユニット10のうちトレーフィーダ21が配置されていない辺については、他の汎用セル100を隣接配置することができることを示している。例えば、汎用セル100Aと汎用セル100Bとは給材、除材エリア52b,52dを介して隣接配置するとともに、汎用セル100Bと汎用セル100Cとは、給材、除材エリア52c,52aを介して隣接配置する。また、汎用セル100Cと汎用セル100Dとは給材、除材エリア52b,52dを介して隣接配置するとともに、汎用セル100Dと汎用セル100Eとは、給材、除材エリア52c,52aを介して隣接配置することで、千鳥状のラインレイアウトを可能にしている。また、汎用セル100Eには汎用セル100Fを、給材、除材エリア52c,52aを介して隣接配置して、汎用セル100Dから汎用セル100F方向のラインを形成する一方、汎用セル100Dには汎用セル100Gを給材、除材エリア52e,52eを介して隣接配置することで、「Y字」状の分岐点を形成する。そして、順番に汎用セル100Gと汎用セル100H、及び汎用セル100Hと汎用セル100Iをそれぞれ給材、除材エリア52d,52bを介して隣接配置して、汎用セル100Dから分岐した汎用セル100G〜100Iのラインを構成する。これによって、汎用セル100Aから汎用セル100Dにて分岐する「Y字」状のラインレイアウトを可能にしている。この場合、汎用セル100Dのロボット60Dは、ライン構成の中で、例えば汎用セル100Cから搬入されたワークを汎用セル100Dから汎用セル100Eの方向もしくは汎用セル100Gの方向の2方向に送り出す役割を担うこととなる。これらの場合であっても、各汎用セル100A〜100Iとしての基本的な機能は先の汎用セル100と同様であり、こうしたセル配列を通じて、千鳥形状はもとより、「Y字」状の分岐や合流、さらにはより複雑な形状のラインレイアウトも可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作は、基本的に先の図7に例示したシステムと同様であり、ここでの重複する説明は割愛する。
また図11は、複数の汎用セル100(ここでの例では汎用セル100A〜100Hの
8台)の配列を、それら汎用セル100のベースユニット10の正六角形状に応じてラインレイアウトした他の一例である。このラインレイアウトにおいては、汎用セル100B〜100D及び100F〜100Hによって並列化された配列の例を示すとともに、汎用セル100B〜100D及び100F〜100Hによって円弧状に閉ループとされた配列の例を示している。並列化された配列として例えば、汎用セル100Aと汎用セル100Bとは給材、除材エリア52c,52aを介して隣接配置し、汎用セル100Bと汎用セル100Cとは、給材、除材エリア52c,52aを介して隣接配置し、汎用セル100Cと汎用セル100Dとは給材、除材エリア52b,52dを介して隣接配置する。また、汎用セル100Dと汎用セル100Eとは給材、除材エリア52b,52dを介して隣接配置することで、汎用セル100Aを分岐点として且つ、汎用セル100Eを合流点とする一方のラインを構成する。同様に、汎用セル100Aと汎用セル100Fとは給材、除材エリア52b,52bを介して隣接配置し、汎用セル100Fと汎用セル100Gとは、給材、除材エリア52d,52bを介して隣接配置し、汎用セル100Gと汎用セル100Hとは給材、除材エリア52a,52cを介して隣接配置する。そして、汎用セル100Hと汎用セル100Iとは給材、除材エリア52a,52aを介して隣接配置することで、上記汎用セル100Aを分岐点として且つ、汎用セル100Eを合流点とするもう1つのラインを構成する。これにより、同汎用セル100Aを分岐点として且つ、汎用セル100Eを合流点とする並列化したラインレイアウトを構成することができる。一方、上記並列化された構成に加えて、汎用セル100Bと汎用セル100Fの間、並びに、汎用セル100Eと汎用セル100Hの間に設けられた給材、除材エリア52e,52eを介して汎用セル100B〜100D及び100F〜100Hによる円弧状の閉ループからなるラインレイアウトも併せて構成される。これらの場合であっても、各汎用セル100A〜100Hとしての基本的な機能は先の汎用セル100と同様であり、セル配列のこうした簡単な変更を通じて、並列化はもとより、円弧状の閉ループのような、より複雑な形状のラインレイアウトも可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作も、基本的に先の図7に例示したシステムと同様であり、ここでもそれら動作に関する重複する説明は割愛する。
そして図12は、複数の汎用セル100(ここでの例では汎用セル100A〜100Hの8台)の配列を、それら汎用セル100のベースユニット10の正六角形状に応じてラインレイアウトしたさらに他の一例を示したものである。このラインレイアウトにおいては、正六角形なればこそ可能となる「ハニカム構造」を利用して、高密度にセルを配列した配列例を示している。例えば、汎用セル100Aと汎用セル100Bを対向して配置して、その横に汎用セル100Cと汎用セル100Dとが対向するように配置する。同様に、対向して配置された汎用セル100Cと汎用セル100Dの横に、汎用セル100Eと汎用セル100Fとを相互に対向するように配置して、その対向して配置された汎用セル100Eと汎用セル100Fの横に、汎用セル100Gと汎用セル100Hとを相互に対向するように配置する。そして各汎用セル100A〜100Hの間には、必要に応じて、給材、除材エリア52a〜52eを設ける。このように汎用セル100を配列すれば、汎用セル100を高密度に配置することができて、より自由度の高いラインレイアウトが可能となる。また、特にこの場合には、部品供給ユニット20として、ベースユニット10内にあって加工エリア30のステージ31上もしくはその周辺に部品を直接供給するタイプのセル構造を採用することで汎用セル100自身の平面形状を正六角形とすることもできる。そしてこの場合には、上記「ハニカム構造」を完全利用した、より高密度なラインレイアウトの構成も可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作は、この場合も基本的には先の図7に例示したシステムと同様であり、ここでもそれら動作に関する重複する説明は割愛する。
