JP2008211176A - 複数の貫通孔を有する金属薄膜、その製造方法及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

複数の貫通孔を有する金属薄膜、その製造方法及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】量産性に優れた貫通孔(貫通穴)パターンを有する金属薄膜、特に電気二重層キャパシタの正極や負極に用いられる金属集電体とその製造方法を提供すること。
【解決手段】複数の貫通孔を有する金属薄膜の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法に関する。
(1)表面に、前記複数の貫通孔に対応する複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する導電性基板を準備する工程;
(2)電解めっき法及び/又は無電解めっき法により、前記導電性基板の少なくとも前記平坦部に金属を析出させて、前記凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜を形成する工程;及び
(3)前記金属薄膜を前記導電性基板の表面から剥離する工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の貫通孔を有する金属薄膜、特に電気二重層キャパシタの負極用の多孔性金属集電体、その製造方法及び当該複数の貫通孔を有する金属薄膜を用いた電気二重層キャパシタに関する。特に、本発明は、充放電サイクルに優れ、耐電圧が高く、容量の大きい電気二重層キャパシタに関する。
従来から、電気を貯蔵する手段として、電気二重層キャパシタやリチウムイオン二次電池等のエネルギーデバイスがあった。
近年、リチウムニ次電池の破裂防止、リチウムイオンの移動容易性向上、及び、電気二重層キャパシタのエネルギー密度向上等の目的のため、電気二重層キャパシタの電極として、何れか一方の電極にあらかじめリチウムイオンを吸蔵させ、充放電により正極と負極の間をリチウムイオンが行き来する形態を持った、いわゆるロッキングチェアー型の電気二重層キャパシタ及びリチウムニ次電池が提案されている(特許文献1及び2)。
中でも、当該正極及び負極に用いられる集電体として、複数の貫通孔を有する金属薄膜を用いることにより、電極内のリチウムイオンの通過を容易にするとともに吸蔵し得るリチウムイオンの容量を増やし、上限電圧が4Vのような高いエネルギー密度を有する電気二重層キャパシタが提案されている(特許文献3及び4)。
具体的に、特許文献3及び4は、複数の貫通孔を有する金属薄膜として、エキスパンドメタル、パンチングメタル、網、発泡体を開示している。しかし、これらの複数の貫通孔を有する金属薄膜を用いた場合、金属薄膜表面に設けられる孔の大きさの制御が困難であったり、金属薄膜表面の平滑性に問題があったり、薄膜化が困難であったり、量産が困難であるなどの問題があった。
また、複数の貫通孔を有する金属薄膜の製造方法として、導電性基板上に樹脂等の絶縁物を用いて複数の島状の不連続マスクを設置した型を用いる方法があった(非特許文献1)。この方法では、各種めっき方法によりマスクを設置した部分をのぞく導電体板表面上に金属を析出させて金属薄膜を形成し、形成した金属薄膜を導電性基板から剥離して、複数の貫通孔を有する金属薄膜を得ている。しかし、この方法では、マスクに用いた樹脂等のめっき耐性が低いため、当該型を用いて繰り返し金属薄膜を製造することは困難であった。
特開昭64−14882号公報 特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 国際公開WO98/033227号パンフレット 近藤和夫「微小めっき技術」工業調査会、27頁
本発明の第1の目的は、均質で、量産性に優れた複数の貫通孔(貫通穴)パターンを有する金属薄膜、特に、電気二重層キャパシタのようなエネルギーデバイスの負極用の集電体とその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、耐電圧が高く、容量が大きく、充放電サイクルによる劣化が少なく、急速充放電が可能な電気二重層キャパシタおよびこの電気二重層キャパシタに用いる複数の貫通孔を有する金属薄膜並びにその製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、複数の貫通孔を有する金属薄膜をくりかえし製造し得る金属薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明の発明者らは、上述のような島状の樹脂マスクを導電性基板上に配置した型の代わりに、表面に複数の凹部を有する導電性基板を型として使用して、各種めっき方法により金属を該導電性基板上に析出させることにより、前記凹部以外の上部表面(平坦部)には均一で連続した金属薄膜を形成することができる一方、前記凹部内には前記金属薄膜とは独立した金属部が形成されるので、該金属薄膜を該導電性基板から剥離すれば、均一な複数の貫通孔を有する金属薄膜が得られることを見いだし、本願発明に至った。具体的に、本発明は、
1.複数の貫通孔を有する金属薄膜の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法に関する。
(1)表面に、前記複数の貫通孔に対応する複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する導電性基板を準備する工程;
(2)電解めっき法及び/又は無電解めっき法により、前記導電性基板の少なくとも前記平坦部に金属を析出させて、前記凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜を形成する工程;及び
(3)前記金属薄膜を前記導電性基板の表面から剥離する工程。
2.前記金属薄膜が、電気二重層キャパシタ用負極集電体である、上記1に記載の金属薄膜の製造方法に関する。
3.上記1に記載の金属薄膜の製造方法によって製造されることを特徴とする、金属薄膜に関する。
4.前記金属薄膜が、電気二重層キャパシタ用負極集電体である、上記3に記載の金属薄膜に関する。
5.正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に位置する電解質とを有する電気二重層キャパシタであって、前記負極が、負極集電体として上記3に記載の金属薄膜を含むことを特徴とする、電気二重層キャパシタに関する。
6.前記金属薄膜が、ステンレス、銅、ニッケル及びチタンからなる群から選択される金属からなる、上記5に記載の電気二重層キャパシタに関する。
7.前記正極が、上記3に記載の金属薄膜を含むことを特徴とする、上記5又は6に記載の電気二重層キャパシタに関する。
本発明により、量産性に優れた貫通孔(貫通穴)パターンを有する金属薄膜、特に電気二重層キャパシタの正極や負極に用いられる金属集電体とその製造方法が提供される。このような金属薄膜を集電体として用いることにより、リチウム等のイオンの移動が容易で、耐電圧が高く、容量が大きく、高電圧で、充放電サイクルによる劣化が少なく、急速充放電が可能なエネルギーデバイス、特に電気二重層キャパシタを提供することが可能となった。
