JP2008209485A - プラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層工程数を減らして生産効率に優れ、少ない積層数で複合フィルタとしての可撓性に優れ材料費も低減でき、且つ、耐久性が高く分光特性変化が起こり難い、電磁波遮蔽シートと光学フィルタとの積層体から成るディスプレイ用複合フィルタ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルの前面に配置されたガラス板に直接貼付されるための複合フィルタであって、(A)第一の透明樹脂基材シート11の一方の面に1層以上の光学機能層を有する光学フィルタ10、(B)特定の複合タングステン酸化物微粒子及び樹脂を含有する近赤外線吸収層20、(C)第二の透明樹脂基材シート31の一方の面に導電性メッシュ層34を備えた電磁波遮蔽シート30、並びに、(D)粘着剤層40をこの順に有するプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタである。
【選択図】図1

Description

本発明は、生産効率が高く、耐久性が高い、プラズマディスプレイから発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽用シートと光学フィルタとを含んでなる複合フィルタ及びその製造方法に関するものである。
近年、電気電子機器の機能高度化と増加利用に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などのディスプレイでも電磁波が発生する。プラズマディスプレイパネルは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると電磁波、及び近赤外線が大量に発生する。
通常、電磁波を遮蔽するためにプラズマディスプレイパネルの前面に、電磁波遮蔽用シートが前面板として設けられる。ディスプレイ前面から発生する電磁波の遮蔽性は、30MHz〜1GHzにおいて30dB以上の機能が必要である。さらに、ディスプレイの表示画像を視認しやすくするため、電磁波遮蔽用の金属メッシュ(ライン部)部分が見えにくく、また、メッシュパターン精度がよくメッシュの乱れがなく、適度な透明性(可視光透過性)を有することが必要である。
また、プラズマディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線も、他のVTRなどの機器を誤作動させるので、遮蔽する必要がある。更に、プラズマディスプレイから放射する波長590nm付近の光(ネオン光)を遮断したり、画像の色相調整を行い色再現性を向上させる機能、更には外光の不要な反射を抑える機能等が求められる。
上記機能を実現するために、上記電磁波遮蔽用シートと、近赤外線吸収フィルタ、反射防止フィルタ等の複数の光学フィルタとを積層して、画像表示装置から発生する不要な電磁波及び特定波長の光を遮蔽し、且つ画像表示装置に必要とされる各種機能を付与することができる板状の複合フィルタをプラズマディスプレイパネルの前面板として用いることが検討されている(特許文献1)。このような複合フィルタは、通常、硝子基板(プラズマディスプレイパネル自体の前面保護板用硝子基板、或いはこれと別個に設けるフィルタ用の硝子基板)の表裏両面に、透明樹脂基材を有するフィルタが多数貼り合わされて製造されるため(特許文献1の図5、図7、図8参照)、積層数や積層工程数が多く、裁断工程も硝子基板表面用のフィルタの裁断工程と硝子基板裏面用のフィルタの裁断工程との2工程必要で、生産効率上問題があった。また、フィルタ硝子基板の硝子を基板とする為、重量、体積ともに嵩み、更には破損し易いという問題も有った。
また、該複合フィルタの構成部材のうちの、メッシュ状の金属層を有する電磁波遮蔽用シートの製造方法としては、透明プラスチック基材に接着剤層を介して金属箔を貼り合わせた後に、金属箔をケミカルエッチングプロセス(フォトリソグラフィー工程)によって幾何学図形を形成する方法が知られている。しかしながら、この方法によれば、メッシュ開口部の接着剤の表面には、金属箔の粗さが転写され凹凸状に残っているために、該粗さで光が乱反射して、メッシュ開口部の透明性が悪いという欠点がある。従って、従来、メッシュ開口部の接着剤表面の粗さを埋めるため、及び/又は気泡の混入を防止して透明化するため、透明化工程としてメッシュ開口部を予め平坦化樹脂と称される透明樹脂で充填して平坦化層を設ける工程の追加が必要であった(特許文献1の図7、図9参照)。
また、上記のような複合フィルタにおいては、電磁波遮蔽シートの金属メッシュを接地する必要が有る。そのために通常、導電性メッシュ層は、その周縁部に囲むように設けられた額縁状の開口部を形成し無い導電性層を有し、この額縁状の導電性層から接地することが一般的である。しかしながら、上記のような従来の通常の複合フィルタにおいては、金属メッシュ層が硝子基板乃至ディスプレイパネルとの間に挟まれる為(特許文献1の図5(b)参照)、接地作業の際には、電磁波遮蔽用シートの接地部近辺を再度硝子基板から剥離する煩雑さがあった。且つ再剥離の際に金属層まで剥離、損傷し易いという問題も有った。
特開2002−311843号公報 特開2006−154516号公報
特許文献1には、電磁波遮蔽シートの基材と金属メッシュとの間の接着剤層や、金属メッシュの凹凸を平坦化する平坦化層や、ガラス基板との接着剤層に、可視光及び/又は近赤外の特定の波長を吸収する吸収剤が含有されている電磁波遮蔽シートが開示されている。このようにガラス基板、導電性メッシュ層、或いは、導電性メッシュ層と電磁波遮蔽シートの基材間の接着剤層に接触する箇所に有機系近赤外線吸収剤が含有されている場合には、当該近赤外線吸収剤が劣化しやすいという問題があった。また、粘着剤層として機能するような従来用いていたアクリル系粘着剤層に、有機系近赤外線吸収剤(色素)を含有させると、当該近赤外線吸収剤が劣化して光学フィルタとしての分光特性が変化するという問題が生じており、粘着剤層中に近赤外線吸収剤を含有させることを実用化するのは困難であった。更に、近年プラズマディスプレイパネルの前面板表面に、別途硝子基板を間に介すること無く、直接配置されるための複合フィルタが求められるようになり、直接貼り付けされる複合フィルタとするのに必要な貼着加工や、可撓性が必要になった。更に、上述のように、生産効率の点から、さらなる改良が求められた。
一方、特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子を用いたPDP用近赤外線吸収フィルタが記載されている。しかしながら特許文献2には、プラズマディスプレイに必要とされる各種機能を全て併せ持つような複合フィルタを優れた生産効率で得るための手段は記載されていない。
複合タングステン酸化物微粒子は顔料であるため、複合タングステン酸化物微粒子を分散させた層は着色する。従って、特許文献2に記載されているような近赤外線吸収フィルタをそのままディスプレイの前面に配置される場合のように、複合タングステン酸化物微粒子を分散させた層が、ディスプレイ前面に配置した際に表面付近に配置される層として用いられると、ディスプレイを消している時にディスプレイ前面が複合タングステン酸化物微粒子の色で着色したように見えるため使用者に好まれないという問題がある。特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子が分散されている層を反射防止層の高屈折率層として用いることも記載されているが、この場合においても、最表面層となる反射防止層の低屈折率層は薄膜であるため、ディスプレイ前面に配置された場合にはディスプレイ前面が複合タングステン酸化物微粒子の色で着色したように見える。また、反射防止層のような比較的薄膜として設けられる層に複合タングステン酸化物微粒子を含有させると、層における微粒子密度が高くなって、ヘイズが高くなるという問題も発生し易い。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、積層工程数を減らして生産効率に優れ、少ない積層数で、複合フィルタとしての可撓性に優れ材料費も低減でき、且つ、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤の劣化に帰属される分光特性変化が起こり難く、外観も良好な電磁波遮蔽シートと光学フィルタとの積層体から成るディスプレイ用複合フィルタ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されたガラス板に直接貼付されるための複合フィルタであって、
(A)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する光学フィルタ、
(B)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層、
(C)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シート、
並びに、
(D)粘着剤層、をこの順に有することを特徴とする。
本発明に係る複合フィルタは、光学フィルタが実質的に1つの透明樹脂基材シートとその両面を用いて、反射防止機能、防眩機能、及び/又は耐擦傷機能、近赤外線吸収機能、必要に応じて紫外線吸収機能等の必要な光学フィルタ機能を有するように設計されている。これにより、各機能層と基材からなる機能フィルタを貼り合わせる工程を減らすことができるため、生産効率に優れる。また、少ない積層数で厚みが減り、複合フィルタとしての可撓性に優れ、巻き取りも可能になり、材料費も低減できる。
また、複合フィルタの貼付面或いは複合フィルタを形成するための接着面とすることができる粘着剤層又は近赤外線吸収層を、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に直接、導電性メッシュ層の凹凸を平坦化するように設ける。これにより、複合フィルタの貼付加工又は複合フィルタ形成のための接着加工と、導電性メッシュ層の凹凸の平坦化を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができる。
本発明において近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高い。その上、前記複合タングステン酸化物微粒子は、ディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線帯域全般を当該複合タングステン酸化物微粒子のみで吸収し得るので、更に劣化しやすい有機系近赤外線吸収剤を併用しなくても良い。従って、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタによれば、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤劣化に帰属される分光特性変化が起こり難い。また、近赤外線吸収剤の劣化防止のために、ディスプレイ表面等のガラス基板、導電性メッシュ層、或いは、導電性メッシュ層と電磁波遮蔽シートの基材間の接着剤層等から近赤外線吸収層を隔離する必要性がなくなり、設計の自由度が増加した結果、本発明に係る層構成を実用化可能とした。
本発明の複合フィルタは、前記複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線吸収層の位置を最適化したため、複合フィルタ表面は複合タングステン酸化物微粒子の色味を帯びず、ディスプレイ前面に配置されてディスプレイを消している場合にディスプレイ前面が着色したように見えて使用者に好まれないという従来の問題を解消できる。また、反射防止層のような比較的薄膜として設けられる層に複合タングステン酸化物微粒子を含有させると、層における微粒子密度が高くなって、ヘイズが高くなるという問題も発生するが、本発明のように粘着剤層を兼ねるような樹脂層に含有させると反射防止層に比べて層が厚いため、ヘイズが高くなることを抑制できるというメリットもある。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタにおいては、前記導電性メッシュ層は、周縁部の一部を露出されていることが好ましい。このような実施形態の場合、接地のための剥離工程等を必要とせず、複合フィルタの貼付加工又は複合フィルタを形成するための接着加工と、平坦化と導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、更に工程数を減らすことができ、生産性が向上する。
本発明に係る複合フィルタの好適な実施形態のうち第一の実施形態としては、前記電磁波遮蔽シート(C)における導電性メッシュ層は、前記第二の透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されており、前記粘着剤層側に配置され、
前記粘着剤層(D)が、前記導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させており、且つ、
前記光学フィルタ(A)の第一の透明樹脂基材シートの機能層を有しない他方の面と、前記電磁波遮蔽シート(C)の第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とが、前記近赤外線吸収層(B)により積層されている実施形態が挙げられる。
本発明に係る複合フィルタの好適な実施形態のうち第二の実施形態としては、前記電磁波遮蔽シート(C)における導電性メッシュ層は、第二の透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されており、前記近赤外線吸収層側に配置され、
前記粘着剤層(D)が、前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に配置され、且つ
前記光学フィルタ(A)の第一の透明樹脂基材シートの機能層を有しない他方の面と、前記電磁波遮蔽シート(C)の導電性メッシュ層側の面とが、前記近赤外線吸収層(B)により積層され、当該近赤外線吸収層(B)は前記導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させている実施形態が挙げられる。
次に、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法の第一の実施形態は、プラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための複合フィルタの製造方法であって、
(i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
(ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
(iii)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を準備する工程、
(iv)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とを、前記近赤外線吸収層を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、
(v)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、当該導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程、及び
(vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程、を有することを特徴とする。
また、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法の第二の実施形態は、プラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための複合フィルタの製造方法であって、(i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
(ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
(iii)前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に粘着剤層を設ける工程、
(iv)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を、当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、間欠塗工又は間欠貼合する工程、
(v)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの近赤外線吸収層側の面とを貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、及び
(vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程を有することを特徴とする。
上記本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法によれば、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に直接、粘着剤層又は近赤外線吸収層を、当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように間欠塗工又は間欠貼合することにより、複合フィルタの貼付加工又は複合フィルタを形成するための接着加工と、導電性メッシュ層の凹凸の平坦化と、導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができる。
