JP2008196756A - 加熱炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱時間の短縮を図りつつ、種々のワークに対して適応可能な加熱炉を提供する。
【解決手段】第1の加熱室2は、目標温度よりも低い第1の設定温度T1に設定された室内においてワークを加熱し、第2の加熱室3は、ワークの搬送経路において第1の加熱室2よりも下流に位置し、目標温度よりも高い第2の設定温度T3に設定された室内においてワークを加熱する。第1の加熱室2では、この加熱室2の上流側から搬送されるワークが下流側へと第1の搬送速度V2で搬送され、第2の加熱室3では、この加熱室3の上流側から搬送されるワークが下流側へと、第1の搬送速度V2よりも速い第2の搬送速度V3で搬送される。
【選択図】図1
【解決手段】第1の加熱室2は、目標温度よりも低い第1の設定温度T1に設定された室内においてワークを加熱し、第2の加熱室3は、ワークの搬送経路において第1の加熱室2よりも下流に位置し、目標温度よりも高い第2の設定温度T3に設定された室内においてワークを加熱する。第1の加熱室2では、この加熱室2の上流側から搬送されるワークが下流側へと第1の搬送速度V2で搬送され、第2の加熱室3では、この加熱室3の上流側から搬送されるワークが下流側へと、第1の搬送速度V2よりも速い第2の搬送速度V3で搬送される。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱処理やろう付けといった処理をワークに行う加熱炉に係り、特に、複数の加熱室によってワークを段階的に加熱することにより、ワークを目標温度まで昇温させる加熱炉に関する。
例えば、アルミニウム製の熱交換器には、エバポレータやコンデンサあるいはラジエータ等があるが、これらは、一般にろう付け工法により製造されている。この製造方法は、チューブやフィン等からなるコア部や、ヘッダプレートやタンクカバー部材等からなるタンク部などの熱交換器の各種部品を組み付けた後、加熱炉において加熱することにより、これら各種部品間の接合部に予め設けられたろう材によって一体的にろう付けを行う。
このような処理を行う加熱炉は、たとえば、複数の加熱室を備えており、連続したコンベヤーによって、個々の加熱室にワークを順次通過させる構成となっている。個々の加熱室は、ワークの搬送工程の上流側から下流側にかけて、その温度が順次高くなるように設定されており、ワークは、個々の加熱室において段階的に昇温され、例えばろう付け温度といった目標温度まで到達する。
なお、特許文献1には、ローラハーステップ式加熱炉が開示されている。この加熱炉では、単一の加熱室に複数の搬送用ローラが設けられており、ローラを複数のグループに区分した上で、各グループ毎にローラの回転速度を調節することにより、ワークの搬送速度を制御する手法が開示されている。
特許第291366号公報
ところで、この類の加熱炉では、ワークの温度が目標温度に近い高温側の加熱室では、加熱室内の温度とワークの温度との温度差が小さくなり、これにより、ワークの温度勾配も小さくなるため、ワークが目標温度に到達するまでにある程度の加熱時間が必要となる。よって、加熱室の加熱時間は、加熱室の長さに依存する。一方で、加熱時間を短縮するためには、加熱室の設定温度をワークの目標温度以上に上げて、ワークの温度勾配が緩やかとならないようにすることが考えられるが、加熱時間が短くなる分、搬送速度を上げるか、加熱室の長さを短縮する必要がある。
しかしながら、従来の構成の加熱炉では、ワークが連続したコンベヤーで搬送されるため、個々の加熱室内における搬送速度が同一となり、搬送速度を上げた場合には、他の加熱室での搬送速度も上がり、これらの加熱室において加熱時間が不足する虞がある。一方、加熱室の長さを短くした場合には、例えば、加熱時間の異なる別のワークを加熱したい場合に対応することができなくなってしまう。
なお、特許文献1には、ワークの搬送速度を制御する手法については開示されているものの、単一の加熱室内において搬送速度を制御するものであり、設定温度が異なる個々の加熱室において相対的な搬送速度をどのように制御するか開示するものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱時間の短縮を図りつつ、種々のワークに対して適応可能な加熱炉を提供することである。