上述のように導電性基板上に樹脂等の絶縁物を用いて複数の島状のマスクを設置した型を用いる場合、当該型は該導電性基板上に金属層を施すため、めっき液に浸漬される。このとき、該導電性基板上の樹脂等の絶縁物が、めっき液を汚染することがある。この汚染は、めっき液の寿命を短くし、めっきの析出不良を発生しやすくする。一方、本発明は、樹脂等の絶縁物からなるマスクの代わりに、複数の凹部を導電性基板表面に設けたものである。この凹部が多孔性金属集電体を作成する際の貫通孔を形成することになる。このような、表面に複数の凹部を有する導電性基板は、樹脂等の他の素材を使用せずに導電性基板の材料のみで一体的に成形されているため、めっき液を汚染することもなく、また、数千回〜数万回の繰り返し使用にも十分対応可能である。
本発明において、導体層パターン付き基材(導電性基材)は、パターン状に析出させた金属を剥がして巻き取るため、生産効率がよい。また、当該パターン状に析出させた金属の厚みや孔(穴)パターンサイズ、孔(穴)パターンの密度などは、容易にコントロール可能である。特に、導電性基材の凸部の上面に析出した金属を選択的に巻き取ることにより、この効果を確実にすることができる。
さらに、本発明の製造方法で製造した金属薄膜を集電体として使用した電気二重層キャパシタは、高電圧、高容量を実現しているので、キャパシタモジュールとして直列に複数の電気二重層キャパシタを並べて使用する場合でも、使用すべき電気二重層キャパシタの数を減らすことができる。
(A)金属薄膜の製造方法
本願発明は、複数の貫通孔を有する金属薄膜の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法に関する。
(1)表面に、前記複数の貫通孔に対応する複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する導電性基板を準備する工程;
(2)電解めっき法及び/又は無電解めっき法により、前記導電性基板の少なくとも前記平坦部に金属を析出させて、前記凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜を形成する工程;及び
(3)前記金属薄膜を前記導電性基板の表面から剥離する工程。
また、金属薄膜を剥離した導電性基板を再度上記(2)の工程で使用するために、(3)の工程の後に
(4)前記導電性基板をクリーニングする工程
を任意に含んでいてもよい。
以下、各工程に分けて具体的に説明する。
(1)表面に、前記複数の貫通孔に対応する複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する導電性基板を準備する工程
まず、本発明の金属薄膜を作成するための型となる導電性基板を準備する。本発明で使用する導電性基板は、その少なくとも一方の表面に複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する。複数の不連続な凹部は、金属薄膜に形成される複数の貫通孔に対応している。この凹部の上方に複数の貫通孔が形成される。凹部以外の連続した平坦部の上面には、金属を析出させることにより、金属薄膜が形成される。
導電性基板上に複数の不連続な凹部を形成する方法としては、次のような方法をあげることができる。
(i)導電性基板表面の複数の不連続な凹部に対応する部分に直接レーザー光を照射して凹部とする方法。
(ii)導電性基板表面の平坦部に対応する部分に光硬化性樹脂等のレジストを配置し、フォトリソグラフ法を用いて、導電性基板表面をエッチングして凹部とする方法。
(iii)彫刻により導電性基板表面を掘削して複数の不連続な凹部に対応する部分を形成し、その部分を凹部とする方法。
比較的硬質の導電性基板を得るためには、レーザー加工法(i)やフォトリソグラフ法(ii)などを直接加工する方法、及び、銅などの柔らかく加工性に優れた材料に彫刻を施した後にクロム等の硬質材料のめっきを施す方法が挙げられる。例えば、フォトリソグラフ法による場合、まず、導電性基板の原板の表面にレジスト材料を貼り合わせ、さらにその上に所望の孔形状を有するネガフィルムを複数配置する。このネガフィルムの上から紫外線等の光を照射し、さらに炭酸ナトリウム水溶液で現像することにより、ネガフィルムを配置した部分のレジスト材料だけが除去され、それ以外のレジスト材料は残存する。これにより所望の複数の孔(穴)が設けられたレジスト材料が導電性基板の原板表面に残る。この導電性基板の原板を、さらに塩化第二鉄水溶液、硫酸/過酸化水素水混合液等のエッチング液に浸漬して当該導電性基板の原板をエッチングする。最後に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液を用いてレジストを除去することにより、複数の貫通孔を有する導電性基板が形成される。
本発明に用いられる導電性基板は、その表面に電気めっきで金属を析出させるために十分な導電性を有し、かつ、表面がなめらかな金属であることが好ましい。また、本発明に用いられる導電性基板は、その上に形成された金属薄膜を容易に剥離しやすいものであることが好ましい。このような導電性基板の材料は、例えば、鉄、銅、ニッケル、チタン等の金属;ステンレス鋼等の合金;クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタンをライニングした上記金属材料等の金属被覆材料等が挙げられる。
本発明に用いられる導電性基板の形状としては、シート状、プレート状、ロール状、フープ状等がある。ロール状の導電性基板は、シート状、プレート状の導電性基板材料を、回転体(ロール)に取り付けたものであってもよい。フープ状には、フープの内側の2箇所から数箇所にロールを設置し、そのロールにフープ状の導電性基板を通すような形態等が考えられる(図7の導電性基板(19)参照)。ロール状、フープ状である導電性基板は、金属薄膜を連続的に生産するのに好適である。
本発明の導電性基板に設けられた複数の不連続な凹部は、導電性基板表面に現れた平面形状が、三角形、四角形等の多角形(好ましくは、三〜十角形、より好ましくは、四〜八角形)、円形、楕円形であり得る。また、当該導電性基板表面に現れた凹部の形状が円形である場合、当該円の直径は、例えば、5〜5000μm、好ましくは、30〜3000μmであり、ひとつの円の中心とその隣接する円の中心との間隔が、例えば、5〜5000μm、好ましくは、30〜3000μmであることが適当である。凹部がないと仮定したときの導電性基板表面の面積に対する当該凹部が占める割合は、例えば、5〜80%、好ましくは、10〜70%である。所定の導電性基板表面(凹部がないと仮定したときの導電性基板表面)の面積における凹部の数は、例えば、0.25〜4×106個/cm2、好ましくは、0.5〜3.6×106個/cm2である。このような凹部は、導電性基板の表面上に、例えば格子状、同心円状、うず巻き状、放射状等のように規則的に配列されていてもよく、規則性を持たずにランダムに配列されていてもよい。
また、本発明の導電性基板に設けられた凹部の断面形状は、三角形、台形、四角形、半円形等であり得る。後述するように、この凹部には、平坦部に形成される金属薄膜とは不連続の金属部が形成される。凹部に形成される金属部が、平坦部に形成される金属薄膜と不連続となるようにするため、当該凹部の断面形状に現れた、当該平坦部と凹部とがなす角が直角または直角に近いことが好ましい。例えば、凹部の断面形状において当該平坦部と凹部とがなす角が45〜90°より好ましくは60〜90°であることが適当である。平坦部と凹部とがなす角が45°以上であれば、平坦部上に形成される金属薄膜と、凹部内に形成される金属部とが不連続となって凹部上方に貫通孔を形成することができる。
