JP2008210646A - 燃料電池システム - Google Patents

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幸一郎 宮田
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Abstract

【課題】燃料電池の暖機を促進するため、燃料電池への冷媒供給が制限されている状態において、燃料電池内の冷媒の温度を適切に把握しつつ、この把握した温度に基づいて、冷媒流量を制御可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック10と、冷媒循環系20と、可変オリフィス22と、可変オリフィス22を制御するECU50と、冷媒流路13の冷媒の温度を推定するECU50と、を備え、制限モードの継続時において、ECU50は、推定した冷媒の温度T1と、制限モードを解除すべき解除温度T3と、に基づいて、制限モードを解除するか否かを判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
近年、水素(燃料ガス)がアノードに、酸素(酸化剤ガス)がカソードに、それぞれ供給されることで、電気化学反応が生じ発電する固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等の燃料電池の開発が盛んである。
このような燃料電池は、好適に発電する温度(好適発電温度)を固有している。例えば、固体高分子型燃料電池の好適発電温度は85〜95℃であり、これは燃料電池を構成するMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)のアノード及びカソードに含まれる触媒(Pt等)の種類に主に依存する。したがって、燃料電池の発電を開始させる際、燃料電池の温度をその好適発電温度に速やかに昇温し、その後、冷媒を通流することで燃料電池を適宜に冷却し、好適発電温度に維持することが好ましい。
しかしながら、0℃未満等の低温環境下から燃料電池を起動(低温起動)する場合、燃料電池を通流する冷媒も低温である。そして、このような低温の冷媒が暖機中の燃料電池に連続的に通流すると、自己発熱による熱エネルギが冷媒に移動し、燃料電池の暖機に時間がかかってしまう虞がある。
そこで、燃料電池を低温起動する場合、例えば、燃料電池のI−V特性(電流−電圧特性)が所定のI−V特性以上となり、暖機が完了したと判定されるまで、燃料電池に供給される冷媒の流量を制限する技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開2005−116257号公報
しかしながら、燃料電池の発電効率が悪い場合等は、燃料電池から放出される熱量が多くなり、つまり、燃料電池の自己発熱量が高くなる場合があり、燃料電池のI−V特性が所定のI−V特性以上となって暖機が完了したと判定される前に、燃料電池が、その耐熱温度等に基づいて設定される所定温度以上に昇温する虞がある。
すなわち、従来は、燃料電池のI−V特性が所定のI−V特性以上に到達したか否かに基づいて、暖機が完了したか否かを判定し、この判定結果に基づいて、冷媒流量の制限を解除するか否かの制御を行っていたので、I−V特性が上昇せず、暖機完了前に、発電効率の低下によって燃料電池が放出する熱量が多くなった場合、燃料電池の温度と共に、冷媒の温度も上昇し、その結果、燃料電池内で冷媒が沸騰してしまう虞がある。
そこで、燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)に基づいて、冷媒流量の制限を解除するか否かを判定する方法が考えられる。
燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)を把握する一方法として、燃料電池から排出された冷媒の温度は、燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)と略等しいと考え、燃料電池から排出された冷媒の温度を検出する方法がある。
ところが、前記したように、冷媒の流量を制限している場合、特に、冷媒流量をゼロを含め極少流量に制限している場合、冷媒が燃料電池内に滞留、つまり、燃料電池からは極少流量でしか冷媒が排出されない。よって、排出された冷媒の温度に基づいて、燃料電池内の冷媒の温度を把握することは困難である。
その他、燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)を把握する一方法として、燃料電池のアノードから排出された水素オフガスの温度に基づいて、燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)を把握する方法がある。
しかしながら、近年の燃料電池システムは、水素の利用効率を高めるため、水素オフガスに含まれる未反応の水素を再利用するための水素循環系を備えている。このような水素循環系を備える燃料電池システムでは、発電停止中に生成した結露水や、循環する水素に同伴する水蒸気等の不純物を排出するため、パージが適宜に行われ、このようにパージされると水素オフガスの温度が変動する。したがって、このように変動する水素オフガスの温度に基づいて、燃料電池の温度(燃料電池内の冷媒の温度)を把握することは困難である。
