JP2008197395A - 光学機能層用組成物、該光学機能層用組成物を用いた光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学機能層用組成物、該光学機能層用組成物を用いた光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異物故障がなく、十分な耐擦性、光学特性を備えた光学フィルムを得ることができる。
【解決手段】
フルオロカーボン又はジメチルシロキサンを含有する硬化性化合物と、酸触媒と、溶媒とを備えた光学機能層用組成物において、前記溶媒は、前記硬化性化合物を溶解する親油性溶媒と、前記酸触媒とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素とで形成される塩であって、前記親油性溶媒に不溶な塩を溶解する親水性溶媒と、を少なくとも含む混合溶媒である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学機能層用組成物、該光学機能層用組成物を用いた光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置に係り、特に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極間表示装置(CRT)等の表示装置に用いられる反射防止性及び視認性に優れた反射防止フィルムや偏光フィルムを提供するための光学機能層用組成物に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極間表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラストの低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、透明な基材フィルムの最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合によっては該低屈折率層と基材フィルムとの間に高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層、防眩層、帯電防止層、光拡散層等を形成することにより作製される。低屈折率層としては、低い反射率を実現するために、できるだけ屈折率が低い材料が望まれる。また反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため、耐擦傷性が要求される。たとえば、厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度が必要である。
材料の屈折率を下げる方法としては、(1)フッ素原子を導入する、(2)密度を下げる(空隙を導入する)という方法が提案されているが、いずれの方法も皮膜強度や下層との界面の密着性が低下し、耐擦傷性が低下するという問題があり、低い屈折率と高い耐擦傷性の両立は困難であった。
この対策としては、例えば、特許文献1には、光散乱層を構成する透光性粒子の粒径や低屈折率層の構成ポリマー中のフッ素含有率や屈折率を調整することにより、高い反射防止性、耐擦傷性を両立する方法が提案されている。
特開2005−148623号公報
しかしながら、低屈折率層用塗布液を透明支持体上又は上記機能層上に塗布するとき、低屈折率層の塗布膜面に異物が生じることが問題であった。このような異物は、反射防止フィルムの外観特性(表示品位)に悪影響を及ぼすため、極力低減する必要がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、異物故障がなく、十分な耐擦性、光学特性を備えた光学フィルムを得るための光学機能層用組成物、該光学機能層用組成物を用いた光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、フルオロカーボン又はジメチルシロキサンを含有する硬化性化合物と、酸触媒と、溶媒とを備えた光学機能層用組成物において、前記溶媒は、前記硬化性化合物を溶解する親油性溶媒と、前記酸触媒とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素とで形成される塩であって、前記親油性溶媒に不溶な塩を溶解する親水性溶媒と、を少なくとも含む混合溶媒であることを特徴とする光学機能層用組成物を提供する。
本発明者らは、上記異物の発生原因について鋭意検討した結果、異物の発生原因が、光学機能層を形成する際の硬化反応を促進するために、該光学機能層用塗布液中に含有される酸触媒と、該塗布液中にコンタミネーションとして微量だけ存在するアルカリ金属又はアルカリ土類金属と、により形成される(塗布液中の溶剤に対して)不溶な塩であることを見出した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、請求項1によれば、光学機能層用塗布液中に、前記不溶な塩を溶解させる親水性溶媒を含有させるので、前記不溶な塩を塗布液中に溶解させることができ、異物が生じるのを抑制できる。これにより、透明支持体上に、異物故障のない光学機能層を形成できる。
請求項2は請求項1において、前記アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素は、コンタミネーションとして前記光学機能層用組成物に含有されることを特徴とする。
請求項3は請求項1又は2において、前記親水性溶媒は、アルコールであることを特徴とする。
請求項3によれば、アルコールは、前記不溶な塩を良好に溶解できるので、異物欠陥の原因となる異物の発生を抑制できる。なお、アルコールには、1価アルコール又は2価アルコールが含まれる。
請求項4は請求項1〜3の何れか1項において、前記親水性溶媒は、メタノール又はエタノールであることを特徴とする。
このように、炭素数が少ないアルコールは親水性が特に高く、前記不溶な塩を溶解し易いので好ましい。
請求項5は請求項1〜4の何れか1項において、前記親水性溶媒は、前記光学機能層用組成物中の全溶媒量に対して5〜20質量%含まれることを特徴とする。
請求項5によれば、光学機能層用組成物中の全溶媒量に対して、親水性溶媒が5質量%未満であると、不溶な塩を溶解する効果が充分ではなく、20質量%を超えると、硬化性化合物を溶解しにくく、充分な耐擦性が得られなくなり好ましくない。また、親水性溶媒は、光学機能層用組成物中の全溶媒量に対して8〜12質量%含まれることがより好ましい。
請求項6は請求項1〜5の何れか1項において、前記アルカリ土類金属は、マグネシウムであることを特徴とする。
請求項7は、光学フィルムが、透明支持体上に請求項1〜6の何れか1項に記載の光学機能層用組成物を塗設してなる光学機能層を有することを特徴とする。
請求項7によれば、光学機能層用組成物中に異物が生じるのを抑制でき、異物欠陥のない光学フィルムを得ることができる。
請求項8は請求項7において、前記光学フィルムが、前記光学機能層として低屈折率層を備えた反射防止フィルムであることを特徴とする。
これにより、反射防止性に優れ、均一な面質の反射防止フィルムを得ることができる。
請求項9は請求項8において、前記光学フィルムが、前記光学機能層に無機粒子を含有する反射防止フィルムであることを特徴とする。
請求項10は請求項7〜9の何れか1項において、前記光学フィルムは、前記透明支持体上に少なくとも1層のハードコート層と、前記低屈折率層と、を備えた反射防止フィルムであることを特徴とする。
本発明の請求項11は前記目的を達成するために、請求項7〜10の何れか1項に記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする偏光板を提供する。
本発明の請求項12は前記目的を達成するために、請求項7〜10の何れか1項に記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置を提供する。
本発明によれば、異物故障がなく、十分な耐擦性、光学特性を備えた光学フィルムを得ることができる。
以下、本発明に係る光学機能層用組成物、該光学機能層用組成物を用いた光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置の好ましい実施の形態について説明する。なお、本実施形態では、光学フィルムが、低屈折率層(光学機能層)を備えた反射防止フィルムである例について説明するが、これに限定されるものではない。
本発明に係る光学フィルムは、透明な基材フィルム(透明支持体)上に、必要に応じてハードコート層を有し、その上に、光学干渉によって反射率を減少させる低屈折率層を有している。これらの層は、屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層される。
光学フィルムの最も単純な例としては、基材フィルム上に低屈折率層のみを塗設した構成である。さらに、反射率を低下させるには、反射防止層を基材フィルムよりも屈折率の高い高屈折率層と、基材フィルムよりも屈折率の低い低屈折率層とを組み合わせて構成することが好ましい。このような構成の例としては、基材フィルム側から高屈折率層/低屈折率層の順に2層を形成したものや、屈折率の異なる3層を中屈折率層(基材フィルム又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、さらに多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材フィルム上に中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
