JP2008208047A - 1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルの製造方法ならびに製造中間体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、農薬や医薬の中間体として有用な化合物である1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルとその製造中間体を製造する方法に関する。
従来、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルは特許文献1に見られるように1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルの4位をクロロメチル化した後、還元条件で脱塩素化によりメチル基を導入して製造する方法が知られている。しかしこの方法は1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルの4位のクロロメチル化反応時に有毒物質ビス(クロロメチル)エーテルが生成するなど問題がある。
また、非特許文献1にはヒドラジノ酢酸メチルとジアセチルとの反応で得られた化合物をナトリウムアルコキシドで反応させ1(H)−ピラゾール化合物を得ている例が見られるが、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを合成している例はない。
特開2001−342178号
ガゼッタ・キミカ・イタリアーナ、1963年、93巻、6号748〜756ページ
また、非特許文献1にはヒドラジノ酢酸メチルとジアセチルとの反応で得られた化合物をナトリウムアルコキシドで反応させ1(H)−ピラゾール化合物を得ている例が見られるが、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを合成している例はない。
上記の通り、既存の方法は、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルの製造方法としては工業生産時の作業者安全面で改善の余地を残している。
このような状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、ピラゾール−5−カルボン酸化合物の4位のクロロメチル化反応を経ることなく、工業原料を使用して安全に1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを製造する方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 式(1):
すなわち、本発明は、
〔1〕 式(1):
(但し、RはC1-4アルキル基を表す)で表されるメチルヒドラジノ酢酸化合物とジアセチルを反応させることを特徴とする式(2):
(但し、Rは前記と同じ意味を表す)で表されるヒドラジノ酢酸エステル誘導体の製造方法。
〔2〕 〔1〕記載のヒドラジノ酢酸エステル誘導体(2)。
〔3〕 〔1〕記載のヒドラジノ酢酸エステル誘導体(2)を塩基存在下に反応させることを特徴とする式(3):
〔2〕 〔1〕記載のヒドラジノ酢酸エステル誘導体(2)。
〔3〕 〔1〕記載のヒドラジノ酢酸エステル誘導体(2)を塩基存在下に反応させることを特徴とする式(3):
(但し、Rは前記と同じ意味を表す)で表される1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルの製造方法。
である。
である。
本発明の製造方法により、農医薬の製造中間体として重要な1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステル類を有毒物質の生成を伴わずに短工程で効率よく製造することが出来る。
式(1)−(3)の化合物において置換基RはC1-4アルキル基を表す。
C1-4アルキル基としては通常、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
C1-4アルキル基としては通常、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
各置換基につき原料事情や合成の簡便さを考慮した場合、Rとしてはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基が好ましいが、特にメチル基およびエチル基が好ましい。
ヒドラジノ酢酸エステル化合物(2)合成反応に用いるジアセチルの使用量は基質の化合物(1)に対して0.8〜5当量が好ましく、特に1〜1.5当量を用いることが最も好ましい。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できるが、無溶媒で反応を行ってもよい。
ヒドラジノ酢酸エステル化合物(2)合成反応に用いるジアセチルの使用量は基質の化合物(1)に対して0.8〜5当量が好ましく、特に1〜1.5当量を用いることが最も好ましい。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できるが、無溶媒で反応を行ってもよい。
本反応の反応温度は0〜150℃が好ましく、特に20〜100℃または溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。
本反応はジアセチルと化合物(1)を混合するだけでも進むが、必要に応じ脱水を促進するために塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸(水和物)などの有機酸、三フッ化ホウ素エーテル錯塩、四塩化チタン、塩化アルミニウムなどのルイス酸、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩基、シリカゲルなどを添加しても良い。
反応で生成した水は塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの結晶水を保持できる無機塩や、モレキュラーシーブなどの脱水剤を添加することで除去することも出来る。また、常圧あるいは減圧下溶媒を用いた共沸脱水によって除去することも出来る。
反応終了後は必要により冷却後、反応液を水洗浄、分液することで目的物の溶液を得ることができ、これを次工程に使用することが出来る。冷却する場合はマイナス5〜30℃の範囲が適切である。
水に混ざるために分液できない溶媒の場合は濃縮して次工程に進めることが出来る。