そこで、本発明は、燃料電池の暖機を促進するため、燃料電池への冷媒供給が制限されている状態において、燃料電池内の冷媒の温度を適切に把握しつつ、この把握した温度に基づいて、冷媒流量を制御可能な燃料電池システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、反応ガスが供給されることで発電する燃料電池と、前記燃料電池の冷媒流路に冷媒を供給する冷媒供給手段と、前記燃料電池に供給される冷媒の流量を制限する冷媒流量制限手段と、前記冷媒流量制限手段を制御する制御手段と、前記燃料電池内の冷媒の温度を推定する冷媒温度推定手段と、を備え、前記冷媒流量制限手段が前記燃料電池に供給される冷媒の流量を制限している場合、前記制御手段は、前記冷媒温度推定手段が推定した前記燃料電池内の冷媒の温度と、冷媒の流量制限を解除すべき解除温度と、に基づいて、前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を解除するか否かを判定することを特徴とする燃料電池システムである。
このような燃料電池システムによれば、冷媒流量制限手段によって冷媒の流量がゼロを含めて制限され、燃料電池から排出される冷媒が極小流量である場合や、水素循環系を備え、循環する水素のパージが適宜に行われる場合でも、冷媒温度推定手段によって、燃料電池内の冷媒の温度を推定し、把握することができる。
そして、制御手段が、この推定された燃料電池内の冷媒の温度と、冷媒の流量制限を解除すべき解除温度と、に基づいて、冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を解除するか否かを判定し、この判定結果に基づいて、制御手段が冷媒流量制限手段を制御するので、冷媒流路に適切な流量で冷媒を供給することができる。
すなわち、解除すべき判定がされた場合、制御手段が冷媒流量制限手段を制御して、冷媒流量の制限を解除するので、燃料電池の冷媒流路には、解除された流量(後記する実施形態の通常流量)で冷媒が供給され、燃料電池の冷媒が沸騰することを防止しつつ、燃料電池が過昇温することを防止できる。
また、前記冷媒温度推定手段は、制限開始前の冷媒の温度と、制限開始後の前記燃料電池の発熱量とに基づいて、前記燃料電池内の冷媒の温度を推定することを特徴とする燃料電池システムであることが好ましい。
このような燃料電池システムによれば、冷媒温度推定手段が、制限開始前の冷媒の温度と、制限開始後の燃料電池の発熱量とに基づいて、燃料電池内の冷媒の温度を推定し、冷媒供給の制限の解除判定をすることができる。
また、前記冷媒流路から排出された冷媒の温度を検出する温度センサを備え、前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を解除した後、前記制御手段は、前記温度センサが検出した冷媒の温度と、前記解除温度よりも低く、冷媒流量の制限を開始すべき開始温度と、に基づいて、前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を開始するか否かを判定することを特徴とする燃料電池システムであることが好ましい。
このような燃料電池システムによれば、冷媒の流量の制限を解除した後、制御手段が、温度センサが検出した冷媒の温度と、解除温度よりも低く、冷媒流量の制限を開始すべき開始温度と、に基づいて、冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を開始するか否かを判定する。
これにより、冷媒の流量の制限を開始するべき判定がされた場合、制御手段が冷媒流量制限手段を制御して、冷媒流量の制限を開始するので、燃料電池の冷媒流路には、制限された流量で冷媒が供給される。その結果、燃料電池の暖機を促進することができる。
冷媒の流量の制限を開始すべき開始温度は、冷媒の流量の制限を解除すべき解除温度よりも低いので、冷媒の流量の制限の開始と、制限の解除との切替の頻度を少なくすることができる。よって、開始温度と解除温度との差は、なるべく大きくすることが好ましい。
本発明によれば、燃料電池の暖機を促進するため、燃料電池への冷媒供給が制限されている状態において、燃料電池内の冷媒の温度を適切に把握しつつ、この把握した温度に基づいて、冷媒流量を制御可能な燃料電池システムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照して説明する。
≪燃料電池システムの構成≫
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10を経由するように冷媒(例えばエチレングリコール)を循環させる冷媒循環系20と、燃料電池スタック10の発電電力を消費する電力消費系30と、IG41(イグニッション)と、これらを電子制御するECU50(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を主に備えている。
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400)の固体高分子型の単セルが積層して構成された燃料電池であり、複数の単セルは直列で接続されている。単セルは、MEAと、MEAを挟む2枚のセパレータと、を主に備えている。MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソードと、を主に備えている。
各セパレータには、各MEAの全面に水素又は空気を供給するための溝や、全単セルに水素(燃料ガス、反応ガス)、空気(酸化剤ガス、反応ガス)を導くための貫通孔等が形成されており、これら溝等がアノード流路11(燃料ガス流路、反応ガス流路)、カソード流路12(酸化剤ガス流路、反応ガス流路)として機能している。
そして、水素タンク(図示しない)等の水素供給源から、水素が、配管11a、アノード流路11を介して、各単セルのアノードに供給され、これに並行して、コンプレッサ(図示しない)等の空気供給手段から、酸素を含む空気が各単セルのカソードに供給されると、アノード、カソードに含まれる触媒(Pt等)上で電気化学反応(電極反応)が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、このようにOCVが発生した状態で、発電要求があり、後記するVCU32が制御され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