以下に、本発明の光学フィルムの好ましい構成の例を示す。
基材フィルム/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/巾屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明における光学フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特に上記の構成に限定されない。ハードコート層は、防眩機能を有する防眩性ハードコート層でもよく、或いは防眩機能がなく、光拡散機能を有する光拡散性ハードコート層でもよい。さらに、高屈折率層や中屈折率層は、防眩機能やハードコート機能、光拡散機能を有するものでもよい。また、帯電防止層は、導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子(例えば、SnO、ITO)を含有することが好ましい。このような導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子は、塗布又は大気圧プラズマ処理等により設けることができる。
以下、低屈折率層用組成物(低屈折率層を形成するための各種材料)、及びハードコート層用組成物、及びその他光学フィルムの構成材料について説明する。
[低屈折率層用組成物]
低屈折率層は、低屈折率バインダー成分としての含フッ素共重合体(フルオロカーボンを含む硬化性化合物)と、ポリシロキサン構造を有する重合体(ジメチルシロキサンを含む硬化性化合物)と、ハードコート性や耐擦傷性、屈折率、表面凹凸等を付与するためのフィラー(微粒子を含む)と、を備えて構成される。
含フッ素共重合体を含むバインダー成分は、低屈折率層中の全固形分に対して60質量%以上含有されることが好ましく、70質量%以上含有されることがより好ましく、80質量%以上含有されることが更に好ましい。低屈折率層の屈折率を低くし、かつ低屈折率層の硬度を高くする観点から、多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も、相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが更に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のへイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を向上するために、該光学フィルムの表面の水に対する接触角が90°以上であることが好ましく、95°以上であることがより好ましく、100°以上であることが更に好ましい。
次に、本発明で用いられる含フッ素共重合体について説明する。
含フッ素共重合体としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2-テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマーの重合単位と架橋反応性付与のための重合単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素共重合体の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM-2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための重合単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる重合単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる重合単位、これらの重合単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した重合単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」等の記載は、「アクリレート又はメタクリレート」の意味を表す。
また、上記含フッ素モノマーの重合単位、架橋反応性付与のための重合単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーの重合単位を共重合体成分とすることもできる。併用可能なモノマーとしては、特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
含フッ素共重合体は、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類又はビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位は、ポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、30〜60mol%を占めていることがより好ましい。
次に、本発明で用いられるポリシロキサン構造を有する重合体について説明する。
低屈折率層の防汚性を向上させ、反射防止膜表面の表面自由エネルギーを下げる観点から、ポリシロキサン構造を有する重合体を低屈折率層に含有させることが好ましい。
ポリシロキサン構造を有する重合体としては、特に限定はないが、下記化学式[1]や[2]に示されるような、側鎖にポリシロキサンセグメントを有するグラフトポリマーが好ましい。
Figure 2008197395
Figure 2008197395
一般式[1]で表されるポリシロキサンセグメントを側鎖に有するグラフトポリマーは、特にその主鎖構造に制限はないが、エチレン性不飽和基を重合させた構造を有することが好ましく、ポリシロキサンセグメントと主鎖とは直接結合していてもよく、適当な連結基を介して結合していても良い。
一般式[1]中、R、Rは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基を表わす。R、Rは同一であっても異なっていてもよい。アルキル基としては、炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。R、Rにおいて置換していても良い置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル)、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。pは10〜500の整数を表わし、50〜300であることが好ましく、100〜250であることがより好ましい。
側鎖に一般式[1]で表わされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載の如く、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基又は酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサンを高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成されるが、シリコンマクロマーの重合によって導入する方法が特に好ましい。
シリコンマクロマーとしては、その重合性基に特に制限はないが、一般式[2]で表されるような構造が好ましく、一般式[2]においてR,R,pは一般式[1]と同じ意味を表す。R〜Rは、それぞれ、置換又は無置換の1価の有機基又は水素原子を表わし、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)を表わし、より好ましくはフェニル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。R〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R〜Rの好ましい置換基としては、R,Rの置換基として挙げたものと同じである。Rは、水素原子又はメチル基を表わす。Lは、単結合又は2価の連結基を表し、炭素数1〜25からなるものが好ましく、重合可能なビニル基を連結できるものであれば特に制限はない。
以下に、本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合単位(繰り返し単位)の好ましい例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008197395
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また、ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF-100T、X−22−169AS、KF−102、X−22−3701IE、X−22−164B,X−22−5002、X−22−173B、X−22−174D、X−22−167B、X−22−161AS(以上、商品名、信越化学工業社製)、AK−5、AK−30、AK−32(以上、商品名、東亜合成社製)、サイラプレーンFM0725、サイラプレーンFM0721(以上、商品名、チッソ社製)等)を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは、低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、1〜5質量%で添加されることがより好ましい。