また、上記本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法においては、光学フィルタが実質的に1つの透明樹脂基材シートとその両面を用いて、反射防止機能、防眩機能、及び/又は耐擦傷機能、近赤外線吸収機能、必要に応じて紫外線吸収機能等の必要な光学フィルタ機能を有するように設計されている。これにより、上記本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法は、各機能層と基材からなる機能フィルタを貼り合わせる工程を減らすことができ、且つ、厚みを薄くすることが可能なため巻き取りが可能になる。またこれにより、光学フィルタを連続帯状として取り扱うことができるため、連続帯状の光学フィルタと連続帯状の電磁波遮蔽シートとの貼り合わせ工程1回で連続帯状の複合フィルタを製造することが可能になり、生産性を阻害する度合の高い枚葉化も1回で済み、生産効率が向上する。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記近赤外線吸収層(B)が樹脂として粘着剤を含有し、粘着性であることが、複合フィルタとしての機能複合化、層数低減の点から好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記粘着剤層、及び/又は、前記近赤外線吸収層に、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が含まれることが好ましい。ネオン光吸収剤が含まれる場合には、少なくともディスプレイからのオレンジ色発光が抑制可能で、鮮やかな赤色を得ることができる。また、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色補正色素が含まれる場合には、可視光の波長領域における透過率を調節することによって、画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する機能を付与することができる。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記近赤外線吸収剤層よりも観察側に配置される前記光学フィルタ中に紫外線吸収剤を含有することが、上記ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素の劣化を効果的に防止する点から好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記粘着剤層中に色補正色素が含まれることが好ましい。画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する色補正機能は、通常、プラズマディスプレイ毎に細かく最適化が必要であるため、色補正色素は近赤外線吸収剤層とは異なる層に含有させる方が、生産性が向上する場合が多いからである。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることが、可視域の透過率が高く、ヘイズも小さくなる点から好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記複合タングステン酸化物微粒子のM元素が、Cs(セシウム)元素であり、該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ及びその製造方法においては、前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、積層工程数を減らして生産効率に優れ、少ない積層数で厚みが薄く、複合フィルタとしての可撓性に優れ材料費も低減でき、且つ、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤劣化に帰属される分光特性変化が起こり難く、フィルタ表面が着色されず、プラズマディスプレイ前面に設置された際の外観も良好である。
また、本発明のディスプレイ用複合フィルタの製造方法によれば、複合フィルタの貼付加工或いは複合フィルタを形成するための接着加工と、導電性メッシュ層の凹凸の平坦化と、導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができ、且つ、光学フィルタを連続帯状として取り扱うことができるため、連続帯状の光学フィルタと連続帯状の電磁波遮蔽シートとの貼り合わせ工程1回で連続帯状の複合フィルタを製造することが可能になり、生産性を阻害する度合の高い枚葉化も1回で済み、生産効率が向上する。
I.プラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されたガラス板に直接貼付されるための複合フィルタであって、
(A)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する光学フィルタ、
(B)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層、
(C)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シート、
並びに、
(D)粘着剤層、をこの順に有することを特徴とする。
本発明に係るプラズマディスプレイ用複合フィルタの層構成について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの層構成の一例の断面図である。なお、図1以下の断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ1は、第一の透明樹脂基材シート11の一方の面12に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層13を有する光学フィルタ10、複合タングステン酸化物微粒子及び樹脂を含有する近赤外線吸収層20、第二の透明樹脂基材シート31の一方の面32に導電性メッシュ層34を備えた電磁波遮蔽シート30、粘着剤層40をこの順に有する。図1のように、前記導電性メッシュ層34は、周縁部の一部35が露出していることが好ましい。
本発明に係るプラズマディスプレイ用複合フィルタは、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されれば、直接貼り付けられるものであっても、粘着剤層40を利用して別途光学機能等を有していても良い他の透明樹脂基材シートに貼り付けた上で、プラズマディスプレイの前面に配置されても良い。
図1は、本発明に係る複合フィルタの好適な実施形態のうちの第一の実施形態であり、前記電磁波遮蔽シート30における導電性メッシュ層34は、前記第二の透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されて黒化層33を有し、前記粘着剤層40側に配置され、
前記粘着剤層40が、前記導電性メッシュ層34の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部35を露出させており、且つ、
前記光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の機能層を有しない他方の面14と、前記電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の導電性メッシュ層を有しない他方の面37とが、近赤外線吸収層20により積層されている。すなわち、近赤外線吸収層20が、前記光学フィルタ10の他方の面14と、前記電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の他方の面37と各々直接積層されている。
本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタによれば、透明樹脂基材シート11とその両面の一方に設けられた反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層13と、該透明樹脂基材シート11の他方の面に設けられた近赤外線吸収層20を用いて必要な光学フィルタ機能を有するようにしている。そのため、光学フィルタ機能発現部分は、従来のように、各個に透明樹脂基材を有し合計で複数(2乃至3層程度)の透明樹脂基材シートの積層構成をとらない。従って、従来複数含まれていた光学フィルタの透明樹脂基材シートやそれらを貼り合わせるための接着剤層を減らすことができる。その結果本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、材料費が低減できる上、少ない積層数で厚みを薄くできるので複合フィルタとしての可撓性にも優れる。また、電磁波遮蔽シート30の導電性メッシュ層34面上に別途平坦化層を設けることなく、図1の態様の場合は直接粘着剤層40を、当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させて、導電性メッシュ層の凹凸を平坦化するように設けているため、電磁波遮蔽シート30のメッシュ面の平坦化機能も有する当該粘着剤層40が複合フィルタの貼付面となる。そのため、例えば、当該複合フィルタ1をプラズマディスプレイパネル50の前面(観察者側)に直接貼り付けることが可能である。また、導電性メッシュ層34の露出させた周縁部の一部35を接地用領域としてそのまま使用することができる。このようにして本発明は、複合フィルタの貼着加工と導電性メッシュ層の平坦化と導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができる。
また、上記光学フィルタと上記電磁波遮蔽シートにおける各層の配置を最適化したので、貼り合わせ工程数は、光学フィルタ10と上記電磁波遮蔽シート30とを図1の場合は近赤外線吸収層20によって貼り合わせる、1回のみで、複合フィルタを製造することが可能であり、生産効率に優れる。
本発明において近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高い。その上、前記複合タングステン酸化物微粒子は、その1種類のみで、ディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線帯域全般を吸収し得るので、劣化しやすい有機系近赤外線吸収剤を更に併用しなくても良い。従って、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタによれば、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤劣化に帰属される分光特性変化が起こり難い。更に、粘着剤層に近赤外線吸収剤を含有させるのを実用化することは従来困難であったが、近赤外線吸収剤として前記複合タングステン酸化物微粒子を用いると、粘着剤層中に含有させても劣化が起こり難く、粘着性近赤外線吸収層を実用化可能である。
また、近赤外線吸収剤の劣化防止のために、ディスプレイ表面等のガラス基板、導電性メッシュ層、或いは、導電性メッシュ層と電磁波遮蔽シートの基材間の接着剤層等から近赤外線吸収層を隔離する必要性がなくなり、設計の自由度が増加した結果、本発明に係る層構成を実用化可能とした。
本発明の複合フィルタは、前記複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線吸収層の位置を最適化したため、複合フィルタ表面は複合タングステン酸化物微粒子の色味を帯びず、ディスプレイ前面に配置されてディスプレイを消している場合にディスプレイ前面が着色したように見えて使用者に好まれないという従来の問題を解消できる。また、反射防止層のような比較的薄膜として設けられる層に複合タングステン酸化物微粒子を含有させると、層における微粒子密度が高くなって、ヘイズが高くなるという問題も発生するが、本発明のように粘着剤層を兼ねるような樹脂層に含有させると反射防止層に比べて層が厚いため、ヘイズが高くなることを抑制できるというメリットもある。
図2は、本発明に係る複合フィルタの好適な実施形態のうちの第二の実施形態であり、前記電磁波遮蔽シート30における導電性メッシュ層34は、第二の透明樹脂基材シート31と反対側の面が黒化処理されて黒化層33を有し、前記近赤外線吸収層20側に配置され、
前記粘着剤層40が、前記第二の透明樹脂基材シート31の導電性メッシュ層34を有しない他方の面37に配置され、
前記光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の機能層を有しない他方の面14と、前記電磁波遮蔽シート30の導電性メッシュ層側の面とが、近赤外線吸収層20により積層され、当該近赤外線吸収層20は前記導電性メッシュ層34の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部35を露出させている。
従来の近赤外線吸収剤は、ガラス基板、導電性メッシュ層、或いは、導電性メッシュ層と電磁波遮蔽シートの基材間の接着剤層に接触する箇所に含有されている場合には、劣化しやすいという問題があり、上記第二の実施形態のように導電性メッシュ層に直接積層することはできなかったが、本発明においては近赤外線吸収剤として複合タングステン酸化物微粒子を用いることにより、第二の実施形態のような構成であっても分光特性変化が起こり難い複合フィルタを実用化できる。
第一及び第二の実施形態のように、近赤外線吸収層がそれ自体1層のみで光学フィルタと電磁波遮蔽シートを積層するための接着層として機能する場合には、層数を減らすことができ、材料費が低減できる上、少ない積層数で厚みを薄くできるので複合フィルタとしての可撓性にも優れる。また工程数を減らすことができ、より生産性が高いものである。
中でも、第一及び第二の実施形態における近赤外線吸収層は、樹脂として粘着剤を含有し、粘着剤層も兼用していることが、複合フィルタを作製時に新たに粘着剤層を設ける必要がなくなり、複合フィルタとしての機能の複合化、層数低減の点から好ましい。
また、図3、図4に示されるように、近赤外線吸収層により光学フィルタと電磁波遮蔽シートとを直接積層していなくても、更に第二の粘着剤層を有するような実施形態であっても良い。
図3は本発明に係る複合フィルタの第三の実施形態であり、前記電磁波遮蔽シート30における導電性メッシュ層34は、第二の透明樹脂基材シート31側の面が黒化処理されて黒化層33を有し、前記粘着剤層40側に配置され、
前記粘着剤層40が、前記導電性メッシュ層34の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部35を露出させており、且つ、
前記光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の機能層を有しない他方の面14に前記近赤外線吸収層20を有し当該近赤外線吸収層の面と、前記電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面37とが、第二の粘着剤層41を介して積層されている。
図4は、本発明に係る複合フィルタの第四の実施形態であり、前記電磁波遮蔽シート30における導電性メッシュ層34は、第二の透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されて黒化層33を有し、前記近赤外線吸収層20側に配置され、
前記粘着剤層40が、前記第二の透明樹脂基材シート31の導電性メッシュ層を有しない他方の面37に配置され、
前記光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の他方の面14に前記近赤外線吸収層20を有し当該近赤外線吸収層側の面と、前記電磁波遮蔽シート30の導電性メッシュ層側の面とが、第二の粘着剤層41を介して積層され、当該第二の粘着剤層41は前記導電性メッシュ層34の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部35を露出させている。
本発明に係るプラズマディスプレイ用複合フィルタにおいては、前記粘着剤層40、近赤外線吸収層20、及び/又は前記第二の粘着剤層41中に、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が含まれることが好ましい。
また、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタにおいては、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が含まれ得る前記粘着剤層40、近赤外線吸収層20、及び/又は前記第二の粘着剤層41よりも観察60側に配置される層中に紫外線吸収剤を含有することが好ましく、前記光学フィルタ中に紫外線吸収剤を含有することが、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が外界(日光、照明光)からの紫外線により劣化することをより効果的に防止する点から好ましい。
図5〜図7は、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの層構成の他の一例の断面図である。図5における本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ1は、図1の層構成において、粘着剤層40がネオン光吸収剤及び/又は色補正色素を含有し、ネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能していると共に、第一の透明樹脂基材シート11が紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収層3としても機能している。図5の構成において、粘着剤層40がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している代わりに、近赤外線吸収層20がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している態様であっても良い。また、粘着剤層40が色補正色素のみを含有し、ネオン光吸収剤は近赤外線吸収層20中に含有されている態様であっても良い。中でも、色補正色素は、粘着剤層40に含有されていることが好ましい。画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する色補正機能は、通常、プラズマディスプレイ毎に細かく最適化が必要であるため、色補正色素は近赤外線吸収剤層とは異なる層に含有させる方が、生産性が向上する場合が多いからである。