本発明の請求項1にかかる加熱炉は、複数の加熱室によって段階的にワークを加熱することにより、このワークを目標温度まで昇温させる加熱炉において、目標温度よりも低い第1の設定温度に設定された室内において、ワークを加熱する第1の加熱室と、ワークの搬送経路において第1の加熱室よりも下流に位置し、目標温度よりも高い第2の設定温度に設定された室内において、ワークを加熱する第2の加熱室と、第1の加熱室内において、この第1の加熱室の上流側から搬送されるワークを第1の加熱室の下流側へと第1の搬送速度で搬送する第1の搬送部と、第2の加熱室内において、この第2の加熱室の上流側から搬送されるワークを第2の加熱室の下流側へと、第1の搬送速度よりも速い第2の搬送速度で搬送する第2の搬送部とを有する。
本発明の請求項2にかかる加熱炉は、ワークの搬送経路において第1の加熱室よりも上流に位置し、第1の設定温度よりも低い第3の設定温度に設定された室内の雰囲気において、ワークを加熱する第3の加熱室と、第3の加熱室内において、この第3の加熱室の上流側から搬送されるワークを第3の加熱室の下流側へと、第1の搬送速度よりも遅い第3の搬送速度で搬送する第3の搬送部とをさらに有する。
本発明の請求項3にかかる加熱炉は、第2の加熱室は、ワークの搬送経路において最下流に位置し、第2の加熱室に関するワークの搬送方向の長さは、第1の加熱室に関するワークの搬送方向の長さよりも長い。
本発明の請求項4にかかる加熱炉は、第2の加熱室におけるワークの昇温に関する温度勾配が、第1の加熱室におけるワークの昇温に関する温度勾配と対応するように設定された第2の設定温度に基づいて、第2の加熱室の温度を制御するとともに、ワークの目標温度への到達タイミングと同期して、第2の加熱室の外部へとワークが搬送されるように設定された第2の搬送速度に基づいて第2の搬送部を制御する制御装置をさらに有する。
本発明の請求項1にかかる加熱炉によれば、第2の加熱室の温度を目標温度以上に設定することで、目標温度付近でもワークの温度勾配が緩やかとなることを抑制することができ、また、搬送速度を加熱室毎に個別に制御して、第2の加熱室の搬送速度を増加させることにより、ワークの過加熱を抑制することができる。これにより、ワークを目標温度へと有効に昇温させつつ、加熱時間の短縮を図ることができる。また、加熱室毎に搬送速度を設定することができるため、仕様の異なるワークを加熱する場合であっても、そのワークに応じて容易に加熱時間の変更を行うことができる。
本発明の請求項2にかかる加熱炉によれば、ワークを多段的に加熱することで、ワークの均一な昇温を行うことができる。
本発明の請求項3にかかる加熱炉によれば、最下流の加熱室の搬送速度が最も速くなるので、加熱炉内においてワークが追突したり、停滞するといった不具合を未然に抑制することができる。
本発明の請求項4にかかる加熱炉によれば、ワークの目標温度付近での温度勾配が緩やかになることがないので、加熱時間の短縮を実現した制御を行うことができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる加熱炉の全体構成を示す模式図である。この加熱炉は、複数の加熱室(本実施形態では、3つの加熱室1〜3)と、搬送装置5と、制御装置6とを主体に構成されており、ワークに対する熱処理やろう付けといった処理を行う。ワークとしては、例えば、ラジエータといったアルミニウム製熱交換器であり、この加熱炉において、ラジエータのフィンやヘッダー等のろう付けを行うことができる。
複数の加熱室1〜3は、ワークの搬送経路に沿って上流から下流に連続的に並んでおり、個々が独立した室内(雰囲気)を有している。個々の加熱室1〜3では、例えば、電気ヒータによる輻射熱、または、ガスバーナーによる燃焼熱によって、さらには、循環ファン(図示せず)を用いた対流によって、室内に搬送されるワークをそれぞれ加熱する。後述する搬送装置5によって搬送されるワークは、これらの加熱室1〜3を順次通過することにより、個々の加熱室1〜3においてワークに対する加熱が行われ、これにより、ワークが目標温度(本実施形態では、ろう付け温度(例えば、600℃))まで昇温させられる。これらの加熱室1〜3は、雰囲気ガス、例えば、窒素ガス等によって無酸化雰囲気になっており、加熱室1〜3の無酸化雰囲気をシールするため、加熱室1〜3の前後の雰囲気は、雰囲気遮断室4によって遮断されている。