次に、本発明に使用されるフィラーについて説明する。
本発明に使用されるフィラーとしては、特に限定されないが、強度が高く、屈折率の選択幅が広く、無色性が高い観点から、無機微粒子、特に無機酸化微粒子が好ましい。
低屈折率層の全固形分に対する無機微粒子の含有量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、5mg/m〜80mg/mがより好ましく、10mg/m〜60mg/mが更に好ましい。無機微粒子の含有量が少なすぎると耐擦傷性の改善効果が小さく、無機微粒子の含有量が多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、窯の締まり等の外観や積分反射率が悪化する。
無機微粒子は、低屈折率層に含有させる観点から、低屈折率のものが好ましい。無機微粒子の具体例としては、シリル化処理により分散性が改善されている無機酸化物粒子又は中空無機酸化物粒子であり、かつ低屈折率のものが好ましく使用される。たとえば、シリカ又は中空シリカの微粒子が挙げられる。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚さの30%以上150%以下が好ましく、35%以上80%以下がより好ましく、40%以上60%以下が更に好ましい。すなわち、低屈折率層の厚さが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、35nm以上80nm以下がより好ましく、40nm以上60nm以下が更に好ましい。無機微粒子は、結晶質、アモルファスのいずれでもよく、単分散粒子、所定の粒径を満たす範囲であれば凝集粒子でもよい。無機微粒子の形状は、球形が最も好ましいが、不定形であってもよい。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、1.17〜1.35がより好ましく、1.17〜1.30が更に好ましい。ここでの屈折率は、粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。このとき、粒子内の空腔の半径をaとし、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(II)で表される。
(数式II)
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
空隙率xは、10〜60%が好ましく、20〜60%がより好ましく、30〜60%が更に好ましい。
上記含フッ素共重合体、ポリシロキサン構造を有する重合体、無機微粒子等を含む低屈折率層用組成物は、必要に応じて各種添加剤及びラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が含まれ、更にこれらを適当な溶媒(親油性溶媒)に溶解されて塗布液として調製される。
低屈折率層を形成するための塗布液の溶媒組成としては、単独及び混合のいずれでもよく、全溶媒中、沸点が100℃以下の溶媒が50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが更に好ましい。沸点が100℃以下の溶媒が50質量%以下であると、乾燥速度が非常に遅くなり、塗布面状が悪化し、塗布膜厚にもムラが生じるため、反射率などの光学特性も悪化する虞があり、好ましくない。本発明では、沸点が100℃以下の溶媒を多く含む塗布液を用いることが好ましく、上記含フッ素共重合体、ポリシロキサン構造を有する重合体等の溶解性が高いメチルエチルケトン等がより好ましい。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃、以下「℃」を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−ブタノン(=メチルエチルケトン、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、等がある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(=MIBK、115.9)、1−ブタノール(117.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、 N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノン、である。
上記低屈折率層用組成物を前述の組成の溶媒で希釈することにより、それらの層用塗布液が調製される。
低屈折率層は、低屈折率層用塗布液を触媒の存在下で重合反応(硬化)させることにより形成される。このような触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類や、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類が好ましく使用できる。中でも、無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸等が好ましい。
このため、低屈折率層用塗布液中には酸触媒が含まれているが、この酸触媒と、塗布液中に微量に存在するアルカリ金属又はアルカリ土類金属(特に、マグネシウム等)との反応により、塗布液中の主溶媒(メチルエチルケトン等)に不溶な塩が形成される。この不溶な塩は、低屈折率用塗布液を塗布する際、異物欠陥を発生させる原因となる。このアルカリ金属やアルカリ土類金属が低屈折率層用塗布液中に存在する原因としては、低屈折率層用塗布液を構成する材料に従来含まれている場合や、製造過程で混入する場合もあり、いずれにせよ明らかではない。
そこで、本発明では、前記不溶な塩を溶解する親水性溶媒を、低屈折率層用組成物に添加することがポイントである。
このような親水性溶媒としては、前記不溶な塩を溶解できる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、アルコールが好ましい。
アルコールとしては、例えば、1価アルコール又は2価アルコールが挙げられ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、:n-プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。中でも、メタノール、エタノールがより好ましい。
低屈折率用塗布液を構成する全溶媒に対する親水性溶媒の含有量は、5〜20質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。親水性溶媒が5質量%未満であると、不溶な塩を溶解する効果が充分ではなく、20質量%を超えると、硬化性化合物を溶解しにくくなるため硬化が不足し、充分な耐擦性が得られなくなり好ましくない。
[ハードコート層用組成物]
本発明の光学フィルムは、防眩性ハードコート層を有することが好ましい。防眩性ハードコート層は、バインダー成分、防眩機能や光拡散機能を付与するためのマット粒子、架橋収縮を防止し、高屈折率化、高強度化するための無機フィラー等を含んで構成される。
バインダー成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性等の点で好ましい。バインダー成分は、無機フィラーを除く皮膜形成成分のうち、10質量%以上含有されることが好ましく、20質量%以上100質量%以下含有されることがより好ましく、30質量%以上95%以下含有されることが更に好ましい。
このようなバインダー成分としては、飽和炭化水素鎖又はポリエ−テル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが更に好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
高屈折率にするには、上記モノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。なお、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニルー4′−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
光ラジカル重合開始剤は、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、これらも使用できる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、l〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−フチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
熱ラジカル開始剤の具体例としては、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