ヒドラジノ酢酸エステル化合物(2)の環化反応に用いることの出来る塩基としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、メチルエチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムと等の無機塩基等が使用可能である。これらの塩基は単独はもちろん、有機塩基と無機塩基を組み合わせて使用することも可能である。
反応終了後は必要により冷却後、反応液を水洗浄、分液することで目的物の溶液を得ることができ、これを次工程に使用することが出来る。冷却する場合はマイナス5〜30℃の範囲が適切である。
水に混ざるために分液できない溶媒の場合は濃縮して次工程に進めることが出来る。
ヒドラジノ酢酸エステル化合物(2)の環化反応に用いることの出来る塩基としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、メチルエチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムと等の無機塩基等が使用可能である。これらの塩基は単独はもちろん、有機塩基と無機塩基を組み合わせて使用することも可能である。
塩基の使用量は基質のヒドラジノ酢酸エステル化合物(2)に対して0.5〜5当量が好ましく、特に0.5〜2.5当量用いることがさらに好ましい。有機塩基と無機塩基を組み合わせる場合の使用量も合計で0.5〜2.5当量が好ましい。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、無溶媒で反応を行っても良い。
反応温度の範囲は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜100℃または溶媒の沸点の温度で反応することがさらに好ましい。
反応で生成した水は塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの結晶水を保持できる無機塩や、モレキュラーシーブなどの脱水剤を添加することで除去することも出来る。また、常圧あるいは減圧下溶媒を用いた共沸脱水によって除去することも出来る。
反応終了後は通常知られている方法で後処理し蒸留等の方法で1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを単離することが出来る。
化合物(2)の出発物質であるメチルヒドラジノ酢酸化合物(1)はメチルヒドラジンとブロモ酢酸エステル、クロロ酢酸エステルあるいはヨード酢酸エステルなどのハロゲノ酢酸エステル類を用いて、例えばジャーナル・オブ・ファルマシューティカル・サイエンス、1983年、72巻、1213ページ、ジャーナル・フュア・プラクティッシェ・ケミー(ライプツィッヒ)、1962年、17巻、273〜281ページ、あるいはケミカルアブストラクツ、53巻、11176d、を参考にした方法に従い合成できる。
メチルヒドラジンは硫酸塩、塩酸塩、フリー体等いずれの形態でも使用できる。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できるが無溶媒で反応を行っても良い。
反応温度の範囲は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜100℃または溶媒の沸点温度で反応することがさらに好ましい。
メチルヒドラジンの使用量はメチルヒドラジン自体を塩基として用いる場合にはハロゲノ酢酸エステルに対し1〜3当量が好ましいが、2〜2.5当量がさらに好ましい。
メチルヒドラジンの使用量をハロゲノ酢酸エステル類に対して量論量程度に抑えたい場合は塩基としてトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、メチルエチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類等が使用可能である。これらの塩基は単独で使用できるが、有機塩基と無機塩基を組み合わせて使用することも可能である。
反応性の低いクロロ酢酸エステルを使用する場合にはヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム、臭化カリウムや臭化ナトリウム等のハロゲン化物、またはテトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどのヨウ化物イオンあるいは臭化物イオンを有する金属塩や相間移動触媒を添加し反応性をあげて反応させることも可能である。
反応終了後は通常知られている方法で後処理し原料であるヒドラジノ酢酸化合物(1)を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に述べるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕メチルヒドラジン13.8g(0.3モル)をトルエン150ミリリットルに溶解し内温を7から10℃とした。これにブロモ酢酸エチル25.1g(0.15モル)を滴下した後、室温で一晩反応させ(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステルのトルエン溶液を得た。この溶液を、ジアセチル12.9g(0.15モル)をトルエン300ミリリットルに溶解したものに30℃以下で滴下した。室温で2.5時間撹拌し水を加え分液した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち溶媒を留去して2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル23.5gを得た。
〔実施例2〕メチルヒドラジン33.78g(0.732モル)をトルエン300ミリリットルに溶解し反応器内を窒素置換したのち内温を7から10℃とした。これにブロモ酢酸エチル61.1g(0.366モル)をトルエン100ミリリットルに溶解したものを45分かけて滴下した後、室温で一晩反応させた。析出した結晶をろ過し、ろ液を濃縮し(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステル32.3gを得た。
得られた(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステル30.0g(0.227モル)をエタノール200ミリリットルに溶解し5から10℃に冷却した。ジアセチル21.5g(0.250モル)をエタノール100ミリリットルに溶かしたものを滴下し室温で2時間撹拌した。エタノールを留去しトルエン100ミリリットルを加えトルエン層を100ミリリットルの水で2回洗浄した。溶媒を留去し2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル40.9gを得た。