本発明の導電性基板表面の該凹部以外の部分は、連続した平坦部である。平坦部は、通常、凹部をレーザー加工法(i)やフォトリソグラフ法(ii)などで形成した残りの導電性基板表面である。この平坦部に各種めっき法によって金属を析出させることにより、本発明の金属薄膜を得ることができる。導電性基板表面の面積に対する当該平坦部が占める割合は、例えば、20〜95%、好ましくは、30〜90%である。
さらに、導電性基板の平坦部上面から凹部最下面までの高さ(凹部の深さ)は、例えば1〜100μm、好ましくは、5〜50μm、より好ましくは、10〜30μmであることが適当である。平坦部上面から凹部最下面までの高さが1μm以上であれば、平坦部上に形成される金属薄膜と、凹部内に形成される金属部とが不連続となり、金属薄膜を剥離するときに、凹部内に析出した金属部が同時剥離するおそれを軽減できる。また、該高さは100μm以下であれば、十分に前記金属薄膜と金属部との不連続性を確保することができ、また、導電性基板の十分な強度を保つことができる。
導電性基板の凹部以外の連続した平坦部は、凹部内と比べてなめらかであることが好ましい。具体的には、平坦部の表面粗さが、例えばRz<2.0μmであることが好ましく、Rz<1.0μmであることがさらに好ましく、Rz=0.1〜1.0μmであることがより好ましい。また、凹部内の表面粗さは、例えば、Rz>2.0μmであることが好ましく、Rz>3.0μmであることがさらに好ましく、Rz=3.0〜5.0μmであることがより好ましい。表面粗さがRz<2.0μmであれば、電解めっき法及び/又は無電解めっき法等により連続した金属薄膜を形成することができる。一方、Rz>2.0μmであれば、電解めっき法及び/又は無電解めっき法等により析出する金属が粒状となり、非連続の金属部が析出する傾向がある。少なくとも平坦部に近接する凹部は、平坦部と比べてRz=1.0μm以上、好ましくは、2.0μm以上の表面粗さの違いがあることが、十分な前記金属薄膜と金属部との不連続性を確保するために好ましい。
ここで、本発明で使用する導電性基板の形状を、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明で使用する導電性基板(1)の一例を示す斜視図である。図1には、導電性基板の平坦部(3)と、導電性基板表面に現れた凹部(2)とを有し、該凹部(2)の形状が円形であり、該凹部が格子状に配列されている導電性基板(1)の例が示されている。図2は、図1のA−A'断面を示す。導電性基板(1)の断面には、凹部(2)と平坦部(3)が示されている。該凹部(2)の断面形状は、図2(a)のような四角形、(b)のような台形、(c)のような半円形、(d)のような三角形であり得る。
(2)電解めっき法及び/又は無電解めっき法により、前記導電性基板の少なくとも前記平坦部に金属を析出させて、前記凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜を形成する工程
金属を析出させるためには、「現場技術者のための実用めっき」、日本プレーティング協会編、特に第87〜504頁及び第505〜545頁(1986年槇書店発行)等に記載されているような各種公知のめっき法が使用できる。具体的には、電解めっき法、無電解めっき法及びこれらの組み合わせが使用できる。
電解めっき法は、例えば銅めっきの場合、銅錯体等を含むめっき液中に上記導電性基板を浸漬し、該導電性基板を陰極とし、銅板等を陽極とし、両極に電圧をかけて導電性基板表面に銅を析出させることによって行われる。ここで、めっき液には、例えば、塩酸塩、硫酸塩、ピロリン酸塩、スルファミン酸塩等の金属塩を含むことが適当である。また、めっき液に用いられる溶媒としては、水等が使用できる。例えば、銅めっき用のめっき液の場合、硫酸銅水溶液、ピロリン酸銅水溶液等が適当である。また、ニッケルめっき用のめっき液としては、例えば、塩化ニッケル水溶液(いわゆるワット浴)、スルファミン酸ニッケルの水溶液等が適当である。さらに、めっき液には、電着応力のばらつきを低下させることができる応力緩和剤(光沢剤としての効果も有する)を添加することができる。応力緩和剤としては、例えば、サッカリン、バニリン、クマリン等の有機物が挙げられる。また、めっきされたニッケルの柔軟性を調整するため、必要に応じてサッカリン、パラトルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタリントリスルホン酸ナトリウムのような添加剤を添加してもよい。その他、公知の他の添加剤を添加してもよい。また、チオシアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムのような平滑剤、亜セレン酸ナトリウム、亜鉛酸ナトリウムのような光沢剤も添加剤として添加することができる。
無電解めっき法としては、公知の置換めっき、接触めっき、非触媒化学めっき、自己触媒化学めっき法が挙げられる。
上記電気めっき法等により、金属は、導電性基板の少なくとも前記平坦部に析出する。導電性基板の平坦部に析出した金属は、連続した金属薄膜を形成する。一方、導電性基板の凹部にも金属は析出し得るが、凹部には平坦部に析出した金属薄膜とは不連続の金属部が析出する。これは、凹部の表面粗さ等のために粒子状の不連続な金属部が析出するため、又は、平坦部と凹部とがなす角が鋭角であるために平坦部と凹部とが隣接する凹部の壁面に金属が析出しないため、等の理由によるものである。
上述のように金属が平坦部に析出することにより、導電性基板の凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜が形成される。導電性基板の凹部は金属薄膜に複数の貫通孔を形成するために設けられたものである。この凹部には、金属薄膜とは不連続の金属部が形成されるので、導電性基板の凹部上方には、金属薄膜の貫通孔が形成される。
めっき液の組成、めっき液に加えられる添加剤の種類、導電性基板の表面粗さ、凹部の深さ、電気めっきの場合の電流密度等の条件により、金属薄膜の厚さや形状を変えることが可能である。例えば、電流密度が高い方が、表面粗さの大きい面の埋め込み性が悪くなるので、凹部において粒子状の金属が析出しやすくなる。また、凹部が深い方が、凹部に析出する金属部の膜厚を薄くすることができる。
(3)前記金属薄膜を前記導電性基板の表面から剥離する工程
導電性基板表面に析出した金属薄膜は、ピンセット、接着剤のついたテープ等を用いて物理的に引きはがす方法によって導電性基板の表面から剥離される。
(4)前記導電性基板をクリーニングする工程
本発明で使用する導電性基板は、金属薄膜を剥離した後、繰り返し金属薄膜析出用の型として使用することができる。つまり、金属薄膜を剥離した後の導電性基板は、再度上記(2)工程で金属を析出させて金属薄膜を形成するのに使用する。しかし、上記(3)工程で金属薄膜を剥離した後の導電性基板の凹部には、金属部が付着したままとなっている。また、導電性基板の平坦部やそれ以外の部分にも金属が残存している場合がある。従って、この凹部に付着した金属部等を取り除くため、導電性基板を再度(2)工程で使用する前に導電性基板をクリーニングする必要がある。クリーニングには、エッチング方法で金属を除去する方法、粘着フィルムに残存金属を転写させて除去する方法、超音波装置の中に基板を入れて除去する方法等が好ましく利用される。例えば、エッチング方法では、導電性基板をエッチング液に浸漬することによって行われる。エッチング液としては、析出した金属を溶解しかつ導電性基板を溶解(腐食)しない液が好ましい。例えば、めっきで析出させた金属が銅の場合には、エッチング液は、塩化第二鉄溶液、塩化銅溶液、硫酸過水、過硫酸アンモニウム溶液等が好んで用いられる。上記エッチング液は、導電性基板がチタンの場合には使用可能であるが、ステンレスの場合には、塩化第二鉄溶液、塩化銅溶液を用いると、ステンレスが腐食されるため、使用できず、過硫酸アンモニウム等のステンレスを腐食しない銅のエッチング液を用いることが寛容である。このように、エッチング液は、析出する金属と導電性基板の材質との関係を考慮して適宜選択される。