また、各セパレータには、発電により自己発熱する燃料電池スタック10が過昇温しないように、全単セルを適宜に冷却するための冷媒が流れる溝、貫通孔等が形成されている。そして、このように冷媒が流れる溝、貫通孔等によって、冷媒流路13が構成されている。したがって、冷媒流路13の容積、つまり、冷媒流路13を流れる冷媒の量は、単セルの積層数や、セパレータに形成された溝の深さ・幅等の燃料電池スタック10の仕様に依存する固定値であって、設計図や事前試験等によって求められる。
<冷媒循環系>
冷媒循環系20(冷媒供給手段)は、冷媒流路13に冷媒を供給すると共に、冷媒流路13を経由するように冷媒を循環させる系であって、冷媒ポンプ21と、可変オリフィス22と、サーモスタット23と、ラジエータ24(放熱器)と、温度センサ25とを主に備えている。
冷媒ポンプ21の出口は、下流に向かって順に、配管21a、可変オリフィス22、配管22aを介して、冷媒流路13の入口に接続されている。冷媒流路13の出口は、下流に向かって順に、配管23a、サーモスタット23、配管23bを介して、冷媒ポンプ21の入口に接続されている。そして、冷媒ポンプ21が作動すれば、冷媒が、冷媒ポンプ21、可変オリフィス22、冷媒流路13等を経由して、循環するようになっている。
可変オリフィス22は、冷媒ポンプ21から冷媒流路13に送られる冷媒の流路断面積を変化させることで、この冷媒に付与される圧力損失を調整する圧力損失調整手段である。本実施形態において、可変オリフィス22が冷媒に付与する圧力損失は、ECU50によって、通常モードと制限モードに対応して、2段階で制御されるようになっており、冷媒流量制限手段を構成している。
なお、通常モードは、冷媒流路13に供給される冷媒の流量を制限しないモードであり、制限モードは、冷媒の流量を制限するモードである。また、本実施形態において、冷媒ポンプ21は、一定の回転速度で作動する設定となっている。
また、サーモスタット23は、配管24a、ラジエータ24、配管24bを順に介して、配管23bの途中に接続されている。そして、サーモスタット23に導入される冷媒の温度が所定温度(例えば30℃)以上である場合、サーモスタット23が開き、冷媒がラジエータ24に供給され、ラジエータ24で冷却されるようになっている。一方、冷媒の温度が所定温度未満の場合、サーモスタット23は閉じ、冷媒はラジエータ24を迂回するようになっている。
温度センサ25は、配管23aの冷媒流路13寄りに配置されており、冷媒流路13から排出された直後の冷媒の温度を検出し、ECU50に出力するようになっている。
そして、ECU50は、可変オリフィス22が通常モードで制御されており、冷媒流路13に通常流量で冷媒が供給され、冷媒流路13から通常流量で冷媒が排出されている場合、温度センサ25が検出した温度を、燃料電池スタック10内の冷媒流路13における冷媒の温度T1として、採用するように設定されている。すなわち、冷媒が通常モードで冷媒流路13に供給されている場合、ECU50は、温度センサ25を介して、冷媒流路13の冷媒の温度T1を検出するようになっている。
一方、可変オリフィス22が制限モードで制御されており、冷媒流路13に供給されている冷媒の流量が制限されている場合、冷媒流路13から排出される冷媒の流量は少量であるので、ECU50は後記する方法によって、冷媒流路13における冷媒の温度T1を推定するようになっている。
<電力消費系>
電力消費系30は、燃料電池スタック10の発電電力(出力)を制御すると共に、この発電電力を消費する系であり、燃料電池自動車を走行させる電動式の走行モータ31と、VCU32(Voltage Control Unit)と、コンタクタ33(スイッチ)と、出力検出器34とを主に備えている。そして、走行モータ31は、VCU32、コンタクタ33、出力検出器34を順に介して、燃料電池スタック10の出力端子(図示しない)に接続されている。
VCU32は、ECU50の指令に従って燃料電池スタック10の出力(発電電力)を制御するユニットであり、DC−DCチョッパ等を備えている。すなわち、OCVが発生した状態で、ECU50がコンタクタ33をONし、発電要求に対応してVCU32が適宜に制御されると、燃料電池スタック10から電流が取り出され、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
出力検出器34は、燃料電池スタック10全体の出力電流I1及び出力電圧V1を検出する機器であり、電流計及び電圧計を備えている。そして、出力検出器34はECU50と接続されており、ECU50は燃料電池スタック10の現在の出力電流I1及び出力電圧V1を検知するようになっている。
<IG>
IG41は、燃料電池自動車及び燃料電池システム1の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG41はECU50と接続されており、ECU50はIG41のON/OFF信号を検知するようになっている。
<ECU>
ECU50は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されている。
そして、ECU50は、IG41のON信号を検知すると、コンタクタ33をONし、VCU32を適宜に制御して燃料電池スタック10の発電を開始するように構成されている。
また、ECU50は、通常モード又は制限モードに対応して、可変オリフィス22を制御する機能を備えている。