2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル20.0g(0.1モル)をエタノール200ミリリットルに溶解し炭酸カリウム8.28g(0.06モル)を加え6時間還流した。ろ過後溶媒を留去しヘキサン100ミリリットルを加えさらに水を加えて有機物を抽出し分液した。水層はヘキサン100ミリリットルで2回抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル10.4gを得た。
〔実施例3〕窒素置換し塩化カルシウム管を付した3リットル4つ口反応フラスコにトルエン1,150ミリリットルを入れ、これにメチルヒドラジン36.86g(0.8モル)を溶解した。室温でブロモ酢酸エチル66.8g(0.4モル)を滴下した後、40から45℃で5時間加熱撹拌した。氷冷後析出した塩をろ過し、塩をトルエン50ミリリットルで4回洗浄した。生成した(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステルのトルエン溶液に20℃付近で蒸留したジアセチル34.44g(0.4モル)を滴下した。2時間撹拌後ジアセチル3.44g(0.04モル)を追加で滴下しさらに1時間撹拌した。反応液に水1リットルを加え30分撹拌した後、分液しトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後トルエンを減圧回収し、2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル58.37gを得た。
窒素置換し塩化カルシウム管を付した500ミリリットル反応フラスコに上記の2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル30.0g(0.15モル)、エタノール300ミリリットル、ベンゼン10ミリリットルを入れ常圧加熱した。30ミリリットルの留分を採取し系内の水分を除去した。氷冷後、炭酸カリウム20.73g(0.15モル)を投入し4時間加熱還流した。氷冷後減圧下エタノールを回収し、水100ミリリットルを投入した。ノルマルヘキサン100ミリリットルを加え有機物を抽出した。水層はさらにノルマルヘキサン30ミリリットルで2回抽出した。有機層を合し、飽和食塩水で3回洗浄したのち溶媒を回収した。残った油状物を減圧蒸留して1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル18.17gを得た。
〔参考例〕ヒドラジノ酢酸エチルエステル塩酸塩10.0g(64.7ミリモル)をエタノール50ミリリットルに溶解した。これにジアセチル5.6g(64.7ミリモル)、酢酸ナトリウム5.3g(64.7ミリモル)を添加し1時間加熱還流した。溶媒を留去後エーテルで抽出し飽和食塩水で洗浄した。溶媒を留去し2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)アミノ]酢酸エチル10.3(52ミリモル)を得た。このものをエタノール50ミリリットルに溶解しナトリウムエトキシド5.3g(78ミリモル)を添加し2時間加熱還流した。溶媒を留去したのち水を加え塩酸で酸性にし析出した結晶をろ取し3,4−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸4.9gを得た。
3,4−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸2.1g(15ミリモル)をトリブチルアミン6.9g(37.5ミリモル)に溶かしこれに硫酸ジメチル4.7g(37.5ミリモル)を加えた。110℃で4.5時間加熱した1,3,5−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸メチルが得られた。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、無溶媒で反応を行っても良い。
反応温度の範囲は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜100℃または溶媒の沸点の温度で反応することがさらに好ましい。
反応で生成した水は塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの結晶水を保持できる無機塩や、モレキュラーシーブなどの脱水剤を添加することで除去することも出来る。また、常圧あるいは減圧下溶媒を用いた共沸脱水によって除去することも出来る。
反応終了後は通常知られている方法で後処理し蒸留等の方法で1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを単離することが出来る。
化合物(2)の出発物質であるメチルヒドラジノ酢酸化合物(1)はメチルヒドラジンとブロモ酢酸エステル、クロロ酢酸エステルあるいはヨード酢酸エステルなどのハロゲノ酢酸エステル類を用いて、例えばジャーナル・オブ・ファルマシューティカル・サイエンス、1983年、72巻、1213ページ、ジャーナル・フュア・プラクティッシェ・ケミー(ライプツィッヒ)、1962年、17巻、273〜281ページ、あるいはケミカルアブストラクツ、53巻、11176d、を参考にした方法に従い合成できる。
メチルヒドラジンは硫酸塩、塩酸塩、フリー体等いずれの形態でも使用できる。
反応に用いる溶媒としては本反応に不活性な溶媒であれば使用可能であるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒類、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できるが無溶媒で反応を行っても良い。
反応温度の範囲は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜100℃または溶媒の沸点温度で反応することがさらに好ましい。
メチルヒドラジンの使用量はメチルヒドラジン自体を塩基として用いる場合にはハロゲノ酢酸エステルに対し1〜3当量が好ましいが、2〜2.5当量がさらに好ましい。
メチルヒドラジンの使用量をハロゲノ酢酸エステル類に対して量論量程度に抑えたい場合は塩基としてトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、メチルエチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類等が使用可能である。これらの塩基は単独で使用できるが、有機塩基と無機塩基を組み合わせて使用することも可能である。