個々の加熱室1〜3には、設定温度T1〜T3が個別に設けられており、それぞれの加熱室1〜3において独立して温度を設定することができる。本実施形態において、これらの設定温度T1〜T3は、ワークの搬送経路の上流側から下流側にかけて、加熱室1〜3の温度が順次高くなるように設定されている。具体的には、ワークの搬送工程において最上流側の加熱室1の設定温度T1よりも、その下流に位置する加熱室2の設定温度T2の方が高く設定されており、また、この加熱室2の設定温度T2よりも、その下流側(ワークの搬送工程において最下流)の加熱室3の設定温度T3の方が高く設定されている(T1<T2<T3)。このような段階的な設定温度T1〜T3の設定により、加熱室1〜3を通じてワークを段階的に昇温させることが可能となる。ワークを段階的に昇温させた場合には、ワークの部位によって熱容量に差異があったとしても、熱容量が小さく昇温が速い部位が設定温度以上に昇温することがなく、熱容量が大きい部位が設定温度に到達した状態で、下流側の加熱室へとワークが搬送されるので、熱容量の大小に拘わらず均整のとれた状態でワークの昇温を行うことができる。
本実施形態の特徴の一つとして、最下流に位置する加熱室3の設定温度T3は、ワークの目標温度よりも高い温度に設定されており、また、この加熱室3よりも上流側の加熱室1,2の設定温度T1,T2は、ワークの目標温度よりも低い温度に設定されている。また、設定温度T3の加熱室3は、ワークの搬送方向の距離L3が、それよりも上流に位置する加熱室1,2に関するワークの搬送方向の距離L1,L2よりも長くなっている。
個々の加熱室1〜3の設定温度は、後述する制御装置6によって設定され、その室内の温度が設定温度となるように、制御装置6によってその温度が調節される。
搬送装置5は、加熱室1〜3を含む加熱炉において所定の搬送経路に沿ってワークを搬送する機能を担っており、例えば、コンベヤー装置などを用いることができる。搬送装置5は、コンベヤー上に載置されたワークを、雰囲気遮断室4によってシールされた加熱室1〜3を通過させる。この際、搬送されるワークは、最も低い設定温度T1の加熱室1、中間の設定温度T2の加熱室2、最も高い設定温度T3の加熱室3の順番でこれらを通過する。
搬送装置5は、各加熱室1〜3毎に分割されており、それぞれの加熱室1〜3において独立してワークの搬送速度を設定することができる。具体的には、搬送装置5は、第1から第5搬送ユニット5a〜5eで構成され、これらの搬送ユニット5a〜5eによって加熱炉内の一連の搬送経路が構成される。第1搬送ユニット5aは、最も上流側の加熱室1、すなわち、設定温度T1の加熱室1までワークを搬送するユニットであり、第2搬送ユニット5bは、設定温度T1の加熱室1内において、この加熱室1の上流側(第1搬送ユニット5a)から搬送されるワークを下流側(第3搬送ユニット5c)へと搬送速度V1で搬送する。第3搬送ユニット5cは、設定温度T2の加熱室2内において、この加熱室2の上流側(第2搬送ユニット5b)から搬送されるワークを下流側(第4搬送ユニット5d)へと搬送速度V2で搬送する。第4搬送ユニット5dは、設定温度T3の加熱室3内において、この加熱室3の上流側(第3搬送ユニット5c)から搬送されるワークを下流側(第5搬送ユニット5e)へと搬送速度V3で搬送する。第5搬送ユニット5eは、加熱室3(第4搬送ユニット5d)からのワークを下流工程へと搬送するためのユニットである。
ここで、本実施形態の特徴の一つとして、第2から第4搬送ユニット5b〜5dの搬送速度V1〜V3は、ワークの搬送経路の上流側から下流側にかけて、加熱室1〜3内におけるワークの搬送速度が順次速くなるように設定されている。具体的には、第2搬送ユニット5bにおける搬送速度V1よりも、第3搬送ユニット5cにおける搬送速度V2の方が速く、また、第3搬送ユニット5cにおける搬送速度V2よりも、第4搬送ユニット5dにおける搬送速度V3の方が速くなっている(V1<V2<V3)。この際、搬送速度V1〜V3は、対応する加熱室1〜3の設定温度T1〜T3の増加に比例して順次増加するような関係となっている。
個々の搬送ユニット5a〜5eは、コンベヤーを駆動するモータ等の駆動手段によって駆動されており、その搬送速度等を含むユニットの制御は、後述する制御装置6によって行われる。