図6における本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ1は、光学フィルタ10が、第一の透明樹脂基材シート11の一方の面12に、紫外線吸収層3と、機能層13として反射防止層15とをこの順に有する場合であって、粘着剤層40がネオン光吸収剤及び/又は色補正色素を含有し、ネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している。図6の構成において、粘着剤層40がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している代わりに、近赤外線吸収層20がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している態様であっても良い。また、粘着剤層40が色補正色素のみを含有し、ネオン光吸収剤は近赤外線吸収層20中に含有されている態様であっても良い。
図7における本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ1は、光学フィルタ10が、第一の透明樹脂基材シート11の一方の面12に、耐擦傷機能(ハードコート)層16と紫外線吸収層3を兼ねている層、及び、反射防止層15をこの順に有する場合であって、粘着剤層40がネオン光吸収剤及び/又は色補正色素を含有し、ネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している。図7の構成において、粘着剤層40がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している代わりに、近赤外線吸収層20がネオン光吸収及び/又は色補正層2としても機能している態様であっても良い。また、粘着剤層40が色補正色素のみを含有し、ネオン光吸収剤は近赤外線吸収層20中に含有されている態様であっても良い。
以下、各構成を順に説明する。
1.光学フィルタ(A)
本発明に用いられる光学フィルタは、第一の透明樹脂基材シートの一方の面に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有するものである。本発明に用いられる光学フィルタは、各個に基材シートを有する機能フィルタが複数貼り合わされて形成されるものではなく、実質的に基材は第一の透明樹脂基材シート1つのみで、当該透明樹脂基材シートの両面に各機能層が塗工等の湿式成膜法やスパッタ等の乾式成膜法の手段により積層されているものである。ここで基材とは、機能フィルタを形成するために概ね支持体としてのみ機能する材をいう。
本発明において用いられる光学フィルタの膜厚は、実質的に基材が1つであることから薄くすることができ、50〜300μmの範囲内、更に、100〜200μmの範囲内であることが好ましい。このような範囲にすることにより、連続帯状として最小直径が15センチ以下のロール状に巻くことが可能となるため、連続帯状の光学フィルタと連続帯状の電磁波遮蔽シートを張り合わせることが可能になり、生産効率が向上する。
本発明において用いられる光学フィルタの層構成としては以下の態様が挙げられる。
1)耐擦傷機能を有する反射防止層/紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シート、
2)反射防止層/耐擦傷機能層/紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シート、
3)耐擦傷機能を有する防眩層/紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シート、
4)防眩層/耐擦傷機能層/紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シート、
5)耐擦傷機能を有する紫外線吸収層を兼用した反射防止層/第一の透明樹脂基材シート、
6)紫外線吸収層を兼用した反射防止層/耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
7)耐擦傷機能を有する紫外線吸収層を兼用した防眩層/第一の透明樹脂基材シート、
8)紫外線吸収層を兼用した防眩層/耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
9)耐擦傷機能を有する反射防止層/紫外線吸収層/第一の透明樹脂基材シート、
10)反射防止層/紫外線吸収層を兼用した耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
11)反射防止層/紫外線吸収層/耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
12)耐擦傷機能を有する防眩層/紫外線吸収層/第一の透明樹脂基材シート、
13)防眩層/紫外線吸収層を兼用した耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
14)防眩層/紫外線吸収層/耐擦傷機能層/第一の透明樹脂基材シート、
15)反射防止層/第一の透明樹脂基材シート/紫外線吸収層、
等が挙げられるが、中でも必要な光学機能を少ない積層数で得られる点から、上記態様1)、3)、5)、7)が好ましい。
尚、「/」はその左右の層が積層一体化されている事を示す。
(1)第一の透明樹脂基材シート
第一の透明樹脂基材シート11は、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明樹脂基材シートの具体例としては、樹脂等の有機材料からなるシート(乃至フィルム。以下同様。)である。透明樹脂基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が良い。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いることができる。
上記有機材料からなるシートとして用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。
また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、ネオン光吸収剤、色補正色素、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。また、近赤外線吸収剤として、後述する複合タングステン酸化物微粒子を含有していても良い。
なお、透明樹脂基材シートの厚さは、用途に応じたものとすれば良く特に制限は無く、透明樹脂から成る場合は、通常12〜500μm程度であるが、好ましくは50〜200μm、更に好ましくは、50〜125μmである。上記未満の厚さとなると機械的強度が不足して反りや弛み、破断などが起こり、上記を超える厚さとなると過剰性能でコスト高となる上、薄型化が難しくなる。
また、電磁波遮蔽シートを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明樹脂基材シートは、メッシュ層形成等の少なくとも製造初期の段階においては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。
この様な点で、透明樹脂基材シートとしては、中でも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂シートが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートが最適である。
なお、樹脂シート等の透明樹脂基材シートは、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
(2)耐擦傷機能(ハードコート)層
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と上記透明樹脂基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成することができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。耐擦傷機能(ハードコート)は上記材料を必要に応じて溶剤で希釈して上記透明樹脂基材上に塗工等の湿式成膜法により形成することができる。
(3)反射防止層
反射防止層(Anti Reflection層、略称してAR層)は、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、該低屈折率層が最上層に位置する様に交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式成膜法で、或いは塗工等の湿式成膜法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。尚、ここで高(低)屈折率層とは、該層と隣接する層(例えば、第二の透明樹脂基材シート、或いは低(高)屈折率層)と比較して該層の屈折率が相対的に高(低)いという意味である。
反射防止層に更に耐擦傷機能を付与する場合には、耐擦傷機能(ハードコート)層の項で記載したような硬度の高い材料を適宜用いて形成する。
(4)防眩層
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適には使用される。
(5)紫外線吸収層
本発明において、紫外線吸収層は、独立した層であっても良いし、他の機能層に紫外線吸収剤を含有させた、他の機能層と紫外線吸収層を兼ねる層であっても良いし、或いは上記第二の透明樹脂基材シート中に紫外線吸収剤を含有させたものであっても良い。紫外線吸収剤を含有させた透明樹脂基材としては、例えば、帝人(株)製 「テトロンフィルムHBタイプ」(商品名)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなるものが挙げられる。独立した層とする場合に用いられるバインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
(6)その他の層
その他の層としては、例えば、ネオン光吸収層、色補正層、防汚層等が挙げられる。しかしながら、ネオン光吸収層、色補正層は、生産効率の点から、単独の層として形成されるよりも、前述のように、粘着剤層や近赤外線吸収層など他の層にネオン光吸収剤や色補正色素を含有させて、ネオン光吸収層、色補正層を兼用する層とする方が好ましい。単独の層として形成される場合であっても、ネオン光吸収剤や色補正色素としては、後述のようなものを用いることが出来る。
防汚層は、一般的に、撥水性、撥油性のコートで、シロキサン系、フッ素化アルキルシリル化合物などが適用できる。撥水性塗料として用いられるフッ素系或いはシリコーン系樹脂を好適に用いることができる。例えば、反射防止層の低屈折率層をSiO2により形成した場合には、フルオロシリケート系撥水性塗料が好ましく用いられる。
2.近赤外線吸収層(B)
本発明に係る近赤外線吸収層(B)は、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有し、更に他の成分を含有していても良いものである。
本発明に係る近赤外線吸収層(B)においては、樹脂中に複合タングステン酸化物微粒子が分散されて、複合フィルタに必要な透明性と、近赤外線吸収機能を確保している。
(1)複合タングステン酸化物微粒子
前記一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子は、本発明において近赤外線吸収剤として機能する。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子の場合であれば、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。中でも、M元素としては、耐久性の点から、Cs(セシウム)であることが好ましい。
このとき、添加されるM元素の添加量xは、0.001以上1.0以下が好ましく、更に好ましくは0.33付近が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出されるxの値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。一方、酸素の存在量zは、2.2以上3.0以下が好ましい。例えば、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができるが、x、zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
このような複合タングステン酸化物微粒子は、各々単独で使用してもよいが、混合して使用することも好ましい。
また、上記複合タングステン酸化物微粒子の表面を、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆することが、耐候性をより向上させることができる点から、好ましい。
また、複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒子径は、近赤外線吸収層の透明性の点から800nm以下であることが好ましく、更に好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下である。なおここでの平均分散粒径は、体積平均粒径をいい、粒度分布・粒子径分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、ナノトラック粒度分布測定装置)を用いて測定することができる。
複合タングステン酸化物微粒子の含有量は、近赤外線吸収層中に、1〜25重量%であることが好ましい。含有量が1重量%より多ければ、十分な近赤外線吸収機能を発現でき、25重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(2)樹脂
近赤外線吸収層に含まれる樹脂は、上記複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散し、且つ近赤外線吸収層に成膜性を与えるバインダ樹脂として機能する。樹脂は、成膜性と透明性を実現するものであれば特に限定されることなく、近赤外線吸収層と隣接する層構成によって適宜選択して用いることができる。近赤外線吸収層としての透明性は、高いほどよい。用いられる樹脂で層を形成したときに、可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が得られるような樹脂及び膜厚で用いられることが好ましい。
樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。上記「(2)耐擦傷機能(ハードコート)層」の項で述べたような電離放射線硬化性樹脂も好適に用いられる。
また、本発明の近赤外線吸収層に含まれる樹脂は、前記複合タングステン酸化物微粒子を良好に分散させることができるものであることが好ましい。
具体的には、前記複合タングステン酸化物微粒子を樹脂に分散させて、膜厚25μmの塗膜を形成し、JIS K7105−1981に準拠したヘイズ値を測定したときに、ヘイズ値が15以下となるような樹脂を選択し、ヘイズ値が15以下となる混合割合で用いられることが好ましい。当該ヘイズ値はより好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。複合タングステン酸化物微粒子を分散する際に分散を向上するための添加剤を用いる場合には、当該添加剤も合わせて上記ヘイズ値となるような混合割合で樹脂、添加剤が用いられることが好ましい。
当該近赤外線吸収層は、前記光学フィルタと後述する電磁波遮蔽シートを接着するための接着剤層として機能させることもできる。当該近赤外線吸収層が接着剤層として機能する場合には、更に別途粘着剤層等の接着するための層が不要であるため、更に生産効率が高くなる。当該近赤外線吸収層を接着剤層としても機能させる場合、例えば、当該近赤外線吸収層形成用塗工液を光学フィルタか電磁波遮蔽シートのいずれかの接着面に塗工し、もう一方の接着面を積層した後、近赤外線吸収層形成用塗工液を溶剤の蒸発によって固化、接着したり、光や熱により反応させることにより接着したりすることができる。
光学フィルタと電磁波遮蔽シートを接着させるためには、層数を減少し、且つ生産効率が良好になる点から、当該近赤外線吸収層が粘着性であることが好ましい。そのような点から、上記樹脂としては、中でも粘着性を有する樹脂、所謂粘着剤を含有することが好ましい。樹脂として粘着剤を用い、粘着剤層としても機能し得る場合には、当該近赤外線吸収層は、用いられる粘着剤や厚みを最適化することにより、耐衝撃層としても機能するものである。
上記第二の実施形態のように(図2参照)、後述する電磁波遮蔽シートにおいて導電性メッシュ層が光学フィルタ側に存在する場合には、当該近赤外線吸収層は、上記導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ上記導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、導電性メッシュ層上に設けられ、導電性メッシュ層の平坦化層も兼務する。
当該近赤外線吸収層が、導電性メッシュ層の凹凸の平坦化層としても機能する場合には、適当な稀釈溶剤にて低粘度(通常5000cps程度以下)に稀釈した状態でメッシュ層上に塗工することによって、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ、近赤外線吸収層表面が平坦化するように塗工され、透明性が高いものを得ることが好ましい。
ここで粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着剤のうち、接着の際には単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤の接着力発現には、通常特に、加熱、加湿、放射線(紫外線や電子線等)照射といった物理的なエネルギー乃至作用が不要で、且つ重合反応等の化学反応も不要である。又、粘着剤は、接着後も再剥離可能な程度の接着力を経時的に維持し得るものである。このような粘着剤としては、特に制限は無く、公知の粘着剤として慣用されているものの中から、適度な粘着性(接着力)、透明性、塗工適性を有し、本発明において使用する光学フィルタの透過スペクトルを実質的に変化させることの無いものを適宜選択する。
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系(以後、アクリル系とも略称)、ポリビニルエーテル系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好適に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体や、炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの2種以上を用いた共重合体であるのが一般的である。なお、本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。