粘着フィルムに残存金属を転写させて除去する方法で使用され得る粘着フィルムは、例えば、支持体と粘着層とを有するものが使用され得る。粘着層の厚みは、容易に凹部に残存する金属に接触しやすくするために、凹部の深さ以上であることが好ましく、凹部の深さの2倍以上の厚みを有していることがさらに好ましい。
(B)金属薄膜
本発明の金属薄膜は、上記(A)に記載した製造方法によって製造された、複数の貫通孔を有する金属薄膜である。
金属薄膜を構成する金属としては、ステンレス、銅、ニッケル、クロム及びチタン等の導電性を有するものが使用されるが、20℃での体積抵抗率(比抵抗)が20μΩ/cm以下の金属を少なくとも1種類以上含むことが望ましい。特に金属薄膜が好ましく利用される負極集電体は導電性が高い方が充放電の時の抵抗が低くて良好である。従って、金属薄膜を構成する金属としては、例えば、銅(1.72μΩ/cm)、ニッケル(7.24μΩ/cm)、鉄(9.0μΩ/cm)、クロム(17μΩ/cm、全て20℃での値)などが適当である。特にこれらに限定するものではないが、負極電位で使用できる点で銅またはニッケルが好適である。
金属薄膜の貫通孔の形状及び数等は、導電性基板の凹部に対応するので導電性基板の凹部の表面の形状及び数等と同一である。具体的に、貫通孔の形状は、三角形、四角形等の多角形(好ましくは、三〜十角形、より好ましくは、四〜八角形)、円形、楕円形であり得る。また、当該貫通孔が円形である場合、当該円の直径は、例えば、5μm〜5mm、好ましくは、30μm〜3mm、より好ましくは50μm〜2mmであることが適当である。5mm以下であれば、金属薄膜表面に活物質を含むスラリーを塗布する場合でも、スラリーを容易に塗工することができる。貫通孔は、通常20μm2〜20mm2、好ましくは、700μm2〜7mm2、より好ましくは、2000μm2〜4mm2の面積を有する。
貫通孔がないと仮定したときの金属薄膜表面の面積(投影面積)に対する当該貫通孔が占める割合(開孔率)は、例えば、5〜80%、好ましくは、10〜70%、より好ましくは、15〜60%である。金属薄膜を電気二重層キャパシタの負極集電体として使用した場合、開孔率が5%以上であれば、負極にリチウムイオンをすみやかに吸蔵することができ、80%以下であれば、負極集電体として十分な強度を保持できるとともに、充放電時に電流を十分に取り出すことができるので好ましい。所定の金属薄膜表面(貫通孔がないと仮定したときの金属薄膜表面)の面積における貫通孔の数は、例えば、0.25〜4×106個/cm3、好ましくは、0.5〜3.6×106個/cm3である。このような貫通孔は、金属薄膜の表面上に、例えば格子状、同心円状、うず巻き状、放射状等のように規則的に配列されていてもよく、規則性を持たずにランダムに配列されていてもよい。
金属薄膜は、例えば、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜70μm、より好ましくは、12μm〜60μの厚さを有する。5μm以上であれば、負極集電体として十分な強度を保持できるとともに、充放電時に電流を十分に取り出すことができるので好ましい。100μm以下であれば、金属薄膜をエネルギーデバイス用の集電体として使用してもエネルギーデバイスの体積が大きくなりすぎることもないので好ましい。
(C)金属薄膜の具体的製造方法
(1)以下、図面を参照しながら、本発明の金属薄膜の基本的な製造方法の一例を説明する。
まず、複数の凹部を設ける前の導電性基板の原板(4)の表面上に光硬化性樹脂等のレジスト(5)を配置する(図3(a))。レジスト(5)の表面にマスク(図示せず)を配置し、さらに光や熱を加えてマスクされた以外の部分のレジスト(5)を硬化する。硬化しなかった部分のレジスト(5)をアルカリ処理等により除去して前記導電性基板の原板(4)上に複数の孔を有するレジスト(5)を形成する(図3(b))。このレジスト上から、エッチングにより導電性基板の原板(4)の表面に凹部(2)を形成する(図3(c))。その後、複数の孔を有するレジスト(5)を剥離して除去し、複数の不連続な凹部(2)と、該凹部(2)以外の連続した平坦部(3)とを有する導電性基板(1)を得る(図3(d))。導電性基板(1)の平面図は、例えば図1に示すとおりである。この導電性基板(1)表面上に電解めっき法等により金属を析出させる(図3(e))。これにより、導電性基板(1)上には、少なくとも導電性基板(1)の平坦部(3)に金属薄膜(6)が形成される(図3(e)、図4)。この金属薄膜(6)は、導電性基板(1)の凹部(2)に対応する複数の貫通孔(7)を有する。また、導電性基板(1)の凹部(2)には、金属薄膜(6)とは不連続の金属部(8)が析出する(図3(e))。このようにして得られた金属薄膜(6)は、導電性基板(1)から剥離される(図3(f)、図5)。剥離後、金属部(8)が導電性基板(1)の凹部(2)に残存するが、これはエッチング等により除去され、クリーニングされた導電性基板(1)となる(図3(g))。クリーニングされた導電性基板(1)は、繰り返し(図3(d))の導電性基板(1)として利用される。
(2)本発明の金属薄膜の製造方法の他の例として、回転体形状の導電性基板の実施態様を示す図6を参照しながら説明する。図6は、回転体形状の導電性基板を用い、複数の貫通孔を有する金属薄膜を連続的に製造する方法である。
本発明の導電性基板である回転体(9)は、表面に複数の不連続な凹部と、連続した平坦部とを有している(図示せず)。回転体(9)は、回転体(9)中心に配置された軸を中心に回転可能に配置され、かつ、陰極に接続されている。回転体(9)の外側には電解めっき用のめっき液を満たすことができ、かつ、陽極に接続されているドラム電極(10)が配置されている。回転体(9)とドラム電極(10)との間にはめっき液(13)を満たすためのスペース(図示せず)が設けられている。めっき液(13)は、浴(14)に貯蔵されており、配管(16)からポンプ(15)を介して回転体(9)とドラム電極(10)との間のスペースに供給される。上記スペースに供給された余剰のめっき液(13)は、ドラム電極(10)からオーバーフローし、浴(14)に戻される。
ここで、回転体(9)を一定速度で回転させながら、回転体(9)とドラム電極(10)との間に電圧をかける。これにより導電性基板としての回転体(9)の平坦部(凹部以外の部分)に金属が析出し、当該凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜(11)が形成される。形成した金属薄膜(11)は、回転体(9)によってドラム電極(10)中のめっき液(13)の液面まで運ばれ、ロール(17)及びロール(18)によって生じる張力によって回転体(9)から剥離される。その後、金属薄膜(11)は、ロール(17)を介してロール(18)に巻き取られる。金属薄膜(11)を剥離した回転体(9)は、再度めっき液(13)に浸漬するまでの間に適宜エッチング等によってクリーニングされる(図示せず)。なお、ドラム電極(10)の上端部には、回転体(9)が高速回転している場合にめっき液(13)が噴出するのを防止するための水切りロール(図示せず)を設置してもよい。水切りロールでせき止められためっき液(13)は、浴(14)に戻されてもよい。