以上説明したように、本実施形態にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)上記ベースユニット10、部品供給ユニット20、及び加工エリア30といった、いわば生産システム用のセルとしてワークの加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの生産システム用汎用セル100を構成することとした。これにより、各セル100に対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が自ずと高められることとなり、こうしたセル100の羅列のみで生産システムに求められる各種生産機能を実現することができるようになる。すなわち、生産システムを構成する際のラインレイアウトの自由度が高く維持されるようになる。しかも、上記ベースユニット10自体、その平面形状が六角形からなることで、互いにロボット60の動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持されるとともに、上記ロボット60がこの六角形からなる平面領域を移動可能にベースユニット10に対して支持される。このことによって、ベースユニット10を構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セル100としての不要な大型化を招くこともなくなる。
(2)また、上記汎用セル100は、上記加工エリア30がベースユニット10の内側に設けられるとともに、ベースユニット10に設けられたロボット60の動作範囲をこの加工エリア30を含めて、同ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定したことで、こうした加工エリア30としての用途も広がる。しかも、上記汎用セル100では特に、同加工エリア30を構成するステージ31上に専用の加工機70を設置するようにしたことで、その自動化はもとより、セルとしての標準化も大きく促進されるようになる。すなわちこの場合、ロボット60は基本的に、ワークの上記加工エリア30(加工機70のワーク保持エリア71)への搬送、部品供給ユニット20を介して供給される部品のピックアップ、このピックアップした部品のワークへの組み込み、及び加工機70を通じて加工されたワークの送り出し、といった各操作のみを行うことで済む。
(3)ワークの当該汎用セル100に対する供給、及び同ワークの当該汎用セル100からの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリア52a〜52eが、ロボット60の動作範囲に収まる態様にて上記ベースユニット10の外側にさらに延設されるようにした。これにより、セル間でのワークの搬送も、ロボット60の動作範囲内におかれる上記給材、除材エリア52a〜52eを通じて行うことができるようになり、いわゆるバケット・ブリゲード(バケツ・リレー)方式によるワークの当該汎用セル100への供給や、同ワークの当該汎用セル100からの排除も容易となる。
(4)上記ベースユニット10の上方に支柱11pを介して支持された天井部11rを設けるとともに、ロボット60はこの天井部11rから吊り下げられる態様にて当該ベースユニット10に支持される構造とした。これにより、ロボット60の動作範囲も、その下方の全領域を含む広い範囲をカバーすることが可能となり、特にベースユニット10を構成する領域のさらなる有効利用が図られるようになる。
(5)特に、ロボット60としては、互いに円形の動作領域をもって相互に重なり合う位置を通過できる同一長の第1及び第2のアーム62,64を有する。そしてそれら各アームが重なり合った姿勢を原点姿勢として、同第1及び第2のアーム62,64が時計回り及び反時計回りに各々225°に渡って旋回(回動)可能に構成されたスカラ型ロボットを採用することとした。これによりロボット60全体としての動作範囲も、それら第1及び第2のアーム62,64の協働により、円形を基本として、それら円の内部の全領域にわたってこれをカバーすることができるようになる。すなわち、ベースユニット10の内側から外側に至るように設定されているロボット60の動作範囲において、その少なくともベースユニット10内での死角は確実に解消されるようになる。
(6)一方、加工エリア30は、ベースユニット10上に加工ステージ31として設け、上記部品供給ユニット20は、ワークの部品が載置される部品トレーTrをこの加工ス
テージ31の下方に搬送するトレーフィーダ21を有するように構成した。従って、部品供給ユニット20から部品トレーTrに載置されて供給される部品が、トレーフィーダ21により加工エリア30近傍に順次搬送可能となる。これにより、ロボット60による該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット60による加工エリア30への搬送動作等が円滑になされるとともに、ベースユニット10上に加工ステージ31として設けられる加工エリア30全体の有効利用が併せて図られるようになる。
