JP2008195555A - 圧電材料組成物およびその製造方法、並びに圧電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、鉛を含有せず、キュリー温度が高く、かつ優れた圧電特性を有する圧電材料組成物、およびその製造方法、並びに圧電素子を提供することである。
【解決手段】本発明に係る圧電材料組成物は、ゾル状のBaTi2O5前駆体溶液中に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を均一に分散させたペースト状の組成物であることを特徴とする。その製造方法は、FeまたはKと、Baと、Tiと、を含有するゾル状BaTiO3前駆体溶液を調製する工程と、前記ゾル状BaTiO3前駆体溶液を焼成して、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を得る工程と、前記BaTiO3粒子を含む、BaTiO3ペーストを作製する工程と、前記BaTiO3ペーストにゾル状BaTi2O5前駆体溶液を添加して混合ペーストを作製する工程とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る圧電材料組成物は、ゾル状のBaTi2O5前駆体溶液中に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を均一に分散させたペースト状の組成物であることを特徴とする。その製造方法は、FeまたはKと、Baと、Tiと、を含有するゾル状BaTiO3前駆体溶液を調製する工程と、前記ゾル状BaTiO3前駆体溶液を焼成して、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を得る工程と、前記BaTiO3粒子を含む、BaTiO3ペーストを作製する工程と、前記BaTiO3ペーストにゾル状BaTi2O5前駆体溶液を添加して混合ペーストを作製する工程とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の圧電素子に用いられる圧電材料組成物およびその製造方法、並びに圧電素子に関する。
従来、インクジェット式記録ヘッド等に用いる圧電材料としては、圧電特性に優れるという観点からジルコン酸チタン酸鉛(以下、「PZT」という。)が最も広く利用されてきた。しかしながら、最近、鉛系廃棄物が酸性雨等に曝されると鉛が溶出し、環境に悪影響を与えることから、PZTに代わる鉛を含まない圧電材料が望まれている。
鉛を含有しない圧電材料として、チタン酸バリウム(BaTiO3)を挙げることができる。ところが、BaTiO3のキュリー温度は120℃と低く、120℃以上の温度では強誘電体から常誘電体へと変化してしまう。
また、圧電材料として利用する場合、圧電特性が良好なこと、すなわち圧電歪み定数(d33)が大きいことが望ましい。ところが、BaTiO3の圧電歪み定数は、PZTと比較すると1/2程度と小さい。このキュリー温度と圧電歪み定数は、圧電材料を構成する金属元素の種類とその組成割合によって大きく変動することが明らかとなってきた。
例えば、非特許文献1には、微量なFeまたはKを点欠陥として含有するチタン酸バリウム(BaTiO3)の単結晶に時効を施すと、低電場においてPZTよりも約40倍大きい電歪効果を得ることができると報告している。しかし、上記の微量なFeまたはKを点欠陥として含有するチタン酸バリウムの単結晶は、大きい電歪効果を得られる反面、キュリー温度は低いままであるため、圧電材料としては実用的ではない。
(独)物質・材料機構研究所、"研究成果 JSTニュース"、[online]、平成16年3月、科学技術振興機構、[平成18年11月17日検索]、インターネット<URL:http://jst.go.jp/kisoken/seika/jstnews/200403/05.html>
(独)物質・材料機構研究所、"研究成果 JSTニュース"、[online]、平成16年3月、科学技術振興機構、[平成18年11月17日検索]、インターネット<URL:http://jst.go.jp/kisoken/seika/jstnews/200403/05.html>
本発明の目的は、鉛を含有せず、キュリー温度が高く、かつ優れた圧電特性を有する圧電材料組成物およびその製造方法、並びに圧電素子を提供することである。
本発明に係る圧電材料組成物は、BaTi2O5前駆体溶液中に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を分散させたことを特徴とする。
本発明に係る圧電材料組成物は、10重量%〜50重量%の前記BaTi2O5と、30重量%〜70重量%の前記BaTiO3粒子とを含むことができる。
本発明に係る圧電材料組成物において、前記BaTiO3粒子の粒径は、0.05μm〜0.5μmであることができる。
本発明に係る圧電材料組成物の製造方法は、FeまたはKと、Baと、Tiと、を含有するBaTiO3前駆体溶液を調製する工程と、前記BaTiO3前駆体溶液を焼成して、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を得る工程と、前記BaTiO3粒子を含む、BaTiO3ペーストを作製する工程と、前記BaTiO3ペーストにBaTi2O5前駆体溶液を添加して、混合ペーストを作製する工程とを含む。
本発明に係る圧電材料組成物の製造方法において、前記BaTiO3前駆体溶液を焼成する温度は、600℃〜700℃であることができる。