ここで、回転体(9)としてはドラム式電解析出法に用いるドラム電極などを用いることが好ましい。回転体(9)は、全体が上記導電性基板の説明で述べた金属であってもよいが、回転体(9)の表面のみが、当該金属で構成されていてもよい。回転体の表面を形成する金属としては、ステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料などのめっき付着性が比較的低い材料を用いることが好ましい。
また、めっき液としては、上記めっき液の説明で述べた各種組成物を含むめっき液を使用できるが、図6のように連続的に金属薄膜を製造するためには、連続製造の間に消費された銅イオン源や添加剤等を必要に応じて追加する態様を加えることが好ましい。
(3)本発明の金属薄膜の製造方法の他の例として、フープ状の導電性基板の実施態様を示す図7を参照しながら説明する。図7は、フープ状の導電性基板を用いることにより、複数の貫通孔を有する金属薄膜を連続的に製造する方法である。
フープ状の導電性基板とは、帯状でかつ両端部をつなぎ合わせた導電性基板であって、その表面に複数の不連続な凹部と、連続した平坦部とを有している。
フープ状の導電性基板(19)を、複数の搬送ロール(20)及び(25)を通して設置する。まず、エッチング(21)で残存金属を除去し、さらに水洗(22)で導電性基板(19)をクリーニングする。その後、めっき(23)で、導電性基板の表面上に金属を析出させる。その後、防錆処理槽(24)で析出した金属の表面に防錆処理を施す。なお、これら一連の槽の間には、他の水洗槽や前処理槽等があってもよい。次いで、導電性基板(19)の平坦部に析出した貫通孔を有する金属薄膜(28)をロール(25)の位置で剥離し、ロール(26)を介してロール(27)に巻き取られる。金属薄膜(28)を剥離した後のフープ状の導電性基板(19)は、再度エッチング槽(21)に戻り、上記の工程を繰り返す。このようにして、連続的に、金属薄膜(28)を製造することができる。
フープ状の導電性基板(19)は、全体が上記導電性基板の説明で述べた金属であってもよいが、フープ状の導電性基板(19)の表面のみが、当該金属で構成されていてもよい。フープ状の導電性基板(19)の表面を形成する物質としては、ステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料などのめっき付着性が比較的小さい材料を用いることが好ましい。フープ状の導電性基板(19)を用いた場合には、残存金属のエッチング、防錆処理、剥離等の工程を、1つの連続した工程で処理可能となるため貫通孔を有する金属薄膜の生産性が高く、また、貫通孔を有する金属薄膜を連続的に作製して巻物として製品とすることができる。
(D)金属薄膜の用途
本発明の金属薄膜は、リチウムニ次電池、電気二重層キャパシタ等のエネルギーデバイスに使用する電極の集電体として使用される。特に、本発明の金属薄膜は、電気二重層キャパシタ用の負極集電体として有用である。以下、本発明の金属薄膜について、電気二重層キャパシタ用の負極集電体として使用した場合を例にとって説明する。
本発明の電気二重層キャパシタは、通常、正極が電気二重層に電荷を蓄積する材料である。正極が電気二重層に電荷を蓄積する機構で充放電することによって充放電サイクルによる劣化が少なく、急速充放電が可能になる。
本発明における電気二重層キャパシタは、負極と、正極と、該負極及び正極の間に配置された電解質とを有する。
(1)負極
負極は、負極集電体と、該集電体上に配置された活物質を含む合剤層とからなる。活物質は、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料を含む。合剤層は、通常、上記活物質に加え、導電助剤、バインダとともに溶媒に加えて混合し、スラリーとした後、上記負極集電体上に塗布し、乾燥することによって、上記負極集電体上に配置される。もしくは、この活物質を含む合剤層をシート状とした後、負極集電体上に貼り合せてもよい。
本発明の負極集電体には、上述した本発明の金属薄膜を使用する。本発明の負極集電体は、本発明の電気二重層キャパシタを充放電する際、外部回路と負極とを電気的に接続するために用いられる。また、本発明の負極集電体は、本発明の電気二重層キャパシタの負極形状を維持するために用いられる。本発明のような複数の貫通孔を有する金属薄膜を使用することにより、リチウムイオン等の移動が容易となる。
上記負極の活物質に含まれるリチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、低温焼成炭素、難黒鉛化炭素で被覆された黒鉛、難黒鉛化炭素で被覆された易黒鉛化炭素などが例示できる。ここで、通常、難黒鉛化性炭素とは石炭ピッチ、石油ピッチ、フルフリルアルコール樹脂やフェノール樹脂等を焼成したもので、結晶子サイズが数nm以下、密度が1.5〜1.8g/cm3の炭素材料をいう。また、通常、易黒鉛化性炭素とはコークス、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維等であり、結晶子サイズが1.5〜5nm、密度が1.8〜2.1g/cm3の炭素材料をいう。
本発明の電気二重層キャパシタにおける負極に用いられるリチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料のX線回折の測定による[002]面の面間隔は、例えば0.335〜0.410nmが好ましい。より好ましくは0.356〜0.390nmである。この範囲の負極炭素材料であればいずれの炭素材料も使用できる。面間隔が0.410nm以下であれば、充放電サイクルにおいても劣化が大きくならないので好ましい。具体的には、1000〜2000℃で熱処理された難黒鉛化性炭素材料や、易黒鉛化性炭素材料等は好ましく使用できる。また、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素材料を2500℃以上で熱処理した人造黒鉛等は、[002]面の面間隔が0.335〜0.338nmであり、これらも好ましく使用できる。
人造黒鉛とは、コークスを原料とし、通常、2000〜3000℃、好ましくは、2500〜3000℃に加熱することによって該コークスを黒鉛化したものである。好ましい人造黒鉛は、真比重2.0〜2.3、好ましくは、2.1〜2.25、平均粒径(レーザー回折粒度分布法により測定)1〜100μm、好ましくは、2〜50μm、比表面積1〜10m2/g、好ましくは、1〜5m2/gであることが適当である。
上記炭素材料にリチウムイオンを化学的又は電気化学的に吸蔵させる化学的方法としては、例えば炭素材料とリチウム金属を接触させた状態で電解液中に浸漬し、リチウムをイオン化させて炭素材料に吸蔵させる方法がある。電気化学的方法としては、炭素材料とリチウム金属をセパレータを介して対向させ、電解液中で定電流又は定電圧で前記炭素材料を充電する方法がある。
上記負極に用いられる導電助剤は、カーボンの微粉末が好ましい。カーボンとしては特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、VGCF(登録商標)(気相成長法炭素繊維、昭和電工株式会社製)、黒鉛等が好ましく用いられる。
上記負極に用いられるバインダとしては、例えば有機高分子材料が用いられる。特に限定されないが、バインダは、例えば、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が好ましく用いられる。バインダは、有機溶剤系及び水分散系のバインダが好ましく用いられるが、水分散系バインダを使用する場合、活性炭と導電助剤とともに作製するスラリーの粘度調整のために、好ましくはCMC(カルボキシメチルセルロース)等の増粘剤を加える。