(7)同汎用セル100の基本構造として、加工エリア30を含むベースユニット10の平面形状が正六角形からなるようにしている。このように、加工エリア30を含むベースユニット10の平面形状が正六角形をなすことで、当該汎用セル100が複数用いられる場合であっても、その配置を高い自由度のもとに決めることが可能となり、ひいては生産システムとしてのラインレイアウト設計もより容易となる。すなわち、ラインの途中で任意に折れ曲がる態様でのラインレイアウト等も可能となる。
(8)さらに、同汎用セル100の基本構造として、ベースユニット10に設けられた部品供給ユニット20及び加工エリア30を含むセル自体の平面形状を正六角形とすることもできる。このように、ベースユニット10、さらには汎用セル100自体の平面形状を正六角形とすることで、より自由度が高く、しかもより高密度のセル配列が可能となる。そして特に、当該汎用セル100自体の平面形状が正六角形とされる場合には、図12に例示した「ハニカム構造」をさらに発展させた最も効率がよく、しかも最も自由度の高いラインレイアウトが可能ともなる。
(9)汎用セルを用いた生産システムとしても、上記汎用セル100の複数が、互いに隣接するセル同士でロボット60の動作範囲の一部を共有する態様にて配列されるようにしたことで、ワークを搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、ラインレイアウトそのものの自由度が高く維持される。このため、例えばそれらセルを、その平面形状に応じて図8に例示したように直線状に配列したり、あるいは図10及び図11に例示したように2方向にワークを送り出したり、2方向からワークを受け入れたりするラインを構成することができる。また、途中で分岐したり、合流したりする「Y字」状のライン、さらにはこれら分岐及び合流を組み合わせて並列化したラインなども構成することができる。またさらには円弧状(閉ループも含めて)や千鳥状のライン構成等々、当該生産システムを設置するスペース等に応じた極めて自由なラインレイアウトが、しかも低コストにて実現可能となる。
(第2の実施形態)
図13に、本発明にかかる生産システム用汎用セルの第2の実施形態についてその斜視構造を示す。なお、この第2の実施形態は、ベースユニットに対するロボットの支持形態を、先の天吊りされる形態からいわゆる側壁から突出される形態に変更したものであり、以下では主に、先の第1の実施形態との相違点を中心に、同汎用セルとしての具体構成について説明する。
図13に示されるように、本実施形態にかかる汎用セル200も、ロボット90を支持するベースユニット10aに対し、図中に付記した三次元座標中、X軸方向に連なるかたちで、部品供給ユニット20aを備えるとともに、同ベースユニット10aの内部に加工エリア30aを備える構成となっている。そして、本実施形態においても、汎用セル200を構成するこれらベースユニット10a、部品供給ユニット20a及び加工エリア30aの各部分は、いずれも剛性のある金属などからなって互いが適宜に連結されており、その下面40に設けられているキャスター41及びフットジャッキ42を通じて、セル単位での移動や設置が可能となっている。なお、本実施形態においても、ベースユニット10aの平面形状は正六角形をなしており、こうした汎用セル200を複数用いて生産システ
ムを構成する際のラインレイアウト設計を容易としている。またこの汎用セル200において、ベースユニット10aの下方となる部分にはキャビネット43が設けられており、このキャビネット43の中に、当該汎用セル200の上記ロボット90をはじめとする各部を統括制御する制御装置などが収容されていることも、先の第1の実施形態の汎用セル100と同様である。
ここでもまずは、上記ベースユニット10aについてその具体的な構成を説明する。
同図13に示されるように、このベースユニット10aには、同ベースユニット10aに対して直立する側壁11が部品供給ユニット20aとの境界側に設けられており、上記ロボット(ここでの例でもスカラ型ロボット)90は、この側壁11から加工エリア30a側に突出する態様にて支持されている。すなわちこのロボット90は、ベースユニット10aの上面にあたる平面形状六角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10a、正確には側壁11に対して支持されている。そして、本実施形態にあっても、被加工物(ワーク)の当該セル200に対する供給部及び排除部となる給材、除材エリア52a〜52dが、ロボット90の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の両側に設けられた側板13a〜13dからベースユニット10aの側方にかけて延設されている。図14は、こうしたロボット90の側面構造を示したものであり、以下、この図14を併せ参照して、ロボット90の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