さらに、ECU50(冷媒温度推定手段)は、制限モード時において、後で説明するように、制限モード開始直前に温度センサ25で実際に検出された冷媒の温度T1と、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1とに基づいて、現在の冷媒流路13内の冷媒の温度T1を推定する機能を備えている。
さらにまた、ECU50は、通常モード時において、温度センサ25が検出した冷媒の温度T1と、制限モードを開始させるべき開始温度T2とに基づいて、制限モードを開始するか否か、つまり、通常モードから制限モードに切り替えるか否かを判定する機能を備えている。
また、ECU50は、制限モード時において、後記するようにして推定した冷媒流路13の冷媒の温度T1と、制限モードを解除するべき解除温度T3とに基づいて、制限モードを解除するか否か、つまり、制限モードから通常モードに切り替えるか否かを判定する機能を備えている。
開始温度T2は、制限モードを開始させるべき温度であって、解除温度T3よりも低く設定された温度であり、冷媒の温度T1がこの温度以下になると、燃料電池スタック10が過冷却状態になり、その発電性能を確保できない状態になる虞がある温度である。よって、開始温度T2は、例えば、単セルを構成するアノード及びカソードに含まれるPt等の触媒が、良好な活性を発揮する温度範囲の下限温度に依存し、事前試験等によって求められ、例えば、30〜35℃に設定される。
また、低温起動時には、アノード等に水分が凍結した氷が残留しており、MEAの有効発電面積が小さくなっているので、制限モードを開始させ暖機を促進する開始温度T2は、当該氷を溶解することができる温度に設定される。
解除温度T3とは、制限モードを解除させるべき温度であって、冷媒の温度T1がこの温度以上になると、燃料電池スタック10が過加熱状態になり、(1)冷媒流路13の冷媒が沸騰する虞のある温度や、(2)MEAを構成する電解質膜がその耐熱温度以上となり劣化する虞のある温度や、(3)前記触媒が良好な活性を発揮する温度範囲の上限温度に依存し、事前試験等によって求められる。
なお、燃料電池スタック10の仕様によっては、冷媒の温度T1が前記した(1)〜(3)の温度に到達する前に、燃料電池スタック10のI−V特性が著しく低下する場合もあるので、この場合は、このI−V特性が著しく低下する温度を、解除温度T3としてもよい。
また、冷媒の温度T1と、開始温度T2又は解除温度T3とに基づいて、通常モードと制限モードとの切替判定(モード移行判定)を行うので、切り替え頻度を少なくするため、開始温度T2と解除温度T3とは、なるべく大きな温度差を設定することが好ましい。
その他、ECU50は、後記するフラグAを参照して、現在の冷媒の供給モードを判定する冷媒供給モード判定機能と、IG41のON後に燃料電池スタック10を暖機する必要があるか否かを判定する暖機判定機能と、暖機が完了したか否かを判定する暖機完了判定機能とを備えている。
また、ECU50は、暖機は必要であると判定した場合、燃料電池スタック10の暖機を促進するため、燃料電池システム1を低温起動させる機能と、暖機は必要でないと判定した場合、燃料電池システム1を通常起動させる機能と、を備えている。
≪燃料電池システムの動作≫
次に、燃料電池システム1の動作を、ECU50に設定されたプログラム(フローチャート)の流れと共に説明する。IG41がONされると、このON信号を検知したECU50は、各種処理を実行し、その結果として、図2に示す基本制御に係るフローチャートがスタートし、これに従って燃料電池システム1が起動する。なお、初期状態においてフラグAは0に設定されている。
<基本フローチャート>
ステップS101において、ECU50は、燃料電池スタック10を暖機する必要があるか否かを判定する。暖機は必要であると判定した場合(S101・Yes)、ECU50の処理はステップS102に進む。一方、暖機は必要でないと判定した場合(S101・No)、ECU50の処理はステップS103に進む。
なお、暖機の必要有無に係る具体的方法については特に限定はなく、例えば、IG41のON時の温度(温度センサ25が検出する冷媒の温度T1、外気温度等)が、所定温度(例えば0℃)未満の場合、燃料電池スタック10内が凍結している虞があるので、暖機は必要であると判定する方法を採用できる。その他、燃料電池自動車(燃料電池システム1)の停止中の温度を継続して記憶する構成であった場合、IG41のON時の温度が所定温度以上であっても、停止中に所定温度未満を経験していたとき、暖機は必要であると判定する方法を採用してもよい。
ステップS102において、ECU50は、燃料電池スタック10内が凍結しておらず、暖機が必要でないので、これに対応した通常流量の水素及び空気を燃料電池スタック10に供給して、燃料電池システム1を通常に起動する。そして、所定時間の間にて、通常起動した後、ECU50の処理はエンドに進み、起動時の制御を終了する。そして、燃料電池システム1は通常(定常)運転に移行する。
ステップS103において、ECU50は、燃料電池システム1を、低温起動によっての起動を開始する。どのような方法で低温起動するかについては特に限定はなく、例えば、(1)燃料電池スタック10に通常起動時よりも多量の水素及び空気を供給すると共に、燃料電池スタック10の出力電力が高まるようにVCU32を制御し、燃料電池スタック10の自己発熱量を高める方法を採用できる。その他、(2)燃料電池スタック10の出力電力は通常起動時と同じ設定にした上で、燃料電池スタック10に供給する水素及び空気を減少させることで、自己発熱量を高める方法も採用できる。
ステップS104において、ECU50は、可変オリフィス22を制御し、流量を制限しない通常モードで冷媒を冷媒流路13に供給する。
ステップS105において、ECU50は、フラグAを参照して、冷媒流路13への冷媒の供給モードが通常モードであるか否かを判定する。