制御装置6は、ワークの昇温目標値である目標温度に基づいて、加熱炉を制御する。本実施形態との関係において、制御装置6は、第2から第4搬送ユニット5b〜5dにおける搬送速度V1〜V3に基づいて、搬送装置5を制御する。また、制御装置6は、個々の加熱室1〜3に設けられた温度センサ(図示せず)からの検出値であるセンサ入力と、設定温度T1〜T3に基づいて加熱室1〜3を制御して、個々の加熱室1〜3内の雰囲気が設定温度T1〜T3になるように、加熱状態のフィードバック制御を行う。
以下、このような構成を有する加熱炉を用いたろう付け処理について説明する。ここでは、ワークとして、ラジエータを例示して説明する。ろう付け処理では、チューブやフィンからなるコア部や、ヘッダプレートやタンクカバー部材からなる上方および下方ヘッダタンク部などのラジエータの各種部品を組み付けた後、加熱炉に入れて加熱することにより、これら各種部品間の接合部に予め設けられたろう材を介して一体的にろう付けを行う。
ラジエータは、アルミニウム製の部品を用いて形成されており、これら各種部品は、主に純アルミニウムにMn等の元素を含有したアルミニウム合金を芯材としている。従って、部品相互を接合するには、接合部位の芯材の表面に、アルミニウムにSi等を含有した芯材より融点の低いAl−Si系合金のろう材をクラッドしている。
そして、このろう材をクラッドした各種部品(コア部、上方および下方ヘッダタンク部)を組付けるか、ろう材をクラッドする代わりに芯材状態の各種部品(コア部、上方および下方ヘッダタンク部)の接合部にろう材の箔を置きこれら部品を組付けた後、ろう付け接合部にフラックスを塗布して加熱炉でろう付けを行う。
具体的には、加熱炉において、組み付けたコア部とヘッダタンク部とであるワークは、搬送装置5に載置され、まず、加熱室1に搬送される。この加熱室1は設定温度が温度T1に設定されており、ワークは搬送速度V1にて室内を搬送される。加熱室1内を搬送されると、つぎに、加熱室2に搬送される。この加熱室2は設定温度が温度T1よりも高い温度T2に設定されており、ワークは搬送速度V1よりも速い搬送速度V2にて室内を搬送される。この加熱室1,2では、予熱工程として、組み付けたコア部とヘッダタンク部が設定温度T1、T2へと段階的に予熱される。
予熱工程が行われると、ワークは、次に、搬送装置5によって加熱室3へと搬送される。この加熱室3は設定温度が温度T2よりも高い温度T3に設定されており、ワークは搬送速度V2よりも速い搬送速度V3にて室内を搬送される。この加熱室3では、ろう付け工程として、コア部とヘッダタンク部とのろう付けが行われる。
加熱室3においてろう付け工程が行われると、搬送装置5によって加熱室3から加熱炉外へと搬送される。そして、徐冷工程において、ろう付けされたコア部と上方および下方ヘッダタンク部の熱が取り除かれ、冷却工程において、徐冷工程を経たコア部と上方および下方ヘッダタンク部とが常温まで冷却される。このような一連の、予熱工程、ろう付け工程、徐冷工程および冷却工程を順次行うことにより、コア部と上方および下方ヘッダタンク部とが接合されてラジエータが形成される。
ここで、図2および図3を参照して、本実施形態にかかる加熱炉の概念について説明する。図2は、従来の加熱炉の構成を示す模式図であり、図3は、加熱炉におけるワークの昇温状態、具体的には、熱容量の大きい部位の昇温状態および熱容量の小さい部位の昇温状態をそれぞれ示す説明図である。
図2に示すように、従来の加熱炉では、設定温度T11〜T13が個別に設定された複数の加熱室11〜13が備えられており、これらの加熱室11〜13を連続したコンベヤー15によってワークを搬送することにより、ワークを段階的に昇温される構成となっている。ここで、最も下流側の加熱室13の設定温度T13は、ワークの最終的な目標温度、すなわち、ろう付け温度と対応した温度なっており、その上流側の加熱室12は目標温度よりも低い温度に設定温度T12が設定され、また、最上流側の加熱室11はさらに低い温度に設定温度T11が設定されている(T11<T12<T13)。
図3に示すように、加熱室11において加熱されたワークは、領域aで示すような温度勾配で昇温され、加熱室12において加熱されたワークは、領域bで示すような温度勾配で昇温される。また、加熱室13において加熱されたワークは、領域cで示すような温度勾配で昇温される。