同図14に示されるように、このロボット90は、上記側壁11から図中のX方向に延出された基台91によって支持されるとともに、それぞれ第1及び第2の軸92,94を介して水平方向(図中のX−Y方向)に各別に回動可能な第1及び第2のアーム93,95を有して構成されている。このうち、第2のアーム95の先端部には、上記第1及び第2の軸92,94と同一方向(図中のZ方向)に延びる第3の軸96がさらに設けられており、この第3の軸96中、上記第2のアーム95の下方に位置する部分には、これも水平方向において第2のアーム95の回動とは独立して回転可能なヘッドユニット97が設けられている。このヘッドユニット97は、その先端にツール取付具98を有しており、該ツール取付具98に任意のツールが取り付けられた状態で、上記第3の軸96内に収納された位置(最短位置)から図14中に破線にて示す距離L1だけ伸長した位置(最長位置)の間で自在に伸縮可能となっている。なお、上記第1の軸92は、基台91内に設けられた第1モータM1を通じてその中心線C1を中心に左右に回転することにより、同軸92に基端が連結されている上記第1のアーム93を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第1のアーム93の回動角度が同じく基台91内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる。また、上記第2の軸94は、上記第2のアーム95を回動せしめる軸である。すなわち、この第2の軸94も第1のアーム93の先端に連結されており、第2のアーム95内に設けられた第2モータM2を通じてその中心線C2を中心に同軸94を左右に回転させようとすると、その反力が第2のアーム95自身に作用して同第2のアームが回動するようになる。そして、その回転角度すなわち第2のアーム95の回動角度も、同じく第2のアーム95内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる。また、上記第3の軸96内で回転、伸縮する上記ヘッドユニット97は、第2のアーム95内に設けられた第3モータM3を通じてその中心線C3を中心に左右に回転し、その回転角度が同じく第2のアーム95内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる。他方、同ヘッドユニット97の伸縮は、これも第2のアーム95内に設けられた昇降モータM4を通じてその伸縮度合いが制御され、その制御された伸縮度合いが同じく第2のアーム95内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる。なお、第2のアーム95内に設けられているこれらモータやエンコーダの制御信号あるいはモニタ信号の各信号線はフレキシブルな配線チューブ93tを介して基台91内にまとめられ、上記第1モータM1や第1エンコーダEm1の信号線と共に、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
図15は、図13では便宜上図示を割愛した部品トレーTrも含めて、当該汎用セル200の平面構造を示したものである。この汎用セル200では、こうしたロボット90の動作範囲を同図15に領域Ra(二点鎖線)として示す範囲、すなわち同ベースユニット10aに設けられたテーブル状の加工エリア30aを含むかたちで、上記ベースユニット10aの内側から外側に至る範囲に設定している。これにより、部品供給ユニット20aを通じて供給される部品トレーTrからの部品のピックアップをはじめ、上記給材、除材エリア52a〜52d及び加工エリア30a間でのワークの搬送(移動)なども、高い汎用性をもって、容易に実現されるようになる。
また、図15に示されるように、一対のレール22a,22bは、高い剛性を維持すべくその平面形状が「コの字」状に形成されている側壁11の開口部11aを介して、すなわち同側壁11の裏面側から上記ベースユニット10aを経て、テーブル状からなる加工エリア30aの先方に至るように敷設されている。そして、部品トレーTrは、トレーフィーダ21を通じて、所望とされる位置まで随時自動搬送されることとなる。このように、部品トレーTrが上記テーブル状からなる加工エリア30aよりも低い位置に搬送可能となることで、ロボット90による部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット90による加工エリア30aへの搬送動作等が円滑になされるようになる。またこれにより、テーブル状からなる上記加工エリア30a全体を常に有効に利用しつつ、ロボット90としての限られた動作範囲を補うべく上記部品トレーTrの搬送位置(トレーフィーダ21でのフィード位置)を順次調整することができるようにもなる。
その他、本実施形態にかかる汎用セルにおいて、先の図4〜図7を参照して説明した各事項、すなわちトレーフィーダ21としての基本構成やステージ(加工ステージ)31との関係、セル内部での電気的な構成、加工機70との協働に基づくセル動作、等々は基本的に先の第1の実施形態と同様である。
また、図8〜図11に例示した、汎用セルを複数用いての生産システムの構築、並びにその変形例等も、基本的には先の第1の実施形態と同様、もしくはそれに準じた態様にて容易に実現可能である。
以上説明したように、本実施形態にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムによっても、先の第1の実施形態の前記(1)〜(3)及び(7)〜(9)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、前記(4)〜(6)の効果に代わる効果として次のような効果が得られるようになる。