ここで使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸sec-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル系粘着剤中に30〜99.5重量部の量で共重合されていることが好ましい。
また、アクリル系粘着剤を形成するカルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチル及びβ-カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマーを挙げることができる。
更に、本発明で用いられるアクリル系粘着剤には、上記の他に、アクリル系粘着剤の特性を損なわない範囲内で他の官能基を有するモノマーが共重合されていても良い。他の官能基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル及びアリルアルコール等の水酸基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド及びN-エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基とメチロール基とを含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びビニルピリジン等のアミノ基を含有するモノマーのような官能基を有するモノマー;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。この他にもフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルなどのほか、スチレン及びメチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
さらに、本発明で用いられるアクリル系粘着剤には、上記のような他の官能基を有するモノマーの他に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーを使用することができる。ここでエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル及びフマル酸ジブチル等のα,β-不飽和二塩基酸のジエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;スチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
また、上記のようなエチレン性二重結合を有するモノマーの他に、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を併用することもできる。このような化合物の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルマレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ-ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
さらに、上記のようなモノマーの他に、アルコキシアルキル鎖を有するモノマー等を使用することができる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどを挙げることができる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの単独重合体であっても良い。
例えば、(メタ)アクリル酸エステル単独重合体としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。
アクリル酸エステル単位2種以上を含む共重合体としては、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシ3フェニルオキシプロピル共重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルと他の官能性単量体との共重合体としては、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−エチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル−スチレン共重合体が挙げられる。
アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、商品名:TU−41A(巴川製紙所製)、商品名:No.591、No.5915、No.5919M、CS9621、LA−50、LA−100、HJ−9210、No.595B(日東電工(株)製)、商品名:SKダインSK2094(綜研化学株式会社製)等が、ヘイズが低くなり、且つ、粘着力の点から、好適に用いられる。
(3)その他の成分
近赤外線吸収層(B)に更に含まれていても良いその他の成分としては、ネオン光吸収剤、色補正色素が挙げられる。ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素を1種以上含有させることにより、複数の機能層の機能を1層で更に兼務することができるため、複合フィルタとしての総厚み、工程数、原価を低減することが可能となり、好ましい。
(ネオン光吸収剤)
ネオン光吸収機能は、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収するべく含有するものである。ネオン光の発光スペクトル帯域は波長550〜640nmの為、ネオン光吸収層として機能する場合の分光透過率は波長550nmにおいて50%以下、更に40%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収剤は、少なくとも550〜640nmの波長領域内に吸収極大を有する色素を用いることができる。該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。これらの中でもポルフィリン系が好ましい。その中でも特に、特許第3834479号公報に開示されるような、テトラアザポルフィリン系色素が、粘着剤においても分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、特に限定されないが、層中に、0.05〜5重量%であることが好ましい。含有量が0.05重量%より多ければ、十分なネオン光吸収機能を発現でき、5重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(色補正色素)
また、色補正機能とは、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整するために含有するものである。
色補正色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色補正色素の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、層中に0.01〜10重量%程度含有する。
(その他の成分)
また、本発明の効果を損なわない限り、複合タングステン酸化物微粒子以外の近赤外線吸収剤を含んでいても良い。複合タングステン酸化物微粒子以外の近赤外線吸収剤としては、上記一般式で表される以外のタングステン酸化物などの無機系近赤外線吸収剤や、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム化合物等の有機系近赤外線吸収剤から適宜選択して用いられる。
更に、近赤外線吸収層(B)には、所望に応じて、イソシアネート化合物等の架橋剤、粘着付与剤等が含まれていても良い。
また、近赤外線吸収層(B)が、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層に直接積層される実施形態の場合には、近赤外線吸収層(B)には、ベンゾトリアゾール等の酸化防止剤を配合することが好ましい。この場合、上記導電性メッシュ層との界面で、樹脂に含まれ得る酸成分によって導電性メッシュ層が酸化され、色変化が起きるのを防ぐことができる。
その他、近赤外線吸収層(B)には、複合タングステン酸化物微粒子の分散性を向上するための各種分散剤や、各種界面活性剤、シランカップリング剤等が含まれていても良い。
(4)近赤外線吸収層の物性等
近赤外線吸収層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
また、本発明において近赤外線吸収層は、表面平滑な硝子板に対する剥離抵抗値が5〜30N/25mmであり、更に5〜25N/25mm、特に5〜15N/25mmであることが、好ましい。
なお、表面平滑な硝子板としては、例えば具体的には通常のフロートガラスをはじめ、液晶、PDP用パネルで使用するガラスなどが挙げられる。
上記剥離抵抗値が上記範囲内の場合、得られる複合フィルタの電磁波遮蔽シート−光学フィルタ界面で経時で自然剥離したり、気泡が生じたりする恐れがない。また、得られる複合フィルタとディスプレイとを貼り合わせる際に、何らかの不具合が生じた場合に、光学フィルタのみを再剥離し、再び光学フィルタを貼り合わせる必要が生じるが、上記剥離抵抗値が上記範囲内の場合、光学フィルタを再剥離する際に、凝集破壊及び界面破壊を起こすことなく、容易に剥離することが可能である。
ここで上記表面平滑な硝子板に対する剥離抵抗値は、以下のようにして測定することができる。厚さ100μmの2軸延伸PETフィルムの片面に接着剤層を25g/m2(乾燥時)で塗工した物を、長さ150mm、幅25mmに切り抜いて、これをその接着剤層側が硝子板側を向くようにして、硝子板に貼り、これを引張り試験機を用いて、該硝子板と該PETフィルムとを両者の角度が180°となる方向に引張速度200mm/分で、20〜25℃の雰囲気中で引張って、剥離時抗張力として測定することができる。
本発明において、近赤外線吸収層の膜厚は、近赤外線吸収機能や近赤外線吸収層に更に追加される機能により適宜調節するが、通常乾燥時の厚さが3〜50μm程度である。例えば、導電性メッシュ層の平坦化層としても機能させる場合は、5〜40μmの範囲内であることがメッシュの凹凸を良好に平坦化する点から好ましい。また、耐衝撃層としても機能させる場合、特に乾燥時の厚さを、後述する粘着剤層との合計で50〜5,000μmとなるようにすることが好ましい。また、このような場合、下記の衝撃試験による破壊エネルギーが0.5J以上、好ましくは0.6J以上という耐衝撃性を有することが望ましい。ここで衝撃試験は、図13に示す衝撃試験装置を用いて行い、直径50.8mmの鋼球95(質量534g)(JIS B1501 玉軸受用鋼球に規定されたもの)を電磁石94から落下させたときの、破壊エネルギーを測定して行う。鋼球の落下高さを変えることで破壊エネルギーを変化させることができる。試験台91としてステンレス鋼板を用いる。該試験台91上に、本発明の粘着剤層33が積層された表示装置用の前面ガラス板92として例えば旭硝子社製の高歪点ガラス板(PD−200:商品名、厚み2.8mm)を載置する。なお、PD−200は、プラズマディスプレイメーカー各社が共通に使用しているプラズマディスプレイ用の前面ガラス板である。
3.電磁波遮蔽シート(C)
本発明に用いられる電磁波遮蔽シートは、第二の透明樹脂基材シートの一方の面に導電性メッシュ層を備えたものである。当該導電性メッシュ層は、前記近赤外線吸収層(B)か後述する粘着剤層(D)或いは第二の粘着剤層によって、前記導電性メッシュ層の凹凸が平坦化される。
本発明に用いられる電磁波遮蔽シートの一例を図8に示す。図8(A)は、本発明に用いられる電磁波遮蔽シートの一例の平面図であり、図8(B)は、本発明に用いられる電磁波遮蔽シートの一例の断面図である。
本発明に用いられる電磁波遮蔽用シート30における導電性メッシュ層は、図8(A)の平面図で概念的に例示する導電性メッシュ層34のように、その平面方向において、メッシュ領域101以外に、該メッシュ状領域の周縁部の少なくとも一部に非メッシュ状領域102を備えた層とするのが、接地をとり易い点でより好ましい。
メッシュ状領域101は、適用されるディスプレイの画像表示領域を全て覆うことが可能な寸法及び形状を有し、適用されるディスプレイの画像表示領域に対峙する部分70が必ず含まれる。当該ディスプレイの画像表示領域に対峙する部分70の外の領域となる外縁部は、メッシュ状領域101が含まれても良いし、非メッシュ状領域102のみからなっても良い。非メッシュ状領域102は、通常、メッシュ状領域101と同じ層構成を有しながら開口部を形成しないものであり、接地用領域としてディスプレイへ設置した場合にアース(接地)をとり易いために設けられる。なお、接地用領域は基本的にはメッシュは不要だが、接地用領域の反り防止等の目的から、開口部から成るメッシュが存在しても良い。接地用領域(図8(A)の例では、非メッシュ状領域102に相当)は、通常四角形のディスプレイの画像表示領域に対峙する部分70の外の領域となる外縁部である画像表示に影響しない部分に、四辺周囲の額縁状に設けられることが多いが、メッシュ状領域101の全周囲でなくても、周囲の一部に設ける形態でもよく、三辺、二辺、或いは一辺のみに設ける形態でも良い。
本発明に用いられる電磁波遮蔽シート30は、更に、当該導電性メッシュ層34上に導電性メッシュ層の凹凸を平坦化させるように設けられた、粘着剤層40(又は近赤外線吸収層20)を有する。前記粘着剤層40(又は近赤外線吸収層20)は、図8(A)に示すように、通常、少なくとも通常四角形のディスプレイの画像表示領域に対峙する部分70を全て覆い、且つ、前記導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように積層されていることが好ましく、非メッシュ状領域102のうち、四辺周囲の額縁状に接地用領域を露出するように設けられることが好ましい。
また、図8(B)に示すように、本発明に用いられる電磁波遮蔽用シート30は、厚み方向においては、透明基材31の一方の面に、メッシュ状領域101と非メッシュ状領域102を有する導電性メッシュ層34、及び導電性メッシュ層34の凹凸を平坦化させた粘着剤層40(又は近赤外線吸収層20)がこの順に少なくとも積層されて形成されている。当該導電性メッシュ層34は、透明樹脂基材31側の面に黒化層33を有していることが好ましい。導電性メッシュ層34と透明樹脂基材31の間には、導電性メッシュ層を透明樹脂基材31に貼り付けるための接着剤層(図示せず)を有していても良い。導電性メッシュ層34には、黒化層33以外にも防錆層等の他の層を含んでいても良い。また、本発明に用いられる電磁波遮蔽用シートは、導電性メッシュ層の表裏面上に、導電性を有しない層が更に積層されて形成されていても良い。当該導電性を有しない層としては、例えば、導電性を有しない防錆層や黒化層等が挙げられる。防錆層や黒化層等であっても、導電性を有する限り、本発明において導電性メッシュ層34に含まれる。導電体層の表裏面上に更に積層された導電性を有しない層は、導電性メッシュ層と一体となって、メッシュ状領域や接地用領域を形成する。
なお、図示している電磁波遮蔽シートは、いずれも枚葉化されたものであるが、本発明において電磁波遮蔽シートは、ディスプレイ前面に設置する前の段階では、枚葉シート2枚分以上の区画を含む連続帯状シートの状態であってもよい。そして、好ましくは、電磁波遮蔽シートと光学フィルタとを貼り合せる迄の段階では、電磁波遮蔽シート及び光学フィルタは共に連続帯状のシートの形態で加工することが、高生産性を確保する上で好ましい。
図9は本発明に用いられる、粘着剤層等が積層される前の電磁波遮蔽シートの一例の斜視図である。メッシュ状領域101を形成している導電性メッシュ層34は、開口部103が密に配列したメッシュ状であり、該メッシュ状領域は開口部103と枠をなしているライン部104から構成されている。
以下、本発明に用いられる電磁波遮蔽用シートについて、第二の透明樹脂基材シート31から順に説明する。
(1)第二の透明樹脂基材シート
電磁波遮蔽用シートに用いられる第二の透明樹脂基材シート31は、機械的強度が弱いメッシュ層を補強するための層である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。
電磁波遮蔽用シートに用いられる第二の透明樹脂基材シートとしては、光学フィルタに用いられる第一の透明樹脂基材シートにおいて記載したのと同様の透明樹脂基材シートを用いることができる。
(2)導電性メッシュ層
導電性メッシュ層34は、電磁波遮蔽機能を担う層であり、またそれ自体は不透明性であるが、メッシュ状の形状で開口部を設けることで、電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている層である。
(導電性メッシュ層)
導電性メッシュ層34は、一般的には金属箔のエッチングで形成した物が代表的であるが、これ以外のものでも、電磁波シールド性能に於いては意義を有する。従って、本発明では、導電性メッシュ層の材料及び形成方法は特に限定されるものでは無く、従来公知の光透過性の電磁波遮蔽シートに於ける各種導電性メッシュ層を適宜採用できるものである。例えば、印刷法やめっき法等を利用して透明基材上に最初からメッシュ状の形状で導電性メッシュ層を形成したもの、或いは、最初は透明基材上に全面に、蒸着、スパッタ、めっき等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて導電体層を形成後、エッチング等でメッシュ状の形状にして導電性メッシュ層としたもの等でも構わない。
なお、エッチングによる導電性メッシュ層は、透明基材シートに積層前の金属箔単体をエッチングでパターンニングしてメッシュ状の導電性メッシュ層とすることも可能である。この層単体の導電性メッシュ層は、接着剤等で透明基材シートに積層する。これらのなかでも、機械的強度が弱い導電性メッシュ層の取扱が容易で且つ生産性にも優れ、また、市販の金属箔を利用できる等の点で、金属箔を接着剤で透明基材シートに積層した後、エッチングでメッシュ状に加工して、透明基材シート上に接着剤を介して積層された形態となる、導電性メッシュ層は代表的である。この場合の接着剤としては、粘着性の無い接着剤、或いは粘着剤(粘着剤層)等の公知の接着剤を採用すれば良い。