また、バインダーポリマーとして、ポリエーテルを主鎖とするポリマーを使用することもできるが、この場合、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤又は熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。これにより、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤又は熱酸発生剤、マット粒子及び無機フィラーを含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布した後、電離放射線又は熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層は、防眩性を付与する目的で、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有させることができる。マット粒子とバインダーポリマー間の屈折率の差は、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることがより好ましい。これは、マット粒子とバインダーポリマー間の屈折率の差は、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果を得ることができないためである。
上記と同様の理由から、バインダーポリマーに対するマット粒子の添加量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
マット粒子としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく使用できる。なかでも、架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子等が好ましい。マット粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。
また、異なる2種以上のマット粒子を併用することもできる。異なる2種類以上のマット粒子を併用する場合は、両者の混合による屈折率の制御を効果的に行うために、屈折率の差が0.02以上0.10以下であることが好ましく、0.03以上0.07以下であることがより好ましい。
マット粒子の粒子径分布は、単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近いほどよい。たとえば、平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。このような好ましい粒子径分布を有するマット粒子は、通常の合成反応後に分級によって得られ、分級の回数を上げたり、その程度を強くしたりすることにより得ることができる。
上記マット粒子は、ハードコート層中に10〜1000mg/m含まれることが好ましく、100〜700mg/m含まれることがより好ましい。
マット粒子の粒度分布は、コールターカウンター法により測定された分布を、粒子数分布に換算することにより算出される。
ハードコート層は、屈折率を向上させ、かつ硬化収縮を低減する目的で、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。
また、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いたハードコート層では層の屈折率を低く維持するためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機微粒子と同じである。
ハードコート層に用いられる無機フィラーとしては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO,SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられ、中でもTiO及びZrOが、高屈折率化の点で好ましい。このような無機フィラーは、表面をシリル化剤又はバインダーポリマーと反応する官能基を有する表面処理剤で処理することが好ましい。
無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量に対して10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることが更に好ましい。
このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じない。このため、バインダーポリマーに上記無機フィラーを分散させた分散体は、光学的に均一な物質として機能する。
バインダーポリマー及び無機フィラーの混合物を含む防眩性ハードコート層のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、1.50〜1.80であることがより好ましい。バインダーポリマー及び無機フィラーの種類や含有量を適宜調整することにより、屈折率を上記範囲にすることができる。
このようにして形成された本発明の光学フィルムは、へイズ値が3〜70%、好ましくは4〜60%であり、450nmから650mmの平均反射率が3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。これにより、透過画像の劣化を伴うことなく、良好な防眩性及び反射防止性を有する光学フィルムを得ることができる。
[支持体]
本発明の光学フィルムに使用される透明支持体としては、プラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フィルム社製TAC−TD80U,TD80UF等)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、等が挙げられる。このうち、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム及びその製造法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下、公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、該記載されたセルロースアシレートも好ましく使用できる。
以下、本発明の光学フィルム(反射防止フィルム)の製造方法の一例について説明するが、以下の方法に限定されるものではない。
[光学機能層形成方法]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液をそれぞれ調製する。これらの塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)等により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射及び(又は)加熱し、各層が形成される。
これらの塗布方式のうち、反射防止膜の各層を高い膜厚均一性で薄層塗布できるグラビアコート法が好ましい。グラビアコート法の中でも、より高い膜厚均一性で薄層塗布できるマイクログラビア法がより好ましい。また、ダイコート法は、塗布液を高い膜厚均一性で薄層塗布できるだけでなく、前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、塗布部における溶剤の蒸散が少ない点で好ましい。反射防止膜を構成する各層は、2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布する方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
ここで、防眩性ハードコート層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウェット膜厚として1〜20μmの範囲で塗布することが好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、上記防眩性ハードコート層上にウェット膜厚として1〜10μmの範囲で塗布することが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布することがより好ましい。
本発明では、低屈折率層用塗布液に親水性溶媒(アルコール)を添加しているので、塗布液中に含まれる酸触媒と、微量のアルカリ金属又はアルカリ土類金属(マグネシウム等)とにより形成される不溶な塩を溶解することができ、塗布液中に異物が生じるのを抑制できる。したがって、低屈折率層を防眩性ハードコート層上に形成する際、不溶な塩に起因する異物欠陥が生じるのを防止することができる。
なお、本発明では、不溶な塩が形成されうる塗布液で、該不溶な塩を溶解させる方法について述べたが、これに限定されず、不溶な塩自体を形成させない方法、例えば、塗布液中にマグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含有されないように塗布液を処方する方法や、該アルカリ金属又はアルカリ土類金属と反応しても主溶媒(親油性溶媒)に不溶な塩を形成しない酸触媒を使用する方法等を採用することもできる。
[鹸化処理]