(10)上記ベースユニット10aには同ベースユニット10aに対して直立する側壁11を設け、上記ロボット90はこの側壁11からベースユニット10aの平面形状六角形からなる領域12上に突出する態様にて同ベースユニット10aに支持される構造とした。ベースユニット10a内で、ロボット90がこうして設けられた側壁11から突出する態様にて支持されるようにすることで、ベースユニット10aとしての必要領域の確保、そして特に上記加工エリア30a側でのロボットの動作範囲の確保も容易となる。
(11)上記加工エリア30aは、ベースユニット10a上に加工ステージとして設けられ、部品供給ユニット20aは、ワークの部品が載置される部品トレーTrを側壁11の裏面側から加工ステージ31の下方を経てベースユニット10aの先方に搬送する部品供給ユニットを構成するトレーフィーダ21を有する構成とした。そして、部品供給ユニット20aから部品トレーTrに載置されて供給される部品が、上記部品供給ユニットを構成するトレーフィーダ21により、ベースユニット10a上に加工ステージとして設けられる加工エリアの下方を経てベースユニット10aの先方、つまり加工エリアの近傍に
搬送される。すなわち、このトレーフィーダ21による部品の搬送後、同部品が載置されている部品トレーTrは加工ステージ31として設けられる加工エリアよりも低い位置におかれるようになる。これにより、ベースユニット10a上の側壁から突出する態様で設けられるロボット90であっても、同ロボット90による該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品のロボットによる加工エリアへの搬送動作等が円滑になる。さらには、ベースユニット10a上に加工ステージ31として設けられる加工エリア全体を有効に利用することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・特に、上記第1の実施形態では、ロボット60を構成する第1及び第2のアーム62,64の各々原点姿勢からの旋回(回動)可能角度を時計回り及び反時計回りに、すなわち「±」方向にそれぞれ「225°」に設定した。ただし、これら旋回(回動)可能角度についてはこれを「±180°」以上に設定することで、図4及び図5に例示した円内部の全領域について死角を確実に解消してこれをカバーすることはできる。また、第1及び第2のアーム62,64の旋回(回動)可能角度については「±180°」以上に設定することに限られず、必要な動作範囲が確保できればそれぞれ「±180°」未満に設定してもよい。
・一方、上記第2の実施形態では、ベースユニット10aに対しその部品供給ユニット20aの基端側から直立する態様にてロボット90を支持する側壁11を設けるようにしたが、ベースユニット10aとしてのスペース的な余裕が見込まれる場合には、同ベースユニット10aの途中から直立する態様にて同側壁11を設けるようにしてもよい。要は、ロボット90の動作範囲との兼ね合いで、その動作範囲が加工エリア30aの少なくとも一部及びトレーフィーダ21によってステージ31の先方に搬送される部品トレーTrのステージ31側に配列される部品の位置に及ぶように、側壁11が設けられる構造であればよい。これにより部品供給ユニット20aを構成するトレーフィーダ21の線路長の短縮が図られる場合には、汎用セル200自体の体格について、その小型化を図ることも可能となる。
・また、上記第2の実施形態でも、部品供給ユニットとして、ベースユニット10a内にあって加工エリア30aのステージ31上もしくはその周辺に部品を直接供給するタイプのセル構造とすることができる。これによっても「ベースユニットの平面形状=セル自体の平面形状」といった関係を満たすことができ、より高密度なラインレイアウトの実現が可能となる。
・上記第1実施形態では、ベースユニット10上の領域12の大部分を覆うように加工エリア30のステージ31を備えたが、ステージ31は、領域12の一部分を覆うように設けてもよい。そうすれば、ベースユニット10上の領域12を他の用途にも用いることができる。
・一方、上記第2実施形態では、加工エリア30aのステージ31先端から部品を供給したが、加工エリア30aをベースユニット10a上において反側壁11方向に寄せて設けて、側壁11と加工エリア30aとの間から部品を供給するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、給材、除材エリア52a〜52eをワークの供給及び排除に用いることとしたが、同給材、除材エリア52a〜52eの用途は任意であり、例えば部品供給ユニット20,20aが供給する部品とは異なる部品を別途供給するためのエリアとして用いることもできる。具体的には、図7において、給材、除材エリア52c,52d等の所定の位置に載置された異なる部品をロボット60によりピックアップして、これを
ワーク保持エリア71にセットされているワークWに組み込むこともできる。