ここで、図3に示すように、ワークが昇温し、加熱室内とワークの温度との温度差が小さくなると、温度勾配も小さくなる(領域c参照)。そのため、この温度勾配が小さい状況となる加熱室13では、ワークが目標温度に到達するまでにある程度の加熱時間が必要となる。
上述したように、従来の構成の加熱炉では、ワークが加熱室11の入口から加熱室13の出口まで連続したコンベヤー15で搬送されるため、個々の加熱室11〜13内における搬送速度も一定とならざるを得ない。よって、各加熱室13におけるワークの加熱時間は、加熱室13の長さ、すなわち、加熱室13における搬送方向の長さL13に依存する。
加熱時間を短縮するためには、加熱室13の設定温度をワークの目標温度よりも大きな値に設定し、加熱室13内の温度とワークの温度との温度差を大きくし、ワークが目標温度に昇温するまで温度勾配が緩やかとならないようにすることが考えられる。しかしながら、加熱室13の設定温度を上げた場合には、加熱時間が短くなる分、搬送速度を上げるか、加熱室13の長さL3を短くして、加熱室13におけるワークの滞在時間を短縮させる必要がある。
ところで、搬送速度を上げた場合には、他の加熱室11,12での搬送速度も上がるため、これらの加熱室11,12において加熱時間が不足する虞がある。一方、加熱室13の長さL3を短くした場合には、例えば、加熱時間の異なる別のワークを加熱したい場合に対応することができなくなってしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、加熱室3の設定温度T3を、ワークの最終的な目標温度よりも大きな値に設定し、加熱室内の温度(設定温度T3)と、室内に搬送されたワークの温度との間の乖離を大きくすることにより、温度勾配が緩やかとならないような工夫が施されている。ただし、設定温度T3が、ワークの目標温度よりも大きな値に設定されているため、ワークが目標温度に到達する時間は、設定温度T3をワークの目標温度に設定した場合と比較して短くなる。そこで、本実施形態では、加熱室3における搬送速度V3を大きく設定している。具体的には、ワークの目標温度への到達タイミングと同期して、このワークが加熱室3から出るように、搬送速度V3が設定されている。
個々の加熱室の設定温度および個々の加熱室における搬送速度は、下流側の加熱室におけるワークの温度勾配が、この加熱室の上流側の加熱室におけるワークの温度勾配と概ね対応するように、実験やシミュレーションを通じて、ワークの目標温度、直前の加熱室の設定温度、加熱室における搬送方向の長さ等を考慮して、適切に設定されている。具体的には、制御装置6は、加熱室3におけるワークの昇温に関する温度勾配が、これよりも上流側の加熱室2におけるワークの昇温に関する温度勾配と対応するように設定された加熱室3の設定温度T3に基づいて、加熱室3を制御する。また、制御装置6は、ワークの昇温目標値である目標温度への到達タイミングと同期して、この加熱室3の下流側(加熱室3の出口)へとワークが搬送されるように設定された第4搬送ユニット5dの搬送速度V3に基づいて、第4搬送ユニット5dを制御することとなる。なお、タイミングが同期するとは、厳密にタイミング的に一致した状態を指すばかりでなく、ワークの昇温目標値である目標温度への到達タイミングと、ワークの加熱室3の出口への搬送タイミングとが概ね一致しているような状況も含む。
以下に、本発明の実施形態による作用効果を説明する。
かかる加熱炉の構成によれば、加熱室3の温度を目標温度以上に設定することで、目標温度付近でもワークの温度勾配が緩やかとなることを抑制することができ、また、搬送速度を加熱室毎に個別に制御して、その際の搬送速度を増加させることにより、過加熱を抑制することができる。これにより、ワークを目標温度へと昇温させつつ、加熱時間の短縮を図ることができる。また、加熱室毎に搬送速度を設定することができるため、仕様の異なるワークを加熱する場合であっても、そのワークに応じて容易に加熱時間の変更を行うことができる。
なお、本発明に係る加熱炉は、前述した実施形態に限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態では、最下流側の加熱室3の設定温度T3を通常のそれよりも上げ、かつ、搬送速度V3を増加させているが、たとえば、加熱室1,2の設定温度T1,T2を通常のそれよりも上げ、かつ、搬送速度V1,V2を増加させてもよい。かかる構成によれば、個々の加熱室1〜3において、加熱時間の短縮を図ることができる。