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、該光学フィルムの片面に粘着層を設けるなどして、ディスプレイの最表面に配置する。トリアセチルセルロースは、偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとして使用できるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムとして使用することがコスト上好ましい。
本発明の光学フィルムは、ディスプレイの最表面に配置されたり、偏光板用保護フィルムとして使用されたりする際の被接着面の接着性を高めるために、透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
光学フィルムの被接着面の親水化は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を向上させる上で特に有効である。また、被接着面の親水化は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と光学フィルムの間に塵嬢が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止する上でも有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面に実施するが、このとき、水に対する接触角が40°以下となるようにするのが好ましく、30°以下がより好ましく、20°以下が更に好ましい。
アルカリ鹸化処理の具体的方法としては、以下の(1)及び(2)の2つの方法が挙げられる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)の方法が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、該反射防止膜面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題となる。この場合、特別な工程が必要となるが、(2)の方法が優れている。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前又は後に、アルカリ液を該光学フィルムの光学フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱・水洗及び(又は)中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に使用されることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等を防止でき、耐傷性・防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は、以下の方法により作成される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ、張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持手段の長手方向の進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口おけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70°傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に、45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
本発明の光学フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印力時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech、Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の光学フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報等に記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が、液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。このため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されている。これに関しては、多数の文献に記載がある。例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)等に記載されている。
特に、TNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムのうち、本発明の光学フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚さで、反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、コンタミネーションを模擬してマグネシウムを0.4ppm添加し、熱架橋性含フッ素ポリマー溶液の熱硬化反応を促進させるための酸触媒を塗布液全体に対して0.2質量%含有させた低屈折率層用塗布液に、親水性溶媒としてアルコールを添加した場合(本発明)と添加しなかった場合(従来)について、異物の発生の有無について調べた。
なお、低屈折率層形成用塗布液に含まれる親油性溶媒としては、メチルエチルケトン及び(又は)シクロヘキサノンを使用し、親水性溶媒としては、メタノール、エタノール等の1価のアルコールを使用した。
さらに、異物故障の原因となる異物が、低屈折率層形成用塗布液中にコンタミネーションとして含まれるマグネシウム、及び酸触媒によるものかどうかについて検証した。
以下、各層の塗布液の調製、塗設及び評価方法について説明する。
(防眩性ハードコート層形成用塗布液Aの調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)50kgをトルエン38.5kgとシクロヘキサノン31.7kgで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2kg添加し、混合攪拌した。さらに、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を1.5kg及び平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を13.0kg加え、最後に、下記化学式[1]で表されるフッ素系表面改質剤(FP−132)0.75kg、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10kg加え、完成液とした。
化学式[3]
Figure 2008197395
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層形成用塗布液Aを調製した。
防眩性ハードコート層形成用塗布液Aの固形分濃度は45質量%であった。
(光拡散性ハードコート層形成用塗布液Bの調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:JSR(株)製)100kgにジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)31kgを混合した。この混合組成物に、予めポリトロン分散機にて5000rpmで3時間分散した粒子径3.0μmの架橋アクリレート粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液を11.3kgと1.5μmのシリカ粒子の30%メチルエチルケトン分散液を29.7kg加え、最後に、メチルエチルケトン20.7kg、メチルイソブチルケトン23.9kg及びシランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10kg加え、完成液とした。
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散性ハードコート層形成用塗布液Bを調製した。
光拡散性ハードコート層形成用塗布液Bの固形分濃度は50質量%であった。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加えて混合した後、イオン交換水30部を加えた。さらに、前記溶液を60℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。
質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。ゾル液aの固形分は30重量%になるようメチルエチルケトンで調整した。
(熱硬化性含フッ素ポリマー溶液Cの調整)
下記のように製造した含フッ素シリコーン熱硬化性ポリマーを、主要剤をメチルエチルケトンとして固形分濃度6%となるように調製した。
<含フッ素シリコーン熱硬化性ポリマーの製造方法>