・上記実施形態では、生産システムの構築に際し、隣接する汎用セル100,200のロボット60,90の動作範囲が重なる位置に隣接する除材及び給材エリア52a〜52eを備えて、隣接するセル100,200間においてワークの授受を可能とした。しかし、ロボット60,90の動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボット60の動作範囲内でのワークの授受を可能とすべく同ワークを自動搬送する被加工物(ワーク)自動搬送ユニットをさらに備えてもよい。これにより、上述の態様でのラインレイアウトに加え、ワーク自動搬送ユニットを通じてラインの一部あるいは全部を並列化する等のより多彩なラインレイアウトが可能となり、各セル間でのワークの加工内容等に応じたライン速度の調整や搬送タイミングの調整なども容易となる。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aは、ベースユニット10,10aと同じ幅の平面形状四角形に構成されたが、例えば、ベースユニット10,10aより幅の狭いものや、多角形の形状をしたものでもよい。部品供給ユニット20,20aの平面形状をベースユニット10,10aと同じ幅の四角形に限らないことにより部品の供給に適した部品供給ユニットを採用できることとなり、汎用セル100,200の構成の自由度を高めることができる。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21として、ボールネジ及びこれに螺合するように係合される爪を備えて各々対象となるトレー等を自動搬送する機構を採用することとしたが、その搬送機構はこれに限らず任意である。こうしたユニットとしては、他に例えば、搬送対象を電磁的に誘導、移動せしめる機構等も適宜採用することができる。これは、上記被加工物(ワーク)自動搬送ユニットについても、同様である。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21は、第1及び第2シャトルモータMSa,MSbによって2本のレール22a,22bを駆動したが、1つのシャトルモータで両レール22a,22bを駆動してもよい。また、トレーフィーダ21は、1本のレールから構成されてもよい。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21は、2本のレール22a,22bを共動させて部品トレーTrを搬送するようにした。しかしこれに限らず、各レール22a,22bをそれぞれ個別に駆動して、それぞれのレール22a,22bによって相互に干渉しないサイズの部品トレーを交互に搬送すれば、当該セル100,200への部品供給を滞りなく行うことができる。
・上記各実施形態では、汎用セルを複数用いた生産システムの構築に際し、図9に例示したような通信回線を介してその電気的な接続を図ることとしたが、その通信形態は有線あるいは無線に限らず任意である。また、中央制御部120をあえて設けずに、汎用セル100,200のいずれか1つをマスタセルとして同等の通信網を組むこともできる。
・上記各実施形態では、加工エリア30,30aに対して専用の加工機70を設置し、被加工物(ワーク)の加工をこの加工機70を通じて行うこととしたが、上記各汎用セルにおいて、加工エリア30,30aをはじめ、ロボット60,90の用途は任意であり、例えば次のような態様にて、これら加工エリアやロボットの利用を図ることもできる。
(A)加工エリアには搬送されたワークを保持するための機構等のみを設けることとして、ロボット自身がワークの加工を含めた全ての操作を行う。すなわちこの場合、該ロボットは、
a.ワークの上記加工エリアへの搬送、及び
b.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品のワークへの組み込み、及び
d.この部品を組み込んだワークの上記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うこととなる。ちなみにこの場合、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要はあるものの、それら設定内容さえ予めデータベース122(図9)などの記憶装置に登録しておけば、例えばライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。すなわち、この場合も必要とされる汎用性は維持される。
(B)加工エリアにはロボットが自らのハンド(ツール)を自動付け替えするオートツールチェンジャを設置し、こうしたツールの自動付け替え及びワークの加工も含めてロボット自身が全ての操作を行う。すなわちこの場合、該ロボットは、
a.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の上記ワークへの組み込み、及び
c.この部品を組み込んだワークの加工、及び
d.この加工したワークの送り出し、及び
e.上記オートツールチェンジャを通じたこれらa.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うこととなる。特にこの場合には、上記e.の操作として、加工エリアに設置されたオートツールチェンジャを通じての必要に応じたロボットハンド(ツール)の自動付け替えも併せて行われることから、より多くの種類の作業に対応することが可能となる。もっともこの場合であれ、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要があるものの、ここでもそれら設定内容さえ予めデータベース122(図9)などの記憶装置に登録しておくことで、当該セルとしての必要とされる汎用性は好適に維持される。すなわち、ライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。
・上記各実施形態では、ロボット60,90として、いずれもスカラ型ロボットを採用することとしているが、特に上記(A),(B)のような利用を図る場合には、その型式も任意である。他に例えば、「人間の手」のような機能を有する型式のロボット等も適宜採用することができる。