導電性メッシュ層は、電磁波シールド性能を発現するに足る導電性を有する物質であれば、特に制限は無いが、通常は、導電性が良い点で金属層が好ましく、金属層は上記のように、蒸着、めっき、金属箔ラミネート等により形成することができる。金属層乃至は金属箔の金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等が挙げられる。また金属層の金属は合金でも良く、金属層は単層でも多層でも良い。例えば、鉄の場合には、低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼などの低炭素鋼、Ni−Fe合金、インバー合金、等が好ましい。一方、金属が銅の場合は、金属材料は銅や銅合金となり、銅箔としては圧延銅箔や電解銅箔があるが、薄さ及びその均一性、黒化層との密着性等の点からは、電解銅箔が好ましい。
なお、金属層による導電性メッシュ層の厚さは、1〜50μm程度、好ましくは2〜15μmである。厚さがこれより薄くなり過ぎると電気抵抗上昇により十分な電磁波シールド性能を得難くなり、厚さがこれより厚くなり過ぎると高精細なメッシュ形状が得難くなり、メッシュ形状の均一性が低下する。導電性メッシュ層の平坦化を行いやすく、平坦化を行った際に気泡の混入が少なく、透明性に優れた複合フィルタを得やすい点からは、導電性メッシュ層の厚さは1〜3μm程度であることが好ましい。
また、導電性メッシュ層となる金属層の表裏面は、透明基材と接着積層させる為の透明接着剤層等の隣接層との密着性向上が必要な場合は当該面を粗面とすると良い。表面粗さは、導電性メッシュ層となる金属層の表面の輪郭曲線として粗さ曲線を採用した時に、当該輪郭曲線の十点平均粗さRzJIS(JIS B0601(1994年版))が0.5〜1.5μm程度であることが好ましい。
(黒化処理)
黒化処理は上記導電性メッシュ層の面の光反射を防ぐためのものであり、黒化処理で形成された黒化処理面により、導電性メッシュ層面での外光反射による透視画像の黒レベルの低下を防いで、また、透視画像の明室コントラストを向上させて、ディスプレイの画像の視認性を向上するものである。黒化処理面は、導電性メッシュ層のライン部(線状部分)の全ての面に設けることが好ましいが、本発明では表裏両面のうち少なくとも観察者側であると共に外光入射側の面を黒化処理面とすることが好ましい。表裏両面や、側面(両側或いは片側)が更に黒化処理されていても良い。黒化層は、少なくとも観察側に設ければ良いが、ディスプレイ面側にも設ける場合には、ディスプレイから発生する迷光を抑えられるので、さらに、画像の視認性が向上する。
黒化処理としては、黒化層は金属メッキ層面を粗化するか、全可視光スペクトルに亘って光吸収性を付与する(黒化する)か、或いは両者を併用するか、何れかにより行なう。具体的に黒化処理としては、導電性メッシュ層にメッキ等で黒化層を付加的に設ける他、エッチング等で表面から内部に向かって該表面を構成する層自体を黒化層に変化させても良い。
本発明において黒化層33は、黒等の暗色を呈し、密着性等の基本的物性を満足するものであれば良く、公知の黒化層を適宜採用し得る。
従って、黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物の金属化合物等の金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。なかでも、めっき法による黒化処理は密着性、均一性、容易性等で好ましい。めっき法の材料は、例えば、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、スズ、クロム等の金属や金属化合物等を用いる。これらは、密着性、黒さ等の点でカドミウム等による場合よりも優れている。
なお、導電性メッシュ層が銅箔等、銅による場合、黒化層形成の為の黒化処理として好ましいめっき法には、銅からなる導電性メッシュ層(メッシュ状とする前に行うのであればその前の導電体層)を、硫酸、硫酸銅及び硫酸コバルト等からなる電解液中で、陰極電解処理を行いカチオン性粒子を付着させるカソーディック電着めっき法がある。この方法によれば、カチオン性粒子の付着で黒色と同時に粗面も得られる。カチオン性粒子としては、銅粒子、銅合金粒子を採用できる。銅合金粒子としては、銅−コバルト合金粒子が好ましく、更にその平均粒子径は0.001〜1μmが好ましい。銅−コバルト合金粒子により、銅−コバルト合金粒子層からなる黒化層が得られる。カソーディック電着法では、付着させるカチオン性粒子の平均粒子径0.001〜1μmに揃えられる点でも好ましい。平均粒子径が上記範囲超過では、付着粒子の緻密さが低下し黒さの低下やムラが起こり、粒子脱落(粉落ち)が発生し易くなる。一方、平均粒子径が上記範囲未満でも、黒さが低下する。なお、カソーディック電着法は処理を高電流密度で行うことで、処理面がカソーディックとなり、還元性水素発生で活性化し、銅面とカチオン性粒子との密着性が著しく向上する。
また、黒化層として、黒色クロム、黒色ニッケル、ニッケル合金等も好ましく、該ニッケル合金としては、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−スズ−銅合金である。特に、ニッケル合金は黒色度合いと導電性が良い上、黒化層に防錆機能も付与でき(黒化層兼防錆層となる)、防錆層を省略することもできる。しかも、通常、黒化層の粒子は針状のために、外力で変形して外観が変化しやすいが、ニッケル合金による黒化層では粒子が変形し難く、後加工工程で外観が変化し難くい利点も得られる。なお、黒化層として、ニッケル合金の形成方法は、公知の電解または無電解メッキ法でよく、ニッケルメッキを行った後に、ニッケル合金を形成してもよい。
或いは、導電性メッシュ層が銅の場合、これをアルカリ性溶液と反応させて酸化させ、酸化銅微粒子を表面に析出させる方法も有る。例えば、特開2002−9484号公報記載のように、銅のメッシュ層を、ピロリン酸銅水溶液、ピロリン酸カリウム水溶液、及びアンモニア水溶液との混合液に浸漬する方法等が挙げられる。
該黒化層の好ましい黒濃度は0.6以上である。なお、黒濃度の測定方法は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11(キモト社製、商品名)を用いて、観察視野角10度、観察光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSITに設定し、白色キャリブレイション後に、試験片を測定する。また、該黒化層の光線反射率としては5%以下が好ましい。光線反射率は、JIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩社製、商品名)を用いて測定する。また、反射率の測定に換えて、色差計により反射のY値で表わしてもよく、この際にはY値として10以下が好ましい。
(防錆層)
導電性メッシュ層34としては、必要に応じ適宜その他の層の形成、乃至は処理を施しても良い。例えば、錆びに対する耐久性が不十分な場合は、防錆層を設けると良い。防錆層は、前述した黒化層と同様に、それがメッシュ層の形状的特徴であるメッシュ形状を維持する限り、導電性メッシュ層に含まれる構成層として本発明では捉える。
防錆層は、それで被覆する導電性メッシュ層よりも錆び難いものであれば、金属等の無機材料、樹脂等の有機材料、或いはこれらの組合せ等、特に限定されるものではない。また場合によっては、黒化層をも防錆層で被覆することで、黒化層の粒子の脱落や変形を防止し、黒化層の黒さを高めることもできる。従って、本発明においては、黒化層の脱落や変質防止の点から、黒化層上に防錆層が設けられることが好ましい。
防錆層は、従来公知のものを適宜採用すれば良く、例えば、クロム、亜鉛、ニッケル、スズ、銅等の金属乃至は合金、或いは金属酸化物の金属化合物の層等である。これらは、公知のめっき法等で形成できる。ここで、防錆効果及び密着性等の点で好ましい防錆層の一例を示せば、亜鉛めっきした後、クロメート処理して得られるクロム化合物層が、挙げられる。また、防錆層中には、エッチングや酸洗浄時の耐酸性向上の為に、シランカップリング剤等のケイ素化合物を含有させることもできる。
なお、防錆層の厚さは通常0.001〜2μm程度、好ましくは0.01〜1μmである。
(メッシュ形状)
なお、導電性メッシュ層34のメッシュ状としての形状は、任意で特に限定されないが、そのメッシュの開口部の形状として、正方形が代表的である。開口部の平面視形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形、等の多角形、或いは、円形、楕円形などである。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は通常幅均一のライン状のライン部となり、通常は、開口部及びライン部は全面で同一形状同一サイズである。具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部の幅は5〜100μmが良い。また、開口部サイズは〔ライン間隔或いはラインピッチ〕−〔ライン幅〕であるが、この〔ライン間隔或いはラインピッチ〕で言うと100μm〜500μm、且つ開口率(開口部の面積の合計/メッシュ部の全面積)を60〜97%とするのが、光透過性と電磁波遮蔽性との両立性の点で好ましい。
なお、バイアス角度(メッシュのライン部と電磁波遮蔽シートの外周辺との成す角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
なお、導電性メッシュ層34は電磁波遮蔽シートの全面にわたってメッシュ状領域としても良いが、光透過性が必要な部分をメッシュ状として、その他の部分を(例えば4辺全周囲を額縁状に囲う様な)非メッシュ状としても良い。非メッシュ状領域は、前記メッシュ状領域以外の部分であり、光透過性が面として必要でない領域であって、前述のように通常接地用領域として利用される。なお、非メッシュ状領域の具体的な大きさは使われ方によるが、額縁状でアース部や外枠とする場合、額縁の幅は15〜100mm程度で、なかでも30〜40mmとするのが一般的である。
(接着剤層)
第二の透明樹脂基材シートと導電性メッシュ層とを接着するのに、図1〜図9の電磁波遮蔽シートにおいて図示していないが、接着剤層(又は粘着剤層)が用いられても良い。接着剤層は、導電性メッシュ層及び透明樹脂基材シートとを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本発明においては、上記導電性メッシュ層を構成する金属箔及び透明基材を接着剤層を介して貼り合わせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着剤層も耐エッチング性を有することが好ましい。具体的には、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、ポリエーテルウレタン等のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分鹸化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いられる接着剤層(又は粘着剤層)は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明基材との密着性や、ネオン光吸収剤等との相溶性、分散性などの観点からポリウレタン樹脂、アクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂が好ましい。
また、接着剤層中にネオン光吸収剤及び/又は色補正色素を1種以上含有させてもよい。
接着剤層を介してドライラミネーション法等により透明基材シート及び導電性メッシュ層を形成するための金属箔とを接着することができる。また、この接着剤層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmであることが好ましい。これにより、透明樹脂基材シート及び導電性メッシュ層とを強固に接着することができ、また、導電性メッシュ層を形成するエッチングの際に透明基材シートが塩化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
4.粘着剤層(D)
本発明の複合フィルタにおいて粘着剤層(D)は、当該複合フィルタのプラズマディスプレイパネルへの貼付面として機能する層である。よって、プラズマディスプレイ表面等の被着面に複合フィルタを貼着する工程において貼着位置がずれる等の不良を生じた場合に、再度該複合フィルタを剥離して貼り直せる特性、所謂、リワーク性を求める場合には、当該粘着剤層の粘着力を最適化することにより、リワーク性が良好になる。
隣接する前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層が当該粘着剤層(D)に接触する実施形態の場合には、当該粘着剤層(D)が導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ上記導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、導電性メッシュ層上に設けられる。このように粘着剤層(D)が、導電性メッシュ層の平坦化層も兼務する場合には、当該粘着剤層は、上述のように、適当な稀釈溶剤にて低粘度(通常5000cps程度以下)に稀釈した状態でメッシュ層上に塗工することによって、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ、近赤外線吸収層表面が平坦化するように塗工され、透明性が高いものを得ることが好ましい。
更に、当該粘着剤層(D)は、前記近赤外線吸収層(B)において述べたのと同様に、前記粘着剤層に用いられる材料や厚みを最適化することにより、耐衝撃層としても機能するものである。
粘着剤層(D)としては、具体的には、前記近赤外線吸収層(B)において述べたのと同様の樹脂材料や、前記電磁波遮蔽シートにおける接着剤層又は粘着剤層において述べたのと同様の樹脂材料を用いることができる。
また、本発明において粘着剤層(D)は、表面平滑な硝子板に対する剥離抵抗値が5〜30N/25mmであり、更に5〜25N/25mm、特に5〜15N/25mmであることが、好ましい。
上記剥離抵抗値が上記範囲内の場合、得られる複合フィルタの貼付面で経時で自然剥離したり、気泡が生じたりする恐れがない。また、複合フィルタとディスプレイとを貼り合わせる際に、何らかの不具合が生じた場合に、複合フィルタのみを再剥離し、再び複合フィルタを貼り合わせる必要が生じるが、上記剥離抵抗値が上記範囲内の場合、複合フィルタを再剥離する際に、凝集破壊及び界面破壊を起こすことなく、容易に剥離することが可能である。
本発明において、粘着剤層(D)の膜厚は、通常乾燥時の厚さが5〜50μm程度である。例えば、導電性メッシュ層の平坦化層としても機能させる場合は、5〜40μmの範囲内であることがメッシュの凹凸を良好に平坦化する点から好ましい。また、耐衝撃層としても機能させる場合、特に乾燥時の厚さを、前記近赤外線吸収層との合計で50〜5,000μmとなるようにすることが好ましい。また、このような場合、上記の衝撃試験による破壊エネルギーが0.5J以上、好ましくは0.6J以上という耐衝撃性を有することが望ましい。
以上、各層を例示して説明したが、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800〜1100nmの波長域における光線透過率が30%以下、更に20%以下、特に10%以下であることが好ましい。
また、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
また、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタは、可視光領域で充分な光線透過率、すなわち可視光透過率20%以上、更に30%以上を有することが望ましい。
なお、本発明における光線透過率は、JIS−Z8701に準拠して分光光度計(例えば、品番:UV−3100PC、会社名:株式会社島津製作所)にて測定することができる。
本発明の複合フィルタは、優れた光学フィルタ機能の耐久性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても光吸収剤の劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、作製した複合フィルタの初期状態と、当該複合フィルタの常環境(23℃、湿度10%以下)、耐熱環境(80℃、湿度10%以下)、耐湿熱環境(60℃95%RH)の3条件下にて1000時間経過後との分光特性(透過率T、色度(x、y))を比較して、いずれも、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが20%以下、更に10%以下であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは 20%以下、更に10%以下であることが好ましい。また、複合フィルタの色度(x、y)の変化ΔxおよびΔyは、いずれも0.03以下、更に好ましくは0.02以下であることが好ましい。
また、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの膜厚は、使用基材が薄膜のシートであり且つ実質上合計2層(光学フィルタの基材シートが1層、電磁波遮蔽シートの基材シートが1層)であることから薄くすることができ、100〜2000μmの範囲内、更に、200〜500μmの範囲内であることが好ましい。このような範囲にすることにより、連続帯状として最小直径が15センチ以下のロール状に巻くことが可能となるため生産効率が向上する。
以上に述べた本発明に係るディスプレイ用複合フィルタは、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ表面が平坦化するように塗工されることにより、且つ、近赤外線吸収層もヘイズが少なくなるような樹脂を適宜選択することにより、透明性が高いものが得られ、具体的にはヘイズが15以下、更に好ましくは10以下であることが望ましい。ここでヘイズは、JIS K7105−1981に準拠した方法により測定された値を意味する。
II.プラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法