内容積2.0Lの電磁撹拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル(EVE)48.7g、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)26.4g、ノニオン性反応性乳化剤としてアデカリアソープNE−30(旭電化工業株式会社製)20.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとしてVPS−1001(和光純薬工業株式会社製)3.0g及び過酸化ラウロイル(LPO)1.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。次いで、ヘキサフロロプロピレン(HFP)120gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は6.1kgf/cm2を示した。その後、60℃で20時間撹拌下に反応を継続し、圧力が2.5kgf/cm2に低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い221gの含フッ素共重合体(含フッ素シリコーン熱硬化性ポリマー)を得た。
(熱硬化性含フッ素ポリマー溶液Dの調整)
下記のように製造したフッ素含有オレフィン係重合体を、主要剤をメチルエチルケトンとして固形分濃度6%となるように調整した。
<フッ素含有オレフィン系重合体の製造方法>
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)75.4g、エチルビニルエーテル34g、ヒドロキシエチルビニルエーテル41.6g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)50g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)7.5g及び過酸化ラウロイル1.25gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで、ヘキサフロロプロピレン99.1gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×10Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×10Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度31%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールと水の混合溶媒に投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gのフッ素含有オレフィン系重合体を得た。
そして、以下のように処方を変えて、低屈折率層形成用塗布液を作製した。
(低屈折率層形成用塗布液C−1の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)2.3kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、メタノール(親水性溶媒)3.8kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−1を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−1の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは87/3/10であり、全溶剤中のアルコール含量は10質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−2の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)2.3kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、エタノール(親水性溶媒)3.8kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−2を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−2の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/エタノールは87/3/10であり、全溶剤中のアルコール含量は10質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−3の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)2.3kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、n−ブタノール(親水性溶媒)3.8kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−3を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−3の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは87/3/10であり、全溶剤中のアルコール含量は10質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−4の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)4.2kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、メタノール(親水性溶媒)1.9kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−4を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−4の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは92/3/5であり、全溶剤中のアルコール含量は5質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−5の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)4.9kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、メタノール(親水性溶媒)1.2kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−5を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−5の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは94/3/3であり、全溶剤中のアルコール含量は3質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−6の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、メタノール(親水性溶媒)6.1kg、12nmシリカ微粒子分散液(メタノールシリカゾル、固形分濃度30%、主溶剤メタノール、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過したところフィルターのろ過圧が上昇したが、フィルターを交換して低屈折率層形成用塗布液C−6を調製した。
低屈折率層形成用塗布液C−6の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは76/3/21であり、全溶剤中のアルコール含量は21質量%であった。
(低屈折率層形成用組成物D−1の調製)
酸触媒を含む屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液D30kgにシクロヘキサノン(親油性溶媒)1.1kg、メタノール(親水性溶媒)2.8kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)1.5kg、12nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)1.3kg、及びゾル液a0.6kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用組成物D−1を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液D−1の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノン/メタノールは89/3/8であり、全溶剤中のアルコール含量は8質量%であった。
(低屈折率層形成用組成物D−2の調製)