本発明に係る圧電素子は、前記圧電材料組成物を塗布、乾燥および焼成することにより形成された圧電体膜を含むことができる。
本発明に係る圧電素子において、前記圧電材料組成物を塗布する方法は、印刷法であることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
1.圧電材料組成物
本実施の形態に係る圧電材料組成物は、ゾル状のBaTi2O5前駆体溶液に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を均一に分散させたペースト状の組成物である。
本実施の形態に係る圧電材料組成物は、ゾル状のBaTi2O5前駆体溶液に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を均一に分散させたペースト状の組成物である。
Feを含有するBaTiO3(以下、「Fe−BaTiO3」とする。)は、ペロブスカイト構造を有しており、BaTiO3のBaサイトまたはTiサイトの一部をFeに置換したものである。Fe−BaTiO3粒子は、固相法、シュウ酸法、ゾル・ゲル法、水熱合成法等により得られるが、粒子の結晶性および粒径を考慮すると、ゾル・ゲル法がより好ましい。Fe−BaTiO3粒子の粒径は、好ましくは0.05μm〜0.5μmである。粒径が0.5μmよりも大きいと、該粒子を均一に分散させたペーストが得られにくい。
BaTi2O5の構造は、非中心対称単結晶である。ゾル状BaTi2O5前駆体溶液は、後述する方法により調製することができる。
本実施の形態に係る圧電材料組成物は、Fe−BaTiO3粒子、およびゾル状BaTi2O5前駆体溶液のほか、Fe−BaTiO3粒子を均一に分散させるための分散剤、可塑剤、溶媒、バインダー等の添加剤を含むことができる。
分散剤は、Fe−BaTiO3粒子を均一に分散させる目的で添加することができる。分散剤として、例えば、ポリエチレングリコール、エトキシエタノール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
可塑剤は、ペーストに柔軟性を付与する目的で添加することができる。可塑剤として、例えば、炭酸プロピレンを挙げることができる。
溶剤は、分散性および塗布性を考慮して、公知の各種溶剤から適宜選択される。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、または、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤を挙げることができる。これらの中では、特にアルコール系溶剤を好適に用いることができる。
バインダーは、塗布時の膜厚を厚くする目的で添加することができる。バインダーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中では、特にポリビニルブチラールを好適に用いることができる。
圧電材料組成物は、上記の添加剤のほかに、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等の公知の各種添加剤を添加することができる。
圧電材料組成物は、圧電材料組成物全量に対し、Fe−BaTiO3として30重量%〜70重量%、BaTi2O5として10重量%〜50重量%含まれていることが好ましい。Fe−BaTiO3の添加量が30重量%未満であると、良好な圧電特性が得られないことがある。一方、70重量%を超えると、キュリー温度が低くなりすぎることがあり、得られた圧電材料組成物は実用性を損なうことがある。BaTi2O5の添加量が10重量%未満であると、キュリー温度が低くなりすぎることがあり、得られた圧電材料組成物は実用性を損なうことがある。一方、50重量%を超えると、良好な圧電特性が得られないことがある。
Fe−BaTiO3単結晶は、高い圧電特性を有するものの、キュリー温度については約120℃と低い。すなわち、Fe−BaTiO3は約120℃で構造相転移が起こり、正方晶の強誘電体から立方晶の常誘電体へと変化してしまう。一方、BaTi2O5単結晶は、高いキュリー温度(約470℃)を有するものの、圧電特性についてはFe−BaTiO3単結晶の約1/2である。本発明に係る圧電材料組成物は、Fe−BaTiO3単結晶とBaTi2O5単結晶の上記の欠点を相互に補完した圧電体膜を得ることができる。
圧電材料組成物中のFe−BaTiO3粒子は、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液にコーティングされた状態で存在している。そうすると、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液は、Fe−BaTiO3の正方晶から立方晶への構造相転移に伴う体積変化を抑制する作用を有すると考えられる。したがって、BaTi2O5は、圧電材料組成物を熱処理し圧電素子を得る工程において、Fe−BaTiO3粒子の構造相転移の抑制に寄与することができると考えられる。
また、Fe−BaTiO3粒子の代わりに、微量のKを含有するBaTiO3粒子を用いても、同様の作用効果を奏する圧電材料組成物を得ることができる。
2.圧電材料組成物の製造方法
図1は、本実施の形態に係る圧電材料組成物の製造方法を示すフローチャートである。以下、図1を用いて、本実施の形態に係る圧電材料組成物の製造方法について説明する。
図1は、本実施の形態に係る圧電材料組成物の製造方法を示すフローチャートである。以下、図1を用いて、本実施の形態に係る圧電材料組成物の製造方法について説明する。
(1)ゾル状BaTiO3前駆体溶液の調製