本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法のうち、第一の実施形態は、
(i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
(ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
(iii)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を準備する工程、
(iv)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とを、前記近赤外線吸収層を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、
(v)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、当該導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程、及び
(vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程を有することを特徴とする。
上記第一の実施形態の製造方法により、前記第一の実施形態の複合フィルタを製造することができる。
このような本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。図10は、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法の一例として、図1に示したプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法を示す工程図である。
まず、図10(i)に示すように、第一の透明樹脂基材シート11の一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層13を有する連続帯状の光学フィルタを準備する。一方、図10(ii)に示すように、第二の透明樹脂基材シート31の一方の面に、当該透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されて黒化層33を有する導電性メッシュ層34を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する。更に、図10(iii)に示すように、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子及び樹脂を含有する近赤外線吸収層20を準備する。近赤外線吸収層20を準備する態様としては、図10(iii)に示されるように、離型シートで両面挟まれた(図示せず)近赤外線吸収層20を準備しても良いが、光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の光学機能層13を積層してない他方の面14、或いは、電磁波遮蔽シート20の第二の透明樹脂基材シート31の導電性メッシュ層34を積層してない他方の面37上に直接塗布、乾燥等を行うことにより、近赤外線吸収層20を準備しても良い。
次に、図10(iv)に示すように、前記連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの他方の面14と前記連続帯状の電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の他方の面37とを、前記近赤外線吸収層20を介して貼り合わせて(80)、連続帯状の複合シートを得る。
本発明においては、上記光学フィルタが1つの透明樹脂基材シートとその両面に設けられた層を用いて必要な光学フィルタ機能を有するようにしており、各個に透明樹脂基材シートを有する機能フィルタが複数貼り合わされた構成をとらない。従って、厚みを薄くすることが可能なため、基材が複数の場合には困難である、連続帯状フィルタをロール状に巻き取ることが可能になる。その上、上記光学フィルタと上記電磁波遮蔽シートにおける各層の配置を最適化したので、連続帯状の光学フィルタと連続帯状の電磁波遮蔽シートとを近赤外線吸収層によって連続帯状のまま貼り合わせること、及び、貼り合わせ工程を1回に低減することが可能である。
次に、図10(v)に示すように、前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面14上に、当該導電性メッシュ層の凹凸を埋めるように平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層40を間欠塗工又は間欠貼合する。これにより、複合フィルタの貼着加工と導電性メッシュ層の平坦化と導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができる。
次に、図10(vi)に示すように、前記連続帯状の複合シートを切断手段により切断90するなどして枚葉化する。上記のように得られた連続帯状の複合フィルタを最後に1回枚葉化することにより複合フィルタを製造するため、予め各個に枚葉化した複数枚のフィルタ同士を位置合わせして貼り合わせる場合に比べて、裁断回数も1回のみで済み、生産効率が極めて優れる。
なお、粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程(v)は、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと前記連続帯状の光学フィルタとを貼り合わせる工程(iv)の前に行っても良い。粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程(v)は、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと、前記連続帯状の光学フィルタとを貼り合わせる工程(iv)の後で、切断工程(vi)の前に行った方が、生産性の点から好ましい。すなわち、貼り合わせる工程(iv)の前に間欠塗工又は間欠貼合する工程(v)を行う場合、間欠塗工又は間欠貼合により形成した粘着剤層による段差の影響で、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと前記連続帯状の光学フィルタとを貼り合わせる工程(iv)においてゆがみ等が発生しやすくなる。また、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと前記連続帯状の光学フィルタとを貼り合わせる工程(iv)の後で、切断工程(vi)を行ってから、間欠塗工又は間欠貼合する工程(v)を行う場合、枚葉での塗工又は貼合になるため、著しく生産スピードが低下する。
以下、本発明に係るプラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法の第一の実施形態について、工程毎に説明する。
(i)連続帯状の光学フィルタを準備する工程
工程(i)は、第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程である。
本発明において用いられる上記光学フィルタは、各個に基材を有する機能フィルタが複数貼り合わされて形成されるものではなく、実質的に基材は薄膜の第一の透明樹脂基材シート1層のみで、当該透明樹脂基材シートの両面に各機能層が塗工等の湿式成膜法やスパッタ等の乾式成膜法の手段により積層されているものである。
湿式成膜法を用いる場合、上記光学フィルタの各層において述べたような構成材料を必要に応じて溶剤に希釈して層形成用塗工液を調製する。当該層形成用塗工液を、連続帯状の第二の透明樹脂基材シートの一方の面にグラビアリバース法等の各種塗工法により塗工(例えば10g/m2)することにより形成することができる。塗工法としては、他にも後述の間欠塗工法において説明するのと同様の方法を用いることができる。
また、乾式成膜法を用いる場合、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法が挙げられる。
(ii)連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程
工程(ii)は、第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程である。
上記構成を有する電磁波遮蔽シートを準備する方法としては、特に限定されない。例えば、次の4つの方法が挙げられる。
(1)透明基材シートへ導電インキをパターン状に印刷し、該導電インキ層の上へ金属メッキする方法(例えば、特開2000−13088号公報)。
(2)透明基材シートへ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布し、該塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ金属メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、”光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材シートと金属箔とを必要に応じて接着剤を用いて積層した後に、金属箔をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特開平11−145678号公報)。
(4)透明基材シートの一方の面へ、金属薄膜をスパッタ等により形成して導電処理層を形成し、その上に電解メッキにより金属メッキ層として金属層を形成した透明基材シートを準備し、該金属メッキした透明基材シートの金属メッキ層及び導電処理層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特許第3502979号公報、特開2004−241761号公報)。
本発明に用いられる電磁波遮蔽シートにおいて、第一の実施形態のように透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を作製するには、金属箔を透明基材シートに積層する方法を用いる場合、金属箔を予め黒化処理し、黒化処理面を透明樹脂基材シート側に必要に応じて接着剤等を用いて貼り合わせるようにする。また、メッキ法を用いる場合、透明樹脂基材シート上に黒化層をメッキにより形成した上に、更に金属層をメッキにより形成する方法等が挙げられる。
斜めから観察する場合の画像の視認性が良い点、表面保護層形成時の気泡混入が少ない点、工程が短く歩留りが良い点、低コストが可能である点などの点から、導電性メッシュ層の厚みを5μm程度以下と薄くする場合には、上記(4)のメッキ法を用いることが好ましい。
(iii)近赤外線吸収層を準備する工程
工程(iii)は、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を準備する工程である。
近赤外線吸収層としては、前述したような特定の複合タングステン酸化物微粒子と粘着剤等の樹脂とを少なくとも含有する近赤外線吸収層用塗工液を、上記第一の透明樹脂基材シート上又は第二の透明樹脂基材シート上に塗工する等の湿式成膜法により形成することができる。
近赤外線吸収層用塗工液は、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子の分散を良好にするために、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子を、必要に応じて各種分散剤や、界面活性剤やシランカップリング剤を用いて、予め適宜溶剤中に分散させて複合タングステン酸化物微粒子分散液とした後、当該分散液と樹脂と必要に応じて更に溶剤を混合して、微粒子の分散状態を均一で良好にすることが好ましい。
近赤外線吸収層は、離型処理されたPETフィルムなどの離型シート上に上述の近赤外線吸収層用塗工液を塗工、乾燥して形成しても良い。この場合、第一又は第二の透明樹脂基材シートに貼り合わせられるまで、当該離型シート上に形成された近赤外線吸収層を同様の離型シートを用いて上から保護しておくことが好ましい。
或いは、近赤外線吸収層は、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散させた粘着剤組成物等の樹脂組成物を押し出し成型することにより、形成されても良い。この場合も近赤外線吸収層の両面を離型シートにより保護しておくことが好ましい。
(iv)近赤外線吸収層を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程
工程(iv)は、前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とを、前記近赤外線吸収層を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程である。
前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと、前記連続帯状の光学フィルタとを近赤外線吸収層を介して貼り合わせる方法としては、特に限定されない。
ここで、近赤外線吸収層20を介して貼り合わせる態様としては、図10(iv)に示すように、予め近赤外線吸収層20を、前記連続帯状の電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の他方の面37上に貼り合わせ又は塗膜を形成した上で、前記連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの他方の面14と貼り合わせる態様、或いは、予め近赤外線吸収層20を、前記連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの他方の面14上に貼り合わせ又は塗膜を形成した上で、前記連続帯状の電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の他方の面37と貼り合わせる態様が挙げられる。或いは、離型シートで両面挟まれた近赤外線吸収層20を用い、両面の離型シートを剥がしながら、記連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの他方の面14と前記連続帯状の電磁波遮蔽シート30の第二の透明樹脂基材シート31の他方の面37とを同時に貼り合わせても良い。
ラミネーターは、ロール式、平板式等、光学フィルタ及び電磁波遮蔽シートに対して加圧することができるものであればかまわないが、ロールツーロール方式に対応すること及び気泡の混入を防ぐことが容易である点や、連続生産が可能な点からロール式ラミネーターを用いることが好ましい。
積層時の加圧は特に限定されないが、例えばロール式ラミネーターを用いる場合、線圧で1〜20kgf/cmが好ましい。積層時の加圧部分の温度も特に限定されないが、設備負担の点からは低温であるほうが好ましく、20℃〜80℃であるほうが好ましい。但し、必要に応じて80℃以上に加熱しても良い。
(v)粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程
工程(v)は、前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、当該導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層40を間欠塗工又は間欠貼合する工程である。
当該粘着剤層40は、図10(v)のように、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ、粘着剤層表面が平坦化するように塗工又は貼合されることが、複合フィルタの透明性を向上する点から好ましい。また、露出させる導電性メッシュ層の周縁部の一部としては、前述のように接地用領域として用いられる部分とすれば十分である。中でも粘着剤層は、前記導電性メッシュ層の周縁部4辺全てを露出させるように設けられることが好ましい。
<間欠塗工>
まず、粘着剤層の構成要素、すなわち粘着剤、及びネオン光吸収剤及び/又は色補正色素、その他必要に応じて添加剤を含有する粘着剤層形成用塗工液を準備する。
粘着剤層形成用塗工液は、前記導電性メッシュ層34上に積層時に流動性を有することが好ましい。このような場合は、電磁波遮蔽シートと粘着剤層の積層時にメッシュの開口部内の隅々にまで粘着剤層が行き渡るため、開口部内に気泡が残留することを防止できる。従って、メッシュ面への平坦化工程を省略しながら、気泡の光散乱による複合フィルタの曇価(ヘイズ)が上昇するという不都合を回避でき、透明性の高い複合フィルタを生産効率良く得ることができる。従って本発明における粘着剤層が有する流動性は、粘着剤層が流入してメッシュ状領域開口部内の空気と置換し、該開口部を充填し得る程度の流動性とする。本発明における粘着剤層が有する流動性とは、外力に対して復元力を持たないか、或いは持っても僅かで、事実上無制限に変形、変位する性質をいう。例えば水の様なNewton粘性、ダイラタンシー又はティキソトロピックの様な非Newton粘性、或いはクリープ変形性を包括していう。目安として、該粘着剤がメッシュ面に塗工される時に、1000cps以下、好ましくは5000cps以下程度の粘度を有するようにして用いることが好ましい(C型粘度計での測定値。接着時の温度における値)。但し、電磁波遮蔽シートのメッシュ開口部に積層した以降は、必要に応じて、該粘着剤層の流動性を低下させる方が好ましい。即ち、導電性メッシュ層との接着時においては、メッシュ開口部を確実に充填する都合上、粘着剤層の流動性は高い程好ましい。しかしながら、積層後は粘着剤層の流動性は不要であり、寧ろ粘着剤の流動性は積層界面から接着剤が流出したり、粘着剤層中に色素を添加した場合に、該色素の変褪色を促進する場合が有り、好ましくないからである。
粘着剤層形成用塗工液が流動性を有するようにするには、粘着剤層を構成する材料を溶剤で希釈しても良いし、溶剤を含有することなくそれ自体室温で流動性を有する天然ゴムや合成樹脂、或いは反応モノマー中にその重合体が溶解しているようなシロップ型の粘着剤からなる粘着剤材料を用いても良い。また、適宜温度をかけることにより溶融して流動性を有するホットメルト型の粘着剤を用いても良い。更に、室温で液状の重合反応性モノマーを含有する粘着剤層であって、積層後に光及び/又は熱により硬化させる形態をとる粘着剤層であっても良い。尚、粘着及び積層後に必要に応じて、粘着剤層の流動性を低下させる方法としては、例えば、希釈溶剤を乾燥させたり、予め粘着剤層中に架橋剤を添加し、加熱、紫外線照射等により、粘着剤を架橋乃至は重合せしめる方法等挙げられる。