酸触媒を含む屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液D30kgに、メタノール(親水性溶媒)3.9kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)1.5kg、12nmシリカ微粒子分散液(IPA−ST、固形分濃度30%、主溶剤イソプロパノ−ル、日産化学工業(株)製)1.3kg、及びゾル液a0.6kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用組成物D−2を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液D−2の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/メタノール/イソプロパノ−ルは86/11/3であり、全溶剤中のアルコール含量は14質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−7の調製)
酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)6.1kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−7を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−7の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノンは97/3であり、全溶剤中のアルコール含量は0質量%であった。
(低屈折率層形成用組成物D−3の調製)
酸触媒を含む屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液D30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)2.8kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.1kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)1.5kg、12nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)1.3kg、及びゾル液a0.6kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用組成物D−3を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液D−3の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノンは97/3であり、全溶剤中のアルコール含量は0質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−8の調製)
酸触媒を含まない屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)6.1kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−8を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−8の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノンは97/3であり、全溶剤中のアルコール含量は0質量%であった。
(低屈折率層形成用塗布液C−9の調製)
コンタミネーションとしてマグネシウムを含まず、酸触媒を含む屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー溶液C30kgに、メチルエチルケトン(親油性溶媒)6.1kg、シクロヘキサノン(親油性溶媒)1.2kg、45nmシリカ微粒子分散液(MEK−ST−L、固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン、日産化学工業(株)製)3.1kg、及びゾル液a(固形分濃度30%、主溶剤メチルエチルケトン)1.5kgを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液C−9を調製した。フィルターのろ過圧の変化はなかった。
低屈折率層形成用塗布液C−9の固形分濃度は7.6質量%であり、溶剤比率MEK/シクロヘキサンノンは97/3であり、全溶剤中のアルコール含量は0質量%であった。
[実施例1]反射防止フィルムの作製と評価
(ハードコート層の塗設)
透明支持体として80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フィルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、表に記載のハードコート層(防眩性ハードコート層又は光拡散性ハードコート層)形成用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布した。
次いで、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩性ハードコート層又は光拡散性ハードコート層を形成し、巻き取った。
各種ハードコート層の厚さは、防眩性ハードコート層形成用塗布液Aを塗布した場合は6μmであり、光拡散性ハードコート層形成用塗布液Bを塗布した場合は3.4μmであった。
(低屈折率層の塗設)
該ハードコート層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層形成用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度20m/分の条件で塗布した。
次いで、120℃で75秒乾燥の後、更に10分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量240mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(反射防止フィルム試料の作成)
各低屈折率層形成用塗布液について、図1の表に示すように、上記塗設方法により反射防止フィルム試料(本発明試料No.1〜8、比較試料No.1〜4)を作製した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
製膜後、前記各試料について、以下の処理を行った。1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。 作製した試料を上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。 最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済みハードコートフィルム及び反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルムの評価)
得られたこれらの試料について、以下の項目の評価を行った。結果を図1の表に示した。
(1)異物欠陥個数評価
1.34m×20.00mの大きさの試料を透過光で目視観察して、異物による欠陥個数を数えた。
(2)スチールウール擦り耐性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm
、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復とした。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○ :非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
× :中程度の傷が見える。
××:一目見ただけで分かる傷がある。
(3)乾燥ムラ評価
試料の光学機能層が塗設されていない側に油性黒インクを塗り、反射光で目視観察して、乾燥ムラの度合いを以下の基準で評価した。
◎ :非常に注意深く見ても、全くムラが見えない。
○ :非常に注意深く見ると僅かに弱いムラが見える。
△ :弱いムラが見える。
× :中程度のムラが見える。
××:一目見ただけで分かるムラがある。
(4)平均反射率評価
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5度における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
表1の結果に示されるように、コンタミネーションとしてマグネシウムを含み、かつ酸触媒を含んだ低屈折率層用塗布液については、親水性溶媒を含有させた本発明試料No1〜8の反射防止フィルムは、異物欠陥がほとんどみられなかった。これに対して、低屈折率層用塗布液中に親水性溶媒を含有させなかった比較試料No1、2の反射防止フィルムは、異物欠陥が多くみられた。
中でも、溶剤中に含まれるアルコールの種類では、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ルでは異物欠陥がなかったのに対して、n−ブタノールでは異物欠陥の改善効果がやや小さいことがわかる(本発明試料No.1〜3及び8)。また、n−ブタノールでは乾燥ムラも悪化しており、このことは、沸点が高く乾燥が遅れることが原因であると考えられる。
また、溶剤のアルコール含量は、全溶剤に対して5質量%以上で異物欠陥がほぼ完全になくなり、改善されている。しかし、アルコール含量が20%以上ではフィルターのろ過圧が上昇し製造適性が良くないことがわかる(本発明試料No1及び4〜6)。これにより、低屈折率層形成用組成物の全溶剤中のアルコール含量は、5質量%〜20質量%であるのが好ましいことがわかる。