フラグAが0であり、通常モードであると判定した場合(S105・Yes)、ECU50の処理はステップS106に進む。一方、フラグAが1であり、通常モードでないと判定した場合(S105・No)、ECU50の処理はステップS200に進む。
ステップS106において、ECU50は、温度センサ25によって、燃料電池スタック10内の冷媒流路13における冷媒の温度T1を検出する。この場合、通常モードで冷媒流路13に冷媒が供給されているので、冷媒流路13に冷媒が滞留することはなく、冷媒流路13から冷媒が通常流量で排出されている。
なお、このステップS106で検出した冷媒の温度T1は、一時的にECU50に記憶される。そして、この後、ステップS107の判定がYesとなり、冷媒流量を制限する制限モード(S111)に移行し、制限モードで動作している間、ステップS106で検出された冷媒の温度T1は、制限モードに移行する直前の温度として取り扱われる。
ステップS107において、ECU50は、ステップS106で検出した冷媒の温度T1が、制限モードを開始するべき開始温度T2以下であるか否かを判定する。
冷媒の温度T1が開始温度T2以下であると判定した場合(S107・Yes)、ECU50の処理はステップS111に進む。一方、冷媒の温度T1が開始温度T2以下でないと判定した場合(S107・No)、ステップS108に進む。
ステップS108において、ECU50は、通常モードで、冷媒流路13に冷媒を供給する。
なお、ステップS107の判定がNoとなり、このステップS108に進んだ場合、通常モードが継続され、フラグAは0で維持される。一方、後記するステップS110の判定がYesとなり、このステップS108に進んだ場合、制限モードから通常モードに切り替わり、フラグAはリセットされ、0になる。
その後、ECU50の処理は、ステップS109に進む。
ステップS109において、ECU50は、暖機が完了したか否かを判定する。暖機は完了したと判定した場合(S109・Yes)、ECU50の処理はエンドに進み、起動時の制御を終了する。そして、燃料電池システム1は通常運転に移行する。一方、暖機は完了していないと判定した場合(S109・No)、ECU50の処理はステップS105に進む。
なお、暖機完了判定の具体的方法は特に限定はなく、例えば、燃料電池スタック10に供給している水素及び空気の流量、圧力に対応して、燃料電池スタック10の出力検出器34を介して検知されるI−V特性が実際に出力されているか否かで判定することができる。すなわち、実際に供給している水素の流量等に対応したI−V特性が得られていない場合、燃料電池スタック10内は未だ凍結している虞があるとして、暖機は完了していないと判定することができる。
次に、ステップS105の判定がNoの場合に進むステップS200を説明する。
ステップS200において、ECU50は、冷媒流路13の冷媒の温度T1を推定する。具体的推定方法については、後で説明する。
ステップS110において、ECU50は、ステップS200で推定した冷媒の温度T1が、制限モードを解除(終了)するべき解除温度T3以上であるか否かを判定する。
冷媒の温度T1が解除温度T3以上であると判定した場合(S110・Yes)、ECU50の処理はステップS108に進む。一方、冷媒の温度T1が解除温度T3以上でないと判定した場合(S110・No)、ECU50の処理はステップS111に進む。
ステップS111において、ECU50は、冷媒流量を制限する制限モードで、冷媒流路13に冷媒を供給する。
なお、ステップS110の判定がNoとなり、このステップS111に進んだ場合、制限モードが継続され、フラグAは1で維持される。一方、前記したステップS107の判定がYesとなり、このステップS111に進んだ場合、通常モードから制限モードに切り替わり、フラグAは1になる。
その後、ECU50の処理は、ステップS109に進む。
<冷媒の温度T1の推定処理S200>
次に、図3を参照して、制限モード時における、燃料電池スタック10内の冷媒の温度T1の推定処理を説明する。
ステップS300において、ECU50は、制限モード継続間、つまり、制限モードの開始から現在までの間における燃料電池スタック10の発熱量Q1(cal)を算出する。具体的算出方法は、後で説明する。
ステップS201において、ECU50は、制限モード継続間において、冷媒流路13を通流した冷媒の累積量(L)を算出する。この冷媒の累積量(L)は、式(1)に示すように、冷媒流路13の容積(L)と、制限モード時において冷媒流路13に供給(又は排出)された冷媒の量(L)との和によって与えられる。
冷媒流路13の容積(L)は、燃料電池スタック10を構成する単セルの数や、各単セルを構成するセパレータにおいて冷媒流路13の一部を構成する溝の形状等に関係し、燃料電池スタック10の仕様に基づいて定められる固定値である。
冷媒の累積量(L)=冷媒流路13の容積(L)+供給(排出)された冷媒の累積量(L) …(1)
冷媒流路13に供給(排出)された冷媒の量(L)は、式(2)に示すように、制限モード時に冷媒流路13に供給(排出)される冷媒の流量(L/s)と、制限開始から現在まで制限モードが継続している時間(s)と、の積で与えられる。
供給(排出)された冷媒の累積量(L)=制限モード時の冷媒の流量(L/s)×制限モードの継続時間(s) …(2)
制限モード時に冷媒流路13に供給等される冷媒の流量(L/s)は、制限モード時における可変オリフィス22の絞りの程度、冷媒ポンプ21の回転速度に関係し、事前試験等により求められ、ECU50に記憶されている。そして、制限モード時の冷媒の流量(L/s)は、通常モード時に対して小さくなる。なお、制限モード時に冷媒の流通を停止する場合、制限モード時の冷媒の流量は0(L/s)となる。
また、制限モードの時間(s)は、例えば、ECU50に内蔵されるクロックによって計測される。