間欠塗工を行う方法としては、ロールコータ、ダイコータ、ブレードコータ、スクリーン印刷等が挙げられる。特に本発明において、粘着剤層形成用塗工液を上記流動性を有するように調製して用いる場合には、溶剤希釈が好ましく用いられる。
間欠塗工を行う場合には、生産速度を上げやすく、生産性をより向上し易いというメリットがある。
<間欠貼合>
まず、粘着剤、及び場合に応じてネオン光吸収剤及び/又は色補正色素、その他必要に応じて添加剤を含有する粘着剤層を離型シート上に形成し、連続帯状の粘着剤層を得る。この場合の連続帯状の粘着剤層の幅は、貼り合わせる電磁波遮蔽シートの幅よりも小さく且つ導電性メッシュ層の幅よりも若干大きい幅に適宜調節することが好ましい。このようにすると、連続帯状の粘着剤層と連続帯状の電磁波遮蔽シートを貼り合わせた場合に、電磁波遮蔽シートにおける導電性メッシュ層の周縁のうち連続帯状の幅方向が露出して接地用領域となり得る。
メッシュ層の周縁のうち連続帯状の幅方向のみだけでなく、メッシュ層の周縁4辺を接地用領域とする場合には、連続帯状の流れ方向も露出させるために、間欠貼合を行う。
間欠貼合は、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、電磁波遮蔽シートの幅よりも適宜狭い幅を有する連続帯状粘着剤層を導電性メッシュ層の周縁4辺が露出するような大きさに切断しつつ、導電性メッシュ層上に位置合わせを行いながら、間欠的に貼り合わせを行う。
この際、連続帯状の第一の粘着剤層と導電性メッシュ層をロールツーロール方式で貼り合わせていくのが生産性の点から好ましい。そのため、粘着剤層の両面にある離型シート(保護フィルム)のうち、剥離させる側の離型シートは連続帯状に残したまま巻き取り、剥離しない離型シートと粘着剤層のみを切断するようにしながら貼り合わせていく。
また、間欠貼合を行った場合、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、粘着剤層が凹凸部分を完全に埋めつつ、粘着剤層表面が平坦化するように、加熱真空処理を行うことが好ましい。加熱真空処理の条件としては、例えば、0.2〜1.0MPaの真空中で、50〜100℃で、10〜180分間処理を行うことが挙げられる。
間欠貼合を行う場合には、間欠塗工に比べて装置が簡潔で、歩留まりが高いというメリットがある。また、粘着剤層とその保護フィルム層の大きさが同じになるので、当該保護フィルムの剥がれや歪みが生じ難いというメリットがある。
形成された粘着剤層は貼着機能を有するため、不用意な接着の防止のため、ディスプレイ等に貼着されるまで、シリコーン処理した易剥離性のPETフィルム等の離型シート(保護フィルム)を積層しておくことが好ましい。
(F)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程
本発明に係るプラズマディスプレイ用複合シートは、連続帯状のままで流通されても良いが、最終的には、プラズマディスプレイ1台分のプラズマディスプレイ用複合フィルタとして枚葉化する。複合フィルタの枚葉化手段は特に限定されず、各種、フィルタ用の切断手段を用いることができる。
次に、本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法のうち、第二の実施形態は、
(i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
(ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
(iii)前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に粘着剤層を設ける工程、
(iv)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を、当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、間欠塗工又は間欠貼合する工程、
(v)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの近赤外線吸収層側の面とを貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、及び
(vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程、を有することを特徴とする。
上記第二の実施形態の製造方法により、前記第二の実施形態の複合フィルタを製造することができる。
このような本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。図11は、本発明のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法の一例として、図2に示したプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法を示す工程図である。
まず、図11(i)に示すように、第一の透明樹脂基材シート11の一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層13を有する連続帯状の光学フィルタを準備する。一方、図11(ii)に示すように、第二の透明樹脂基材シート31の一方の面に、当該透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されて黒化層33を有する導電性メッシュ層34を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する。更に、図11(iii)に示すように、前記第二の透明樹脂基材シート31の導電性メッシュ層34を有しない他方の面に粘着剤層40を設ける。次に、図11(iv)に示すように、前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層形成用塗工液又は近赤外線吸収層を準備し、導電性メッシュ層34の周縁部の一部を露出させるように、間欠塗工又は間欠貼合して近赤外線吸収層20を形成する。これにより、複合フィルタを形成するための接着加工と導電性メッシュ層の平坦化と導電性メッシュ層周縁の接地用領域の確保を一つの工程で同時に行うことができるため、工程数や平坦化層を減らすことができる。
次に、図11(v)に示すように、前記連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の他方の面と、前記連続帯状の電磁波遮蔽シート30の近赤外線吸収層20側の面とを貼り合わせて(80)、連続帯状の複合シートを得る。
最後に、図11(vi)に示すように、前記連続帯状の複合シートを切断手段により切断90するなどして枚葉化する。上記のように得られた連続帯状の複合フィルタを最後に1回枚葉化することにより複合フィルタを製造するため、予め各個に枚葉化した複数枚のフィルタ同士を位置合わせして貼り合わせる場合に比べて、裁断回数も1回のみで済み、生産効率が極めて優れる。
なお、前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に粘着剤層を設ける工程(iii)は、切断工程(vi)の前であれば、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートと前記連続帯状の光学フィルタとを貼り合わせる工程(iv)の後のいずれかに行っても良い。
上記本発明に係るプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法の第二の実施形態における工程(i)は、上記第一の実施形態の工程(i)と同様に行うことができる。また、第二の実施形態における工程(ii)は、上記第一の実施形態の工程(i)と同様に行うことができる。電磁波遮蔽シートにおいて、第二の実施形態のように透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を作製するには、金属箔を透明基材シートに積層する方法を用いる場合、金属箔を予め黒化処理し、黒化処理面を透明樹脂基材シートと反対側にして必要に応じて接着剤等を用いて貼り合わせるようにする。また、メッキ法を用いる場合、透明樹脂基材シート上に金属層をメッキにより形成した上に、更に黒化層をメッキにより形成する方法等が挙げられる。
また、第二の実施形態における工程(iii)は、上記第一の実施形態の工程(iii)及び(iv)の近赤外線吸収層を形成する方法と同様に行うことができる。また、第二の実施形態における工程(iv)は、上記第一の実施形態の工程(v)における間欠塗工又は間欠貼合する方法と同様に行うことができる。更に、第二の実施形態における工程(v)は、上記第一の実施形態の工程(iv)における貼り合わせ工程と同様に行うことができる。また、第二の実施形態における工程(vi)は、上記第一の実施形態の工程(vi)の切断工程と同様に行うことができる。
なお、第二の実施形態において連続帯状の光学フィルタを準備する場合には、図12に示すように、連続帯状の光学フィルタ10の幅方向の長さ81を、連続帯状の電磁波遮蔽シートの幅方向の長さ82よりも短くして、貼り合わせたときに露出するようにすることが好ましい。更に、連続帯状の光学フィルタ10の幅方向の長さ81は、上記間欠塗工又は間欠貼合により設けられた近赤外線吸収層20の連続帯状に対する幅方向の長さ83と同程度にすることが好ましい。その場合には、図12に示すように、連続帯状の光学フィルタ10の幅方向が、上記間欠塗工又は間欠貼合により設けられた近赤外線吸収層20の連続帯状に対する幅方向と重なるように貼り合わせた後、後述の枚葉化工程において、連続帯状の長手方向の各近赤外線吸収層20の間で適宜切断するのみで、電磁波遮蔽シートの連続帯状の幅方向の近赤外線吸収層が積層されていない部分が露出されることになり、そのまま接地部として使用することが可能である。
しかしながら、プラズマディスプレイ1台分のプラズマディスプレイ用複合フィルタとして枚葉化する前後に、更に、連続帯状の長手方向の光学フィルタの近赤外線吸収層20によって貼り付けされていない部分についてのみ、切断しても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
<実施例1>
(1)連続帯状光学フィルタの製造
まず、図10(i)の光学フィルタ10を用意した。光学フィルタの層構成としては、反射防止層13/紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シート11の構成のものを準備した。尚、「/」はその左右の層が積層一体化されている事を示す。
該紫外線吸収層を兼用した第一の透明樹脂基材シートとしては、紫外線吸収剤を練込んで成る透明な、厚さ50μmの2軸延伸PETフィルム(帝人(株)製、商品名「テトロンフィルムHBタイプ」)を用いた。
該反射防止層13は、該第一の透明樹脂基材11の一方の面上に、高屈折率層と低屈折率層をこの順に形成した物から構成した。
ここで、高屈折率層は、ジルコニア超微粒子を紫外線硬化性樹脂中に分散させた組成物(JSR(株)製、商品名「KZ7973」)を乾燥膜厚が3μmとなるように上記第一の透明樹脂基材の一方の面上に塗布し、乾燥し、紫外線を照射して、屈折率1.69の硬化物層を形成して得た。
又、低屈折率樹脂層は、フッ素樹脂系の紫外線硬化性樹脂(JSR(株)製、商品名「TM086」)を乾燥膜厚が100nmとなるように上記高屈折率層上に塗布し、乾燥し、紫外線を照射して、屈折率1.41の硬化物を形成して得た。
(2)連続帯状電磁波遮蔽シートの製造
図10(ii)に示す電磁波遮蔽シート30を次のようにして作製した。先ず、導電性メッシュ層34とする金属箔として、一方の面に銅−コバルト合金粒子から成る黒化層33が電解メッキ形成された厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔を用意した。前記銅箔の両面に対して、亜鉛めっき後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層を形成した。
また、透明樹脂基材シート31として厚さ100μmで一方の面32上にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
次いで、この銅箔をその黒化層面側で上記透明樹脂基材プライマー層上に、主剤が平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12重量部から、又硬化剤がキシレンジイソシアネート系プレポリマー1重量部とから成る透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃、3日間養生して、銅箔(防錆層)と透明樹脂基材間に厚さ7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを得た。
次いで、上記連続帯状の電磁波遮蔽シートに対して、その導電体層及び黒化層33をフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、開口部及びライン部とから成るメッシュ状領域、及びメッシュ状領域の4周を囲繞する外縁部に額縁状のメッシュ非形成の接地用領域を有する導電性メッシュ層34を形成した。
エッチングは、具体的には、カラーTVシャドウマスク用の製造ラインを利用して、連続帯状の上記積層シートに対してマスキングからエッチングまでを一貫して行った。すなわち、上記積層シートの導電体層面全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、導電体層及び黒化層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
(3)近赤外線吸収層の製造
更に、図10(iii)の近赤外線吸収層20を用意した。
アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100重量部に対して、硬化剤(綜研化学株式会社製、E−5XM)0.25重量部、セシウム含有タングステン酸化物(Cs0.33WO)含有量18.5重量%懸濁液(住友金属鉱山(株)製、YMF−02;平均分散粒径800nm以下)1.32重量部、ネオン吸収剤(山田化学株式会社製、TAP−2;テトラアザポルフィリン系色素)0.045重量部を各々添加し、充分分散させて近赤外線吸収層塗工液を調製した。当該近赤外線吸収層塗工液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように離型処理PETフィルム上に塗工し、80℃で3分乾燥後に、該塗膜上に更に、同様の離型処理PETフィルムを被覆して塗膜を保護して、連続帯状の近赤外線吸収層20を形成した。
(4)複合フィルタの製造
図10(iv)に示すように、得られた該連続帯状の電磁波遮蔽用シート30の導電性メッシュ層が積層されていない側の面37と該連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの反射防止層13が積層されていない側の面14とを、近赤外線吸収層20を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得た。
まず、連続帯状の電磁波遮蔽用シート30の導電性メッシュ層が積層されていない側の面37に、片面の離型処理PETフィルムを剥がしながら連続帯状の近赤外線吸収層20を、1対のラミネートローラ間に挟んで加圧することにより積層した。次に、電磁波遮蔽シート30/近赤外線吸収層20の積層体の近赤外線吸収層20の離型処理PETフィルムを剥がしながら、連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シートの反射防止層13が積層されていない側の面14側に貼り合わせた。
(5)粘着剤層40の積層
図10(v)に示す粘着剤層は次のようにして間欠的に設けた。
まず、アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100重量部に対して、色補正用色素(アントラキノン系化合物)(有本化学株式会社製、Plast red 8320)を0.025重量部添加し、トルエンとメチルエチルケトンとの1対1重量混合比の溶剤で、岩田カップ粘度計で13秒の粘度に稀釈した粘着剤層形成用塗工液を得た。当該粘着剤層形成用塗工液を乾燥後の厚みが25μmとなるように、前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、当該導電性メッシュ層の凹凸に空気が入らないように上記粘着剤層形成用塗工液を埋め込みながら、導電性メッシュ層の凹凸を平坦化するように、ダイコート法を用いて間欠塗工した。当該間欠塗工により、メッシュ状領域の画像表示領域と対峙する部分を全部被覆し、しかも該接地用領域の内周側2mmは該粘着剤層で被覆され、一方、該接地用領域の外周側13mmは何も被覆されずに導電体層が露出する様にして、粘着剤層を厚み(導電性メッシュ層の凹凸の凹部から粘着剤層表面まで)25μmの粘着剤層40を得た。
(6)複合フィルタの枚葉化
図10(vi)に示すように、上記のようにして得られた連続帯状の複合シートを、雌雄一対の鋼鉄製の打ち抜き歯型間で挟持して剪断し打ち抜く様式の裁断機を用いて、対角線長50インチのプラズマディスプレイパネル前面を被覆する寸法形状に切断し、プラズマディスプレイ1台分毎の複合フィルタ1を複数枚得た。
[複合フィルタの評価]
作製した複合フィルタの800〜1100nmの波長域における光線透過率は10%以下、可視光透過率は43%であった。なお、本発明における光線透過率は、JIS−Z8701に準拠して分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)にて測定した。
更に、作製した複合フィルタの初期状態、および当該複合フィルタの常環境(23℃、湿度10%以下)、耐熱環境(80℃、湿度10%以下)、耐湿熱環境(60℃95%RH)の3条件下にて1000時間経過後の分光特性(透過率T、色度(x、y))を、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定した。初期状態と、上記3条件下で1000時間経過後の透過率T、及び色度(x、y)の測定値から、透過率変化ΔT、及び色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求めた。