本発明におけるバインダの量は、上記活物質として使用される炭素材料の質量に対して、例えば、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%が適当である。1質量%以上であれば、負極の成形に支障を来すこともなく、20質量%以下であれば、電気二重層キャパシタの電解質に用いられる電解液の吸液性が乏しくなることもないので好ましい。
上記負極に用いられるスラリーに含まれる溶媒としては、NMP(N−メチルピロリドン)、水、エタノール等が好ましく使用される。
(2)正極
本発明の電気二重層キャパシタにおける正極とは、通常、電圧に応じて電気二重層に物理的に電荷を蓄積できる電極のことであり、正極にファラデー反応を伴う電極を用いる電池の正極とは全く異なる。
正極は、正極集電体と、該集電体上に配置された分極性電極材料を主として含む合剤層とからなる。分極性電極材料は、通常、活性炭(正極活物質)、導電助剤及びバインダを含む。正極の活物質材料である活性炭は、特に限定されないが、やしがら、フェノール樹脂、石油コークス等を水蒸気賦活又は炭酸ガス賦活又は溶融KOH賦活したもの等が好適に使用できる。正極の合剤層は、負極合剤層と同様に、溶媒を加えてスラリーとした後に集電体上に塗布し、乾燥することによって、上記正極集電体上に配置されてもよく、また、合剤層をシート状とした後、正極集電体上に貼り合わせてもよい。
本発明で使用する正極集電体には、本発明の金属薄膜の他、任意の他の金属薄膜を使用することができる。他の金属薄膜としては、公知のプレス、エキスパンド、エッチング等の方法で形成した複数の貫通孔を有する金属薄膜を使用することができる。本発明における正極集電体に形成される貫通孔のパターンには特に制限は無いが、貫通孔の面積の合計が本発明の正極集電体の投影面積の合計の、例えば5%〜80%、好ましくは、10%〜70%であり、より好ましくは15%〜60%が適当である(開孔率)。5%以上であれば、正極に予めリチウムイオンを吸蔵させる時間が長くなる傾向があり、80%以下であれば正極集電体として十分な強度を保持できるとともに、充放電時に電流を十分に取り出すことができるので好ましい。
本発明における正極集電体に形成されている貫通孔のパターンには特に制限は無いが、丸、四角、菱形、三角等の一般的形状であれば特に問題なく使用可能である。貫通孔のサイズには特に制限は無いが、例えば形状が丸の場合は、直径が例えば、5μm〜5mm、好ましくは、20μm〜3mm、より好ましくは30μm〜2mmであることが適当である。5μm以上であれば、貫通孔の形成が容易であり、5mm以下であれば、金属薄膜表面に活物質を含むスラリーを塗布する場合でも、スラリーを容易に塗工することができる。
本発明における正極集電体に用いられる金属薄膜を構成する金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、クロム及びチタン等の導電性を有するものが使用される。これらの中で、特にアルミ箔の結晶方位の違いを利用したエッチング法で貫通孔を形成する方法が安価で量産的なので好ましい。
上記正極に用いられる活性炭の比表面積は、例えば、800〜3000m2/g、好ましくは、1200〜2600m2/gであり、より好ましくは、1800〜2400m2/gである。活性炭の比表面積が800m2/g以上であれば単位面積あたりの電気二重層キャパシタの容量が大きくなるので好適である。また、活性炭の比表面積が3000m2/g以下であれば単位体積あたりの電気二重層容量が低下することもないので好ましい。
上記正極に用いられる導電助剤は、カーボンの微粉末が好ましい。カーボン材は特に限定されないが、例えば、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、VGCF(登録商標)(気相成長法炭素繊維、昭和電工株式会社製)、黒鉛等が好ましく用いられる。
この導電助剤は、活性炭の質量に対して、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%、より好ましくは4〜20質量%であることが適当である。1質量%以上であれば十分な直流抵抗低減効果が得られ、30質量%以下であれば、十分な正極容量を異時できるので好ましい。より好ましい量は使用する導電助剤によっても異なるが、例えば、導電助剤がアセチレンブラックの場合は、好ましくは3〜25質量%、さらに好ましくは4〜20質量%である。導電助剤がケッチェンブラックやVGCFの場合、添加量はもっと少なくてよく、より好ましくは1〜15質量%であり、さらに好ましくは1.5〜10質量%である。
上記正極に用いられるバインダは、例えば有機高分子材料が用いられる。特に限定されないが、バインダとしては、例えば、SBR、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、PVDF、等が好ましく用いられる。バインダ樹脂は有機溶剤系及び水分散系のバインダが好ましく用いられる。水分散系バインダを使用する場合、活性炭と導電助剤とともに作製するスラリーの粘度調整のために、好ましくはCMC(カルボキシメチルセルロース)等の増粘剤を加える。
本発明におけるバインダの量は、正極活性炭の質量に対して、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%が好適である。1質量%以上であれば、正極の成形に支障を来すこともなく、30質量%以下であれば、電気二重層キャパシタの電解質に用いられる電解液の吸液性が乏しくなることもないので好ましい。
本発明で用いられる溶媒としては、NMP(N−メチルピロリドン)、水等を使用することができる。
本発明の正極の製造法は、負極と同様に、正極集電体上に合剤層を配置することによって行われる。また、本発明の正極の製造法の別の方法としては、まず、バインダとしての含フッ素重合体樹脂、エタノール、活性炭及び導電助剤を混練してシート状に成形し、導電性接着剤を得る。その後、このシート状導電性接着剤を、アルミ、ニッケル、ステンレス等の正極集電体上に接着し、本発明の正極を得る。このような正極は、高容量であり、充放電サイクル特性も良好である。なお、上記含フッ素重合体樹脂は、耐熱性、耐溶剤性の面からPTFEが好ましい。
また、本発明の正極の製造法のさらに別の方法としては、バインダとしてPVDFのNMP(N−メチルピロリドン)溶液に、活性炭及び導電助剤を加えて混練してスラリーを得る。その後、アルミ、ニッケル、ステンレス等の集電体にダイコータやロールコータを用いて上記スラリーを塗工し、乾燥して正極を得る。この場合、スラリーの塗工前に集電体にカーボンを主体とした導電性接着剤を塗布しておくと正極材料と集電接着力が向上して充放電サイクル特性等の寿命特性が良好になる。この場合のバインダとしては、PVDFやアクリロニトリル系のNMP溶液やPTFEの水分散物、アクリル樹脂の水分散物等が好ましい。また水分散バインダを使用する際は、活性炭と導電助剤とともに作製するスラリーの粘度調整のために、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の増粘剤を加えるとスラリーの安定性の面でより好ましい。
(3)電解質