ステップS202において、ECU50は、その内部に記憶された燃料電池スタック10の熱マスを読み込む。燃料電池スタック10の熱マスとは、発電により自己発熱する燃料電池スタック10によって、その内部を流れる冷媒が加熱される程度である。すなわち、燃料電池スタック10の熱マスは、式(3)に示すように、燃料電池スタック自体の熱マス(熱伝導率)と、冷媒の熱マス(比熱)と、の積によって与えられ、燃料電池スタック10の仕様と冷媒の種類とに関係する固定値であり、事前試験等によって求められ、ECU50に記憶されている。
燃料電池スタックの熱マス=燃料電池スタック自体の熱マス(熱伝導率)×冷媒の熱マス(比熱) …(3)
なお、燃料電池スタック10自体の熱マスは、燃料電池スタック10の仕様、つまり、これを構成するセパレータの材質等に関係し、事前試験等により求められる。冷媒の熱マス(比熱)は、冷媒の種類に関係する固有値であり、事前試験等により求められる。
ステップS203において、ECU50は、ステップS300で算出した燃料電池スタック10の発熱量と、ステップS201で算出した制限モード継続間における冷媒の累積量と、ステップS202で読み込んだ燃料電池スタック10の熱マスと、に基づいて、制限モード継続間における冷媒の温度の変化量ΔTを推定する。
なお、冷媒の温度の変化量ΔTを推定する際、サーモスタット23の開/閉、つまり、ラジエータ24による放熱の有無を考慮して、補正してもよい。
ステップS204において、ECU50は、制限モードの開始直前に、ステップS106において実際に温度センサ25で検出され、その内部に一時的に記憶されている冷媒の温度T1を読み込む。
ステップS205において、ECU50は、燃料電池スタック10の冷媒流路13における冷媒の現在の冷媒の温度T1を、式(4)に示すように、ステップS204で読み込んだ制限モード開始直前の冷媒の温度T1と、ステップS203で推定した制限モード継続間における冷媒温度の変化量ΔTと、に基づいて推定する。
現在の冷媒の温度T1=制限モード開始直前の冷媒の温度T1+制限モード継続間の冷媒温度変化量ΔT …(4)
その後、ECU50の処理は、エンドを経由して、図2のステップS110に進む。
<燃料電池スタックの発熱量の算出処理S300>
次に、図4、図5を参照して、制限モード継続間における、燃料電池スタック10の発熱量Q1の一算出処理を説明する。
ここでは簡単に説明するため、制限モード継続間において、燃料電池スタック10の実際の出力電流I1、実際の出力電圧V1が一定であると仮定する。なお、燃料電池スタック10の実際の出力電圧V1は、分極により電圧を損失し、熱の発生を伴うため、理論起電圧V0よりも低くなる(図5、矢印A1参照)。また、燃料電池スタック10の理論起電圧V0は、直列に接続した単セル数をnとした場合、式(11)で与えられる。
燃料電池スタックの理論起電圧V0=単セルの理論起電圧(1.23V)×セル数n …(11)
そして、ステップS301に示すように、理論起電圧V0が実際の出力電圧V1に低下したことによる、燃料電池スタック10の損失出力W2は、式(12)によって与えられ、さらに式(13)に展開される。
燃料電池スタック10の損失出力W2=理論出力W0−実際の出力W1 …(12)
燃料電池スタック10の損失出力W2=実際の出力電流I1×理論起電圧V0−実際の出力電流I1×実際の出力電圧V1 …(13)
なお、この損失出力W2は、分極により電圧を損失したことに起因するものであるから、損失出力W2に対応して熱エネルギが発生しており、この熱エネルギによって燃料電池スタック10が自己発熱する。
そして、ステップS302に示すように、損失出力W2(W(J/s))に基づいて、燃料電池スタック10の単位時間当たりの発熱量Q2(cal/s)が算出される(式(14)参照)。なお、ここでは、制限モード継続間において、出力電流I1、出力電圧V1が一定であるので、燃料電池スタック10の単位時間当たりの発熱量Q2は一定となる。
燃料電池スタック10の単位時間当たりの発熱量Q2(cal/s)=損失出力W2×0.2388 …(14)
次いで、ステップS303に示すように、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1は、単位時間当たりの発熱量Q2(cal/s)と、制限モード継続時間(s)との積によって与えられる(式(15)参照)。
制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1(cal)=Q2(cal/s)×制限モードの継続時間(s) …(15)
したがって、実際には、ECU50は、出力電流I1、出力電圧V1に基づいて、損失出力W2、次いで、単位時間当たりの発熱量Q2を算出し、単位時間当たりの発熱量Q2を制限モード継続時間で積分すれば、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1を算出することができる。
このように発熱量Q1を算出した後、ECU50の処理は、エンドを経由して、図3のステップS201に進む。
≪燃料電池システムの効果≫
このような本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、主に以下の効果を得ることができる。
燃料電池スタック10を暖機するため、燃料電池システム1が低温起動している場合であって、冷媒流路13への冷媒供給を制限する制限モードに入っているとき、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1と、制限モード開始直前の冷媒の温度T1とに基づいて、現在の冷媒の温度T1を推定することができる。
そして、推定された冷媒の温度T1と、解除温度T3とに基づいて、冷媒供給の制限を解除するか否か、つまり、制限モードを継続するか否か、言い換えると、通常モードに移行するか否かを判定するので、冷媒の沸騰を防止して燃料電池スタック10の劣化を防止しつつ、冷媒流量を制限し燃料電池スタック10の暖機を促進できる。