以上のことから、コンタミネーションとしてマグネシウムを含み、かつ酸触媒を含んだ低屈折率層用塗布液については、親水性溶媒を添加することにより、メチルエチルケトン等の親油性溶媒に不溶な塩を溶解することができ、異物故障の発生を抑制できることを確認した。
次に、酸触媒を含ませなかった低屈折率層用塗布液については、異物自体が生成しなかったが、スチールウール擦り耐性が悪化した(比較試料3)。これは、酸触媒がないため熱硬化反応が十分進まず、硬膜性が低下したことによると考えられる。
また、コンタミネーションとしてマグネシウムをごく少量(0.1ppm未満)にしか含まないように調製した低屈折率層用塗布液についても、異物自体が生成せず、異物故障が生じることなく、スチールウール擦り耐性も良好であることがわかった(比較試料4)。
これらの比較試料3、4の結果から、異物は、マグネシウムと酸触媒との反応により生成するメチルエチルケトン等の親油性溶媒に不溶な塩であることが検証できた。
[実施例2]
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フィルム(株)製)と、実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)に、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、いずれも背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
[実施例3]
PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、特開2002−86554号公報に記載の図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し図2の如く屈曲させ、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)と貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.7%、偏光度は99.97%であった。さらに310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得た。
次に、実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)の各々のフィルムを上記偏光板と貼り合わせて反射防止付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、いずれも外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、反射像が目立たず優れた視認性を有していた。
[実施例4]
実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)を貼りつけた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、及びバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、光学補償フィルム(ワイドビューフィルムエース、富士写真フィルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、且つ上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
また、実施例1の本発明試料(光拡散層品)No.7、8は、出射角0°に対する30°の散乱光強度が0.06%であり、この光拡散性により、特に下方向の視野角アップ、左右方向の黄色味が改善され、非常に良好な液晶表示装置であった。比較として、該光拡散層用塗布液Bから、架橋PMMA粒子、シリカ粒子を除去した以外、全く本発明試料7、8と同じく作製したフィルムでは、出射角0°に対する30°の散乱光強度が実質0%であり、下方向視野角アップ、黄色味改善効果は全く得られなかった。
[実施例5]
アセチル置換度2.94のセルロースアシレートを用い、下記化学式[2]で表される光学的異方性低下剤A−19を49.3%(対セルロースアシレート)、下記化学式[3]で表される波長分散調整剤Aを7.6%(対セルロースアシレート)となるようにして、実施例1と同様の製膜法により厚さ80μmのセルロースアシレート試料201を作製した。得られたフィルムのレターデーションReは−1.0nm(TD方向に遅相軸のため負とする)、厚さ方向のレターデーションRthは−2.0nmといずれも十分に小さい値であった。このセルロースアシレートフィルム試料を偏光子の2枚の保護フィルムのうちセル側の保護フィルムの透明支持体に、実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)を偏光子の視認側の保護フィルムとしたところ、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、いずれの場合においてもコントラスト視野角が良好な性能が得られた。
光学的異方性低下剤A−19
化学式[4]
Figure 2008197395
波長分散調整剤A
化学式[5]
Figure 2008197395
[実施例6]
実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、いずれもガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
[実施例7]
実施例1の本発明試料No.1〜8(鹸化処理済み)を用いて、片面反射防止フィルム付き偏光板を作製し、偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、反射防止膜側が最表面になるように、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、いずれも表面反射及び表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
このように、本発明を適用することにより、異物欠陥のない優れた面状の光学フィルムを得ることができることがわかった。
実施例の結果を示す表図である。

Claims (12)

  1. フルオロカーボン又はジメチルシロキサンを含有する硬化性化合物と、酸触媒と、溶媒とを備えた光学機能層用組成物において、
    前記溶媒は、
    前記硬化性化合物を溶解する親油性溶媒と、
    前記酸触媒とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素とで形成される塩であって、前記親油性溶媒に不溶な塩を溶解する親水性溶媒と、を少なくとも含む混合溶媒であることを特徴とする光学機能層用組成物。
  2. 前記アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素は、コンタミネーションとして前記光学機能層用組成物に含有されることを特徴とする請求項1に記載の光学機能層用組成物。
  3. 前記親水性溶媒は、アルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学機能層用組成物。
  4. 前記親水性溶媒は、メタノール又はエタノールであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学機能層用組成物。
  5. 前記親水性溶媒は、前記光学機能層用組成物中の全溶媒量に対して5〜20質量%含まれることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学機能層用組成物。
  6. 前記アルカリ土類金属は、マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学機能層用組成物。
  7. 透明支持体上に、請求項1〜6の何れか1項に記載の光学機能層用組成物を塗設してなる光学機能層を有することを特徴とする光学フィルム。
  8. 前記光学フィルムが、前記光学機能層として低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルム。
  9. 前記光学フィルムが、前記光学機能層に無機粒子を含有する反射防止フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルム。
  10. 前記光学フィルムは、前記透明支持体上に少なくとも1層のハードコート層と、前記低屈折率層と、を備えた反射防止フィルムであることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の光学フィルム。
  11. 請求項7〜10の何れか1項に記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項7〜10の何れか1項に記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
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