本発明における電気二重層キャパシタにおける電解質は、負極と正極との間に配置される。電解質としては、好ましくは、有機電解液等が挙げられる。ここで、有機電解液は、溶質と溶媒を含む。溶質としては、リチウム塩、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(CF3SO22、CF3SO3Li、LiC(SO2CF33、LiAsF6及びLiSbF6等が好ましく使用される。溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、ガンマブチロラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、及びジメトキシエタンから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
上記有機電解液は、耐電圧が高く電気伝導度が高いものが好ましい。また、本発明の有機電解液におけるリチウム塩の濃度は0.1〜2.5mol/Lが好ましく、より好ましくは0.5〜2mol/Lである。
(4)電気二重層キャパシタの製法
本発明の電気二重層キャパシタの製法の一例を示す。帯状の上記負極と帯状の上記正極とを準備し、これら負極と正極の間にセパレータを配置して巻き取り、捲回体(巻物)を得る。ここで、負極及び正極には、あらかじめニッケルからなるタブ(外部電極に繋ぐためのリード)を取り付けてある。また、セパレータは、例えば、PP(ポリプロピレン)からなる多孔質セパレータである。巻き取り終了部は、ポリイミドを基材に用いた粘着テープを張り合わせることで巻きが戻らないようにする。作製した捲回体の最外周は、負極集電体が露出している。その後、該捲回体の外周にリチウム箔を巻き付け、最外周の負極集電体に良く接触させる。その後、捲回体をステンレス製の缶に入れ、負極のタブは缶の底に溶接し、正極のタブは蓋に溶接する。その後、この捲回体が入った缶を真空で乾燥し、減圧下、電解液を注入し、正極のタブが溶接してある蓋で封口する。封口後40℃で数日間保持することでリチウムイオンが負極に吸蔵される。必要に応じて缶を洗浄し、スリーブを掛け(ジャケットを被せる)、エージングなどを行って電気二重層キャパシタを完成させる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により限定されない。
<複数の貫通孔を有する金属薄膜の作製>
(実施例1)
導電性基板の原板として幅3cm、長さ50cmのステンレス(SUS304)板を準備した。このステンレス板の表面にレジストフィルム(フォテックH−Y920、日立化成工業株式会社製)を貼り合わせた。貼り合わせの条件は、ロール温度(貼り合わせに使用するロール表面の温度)105℃、貼り合わせのための圧力0.5MPa、ステンレス板とレジストフィルムを流すスピード(ラインスピード)1m/minで行った。次いで、光不透過部が直径200μmの円であり、円の中心と隣の円中心の間隔が200μmで、格子状に円を配置したネガフィルムを、レジストフィルムを貼り合わせたステンレス板の上に静置した。紫外線照射装置を用いて、800hPa(600mmHg)以下の真空下において、ネガフィルムの上から、紫外線を120mJ/cm2照射した。さらに。1質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像することで、ステンレス板の上に孔径(直径)200μm、円の中心と隣の円中心の間隔が200μmで、格子状に配置した孔(穴)パターンを設けたレジストフィルムを形成した。さらに、40℃に加温した塩化第二鉄水溶液を用いて、ステンレス板をエッチングした。次いで、5質量%水酸化ナトリウム溶液を用いて、ステンレス板の上に形成されたレジストフィルムを剥離して、格子状のパターン(孔径(直径)200μm、孔の中心と隣の孔の中心の間隔が200μm、凹部の深さ15μm、平坦部と凹部とがなす角が約90°、凹部の断面形状は半円形(図2(c)と同様))を形成した。この様にして得られたステンレス製の導電性基板の平坦部の表面粗さはRz=0.3μmであったのに対し、凹部の表面粗さはRz=4.2μmであった。導電性基板表面の面積に対する平坦部が占める割合は80%であった。導電性基板表面に凹部は0.64個/cm2存在していた。
次いで、ステンレス製の導電性基板表面に金属めっき法を用いて金属を析出させて、金属薄膜を形成した。具体的には、電解銅めっき液(硫酸銅(5水塩)80g/L、硫酸180g/L、キューブライトVF1(荏原ユージライト株式会社製、平滑剤及び光沢剤としての添加剤)20ml/Lの水溶液(25℃)中に、上記で得られたステンレス製の導電性基板を浸した。上記ステンレス製の導電性基板表面を陰極とし、含燐銅を陽極とし、これらの電極間に電流密度を25A/dm2として電圧をかけた。これにより、当該ステンレス製の導電性基板の平坦部に厚さ18μmの金属薄膜(銅薄膜)が形成された。一方、導電性基板の凹部には粒径3μm程度の粒状の銅が非連続的に析出した。
析出した金属薄膜(銅薄膜)をピンセットで引き剥がし、孔径200μm(直径)、貫通孔1つの面積31400μm2、貫通孔の数0.64個/cm2、開孔率20%、体積抵抗率1.72μΩ/cmの本発明の貫通孔を有する実施例1の金属薄膜(銅薄膜)を得た。
なお、金属薄膜を剥離した後のステンレス製の導電性基板を、40℃に加熱した100g/リットルの過硫酸アンモニウム溶液中に浸漬し、当該導電性基板の平坦部以外の凹部及び側部に残存する銅を溶解・除去した。
(比較例1)
厚さ20μmの圧延銅箔(貫通孔は有しない)を金属薄膜として得た。
(比較例2)
厚さ20μmの圧延銅箔をプレスで打ち抜いて孔径200μm、孔の中心同士の距離が400μmで開孔率がほぼ20%の比較例2による貫通孔を有する金属薄膜を作製した。
(比較例3)
厚さ20μmの圧延銅箔をレーザ孔あけ機(波長1064nm、出力45W、パルスレート50kHz)で孔径30μm、孔の中心同士の距離が60μmで開孔率がほぼ20%の比較例3による貫通孔を有する金属薄膜を作製した。なお、得られた金属薄膜は、表面に酸化膜が形成されており、赤く変色していた。
<電気二重層キャパシタの作製>
(実施例2)
[負極]
人造黒鉛(コークスを非酸化雰囲気下2500℃で焼成、比重2.24、平均粒径25μm、比表面積3.3 m2/g、放電容量360mAh)とバインダとしてのPVDFのN-メチルピロリドン溶液(株式会社クレハ製#9130)とを固形分で人工黒鉛(固形分):PVDF(固形分)=95:5の質量比で混合してスラリー混合物Aを得た。次いで、実施例1で得られた金属薄膜(厚さ18μmで)を幅3cm、長さ60cm切り取り、負極用の集電体とした。この負極集電体の両面に混合物Aを塗布し、大気中100℃で30分乾燥した後、ロールプレスで室温(25℃)で線圧300kg/cmでプレスした。その後120℃で24時間真空乾燥して負極を得た。本実施例による負極に付着した人工黒鉛の質量は、表裏合わせて8mg/cm2であった。
[正極]
水蒸気賦活法によって得られた比表面積2000m2/gの活性炭(静電容量25F/g);導電性カーボンブラック(電気化学工業株式会社製 HS100);及びバインダとしてのPVDFのN-メチルピロリドン溶液(株式会社クレハ製#1120)とを固形分で活性炭(固形分):導電性カーボンブラック(固形分):PVDF(固形分)=7:1:2の質量比で混合してスラリー混合物Bを得た。正極集電体としては、エキスパンド法で貫通孔を作製した厚さ30μmで幅2.6cm、長さ50cmのアルミニウム箔(開孔率50%、孔の大きさは500μm×300μmの菱形)を用いた。この正極集電体の両面に上記スラリー混合物Bを塗布し、大気中100℃で30分乾燥した後、ロールプレスで室温(25℃)で線圧300kg/cmでプレスした。その後150℃で24時間真空乾燥して活性炭を主体とする分極性正極を得た。この正極に付着した活性炭の質量は表裏合わせて10mg/cm2であった。