まず、適量の金属アルコキシドを秤り取り、溶媒に溶解させて、アルコキシド溶液とする。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、ジメトキシジイソプロポキシド等のアルコキシドが挙げられる。本実施の形態では、金属アルコキシドとして、例えば、Baエトキシド、Tiテトライソプロポキシド、Feトリイソプロポキシド等を用いることができる。金属アルコキシドは、そのまま使用してもよいが、分解を促進させるために、その部分加水分解物を使用してもよい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサン、シクロヘキサノール等のシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、カルボン酸、エステル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。溶媒として、アルコール類を用いると、金属アルコキシドを良好に溶解することができる。
まず、適量の金属アルコキシドを秤り取り、溶媒に溶解させて、アルコキシド溶液とする。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、ジメトキシジイソプロポキシド等のアルコキシドが挙げられる。本実施の形態では、金属アルコキシドとして、例えば、Baエトキシド、Tiテトライソプロポキシド、Feトリイソプロポキシド等を用いることができる。金属アルコキシドは、そのまま使用してもよいが、分解を促進させるために、その部分加水分解物を使用してもよい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサン、シクロヘキサノール等のシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、カルボン酸、エステル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。溶媒として、アルコール類を用いると、金属アルコキシドを良好に溶解することができる。
その溶液に、例えば、0.001規定塩酸のアルコール溶液を徐々に添加して加水分解を行う。この反応により高分子量化が進行する。この反応後に、例えば、所定量のエトキシエタノールを添加し、撹拌すると混合溶液を得ることができる。こうして得られた混合溶液をゾル状BaTiO3前駆体溶液とする。次工程において、Kを含有するBaTiO3粒子を得るためには、Feトリイソプロポキシドの代わりに、Kエトキシド等の金属アルコキシドを用いればよい。
(2)Fe−BaTiO3粒子の作製
ゾル状BaTiO3前駆体溶液をるつぼに入れ、約600℃〜700℃で1時間焼成することにより、Feを含有するBaTiO3粒子を得ることができる。こうして得られたFeを含有するBaTiO3粒子の粒径は、約0.05μm〜0.5μmである。かかる範囲内の粒径を有するBaTiO3粒子を用いると、次工程において、均質なBaTiO3ペーストを得ることができる。
ゾル状BaTiO3前駆体溶液をるつぼに入れ、約600℃〜700℃で1時間焼成することにより、Feを含有するBaTiO3粒子を得ることができる。こうして得られたFeを含有するBaTiO3粒子の粒径は、約0.05μm〜0.5μmである。かかる範囲内の粒径を有するBaTiO3粒子を用いると、次工程において、均質なBaTiO3ペーストを得ることができる。
(3)Fe−BaTiO3ペーストの作製
Feを含有するBaTiO3粒子に、溶媒、分散剤、可塑剤、バインダー等を添加して十分撹拌することにより、BaTiO3ペーストを得ることができる。溶媒として、例えば、n−ブタノール等のアルコール類を用いることができる。分散剤として、例えば、エチレングリコール、エトキシエタノール、シクロヘキサノール等を用いることができる。可塑剤として、例えば、炭酸プロピレン等を用いることができる。バインダーとして、例えば、分子量300以下のポリビニルブチラール等を用いることができる。
Feを含有するBaTiO3粒子に、溶媒、分散剤、可塑剤、バインダー等を添加して十分撹拌することにより、BaTiO3ペーストを得ることができる。溶媒として、例えば、n−ブタノール等のアルコール類を用いることができる。分散剤として、例えば、エチレングリコール、エトキシエタノール、シクロヘキサノール等を用いることができる。可塑剤として、例えば、炭酸プロピレン等を用いることができる。バインダーとして、例えば、分子量300以下のポリビニルブチラール等を用いることができる。
(4)圧電材料組成物の作製
前工程で得られたBaTiO3ペーストに、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液を添加して、十分に混合することにより、圧電材料組成物(混合ペースト)を得ることができる。ここで、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液は、圧電材料組成物総量に対し、BaTi2O5として10重量%〜50重量%含まれるように添加することが好ましい。
前工程で得られたBaTiO3ペーストに、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液を添加して、十分に混合することにより、圧電材料組成物(混合ペースト)を得ることができる。ここで、ゾル状BaTi2O5前駆体溶液は、圧電材料組成物総量に対し、BaTi2O5として10重量%〜50重量%含まれるように添加することが好ましい。