その結果、初期状態と上記3条件下で1000時間経過後との比較において、いずれも、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが5%以下であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは5%以下であった。また、フィルタの色度(x、y)の変化ΔxおよびΔyは、いずれも0.015以下であった。
<実施例2>
(1)連続帯状光学フィルタの製造
図11(i)に示す連続帯状光学フィルタ10は、実施例1と同様にして、製造を行った。
(2)連続帯状電磁波遮蔽シートの製造
図11(ii)に示す電磁波遮蔽シート30は、銅箔をその黒化層が形成されていない面側で、上記透明樹脂基材プライマー層上にドライラミネートした以外は、実施例1と同様にして製造を行った。
(3)粘着剤層40の積層
図11(iii)に示すような前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に粘着剤層を設けるのは以下のように行った。
まず、アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100重量部に対して、色補正用色素(アントラキノン系化合物)(有本化学株式会社製、Plast red 8320)を0.025重量部添加した粘着剤層形成用塗工液を得た。当該粘着剤層形成用塗工液を乾燥後の厚みが20μmとなるように、連続帯状の電磁波遮蔽シートの導電メッシュ層を有しない他方の面にダイコート法を用いて塗工し、80℃で3分乾燥後に同様のPETフィルムよって塗膜を保護し、連続帯状に形成された色補正用色素を含有した粘着剤層40を得た。
(4)近赤外線吸収層20の積層
更に、図11(iv)に示すように近赤外線吸収層20を積層した。
アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100重量部に対して、硬化剤(綜研化学株式会社製、E−5XM)0.25重量部、セシウム含有タングステン酸化物(Cs0.33WO)含有量18.5重量%懸濁液(住友金属鉱山(株)製、YMF−02;平均分散粒径800nm以下)1.32重量部、ネオン吸収剤(山田化学株式会社製、TAP−2;テトラアザポルフィリン系色素)0.045重量部を各々添加し、充分分散させて近赤外線吸収層塗工液を調製した。当該近赤外線吸収層塗工液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、連続帯状の電磁波遮蔽シートの導電メッシュ層上にダイコート法を用いて間欠塗工し、80℃で3分乾燥後に同様のPETフィルムよって塗膜を保護し、連続帯状に間欠的に形成された近赤外線吸収剤とネオン吸収剤を含有した近赤外線吸収層を得た。
この積層体を70℃30分0.5MPaにおいて加熱加圧処理することにより、メッシュ層の凹凸に空気が入らないように近赤外線吸収層を埋め込み、複合フィルタを透明化した。当該間欠塗工により、メッシュ状領域の画像表示領域と対峙する部分を全部被覆し、しかも接地用領域の内周側2mmは該粘着剤層で被覆され、一方、該接地用領域の外周側13mmは何も被覆されずに導電体層が露出する様にして、近赤外線吸収層20を得た。
(5)複合フィルタの製造
図11(v)に示すように、得られた該連続帯状の電磁波遮蔽用シート30の近赤外線吸収層20側の面と該連続帯状の光学フィルタ10の第一の透明樹脂基材シート11の反射防止層が形成されていない側の面とを、向かい合わせた状態で、1対のラミネートローラ間に挟んで加圧して積層し、連続帯状の複合シートを得た。
(6)複合フィルタの枚葉化
図11(vi)に示すように、上記のようにして得られた連続帯状の複合シートを、雌雄一対の鋼鉄製の打ち抜き歯型間で挟持して剪断し打ち抜く様式の裁断機を用いて、対角線長50インチのプラズマディスプレイパネル前面を被覆する寸法形状に切断し、プラズマディスプレイ1台分毎の複合フィルタ1を複数枚得た。
[複合フィルタの評価]
作製した複合フィルタの800〜1100nmの波長域における光線透過率は10%以下、可視光透過率は42%であった。
また、作製した複合フィルタの初期状態、および当該複合フィルタの常環境(23℃、湿度10%以下)、耐熱環境(80℃、湿度10%以下)、耐湿熱環境(60℃95%RH)の3条件下にて1000時間経過後の分光特性(透過率T、色度(x、y))を、実施例1と同様にして測定した。
その結果、初期状態と上記3条件下で1000時間経過後との比較において、いずれも、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが5%以下であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは5%以下であった。また、フィルタの色度(x、y)の変化ΔxおよびΔyは、いずれも0.015以下であった。
<比較例1>
実施例2(導電性メッシュ層が近赤外線吸収層側に配置した構成)の近赤外線吸収層20の形成において、セシウム含有タングステン酸化物(Cs0.33WO)含有量18.5重量%懸濁液(住友金属鉱山(株)製、YMF−02)1.32重量部を用いる代わりに、フタロシアニン系NIR吸収色素である、商品名エクスカラーIR−12A 0.298質量部、商品名エクスカラーIR−14 0.158質量部(以上、日本触媒株式会社製)、及びジイモニウム系色素商品名IRG−068(日本化薬株式会社製)0.534質量部を用いた以外は、実施例2と同様にして、連続帯状の状態で複合フィルタを得た。
得られた比較例1の複合フィルタを実施例1と同様にして評価を行った。その結果、作製した複合フィルタの800〜1100nmの波長域における光線透過率は10%以下、可視光透過率は42%であった。
また、初期状態と当該複合フィルタの常環境(23℃、湿度10%以下)条件下で1000時間経過後との比較において、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが10%以下であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは10%以下であった。また、フィルタの色度(x、y)の変化ΔxおよびΔyは、いずれも0.02以下であった。
また、初期状態と耐熱環境(80℃、湿度10%以下)条件下で1000時間経過後との比較において、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが10%超過であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは10%超過であった。また、フィルタの色度(x、y)の変化Δxは0.02以下、Δyは0.03超過であった。
また、初期状態と耐湿熱環境(60℃95%RH)条件下で1000時間経過後との比較において、380nm〜1000nmでの透過率変化ΔTが10%超過であり、かつ830nm〜1000nmでの透過率変化ΔTは10%超過であった。また、フィルタの色度(x、y)の変化Δxは0.02以下、Δyは0.03超過であった。
本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの他の一例の断面図である。 本発明に用いられる電磁波遮蔽シートの一例を示す平面図及び断面図である。 本発明に用いられる電磁波遮蔽シートのメッシュの一例の斜視図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法の他の一例を示す工程図である。 本発明のプラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法のうち、電磁波遮蔽シートと光学フィルタの積層態様の一例を示す平面図である。 本発明の耐衝撃性試験をするのに用いられる衝撃試験装置を示す図である。
符号の説明
1 プラズマディスプレイ用複合フィルタ
10 光学フィルタ
11 第一の透明樹脂基材シート
13 反射防止機能、防眩機能、及び/又は耐擦傷機能を有する1又は2以上の層
20 近赤外線吸収層
30 電磁波遮蔽シート
31 第二の透明樹脂基材シート
33 黒化層
34 導電性メッシュ層
40 粘着剤層
50 プラズマディスプレイパネル
60 観察側
70 適用されるディスプレイの画像表示領域に対峙する部分
80 貼り合わせ
90 切断
91 試験台
92 土台
93 ガラス板
94 電磁石
95 鋼球
101 メッシュ状領域
102 非メッシュ状領域
103 開口部
104 ライン部

Claims (22)

  1. プラズマディスプレイパネルの前面に配置されたガラス板に直接貼付されるための複合フィルタであって、
    (A)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する光学フィルタ、
    (B)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層、
    (C)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シート、
    並びに、
    (D)粘着剤層、をこの順に有することを特徴とする、プラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  2. 前記導電性メッシュ層は、周縁部の一部が露出していることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  3. 前記電磁波遮蔽シート(C)における導電性メッシュ層は、前記第二の透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されており、前記粘着剤層側に配置され、
    前記粘着剤層(D)が、前記導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させており、且つ、
    前記光学フィルタ(A)の第一の透明樹脂基材シートの機能層を有しない他方の面と、前記電磁波遮蔽シート(C)の第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とが、近赤外線吸収層(B)により積層されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  4. 前記電磁波遮蔽シート(C)における導電性メッシュ層は、第二の透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されており、前記近赤外線吸収層側に配置され、
    前記粘着剤層(D)が、前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に配置され、
    前記光学フィルタ(A)の第一の透明樹脂基材シートの機能層を有しない他方の面と、前記電磁波遮蔽シート(C)の導電性メッシュ層側の面とが、近赤外線吸収層(B)により積層され、当該近赤外線吸収層(B)は前記導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  5. 前記近赤外線吸収層(B)が樹脂として粘着剤を含有し、粘着性である、請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  6. 前記粘着剤層(D)及び/又は前記近赤外線吸収層(B)に、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が含まれることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  7. 前記光学フィルタ(A)中に紫外線吸収剤を含有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  8. 前記粘着剤層(D)中に、色補正色素が含まれることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  9. 前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用複合フィルタ。
  10. 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  11. 前記複合タングステン酸化物微粒子のM元素が、Cs(セシウム)元素であり、該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  12. 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ。
  13. プラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための複合フィルタの製造方法であって、
    (i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
    (ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シート側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
    (iii)一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を準備する工程、
    (iv)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面とを、前記近赤外線吸収層を介して貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、
    (v)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、当該導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する工程、及び
    (vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程、
    を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  14. プラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための複合フィルタの製造方法であって、
    (i)第一の透明樹脂基材シートの一方の面に、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能より成る群から選択される1種以上の機能を有する1層以上の機能層を有する連続帯状の光学フィルタを準備する工程、
    (ii)第二の透明樹脂基材シートの一方の面に、当該透明樹脂基材シートと反対側の面が黒化処理されている導電性メッシュ層を少なくとも有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを準備する工程、
    (iii)前記第二の透明樹脂基材シートの導電性メッシュ層を有しない他方の面に粘着剤層を設ける工程、
    (iv)前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子、及び樹脂を含有する近赤外線吸収層を、当該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、間欠塗工又は間欠貼合する工程、
    (v)前記連続帯状の光学フィルタの第一の透明樹脂基材シートの他方の面と、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの近赤外線吸収層側の面とを貼り合わせて、連続帯状の複合シートを得る工程、及び
    (vi)前記連続帯状の複合シートを枚葉化する工程、
    を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  15. 前記近赤外線吸収層(B)が樹脂として粘着剤を含有し、粘着性である、請求項13又は14に記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  16. 前記粘着剤層、及び/又は、前記近赤外線吸収層に、ネオン光吸収剤及び/又は色補正色素が含まれることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  17. 前記光学フィルタ中に紫外線吸収剤を含有することを特徴とする、請求項13乃至16のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  18. 前記粘着剤層中に、色補正色素が含まれることを特徴とする、請求項13乃至17のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  19. 前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることを特徴とする、請求項13乃至18のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用複合フィルタの製造方法。
  20. 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことを特徴とする、請求項13乃至19のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  21. 前記複合タングステン酸化物微粒子のM元素が、Cs(セシウム)元素であり、該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することを特徴とする、請求項13乃至20のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
  22. 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする、請求項13乃至21のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法。
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