次いで、電気二重層キャパシタの製造手順を図8を参照しながら説明する。超音波溶接機を用い、正極の端部にアルミ製の正極リード30を取り付け、負極の端部にニッケル製の負極リード32を取り付けた。その後、正極、負極とともに、幅3.2cm、長さ65cmのセパレータ(日本高度紙株式会社製 セパレータTF4070)2枚を、[正極-セパレータ-負極-セパレータ]の順に交互に重ね合わせ、得られた積層体を最外周がセパレータになるようにして巻き取った。最後に巻止めテープ31(日東電工株式会社製 ポリイミド基材)で固定して図8に示す捲回体29を得た。尚、本実施例による捲回体29の正極リード30と負極リード32は、捲回体を挟んで反対方向に突き出ている。
得られた捲回体29の正極リード30に超音波溶接で蓋33を取り付けた。その後、この捲回体29をアルゴンガスで置換したグローブボックスに移して、370mAh/g充電可能な量のリチウム箔を予め圧着してある銅箔からなる負極を本実施例による捲回体29に巻きつけた。リチウム箔を圧着してある銅箔には、銅製のリードが超音波溶接で取り付けてあり、この銅製のリードと本実施例による捲回体の負極リード32を超音波溶接で電気的に接続した。尚、捲回体29の最外周にはセパレータを巻き付けた。
次に、ステンレス容器の内部下面に捲回体29の負極リード32を抵抗溶接で接続してから捲回体29を該ステンレス容器内に入れた。その後エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:3(体積比)にLiBF4を1mol/L溶解した電解液を準備し、この電解液でステンレス容器を満たした後、蓋33をかしめて封口した。得られたステンレス容器は、負極にリチウムイオンを吸蔵させるために40℃で10日間放置し、実施例2の電気二重層キャパシタを得た。上記実施例2で得られた本発明の電気二重層キャパシタの電圧は、3Vであった。このように、本発明によって、通常の電気二重層キャパシタの電圧(2.5〜2.8V)に比べて、高い電圧に耐え、かつ、容量の大きい電気二重層キャパシタが得られた。
[充放電サイクル試験]
(実施例2の電気二重層キャパシタ)
本実施例2で得た本発明の電気二重層キャパシタを充放電電流1Aで2V〜3.8Vの電圧範囲で充放電サイクルを行い、2000サイクル後の実施例2の電気二重層キャパシタの容量を測定したところ0.05whに維持されており、充放電サイクル特性が良好であることがわかった。
容量測定後の実施例2による電気二重層キャパシタは、電位を初期の3Vに戻してからグローブボックス内で解体したところ、解体した実施例2による電気二重層キャパシタ内部にはリチウム箔は残存せず、全て消失していた。
(比較例4の電気二重層キャパシタ)
負極集電体として比較例1の金属薄膜を用いた以外は、実施例2と同様にして比較例4の電気二重層キャパシタを得た。本比較例4による電気二重層キャパシタの電圧は2.3Vであり、上記実施例2の電気二重層キャパシタの電圧(3V)より低いものであった。従って、比較例4の電気二重層キャパシタは耐え得る電圧の高さ及び容量の面から実施例2の電気二重層キャパシタに劣っている。本比較例4による電気二重層キャパシタを充放電電流1Aで2〜3.8Vの電圧範囲で充放電サイクルを行ない、2000サイクル後の比較例4の電気二重層キャパシタの容量を測定したところ、全く容量を発現せず、充放電サイクル特性が悪化していることがわかった。
容量測定後の比較例4による電気二重層キャパシタをグローブボックス内で解体したところ、解体した比較例4による電気二重層キャパシタ内部にはリチウム箔が残存していた。
(比較例5の電気二重層キャパシタ)
負極集電体として比較例2の金属薄膜を用いた以外は、実施例2と同様にして比較例5の電気二重層キャパシタを得た。本比較例5による電気二重層キャパシタの電圧は0Vであった。
この比較例5の電気二重層キャパシタを解体したところ、負極集電体のバリ(孔の部分がめくれていること)が原因で正極と負極が短絡していた。
(比較例6の電気二重層キャパシタ)
負極集電体として比較例3の金属薄膜を用いた以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得ようと試みた。しかし、スラリー混合物を乾燥する際に、該混合物が負極集電体から剥れたため、電気二重層キャパシタを作製できなかった。これは、レーザー孔あけ機で得られた金属薄膜に生成した酸化膜が、該スラリー混合物と該金属薄膜を含む負極集電体との密着性を低下したためと考えられる。
本発明の導電性基板の一例を示す斜視図である。 本発明の導電性基板の断面図である。 本発明の金属薄膜の製造工程図である。 本発明の導電性基板に金属を析出した状態を示す概略図である。 本発明の金属薄膜の一例を示す斜視図である。 回転体形状の導電性基板を用いた本発明の金属薄膜の製造装置を示す概略図である。 フープ状の導電性基板を用いた本発明の金属薄膜の製造装置を示す概略図である。 本発明の金属薄膜を用いた電気二重層キャパシタの内部の捲回体を示す模式図である。
符号の説明
1:導電性基板
2:凹部
3:平坦部
4:導電性基板原板
5:マスク
6:金属薄膜
7:貫通孔
8:金属部
9:回転体
10:ドラム電極
13:めっき液
14:浴
15:ポンプ
16:配管
17,18:ロール
19:フープ状の導電性基板
20,25:搬送ロール
21:エッチング槽
22:水洗槽
23:めっき槽
24:防錆処理槽
26,27:ロール
28:金属薄膜
29:捲回体
30:正極リード
31:巻き止めテープ
32:負極リード
33:蓋

Claims (7)

  1. 複数の貫通孔を有する金属薄膜の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法。
    (1)表面に、前記複数の貫通孔に対応する複数の不連続な凹部と、該凹部以外の連続した平坦部とを有する導電性基板を準備する工程;
    (2)電解めっき法及び/又は無電解めっき法により、前記導電性基板の少なくとも前記平坦部に金属を析出させて、前記凹部に対応する複数の貫通孔を有する金属薄膜を形成する工程;及び
    (3)前記金属薄膜を前記導電性基板の表面から剥離する工程。
  2. 前記金属薄膜が、電気二重層キャパシタ用負極集電体である、請求項1に記載の金属薄膜の製造方法。
  3. 請求項1に記載の金属薄膜の製造方法によって製造されることを特徴とする、金属薄膜。
  4. 前記金属薄膜が、電気二重層キャパシタ用負極集電体である、請求項3に記載の金属薄膜。
  5. 正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に位置する電解質とを有する電気二重層キャパシタであって、前記負極が、負極集電体として請求項3に記載の金属薄膜を含むことを特徴とする、電気二重層キャパシタ。
  6. 前記金属薄膜が、ステンレス、銅、ニッケル及びチタンからなる群から選択される金属からなる、請求項5に記載の電気二重層キャパシタ。
  7. 前記正極が、請求項3に記載の金属薄膜を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の電気二重層キャパシタ。
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