1 加熱室
2 加熱室
3 加熱室
4 雰囲気遮断室
5 搬送装置
5a 第1搬送ユニット
5b 第2搬送ユニット
5c 第3搬送ユニット
5d 第4搬送ユニット
5e 第5搬送ユニット
6 制御装置
11 加熱室
12 加熱室
13 加熱室
15 コンベヤー
2 加熱室
3 加熱室
4 雰囲気遮断室
5 搬送装置
5a 第1搬送ユニット
5b 第2搬送ユニット
5c 第3搬送ユニット
5d 第4搬送ユニット
5e 第5搬送ユニット
6 制御装置
11 加熱室
12 加熱室
13 加熱室
15 コンベヤー
Claims (4)
- 複数の加熱室(1〜3)によって段階的にワークを加熱することにより、当該ワークを目標温度まで昇温させる加熱炉において、
前記目標温度よりも低い第1の設定温度に設定された室内において、前記ワークを加熱する第1の加熱室(2)と、
前記ワークの搬送経路において前記第1の加熱室(2)よりも下流に位置し、前記目標温度よりも高い第2の設定温度に設定された室内において、前記ワークを加熱する第2の加熱室(3)と、
前記第1の加熱室(2)内において、当該第1の加熱室(2)の上流側から搬送される前記ワークを前記第1の加熱室(2)の下流側へと第1の搬送速度で搬送する第1の搬送部(5c)と、
前記第2の加熱室(3)内において、当該第2の加熱室(3)の上流側から搬送される前記ワークを前記第2の加熱室(3)の下流側へと、前記第1の搬送速度よりも速い第2の搬送速度で搬送する第2の搬送部(5d)と
を有することを特徴とする加熱炉。 - 前記ワークの搬送経路において前記第1の加熱室(2)よりも上流に位置し、前記第1の設定温度よりも低い第3の設定温度に設定された室内の雰囲気において、前記ワークを加熱する第3の加熱室(1)と、
前記第3の加熱室(1)内において、当該第3の加熱室(1)の上流側から搬送される前記ワークを前記第3の加熱室(1)の下流側へと、前記第1の搬送速度よりも遅い第3の搬送速度で搬送する第3の搬送部(5b)と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載された加熱炉。 - 前記第2の加熱室(3)は、前記ワークの搬送経路において最下流に位置し、
前記第2の加熱室(3)に関する前記ワークの搬送方向の長さは、前記第1の加熱室(2)に関する前記ワークの搬送方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載された加熱炉。 - 前記第2の加熱室(3)における前記ワークの昇温に関する温度勾配が、前記第1の加熱室(2)における前記ワークの昇温に関する温度勾配と対応するように設定された前記第2の設定温度に基づいて、前記第2の加熱室の温度を制御するとともに、前記ワークの目標温度への到達タイミングと同期して、前記第2の加熱室(3)の外部へと前記ワークが搬送されるように設定された前記第2の搬送速度に基づいて、前記第2の搬送部(5d)を制御する制御装置(6)を
さらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載された加熱炉。
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Publications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2008196756A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20130003212U (ko) * | 2011-11-22 | 2013-05-30 | 엔지케이 킬른 테크 가부시키가이샤 | 롤러 하스 킬른 |
-
2007
- 2007-02-09 JP JP2007031157A patent/JP2008196756A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR200482538Y1 (ko) | 2011-11-22 | 2017-02-06 | 엔지케이 인슐레이터 엘티디 | 롤러 하스 킬른 |
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