制限モードが解除され、通常モードに移行した後、冷媒の温度T1と、解除温度T3よりも低く設定された開始温度T2と、に基づいて、通常モードを終了し、再び制限モードに移行するか否かを判定するので、通常モード時に通常流量で供給される冷媒によって、燃料電池スタック10が過冷却されることを防止できる。
また、開始温度T2は、解除温度T3よりも低く設定されており、つまり、開始温度T2と解除温度T3とは所定の温度差が設定されているので、通常モードと制限モードとの切り替え頻度を少なくすることができる。
≪燃料電池システムの一動作例≫
次に、図6を参照して、燃料電池システム1の一動作例を説明する。なお、ここではIG41のON後、低温起動に入る場合を例示する。
IG41がONされると、燃料電池スタック10に水素及び空気が供給された後、コンタクタ33及びVCU32が制御され、燃料電池スタック10が発電する。これに並行して、可変オリフィス22が通常モードに対応する開度のまま、冷媒ポンプ21が作動し、これにより、冷媒流路13に通常モードで冷媒が供給される。
その後、冷媒の温度T1が開始温度T2以下であるので(S107・Yes)、制限モードに入る(S111)。制限モードで冷媒が供給されると、燃料電池スタック10の冷媒の温度T1は、燃料電池スタック10の発熱量等に基づいて推定され(S200)、推定された冷媒の温度T1は上昇する。
その後、推定された冷媒の温度T1が解除温度T3に到達すると(S110・Yes)、通常モードに切り替わり(S108)、冷媒の温度T1が下がる。そして、冷媒の温度T1が開始温度T2に下がると(S107・Yes)、制限モードに切り替わり(S111)、冷媒の温度T1の推定が開始される(S200)。
その後、推定された冷媒の温度T1が開始温度T2に到達すると(S110・Yes)、通常モードに切り替わる(S108)。そして、通常モードでの冷媒の供給中に、燃料電池スタック10の暖機が完了すると(S109・Yes)、通常運転に移行する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することができる。
前記した実施形態では、可変オリフィス22によって冷媒流路13に供給される冷媒に付与する圧力損失を切り替えることで、通常モード/制限モードを切り替える構成を例示したが、その他に例えば、可変オリフィス22に代えて、バタフライ弁を使用し、バタフライ弁の開度を制御することで、通常モード/制限モードを切り替える構成としてもよい。
前記した実施形態では、冷媒流路13に供給される冷媒の流量を制限する冷媒流量制限手段が可変オリフィス22を備えて構成される場合を例示したが、図7に示すように、冷媒流量制限手段として三方弁26等を備える燃料電池システム2であってもよい。
燃料電池システム2は、可変オリフィス22に代えて、三方弁26を備えている。そして、三方弁26は、配管22aを介して冷媒流路13と、配管26aを介して冷媒流路13の下流の配管23aと、に接続されている。つまり、配管26aは冷媒流路13をバイパス(迂回)するバイパスラインとして機能している。
なお、配管26aは、温度センサ25よりの下流側の配管23aに接続されている。これにより、温度センサ25が、冷媒流路13から排出された冷媒の温度を主に検出するようになっている。
三方弁26は、ECU50によって、その開度が制御され、冷媒ポンプ21からの冷媒を、通常モード/制限モードに対応して、流量0(L/s)を含めて、配管22a(冷媒流路13)と配管26aとに振り分けて供給可能となっている。なお、三方弁26に代えて、配管22a、配管26aに開閉弁をそれぞれ設け、通常モード/制限モードに応じて、これら開閉弁の開度を制御する構成としてもよい。
その他、通常モード/制限モードに対応して、冷媒ポンプ21の回転速度を制御する構成としてもよい。すなわち、通常モードから制限モードに切り替わった場合、冷媒ポンプ21の回転速度を低下、又は冷媒ポンプ21を停止させる構成であってもよい。
前記した実施形態では、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1を、燃料電池スタック10の損失出力W2に基づいて算出する場合を例示したが、以下のようにして算出してもよい。
まず、固体高分子型の燃料電池スタック10のアノードの電極反応は式(21)、カソードの電極反応は式(22)及び式(23)、電池反応(全反応)は式(24)で与えられ、式(24)における熱量Q24(cal/mol)は、式(25)で与えられる。なお、Q21〜Q24は燃料電池スタック10の仕様に基づいて定められる固定値である。
アノード: H=2H+2e+Q21 …(21)
カソード: O+4e=2O2−+Q22 …(22)
: 4H+02−=2HO+Q23 …(23)
電池反応: 2H+O=2HO+Q24 …(24)
Q24=Q21+Q22+Q23 …(25)
したがって、式(24)より、燃料電池スタック10において、水素が1mol消費された場合の発熱量Q(cal/mol)が算出される。
また、燃料電池スタック10の出力電流をI1、これを構成する単セルの数をn(セル)とすると、出力電流I1の場合に燃料電池スタック10で消費される水素のモル数M1(mol)は、式(26)で与えられる。
消費された水素M1(mol)=(出力電流I1(A)/3600(s))×0.418×セル数n×(2(mol)/22.4(L/mol)) …(26)
そうすると、式(24)、式(26)と、燃料電池スタック10の出力電流I1とに基づいて、燃料電池スタック10の単位時間当たりの発熱量Q2、つまり、式(24)のQ24を算出することができる。