・上記各実施形態では、加工エリア30,30aがそれぞれベースユニット10,10aに一体に連結される例について示したが、上記各汎用セル100,200を構成する同加工エリア30,30aについてはこれを、例えば交換可能な別体の構造体としてベースユニット10,10aの内側に設置される構造とすることもできる。すなわち、生産システム用汎用セルとして要は、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、いわば生産システム用のセルとして被加工物(ワーク)の加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの汎用セルが構成されるものであればよい。またその意味では、上記給材、除材エリア52a〜52eの配設も同汎用セルにとって必須ではなく、例えば隣接されるセルのロボット同士でワークの受け渡し等が可能である場合には、これら給材、除材エリア52a〜52eの配設を割愛することもできる。また、上記各実施形態では共に、そのベースユニット10,10aのあるいはセル自体の平面形状が正六角形からなる例について示したが、同平面形状はこうした形状に限定されるものではなく、正八角形などの五角形以上の多角形からなるものであればよい。
本発明にかかる生産システム用汎用セルの第1の実施形態についてその全体の斜視構造を示す斜視図。 (a),(d)は同実施形態の汎用セルに採用されるロボットの底面構造を示す底面図、(b),(c)は同じくロボットの側面構造を示す側面図。 (a)〜(c)は同第1の実施形態の汎用セルに採用されるロボットの動作態様の一例、並びに動作範囲をそれぞれその下方から模式的に示した下面図。 同実施形態の汎用セルについてその全体の平面構造を示す平面図。 同実施形態の汎用セルに採用される部品供給ユニットを中心にその平面構造を示す平面図。 同実施形態の汎用セルの電気的な構成例を示すブロック図。 (a)〜(d)は同実施形態の汎用セルの動作例を示す平面図。 同実施形態の汎用セルを複数用いた生産システムとしてのライン構成の一例を示す平面図。 同生産システムとしての電気的な構成例を示すブロック図。 同実施形態の汎用セルを複数用いた生産システムとしてのライン構成の他の例を示す平面図。 同実施形態の汎用セルを複数用いた生産システムとしてのライン構成のさらに他の例を示す平面図。 同実施形態の汎用セルを複数用いた生産システムとしてのライン構成のさらに他の例を示す平面図。 本発明にかかる生産システム用汎用セルの第2の実施形態についてその全体の斜視構造を示す斜視図。 同第2の実施形態の汎用セルに採用されるロボットの側面構造を示す側面図。 同第2の実施形態の汎用セルに採用される部品供給ユニットを中心にその平面構造を示す平面図。
符号の説明
10,10a…ベースユニット、11…側壁、11p…支柱、11r…天井部、12…ベースユニット上の平面形状六角形からなる領域、13a,13b,13c,13d…側板、20,20a…部品供給ユニット、21…トレーフィーダ、22a,22b…レール、23a,23b,24a,24b…爪、30,30a…加工エリア、31…ステージ(加工ステージ)、40…下面、41…キャスター、42…フットジャッキ、43…キャビネット、52a,52b,52c,52d,52e…給材、除材エリア、60,90…ロボット、91…基台、61,92…第1の軸、62,93…第1のアーム、63,94…第2の軸、64,95…第2のアーム、65,96…第3の軸、66,97…ヘッドユニット、67,98…ツール取付具、70…加工機、71…ワーク保持エリア、81…ワーク搬入装置、82…ワーク搬出装置、100,100A〜100I,200…汎用セル、101…第1モータドライバ、102…第2モータドライバ、103…第3モータドライバ、104…昇降モータドライバ、105…第1シャトルモータドライバ、106…第2シャトルモータドライバ、107…バルブドライバ、108…外部入出力IF(インターフェース)、110…制御部、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…通信IF(インターフェース)、120…中央制御部、121…ホストコンピュータ、122…データベース、123…入出力装置、124…通信IF(インターフェース)、M1…第1モータ、M2…第2モータ、M3…第3モータ、M4…昇降モータ、MSa…第1シャトルモータ、MSb…第2シャトルモータ、BL1…切換バルブ、U1…センサー、Em1…第1エンコーダ、Em2…第2エンコーダ、Em3…第3エンコーダ、Em4…昇降エンコーダ、ESa…第1シャトルエンコーダ、ESb…第2シャトルエンコーダ。

Claims (16)

  1. 受け入れた被加工物を加工して送り出す生産システムにあって同被加工物の加工、搬送に汎用的に用いられる生産システム用汎用セルであって、
    平面形状が五角形以上の多角形からなって、少なくとも前記被加工物の搬送に用いられるロボットがこの多角形からなる平面領域上を移動可能に支持されてなるベースユニットと、該ベースユニットに支持されたロボットに対して前記被加工物の部品を供給する部品供給ユニットと、前記ベースユニットの内側に設けられた加工エリアとを備え、
    前記ベースユニットに支持されたロボットの動作範囲が、前記加工エリアを含めて、同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されてなる
    ことを特徴とする生産システム用汎用セル。
  2. 前記被加工物の当該セルに対する供給、及び同被加工物の当該セルからの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリアが前記ロボットの動作範囲に収まる態様にて前記ベースユニットの外側にさらに延設されてなる