ゾル状BaTi2O5前駆体溶液は、Ba、Tiをそれぞれ含んでなる有機金属化合物、あるいはその部分加水分解物および/または重縮合物をBaおよびTiが所望のモル比となるように混合され、さらにアルコールなどの有機溶媒を用いてこれらを溶解、または分散させることにより作製することができる。有機金属化合物は、溶液状態で安定なものを用いることが望ましい。
3.圧電素子の製造方法
以下に、圧電素子の製造方法の具体例について説明する。図2(A)〜図2(E)は、本実施の形態に係るインクジェット式記録ヘッドにおける圧電素子の製造工程を示す断面図である。
以下に、圧電素子の製造方法の具体例について説明する。図2(A)〜図2(E)は、本実施の形態に係るインクジェット式記録ヘッドにおける圧電素子の製造工程を示す断面図である。
(1)まず、圧力室基板10を用意する。圧力室基板10として、例えば、厚さ200μmのシリコン単結晶基板を用いる。
次に、図2(A)に示すように、圧力室基板10の上に、振動板20を成膜する。振動板20の成膜法として、熱酸化によって二酸化ケイ素の酸化膜を形成する方法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法を適用することができる。振動板20の材料として、例えば、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムを用いることができる。振動板20は、例えば、二酸化ケイ素を厚さ約1000nm、酸化ジルコニウムを約400nmに成膜した二層構造とすることができる。もちろん、二酸化ケイ素または酸化ジルコニウムの単層構造とすることもできる。
(2)図2(B)に示すように、振動板20の上に下部電極膜32を成膜する。下部電極膜32の成膜法として、例えば、ゾル・ゲル法、レーザーアブレーション法、スパッタ法、MOCVD法等の方法を適用することができる。下部電極膜32の材料として、例えば、導電性を有する白金、イリジウム、チタン等を用いることができる。下部電極膜32は、例えば、白金層とイリジウム層の二層構造とし、その二層構造の厚みを約200nmに成膜することができる。もちろん、白金層またはイリジウム層の単層構造とすることもできる。
(3)図2(C)に示すように、下部電極膜32の上に、圧電体膜34を成膜する。圧電体膜34の材料として、「2.圧電材料組成物の製造方法」で得られた圧電材料組成物を用いる。本実施の形態では、圧電体膜34の塗布法として、印刷法またはバーコータ法を適用することができるが、印刷法をより好ましく適用することができる。圧電材料組成物は、高い粘性を有するペースト状であるため、印刷法によれば、一回の塗布で圧電体膜の厚さを数μmに制御することができる。また、成膜後エッチングする工程が不要なため、工程数を減らすことができ、コストを削減できる。圧電材料組成物を下部電極膜32の上に塗布した後、700℃〜1000℃で焼成を行うことにより、圧電体膜34を成膜することができる。BaTi2O5は1150℃以上で別の物質に分解するため、所望の圧電体膜を得るためには1150℃未満の温度で焼成することが望ましい。
(4)図2(D)に示すように、圧電体膜34の上に、上部電極膜36を成膜する。上部電極膜36は、例えば、白金等を直流スパッタ法で成膜する。
(5)図2(E)に示すように、圧電体膜34および上部電極膜を所定の形状に加工して、圧電素子30を形成する。具体的には、上部電極膜36上にレジストをスピンコートした後、圧力室が形成されるべき位置に合わせて露光および現像してパターニングする。残ったレジストをマスクとして上部電極膜36、圧電体膜34をイオンミリング、またはドライエッチング法等により不要な部分を除去する。以上の工程により、圧電素子30が形成される。
本発明に係る圧電体膜を含む圧電素子は、上記のようなインクジェット記録式ヘッドのみならず、圧電アクチュエータ、圧電センサ、圧電共振子、弾性表面波素子等へと応用することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…圧力室基板、20…振動板、30…圧電素子、32…下部電極膜、34…圧電体膜、36…上部電極膜
Claims (7)
- BaTi2O5前駆体溶液中に、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を分散させた、圧電材料組成物。
- 請求項1において、
10重量%〜50重量%の前記BaTi2O5と、
30重量%〜70重量%の前記BaTiO3粒子と、
を含む、圧電材料組成物。 - 請求項1または2において、
前記BaTiO3粒子の粒径は、0.05μm〜0.5μmである、圧電材料組成物。 - FeまたはKと、Baと、Tiと、を含有するBaTiO3前駆体溶液を調製する工程と、
前記BaTiO3前駆体溶液を焼成して、FeまたはKを含有するBaTiO3粒子を得る工程と、
前記BaTiO3粒子を含む、BaTiO3ペーストを作製する工程と、
前記BaTiO3ペーストにBaTi2O5前駆体溶液を添加して、混合ペーストを作製する工程と、
を含む、圧電材料組成物の製造方法。 - 請求項4において、
前記BaTiO3前駆体溶液を焼成する温度は、600℃〜700℃である、圧電材料組成物の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の前記圧電材料組成物を塗布、乾燥および焼成して形成された圧電体膜を含む、圧電素子。
- 請求項6において、
前記圧電材料組成物を塗布する方法は、印刷法である、圧電素子。
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