したがって、このようにして算出された発熱量Q2を、制限モードの継続時間で積分すれば、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1を算出することができる。
前記した実施形態では、制限モード時における冷媒流路13の冷媒の温度T1を、制限モード開始直前に検出された冷媒の温度T1と、制限モード継続間における燃料電池スタック10の発熱量Q1と、に基づいて算出し、推定する場合を例示したが、その他に例えば、ECU50(冷媒温度推定手段)が、燃料電池スタック10の発電電力と単位時間当たりの発熱量とが予め関連付けられたマップ参照して、発電電力(発電量)に基づいて単位時間当たりの発熱量(ΔT/s)を累計し、累計された単位時間当たりの発熱量と制限モード継続時間とを乗算することで、制限モード継続間における燃料電池スタック10の総発熱量Q1を算出する。そして、この総発熱量Q1と制限モード開始直前の冷媒の温度T1とに基づいて、制限モード時における現在の冷媒の温度Tを算出し、推定することができる。このような方法によれば、制限モード時における運転状態(燃料電池スタック10の発熱量、発電電力等)が変化しても、現在の冷媒の温度Tを算出できる。なお、燃料電池スタック10の発電電力が大きくなると、その発熱量は大きくなる。
また、制限モード時における運転状態(燃料電池スタック10の発熱量、発電電力等)が一定ならば、制限モード継続時間と冷媒の温度T1の変化量ΔTとが予め関連付けられたマップを参照して、実際の制限モード継続時間から変化量ΔTを算出し、この温度の変化量ΔTと、制限モード開始直前の冷媒の温度T1と、に基づいて、制限モード時における現在の冷媒の温度Tを算出し、推定することができる。
前記した実施形態では、燃料電池システム1が燃料電池自動車に搭載された場合を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶に搭載された燃料電池システムでもよい。また、家庭用の据え置き型の燃料電池システムや、給湯システムに組み込まれた燃料電池システムに、本発明を適用してもよい。
前記した実施形態では、温度センサ25によって、冷媒流路13の冷媒の温度T1を検出する場合を例示したが、配管11b及び/又は配管12bに温度センサを設け、アノードオフガス及び/又はカソードオフガスの温度に基づいて、冷媒流路13の冷媒の温度T1を間接的に推定し、検出する構成としてもよい。
なお、水素循環系を備える燃料電池システムの場合、循環する水素のパージに連動するアノードオフガスの温度の変化に起因する、冷媒の温度T1の誤推定を防止するため、パージされていない場合におけるアノードオフガスの温度に基づいて推定することが好ましい。
本実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 図2に示す冷媒の温度T1の推定処理を示すフローチャートである。 図3に示す制限モード開始時からの燃料電池スタックの発熱量を算出する処理を示すフローチャートである。 理論出力と実際の出力とに基づいて、燃料電池スタックの発熱量を求めることを示す概念図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一動作例を示すタイムチャートである。 変形例に係る燃料電池システムの構成図である。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック
13 冷媒流路
20 冷媒循環系(冷媒供給手段)
21 冷媒ポンプ
22 可変オリフィス(冷媒流量制限手段)
34 出力検出器(出力検出手段)
50 ECU(制御手段、冷媒温度推定手段)
T1 冷媒の温度
T2 制限モードの開始温度
T3 制限モードの解除温度
I1 燃料電池スタックの実際の出力電流
V0 燃料電池スタックの理論起電圧
V1 燃料電池スタックの実際の出力電圧
W0 燃料電池スタックの理論出力
W1 燃料電池スタックの実際の出力
W2 燃料電池スタックの損失出力

Claims (3)

  1. 反応ガスが供給されることで発電する燃料電池と、
    前記燃料電池の冷媒流路に冷媒を供給する冷媒供給手段と、
    前記燃料電池に供給される冷媒の流量を制限する冷媒流量制限手段と、
    前記冷媒流量制限手段を制御する制御手段と、
    前記燃料電池内の冷媒の温度を推定する冷媒温度推定手段と、
    を備え、
    前記冷媒流量制限手段が前記燃料電池に供給される冷媒の流量を制限している場合、前記制御手段は、前記冷媒温度推定手段が推定した前記燃料電池内の冷媒の温度と、冷媒の流量制限を解除すべき解除温度と、に基づいて、前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を解除するか否かを判定する
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記冷媒温度推定手段は、制限開始前の冷媒の温度と、制限開始後の前記燃料電池の発熱量とに基づいて、前記燃料電池内の冷媒の温度を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記冷媒流路から排出された冷媒の温度を検出する温度センサを備え、
    前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を解除した後、前記制御手段は、前記温度センサが検出した冷媒の温度と、前記解除温度よりも低く、冷媒流量の制限を開始すべき開始温度と、に基づいて、前記冷媒流量制限手段による冷媒の流量の制限を開始するか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
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