反応性の低いクロロ酢酸エステルを使用する場合にはヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム、臭化カリウムや臭化ナトリウム等のハロゲン化物、またはテトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどのヨウ化物イオンあるいは臭化物イオンを有する金属塩や相間移動触媒を添加し反応性をあげて反応させることも可能である。
反応終了後は通常知られている方法で後処理し原料であるヒドラジノ酢酸化合物(1)を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に述べるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕メチルヒドラジン13.8g(0.3モル)をトルエン150ミリリットルに溶解し内温を7から10℃とした。これにブロモ酢酸エチル25.1g(0.15モル)を滴下した後、室温で一晩反応させ(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステルのトルエン溶液を得た。この溶液を、ジアセチル12.9g(0.15モル)をトルエン300ミリリットルに溶解したものに30℃以下で滴下した。室温で2.5時間撹拌し水を加え分液した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち溶媒を留去して2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル23.5gを得た。
〔実施例2〕メチルヒドラジン33.78g(0.732モル)をトルエン300ミリリットルに溶解し反応器内を窒素置換したのち内温を7から10℃とした。これにブロモ酢酸エチル61.1g(0.366モル)をトルエン100ミリリットルに溶解したものを45分かけて滴下した後、室温で一晩反応させた。析出した結晶をろ過し、ろ液を濃縮し(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステル32.3gを得た。
得られた(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステル30.0g(0.227モル)をエタノール200ミリリットルに溶解し5から10℃に冷却した。ジアセチル21.5g(0.250モル)をエタノール100ミリリットルに溶かしたものを滴下し室温で2時間撹拌した。エタノールを留去しトルエン100ミリリットルを加えトルエン層を100ミリリットルの水で2回洗浄した。溶媒を留去し2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル40.9gを得た。
2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル20.0g(0.1モル)をエタノール200ミリリットルに溶解し炭酸カリウム8.28g(0.06モル)を加え6時間還流した。ろ過後溶媒を留去しヘキサン100ミリリットルを加えさらに水を加えて有機物を抽出し分液した。水層はヘキサン100ミリリットルで2回抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル10.4gを得た。
〔実施例3〕窒素置換し塩化カルシウム管を付した3リットル4つ口反応フラスコにトルエン1,150ミリリットルを入れ、これにメチルヒドラジン36.86g(0.8モル)を溶解した。室温でブロモ酢酸エチル66.8g(0.4モル)を滴下した後、40から45℃で5時間加熱撹拌した。氷冷後析出した塩をろ過し、塩をトルエン50ミリリットルで4回洗浄した。生成した(1−メチルヒドラジノ)酢酸エチルエステルのトルエン溶液に20℃付近で蒸留したジアセチル34.44g(0.4モル)を滴下した。2時間撹拌後ジアセチル3.44g(0.04モル)を追加で滴下しさらに1時間撹拌した。反応液に水1リットルを加え30分撹拌した後、分液しトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後トルエンを減圧回収し、2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル58.37gを得た。
窒素置換し塩化カルシウム管を付した500ミリリットル反応フラスコに上記の2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)メチルアミノ]酢酸エチル30.0g(0.15モル)、エタノール300ミリリットル、ベンゼン10ミリリットルを入れ常圧加熱した。30ミリリットルの留分を採取し系内の水分を除去した。氷冷後、炭酸カリウム20.73g(0.15モル)を投入し4時間加熱還流した。氷冷後減圧下エタノールを回収し、水100ミリリットルを投入した。ノルマルヘキサン100ミリリットルを加え有機物を抽出した。水層はさらにノルマルヘキサン30ミリリットルで2回抽出した。有機層を合し、飽和食塩水で3回洗浄したのち溶媒を回収した。残った油状物を減圧蒸留して1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル18.17gを得た。
〔参考例〕ヒドラジノ酢酸エチルエステル塩酸塩10.0g(64.7ミリモル)をエタノール50ミリリットルに溶解した。これにジアセチル5.6g(64.7ミリモル)、酢酸ナトリウム5.3g(64.7ミリモル)を添加し1時間加熱還流した。溶媒を留去後エーテルで抽出し飽和食塩水で洗浄した。溶媒を留去し2−[(1−アザ−2−メチル−3−オキソブト−1−エニル)アミノ]酢酸エチル10.3(52ミリモル)を得た。このものをエタノール50ミリリットルに溶解しナトリウムエトキシド5.3g(78ミリモル)を添加し2時間加熱還流した。溶媒を留去したのち水を加え塩酸で酸性にし析出した結晶をろ取し3,4−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸4.9gを得た。
3,4−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸2.1g(15ミリモル)をトリブチルアミン6.9g(37.5ミリモル)に溶かしこれに硫酸ジメチル4.7g(37.5ミリモル)を加えた。110℃で4.5時間加熱した1,3,5−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸メチルが得られた。
本発明の製造方法は、農薬や医薬の製造中間体として有用な化合物である1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステル類を有毒物質を生成させずに短工程で効率的に製造する方法として有用である。
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