    請求項1に記載の生産システム用汎用セル。
  3. 前記ベースユニットの上方には支柱を介して支持された天井部が設けられてなり、前記ロボットはこの天井部から吊り下げられる態様にて前記ベースユニットに支持されてなる
    請求項1または2に記載の生産システム用汎用セル。
  4. 前記ロボットは、互いに円形もしくは円弧状の動作領域をもつ第1及び第2のアームを有するとともに、前記第2のアームは、前記第1のアームと重なる位置を通過することが可能なスカラ型ロボットからなる
    請求項3に記載の生産システム用汎用セル。
  5. 前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーを前記加工ステージの下方に搬送するトレーフィーダを有してなる
    請求項3または4に記載の生産システム用汎用セル。
  6. 前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記ベースユニット内にあって前記加工ステージの周辺に前記被加工物の部品を供給するものである
    請求項3または4に記載の生産システム用汎用セル。
  7. 前記ベースユニットには同ベースユニットから直立する側壁が前記加工エリアから離間して設けられてなり、前記ロボットはこの側壁から突出する態様にて前記ベースユニットに支持されてなる
    請求項1または2に記載の生産システム用汎用セル。
  8. 前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーにより前記側壁の裏面側から前記加工エリアの近傍に部品を供給するものである
    請求項7に記載の生産システム用汎用セル。
  9. 前記加工エリアは、前記ベースユニット上に加工ステージとして設けられてなり、前記部品供給ユニットは、前記ベースユニット内にあって前記加工ステージの周辺に前記被加工物の部品を供給するものである
    請求項7に記載の生産システム用汎用セル。
  10. 前記ベースユニットに設けられた前記部品供給ユニット及び前記加工エリアを含むセル自体の平面形状が五角形以上の多角形からなる
    請求項6または9に記載の生産システム用汎用セル。
  11. 前記五角形以上の多角形からなる平面形状が正六角形である
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。
  12. 前記加工エリアには前記被加工物の加工を行う専用の加工機が設置され、前記ロボットは、
    a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
    b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
    c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
    d.前記加工機を通じて加工された被加工物の送り出し、
    の各操作を行う
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。
  13. 前記ロボットは、
    a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
    b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
    c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
    d.この部品を組み込んだ被加工物の前記加工エリアでの加工、及び
    e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
    の各操作を行う
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。
  14. 前記加工エリアには前記ロボットが自らのハンドを自動付け替えするオートツールチェンジャが設置され、前記ロボットは、
    a.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
    b.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
    c.この部品を組み込んだ被加工物の加工、及び
    d.この加工した被加工物の送り出し、及び
    e.前記オートツールチェンジャを通じた前記a.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
    の各操作を行う
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セルの複数が、互いに隣接するセル同士で前記ロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列されてなる
    ことを特徴とする汎用セルを用いた生産システム。
  16. 前記ロボットの動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボットの動作範囲内での被加工物の授受を可能とすべく同被加工物を自動搬送する被加工物自動搬送ユニットをさらに備える
    請求項15に記載の汎用セルを用いた生産システム。
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